(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成は、機体を走行させながら収穫作業を行っている間は、作物貯留空間に収穫された作物を収納しておき、例えば、作物貯留空間に所定量の作物が貯留されると、底板を傾斜姿勢に切り換えて作物を機外に排出させることができる。
【0005】
しかし、上記したような従来の構成では、底板を傾斜姿勢に切り換えても、周壁部がそのまま固定状態で位置するので、傾斜姿勢の底板上を摺動させて移動させながら作物を排出させるようにしても、作物が周壁部に引っ掛かり円滑に排出させることができないおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、貯留している作物を円滑に排出させることが可能となる作物収穫機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作物収穫機の特徴構成は、機体の走行に伴って圃場から作物を引き抜いて機体後方に搬送することにより作物を収穫する収穫部と、前記収穫部にて収穫された作物を貯留する貯留部とが備えられ、
前記貯留部が、前記収穫部より搬送された前記作物を受止める底面部と、前記底面部における一側端箇所に備えられて前記作物を受止める側壁部とを備えて、作物貯留空間が形成され、
前記底面部が、前記収穫部より作物が搬入される搬入箇所が上方に位置し且つ前記一側端箇所ほど下方に位置する傾斜姿勢に形成され
、
前記底面部に、前記作物貯留空間に貯留される作物を前記一側端箇所に向けて横送り搬送する移送手段が備えられ、
前記貯留部は、機体フレームの機体横幅方向一端側箇所よりも横側外方に延びる状態で且つ前記底面部における機体横幅方向一端側箇所が前記機体フレームよりも下方側の低位置に位置する状態で設けられ、
前記側壁部が、前記底面部における機体横幅方向一端側箇所に備えられ、
前記側壁部が、前記作物を受け止める閉姿勢と、前記作物貯留空間に貯留される作物を前記底面部における傾斜下方側端部から機体外方に向けて放出する開放姿勢とに切り換え自在に構成されている点にある。
【0008】
本発明によれば、底面部及び閉姿勢である側壁部等により作物貯留空間が形成され、機体の走行に伴って収穫部にて収穫された作物は作物貯留空間に順次、貯留される。そして、底面部は、作物が搬入される搬入箇所が上方に位置し且つ側壁部が備えられる一側端箇所ほど下方に位置する傾斜姿勢であるから、作物は、作物貯留空間に貯留されるに伴って、底面部の傾斜姿勢による案内作用によって、一側端箇所に寄った状態で収納されることになる。特に、凹凸が多い圃場での収穫作業中は機体の走行に伴って機体が振動するので、その機体振動により傾斜姿勢による案内作用を受け易いものとなる。
【0009】
側壁部は、底面部の傾斜姿勢の下方側の端部に位置するので、閉姿勢に切り換えておくことで、底面部における傾斜による案内作用により傾斜下方側に案内されようとする作物が、側壁部にて受け止められて作物貯留空間に貯留される。
【0010】
そして、側壁部が開放姿勢に切り換えられると、底面部における傾斜による案内作用により、貯留している作物が機体外方に放出されるのである。このように作物が放出される際に、作物が引っ掛かるものがなく、作物は円滑に排出されることになる。
【0011】
従って、貯留している作物を円滑に排出させることが可能となる作物収穫機を提供できるに至った。
【0012】
【0013】
又、本発明によれば、貯留部の一側端箇所は、底面部における下方側に位置する箇所であって側壁部が備えられる箇所であり、貯留されている作物は、この箇所から機体外方に放出されることになる。そして、この貯留部の一側端箇所が機体フレームよりも下方側の低位置にあるので、地面までの距離が短いものとなり、放出される作物が地面に落下するときの衝撃が小さくなり、作物が損傷するおそれを少なくすることができる。
【0014】
【0015】
そして、底面部には移送手段が備えられており、作物貯留空間に貯留される作物は、移送手段により一側端箇所に向けて横送り搬送され、一側端箇所に寄った状態で収納されることになる。
【0016】
