(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可撓性部材の前記先端部が前記現像剤排出口から突出した状態の前記回転部材の回転における軸方向に沿った断面視において、前記可撓性部材の前記突出部は、前記径方向外側に向かって先細の三角形状からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
前記回転部材の回転における軸方向と直交する断面視において、前記可撓性部材は前記回転軸の回転中心を通る直線に沿って延設され、前記回転中心から前記現像剤排出口までの最短距離をQ、前記可撓性部材の前記先端部が前記現像剤排出口から最も突出した状態において前記先端部が前記現像剤排出口から突出した突出長さをR、前記軸方向と直交する方向の前記現像剤排出口の開口長さをTとした場合、(Q+R)2≦Q2+(T/2)2の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0026】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される画像形成部30と、定着部40と、トナーコンテナ50(現像剤収容容器)と、給紙部90と、を含む。
【0027】
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。前カバー11が開放されることで、トナーコンテナ50が前面側に露出する。これにより、ユーザーは、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。
【0028】
また、本体ハウジング10の側面には、左カバー12L(
図1)と、左カバー12Lとは反対側の右カバー12R(
図1には表れていない)とが、それぞれ鉛直方向に延びるように配設されている。左カバー12Lの前側部分には、本体ハウジング10内に空気を取り込むための吸気口12Laが配設されている。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。前カバー11と、後カバー12と、左カバー12Lと、右カバー12Rと、排紙部13とによって画定される内部空間S(
図2)に、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
【0029】
画像形成部30は、給紙部90から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(
図2には表れていない)、現像装置20、転写ローラー34(転写装置)及びクリーニング装置35とを含む。
【0030】
感光体ドラム31は、不図示のシャフトと、該シャフト回りに回転する円筒面と、を備える。円筒面には、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面に担持される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
【0031】
帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。
【0032】
クリーニング装置35は、不図示のクリーニングブレードを有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。
【0033】
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置20は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置20は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー21と、現像ハウジング210(
図3)の内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1攪拌スクリュー23及び第2攪拌スクリュー24とを含む。現像装置20は、被補給部として、トナーコンテナ50から補給トナーを補給される。なお、本実施形態に係る現像装置20については、後記で詳述する。
【0034】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の円筒面に当接し、転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
【0035】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
【0036】
トナーコンテナ50は、内部に補給トナー(補給現像剤)を貯留する。トナーコンテナ50は現像装置20に前記補給トナーを補給する。トナーコンテナ50は、補給トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51(容器本体)と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留された補給トナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置20内に供給される。また、トナーコンテナ50の上方を覆うコンテナ天板50Hは、排紙部13の下方に位置する(
図2参照)。
【0037】
給紙部90は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット91を含む(
図2)。この給紙カセット91は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット91のうち、本体ハウジング10内に収容されている部分の上面は、給紙カセット天板91Uによって覆われている。給紙カセット91には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット91の後端側の上部にはシート繰出部91Aが設けられている。このシート繰出部91Aには、給紙カセット91内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すための給紙ローラー91Bが配置されている。
【0038】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路92F及び反転搬送路92Bが備えられている。主搬送路92Fは、給紙部90のシート繰出部91Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路92Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路92Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0039】
