特許第5975852号(P5975852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975852
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】基板検査装置および基板検査方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20160809BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H05K3/46 W
   H05K3/46 Q
   H05K3/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-248377(P2012-248377)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-96520(P2014-96520A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 浩
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−186483(JP,A)
【文献】 特開2010−216827(JP,A)
【文献】 特開2002−014134(JP,A)
【文献】 特開2011−142202(JP,A)
【文献】 特開2009−109445(JP,A)
【文献】 特開昭63−119216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 3/46
G01R 31/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の外部電極にそれぞれ複数の内部電極が接続された積層コンデンサが内蔵されると共に、当該両外部電極の一方が第1接続用パターンに接続され、かつ当該両外部電極の他方が第2接続用パターンに接続されている検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じているか否かを電気的に検査可能に構成された基板検査装置であって、
前記各内部電極の電極面に対向配置された導体および前記第1接続用パターンのいずれか一方と前記第2接続用パターンとを基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第1接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する電気的パラメータを測定する第1測定処理と、前記導体および前記第2接続用パターンのいずれか一方と前記第1接続用パターンとを前記基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第2接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する前記電気的パラメータを測定する第2測定処理とを実行する測定部、並びに、当該測定部を制御して前記両測定処理を実行させると共に、当該両測定処理によって測定された前記両電気的パラメータの相異量が予め規定された量以上のときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサが内蔵されていると判別し、前記両電気的パラメータの相異量が前記予め規定された量を下回っているときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じていると判別する処理部とを備えている基板検査装置。
【請求項2】
前記導体としての電極と、前記処理部の制御に従って前記各内部電極の前記電極面に対向する位置に前記電極を移動させる移動機構とを備えている請求項1記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記第1接続用パターンに接続される第1プローブと、前記第2接続用パターンに接続される第2プローブと、検査対象基板における前記積層コンデンサに対向する位置に設けられた導体パターンに接続される第3プローブと、前記第1プローブ、前記第2プローブおよび前記第3プローブをそれぞれ移動させる移動機構とを備え、
前記処理部は、前記移動機構を制御して前記各プローブを前記各パターンにそれぞれ接続させると共に、前記導体パターンを前記導体として使用して前記第1測定処理および前記第2測定処理を実行する請求項1記載の基板検査装置。
【請求項4】
一対の外部電極にそれぞれ複数の内部電極が接続された積層コンデンサが内蔵されると共に、当該両外部電極の一方が第1接続用パターンに接続され、かつ当該両外部電極の他方が第2接続用パターンに接続されている検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じているか否かを電気的に検査する基板検査方法であって、
前記各内部電極の電極面に対向配置された導体および前記第1接続用パターンのいずれか一方と前記第2接続用パターンとを基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第1接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する電気的パラメータを測定する第1測定処理と、前記導体および前記第2接続用パターンのいずれか一方と前記第1接続用パターンとを前記基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第2接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する前記電気的パラメータを測定する第2測定処理とを実行すると共に、当該両測定処理によって測定された前記両電気的パラメータの相異量が予め規定された量以上のときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサが内蔵されていると判別し、前記両電気的パラメータの相異量が前記予め規定された量を下回っているときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じていると判別する基板検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象基板に電子部品の未実装が生じているか否かを検査する基板検査装置および基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置および基板検査方法として、電子部品等が実装された実装基板を検査する実装基板検査装置(以下、単に「検査装置」ともいう)、およびその検査方法が特開平6−243235号公報に開示されている。この検査装置および検査方法によって検査対象のプリント基板に電子部品が実装されているか否かを検査する際には、まず、プリント基板における検査対象部位をエリアセンサカメラによって撮像し、明画像および暗画像の2つの画像データをRGB別に生成する。
【0003】
