(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の層及び第2の層のうち、ロイコ染料を含有する一方の層が、塩基性であり、色相変化剤を含有する他方の層が、酸性であり、前記色相変化剤が、酸性の色相変化剤である請求項1に記載の異方性導電フィルム。
第1の層及び第2の層のうち、ロイコ染料を含有する一方の層が、酸性であり、色相変化剤を含有する他方の層が、塩基性であり、前記色相変化剤が、塩基性の色相変化剤である請求項1に記載の異方性導電フィルム。
第1の層及び第2の層の一方が、導電性粒子及び膜形成樹脂を含有する導電性粒子含有層であり、他方が、膜形成樹脂を含有する絶縁性接着層である請求項1から4のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
端子を有する第1の回路部材と、端子を有する第2の回路部材と、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との間に介在して前記第1の回路部材の端子と前記第2の回路部材の端子とを電気的に接続する異方性導電フィルムの硬化物とを有し、
前記異方性導電フィルムが、請求項1から7のいずれかに記載の異方性導電フィルムであることを特徴とする接合体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(異方性導電フィルム)
本発明の異方性導電フィルムは、第1の層と、第2の層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の層を有する。
前記異方性導電フィルムは、第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる異方性導電フィルムである。
【0013】
<第1の層、第2の層>
前記第1の層は、膜形成樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他成分を含有する。
前記第2の層は、膜形成樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他成分を含有する。
前記第1の層及び前記第2の層の少なくともいずれかは、導電性粒子を含有する。
【0014】
前記第1の層及び前記第2の層の一方の層は、ロイコ染料を含有し、他方の層は、色相変化剤を含有する。
【0015】
前記第1の層及び前記第2の層の一方は、前記導電性粒子及び前記膜形成樹脂を含有する導電性粒子含有層であり、他方は、前記膜形成樹脂を含有する絶縁性接着層であることが好ましい。
【0016】
前記第1の層は、更に硬化性樹脂、及び硬化剤を含有することが好ましい。
前記第2の層は、更に硬化性樹脂、及び硬化剤を含有することが好ましい。
【0017】
前記第1の層における前記硬化性樹脂は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
前記第1の層における前記硬化剤は、有機過酸化物であることが好ましい。
【0018】
前記第2の層における前記硬化性樹脂は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
前記第2の層における前記硬化剤は、有機過酸化物であることが好ましい。
【0019】
前記第1の層、及び前記第2の層の態様について一例を説明する。
<<第1の態様>>
第1の態様は、前記色相変化剤が、顕色剤である態様である。
前記第1の態様では、前記ロイコ染料を含有する前記一方の層は、塩基性であってもよいし、中性であってもよいが、弱塩基性が好ましい。前記顕色剤を含有する前記他方の層は、塩基性であってもよいし、中性であってもよいし、酸性であってもよいが、塩基性、中性が好ましい。
前記第1の態様では、接続前には、前記ロイコ染料は、発色していないことから、前記異方性導電フィルムは、無色又は他の材料に起因する色を呈している。この異方性導電フィルムを用いて適切な条件で前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の接続を行うと、前記他方の層の前記顕色剤が熱により融解し、前記他方の層が酸性になる。そして、加圧により前記他方の層と前記一方の層とが混ざり合うことにより、前記ロイコ染料が発色する。
【0020】
<<第2の態様>>
第2の態様は、前記ロイコ染料を含有する前記一方の層が、塩基性であり、前記色相変化剤を含有する前記他方の層が、酸性であり、前記色相変化剤が、酸性の色相変化剤である態様である。前記他方の層の酸性は、前記色相変化剤に起因する酸性である。
前記第2の態様では、接続前には、前記ロイコ染料は、発色していないことから、前記異方性導電フィルムは、無色又は他の材料に起因する色を呈している。この異方性導電フィルムを用いて適切な条件で前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の接続を行うと、熱及び加圧により前記色相変化剤に起因して酸性の前記他方の層と、前記一方の層とが混ざり合うことにより、前記ロイコ染料が発色する。
【0021】
<<第3の態様>>
第3の態様は、前記ロイコ染料を含有する前記一方の層が、酸性であり、前記色相変化剤を含有する前記他方の層が、塩基性であり、前記色相変化剤が、塩基性の色相変化剤である態様である。前記他方の層の塩基性は、前記色相変化剤に起因する塩基性である。
前記第3の態様では、接続前には、前記ロイコ染料は、発色していることから、前記異方性導電フィルムは、前記ロイコ染料に起因する色を呈している。この異方性導電フィルムを用いて適切な条件で前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の接続を行うと、熱及び加圧により前記色相変化剤に起因して塩基性の前記他方の層と、前記一方の層とが混ざり合うことにより、前記ロイコ染料が消色する。
【0022】
ここで、酸性とは、pH6.5未満であることをいい、中性とは、pH6.5〜7.5であることをいい、塩基性とは、pH7.5超であることをいう。弱塩基性とは、pH7.5超9.0以下であることをいう。