主搬送路92Fは、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部を、下方から上方に向かって、通過するように延設される。また、主搬送路92Fの、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対93が配置されている。シートは、レジストローラー対93にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路92F及び反転搬送路92Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対94が配置されている。また、排紙口14の下方には、定着部40によって暖められた内部空間Sの空気を排気するための排気口75(
図1)が形成されている。
【0040】
反転搬送路92Bは、反転ユニット95の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット95の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対93の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット95は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路92Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路92Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置20が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット95も開放される。
【0041】
<現像装置の説明>
次に、本発明の一実施形態に係る現像装置20について詳述する。
図3は、現像装置20の内部構造を示す側断面図である。また、
図4(A)は、現像装置20の内部構造を示す平面図であり、
図4(B)は、現像装置20を前方から見た断面図である。現像装置20は、一方向(現像ローラー21の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210(ハウジング)を備える。現像ハウジング210は、一対の第1壁部210Aおよび第2壁部210B(
図4(A)、(B)参照)を備える。現像ハウジング210には現像剤が収容される。該現像ハウジング210は、第1壁部210Aおよび第2壁部210Bの間に内部空間220を有する。
【0042】
現像装置20は、現像ローラー21と、トナー補給口25(現像剤受入口)と、第1攪拌スクリュー23および第2攪拌スクリュー24と、層規制部材60と、を備える。本実施形態では、一成分現像方式として、内部空間220には、磁性材料を含むトナーが現像剤として収容されている。前記トナーは、内部空間220内において攪拌搬送されながら循環搬送され、静電潜像を現像するために、前記トナーが逐次現像ローラー21から感光体ドラム31に供給される。なお、他の実施形態において、非磁性一成分現像剤、二成分現像剤など、その他の現像剤が使用されてもよい。
【0043】
現像ローラー21は、一対の第1壁部210Aおよび第2壁部210Bの間において、現像ハウジング210に回転可能に支持され、表面にトナーを担持する。現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有する。現像ローラー21は、回転駆動される円筒形状のスリーブ21Sと、スリーブ21Sの内部に、軸方向に沿って固定配置される円柱形状のマグネット21Mとを備える(
図3)。スリーブ21Sは、不図示の駆動機構によって、
図3の矢印D31方向に回転駆動され、周面にトナーを担持する。マグネット21Mは、スリーブ21Sの内部に、スリーブ21Sの周方向に複数の磁極を有する固定磁石である。マグネット21Mは、周方向に配置される4つの磁極S1極、N1極、S2極、N2極を備える。
図3において、現像ローラー21を囲む曲線MCは、各磁極によってもたらされる現像ローラー21の半径方向の磁力を、スリーブ21S上の周方向の分布として示したものである。スリーブ21S上に担持されたトナーは、現像ハウジング210に配設された開口部(不図示)まで搬送され、対向する感光体ドラム31に供給される。
【0044】
現像ハウジング210の内部空間220は、左右方向に長尺の第1搬送路221(現像剤搬送路)と第2搬送路222とを含む。また、現像ハウジング210は、仕切板22を備える。仕切板22は、第1搬送路221と第2搬送路222とを仕切る。仕切板22は鉛直方向に立設される壁部である。第1搬送路221は、現像ハウジング210において現像ローラー21と間隔をおいて配置される。第2搬送路222は、現像ローラー21と第1搬送路221との間に配置され、現像ローラー21にトナーを供給する。仕切板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く設定される。
【0045】
また、現像ハウジング210は、第1連通路223と第2連通路224と、を備える。第1連通路223および第2連通路224は、仕切板22の左右方向の両端部と、前記第2壁部210Bおよび第1壁部210Aとの間に各々開口された連通路である。第1連通路223および第2連通路224は、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる。トナーは、第1連通路223において第1搬送路221から第2搬送路222に受け渡される。また、トナーは、第2連通路224において第2搬送路222から第1搬送路221に受け渡される。これにより、内部空間220には、第1搬送路221、第1連通路223、第2搬送路222及び第2連通路224に至る循環経路(現像剤搬送路)が形成される。トナーは、該循環経路内を
図4(A)において時計回りに搬送される。また、
図4(B)を参照して、第1連通路223および第2連通路224は、後記の第1攪拌スクリュー23の第1回転軸23a(第2攪拌スクリュー24の第2回転軸24a)よりも上方および下方に広がるように矩形状に開口されている。本実施形態では、一例として、第2連通路224の軸方向の長さAは130mmに設定され、仕切板22の軸方向の長さCは73mmに設定され、第1連通路223の軸方向の長さBは20mmに設定されている。
【0046】
トナー補給口25は、現像ハウジング210の天板211に穿孔された開口部であり、第1搬送路221の左端付近の上方に配置されている(
図4(A)、(B))。トナー補給口25は、仕切板22に隣接して配設され、トナーコンテナ50から補給される補給トナーを内部空間220の第1搬送路221に受け入れる機能を備える。本実施形態では、トナー補給口25は、平面視で長さEが14mm、前記長さと直交する幅が8mmの長方形の開口からなる。また、
図4(A)を参照して、第1連通路223の上流側端部から、トナー補給口25の下流側端部までの距離Zは、9.5mmに設定されている。
【0047】
第1攪拌スクリュー23(搬送スクリュー)は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23a回りにスパイラル状に突設(形成)された第1螺旋羽根23b(スクリュー羽根)とを含む。第1攪拌スクリュー23が、不図示の駆動機構によって第1回転軸23a回り(
