(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5975863
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】バッテリアダプタ
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20160809BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20160809BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20160809BHJP
H02J 9/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H01M10/48 P
H01M2/10 M
H02J9/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-274967(P2012-274967)
(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-121180(P2014-121180A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】奥備 景介
【審査官】
稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−253588(JP,A)
【文献】
特開平09−215112(JP,A)
【文献】
特開平06−113471(JP,A)
【文献】
特開平09−330741(JP,A)
【文献】
特開2000−324706(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3104747(JP,U)
【文献】
特開平11−191437(JP,A)
【文献】
特開2012−191806(JP,A)
【文献】
特開平9−172744(JP,A)
【文献】
特開平9−298850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
H01M 2/10
H02J 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電時に用いるガス機器用の緊急時用電源として用いるバッテリアダプタであって、
バッテリの種類毎に用意された端子台と、この端子台が装着されるアダプタ本体を備え、かつ
前記端子台は、特定種類のバッテリと通電連結するバッテリ中継入力端子と、前記バッテリ中継入力端子と接続しているバッテリ中継出力端子と、前記特定種類のバッテリを識別するための識別体とを備え、
前記アダプタ本体は、複数の前記端子台が装着可能であり、
前記アダプタ本体は、前記バッテリ中継出力端子と接続可能なバッテリ入力端子と、前記識別体から前記バッテリの種類を識別するためのバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部と、ガス機器用の電力を出力するユーザ利用電力出力端子と、前記バッテリ入力端子から入力された直流電力をユーザ利用電力に変換して前記ユーザ利用電力出力端子に送る電力変換部と、前記バッテリ情報と前記バッテリ入力端子から入力された直流電力とに基づいて前記バッテリの状態を評価するバッテリ評価部とを備えているバッテリアダプタ。
【請求項2】
前記端子台に形成された装着部を着脱自在に装着する被装着部が前記アダプタ本体に備えられ、前記装着部にバッテリ中継出力端子が設けられるとともに前記被装着部に前記バッテリ入力端子が設けられ、前記端子台の前記アダプタ本体への装着時にバッテリ中継出力端子と前記バッテリ入力端子とが接続される請求項1に記載のバッテリアダプタ。
【請求項3】
前記識別体は前記装着部に形成された、前記バッテリの種別をコード化した形状を有する幾何形状部である請求項2に記載のバッテリアダプタ。
【請求項4】
前記幾何形状部は1つ以上の突起からなり、前記バッテリ情報取得部は前記端子台の装着時に前記突起によって操作される1つ以上のスイッチを含む請求項3に記載のバッテリアダプタ。
【請求項5】
前記識別体は前記バッテリ情報を記録した光学的または磁気的に読み取り可能なタグあるいはICタグである請求項1に記載のバッテリアダプタ。
【請求項6】
前記バッテリ評価部には、前記バッテリ入力端子から入力された直流電圧に基づいて前記バッテリの放電を停止する過放電制御部が含まれている請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリアダプタ。
【請求項7】