各層のpHは、例えば、純水にて100℃で抽出を行い、抽出物をデジタルpH計(例えば、横川電機株式会社製等)により測定できる。
【0023】
前記第1の層、及び前記第2の層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ、1μm〜30μmが好ましく、3μm〜20μmがより好ましく、5μm〜10μmが特に好ましい。
【0024】
以下、前記の各種材料の詳細を説明する。
−ロイコ染料−
前記ロイコ染料は、電子供与性を示す化合物であり、それ自体無色又は淡色の染料前駆体である。前記ロイコ染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系などのロイコ化合物が好ましく、フルオラン系、フタリド系のロイコ染料がより好ましい。
【0025】
前記ロイコ染料としては、具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、10−ジエチルアミノ−2−エチルベンゾ[1,4]チアジノ[3,2−b]フルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−[2,2−ビス(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)ビニル]−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−[1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)エチレン−2−イル]−6−ジメチルアミノフタリドなどが挙げられる。
【0026】
前記ロイコ染料を含有する前記一方の層における前記ロイコ染料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一方の層100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、2質量部〜10質量部がより好ましい。
【0027】
−色相変化剤−
前記色相変化剤としては、前記ロイコ染料と相互作用することにより前記異方性導電フィルムの色相を変化させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記色相変化剤による前記異方性導電フィルムの色相の変化は、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との異方性導電接続時に生じる。
【0028】
前記相互作用としては、例えば、前記ロイコ染料と前記色相変化剤とが分子同士で接触し反応している態様(前記第1の態様)、前記色相変化剤の酸性により前記ロイコ染料を酸化させている態様(前記第2の態様)、前記色相変化剤の塩基性により前記ロイコ染料を還元させている態様(前記第3の態様)などが挙げられる。
【0029】
前記色相の変化は、有色から他の有色への変化であってもよいし、無色から有色への変化であってもよいし、有色から無色への変化であってもよい。
【0030】
前記色相変化剤は、前記第1の態様においては、顕色剤であり、前記第2の態様においては、酸性の色相変化剤であり、前記第3の態様においては、塩基性の色相変化剤である。
【0031】
−−顕色剤−−
前記顕色剤としては、前記ロイコ染料に対して加熱時に反応して、これを発色させる種々の電子受容性物質であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機酸性化合物などが挙げられる。前記有機酸性化合物としては、例えば、フェノール化合物などが挙げられる。
前記フェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールS、ビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)、テトラブロモビスフェノールA(4,4’−イソプロピリンビス(2,6−ジブロモフェノール))、1,1’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−sec−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−tert−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ベンジロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(m−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(p−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(o−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−(p−クロロベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ジエチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との異方性導電接続の際の加熱温度において良好な呈色反応を生じることから、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン(例えば、日本曹達株式会社製のD−8など)、2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル(例えば、日本曹達株式会社製のD−90など)が好ましい。
【0032】
前記顕色剤を含有する前記他方の層における前記顕色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記他方の層100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、2質量部〜10質量部がより好ましい。
【0033】
−−酸性の色相変化剤−−