側壁部は、底面部の一側端箇所に位置するので、閉姿勢に切り換えておくことで、移送手段による送り作用により一側端箇所に向けて移送されようとする作物が、側壁部にて受け止められて作物貯留空間に貯留される。
【0017】
そして、側壁部が開放姿勢に切り換えられると、移送手段による送り作用により、貯留している作物が機体外方に放出されるのである。このように作物が放出される際に、作物が引っ掛かるものがなく、作物は円滑に排出されることになる。
【0018】
さらに、本発明によれば、貯留部における側壁部が、機体横幅方向一端部よりも横側外方に位置する状態で備えられることになり、貯留される作物を機体横幅方向一端部よりも横側外方側の地面に放出させることができる。
ところで、圃場に複数の列に沿って植え付けられた作物を収穫するとき、1つの作物列での収穫作業を行った後、順次隣接する作物列での収穫作業を行うことになる。
そして、本発明によれば、1つの作物列に沿って収穫作業を行うとき、作業中の作物列では、例えば、機体横幅方向における既作業領域側の外方箇所に作物を放出させるようにすると、次回の隣接条での収穫作業の際に、機体の走行装置を、放出されている作物から横幅方向に位置をずらした状態で走行させることができ、放出された作物を走行装置により傷つけることを回避し易いものにできる。
【0019】
本発明においては、前記貯留部に作物が所定量以上貯留されたことを検出する貯留検出手段が備えられ、
前記貯留検出手段が、前記収穫部より作物が搬入される搬入箇所と前記一側端箇所との間の中間位置に備えられていると好適である。
【0020】
本構成によれば、貯留検出手段により貯留部に作物が所定量以上貯留されたか否かを検出することができる。そして、例えば、所定量以上貯留されると、報知処理や機体走行停止処理等の後処理を行うことが可能となる。
【0021】
ところで、作物貯留空間に貯留される作物は、貯留部における一側端箇所に寄った状態で収納されるので、例えば、貯留検出手段を貯留部における一側端箇所の近くに設けると、作業開始してから短時間で作物が所定量以上であることを検知するおそれがある。一方、貯留検出手段を搬入箇所の近くに設けると、所定量以上であることを検知するときには、作物の貯留量が多くなり過ぎてオーバーフローしてしまうおそれがある。
【0022】
これに対して、本構成では、貯留検出手段は、収穫部より作物が搬入される搬入箇所と一側端箇所との間の中間位置に備えられるので、貯留部に所定量の作物が貯留されたか否かを適切に検出することが可能となる。
つまり、作物貯留空間において、先ず、一側端箇所に積み重ねられた状態で作物が収納される。その後、順次、搬入箇所側に向けて積み重ね状態が移っていくので、中間位置で検出作動することにより、貯留部に所定量の作物が貯留されたか否かを、適切な貯留状態にて検出することが可能となるのである。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
本発明においては、前記貯留部が、機体横幅方向一端側外方にまで延びる作用姿勢と、機体横幅方向内方側に引退する格納姿勢とにわたり、姿勢切り換え自在に構成されていると好適である。
【0027】
本構成によれば、収穫作業中においては、貯留部を作用姿勢に切り換えると、機体横幅方向における既刈り側の外方箇所に作物を放出させることができる。一方、非作業状態で移動走行するような場合には、貯留部を格納姿勢に切り換えることで、貯留部の横側外方への突出量を少なくして、他物と干渉して貯留部が損傷する等のおそれが少ない良好な状態で移動走行を行うことができる。
【0028】
従って、使用状況の違いに応じて貯留部の姿勢を切り換えることで、使い勝手が良いものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて、本発明に係る作物収穫機の実施形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、作物収穫機は、作物の一例としての人参を収穫するためのものであり、左右一対のクローラ走行装置1にて支持されている機体フレーム2と、運転座席3及び操縦塔4等を備えた搭乗運転部5と、機体走行に伴って圃場から作物(人参)を引き抜いて機体後方に搬送する収穫部6と、収穫部6にて後方に搬送される作物の葉部を切断して作物と分離する葉部切断部7と、葉部が切断された作物を機体横幅方向の他端側に向けて搬送する作物搬送部8と、収穫された作物を貯留する貯留部9と、切断された葉部を機外に排出する葉部排出部10とを備えて構成されている。