前記電力変換部は、インバータ回路またはコンバータ回路あるいはその両方である請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを電源として所望の電力に変換して外部機器に給電するバッテリアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内において外部から持ち込んだ電気機器を動作させるために車両に搭載されたバッテリを利用することは以前から知られている。例えば、特許文献1には、自動車のシガーライタソケットに差し込むことによってバッテリから電力を取り出すプラグ部と、取り出されたバッテリ電力を100Vの交流電力に変換する直流・交流変換回路部と、この交流電力をユーザ利用電力として供給する交流コンセントとからなる車載用直流・交流変換装置(バッテリアダプタ)が開示されている。このようなバッテリアダプタは車内で用いられる電気機器には好都合であるが、自動車から遠く離れた場所での利用には不都合である。従って、停電などの緊急時に、自動車から離れた場所などで電力を必要とする機器を使用する場合には、もっと身近にあるバッテリ、例えば電動自転車用バッテリや電動工具用バッテリ、やや容量は少ないがパソコン用バッテリを、効果的に利用できるバッテリアダプタが必要となる。
【0003】
上記のような各家庭に備えられているバッテリは、自動車用バッテリに較べて容量が少ないだけでなく、その出力端子の形状や配置が異なっている。さらには、バッテリ種類も、鉛酸、ニッカド、ニッケル水素、リチウムイオンと様々である。また、バッテリの利用にあたっては、バッテリに大きな負担を与えることになる過放電を避けなければならないという別な問題もある。リチウムイオンバッテリでは、バッテリ本体に過放電防止回路が内蔵されているのが一般的であるのに対して、その他のバッテリでは通常過放電防止回路が内蔵されていないので過放電にならないように監視する必要がある。また、長時間の停電時には、単一のバッテリの容量が限られていることから、複数の異なるバッテリを順番に使用しなければならない。しかしながら、上述したようにバッテリ種類がまちまちであるとともに、同種のバッテリであっても、その出力端子の形状や配置が異なることから、複数の異なるバッテリの利用には大きな負担がともなう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−69843号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、異なる種類のバッテリを用いて必要な電力を供給することができるバッテリアダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によるバッテリアダプタは、バッテリの種類毎に用意された端子台と、この端子台が装着されるアダプタ本体を備えている。前記端子台は、特定種類のバッテリと通電連結するバッテリ中継入力端子と、前記バッテリ中継入力端子と接続しているバッテリ中継出力端子と、前記特定のバッテリを識別するための識別体と備えている。前記アダプタ本体は、前記バッテリ中継出力端子と接続可能なバッテリ入力端子と、前記識別体から前記バッテリの種類を識別するためのバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部と、ユーザ利用電力出力端子と、前記バッテリ入力端子から入力された直流電力をユーザ利用電力に変換して前記ユーザ利用電力出力端子に送る電力変換部と、前記バッテリ情報と前記バッテリ入力端子から入力された直流電圧とに基づいて前記バッテリの状態を評価するバッテリ評価部とを備えている。
【0007】
このバッテリアダプタは、異なる種類のバッテリ毎に用意された端子台を付属部材として備えている。個別の端子台は、当該端子台に適用する特定種類のバッテリと通電連結するバッテリ中継入力端子とこのバッテリ中継入力端子に接続しているバッテリ中継出力端子を備えている。バッテリアダプタの各端子台は、バッテリアダプタのアダプタ本体側に装着される。その際、端子台側のバッテリ中継出力端子はアダプタ本体側のバッテリ入力端子と接続されるので、バッテリから出力される直流電力はバッテリ中継入力端子を経てバッテリ中継出力端子に供給される。バッテリ中継出力端子に供給された直流電力は、仕様によって決められているユーザ利用電力に変換され、ユーザ利用電力出力端子から取り出し可能となる。さらに、連結されたバッテリを識別するために端子台に設けられた識別体からバッテリ情報取得部が当該バッテリのバッテリ情報を取得する。バッテリ評価部は、給電中のバッテリの状態を、バッテリの直流電力に基づいて評価するが、その際評価すべきバッテリの種類等のバッテリ情報をバッテリ情報取得部から得られるので、使用しているバッテリに適した評価が可能となる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によるバッテリアダプタは、
