(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
感圧テープは、家庭及び職場の実質上至る所に存在する。その最も簡単な構成では、感圧テープは、接着剤及び裏張りを備え、一般的な構成物は、使用温度下で粘着性があり、接着を生じさせるために適度な圧力を用いるだけで種々の基材に付着する。この様式において、感圧テープは、完全に自己完結型の接着系を構成する。
【0003】
感圧テープ協議会によると、感圧接着剤(PSA)は、次の特性を有することが知られている:(1)強力でかつ恒久的な粘着性、(2)指圧以下での粘着性、(3)被着体又は基材上への十分な保持力、及び(4)被着体からきれいに除去するのに十分な貼着力。PSAとして良好に機能することが判明している材料としては、粘着、剥離接着、及び剪断保持力に関し望ましいバランスを得るのに必要とされる粘弾性特性を示すように設計及び処方されたポリマーが挙げられる。PSAは、室温(例えば、20℃)で通常の粘着性を示すことを特徴とする。PSAは、粘着性、すなわち表面への付着性だけで複合体を抱持するわけではない。
【0004】
これらの要件は概して、A.V.Pocius in Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction,2
nd Ed.,Hanser Gardner Publication,Cincinnati,OH,2002に記されるように、粘着、付着(剥離強度)、及び凝集(剪断保持力)を個々に測定するように設計された試験によって評価される。これらの測定値は、共に、PSAを特徴付けるうえでしばしば用いられる性質群を調整する構成要素となる。
【0005】
長年にわたる感圧テープの使用の拡大に伴い、求められる性能はより厳しくなっている。例えば、剪断保持力は、当初は室温での中程度の荷重を支えるための用途を目的にされていたが、現在では、操作温度や荷重の観点からの、剪断保持力は、多くの用途に際し実質的に増加している。いわゆる高性能感圧テープは、荷重を高温で10,000分間支持することができるテープである。剪断保持力の増強は、通常PSAを架橋することで得られるが、その際、高度の粘着性と付着性を保持し、前述の特性バランスを保持させるためには相当の注意を払う必要がある。
【0006】
現在、天然ゴム又は合成ゴム、ブロックコポリマー、及びアクリル酸エステルポリマー組成物などの様々な感圧接着剤(PSA)材料を入手することができる。PSAに求められる性能が厳しくなったことから、過去半世紀の間に特にアクリル酸エステルPSAがかなり集中的に開発されてきた。アクリル系PSAは、厳密に調整することで数多くの所望の特性、例えば、弾性、粘着性、透明性、酸化耐性及び太陽光耐性などを提供し得るものであり、それに加え、テープの貼付に必要とされる程度の付着及び凝集を有し得る。
【0007】
付着性及び凝集性が望ましいバランスであることがすべてのPSAの中核をなす。多くの場合、このバランスは、アクリル酸エラストマーのガラス転移温度及び弾性率などといった物理特性を最適化させることで達成される。例えば、エラストマーのガラス転移温度(T
g)又は弾性率が高すぎるものであり、粘着性に関するダルキストの基準を上回る(室温でかつ1Hzの振動周波数にて、3×10
6dynes/cm
2の貯蔵弾性率)場合、材料は粘着性ではなくなり、PSA材料として有用ではなくなる。このような事例では、多くの場合、低分子量でT
gの高い樹脂ポリマー(粘着付与剤)又は低分子量でT
gの低いポリマー(可塑剤)を使用することで、T
g及び弾性率がPSAに最適な範囲に調整される。
【0008】
現在のアクリル酸エステルPSAは、典型的には、T
gの低い非極性モノマー、並びに少量の極性アクリル酸モノマー(例えばアクリル酸)を主に含む、エラストマーポリマーである。PSAに広く使用されている、T
gの低い2種類のアクリレートは2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)及びアクリル酸イソオクチル(IOA)であり、それぞれ炭素原子数8個(C
8)のアルキル鎖を提供する。アルキル鎖は、より長くあるいはより短くなると、PSA性能の点で様々な不利益を有するようになる。例えば、より短いアルキル鎖(例えば、ブチルアクリレート−C
4)では、エラストマーのT
g及び弾性率が有意に増加し、室温貯蔵弾性率が3×10
6dynes/cm
2を超えて増加する恐れがある。あるいは、より長いアルキル鎖(例えば、ラウリルアクリル酸−C
12)では、ポリマー内に結晶基(crystallinegroups)が誘導され、同様に粘着性の度合いを有意に低下させる恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の感圧接着剤は、2−アルキルアルカノール:すなわち、Guerbetアルカノールから誘導される少なくとも1種のモノマーを含む、(メタ)アクリレート接着剤である。感圧接着剤は、C
1〜C
12の(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも1種と、酸官能性モノマーを1種以上とを含んでよく、場合により非酸官能性極性モノマーを1種以上含んでもよい。本発明の感圧接着剤は、架橋剤のような接着剤の物理的特性を改善するために添加してよい他のモノマー、及び粘着付与剤又は可塑剤のような他の添加剤を場合により含む。