【0031】
収穫部6は、機体走行に伴って作物列Aの左右両側にて作物の葉部を引き起こす左右一対の引起し装置11と、作物の横側の土中に入り込ませて振動付与によって土をほぐす土ほぐし刃12と、作物を挟持して圃場から抜き上げて機体後方上方に搬送する左右一対の無端回動ベルトからなる引き抜きベルト13とを備えて構成されている。
【0032】
葉部切断部7は、収穫部6の機体後方側に備えられ、引き抜きベルト13によって挟持搬送されてくる作物を挟持搬送する左右一対の無端回動ベルトからなる葉部除去ベルト14と、葉部を切断して葉部と作物とを分離させる回転カッター15とを備えて構成されている。
【0033】
葉部切断部7にて葉部が切断された作物は下方の作物搬送部8に落下し、回転カッター15によって切断された葉部は、作物が切断された後も葉部除去ベルト14によって、さらに後方側に搬送されたのちに、葉部除去ベルト14の搬送終端部から下方の葉部排出部10に落下排出されるようになっている。
【0034】
図1に示すように、葉部排出部10は、葉部除去ベルト14の搬送終端部から落下する葉部を後方下方側に流下案内する案内部16と、排出される葉部を機体横幅方向右側に向けて搬送して機外に排出する葉部搬送装置17とを備えて構成されている。
【0035】
図1及び
図3に示すように、案内部16は、葉部除去ベルト14の搬送終端部付近から葉部搬送装置17に近接する位置まで落下した葉部を後方下方側に流下案内する傾斜姿勢の底板16Aと、その底板16Aの左右両側に立設された側板16Bとからなり、葉部が、貯留部9に混入することなく適切に葉部搬送装置17に案内されるように構成されている。
【0036】
図2及び
図3に示すように、葉部搬送装置17は、案内部16の排出箇所から機体横幅方向右側箇所(右側のクローラ走行装置1の右側端部と略同じ位置)に至るまで機体横幅方向に沿って延びる状態で設けられ、搬送始端側に備えられて前後軸芯周りで駆動される駆動輪体18と、搬送終端側に備えられて前後軸芯周りで回動する従動輪体19とにわたって、幅広の無端回動ベルト20が巻回されたベルトコンベアにて構成されている。
【0037】
図1〜
図3に示すように、作物搬送部8は、葉部切断部7における切断作用箇所の下方に設けられ、葉部切断部7にて葉部が切断されて下方に落下した作物を機体横幅方向右方向に向けて載置搬送する横送りコンベア21を備えて構成されている。横送りコンベア21は、葉部切断部7による作物切断箇所の下方側の箇所から左右一対のクローラ走行装置1の略左右中央部付近に至るまで延びる状態で設けられている。そして、搬送終端側(機体横幅方向右側端部)に位置して前後軸芯周りで駆動される駆動輪体22と、搬送始端側(機体横幅方向左側端部)に位置して前後軸芯周りで回動する従動輪体23とにわたって、ゴム製の幅広の無端回動ベルト24が巻回されたベルトコンベアにて構成されている。
【0038】
横送りコンベア21の搬送終端部の下方側には貯留部9が備えられている。この貯留部9は、
図2及び
図3に示すように、搬送された作物を受止める底面部25と、底面部25における機体横幅方向の右側端部(一端側箇所の一例)に備えられて作物を受止める側壁部26と、底面部25の前部側箇所に縦向き姿勢で備えられた前壁部27と、底面部25の後部側箇所に縦向き姿勢で備えられた後壁部28とを備えて構成され、その内方側に上方が開放される状態で作物を貯留するための作物貯留空間Qが形成されている。すなわち、この貯留部9は、収穫部6にて収穫されて作物搬送部8を介して搬送されてくる作物を、作物貯留空間Qにて貯留するように構成されている。
【0039】
図3に示すように、底面部25は、機体横幅方向の左側端部が上方に位置し、且つ、機体横幅方向の右側端部が下方に位置する傾斜姿勢に形成されている。そして、収穫部6より作物搬送部8を介して搬送される作物が、作物貯留空間Qの左側端部に搬入される構成となっており、作物貯留空間Qの右側端部に側壁部26が備えられている。つまり、底面部25は、収穫部6より作物が搬入される搬入箇所が上方に位置し且つ側壁部26が備えられる右側端部ほど下方に位置する傾斜姿勢に形成されることになる。