図3の矢印D33、
図4(A)、(B)の矢印R2)に回転駆動されることで、
図4(A)、(B)の矢印D1方向(第3搬送方向)にトナーが搬送される。また、
図3を参照して、第1攪拌スクリュー23は、仕切板22と対向する領域を上方から下方に向かって回転する。本実施形態では、第1攪拌スクリュー23は、30〜50rpmで回転される。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置の下方を通過するようにトナーを搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第1搬送路221を搬送されるトナーとを混合し、混合されたトナーを第2搬送路222側に受け渡す。なお、本実施形態では、第1螺旋羽根23bの外径L2は14mmであり、軸方向のピッチは20mmに設定される。
【0048】
更に、第1攪拌スクリュー23のトナー搬送方向(矢印D1方向)下流側には、第1パドル23cが配設されている。第1パドル23cは、第1回転軸23a上に配設された板状部材である。第1パドル23cは、第1回転軸23aと共に回転され、
図4(A)の矢印D3方向に向かって、第1搬送路221から第2搬送路222にトナーを受け渡す。本実施形態では、第1パドル23cの軸方向の最大長さYは19mmに設定されている。更に、第1攪拌スクリュー23は、搬送能力抑制軸部26(搬送能力抑制部)を備える。搬送能力抑制軸部26は、トナー補給口25よりも前記第3搬送方向下流側において、仕切板22に対向して配置される。搬送能力抑制軸部26は、部分的に第1螺旋羽根23bが欠落され、第1回転軸23aのみが配置される部分である。搬送能力抑制軸部26は、第1攪拌スクリュー23の軸方向のトナー搬送能力を部分的に抑制する機能を備える。本実施形態では、搬送能力抑制軸部26の軸方向の長さXは10mmに設定されている。
【0049】
更に、第1攪拌スクリュー23は、抑制パドル28を備える。抑制パドル28は、トナー補給口25よりもトナー搬送方向上流側において、仕切板22に対向して配置される。抑制パドル28は、第1螺旋羽根23bの隣接する羽根同士の間に配設されたパドル部材である。抑制パドル28も、搬送能力抑制軸部26と同様に、第1攪拌スクリュー23の軸方向のトナー搬送能力を部分的に抑制する機能を備える。また、
図4(A)を参照して、第1搬送路221の下流側端部、すなわち、第2壁部210Bから抑制パドル28の上流側端部までの軸方向の距離Dは、70mmに設定されている。
【0050】
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24aと、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24bとを含む。第2攪拌スクリュー24は、不図示の駆動機構によって第2回転軸24a回り(
図3の矢印D32、
図4(A)の矢印R1)に回転駆動されることで、
図4(A)の矢印D2方向にトナーが搬送される。また、第2攪拌スクリュー24は、
図3を参照して、仕切板22と対向する領域を上方から下方に向かって回転される。本実施形態では、第2攪拌スクリュー24は、30〜50rpmで回転される。第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222内でトナーを搬送するとともに、現像ローラー21にトナーを供給する。なお、本実施形態では、第2螺旋羽根24bの外径L1は14mmであり、軸方向のピッチは20mmに設定される。また、第2攪拌スクリュー24は第1攪拌スクリュー23に対して水平方向において隣接し、第1攪拌スクリュー23と平行に配置される。第2攪拌スクリュー24は、現像ローラー21よりも、前方かつ下方の位置に配置される。第2攪拌スクリュー24は、現像ローラー21に対して、下方から上方にトナーを汲み上げることによって、スリーブ21Sにトナーを供給する。
【0051】
第2攪拌スクリュー24のトナー搬送方向(矢印D2方向)下流側には、第2パドル24cが配設されている。第2パドル24cは、第2回転軸24a上に配設された板状部材である。第2パドル24cは、第2回転軸24aと共に回転され、
図4(A)の矢印D4方向に向かって、第2搬送路222から第1搬送路221に、トナーを受け渡す。本実施形態では、第2パドル24cの軸方向の長さは20mmに設定される。
【0052】
層規制部材60は、現像ローラー21よりも、前方かつ上方の位置に配置される。層規制部材60は、現像ローラー21の軸方向に沿って、現像ローラー21(スリーブ21S)の周面に対向して配置される。層規制部材60は、現像ローラー21のうち、マグネット21MのS1極に対向して配置される。層規制部材60は、磁性材料から構成される板状部材である。層規制部材60は、現像ローラー21の回転軸と直交する断面において、現像ローラー21に向かう方向を長辺とする矩形形状を備える。層規制部材60の先端部は、現像ローラー21のスリーブ21Sと間隔(隙間)をもって配置される。この結果、前記先端部とスリーブ21Sとの間で、層規制ギャップGが形成される。層規制部材60は、第2攪拌スクリュー24からスリーブ21S上に汲み上げられた現像ローラー21上のトナーの層厚を規制する。
【0053】
第2攪拌スクリュー24は、スリーブ21Sの周面のうち、鉛直下方に面する第1の位置P1に向かって、トナーをスリーブ21Sに供給し、層規制部材60は、スリーブ21Sの周面のうち、鉛直上方に面する周面上であって、かつ、第1の位置P1の上方に位置する第2の位置P2において、スリーブ21S上のトナーの厚さを規制する。
【0054】
<滞留部について>
次に、本実施形態に係る現像装置20において、トナー補給口25から新たに補給されるトナーの流れについて説明する。
図5は、現像装置20に配設されたトナー補給口25およびトナーコンテナ50に配設されたトナー排出口521付近の断面図である。なお、
図5では、説明のために、トナーコンテナ50の配置を水平方向において90度回転させて示している。実際には、トナーコンテナ50内の回転部材54は、紙面手前に向かって延設され、第1攪拌スクリュー23と、トナーコンテナ50内の回転部材54とは、互いに直交する位置関係となっている。
【0055】
前述のトナーコンテナ50は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に配置されている。トナーコンテナ50は、内部にトナーが搬送されるトナー搬送路50aと、回転部材54と、トナー排出口521と、を備える。
【0056】
トナー排出口521は、現像装置20のトナー補給口25に対応して、トナーコンテナ50の底部に配設されている。回転部材54は、後記のとおり、回転軸541と該軸部回りに回転される第1搬送部材55および第2搬送部材56とを有し(