停電時に用いるガス機器用の緊急時用電源として用いるバッテリアダプタであって、バッテリの種類毎に用意された端子台と、この端子台が装着されるアダプタ本体を備えている。前記端子台は、特定種類のバッテリと通電連結するバッテリ中継入力端子と、前記バッテリ中継入力端子と接続しているバッテリ中継出力端子と、前記特定
種類のバッテリを識別するための識別体と
を備えている。
前記アダプタ本体は、複数の前記端子台が装着可能であり、前記アダプタ本体は、前記バッテリ中継出力端子と接続可能なバッテリ入力端子と、前記識別体から前記バッテリの種類を識別するためのバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部と、
ガス機器用の電力を出力するユーザ利用電力出力端子と、前記バッテリ入力端子から入力された直流電力をユーザ利用電力に変換して前記ユーザ利用電力出力端子に送る電力変換部と、前記バッテリ情報と前記バッテリ入力端子から入力された直流電圧とに基づいて前記バッテリの状態を評価するバッテリ評価部とを備えている。
【0009】
バッテリ情報は利用するバッテリの種別や内蔵された機能をバッテリアダプタのアダプタ本体に認識させために用いられるが、取り扱うバッテリの種類をある程度限定することができる場合、取り扱うバッテリの種別を部材の幾何形状的なパターンで表すことができる。このことから、前記識別体の好適な実施形態の1つは、前記装着部に形成された、前記バッテリの種別をコード化した形状を有する幾何形状部である。幾何形状部の具体例として、前記幾何形状部は1つ以上の突起から構成することができる。その際、そのような突起は、前記端子台の装着時に機械的にスイッチを操作することができるので、前記バッテリ情報取得部は前記突起によって操作される1つ以上のスイッチを備えることで、装着された端子台に連結されているバッテリの種類を認識することができる。
【0010】
取り扱うバッテリの種類が多い場合や、バッテリ情報にバッテリ種別だけでなくバッテリ電圧や過放電時電圧などの情報も含ませる場合、前記識別体は前記バッテリ情報を記録した光学的または磁気的に読み取り可能なタグあるいはICタグで構成することが好ましい。
【0011】
リチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリ、ニッカドバッテリには、通常、過放電防止機能が内蔵されており、過放電電圧が検出されると放電を停止されるが、鉛酸バッテリなどではそのような過放電検出機能が内蔵されていないものがほとんどである。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記バッテリ評価部には、前記バッテリ入力端子から入力された直流電圧に基づいて前記バッテリの放電を停止する過放電制御部が含まれている。これにより、過放電防止機能が内蔵されていないバッテリであっても、過放電制御部が過放電を防止するので、他の機器に使用されているバッテリや借りてきたバッテリを安心して利用することができる。
【0012】
停電時に家庭で最も必要となる電源はAC電源であることから、前記電力変換部が、インバータ回路として構成されることが好ましい。ただし、災害時には、携帯電話などの充電も重要となるので、バッテリ電圧を携帯電話に適した充電電圧に調整するようなコンバート回路も重要である。このため電力変換部には、インバータ回路とコンバート回路を両方備えて、ユーザ利用電力出力端子を、AC及びDCのいずれかを選択的に、あるいは両方が給電されるように構成することが最適である。しかしながら、コスト的な負担を考慮して、どちらか一方だけに限定することも本発明では除外されていない。また、前記電力変換部が選択可能な複数のインバータ回路または複数のコンバート回路あるいはその両方を備えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるバッテリアダプタの基本構成を説明する模式図である。
【
図2】本発明の
参考形態の1つであるバッテリアダプタの斜視図である。
【
図3】アダプタ本体に装着される端子台を示す斜視図である。
【
図5】アダプタ本体に内蔵されている給電システムの機能ブロック図である。
【
図6】識別体としてバーコード又はICタグを用いた別実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、
図1を用いて本発明によるバッテリアダプタの基本構成を説明する。このため、