次いで、明画像の画像データをカラー画像処理部によってYIQ色度座標系に色座標変換することによって2値化処理する。続いて、暗画像の画像データをカラー画像処理部によってYIQ色度座標系に色座標変換した後に、濃淡画像であるY信号に対応する情報のみを抽出する。次いで、明画像(2値化処理された画像)および暗画像(濃淡画像)を合成した画像を対象として、認識処理部において濃淡認識処理を実行することにより、プリント基板に電子部品が実装されているか否かが検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−243235号公報(第4−6頁、第1−8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の検査装置および検査方法には、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来の検査装置および検査方法では、検査対象のプリント基板を撮像した画像データを対象とする画像解析処理によって電子部品の未実装が生じているか否かを検査する構成・方法が採用されている。この場合、この種の検査装置および検査方法の対象である検査対象基板のなかには、表面実装された電子部品だけでなく、多層基板における内層に実装された(内蔵された)電子部品を有するものが存在する。特に、その内部構造が簡易であることで小型化および薄形化が容易な積層コンデンサについては、基板表面に他の電子部品の実装スペースを確保するために、基板内に内蔵されることが多くなっている。
【0006】
しかしながら、従来の検査装置および検査方法によって内蔵型のコンデンサを有する検査対象基板を検査しようとしても、エリアセンサカメラによって基板の内層を撮像することはできない。このため、従来の検査装置および検査方法では、検査対象基板に内蔵型の積層コンデンサの未実装が生じているか否かを検査できないという問題点がある。
【0007】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、内蔵型のコンデンサを有する検査対象基板にコンデンサの未実装等が生じているか否かを確実に検査し得る基板検査装置および基板検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板検査装置は、一対の外部電極にそれぞれ複数の内部電極が接続された積層コンデンサが内蔵されると共に、当該両外部電極の一方が第1接続用パターンに接続され、かつ当該両外部電極の他方が第2接続用パターンに接続されている検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じているか否かを電気的に検査可能に構成された基板検査装置であって、前記各内部電極の電極面に対向配置された導体および前記第1接続用パターンのいずれか一方と前記第2接続用パターンとを基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第1接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する電気的パラメータを測定する第1測定処理と、前記導体および前記第2接続用パターンのいずれか一方と前記第1接続用パターンとを前記基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第2接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する前記電気的パラメータを測定する第2測定処理とを実行する測定部、並びに、当該測定部を制御して前記両測定処理を実行させると共に、当該両測定処理によって測定された前記両電気的パラメータの相異量が予め規定された量以上のときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサが内蔵されていると判別し、前記両電気的パラメータの相異量が前記予め規定された量を下回っているときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じていると判別する処理部とを備えている。
【0009】
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記導体としての電極と、前記処理部の制御に従って前記各内部電極の前記電極面に対向する位置に前記電極を移動させる移動機構とを備えている。
【0010】
さらに、請求項3記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記第1接続用パターンに接続される第1プローブと、前記第2接続用パターンに接続される第2プローブと、検査対象基板における前記積層コンデンサに対向する位置に設けられた導体パターンに接続される第3プローブと、前記第1プローブ、前記第2プローブおよび前記第3プローブをそれぞれ移動させる移動機構とを備え、前記処理部は、前記移動機構を制御して前記各プローブを前記各パターンにそれぞれ接続させると共に、前記導体パターンを前記導体として使用して前記第1測定処理および前記第2測定処理を実行する。
【0011】
また、請求項4記載の基板検査方法は、一対の外部電極にそれぞれ複数の内部電極が接続された積層コンデンサが内蔵されると共に、当該両外部電極の一方が第1接続用パターンに接続され、かつ当該両外部電極の他方が第2接続用パターンに接続されている検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じているか否かを電気的に検査する基板検査方法であって、前記各内部電極の電極面に対向配置された導体および前記第1接続用パターンのいずれか一方と前記第2接続用パターンとを基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第1接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する電気的パラメータを測定する第1測定処理と、前記導体および前記第2接続用パターンのいずれか一方と前記第1接続用パターンとを前記基準電位に接続すると共に、当該導体および当該第2接続用パターンの他方に交流信号を印加した状態において当該他方から当該いずれか一方に流れる電流に応じて変化する前記電気的パラメータを測定する第2測定処理とを実行すると共に、当該両測定処理によって測定された前記両電気的パラメータの相異量が予め規定された量以上のときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサが内蔵されていると判別し、前記両電気的パラメータの相異量が前記予め規定された量を下回っているときに、前記検査対象基板に前記積層コンデンサの未実装が生じていると判別する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の基板検査装置、および請求項4記載の基板検査方法によれば、第1測定処理および第2測定処理を実行すると共に、両測定処理によって測定された両電気的パラメータの相異量が予め規定された量以上のときに、検査対象基板に積層コンデンサが内蔵されていると判別し、両電気的パラメータの相異量が予め規定された量を下回っているときに、検査対象基板に積層コンデンサの未実装が生じていると判別することにより、積層コンデンサが実装されているときには、第1測定処理および第2測定処理のいずれか一方において、両内部電極のうちの基準電位に接続されている一方の存在によって両内部電極の他方と導体との間の容量成分を介して電流が流れるのが阻害されて極く小さな値の測定結果が得られると共に、第1測定処理および第2測定処理の他方においては、上記の電流の流れを阻害する他の導体が存在しないことで大きな値の測定結果が得られるのに対し、積層コンデンサの未実装が生じているときには、第1測定処理および第2測定処理の双方において両接続用パターンのいずれかと導体との間の容量成分を介して電流が流れるのを阻害する他の導体が存在しないことで同程度の測定結果が得られる。このため、エリアセンサカメラ等の撮像装置によって撮像することができない内蔵の積層コンデンサについても、両測定処理の測定結果の相異量に基づき、未実装が生じているか否かを確実に検査することができる。