【0019】
Guerbet(メタ)アクリレートの、2−アルキルアルカノールのモル当たりの平均炭素原子数は、12〜32(C
12〜C
32)であり、好ましくは12〜20(C
12〜C
20)である。場合によりb)C
1〜12アルカノール(メタ)アクリレートが存在する場合、a)及びb)(メタ)アクリル酸エステルのアルカノールのモル平均炭素数は12〜20(C
12〜C
20)である。モル平均炭素数は、各アルカノール(Guerbet及びC
1〜12アルカノール)のモル数を合計し、各アルカノールの炭素数を乗じ、得られた値をアルカノールの合計モル数により除算することにより算出することができる:
【0021】
2−アルキルアルカノールの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、C
12〜C
32Guerbetアルカノール、好ましくはC
12〜C
20Guerbetアルカノールから誘導される。これらのGuerbetアルカノールは、炭素原子を4〜14個及び好ましくは6〜12個含有している直鎖及び/又は分岐鎖アルカノールの、塩基触媒による自己縮合により得られる。Guerbetアルカノールの調製には、一級又は二級アルカノールを使用することができる。
【0022】
Guerbetアルカノールが、同一の又は異なるアルカノールから生成することができる(すなわち、ホモ又はヘテロ系)ことは当該技術分野で既知である。すなわち、Guerbetアルカノールは、ヒドロキシル官能性を保有しているアルカノールのβ炭素で結合した2つのアルカノール分子の、縮合生成物である;すなわち、2−アルキルアルカノールである。したがって、得られる生成物は、ヒドロキシル基を1つ含有する分岐型第一級アルカノールである。Guerbet反応において開始材料の混合物を使用し、アルカノール生成物の混合物へと縮合させることができる。単鎖アルカノール由来のGuerbetアルカノール生成物を得ることもできる。極性、T
g及び弾性率の面から、モル平均炭素原子数が12〜32のGuerbetアルカノールが使用されることが所望される。Guerbetアルカノールの概説は、A.J.O’Lennickにより、Soap Cosm.Chem.Spec.(April)52(1987)で公開されている。Guerbetアルカノールの製造方法に関し、米国特許第6,419,797号(Sherf et al.)を参照することもできる。
【0023】
Guerbetアルカノールから誘導される(メタ)アクリレートエステルモノマーは、式:
【0024】
【化1】
(式中、
R
Guerbetは、C
12〜C
322−アルキルアルカノールから誘導され、すなわち、アルキル基は2箇所で分岐し;及び
R
3はH又はCH
3である)のものである。
【0025】
好ましくは、Guerbetアルカノールから誘導される(メタ)アクリレートエステルモノマーは、式:
【0026】
【化2】
(式中、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、C
4〜C
14の、飽和型分枝鎖又は直鎖アルキルであり;及び
R
3はH又はCH
3である)のものである。
【0027】
接着剤組成物は、Guerbet(メタ)アクリレートホモポリマーを含み得る。多くの好ましい実施形態では、接着剤コポリマーは、合計モノマー100部に対し51〜99重量部のGuerbet(メタ)アクリレートを含む。
【0028】
好ましくは、Guerbetアルカノールは直鎖アルカノールから誘導され、すなわちR
1及びR
2は直鎖アルキル基である。このような「直鎖Guerbetアルカノール」の(メタ)アクリレートエステルは、R
1及びR
2が分岐しているモノマーと比較して低いT
g及び貯蔵弾性率を提供することが判明している。得られる接着剤(コ)ポリマーのT
gは、−20℃以下、好ましくは−30℃以下、最も好ましくは−40℃以下である。
【0029】
感圧接着剤コポリマーは、C
1〜C
12(メタ)アクリレートエステルモノマーの共重合モノマー単位を更に含み得る。C
1〜
12(メタ)アクリレートエステルモノマーとして用いるのに好適なモノマーの例としては、非第三級アルコール、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、イソオクチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、2−プロピルヘプタノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロール及びこれらに類するものなどと、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれかとのエステルが挙げられる。一部の実施形態では、2つ以上の異なる(メタ)アクリレートエステルモノマーの組み合わせが好適であるが、好ましい(メタ)アクリレートエステルモノマーは、ブチルアルコール又はイソオクチルアルコール、又はこれらの組み合わせと(メタ)アクリル酸とのエステルである。
【0030】