図8参照)、トナー搬送路50a内の補給トナーをトナー排出口521に向かって搬送する。トナー排出口521から落下したトナーは、トナー補給口25を介して、現像装置20に補給される。
【0057】
トナーコンテナ50のトナー排出口521から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。
【0058】
第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、前述の搬送能力抑制軸部26(搬送能力抑制部)を備える。搬送能力抑制軸部26は、第1回転軸23aの軸方向の現像剤搬送性能を有さない。このため、第1搬送路221内にトナー補給口25から流入したトナーは、搬送能力抑制軸部26によって滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、搬送能力抑制軸部26の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25の入口付近には、トナーの滞留部27が形成される。
【0059】
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、内部空間220内のトナー量が増えると、この滞留部27で滞留するトナーがトナー補給口25を塞ぎ(封止し)、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後、内部空間220内のトナーが現像ローラー21から消費され、滞留部27で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り、滞留部27とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から内部空間220に流入する。このように、本実施形態では、滞留部27に滞留するトナーの減少に伴って、すなわち前記トナーの嵩の変化を利用して、補給トナー量の受入量が調整される体積補給型のトナー補給形式が採用される。
【0060】
更に、本実施形態では、前述のようにトナー補給口25よりもトナー搬送方向上流側に抑制パドル28(上流側搬送能力抑制部)が配置される。抑制パドル28の回転に伴って、トナー補給口25の前記搬送方向上流側にもトナーの滞留部が形成される。トナーが前記滞留部を緩やかに流動することで、前記滞留部が第1搬送路221のうちトナー補給口25の上流側を部分的に封止する機能を備える。この結果、トナー補給口25から第1搬送路221に流入された補給トナーが、トナー補給口25よりもトナー搬送方向上流側に進入することが抑制される。
【0061】
<トナーコンテナの構造について>
次に、本実施形態に係るトナーコンテナ50の構造について、更に詳述する。
図6及び
図7は、トナーコンテナ単体の斜視図および側面図をそれぞれ示している。
図8は、トナーコンテナ50を回転軸541に沿って切断した断面図である。
図9は、トナーコンテナ50の回転部材54の斜視図である。
【0062】
現像ハウジング210のトナー補給口25(
図4)と、トナーコンテナ50のトナー排出口521とが上下方向に重なるように、現像装置20とトナーコンテナ50とが組み付けられる。トナーコンテナ50は、前述のように、現像ハウジング210の長手方向と直交する方向において、現像装置20に対して着脱される。トナーコンテナ50は上面視で一方向に長いハウジング形状を備えるので、現像装置20にトナーコンテナ50が装着された状態では、上面視で略L字型の構造体を形成することになる。
【0063】
前述の現像ハウジング210の天板211の上面には、トナー補給口25の上方を覆うように左右方向にスライド移動が可能な現像シャッター板(不図示)が配置されている。現像シャッター板は、不図示の付勢バネで常時左方向に付勢されている。
【0064】
図6および
図7を参照して、トナーコンテナ50の筒状部52の先端縁(他端部524)下部には、押圧板522が取り付けられている。また、筒状部52の先端面には、回転部材54に回転駆動力を入力するためのコンテナギア54Gが露出して配置されている。
【0065】
トナーコンテナ50が現像装置20に装着される際、トナー補給口25に対してトナーコンテナ50の筒状部52が前方から後方に進入する。この際、トナーコンテナ50の押圧板522が、トナー補給口25を塞いでいる状態の現像シャッター板と干渉し、当該現像シャッター板を右方へ移動させる。トナーコンテナ50の筒状部52が所定位置まで進入すると、トナー補給口25は完全に開放される。
【0066】
更に、
図8を参照して、トナーコンテナ50は、コンテナ本体51、筒状部52、蓋部材53及び回転部材54を含む。コンテナ本体51は、内部に補給トナー(現像剤)を収容する空間を形成するために、断面半円形状の底壁511と、該底壁511の一端縁から上方に延びる第1側壁512(
図10)と、前記底壁511の他端縁から上方に延び前記第1側壁512と対向する第2側壁513(
図7)と、筒状部52側の端縁部において第1側壁512及び第2側壁513を繋ぐ第3側壁514と、第1側壁512及び第2側壁513の上端縁同士を繋ぐ天壁515と、蓋部材53と対向する側の端縁に形成された第1フランジ部516(
図7)とを備えている。なお、コンテナ本体51の第1フランジ部516の側は、側部開口面とされている。
【0067】
コンテナ本体51は、底壁511の部分が最も幅が狭く、この底壁511から上方に向かうに連れて、第1側壁512と第2側壁513との間隔が広くなる縦長の外観形状を備えている。第1側壁512及び第2側壁513は平板状の部材であり、これら第1側壁512及び第2側壁513は断面視において直線状の内面を備えている。
【0068】
第3側壁514の上部には、トナーをコンテナ本体51内に充填するための開口を塞ぐキャップ517が取り付けられている。第2側壁513には、当該トナーコンテナ50の管理情報が記録された無線タグ518(
図7)が取り付けられている。また、第1側壁512及び第2側壁513の上端部付近には、底壁511が延びる方向に平行な一対の溝部519(
図7)が形成されている。この溝部519は、トナーコンテナ50が本体ハウジング10に装着される際に、本体ハウジング10側の図略のガイド部材でガイドされる部分である。
【0069】
筒状部52は、第3側壁514から、底壁511に連なって突設された円筒状の部分である。筒状部52の一端部523は、第3側壁514の下端部に連接され、コンテナ本体51の内部空間と筒状部52の内部空間とは連通状態とされている。筒状部52の他端部524は筒状部52の突出端であって、コンテナギア54Gは他端部524から更に外方に突出する状態で配置されている。筒状部52の底部525は、コンテナ本体51の底壁511に面一とされており、これにより断面半円形状の樋状部分が、第1フランジ部516から他端部524に亘って形成されている。筒状部52は、回転軸541の径方向の断面形状が円形である内壁面を備え、その一端部523から他端部524に向けて、僅かに先細りのテーパ形状とされている。
【0070】