【0013】
また、請求項2記載の基板検査装置によれば、導体としての電極と、処理部の制御に従って各内部電極の電極面に対向する位置に電極を移動させる移動機構とを備えたことにより、複数の積層コンデンサが並設されている場合においても、各積層コンデンサ毎に未実装が生じているか否かを確実に検査することができる。
【0014】
また、請求項3記載の基板検査装置によれば、検査対象基板における積層コンデンサに対向する位置に設けられた導体パターンを導体として使用して第1測定処理および第2測定処理を実行することにより、例えば、積層コンデンサが実装されている部位の表面に他の電子部品が実装されていたとしても、積層コンデンサの未実装が生じているか否かを確実に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
図2】検査対象基板20におけるコンデンサ21および接続用パターン22a,22b,23とプローブ4a〜4cとの接続態様について説明するための説明図である。
図3図2に示す状態の検査対象基板20を対象とする各測定処理の測定結果と、コンデンサ21の未実装が生じているか否かとの関係について説明するための説明図である。
図4】検査対象基板20における他のコンデンサ21および接続用パターン22a,22b,23とプローブ4a〜4cとの接続態様について説明するための説明図である。
図5図4に示す状態の検査対象基板20を対象とする各測定処理の測定結果と、コンデンサ21の未実装が生じているか否かとの関係について説明するための説明図である。
図6】検査対象基板20におけるさらに他のコンデンサ21、接続用パターン22a,22b,23および導体パターン24とプローブ4a,4b,4dとの接続態様について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る基板検査装置および基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示す基板検査装置1は、「基板検査装置」の一例であって、基板保持部2、移動機構3a〜3c、プローブ4a〜4c、スイッチ5a,5b、測定部6、操作部7、表示部8、制御部9および記憶部10を備え、後述する「基板検査方法」に従って検査対象基板20を電気的に検査可能に構成されている。
【0018】
この場合、検査対象基板20は、「検査対象基板」の一例である多層基板であって、一例として、コンデンサ21a〜21cの3つ(以下、区別しないときには「コンデンサ21」ともいう)が内蔵されている。なお、図1、および後に参照する図2,4,6では、コンデンサ21以外の電子部品(実装部品)についての図示を省略している。また、コンデンサ21は、「積層コンデンサ」の一例であって、図2,4に示すように、一対の外部電極31a,31b(「一方の外部電極」および「他方の外部電極」の一例)と、外部電極31aに接続された複数の内部電極32aと、外部電極31bに接続された複数の内部電極32bとを備えて構成されている。
【0019】
さらに、本例の検査対象基板20では、図1に示すように、一例として、コンデンサ21aの外部電極31aが接続用パターン22aに単独で接続されると共に、コンデンサ21b,21cの外部電極31aが接続用パターン22bに共通的に接続され、かつ各コンデンサ21a〜21cの各外部電極31bが接続用パターン23に共通的に接続されている(コンデンサ21b,21cの両外部電極31aが接続用パターン22bを介して相互に接続され、かつ、コンデンサ21a〜21cの各外部電極31bが接続用パターン23を介して相互に接続されている例)。この場合、本例では、接続用パターン22a,22b(以下、区別しないときには「接続用パターン22」ともいう)が「第1接続用パターン」に相当すると共に、接続用パターン23が「第2接続用パターン」に相当する。
【0020】
一方、基板保持部2は、検査対象基板20を保持可能に構成されている。移動機構3a,3bは、制御部9からの制御信号S1a,S1bに従い、基板保持部2によって保持されている検査対象基板20に向けてプローブ4a,4bを移動させることで、プローブ4a,4bを接続用パターン22,23にそれぞれプロービングさせる。移動機構3cは、「移動機構」の一例であって、制御部9からの制御信号S1cに従い、基板保持部2によって保持されている検査対象基板20に向けてプローブ4cを移動させて検査対象基板20の表面にプローブ4cを当接させることにより、検査対象基板20に内蔵されているコンデンサ21の内部電極32a,32bにプローブ4cを対向配置させる。
【0021】
この場合、プローブ4cは、「導体」としての「電極」の一例であって、本例の基板検査装置1では、その電極面(底面)が1つのコンデンサ21と同程度の柱状の(一例として、円柱状の)金属によってプローブ4cが構成されている。また、プローブ4cは、測定部6の電流測定ポート6bに接続されると共に、測定部6の電流測定回路を介してグランド電位(G電位:「基準電位」の一例)に接続されている。したがって、この基板検査装置1では、測定部6の電流測定ポート6bに接続されているプローブ4cがG電位(基準電位)と同じ電位のL電位となる構成が採用されている。
【0022】
スイッチ5aは、制御部9からの制御信号S2aに従い、プローブ4aに接続されている接点aを、グランド電位(G電位)に接続されている接点b、および測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続されている接点cのいずれかに接続することにより、プローブ4aが接続されている接続用パターン22をG電位および測定用信号出力ポート6aのいずれかに接続する(「交流信号」を印加する「導体と第1接続用パターンとの他方」が「第1接続用パターン」である構成の一例)。
【0023】
スイッチ5bは、制御部9からの制御信号S2bに従い、プローブ4bに接続されている接点aを、グランド電位(G電位)に接続されている接点b、および測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続されている接点cのいずれかに接続することにより、プローブ4bが接続されている接続用パターン23をG電位および測定用信号出力ポート6aのいずれかに接続する(「交流信号」を印加する「導体と第2接続用パターンとの他方」が「第2接続用パターン」である構成の一例)。
【0024】
測定部6は、制御部9からの制御信号S3に従い、「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行し、その測定結果を測定結果データD1として制御部9に出力する。具体的には、測定部6は、スイッチ5a,5bによってプローブ4a,4bのいずれかが接続される測定用信号出力ポート6aと、プローブ4cが接続された電流測定ポート6bとを備えると共に、測定用信号出力ポート6aに接続された測定用信号出力部(図示せず)と、電流測定ポート6bに接続された電流測定回路(図示せず)とを備えて構成されている。
【0025】