一部の実施形態では、本開示は再生可能な資源に由来する接着剤組成物を提供する。特に、本発明は、植物性材料に部分的に由来する接着剤組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、基材又は裏材も再生可能資源に由来する接着剤物品を更に提供する。石油及び付随する石油派生製品の価格上昇によって、多くの接着剤製品の価格が高騰し、供給が不安定になった。材料が比較的安価になり、したがって経済的にかつ社会的に有益であることから、石油系原材料のすべて又は一部を植物などの再生可能な資源に由来するものに置き換えることが望ましい。したがって、このような植物由来材料の必要性は、ますます重要になった。本明細書で使用される多くの(メタ)アクリレートモノマーは再生可能資源から誘導することができる。一部の実施形態では、好ましい(メタ)アクリレートエステルモノマーは、(メタ)アクリル酸と、再生可能な資源から誘導された、例えば、2−オクタノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロールなどのアルカノール、及び再生可能な材料から誘導されたGuerbetアルカノールとの、エステルである。
【0031】
一部の実施形態では、C
1〜
12(メタ)アクリレートエステルモノマーが、少なくとも25℃、及び好ましくは少なくとも50℃のT
gを有する、高T
gモノマーを含む。本発明で有用な好適なモノマーの例としては、限定するものではないが、例えば、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、N−オクチルアクリルアミド及びプロピルメタクリレート又は組み合わせが挙げられる。
【0032】
存在する場合、C
1〜C
12(メタ)アクリレートエステルモノマーは、100部の合計モノマーを基準として1重量部〜49重量部の量で存在する。最も好ましくは、C
1〜C
12(メタ)アクリレートエステルモノマーは、100部の合計モノマーを基準として5重量部〜45重量部の量で存在する。高T
gモノマーが含まれる場合、コポリマーは、100重量部のC
1〜C
12(メタ)アクリレートエステルモノマー構成成分のうちの最大50重量部、好ましくは10〜20重量部を構成し得る。
【0033】
感圧接着剤コポリマーは、更に酸官能性モノマーを含んでもよく、ここで酸官能基は、本質的に酸、例えばカルボン酸、又はその塩、例えばアルカリ金属カルボン酸塩であり得る。有用な酸官能性モノマーとしては、限定するものではないが、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。このような化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。
【0034】
それらの入手可能性のため、酸官能性コポリマーの酸官能性モノマーは一般に、エチレン性不飽和カルボン酸、すなわち(メタ)アクリル酸から選択される。更に強い酸が望ましい場合、酸性モノマーとして、エチレン性不飽和スルホン酸及びエチレン性不飽和ホスホン酸が挙げられる。酸官能性モノマーは、概して合計モノマーの100重量部を基準として、0〜15重量部、好ましくは0.5〜15重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部の量で使用される。
【0035】
感圧接着剤コポリマーは、更に極性モノマーを含み得る。コポリマーの調製に有用な極性モノマーは、油溶性の性質及び水溶性の性質の両方をある程度有し、エマルション重合時に水相と油相との間に、極性モノマーの分配を生じる。本明細書で使用するとき、用語「極性モノマー」は、酸官能性モノマー及びケトンモノマーを含まない。
【0036】
好適な極性モノマーの代表的な例としては、限定するものではないが、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカプロラクタム;アクリルアミド;モノ−又はジ−N−アルキル置換アクリルアミド;t−ブチルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド;N−オクチルアクリルアミド;2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリレート;ビニルメチルエーテルを含むアルキルビニルエーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい極性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドンからなる群から選択されるものが挙げられる。極性モノマーは、合計モノマー100重量部を基準として0〜10重量部、好ましくは0.5〜10重量部の量で存在し得る。
【0037】
感圧接着剤コポリマーは、更に他のビニルモノマーを含み得る。使用されるとき、(メタ)アクリレートポリマーに有用なビニルモノマーとしては、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、スチレン、置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン)、ビニルハロゲン化物、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、ビニルモノマーは、酸官能性モノマー、アクリレートエステルモノマー及び極性モノマーを含まない。このようなビニルモノマーは一般に、合計モノマー100重量部を基準として0〜5重量部、好ましくは1〜5重量部で使用される。