前記酸性の色相変化剤は、前記他方の層を酸性にすることによって、前記一方の層と前記他方の層とが混ざり合った際に、前記ロイコ染料を発色させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸エステルなどが挙げられる。前記リン酸エステルとしては、例えば、リン酸アクリレート、リン酸メタクリレートなどが挙げられる。前記リン酸エステルは、酸性を示せば、変性されていてもよい、前記変性されたリン酸エステルとしては、例えば、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート(例えば、日本化薬株式会社製のPM−21など)が挙げられる。
【0034】
前記酸性の色相変化剤を含有する前記他方の層における前記酸性の色相変化剤の含有量としては、前記他方の層を所望の酸性にすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記他方の層100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。
【0035】
−−塩基性の色相変化剤−−
前記塩基性の色相変化剤は、前記他方の層を塩基性にすることによって、前記一方の層と前記他方の層とが混ざり合った際に、発色している前記ロイコ染料を消色させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミン化合物などが挙げられる。前記アミン化合物としては、アミノ基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤などが挙げられる。
【0036】
前記塩基性の色相変化剤を含有する前記他方の層における前記塩基性の色相変化剤の含有量としては、前記他方の層を所望の塩基性にすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記他方の層100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。
【0037】
−膜形成樹脂−
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。前記膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂が好ましい。
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂などが挙げられる。
前記フェノキシ樹脂は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0038】
前記第1の層、及び前記第2の層における前記膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ、20質量%〜70質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。
【0039】
−硬化性樹脂−
前記硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ラジカル重合性化合物などが挙げられる。
【0040】
−−エポキシ樹脂−−
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
−−ラジカル重合性化合物−−
前記ラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記第1の層、及び前記第2の層における前記硬化性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ、20質量%〜70質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。
【0043】
−硬化剤−
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾール類、有機過酸化物、アニオン系硬化剤、カチオン系硬化剤などが挙げられる。
前記イミダゾール類としては、例えば、2−エチル4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記有機過酸化物としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
前記アニオン系硬化剤としては、例えば、有機アミン類などが挙げられる。
前記カチオン系硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩、アルミニウムキレート剤などが挙げられる。
【0044】
前記第1の層、及び前記第2の層における前記硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜8質量%がより好ましい。
【0045】
前記硬化性樹脂と前記硬化剤との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記エポキシ樹脂と前記カチオン系硬化剤との組合せ、前記ラジカル重合性化合物と前記有機過酸化物との組合せが好ましい。
【0046】
−導電性粒子−
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
【0047】
前記金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0048】
前記金属被覆樹脂粒子としては、樹脂粒子の表面を金属で被覆した粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の表面をニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの金属で被覆した粒子などが挙げられる。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。低抵抗を考慮した接続の場合、樹脂粒子の表面を銀で被覆した粒子が好ましい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0049】