この測定部6は、後述するように、制御部9の制御に従って測定用信号出力ポート6aから測定用信号(「交流信号」の一例)を出力しつつ、電流測定ポート6bに流れ込む電流の電流値を電流測定回路によって測定し、測定用信号出力ポート6aから出力した測定用信号の電圧値と、電流測定回路によって測定した電流値と、測定した電流および測定用信号の位相差とに基づき、プローブ4cが対向させられているコンデンサ21の内部電極32a(または内部電極32b)とプローブ4cとの間に形成されている容量成分の静電容量(「他方からいずれか一方に流れる電流に応じて変化する電気的パラメータ」の一例)を測定して測定結果データD1を出力する。なお、上記の各「測定処理」については、後に詳細に説明する。
【0026】
操作部7は、基板検査装置1の動作条件(検査条件)を設定するための各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部9に出力する。表示部8は、制御部9の制御に従い、基板検査装置1の動作条件(検査条件)を設定するための動作条件設定画面や、検査対象基板20についての検査結果を報知する検査結果報知画面などの各種表示画面(いずれも図示せず)を表示する。
【0027】
制御部9は、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部9は、「処理部」に相当し、移動機構3a,3bに制御信号S1a,S1bを出力してプローブ4a,4bを接続用パターン22,23に接続させる(プロービングさせる)。また、制御部9は、移動機構3cに制御信号S1cを出力してプローブ4cを検査対象のコンデンサ21における内部電極32a,32bに対向させる。さらに、制御部9は、スイッチ5a,5bに制御信号S2a,S2bを出力してプローブ4a,4bをG電位およびH電位(測定部6の測定用信号出力ポート6a)のいずれかに接続させる。
【0028】
また、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力して上記の各「測定処理」を実行させる。この場合、本例の基板検査装置1では、一例として、「第1測定処理」および「第2測定処理」の順で両測定処理を実行させる構成が採用されている。さらに、制御部9は、測定部6から出力される測定結果データD1を記憶部10に記憶させると共に、この測定結果データD1と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき、検査対象基板20にコンデンサ21の未実装が生じているか否かを判別し、その判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。なお、未実装が生じているか否かの具体的な判別方法については、後に詳細に説明する。
【0029】
記憶部10は、上記の検査用データD0、測定結果データD1および検査結果データD2などを記憶する。この場合、検査用データD0は、検査対象基板20についての検査手順を特定可能な「検査手順データ」と、検査対象基板20にコンデンサ21の未実装が生じているか否かを判別するための「検査用基準データ」とが記録されて構成されている。
【0030】
具体的には、検査用データD0には、制御部9が移動機構3a,3bを制御してプローブ4a,4bをプロービングさせるべき位置、およびその移動タイミングと、制御部9が移動機構3cを制御してプローブ4cをプロービングさせるべき位置、およびその移動タイミングと、制御部9がスイッチ5a,5bを制御してプローブ4a,4bを接続すべき電位、およびその切替えタイミングと、制御部9が測定部6を制御して各「測定処理」を実行させるべき順序およびそのタイミングとが「検査手順データ」として記録されている。また、検査用データD0には、測定部6によって実行される各「測定処理」の結果(測定結果データD1の値)の相異量と、コンデンサ21の実装状態(内蔵されている状態、および未実装の状態)との関係を特定可能な情報が「検査用基準データ」として記録されている。
【0031】
この基板検査装置1による検査対象基板20の検査に際しては、まず、検査対象基板20を基板保持部2に保持させる。次いで、操作部7の図示しないスタートスイッチが操作されたときに、制御部9が検査対象基板20についての検査処理を開始する。なお、検査対象基板20の実際の検査に際しては、各コンデンサ21以外の各種電子部品や接続用パターンについても検査されるが、「基板検査装置」および「基板検査方法」についての理解を容易とするために、コンデンサ21の未実装が生じているか否かの検査以外の検査項目についての説明を省略する。この際に、制御部9は、一例として、検査用データD0に従って移動機構3a,3bに制御信号S1a,S1bを出力することにより、図2に示すように、基板保持部2によって保持されている検査対象基板20の接続用パターン22aにプローブ4aをプロービングさせ、かつ接続用パターン23にプローブ4bをプロービングさせる。
【0032】
次いで、制御部9は、検査用データD0に従って移動機構3cに制御信号S1cを出力することにより、検査対象基板20におけるコンデンサ21aの実装部位の表面にプローブ4cをプロービングさせる。この際には、同図に示すように、プローブ4cを検査対象基板20の表面に当接させるようにしてプロービングすることにより、検査対象基板20に内蔵されているコンデンサ21aと検査対象基板20の表面との間に存在する基材によって、コンデンサ21aの各内部電極32a,32bとプローブ4cの電極面(底面)との間に非導電体からなる隙間が生じた状態(各内部電極32a,32bに対してプローブ4cが接することなく対向させられて容量成分が形成された状態)となる。
【0033】
続いて、制御部9は、スイッチ5aに制御信号S2aを出力することにより、プローブ4aに接続されている接点aを測定部6の測定用信号出力ポート6aに接続されている接点cに接続させることでプローブ4aを測定用信号出力ポート6a(測定用信号の出力時にH電位となるポート)に接続させる(「導体と第1接続用パターンとの他方」が「第1接続用パターン」としての接続用パターン22a(プローブ4aがプロービングされている接続用パターン)である例)。また、制御部9は、スイッチ5bに制御信号S2bを出力することにより、プローブ4bに接続されている接点aをG電位に接続されている接点bに接続させることでプローブ4bをG電位に接続させる(プローブ4bがプロービングされている「第2接続用パターン」としての接続用パターン23を「基準電位」としてのG電位に接続する処理の一例)。
【0034】
なお、本例の基板検査装置1では、プローブ4cが測定部6の電流測定ポート6b(測定用信号の出力時にG電位と同電位となるように制御されるL電位のポート)に常時接続された状態となっている(「導体と第1接続用パターンとのいずれか一方」が「導体」としてのプローブ4cであり、このプローブ4cが「基準電位」としてのG電位と同電位のL電位に接続されている構成の例)。
【0035】
次いで、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力することにより、「第1測定処理」を開始させる。この際に、測定部6は、測定用信号出力ポート6aから測定用信号としての交流信号を出力すると共に、電流測定ポート6bから流れ込む電流の電流値を測定する。また、測定部6は、測定した電流値と、測定用信号出力ポート6aから出力されている測定用信号の電圧値と、測定した電流および測定用信号の位相差とに基づき、プローブ4cが対向させられているコンデンサ21aの内部電極32aとプローブ4cとの間に形成されている容量成分の静電容量を測定して測定結果データD1として制御部9に出力する(「第1接続用パターン」としての接続用パターン22aに測定用信号(交流信号)を印加した状態において、接続用パターン22a、外部電極31a、内部電極32a、および内部電極32aとプローブ4cとの間の容量成分を介して「導体」としてのプローブ4cに流れる電流に応じて変化する電気的パラメータ(静電容量)を測定する処理の一例)。これに応じて、制御部9は、測定部6から出力された測定結果データD1を「第1測定処理」の測定結果として記憶部10に記憶させる。