【0040】
底面部25には、作物貯留空間Qに貯留される作物を右側端部に向けて横送り搬送する移送手段としての作物移送コンベア29が備えられている。作物移送コンベア29は、搬送始端側(機体横幅方向左側端部)に位置して前後軸芯周りで駆動される駆動輪体30と、搬送終端側(機体横幅方向右側端部)に位置して前後軸芯周りで回動する従動輪体31とにわたって、底面部25の前後幅と同じ幅広のゴム製の無端回動ベルト32が巻回されたベルトコンベアにて構成されている。又、
図3に示すように、貯留部9は、機体横幅方向の右側端部が機体フレーム2よりも下方側の低位置になるように構成されている。
【0041】
側壁部26が、作物を受け止める閉姿勢と、作物貯留空間Qに貯留される作物を底面部25における傾斜下方側端部から機体外方に向けて放出する開放姿勢とに切り換え自在に構成されている。すなわち、
図4に示すように、前壁部27及び後壁部28の右側端部には、上下方向に沿って延びる状態で平面視略U字状の補強用の支持部材33が備えられ、側壁部26の支軸34が、前後両側の支持部材33の上端側箇所にわたって架設支持されている。
【0042】
図5に示すように、側壁部26は、その外面側に、略矩形状の周縁部に沿って角筒材からなる補強用の枠部材35が備えられ、さらに、支持強度を高めるために、対角線方向に沿って角筒材からなる補強部材36が備えられている。そして、枠部材35の上部側箇所を貫通する状態で支軸34が連結支持されており、支軸34の両側端部が前後両側の支持部材33に回動自在に架設支持されている。
【0043】
側壁部26を支軸34の軸芯X1周りで回動操作自在な駆動機構としての電動シリンダ機構37が、ブラケット38を介して前壁部27に支持される状態で備えられている。
図6に示すように、この電動シリンダ機構37は、電動モータ39と、その電動モータ39の回転動力を減速する減速機構40と、減速機構40にて減速された動力により回動操作されるネジ送り機構41とを備えて構成されている。ネジ送り機構41は、外筒ケース42の内部に、減速動力にて回転駆動されるネジ軸43と、ネジ軸43に螺合する雌ネジ部材44と、雌ネジ部材44と一体的に軸芯方向に移動自在な筒状の移動操作部45とを備えて構成されている。
【0044】
図4及び
図5に示すように、側壁部26に前後向き姿勢で備えられたロッド46が、移動操作部45の先端部に回動自在に貫通する状態で枢支連結されており、電動モータ39を駆動することにより、移動操作部45がネジ軸43の軸芯方向に移動して側壁部26を開閉操作することができるように構成されている。ロッド46は、側壁部26における機体前後方向の略全幅にわたる長尺状に設けられ、前後両側の枠部材35及び補強部材36の夫々に一体的に連結固定されている。
【0045】
前記ブラケット38は、電動シリンダ機構37を一体的に固定支持するとともに、電動シリンダ機構37よりも下方側に位置する前後軸芯X2周りで回動自在に側壁部26に支持されている。つまり、電動シリンダ機構37の移動操作部45が移動操作されるに伴って、ブラケット38を介して電動シリンダ機構37が前後軸芯X2周りで回動することにより、側壁部26が支軸34の軸芯X1周りで回動することを許容する構成となっている。
【0046】
前壁部27における支軸34の近傍箇所には、側壁部26が開放姿勢に切り換えられたことを検出する開状態検出スイッチ47が備えられている。この開状態検出スイッチ47は、リミットスイッチにて構成され、側壁部26が開放姿勢に切り換わると、支軸34と一体回動する操作アーム48がこの開状態検出スイッチ47の検知片47aに接触作用して、例えば、オフ状態からオン状態に切り換わり、検出作動するように構成されている。
尚、側壁部26が閉姿勢に切り換えられると、ロッド46が前壁部27及び後壁部28の端部に接当してそれ以上の回動が規制されるので、このときの電動モータ39の作動状態からそのことを検知することが可能である。この構成に代えて、閉姿勢を検出する閉状態検出スイッチを別途備えるようにしてもよい。
【0047】