前記導電性粒子は、異方性導電接続の際に、導電性を有していればよい。例えば、金属粒子の表面に絶縁皮膜を施した粒子であっても、異方性導電接続の際に前記粒子が変形し、前記金属粒子が露出するものであれば、前記導電性粒子である。
【0050】
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、2μm〜25μmがより好ましく、2μm〜10μmが特に好ましい。
前記平均粒子径は、任意に10個の導電性粒子について測定した粒子径の平均値である。
前記粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0051】
前記導電性粒子含有層における前記導電性粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜4質量%がより好ましい。
【0052】
−第1の回路部材、第2の回路部材−
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材としては、端子を有し、前記異方性導電フィルムを用いた異方性導電接続の対象となる回路部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端子を有するガラス基板、端子を有するプラスチック基板、IC(Integrated Circuit)、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、Flex−on−Glass(フレックスオンガラス、FOG)、Chip−on−Glass(チップオンガラス、COG)、Chip−on−Flex(チップオンフレックス、COF)、Flex−on−Board(フレックスオンボード、FOB)、Flex−on−Flex(フレックスオンフレックス、FOF)、液晶パネルなどが挙げられる。
【0053】
前記端子を有するガラス基板としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)ガラス基板、IZO(Indium Zinc Oxide)ガラス基板、その他のガラスパターン基板などが挙げられる。これらの中でも、ITOガラス基板、IZOガラス基板が好ましい。
前記端子を有するプラスチック基板の材質、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端子を有するリジット基板、端子を有するフレキシブル基板などが挙げられる。
前記ICとしては、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)における液晶画面制御用ICチップなどが挙げられる。
【0054】
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材は、同じ回路部材であってもよいし、異なる回路部材であってもよい。
【0055】
前記異方性導電フィルムの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜60μmが好ましく、5μm〜30μmがより好ましく、10μm〜20μmが特に好ましい。
【0056】
(接続方法)
本発明の接続方法は、第1の配置工程と、第2の配置工程と、加熱押圧工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記接続方法は、第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる方法である。
【0057】
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記異方性導電フィルムの説明で例示した前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材がそれぞれ挙げられる。
【0058】
<第1の配置工程>
前記第1の配置工程としては、前記第1の回路部材の端子上に本発明の前記異方性導電フィルムを配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記異方性導電フィルムが、導電性粒子含有層と、絶縁性接着層とを有する場合、通常、前記第1の回路部材の端子と、前記異方性導電フィルムの導電性粒子含有層とが接するように前記第1の配置工程が行われる。
【0059】
<第2の配置工程>
前記第2の配置工程としては、前記異方性導電フィルム上に前記第2の回路部材を、前記第2の回路部材の端子が前記異方性導電フィルムと接するように配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記異方性導電フィルムが、導電性粒子含有層と、絶縁性接着層とを有する場合、通常、前記第2の回路部材の端子と、前記異方性導電フィルムの絶縁性接着層とが接するように前記第2の配置工程が行われる。
【0060】
<加熱押圧工程>
前記加熱押圧工程としては、前記第2の回路部材を加熱押圧部材により加熱及び押圧する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱押圧部材としては、例えば、加熱機構を有する押圧部材などが挙げられる。前記加熱機構を有する押圧部材としては、例えば、ヒートツールなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、120℃〜200℃が好ましい。
前記押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5MPa〜100MPaが好ましい。
前記加熱及び押圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5秒間〜10秒間が好ましい。
【0061】
(接合体)
本発明の接合体は、第1の回路部材と、第2の回路部材と、異方性導電フィルムの硬化物とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0062】
前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記異方性導電フィルムの説明で例示した前記第1の回路部材、及び前記第2の回路部材がそれぞれ挙げられる。