【0036】
この際に、検査対象基板20にコンデンサ21aが正常に実装されているとき(未実装が生じていないとき)には、プローブ4b、接続用パターン23および外部電極31bを介して各内部電極32bがG電位(すなわち、プローブ4cが接続されているL電位としての電流測定ポート6bと同電位)となる。このため、コンデンサ21aが正常に実装されているときには、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、プローブ4a、接続用パターン22a、外部電極31a、各内部電極32a、および内部電極32a,32bの間の容量成分を介して測定部6から各内部電極32bに電流が流れ、この電流が外部電極31b、接続用パターン23およびプローブ4bを介してG電位に流れることとなる。
【0037】
したがって、コンデンサ21aが正常に実装されているときには、内部電極32aおよびプローブ4c間の容量成分を介して内部電極32aからプローブ4cに電流が殆ど流れないため、測定部6によって実質的には「0mA」の電流値が測定されることとなる。この結果、図3に示すように、測定部6によって「0pF」との静電容量が測定されて測定結果データD1として出力される。なお、コンデンサ21aの大きさ(内部電極32a,32bの面積)や、コンデンサ21aとプローブ4cとの離間距離(すなわち、コンデンサ21aとプローブ4cとの間に形成される容量成分の大きさ)によっては、各内部電極32aからプローブ4cに極く僅かな電流が流れ込まみ、これにより、極く小さな静電容量が測定されることもあるが、以下、この極く小さな静電容量(実質的には「0pF」の静電容量)については「0pF」として説明する。
【0038】
一方、コンデンサ21aの未実装が生じているとき(プローブ4cの下方に外部電極31a,31bや各内部電極32a,32bが存在しないとき)には、プローブ4aが接続されている接続用パターン22aとプローブ4cとの間に、プローブ4bが接続されている導体(すなわち、L電位に接続される導体)が存在しない状態となる。したがって、コンデンサ21aの未実装が生じているときには、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、プローブ4a、接続用パターン22a、接続用パターン22aとプローブ4cとの間の容量成分、およびプローブ4cを介して測定部6からG電位に電流が流れ、測定部6によって「数mA」との電流値が測定されることとなる。このため、未実装が存在するときには、図3に示すように、測定部6によって「数pF」との静電容量が測定されて測定結果データD1として出力される。このように、この「第1測定処理」では、コンデンサ21aの実装の有無により、「0pF」または「数pF」の静電容量が測定される。以上により、「第1測定処理」が完了する。
【0039】
次いで、制御部9は、スイッチ5aに制御信号S2aを出力することにより、プローブ4aに接続されている接点aをG電位に接続されている接点bに接続させることでプローブ4aをG電位に接続させる(プローブ4aがプロービングされている「第1接続用パターン」としての接続用パターン22aを「基準電位」としてのG電位に接続する処理の一例)。また、制御部9は、スイッチ5bに制御信号S2bを出力することにより、プローブ4bに接続されている接点aを測定部6の測定用信号出力ポート6aに接続されている接点cに接続させることでプローブ4aを測定用信号出力ポート6a(H電位となるポート)に接続させる(「導体と第2接続用パターンとの他方」が「第2接続用パターン」としての接続用パターン23(プローブ4bがプロービングされている接続用パターン)である例)。
【0040】
続いて、制御部9は、測定部6に制御信号S3を出力することにより、「第2測定処理」を開始させる。この際に、測定部6は、測定用信号出力ポート6aから測定用信号としての交流信号を出力すると共に、電流測定ポート6bから流れ込む電流の電流値を測定する。また、測定部6は、測定した電流値と、測定用信号出力ポート6aから出力されている測定用信号の電圧値と、測定した電流および測定用信号の位相差とに基づき、プローブ4cが対向させられているコンデンサ21aの内部電極32aとプローブ4cとの間に形成されている容量成分の静電容量を測定して測定結果データD1として制御部9に出力する(「第2接続用パターン」としての接続用パターン23に測定用信号(交流信号)を印加した状態において、接続用パターン23から、外部電極31b、内部電極32b、および内部電極32bとプローブ4cとの間の容量成分を介して「導体」としてのプローブ4cに流れる電流に応じて変化する電気的パラメータ(静電容量)を測定する処理の一例)。これに応じて、制御部9は、測定部6から出力された測定結果データD1を「第2測定処理」の測定結果として記憶部10に記憶させる。
【0041】
この際に、図2に示す例では、内部電極32bおよびプローブ4cの間の容量成分を介して、内部電極32bからプローブ4cに電流が流れるのを阻害する要素(電極)が内部電極32bとプローブ4cとの間に存在しない状態となっている。したがって、コンデンサ21aが正常に実装されているときには、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、プローブ4b、接続用パターン23および外部電極31bを介して、各内部電極32bから、内部電極32bおよびプローブ4c間の容量成分を介してプローブ4cに電流が流れ、この電流が測定部6の電流測定ポート6bに流れ込むこととなる。したがって、測定部6によってある程度の大きな電流値が測定される結果、図3に示すように、測定部6によって「数pF」程度の静電容量が測定されて測定結果データD1として出力される。
【0042】
なお、この状態においては、内部電極32bとプローブ4cとの間の距離が接続用パターン22aとプローブ4cとの間の距離よりも短く、また、内部電極32bの面積が接続用パターン22aの面積よりも広いことから、内部電極32bとプローブ4cとの間に形成される容量成分が、コンデンサ21aが未実装の状態において上記の「第1測定処理」時に接続用パターン22aとプローブ4cとの間に形成される容量成分よりも大きくなっている。したがって、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、各内部電極32bからプローブ4cに流れる電流の電流値は、未実装が生じている状態において上記の「第1測定処理」時に接続用パターン22aからプローブ4cに流れる電流の電流値よりも大きな値となるため、測定部6によって測定される「数pF」との静電容量値は、未実装が生じているときの上記の「第1測定処理」時に測定される「数pF」との静電容量値よりも大きな値となる。
【0043】