図1におけるバッテリアダプタを構成する構成要素の形状等は、概念的に図示されている。バッテリアダプタは、端子台2とアダプタ本体3とから構成されている。端子台2は、バッテリ1の種類毎に用意されている。各端子台2には、割り当てられるバッテリ1のバッテリ端子10の形状や配置に適合するバッテリ中継入力端子21が設けられている。例えば、タイプAのバッテリ(例えばリチウムイオンバッテリ)1aに割り当てられた端子台2は、このバッテリ1aのバッテリ端子10に適合するバッテリ中継入力端子21を備えており、バッテリ1aを端子台2に取り付けることで、バッテリ端子10とバッテリ中継入力端子21とが容易に連結することができる。その際、バッテリ1aの端子台2への取り付けにともなって、バッテリ端子10とバッテリ中継入力端子21とが自動的に通電連結されることが好ましい。
図1では、同様に、タイプBのバッテリ(例えばニッケル水素バッテリ)1bに対応する端子台2、タイプCのバッテリ(例えば鉛酸バッテリ)1cに対応する端子台2も用意されている。また、同じリチウムイオンバッテリであってもバッテリ端子10の形状や配置やバッテリ電圧仕様等が異なるものに対しても別個の端子台2が用意される。なお、以後、特別に種類を区別する必要がある以外では、単にバッテリ1と記述する。
【0015】
種類毎に用意されている端子台2は、バッテリ中継入力端子21に接続している共通仕様のバッテリ中継出力端子22及び装着部24を備えている。バッテリ中継出力端子22と装着部24は、全ての端子台2において同一形状である。アダプタ本体3には、この装着部24に対応する装着形状を有する被装着部34が設けられているので、全ての端子台2は単一のアダプタ本体3に装着可能である。なお、
図1では、端子台2の一方の端部領域が装着部24として機能し、被装着部34はこの装着部24を嵌入させるためにアダプタ本体3に形成された凹部である。アダプタ本体3には、バッテリ中継出力端子22と接続する形状を有するバッテリ入力端子31が設けられているので、アダプタ本体3は全ての端子台2のバッテリ中継出力端子22とバッテリ入力端子31とは接続可能である。被装着部34に装着部24を装着することで、機械的にバッテリ中継出力端子22とバッテリ入力端子31とが接続するような構成を採用すると好都合である。例えば、これは、装着部24を凸部として形成するとともに被装着部34をその凸部に対応する凹部として形成した場合、その凸部の周囲にバッテリ中継出力端子22を設けて、その凹部の周囲にバッテリ入力端子31を設けることにより、実現可能である。
【0016】
さらに端子台2には、種類の異なるバッテリ1を識別するための識別体8が備えられている。この識別体8によって、端子台2に取り付けられているバッテリ1が特定のタイプ(例えばタイプA)であることをアダプタ本体3側が検知することができる。つまり、識別体8は、バッテリ1を識別するためのバッテリ情報を与える機能を有する。識別体8としては種々なものを採用することができるので、ここでは、具体的な形状を示すのではなく、識別体8を上位概念で表すために模式的に示している。識別体8の具体的で簡単な構成としては、コード化したバッテリ情報を突起(又は欠落部や孔)の有無で与える構成が挙げられる。そのような構成では、アダプタ本体3に備えられるバッテリ情報を取得するバッテリ情報取得部5は、この突起の有無によってON・OFF操作されるスイッチの信号処理機能部で構築できる。もちろん、そのようなスイッチに代えて光学センサまたは磁気センサを用いて光学的または磁気的に突起の有無を検知してもよい。さらには、識別体8をバーコードシールとし、バッテリ情報取得部5をバーコードリーダで構成してもよい。識別体8の配置場所に制限を与えたくない場合には、識別体をICタグとし、バッテリ情報取得部5をICタグリーダとして、無線でバッテリ情報を取得する構成を採用しても良い。
【0017】
アダプタ本体3には、外部電気機器に給電するための端子またはサービスコンセントとして機能するユーザ利用電力出力端子32が外装されている。また、アダプタ本体3の中核機能として、バッテリ1からバッテリ入力端子31を通じて入力される直流電力を所定の電力に変換してユーザ利用電力出力端子32に出力する電力変換部4が備えられている。さらには、電力変換プロセスの間、バッテリ情報取得部5によって得られたバッテリ情報とバッテリ入力端子31を通じて入力されるバッテリ1の直流電力とに基づいて、装着された端子台2に取り付けられているバッテリ1の状態を評価するバッテリ評価部6が備えられている。バッテリ評価部6による評価内容は、バッテリ1の起電力、電圧変動や電流変動、などが挙げられる。バッテリ評価部6の特に好ましい形態は、バッテリ入力端子31から入力された直流電圧に基づいてバッテリ1の放電を停止する過放電制御部として機能することである。この過放電制御においては、バッテリ情報から当該バッテリ1の過放電電圧値を決定し、バッテリ入力端子31の直流電圧がこの過放電電圧値以下となった場合、バッテリ入力端子31からの電力が遮断される。バッテリ1の種類によって過放電電圧値は異なるが、バッテリ情報から利用しているバッテリ1の過放電電圧値が求められるようにすることで、確実な過放電防止が実現する。