そして、貯留部9に作物が所定量以上貯留されたことを検出する貯留検出手段としての貯留検出装置50が、作物が搬入される搬入箇所(機体横幅方向の左側端部)と機体横幅方向の右側端部との間の中間位置に備えられている。
【0048】
次に、貯留検出装置50について説明する。
図4、
図6及び
図7に示すように、作物貯留空間Qの左右幅方向の中間部の上部側箇所に、前壁部27と後壁部28とに亘って架設支持された支軸51にて回動自在に支持される状態で、且つ、作物貯留空間Qの前後幅方向略全幅に亘って延びる状態で帯板状の検知板52が備えられている。この検知板52の前後両側端部に夫々円弧状の支持板53が連結され、各支持板53に形成された挿通孔54に亘って挿通する前後方向に長尺の受止め用の支持ロッド55が備えられている。この支持ロッド55が前壁部27及び後壁部28夫々の上端縁に接当支持されることで検知板52の待機姿勢が設定される構成となっている。
【0049】
支持板53には、挿通孔54が間隔をあけて複数形成されており、支持ロッド55を挿通させる挿通孔54を変更することで検知板52の待機姿勢を変更させることができる(
図7(a),(b)参照)。支持ロッド55は前壁部27及び後壁部28夫々の上端縁に接当支持されるので、作物貯留空間Qに作物が貯留され、その貯留される作物により検知板52が押し上げられると、検知板52は支軸51の軸芯X3周りで上方に回動することが可能である。
【0050】
図7に示すように、前壁部27における支持ロッド55が接当支持される箇所に、作物が所定量以上貯留されたことを検知する貯留状態検出スイッチ56が備えられている。この貯留状態検出スイッチ56は、リミットスイッチにて構成され、支持ロッド55が前壁部27の上端縁に接当している状態では、支持ロッド55が貯留状態検出スイッチ56の検知片56aに接触作用して、貯留状態検出スイッチ56が、非検知状態(例えば、オフ状態)になっている。
【0051】
そして、作物の貯留量が増加して検知板52が押し上げられて支持ロッド55が前壁部27の上端縁から上方に離間する状態に切り換わると、支持ロッド55が検知片56aから離れて、貯留状態検出スイッチ56が非検知状態から検知状態(例えば、オン状態)に切り換わり、検出作動するように構成されている。
【0052】
上記した検知板52、支持板53、支持ロッド55、貯留状態検出スイッチ56等により貯留検出装置50が構成され、作物貯留空間Qに所定量以上の作物が貯留されると、検知板52が上方に押し上げられて、貯留状態検出スイッチ56にて、そのことが検知されることになる。
【0053】
図2及び
図3から明らかなように、貯留部9は、機体横幅方向一端部としての機体右側端部よりも右側外方に延びる状態で設けられ、底面部25における機体横幅方向の右側端部に備えられる側壁部26が、機体横幅方向右側端部よりも右側外方に位置する状態で備えられることになる。
【0054】
そして、貯留部9は、機体横幅方向右側外方にまで延びる作用姿勢と、機体横幅方向内方側に引退する格納姿勢とにわたり、姿勢切り換え自在に構成されている。
すなわち、
図2及び
図3に示すように、貯留部9の前後両側部において、機体フレーム2から支持フレーム57が固定立設されており、この支持フレーム57により、貯留部9における前壁部27及び後壁部28における駆動輪体30の軸芯位置に相当する箇所が回動自在に支持されている。従って、貯留部9は、作物移送コンベア29における搬送始端側(機体横幅方向左側端部)に位置する駆動輪体30の軸芯X4周りで回動自在に機体に支持されている。
【0055】
そして、
図3に示すように、後部側の支持フレーム57と後壁部28における左右方向の中間位置の下端部とに亘って後部側油圧シリンダ59が枢支連結され、又、図示はしないが、前部側の支持フレーム57と前壁部27における左右方向の中間位置の下端部とに亘って前部側油圧シリンダ58が枢支連結され、これらの前後両側の油圧シリンダ58,59を伸縮操作することで、貯留部9が、
図3に示す作用姿勢と、
図8に示す格納姿勢とにわたって姿勢切り換え自在に構成されている。
図8中の符号60は、格納姿勢で位置保持するための保持部材である。このように構成することで、非作業状態で移動走行するとき等において、格納姿勢に切り換えておくことにより、車幅を狭いものにして外物との干渉を回避できる。