一方、コンデンサ21aの未実装が生じているとき(プローブ4cの下方に外部電極31a,31bや各内部電極32a,32bが存在しないとき)には、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、プローブ4b、接続用パターン23、接続用パターン23とプローブ4cとの間の容量成分、およびプローブ4cを介して測定部6からG電位に電流が流れ、測定部6によって「数mA」との電流値が測定されることとなる。このため、未実装が存在するときには、図3に示すように、測定部6によって「数pF」との静電容量が測定されて測定結果データD1として出力される。
【0044】
なお、この状態においては、接続用パターン23とプローブ4cとの間の距離が内部電極32bとプローブ4cとの間の距離よりも短く、また、接続用パターン23の面積が内部電極32bの面積よりも広いことから、接続用パターン23とプローブ4cとの間に形成される容量成分が、コンデンサ21aが実装されている状態において上記のように内部電極32bとプローブ4cとの間に形成される容量成分よりも小さくなっている。したがって、測定部6の測定用信号出力ポート6aから測定用信号が出力された際に、接続用パターン23からプローブ4cに流れる電流の電流値は、コンデンサ21aが実装されている状態において上記のように内部電極32bからプローブ4cに流れる電流の電流値よりも小さな値となるため、測定部6によって測定される「数pF」との静電容量値は、コンデンサ21aが実装されているときの上記の例における「数pF」との静電容量値よりも小さな値となる。このように、この「第2測定処理」では、コンデンサ21aが実装されている状態の方が、未実装が生じている状態よりも大きな値であるものの、いずれの状態においても「数pF」との静電容量が測定される。以上により、「第2測定処理」が完了する。
【0045】
次いで、制御部9は、記憶部10に記憶させた各「測定処理」についての測定結果データD1に基づき、上記の「第1測定処理」の測定結果(静電容量値)と「第2測定処理」の測定結果(静電容量値)との相異量を演算すると共に、その演算結果と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき、コンデンサ21aが正常に実装されているか、未実装が生じているかを判別して判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
【0046】
具体的には、図3に示すように、コンデンサ21aが正常に実装されているとき(未実装が生じていないとき)には、「第1測定処理」において「0pF」との静電容量が測定され、「第2測定処理」において「数pF」との静電容量が測定される。したがって、制御部9は、「第1測定処理」の測定結果と「第2測定処理」の測定結果との相異量が、検査用データD0に記録されている基準容量(「予め規定された量」の一例)以上であると判別し、これに基づいて、コンデンサ21aが正常に実装されていると判定し、判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
【0047】
この場合、一例として、上記のコンデンサ21aが2μFの静電容量を有する積層コンデンサの場合には、上記の「数pF」として「10pF」程度の静電容量が測定され、上記の「0pF」として「0.1pF」程度の静電容量が測定される。したがって、そのようなコンデンサ21aの検査に際しては、一例として、上記の「10pF」を基準として±50%(すなわち、5pF〜15pF)を「基準容量」として規定すればよい。
【0048】
また、コンデンサ21aの未実装が生じているときには、「第1測定処理」および「第2測定処理」の双方において「数pF」との静電容量が測定される。したがって、制御部9は、「第1測定処理」の測定結果と「第2測定処理」の測定結果との相異量(この例では「0pF」)が、検査用データD0に記録されている基準容量を下回っていると判別し、これに基づいて、コンデンサ21aの未実装が生じていると判定し、判別結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させる。
【0049】
この後、制御部9は、記憶部10に記憶させた検査結果データD2に基づく検査結果を表示部8に表示させて、コンデンサ21aが正常に実装されているか、未実装が生じているかの検査を終了する。続いて、制御部9は、コンデンサ21bが正常に実装されているか、未実装が生じているかの検査を開始する。具体的には、制御部9は、検査用データD0に従って移動機構3a,3bに制御信号S1a,S1bを出力することにより、接続用パターン23にプローブ4bをプロービングさせた状態を維持しつつ、図1に破線で示すように、検査対象基板20の接続用パターン22bにプローブ4aをプロービングさせる。
【0050】
次いで、制御部9は、検査用データD0に従って移動機構3cに制御信号S1cを出力することにより、図1に破線で示すように、検査対象基板20におけるコンデンサ21bの実装部位の表面にプローブ4cをプロービングさせる。この際には、プローブ4cを検査対象基板20の表面に当接させるようにしてプロービングすることにより、コンデンサ21bと検査対象基板20の表面との間に存在する基材によって、コンデンサ21bの各内部電極32a,32bとプローブ4cの電極面(底面)との間に非導電体からなる隙間が生じた状態(各内部電極32a,32bに対してプローブ4cが接することなく対向させられて容量成分が形成された状態)となる。
【0051】
この場合、前述したように、本例の基板検査装置1では、その電極面(底面)が1つのコンデンサ21と同程度の柱状となるようにプローブ4cが構成されている(1つのコンデンサ21における内部電極32a,32bに電極面を対向させたときに、その電極面が他のコンデンサ21の内部電極32a,32bとは対向しない構成)。したがって、上記のようにコンデンサ21bの実装部位の表面にプローブ4cをプロービングさせることにより、プローブ4cがコンデンサ21b(コンデンサ21bの内部電極32a,32b)だけと対向した状態となり、接続用パターン22bを介してコンデンサ21bの内部電極32aに接続されているコンデンサ21cの内部電極32aがプローブ4cとは対向しない状態となる。これにより、本例の基板検査装置1では、コンデンサ21b,21cの双方と対向するような大きな電極等を「導体」として使用する構成・方法とは異なり、コンデンサ21bについての検査時おける各「測定処理」に際して、コンデンサ21cの内部電極32aからプローブ4cに電流が流れ込んでコンデンサ21bについての検査結果に影響が及ぶ事態が回避される。
【0052】
次いで、制御部9は、スイッチ5a,5bによるプローブ4a,4bの接続の切り替えを実行しつつ、前述したコンデンサ21aについての2つの測定処理と同様の手順で「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行する。また、制御部9は、各測定処理についての測定結果データD1と、制御部9に記憶されている検査用データD0とに基づき、コンデンサ21bが正常に実装されているか、未実装が生じているかを判定し、その判定結果を検査結果データD2として記憶部10に記憶させると共に、判定結果を表示部8に表示させる。これにより、コンデンサ21bについての検査が終了する。この後、制御部9は、コンデンサ21cについても、上記のコンデンサ21a,21bと同様に検査を実行し、その結果を表示部8に表示させる。これにより、検査対象基板20を対象とする一連の検査が完了する。
【0053】