【0018】
ユーザ利用電力出力端子32がACコンセントであれば、電力変換部4はインバータ回路を中核として構成される。また、ユーザ利用電力出力端子32がDC出力端子であれば、電力変換部4はDC−DCコンバータ回路を中核として構成される。もちろん、ユーザ利用電力出力端子32がACコンセントとDC出力端子の両方を備える構成であれば、電力変換部4はインバータ回路とDC−DCコンバータ回路とを備えることになる。
【0019】
次に、図面を用いて、本発明によるバッテリアダプタの具体的な
参考形態の1つを説明する。
図2はバッテリユニットの斜視図であり、(a)は準備中の状態を示し、(b)は給電動作中の状態を示している。このバッテリアダプタは、電動自転車用のバッテリ1を電源としてAC100Vを出力するように構成されており、アダプタ本体3と端子台2とを備えている。端子台2は、ここでは
図3で示すように、アダプタ本体3のハウジング30の側面に形成されている被装着部としての装着凹部34に、扁平直方体状の端子台2の一端に形成されている装着部24が差し込まれる。端子台2の装着部24とは反対側の端部に、取っ手25が形成されている。アダプタ本体3のハウジング30には、装着された端子台2にバッテリ1を案内するため及び端子台2に取り付けられたバッテリ1を保持するための保持枠体35が設けられている。
【0020】
図4にその一部が示されているように、電動自転車の各メーカから多くの種類の電動自転車用のバッテリ1が提供されている。例えば、
図4の(a)には、バッテリハウジングの下端に形成された嵌合部11の周壁に4つの接点からなるバッテリ端子10が設けられたバッテリ1aが示されている。この4つの接点のうち右側の2個が給電線につながっており、左側の2個が制御線につながっている。従って、このバッテリ1aを取り付けるための端子台2には、この嵌合部11に適合する嵌入凹部20が形成されている。さらに、
図3から理解できるように、嵌入凹部20には、嵌合部11がはめ込まれた際に、バッテリ端子10の右側の2個の接点と接触する接点からなるバッテリ中継入力端子21が設けられている。
【0021】
図4の(b)には、バッテリハウジングの下端に形成された嵌合部11の周壁に4つの接点からなるバッテリ端子10が設けられたバッテリ1bが示されている。この4つの接点のうち外側の2個が給電線につながっており、内側の2個は内部のサーミスタにつながっている。従って、このバッテリ1aを取り付けるための端子台1の嵌入凹部20には嵌合部11がはめ込まれた際に、バッテリ端子10の外側の2個の接点と接触する接点からなるバッテリ中継入力端子21が設けられている。なお、バッテリ中継入力端子21として内側の2個の接点と接触する接点を設け、当該接点から得られるサーミスタ信号をアダプタ本体3に送ることで、サーミスタ信号に基づくバッテリ温度の報知などを行なうことも可能である。
【0022】
図4の(c)には、バッテリハウジングの下端に形成された嵌合部11の底壁から突起した4つの平ピンからなるバッテリ端子10が設けられたバッテリ1cが示されている。この4つの接点のうち外側の2個は、結合補強のための補強ピン(ダミーピン)であり、内側の2個は給電線につながっている。従って、このバッテリ1aを取り付けるための端子台1の嵌入凹部20には嵌合部11がはめ込まれた際に、バッテリ端子10の4個の平ピンを受け入れるピン孔からなるバッテリ中継入力端子21が設けられおり、そのうちの内側の2個のピン孔に給電線用接点が設けられている。
【0023】
図4に例示したように、バッテリ1のバッテリ端子10は、種々の形態で配置されているので、各バッテリ1の嵌合部11に適合した嵌入凹部20とバッテリ端子10に適合したバッテリ中継入力端子21を備えた端子台2が用意されている。但し、端子台2は、複数種類のバッテリ1のための中継部材として機能するように、全ての端子台2において、その装着部24はアダプタ本体3の被装着部34の形状寸法に適合されている。
【0024】
図3に示すように、端子台2の装着部24は、アダプタ本体3の装着凹部34に差し込まれるが、この装着部24には、バッテリ中継入力端子21に接続しているバッテリ中継出力端子22が設けられている。バッテリ中継出力端子22は、アダプタ本体3にバッテリ電力を送り出す目的をもっているので、装着凹部34に差し込まれた際にバッテリ中継出力端子22と接触するような位置関係でバッテリ入力端子31が、装着凹部34の内周壁に設けられている。端子台2におけるバッテリ中継出力端子22の位置はすべての種類の端子台2に共通しているので、バッテリ入力端子31は、各種のバッテリ1のバッテリ電力を端子台2を介して受け取ることができる。
【0025】