上述の通り、筒状部52にはトナー排出口521が設けられ、当該筒状部52が現像装置33に装着される。この結果、トナー排出口521はトナー補給口25に対向して配置される。なお、トナー排出口521は、筒状部52の底部525(下面)に配置された落下口である。前記装着の際に現像ハウジング210の一部と係合する係合部526(
図7)が、底部525に配置されている。コンテナ本体51内に貯留されているトナーは、後述する回転部材54の回転駆動により筒状部52に送り出され、トナー排出口521から吐出される。
【0071】
図8に示すように、トナー排出口521は、底部525の、他端部524の近傍に設けられている。筒状部52のトナー排出口521の下面には、筒状部52の延びる方向(回転軸541の軸方向)に沿ってスライド移動するシャッター板527(シャッター)が取り付けられている。シャッター板527は、図略の付勢部材により常時トナー排出口521を塞ぐよう、他端部524の方向に付勢されている。一方、筒状部52が現像装置33に装着される際、シャッター板527は現像ハウジング210の一部と干渉して、一端部523の方向にスライド移動する。
図8は、シャッター板527が後退してトナー排出口521を開放している状態を示している。このように、シャッター板527は、スライド移動することで、トナー排出口521を封止および開放する。なお、シャッター板527と上述の係合部526とは一体の部材である。
【0072】
蓋部材53は、コンテナ本体51の側部開口面を覆うもので、凹形状を備えた蓋本体部531と、蓋本体部531の周縁に設けられ第1フランジ部516と突き合わされる第2フランジ部532とを備える。蓋本体部531の内面下端には、後述する回転部材54の回転軸の第1端部542を回転自在に支持する軸支部533が設けられている。軸支部533に第1端部542が挿入された状態で、第2フランジ部532は第1フランジ部516に溶着される。
【0073】
回転部材54は、コンテナ本体51の底壁511から筒状部52に亘って配置され、軸回りに回転駆動されることによりコンテナ本体51内のトナーをトナー排出口521に搬送する部材である。
図8および
図9に示すように、回転部材54は、回転軸541と、この回転軸541と一体回転する第1搬送部材55、第2搬送部材56及び一対の分散部材57とを備えている。
【0074】
回転軸541は、底壁511の延びる方向に延在するように配置され、その両端に第1端部542及び第2端部543を備えている。第1端部542は、蓋部材53の軸支部533で回転自在に支持されている。第2端部543には、筒状保持片544(保持片)が一体的に取り付けられている。この筒状保持片544に、コンテナギア54Gの胴部545が嵌め入れられることで、コンテナギア54Gと回転軸541とが一体化されている。胴部545は、筒状部52の他端部524で回転自在に支持されている。このように、回転軸541は、コンテナ本体51および筒状部52に回転可能に支持されている。
【0075】
また、筒状保持片544には、トナー排出口521(落下口)にトナーを送り出す可撓性のフィルム部材546(可撓性部材)が取り付けられている。フィルム部材546は、矩形状の薄いPETフィルムであり、回転軸541の軸方向と直交する方向に突出して、筒状保持片544の周面に取り付けられている。フィルム部材546は、回転軸541の回転時に周回し、筒状部52の他端部524付近に存在するトナーを流動化させ、トナー排出口521に送り出す。
【0076】
第1搬送部材55は、回転軸541と一体で、回転軸541の周面にスパイラル状(螺旋状)に突設された搬送部材である。第2搬送部材56は、回転軸541の外周に、回転軸541及び第1搬送部材55との間にギャップを置いて配置された中空のスパイラル状(螺旋状)の搬送部材である。つまり、第2搬送部材56は、回転軸541の周面上であって、第1搬送部材55よりも径方向外側に配置されている。一対の分散部材57は、回転軸541とほぼ同じ長さを有し且つ回転軸541と平行に配置される棒状の部材であって、第2搬送部材56の側部をそれぞれ連結する部材である。一の分散部材57と他の分散部材57とは、回転軸541の周方向に180度の間隔をおいて配置されている。
【0077】
換言すると、第2搬送部材56は複数の半円形のアーチ状搬送片からなり、一対の分散部材57によりこれらアーチ状搬送片が一体化され、その結果として、軸心付近に中空部を備えたスパイラル状の第2搬送部材56が形成されている。前記第2搬送部材56の中空部の内径は、第1搬送部材55のスパイラル外径よりも大きい。そして、前記中空部の中に、第1搬送部材55を周面に備えた回転軸541が同心状に挿通された態様が、本実施形態の回転部材54の構成である。なお、第1搬送部材55のスパイラル方向と、第2搬送部材56のスパイラル方向は逆方向である。
【0078】
第2搬送部材56の第2端部543側(筒状部52側の端部)には、半円形のアーチ状搬送片からなるスパイラル片56Rが取り付けられている。このスパイラル片56Rは、第2搬送部材56のアーチ状搬送片と略同じサイズである。しかし、第2搬送部材56のアーチ状搬送片とはスパイラル方向が逆となるように、スパイラル片56Rは、一対の分散部材57間に取り付けられている。
【0079】
一対の分散部材57は、その端部571において連結ピース572によって連結されている。連結ピース572は、その中央部において、回転軸541の第1端部542付近に固着されている。
図9には表れていないが、第2端部543の側にも同様な連結ピースが配置されている。すなわち、回転軸541と、第2搬送部材56及び分散部材57とは連結ピース572によって一体化されており、回転軸541が回転すると、第2搬送部材56及び分散部材57も一体回転する。
【0080】
前述の回転軸541は、コンテナ本体51から筒状部52に跨って架設されており、
図9に示している通り、コンテナ本体51内に位置する第1部分54Aと、筒状部52内に位置する第2部分54Bとを含む。第1搬送部材55は、回転軸541の軸方向のほぼ全長に亘って形成されている。つまり、回転軸541の第1部分54A及び第2部分54Bの双方に相当する部分の周面上に、第1搬送部材55は形成されている。なお、第1搬送部材55は、回転軸541の少なくとも第2部分54Bに配置されている態様でもよい。一方、第2搬送部材56は、第1部分54Aに相当する領域にのみ配置されている。スパイラル片56Rは、第1部分54Aにおける第2部分54Bとの境界部の近傍に、第2搬送部材56の端部に連接される形態で配置されている。分散部材57は、第1部分54A及び第2部分54Bの双方に跨って配置されている。
【0081】
コンテナギア54Gに、回転軸541を所定の回転方向に回転させる回転駆動力が与えられると、第1搬送部材55及び第2搬送部材56は、それぞれのスパイラル方向に応じてトナーの搬送力を発生する。第2搬送部材56は、コンテナ本体51側から筒状部52(トナー排出口521)側に向かう方向(以下、第2搬送方向)に、トナーを搬送する。つまり、第2搬送部材56は、回転軸541の第1端部542側から第2端部543側に向けてトナーを搬送する。これに対し、第1搬送部材55は、トナーを筒状部52側からコンテナ本体51側に戻す方向(以下、第1搬送方向)に、トナーを搬送する。つまり、第1搬送部材55は、回転軸541の第2端部543側から第1端部542側に向けてトナーを搬送する。