この場合、検査対象のコンデンサ21は、その外観から外部電極31a,31bを区別するのが困難となっている。したがって、上記の例では、図2に示すように、各内部電極32bのうちの1つが内部電極32aよりもプローブ4c寄りに位置するように実装されているが(内部電極32aよりも内部電極32bの近傍にプローブ4cが位置するようにプロービングした例)、図4に示すように、各内部電極32aのうちの1つが内部電極32bよりもプローブ4c寄りに位置するように実装された状態となっていること(内部電極32bよりも内部電極32aの近傍にプローブ4cが位置するようにプロービングすること)もある。なお、同図、および後に参照する図6において図2を参照して説明した要素と同様の機能を有する要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
この図4に示す実装状態のコンデンサ21の未実装が生じているか否かの検査に際しては、図2を参照しつつ説明した手順と同様の手順で「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行することにより、図5に示すように、コンデンサ21が正常に実装されているときには、「第1測定処理」において「数pF」との静電容量が測定され、かつ「第2測定処理」において「0pF」との静電容量が測定されると共に、コンデンサ21の未実装が生じているときには、「第1測定処理」および「第2測定処理」の双方において「数pF」との静電容量が測定される。したがって、制御部9は、記憶部10に記憶させた各「測定処理」の測定結果データD1に基づいて演算した測定結果の相異量と、記憶部10に記憶されている検査用データD0とに基づき、上記した例と同様にして、コンデンサ21の未実装が存在するか否かを検査し、その検査結果を表示部8に表示させる。
【0055】
一方、接続用パターン22に接続したプローブ4a、および接続用パターン23に接続したプローブ4bのいずれか一方を測定部6の測定用信号出力ポート6aに接続すると共に、プローブ4a,4bの他方をH電位、L電位およびG電位のいずれの電位にも接続しない状態においてプローブ4a,4bの一方(H電位)からプローブ4c(L電位)に流れる電流の電流値(または、その電流値に基づいて測定した静電容量値)に基づき、コンデンサ21の未実装が生じているか否かを判定する検査方法も考えられる。
【0056】
具体的には、一例として、プローブ4aを測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続した場合に、コンデンサ21が実装されているときには、接続用パターン22、外部電極31a、内部電極32a、および内部電極32aとプローブ4cとの間の容量成分を介してプローブ4aからプローブ4cに流れる電流値が測定され、コンデンサ21の未実装が生じているときには、接続用パターン22、および接続用パターン22とプローブ4cとの間の容量成分を介してプローブ4aからプローブ4cに流れる電流値が測定されることとなる。したがって、上記の例のように、コンデンサ21が未実装の状態において接続用パターン22とプローブ4cとの間に形成される容量成分が、コンデンサ21が実装されている状態において内部電極32aとプローブ4cとの間に形成される容量成分よりも小さいときには、コンデンサ21の実装の有無により、プローブ4aからプローブ4cに流れる電流の電流値が相異するため、コンデンサ21の未実装が生じているかを判定できる可能性がある。
【0057】
しかしながら、コンデンサ21が少容量であることに起因して内部電極32aとプローブ4cとの間に形成される容量成分が小さかったり、接続用パターン22がプローブ4cのプロービングポイントの極く近傍に位置するように形成されていることに起因して接続用パターン22とプローブ4cとの間に形成される容量成分が大きかったりした場合には、コンデンサ21が実装されている状態においてプローブ4aからプローブ4cに流れる電流の電流値と、コンデンサ21の未実装が生じている状態においてプローブ4aからプローブ4cに流れる電流の電流値との相異量が極く少量となることがある。このため、対象とするコンデンサ21の容量や、そのコンデンサ21に接続されている接続用パターン22,23の配置によっては、上記の検査方法によってこのコンデンサ21の実装の有無を正確に判定するのが困難となる。
【0058】
これに対して、本例の基板検査装置1による検査方法では、上記したように、コンデンサ21が正常に実装されているときには、「第1測定処理」と「第2測定処理」とで、H電位に接続される内部電極32a,32bのいずれか一方とプローブ4cとの間に、G電位に接続される内部電極32a,32bの他方が存在する状態と存在しない状態とが生じ、これに起因して、両測定処理の測定結果が大きく相異することとなるのに対し、コンデンサ21の未実装が生じているときには、「第1測定処理」と「第2測定処理」との双方において、H電位に接続される接続用パターン22,23のいずれか一方とプローブ4cとの間に、G電位に接続されるべき内部電極32a,32bが存在しない状態となり、これに起因して、両測定処理の測定結果が同程度となる。
【0059】
したがって、本例の基板検査装置1による検査方法では、仮にコンデンサ21が少容量であったり、接続用パターン22がプローブ4cのプロービングポイントの極く近傍に位置するように形成されていたりしたとしても、両測定処理の測定結果の相異量が基準容量以上であるか否かに基づき、コンデンサ21の実装の有無が正確に判定される。
【0060】
このように、この基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法によれば、「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行すると共に、両測定処理によって測定された「電気的パラメータ」(本例では、静電容量)の相異量が予め規定された量以上のときに、検査対象基板20にコンデンサ21が内蔵されていると判別し、「電気的パラメータ」の相異量が予め規定された量を下回っているときに、検査対象基板20にコンデンサ21の未実装が生じていると判別することにより、コンデンサ21が実装されているときには、「第1測定処理」および「第2測定処理」のいずれか一方において、内部電極32a,32bのうちの「基準電位(L電位)」に接続されている一方の存在によって内部電極32a,32bの他方とプローブ4cとの間の容量成分を介して電流が流れるのが阻害されて極く小さな値の測定結果が得られると共に、「第1測定処理」および「第2測定処理」の他方においては、上記の電流の流れを阻害する他の導体が存在しないことで大きな値の測定結果が得られるのに対し、コンデンサ21の未実装が生じているときには、「第1測定処理」および「第2測定処理」の双方において接続用パターン22(または、接続用パターン23)とプローブ4cとの間の容量成分を介して電流が流れるのを阻害する他の導体が存在しないことで同程度の測定結果が得られる。このため、エリアセンサカメラ等の撮像装置によって撮像することができない内蔵のコンデンサ21についても、両測定処理の測定結果の相異量に基づき、未実装が生じているか否かを確実に検査することができる。
【0061】
また、この基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法によれば、「導体」としての「電極」に相当するプローブ4cと、制御部9の制御に従って各内部電極32a,32bの電極面に対向する位置にプローブ4cを移動させる移動機構3cとを備えたことにより、複数のコンデンサ21が並設されている場合においても、各コンデンサ21毎に未実装が生じているか否かを確実に検査することができる。