【0063】
前記異方性導電フィルムは、本発明の前記異方性導電フィルムである。
前記異方性導電フィルムの硬化物は、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との間に介在して前記第1の回路部材の端子と前記第2の回路部材の端子とを電気的に接続している。
【0064】
前記接合体は、例えば、本発明の前記接続方法により製造できる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
<異方性導電フィルムの作製(2層構造)>
−絶縁性接着層の作製−
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業株式会社製)47質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)44質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、及び顕色剤(品名:D−8、日本曹達株式会社製、融点130℃)6質量部を均一に混合した。混合後の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、絶縁性接着層を作製した。
【0067】
−導電性粒子含有層の作製−
フェノキシ樹脂(品名:PKHJ、巴工業株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)46質量部、導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業株式会社製、平均粒子径4μm)2質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、シランカップリング剤(品名:KBE−903、信越化学工業株式会社製)1質量部、リン酸エステル(品名:PM−21、日本化薬株式会社製)1質量部、及び赤色ロイコ染料(品名:RED−40、山本化成株式会社製)6質量部を均一に混合した。混合後の弱塩基性の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、弱塩基性(pH8.3)の導電性粒子含有層を作製した。
なお、シランカップリング剤は、pH調整及びガラスへの密着力向上のために用いた。リン酸エステルは、pH調整及び金属への接着性向上のために用いた。
【0068】
上記で得られた絶縁性接着層と導電性粒子含有層とをロールラミネータを用いて、ロール温度45℃にてラミネートし、異方性導電フィルムを得た。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
【0069】
<接合体の製造>
以下の方法により接合体を製造した。
第2の回路部材として、評価用COF(チップオンフレックス)(デクセリアルズ株式会社評価用基材、50μmP(ピッチ)、Cu8μmt(厚み)−Snめっき、PI(ポリイミド)38μmt(厚み)−S’perflex基材)を用いた。
第1の回路部材として、ITOコーティングガラス(デクセリアルズ株式会社評価用基材、全表面ITOコート、ガラス厚み0.7mm)を用いた。
前記第1の回路部材上に、幅1.5mmにスリットした前記異方性導電フィルムを、前記導電性粒子含有層が前記第1の回路部材に接するように配置した。配置する際、80℃、1MPa、1秒間で貼り付けた。続いて、その異方性導電フィルム上に、前記第2の回路部材を前記異方性導電フィルムからはみ出さないように配置した。続いて、緩衝材(テフロン(登録商標)、厚み0.15mm)を介して、加熱ツール(幅1.5mm)により、表1及び表2に示す接続条件で、前記第2の回路部材を加熱及び押圧し、接合体を得た。
【0070】
<評価>
作製した接合体について、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
なお、異方性導電フィルムを作製した後直ぐにそれを用いて接合体を作製したもの(エージングなし)と、40℃で2日間保存(エージング)を行った後にそれを用いて接合体を作製したものとで、評価を行った。
【0071】
<<色相の変化>>
加熱及び押圧前後の異方性導電フィルムの色相の変化を、色差計(NF333、日本電色工業株式会社製)を用いて確認した。接続前に対する接続後の色差を、ΔEで表した。
【0072】
<<導通抵抗>>
接合体の初期の導通抵抗値(Ω)を以下の方法で測定した。
具体的には、上記接合体の製造と同様の方法で、
図1に示すような試験体を作製にして、デジタルマルチメーター(品番:デジタルマルチメータ7555、横河電機株式会社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの抵抗値を測定した。30チャンネルについて抵抗値を測定し、最大の抵抗値を測定値とした。
【0073】
<<接続状態>>
異方性導電フィルムの硬化状態と、接合体の導通状態とから、接続状態を以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
良好:未硬化、及び導通不良がいずれもない。
不良:未硬化、及び導通不良の少なくともいずれかがある。
なお、「未硬化」とは、異方性導電フィルムについて圧着前後でFT−IR測定を行い、ビニル基の減少値が80%未満の状態(ビニル基が20%以上残っている状態)をいう。「導通不良」とは、導通抵抗が、3.0Ω以上の状態である。
【0074】
(実施例2)
<異方性導電フィルムの作製(2層構造)>
−絶縁性接着層の作製−
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業株式会社製)47質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)38質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、及びリン酸エステル(品名:PM−21、日本化薬株式会社製)2質量部を均一に混合した。混合後の酸性の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、酸性(pH5.4)の絶縁性接着層を作製した。