【0082】
一方、分散部材57は、第1搬送部材55及び第2搬送部材56によって搬送されるトナーを、回転軸541の径方向外側へ分散させる役目を果たす。すなわち、分散部材57は、第1搬送部材55又は第2搬送部材56のスパイラル片によって推進力を与えられたトナーの周囲に存在するトナーを、径方向外側へ分散する。これにより、トナーの前記第1搬送方向又は第2搬送方向への移動が促進される。
【0083】
スパイラル片56Rは、第2搬送部材56のスパイラル方向は逆方向に配置されているので、トナーを第1搬送方向に搬送する。スパイラル片56Rの役目は、コンテナ本体51の、筒状部52との境界部付近において、トナーを筒状部52からコンテナ本体へ積極的に戻す搬送力を発生させることにある。
【0084】
<可撓性部材の構造および作用について>
次に、本発明の第1の実施形態に係るフィルム部材546の構造について更に詳述する。前述のように、本実施形態では、トナーコンテナ50が現像装置20に装着されると、トナー排出口521がトナー補給口25に対向して配置される。この際、
図5に示すように、鉛直方向においてトナー排出口521とトナー補給口25との間には所定の間隔が形成されている。これは、前述のように、トナー排出口521を塞ぐために、シャッター板527がスライド移動可能に配置されるためである。このように、コンテナ本体51とトナー補給口25との間には、トナーを搬送する搬送部材が存在せず、専らトナーの自由落下によってトナーが移動する。この結果、トナー排出口521とトナー補給口25との間でトナーが滞留し、トナーの凝集(ブロッキング)が発生しやすくなる。
【0085】
更に、本実施形態では、前述のように、体積補給型のトナー補給機構が採用されている。現像装置20の現像ハウジング210内に多くのトナーが収容されている場合、トナー補給口25の下方を前記トナーが塞いだ状態となる。この状態で、回転部材54の回転に伴って、トナー排出口521から下方に向かって補給トナーが供給可能な状態とされると、トナー排出口521とトナー補給口25との間で、トナーの凝集が生じやすくなる。
【0086】
特に、現像装置20およびトナーコンテナ50の回転体を回転駆動させる駆動機構を可能な限り削減するために、現像装置20の現像ローラー21、第1攪拌スクリュー23および第2攪拌スクリュー24やトナーコンテナ50の回転部材54が、同一の駆動機構によって同期して回転される場合がある。この場合、現像ハウジング210内のトナー量に関わらず、回転部材54が第1攪拌スクリュー23と同期して回転するため、トナー排出口521とトナー補給口25との間で更にトナーが凝集しやすくなる。
【0087】
上記のような課題を解決するために、第1攪拌スクリュー23(
図5)から径方向に向かって弾性部材(不図示)が配置される場合がある。当該弾性部材は第1攪拌スクリュー23と共に回転することで、周期的にトナー補給口25から上方に突出する。この結果、トナー排出口521とトナー補給口25との間でトナーが凝集することが防止される。しかしながら、この場合、トナー排出口521からトナー補給口25を介して現像ハウジング210に流入する補給トナーを、前記弾性部材がトナーコンテナ50側に押し戻しやすくなる。この結果、補給トナーが安定して現像装置20に補給されず、画像上に濃度低下が発生する。更に、現像装置20からトナーコンテナ50に押し戻されたトナーは、現像装置20の内部で少しずつ劣化しているため、トナーコンテナ50の内部に収容されているトナーと比較して、帯電性が異なる。このように帯電性が異なるトナーが混合された後に、再び現像装置20に補給されると、現像ハウジング210内のトナーの帯電性が不安定となり、画像上にトナーかぶりが発生しやすくなる。
【0088】
本実施形態では、上記のようなトナー凝集を抑止するとともに、安定して現像装置20にトナーを補給するために、トナーコンテナ50が前述のフィルム部材546を備える。
図10は、本実施形態に係るトナーコンテナ50のトナー排出口521付近を後方から見た断面図である。
図10は、
図7の断面A−Aにおける断面図である。
図11および
図12は、トナーコンテナ50のトナー排出口521付近を左方から見た断面図である。
図11および
図12は、トナーコンテナ50を回転軸541に沿って切断した断面図に相当する。なお、
図12には、筒状部52の底面図が下方に図示されている。
図12において、Pは、第1搬送部材55とフィルム部材546とが軸方向においてオーバーラップしている領域の幅である。Qは、回転軸541の回転中心からトナー排出口521の底面までの距離である。また、Rは、フィルム部材546の後記の突出先端部546A1がトナー排出口521から突出した長さである。更に、Sは、矩形状に形成されたトナー排出口521の軸方向の開口長さであり、Tは、トナー排出口521の左右方向(軸方向と直交する方向)の開口幅である。
【0089】
図10および
図11を参照して、フィルム部材546は、トナー排出口521に対向して回転軸541の第2部分54Bから回転軸541の径方向に向かって突設されている。なお、
図10に示すように、本実施形態では、フィルム部材546は、回転軸541の筒状保持片544の外周部から延設されており、筒状保持片544の回転中心から所定の距離だけずれた位置に配置されている。
【0090】
また、
図11を参照して、フィルム部材546は、突出部546Aと、搬送部546Bと、固定部546Cとを備える。突出部546Aおよび搬送部546Bは、筒状保持片544(
図10)から径方向に延設される部分である。
【0091】
詳しくは、突出部546Aは、フィルム部材546のうち、トナー排出口521に対向して配置される部分である。突出部546Aは、
図11に示すように、径方向外側に向かって先細形状からなる。特に、本実施形態では、
図11に示される断面視において、フィルム部材546の突出部546Aは、径方向外側に向かって先細の三角形状からなる。また、突出部546Aの先端部である突出先端部546A1(
図12)(先端部)は、鋭角からなる。
【0092】
一方、搬送部546Bは、突出部546Aの第2搬送方向上流側に連設され、回転軸541とともに筒状部52の内部において回転する。
図11に示すように、搬送部546Bの第2搬送方向上流側部分は、径方向外側に向かって第2搬送方向上流側に傾斜するように延設されている。この際、
図12に示すように、搬送部546Bの第2搬送方向上流側の端部(搬送上流端546B1)は、第1搬送部材55の第2搬送方向下流側の端部(第2端部543)よりも第2搬送方向上流側に配置されている。また、搬送部546Bの径方向外側の外縁部は、回転軸541の軸方向に沿って延設されている。そして、前記外縁部は、筒状部52の内壁と所定の間隔をおいて配置されている。このため、搬送部546Bの外縁部は、回転軸541まわりの回転に伴って、筒状部52の内壁よりも径方向内側を周回する。