【0038】
アクリル接着剤においては2つの主な架橋メカニズムが存在する。すなわち、他のモノマーを伴なう多官能エチレン性不飽和基のフリーラジカル共重合、又アクリル酸などの官能性モノマーによる共有結合又はイオン架橋である。別の方法は、共重合可能なベンゾフェノンなどの紫外線架橋剤、又は多官能性ベンゾフェノンやトリアジンなどの後添加光架橋剤を使用するものである。これまで、例えば多官能性アクリレート、アセトフェノン、ベンゾフェノン及びトリアジンなどのような、様々な異なる材料が架橋剤として使用されてきた。架橋はまた、ガンマ線又は電子線放射線のような高エネルギー電磁放射線を使用して得られてもよい。この場合、追加の架橋剤を必要としない場合がある。
【0039】
コーティングされた接着剤組成物の貼着強度を増大させるために、多官能性(メタ)アクリレートが重合性モノマーのブレンドに組み込まれてもよい。多官能性アクリレートは特に、エマルション又はシロップ重合に有用である。有用な多官能性(メタ)アクリレートの例としては、限定するものではないが、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、及びテトラ(メタ)アクリレート、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、及びプロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート並びにこれらの混合物が挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートの量及び同一性は、接着剤組成物の用途に応じて調整される。典型的には、多官能性(メタ)アクリレートは、接着剤組成物の総乾燥重量を基準として5重量部未満の量で存在する。より詳細には、架橋剤は、接着剤組成物の合計モノマー100部を基準として、0.01〜5部、好ましくは0.05〜1部の量で存在し得る。
【0040】
一部の実施形態では、コポリマーは、合計モノマー100重量部につき
a)最大100、好ましくは51〜99、より好ましくは55〜95重量部のモル平均炭素原子数12〜32の2−アルキルアルカノールの(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
b)0〜49、好ましくは1〜45、より好ましくは5〜45重量部のC
1〜C
12アルカノールの(メタ)アクリル酸エステル;
c)0〜15、好ましくは0.1〜10、最も好ましくは0.5〜5重量部の酸官能性エチレン性不飽和モノマー;
d)0〜10、好ましくは0.5〜10重量部の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマー;
e)0〜5、好ましくは1〜5重量部のビニルモノマー;及び
f)0〜5、好ましくは0.01〜5、最も好ましくは0.05〜1重量部の
多官能性(メタ)アクリレート;
を含み得る。
【0041】
本明細書の接着剤(コ)ポリマーは、任意の従来のフリーラジカル重合法により調製してもよく、これには溶解、放射線照射、バルク、分散、乳化、及び懸濁プロセスが含まれる。光学的用途では、溶液、UV及びバルクプロセスが好ましい。他のプロセスは、光学特性に影響を及ぼす可能性のある複屈折性物質又は異物を導入してよい。得られる接着剤(コ)ポリマーは、ランダム又はブロック(コ)ポリマーであり得る。
【0042】
接着剤コポリマーは、米国特許番号第3,691,140号(Silver)、同第4,166,152号(Baker et al.)、同第4,636,432号(Shibano et al.)、同第4,656,218号(Kinoshita)及び同第5,045,569号(Delgado)に開示されているような懸濁重合を介して調製してよい。
【0043】
本発明に使用される(メタ)アクリレート接着剤コポリマーの調製に有用な水溶性及び油溶性反応開始剤は、熱に暴露するとモノマー混合物の(共)重合を開始するフリーラジカルを生成する反応開始剤である。水溶性反応開始剤は、乳化重合により(メタ)アクリレートポリマーを調製するのに好ましい。好適な水溶性反応開始剤としては、限定するものではないが、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物;上記過硫酸塩と、メタ重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択されるもののような還元剤との反応生成物のような酸化還元反応開始剤;並びに4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)及びその可溶性塩(例えば、ナトリウム、カリウム)からなる群から選択されるものが挙げられる。好ましい水溶性反応開始剤は、過硫酸カリウムである。好適な油溶性反応開始剤としては、限定するものではないが、いずれもE.I.du Pont de Nemours Co.から入手可能な、VAZO(商標)64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))及びVAZO(商標)52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル))のようなアゾ化合物、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルなどの過酸化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。好ましい油溶性熱反応開始剤は、(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))である。使用する場合、反応開始剤は、モノマー構成成分の100重量部を基準にして、約0.05重量部〜約1重量部、好ましくは約0.1重量部〜約0.5重量部で、感圧接着剤中に含まれてよい。