さらに、端子台2の装着部24の底部には、上述した識別体8として機能することができる幾何形状体としての突起81が設けられている。この突起81の数とその位置は端子台2によって異なっている。ここでは、最大3つの突起81が設けられるように設計されているので、その突起81の有無で、いわゆる3ビットの情報を表すことができる。これは、最大8種類のバッテリ1を識別することができることを意味する。アダプタ本体3の装着凹部34には、この突起81に有無によるバッテリ情報を検知するために、突起81によってONまたはOFF操作される3つの種別検出スイッチ52が設けられている。この3つ種別検出スイッチ52が突起81の有無によって「000」から「111」までの8種類の信号を生成する。あらかじめ、この信号にバッテリ1の種類の割り当てておけば、利用するバッテリ1の種類を検知することができる。さらには、そのコードをテーブル化したマップを、用いることで、その定格起電力、過放電電圧などのバッテリ情報を得ることができる。
【0026】
図5には、アダプタ本体に内蔵されている給電システムの機能ブロック図が示されている。主な構成要素として、電力変換器4、バッテリ情報取得部5、バッテリ評価部6が備えられている。この
参考形態では、電力変換器4はインバータ回路41として構築されている。またバッテリ評価部6は、過放電を防止する過放電制御部61を構築している。
【0027】
バッテリ情報取得部5は、種別検出スイッチ52が接続されており、上述したバッテリ1の種類を表す識別信号が入力される。バッテリ情報取得部5は入力された識別信号に基づいて端子台2に載置されたバッテリ1の種類を検知し、過放電電圧や定格起電力をバッテリ評価部6に与えて、制御しきい値として設定する。過放電制御部61は、バッテリ入力端子31に接続された給電線36が接続されており、バッテリ入力端子31の電圧つまりバッテリ電圧を検出し、設定されている過放電電圧と比較する。検出されたバッテリ電圧が過放電電圧まで低下すると、過放電防止のために、給電線36に介装された遮断スイッチ61aを動作させ、給電線36を遮断する。バッテリ評価部6は報知デバイス7としてのランプやブザーを駆動する駆動回路を備えており、バッテリ電圧が過放電電圧まで低下すると、警告ランプや警報ブザーを通じて、バッテリ1の交換をユーザに促す。
【0028】
インバータ回路4は、よく知られているように直流を交流に変換する回路であり、ここでは詳しい説明は省略するが、給電線36を通じて入力されるバッテリ電圧を昇圧するとともにDC−AC変換を行うことで生成されたAC100Vをユーザ利用電力出力端子32の一形態であるACコンセント32aに出力する。ユーザは、使用したい交流電気機器のプラグをACコンセント32aに差し込むことにより、バッテリ1を電源として交流電気機器を使用することができる。例えば、災害等による停電時には、ガス供給は無事であったとしても、ガス給湯器やガス炊飯器がAC100Vを必要とする場合、ガス給湯器やガス炊飯器を動作させることができない。しかしながら、自宅や近所にある電動自転車用のバッテリ1を、そのバッテリ1に種類に適合する端子台2に取り付け、端子台2をアダプタ本体3に装着することで、電源確保が可能となり、給湯器やガス炊飯器を動作させることができる。
【0029】
〔
実施形態〕
(1)上述した参考形態では、1つのアダプタ本体3に1つの端子台2だけが装着可能な構成であったが、
本実施形態では、1つのアダプタ本体3に複数の端子台2が装着可能とし、複数のバッテリ1を電源として用い
る。
〔別実施の形態〕
(
1)ACコンセント32aとして、さらに異なる電圧のものを設けても良い。
(
2)電力変換部としてさらにDC−DCコンバータ回路を設けるともに、ユーザ利用電力出力端子32としてDC出力端子も設けてもよい。
(
3)
図6に示すように、識別体として、種別検出スイッチ52を操作する突起ではなく、バーコードシール82またはICタグ83を採用しても良い。その場合には、バッテリ情報取得部5は、バーコードリーダ54またはタグリーダ55として構築される。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、異なる種類のバッテリを用いて、所望の電力を出力するバッテリアダプタに適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 :バッテリ
10:バッテリ端子
2 :端子台
21:バッテリ中継入力端子
22:バッテリ中継出力端子
24:装着部
3 :アダプタ本体
30:ハウジング
31:バッテリ入力端子
32:ユーザ利用電力出力端子
32a:ACコンセント
32b:DC出力端子
34:被装着部
4 :電力変換部
41:インバータ回路
42:コンバータ回路
5 :バッテリ情報取得部
52:種別検出スイッチ
54:バーコードリーダ
55:タグリーダ
6 :バッテリ評価部
61:過放電制御部
62:バッテリ寿命判定部
8 :識別体
82:バーコードシール
83:ICタグ
81:突起(幾何形状部)