【0093】
固定部546Cは、フィルム部材546のうち突出部546Aおよび搬送部546Bとは径方向において反対側に配置されている。固定部546Cは、フィルム部材546に開口された複数の穴部であり、筒状保持片544から突設された突起(不図示)に嵌め込まれている。この結果、フィルム部材546が筒状保持片544、回転軸541と一体的に回転する。
【0094】
図10を参照して、フィルム部材546が筒状保持片544(回転軸541)回りに、矢印R3方向に回転すると、突出部546Aの突出先端部546A1(
図12)は、筒状部52の内壁に摺擦した後、トナー排出口521から筒状部52よりも径方向の外側に突出する(
図11)。この結果、回転部材54によってコンテナ本体51から筒状部52のトナー排出口521に向かって搬送されたトナーは、回転軸541回りに回転するフィルム部材546によってトナー排出口521から下方に排出される。そして、前記トナーは、現像装置20のトナー補給口25から現像ハウジング210に流入する。この際、フィルム部材546の突出先端部546A1が、トナー排出口521とトナー補給口25との間に突出するため、突出先端部546A1がトナー排出口521とトナー補給口25との間に配置されるトナーを崩すことによって、トナーが凝集することが抑止される。したがって、トナーコンテナ50から現像装置20に安定してトナーが補給される。
【0095】
なお、
図10および
図11に示すように、フィルム部材546の突出先端部546A1がトナー排出口521から突出した状態において、フィルム部材546の他の部分は筒状部52の内壁に接触していない。特に、前述のように、搬送部546Bの外縁部は、筒状部52の内壁に対して所定の隙間をおいて配置されている。この結果、フィルム部材546の突出先端部546A1が筒状部52の内壁から脱離する際に、フィルム部材546の弾性力が開放され、突出先端部546A1がトナー排出口521の外側に勢い良く弾けるように突出する。このため、トナー排出口521とトナー補給口25との間に配置されるトナーがフィルム部材546の突出先端部546A1によって強く撹拌され、トナーのブロッキングが抑制される。
【0096】
更に、本実施形態では、
図11に示すように、突出部546Aは径方向外側に向かって先細の三角形形状を備える。このため、突出先端部546A1がトナー排出口521の外側に突出した際に、
図11の矢印に示すように、突出部546Aによって押し出されたトナーが軸方向に移動可能とされる。この結果、トナー排出口521とトナー補給口25との間に配置されるトナーが、現像ハウジング210の内部に向かって過剰に強く押圧されることが防止される。特に、本実施形態では、前述のように、体積補給型のトナー補給形式が採用されているため、トナー補給口25側から滞留部27(
図5)に対して強い押圧力が加わると、滞留部27が崩されてしまう。この場合、現像ハウジング210の内部に過剰にトナーが補給されてしまう。これに対し、上記のように、突出部546Aが先細形状からなる場合、滞留部27が崩れることが抑止され、体積補給型のトナー補給が安定して維持される。
【0097】
一方、上記のように、突出先端部546A1がトナー排出口521から下方に突出した状態で、トナーコンテナ50が現像装置20から脱離されると、シャッター板527のスライド移動によって、突出先端部546A1がシャッター板527と筒状部52の底部525との間に挟み込まれてしまう。この場合、トナー排出口521の周囲に隙間が形成され、トナー漏れが生じやすくなる。しかしながら、本実施形態では、上記のように突出部546Aが先細の三角形状からなるため、シャッター板527が閉められる際、シャッター板527が突出部546Aの斜辺に接触すると、突出部546Aが回転軸541の周方向に湾曲するとともに筒状部52の内部に収容される。このため、突出部546Aがシャッター板527の移動を妨げることが抑止されるとともに、突出部546Aがシャッター板527と筒状部52との間で挟みこまれることが抑止される。
【0098】
特に、突出部546Aが直線的な辺を含む三角形状からなる場合、シャッター板527が突出部546Aに接触した際に、フィルム部材546の突出部546Aが筒状部52の内部にスムーズに収容される。また、フィルム部材546の突出先端部546A1が鋭角からなることによって、シャッター板527のより短いストロークで、フィルム部材546の突出部546Aを筒状部52の内部に収容することができる。更に、突出先端部546A1がトナー排出口521の外側に突出した際に、トナー排出口521とトナー補給口25との間に配置されるトナーが過剰に強く押圧されることが一層防止される。
【0099】
また、本実施形態では、前述のように、回転部材54が第1搬送部材55および第2搬送部材56を備える。筒状保持片544には、コンテナギア54Gの胴部545が嵌め込まれている。また、筒状保持片544は、フィルム部材546を支持している。このような筒状保持片544の機能を確保するために、第1搬送部材55の第2搬送方向下流側の端部(第2端部543)は、トナー排出口521よりも第2搬送方向上流側に配置されている。
【0100】
第2搬送部材56によってコンテナ本体51からトナー排出口521に向かって搬送されたトナーのうち、トナー排出口521から排出されなかったトナーは、第1搬送部材55によって再びコンテナ本体51に向かって搬送される。フィルム部材546の搬送部546Bの搬送上流端546B1(
図12)が第1搬送部材55の第2端部543よりも第2搬送方向上流側に配置されている。すなわち、
図12に示すように、第1搬送部材55およびフィルム部材546には、オーバーラップ幅Pが形成されている。このオーバーラップ幅Pが形成されていると、第2搬送部材56および分散部材57(
図9)によって第2端部543の周辺まで搬送されたトナーが、回転する搬送部546Bによってトナー排出口521まで誘導される。このため、コンテナ本体51の内部から筒状部52およびフィルム部材546の搬送部546Bを介して、トナー排出口521まで確実にトナーを搬送することができる。すなわち、第2搬送部材56によって搬送されたトナーの多くがトナー排出口521に至る前に再びコンテナ本体51側に搬送されることが防止される。更に、前述のように、搬送部546Bの径方向の外縁部が筒状部52の内壁に接触していないため、突出部546Aがトナー排出口521から突出する際のフィルム部材546の弾性力の開放を、搬送部546Bが妨げることが防止される。
【0101】
次に、
図13を参照して、本発明の第2の実施形態に係る回転部材54M1に装着されたフィルム部材546について説明する。なお、本実施形態では、先の第1の実施形態との相違点について説明し、共通する特徴の説明を省略する。
図13は、回転部材54M1によってからトナーがトナー排出口521から排出される様子を示した模式図である。
図13は、トナー排出口521およびトナー補給口25が対向して配置されるとともに、現像装置20M1の一部が破線で示されている。