又、貯留部9が作用姿勢に切り換えられている状態では、機体フレーム2に固定される状態で受止め支持部2aが形成され、貯留部の左右方向の中間位置をこの受止め支持部に載置支持する構成としている。
【0056】
葉部搬送装置17、作物搬送部8、及び、作物移送コンベア29は、共通の駆動チェーン61により一体的に回転駆動する構成となっている。つまり、
図3に示すように、図示しないエンジンから伝動プーリ62を介して伝達される横向き軸芯周りの回転動力が、減速機構63によって前後向き軸芯周りの回転動力に変換され、減速機構63の出力スプロケット64、葉部搬送装置17の駆動輪体18に備えられたスプロケット65、作物搬送部8の駆動輪体22に備えられたスプロケット66、及び、作物移送コンベア29の駆動輪体30に備えられたスプロケット67の夫々にわたり1つの駆動チェーン61が巻回され、動力が伝達されるように構成されている。このように構成することで、伝動構造の簡素化を図るようにしている。
【0057】
上記構成の作物収穫機にて圃場に植えられた作物を収穫する際には、機体走行に伴って1列状態で植えられている作物列に沿って移動しながら、作物列の左右両側に位置する状態で左右一対の引起し装置11によって作物の葉部を引き起こし、且つ、土ほぐし刃12を作物の横側の土中に入り込ませて振動を付与することによって土をほぐして引き抜きやすくする。そして、作物の葉部を左右一対の引き抜きベルト13によって挟持して斜め後方上方向きに持ち上げ搬送することにより、作物を圃場から抜き上げて収穫する。
【0058】
そして、引き抜きベルト13によって引き抜かれた作物の葉部を葉部除去ベルト14によって挟持搬送して、作物を吊り下げ状態で後方向きに搬送し、回転カッター15によって葉部を切断して葉部と作物とを分離する。
【0059】
葉部から分離した作物は、横送りコンベア21に落下して、機体横幅方向右方向に向けて載置搬送される。横送りコンベア21にて搬送された作物は、その搬送終端部から下方の貯留部9に貯留される。又、切断された葉部は、葉部除去ベルト14によって回転カッター15よりも後方に搬送されてから、下方に落下し、案内部16により案内されたのち、葉部搬送装置17にて機体横幅方向右側に向けて搬送して機外に排出される。
【0060】
収穫作業に伴って、貯留部9に所定量以上の作物が貯留され、貯留状態検出スイッチ56が検知状態に切り換わると、その検知状態が設定時間以上継続すると、図示しないブザー(報知手段の一例)を鳴動させて操縦者に報知する。操縦者は、機体走行を停止させて、図示しない操作スイッチを操作して、電動シリンダ機構37を作動させて側壁部26を閉姿勢から開放姿勢に切り換える。
【0061】
そうすると、貯留部9に貯留されている作物は、底面部25が傾斜姿勢であることと、底面部25に備えられた作物移送コンベア29による送り作用を受けることから、開放されている右側端部から機体外方に排出されることになる。貯留部9は、機体横幅方向の右側端部が機体フレーム2よりも下方側の低位置になるように構成されているから、このように作物を排出するときに、落下の衝撃が小さいものとなる。
【0062】
圃場に排出された作物は、選別作業者が、作物を目視で検査して、例えば、収穫に適した大きさや形状などの性状を備えた収穫適合作物と、収穫に適した性状を備えない収穫非適合作物とに選別して、手作業で回収する等の作業を行うことになる。作物の排出は、貯留部に所定量の作物が貯留される毎に行われるので、例えば、連続的に排出されるようなものに比べて、選別回収における作業負担が軽減される。
【0064】
〔別実施形態〕
(
1)貯留検出装置50を、貯留部9における作物搬入箇所に備えるようにしてもよく、貯留検出装置50を貯留部9における右側端部に備える構成等であってもよい。
【0066】
(
2)貯留部9が、作用姿勢と格納姿勢とにわたり姿勢切り換え自在な構成を示したが、このような構成に限らず、貯留部9が作用姿勢で固定される構成でもよい。
【0067】
(
3)作物として、人参に限らず、大根、玉ねぎ、芋類など各種の作物を収穫対象とする作物収穫機であってもよい。