【0062】
なお、「基板検査装置」の構成や「基板検査方法」の具体的手順については、上記の基板検査装置1の構成や基板検査装置1による基板検査方法の手順の例に限定されない。例えば、「電気的パラメータ」は、「静電容量」に限定されず、内部電極32a(または、内部電極32b)からプローブ4cに流れる電流の電流値そのものを「電気的パラメータ」として測定し、その相異量に基づいてコンデンサ21の未実装が生じているか否かを検査する構成・方法を採用することもできる。
【0063】
また、「導体」としての「電極」の一例であるプローブ4cを使用して各「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、「電極」は、柱状(プローブ状)に限定されず、板状や球状などの各種形状の「電極」(図示せず)を使用することができる。この場合、前述したプローブ4cと同様にして「電極」を1つの「コンデンサ」と同程度の大きさに形成することにより、上記の例におけるコンデンサ21b,21cのように外部電極31a,31bが相互に接続された状態で隣接している場合にも、それらの未実装等を個別に検査することができる。
【0064】
さらに、図6に示す検査対象基板20のように、コンデンサ21の各内部電極32a,32bの電極面を覆い、かつその電極面に対向配置された信号伝送用パターン、グランドパターンおよび電源パターンなどの導体パターン24が存在するときには、この導体パターン24を「導体」として使用して「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行する構成・方法を採用することができる。具体的には、導体パターン24を「導体」として使用する場合には、前述したプローブ4cに代えて、一例として、導体パターン24に接続されている接続用パターン24aにプロービングさせたプローブ4dを測定部6の電流測定ポート6bに接続する。これにより、接続用パターン24aを介してプローブ4dに接続される導体パターン24が、前述したプローブ4cと同様に機能する結果、プローブ4cを用いた上記の例と同様の測定結果を得ることができる。
【0065】
この場合、導体パターン24を「導体」として使用するこの例では、プローブ4aが、「第1プローブ」に相当し、プローブ4bが、「第2プローブ」に相当し、かつプローブ4dが「第3プローブ」に相当すると共に、移動機構3a,3b、およびプローブ4dを移動させる図示しない移動機構が「移動機構」に相当する。なお、「導体」として使用する「導体パターン」は、同図に示す導体パターン24のような「内層の導体パターン」に限定されず、検査対象基板の表面に形成された「導体パターン」(図示せず)を使用することもできる。
【0066】
このように、検査対象基板20におけるコンデンサ21に対向する位置に設けられた「導体パターン」(上記の例では、導体パターン24)を「導体」として使用して「第1測定処理」および「第2測定処理」を実行することにより、例えば、コンデンサ21が実装されている部位の表面に他の電子部品が実装されていたとしても、コンデンサ21の未実装が生じているか否かを確実に検査することができる。
【0067】
また、プローブ4a,4bを接続用パターン22,23にプロービングすることで接続用パターン22,23をH電位(測定用信号出力ポート6a)やG電位に接続する構成・方法を例に挙げて説明したが、例えば、接続用パターン22,23を外部装置に接続するための接続用コネクタ(図示せず)が存在する場合には、この接続用コネクタに図示しない信号ケーブルを接続することで接続用パターン22,23をH電位(測定用信号出力ポート6a)やG電位に接続する構成・方法を採用することができる。このような構成・方法を採用した場合においても、上記の基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法と同様の効果を奏することができる。
【0068】
さらに、移動機構3a,3bによってプローブ4a,4bを任意に移動させて接続用パターン22,23にプロービングさせた状態において各「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、接続用パターン22a,22b,23等の位置に応じて複数のプローブを植設したプローブユニット(検査用治具:図示せず)と検査対象基板20との少なくとも一方を他方に向けて移動させることで接続用パターン22a,22b,23等にプローブをそれぞれプロービングした状態において各「測定処理」を実行する構成・方法を採用することもできる。このような構成・方法を採用する場合には、各プローブのうちの任意のプローブをG電位やH電位(測定用信号出力ポート6a)に対して任意に接続するためのスキャナ(図示せず)をプローブユニットに接続すればよい。このような構成・方法を採用した場合においても、上記の基板検査装置1、および基板検査装置1による基板検査方法と同様の効果を奏することができる。
【0069】
また、プローブ4cを測定部6の電流測定ポート6b(L電位)に固定的に接続した状態において各「測定処理」を実行する構成・方法を例に挙げて説明したが、プローブ4cを測定部6の測定用信号出力ポート6a(H電位)に接続すると共に、プローブ4a,4bのいずれか一方を測定部6の電流測定ポート6b(L電位)に接続し、かつプローブ4a,4bの他方をG電位に対して接続することで、上記の「第1測定処理」および「第2測定処理」と同様の2つの測定処理を実行する構成・方法を採用することができる。さらに、「第1測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをH電位、G電位およびL電位にそれぞれ接続すると共に、「第2測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをG電位、L電位およびH電位にそれぞれ接続したり、「第1測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをL電位、G電位およびH電位にそれぞれ接続すると共に、「第2測定処理」においてプローブ4a,4b,4cをG電位、H電位およびL電位にそれぞれ接続したりする構成・方法を採用することもできる。
【0070】
また、「第1測定処理」および「第2測定処理」の実行順序は、上記の例に限定されず、「第2測定処理」および「第1測定処理」の順で両測定処理を実行することもできる。さらに、検査対象基板20の検査に際してコンデンサ21a〜21cのすべてについて未実装が生じているか否かを検査する例について説明したが、このような構成・方法に代えて、いずれかのコンデンサ21において未実装が生じていると判別した時点において、そのコンデンサ21が実装されている検査対象基板20を不良品として一連の検査を終了する構成・方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1 基板検査装置
3a〜3c 移動機構
4a〜4d プローブ
5a,5b スイッチ
6 測定部
6a 測定用信号出力ポート
6b 電流測定ポート
9 制御部
10 記憶部
20 検査対象基板
21a〜21c コンデンサ
22a,22b,23,24a 接続用パターン
24 導体パターン
31a,31b 外部電極
32a,32b 内部電極
D0 検査用データ
D1 測定結果データ
D2 検査結果データ
S1a〜S1c,S2a,S2b,S3 制御信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6