図13に示す回転部材54M1は、先の第1の実施形態に係る回転部材54と比較して、第2搬送部材56が回転軸541の第2部分54Bにも配置されている点で相違する。なお、
図13では、回転部材54M1の第1搬送部材55の図示は省略されている。このように、回転部材54M1の第2部分54Bにも第2搬送部材56が配置されている場合、筒状部52の内部において積極的にトナーがトナー排出口521に向かって搬送される。
【0102】
一方、
図13に示すように、現像装置20M1の第1攪拌スクリュー23が矢印R2方向に回転され、トナーが搬送される方向(第3搬送方向)は、第2搬送部材56がトナーを搬送する方向(第2搬送方向)と直交する方向である。そして、トナー排出口521がトナー補給口25の上方に配置され、先の第1の実施形態と同様に、フィルム部材546の突出先端部546A1(
図12)が、トナー排出口521とトナー補給口25との間に突出する。
【0103】
この際、本実施形態では、
図13のように互いに対向して配置されたトナー排出口521およびトナー補給口25を上方から見た場合に、フィルム部材546の突出部546Aは、回転軸541まわりの回転に伴って、領域GAに向かってトナー排出口521から突出する。ここで、領域GAとは、トナー補給口25のうち第1攪拌スクリュー23のスクリュー羽根が下方から上方に向かって移動する領域に相当する。この領域GAでは、第1攪拌スクリュー23の矢印R2方向への回転に伴って、トナーが下方から上方に押し上げられる。このため、トナー排出口521とトナー補給口25との間で特にトナーの凝集が生じやすい。
【0104】
加えて、領域GAでは、第2搬送部材56のスクリュー羽根が回転軸541まわりの回転(矢印R3)に伴って上方から下方に移動する。このため、第2搬送部材56の回転力を受けて、トナーがトナー排出口521から下方に強く排出されやすい。すなわち、領域GAでは、現像装置20M1の内部のトナーがトナー補給口25から上方に向かって押し上げられるとともに、筒状部52の内部のトナーがトナー排出口521から下方に押し込まれている。このため、トナー排出口521とトナー補給口25との間で、特に、トナーの凝集が生じやすくなる。したがって、領域GAに向かってフィルム部材546の突出先端部546A1(
図12)が突出するように、各部材の位置が配置されることで、上記のトナーの凝集を抑止することができる。なお、第2搬送部材56が第2部分54Bに配置されていない場合であっても、領域GAに向かってフィルム部材546の突出先端部546A1が突出することで、同様にトナーの凝集を抑止することができる。
【0105】
次に、
図14を参照して、本発明の第3の実施形態に係る回転部材54M2に装着されたフィルム部材61について説明する。なお、本実施形態では、先の第1の実施形態との相違点について説明し、共通する特徴の説明を省略する。
図14は、筒状部52の内部に配置された回転部材54M2をトナー排出口521付近で見た断面図である。
図14は、筒状保持片544(回転軸541)の軸方向と直交する断面図である。
【0106】
本実施形態では、先の第1の実施形態と比較して、フィルム部材61が筒状保持片544の回転中心を通る直線に沿って延設されている点で相違する。なお、フィルム部材61の軸方向(前後方向)における形状は、先のフィルム部材546と同様である。
図14において、フィルム部材61が矢印R3方向に回転されると、フィルム部材61の径方向の先端部は、筒状部52の内壁に摺擦した後、トナー排出口521から筒状部52よりも径方向の外側に突出する。
図14では、先の
図12と同様に、Q、RおよびTが図示されている。すなわち、Qは、回転軸541の回転中心からトナー排出口521の底面までの最短距離である。また、Rは、フィルム部材61の先端部がトナー排出口521から突出した長さである。更に、Tは、トナー排出口521の左右方向(回転軸541の軸方向と直交する方向)の開口幅である。なお、トナー排出口521は、筒状部52の周方向の一部が下方に向かって切り込まれた形状からなる。
【0107】
本実施形態では、(Q+R)2≦Q2+(T/2)2の関係が満たされるように、フィルム部材61の長さおよびトナー排出口521の形状が設定されている。すなわち、回転軸541回りの回転に伴ってトナー排出口521から突出したフィルム部材61の先端部は、更に回転軸541が回転されると、トナー排出口521の下端部52Gに至る。このとき、上記の関係式が満たされると、フィルム部材61の先端部が下端部52Gに当接する、または、前記先端部が下端部52Gよりも筒状部52の内側に入り込むこととなる。
その後、フィルム部材61は、筒状部52の内壁に摺擦しながら回転する。このため、フィルム部材61がトナー排出口521よりも下方のトナーを崩す作用が発現されるとともに、フィルム部材61を確実に筒状部52の内部に収容することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態に係るトナーコンテナ50およびこれを備えた画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0109】
(1)上記の実施形態では、フィルム部材546の突出部546Aが、先細の三角形状からなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図15は、本発明の変形実施形態に係るフィルム部材62を備えた回転部材54M3の周辺の断面図である。フィルム部材62は、突出部62Aと搬送部62Bとを備える。搬送部62Bの形状は、先の第1の実施形態の搬送部546Bと同様である。一方、突出部62Aは、回転軸541から矩形形状をもって突設されている。このような場合であっても、フィルム部材62の突出部62Aの径方向の先端部は、回転軸541の回転に伴って、筒状部52の内壁に摺擦した後、トナー排出口521から径方向の外側に突出する。このため、トナー排出口521よりも下方に排出されたトナーの凝集を崩すことが可能となる。なお、本変形実施形態でも、フィルム部材62の先端部がトナー排出口521から突出した状態において、フィルム部材62の他の部分は筒状部52の内壁に接触していないことが望ましい。このため、搬送部62Bの径方向の外縁部は、筒状部52の内壁に対して所定の間隔をおいて配置されている。更に、本変形実施形態においても、フィルム部材62の突出部62Aのうち、シャッター527に対向する端縁が傾斜形状を有する。このため、シャッター板527が突出部62Aの傾斜部分に接触すると、突出部62Aが回転軸541の周方向に湾曲するとともに筒状部52の内部にスムーズに収容される。
【0110】
(2)上記の実施形態では、現像剤として磁性トナーが採用される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像剤として、非磁性トナーからなる一成分現像剤や磁性キャリアを含む2成分現像剤が採用されてもよい。また、トナーコンテナ50からトナーが補給される被補給部は、現像装置20に限定されるものではなく、一時的に補給トナーが貯留される中間ホッパーなどでもよい。