なお、リン酸エステルは、pHを酸性にするために用いた。
【0075】
上記で得られた絶縁性接着層と実施例1で得られた導電性粒子含有層とをロールラミネータを用いて、ロール温度45℃にてラミネートし、異方性導電フィルムを得た。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
【0076】
得られた異方性導電フィルムを用いて、実施例1と同様にして接合体を作製し、評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0077】
(実施例3)
<異方性導電フィルムの作製(2層構造)>
−絶縁性接着層の作製−
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業株式会社製)47質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)38質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、及びシランカップリング剤(品名:KBE−903、信越化学工業株式会社製)2質量部を均一に混合した。混合後の塩基性の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、塩基性(pH9.2)の絶縁性接着層を作製した。
【0078】
−導電性粒子含有層の作製−
フェノキシ樹脂(品名:PKHJ、巴工業株式会社製)45質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)46質量部、導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業株式会社製、平均粒子径4μm)2質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、シランカップリング剤(品名:KBE−503、信越化学工業株式会社製)1質量部、リン酸エステル(品名:PM−21、日本化薬株式会社製)2質量部、及び赤色ロイコ染料(品名:RED−40、山本化成株式会社製)6質量部を均一に混合した。混合後の酸性の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、酸性(pH5.2)の導電性粒子含有層を作製した。導電性粒子含有層の色は、ロイコ染料による赤色であった。
【0079】
上記で得られた絶縁性接着層と導電性粒子含有層とをロールラミネータを用いて、ロール温度45℃にてラミネートし、異方性導電フィルムを得た。
作製した異方性導電フィルムの色は、ロイコ染料の色に起因して赤色であった。
【0080】
得られた異方性導電フィルムを用いて、実施例1と同様にして、接合体を作製し、評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0081】
(実施例4)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、導電性粒子含有層の赤色ロイコ染料をロイコ染料(PSD−HR、日本曹達株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0082】
(実施例5)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、絶縁性接着層の顕色剤を顕色剤(TG−SH、日本化薬株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0083】
(実施例6)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、導電性粒子含有層を作製する際の赤色ロイコ染料の量を6質量部から10質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0084】
(実施例7)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、導電性粒子含有層を作製する際の赤色ロイコ染料の量を6質量部から2質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0085】
(実施例8)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、絶縁性接着層を作製する際の顕色剤の量を6質量部から10質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0086】
(実施例9)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、絶縁性接着層を作製する際の顕色剤の量を6質量部から2質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0087】
(実施例10)
<異方性導電フィルムの作製>
実施例1において、導電性粒子含有層を作製する際の導電性粒子を導電性粒子(AUL705、積水化学株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0088】
(比較例1)
<異方性導電フィルムの作製(1層構造):トリフェニルメタン系色素>
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業株式会社製)42質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)40質量部、導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業株式会社製、平均粒子径4μm)2質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、シランカップリング剤(品名:KBE−903、信越化学工業株式会社製)1質量部、リン酸エステル(品名:PM−21、日本化薬株式会社製)1質量部、及びトリフェニルメタン系色素(品名:C.I.Solvent Red 18、保土ヶ谷化学工業株式会社製)3質量部を均一に混合した。混合後の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、色素の色に起因して赤色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0089】
(比較例2)
<接着フィルムの作製(1層構造):イミダゾール系接着剤>
フェノキシ樹脂(品名:YP−50、新日鐵化学株式会社製)30質量部、液状エポキシ樹脂(品名:4032D、DIC株式会社製)20質量部、粘着付与アクリル樹脂(品名:SG−P3、ナガセケミテックス株式会社製)20質量部、及びイミダゾール変性エポキシのマイクロカプセル型硬化剤(品名:ノバキュア3941HP、旭化成株式会社製)を均一に混合した。混合後の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、接着フィルムを作製した。
作製した接着フィルムの色は、淡褐色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0090】
(比較例3)
<異方性導電フィルムの作製(1層構造):ロイコ染料>
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業株式会社製)42質量部、ウレタンアクリレート(品名:EB−600、ダイセル・サイテック株式会社製)40質量部、導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業株式会社製、平均粒子径4μm)2質量部、有機過酸化物(品名:パーヘキサC、日油株式会社製)3質量部、シランカップリング剤(品名:KBE−903、信越化学工業株式会社製)1質量部、リン酸エステル(品名:PM−21、日本化薬株式会社製)1質量部、赤色ロイコ染料(品名:RED−40、山本化成株式会社製)6質量部、及び顕色剤(品名:D−90、日本曹達株式会社製、融点130℃)6質量部を均一に混合した。混合後の弱塩基性の配合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが8μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、弱塩基性(pH8.2)の異方性導電フィルムを作製した。
作製した異方性導電フィルムの色は、導電性粒子の色に起因して薄黄色であった。
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
実施例1、4〜10では、接続状態が不良(低温接続による未硬化、又は低圧接続による導通不良)の状態では、接続前後での色の変化がほとんど無かった(導電性粒子に起因する薄黄色のまま)。一方、接続状態が良好の状態では、接続前後の色の変化(薄黄色からロイコ染料に起因する赤色への変化)があった。そのことから、接続状態が良好であるか、不良であるかを、異方性導電フィルムの色の変化で確認することができた。
【0094】
実施例2では、150℃での低温接続の場合に接続状態が不良(未硬化)であったが、接続前後でわずかに色が変化した(導電性粒子に起因する薄黄色から薄赤色への変化)。しかし、その色の変化は、接続状態が良好な状態での接続前後の色の変化(薄黄色からロイコ染料に起因する赤色への変化)よりは小さかった。そのため、実施例1、4〜10よりは若干劣るものの、接続状態が良好であるか、不良であるかを、異方性導電フィルムの色の変化で確認することができた。
【0095】
実施例3では、150℃での低温接続の場合に接続状態が不良(未硬化)であったが、接続前後でわずかに色が変化した(ロイコ染料に起因する赤色から導電性粒子に起因する薄黄色への変化)。しかし、その色の変化は、接続状態が良好な状態での接続前後の色の変化よりは小さかった。そのため、実施例1、4〜10よりは若干劣るものの、接続状態が良好であるか、不良であるかを、異方性導電フィルムの色の変化で確認することができた。
【0096】
また、実施例1〜10では、40℃で2日間保存した後も、異方性導電フィルムの色に変化は無く、保存安定性は良好であった。また、保存後の異方性導電フィルムを用いて接合体を作製しても、保存前の異方性導電フィルムを用いて接合体を作製した場合と同等の接続状態であり、かつ良好な接続状態と不良な接続状態とを色相の変化で確認できた。
【0097】
比較例1では、1MPaでの低圧接続の場合に接続状態が不良(導通不良)であったが、接続前後で色が変化した(赤色から薄黄色への変化)。この変化は、接続状態が良好な状態での接続前後の色の変化(赤色から薄黄色への変化)と同等であり、接続状態が良好であるか、不良であるかを、異方性導電フィルムの色の変化で確認することが難しかった。
また、40℃で2日間保存すると異方性導電フィルの色が赤色から薄赤色へ変化した。そのため、保存後の異方性導電フィルムを用いて接合体を作製した場合と、保存前の異方性導電フィルムを用いて接合体を作製した場合とで、接続前後の色の変化に違いが生じていた。
【0098】
比較例2では、1MPaでの低圧接続の場合に接続状態が不良(導通不良)であったが、接続前後で色が変化した(褐色から濃褐色への変化)。この変化は、接続状態が良好な状態での接続前後の色の変化(褐色から濃褐色への変化)と同等であり、接続状態が良好であるか、不良であるかを、異方性導電フィルムの色の変化で確認することが難しかった。
また、40℃で2日間保存すると異方性導電フィルの色が薄褐色から褐色へ変化した。そのため、保存後の異方性導電フィルムを用いて接合体を作製した場合と、保存前の異方性導電フィルムを用いて接合体を作製した場合とで、接続前後の色の変化に違いが生じていた。
【0099】
比較例3では、1MPaでの低圧接続(接続温度は210℃)の場合に接続状態が不良(導通不良)であったが、接続前後で色が変化した(薄黄色から赤色への変化)。この変化は、接続状態が良好な状態での接続前後の色の変化(薄黄色から赤色への変化)と同等であり、接続状態が良好であるか、不良であるかを、異方性導電フィルムの色の変化で確認することが難しかった。