【0044】
乳化技術による重合は、乳化剤(乳化作用剤又は界面活性剤と呼ばれる場合もある)を存在させる必要がある場合がある。本発明に有用な乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0045】
好ましくは、乳化重合は、アニオン性界面活性剤(1種又は複数)の存在下で行われる。界面活性剤濃度の有用な範囲は、乳化感圧接着剤のすべてのモノマーの総重量を基準として約0.5〜約8重量パーセント、好ましくは約1〜約5重量パーセントである。
【0046】
あるいは、コポリマーは、溶媒重合、分散重合、及び無溶媒バルク重合の従来の技術が挙げられるが、これらに限定されない技術により重合することができる。モノマー混合物は、前述のように、コモノマーを重合させるのに有効な種類及び量の重合開始剤、特に熱反応開始剤又は光反応開始剤を含んでよい。
【0047】
共重合性混合物は、場合により、得られるポリマーの分子量を制御するための連鎖移動剤を更に含んでよい。有用な連鎖移動剤の例としては、限定するものではないが、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。存在する場合、好ましい連鎖移動剤は、イソオクチルチオグリコレート及び四臭化炭素である。重合性混合物は、使用する場合、合計モノマー100重量部の混合物を基準として、約0.5重量部までの、典型的には約0.01重量部〜約0.5重量部の、好ましくは約0.05重量部〜約0.2重量部の連鎖移動剤を更に含んでよい。
【0048】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び場合により、連鎖移動剤を反応槽に加えること、フリーラジカル反応開始剤を添加すること、窒素でパージすること、並びに反応槽をバッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、典型的には約1〜約20時間、高温に、典型的には約40〜100℃の範囲の高温に維持すること、によって実施される。溶媒の例は、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルである。それらの溶媒は、単独で又はそれらの混合物として使用することができる。
【0049】
典型的な光重合法では、モノマー混合物に、光重合開始剤(すなわち、光反応開始剤)の存在下で紫外(UV)線を照射してよい。好ましい光反応開始剤には、Ciba Speciality Chemical Corp.(Tarrytown,NY)から商品名IRGACURE(商標)及びDAROCUR(商標)で入手可能なものであり、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE(商標)184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(商標)819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(商標)2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン(IRGACURE(商標)369)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE(商標)907)、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR(商標)1173)が挙げられる。特に好ましい光反応開始剤は、IRGACURE(商標)819、651、184、及び2959である。
【0050】
米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号(Kotnour et al.)に記載されている連続フリーラジカル重合法のような無溶媒重合法;米国特許第5,637,646号(Ellis)に記載されているバッチ反応器を使用する本質的に断熱の重合法;並びに米国特許第5,804,610号(Hamer et al.)に記載されている、パッケージ化されたプレ接着剤組成物を重合するために記載された方法を使用して、ポリマーを調製することもできる。
【0051】
感圧接着剤はまた、1つ以上の従来の添加剤を含有してよい。好ましい添加剤としては、粘着付与剤、可塑剤、染料、酸化防止剤、及びUV安定剤が挙げられる。そのような添加剤は、それらがエマルション感圧接着剤の優れた特性に影響を及ぼさなければ、使用することができる。
【0052】
従来のアクリル系接着剤は、特定の種類の自動車塗料及び表面エネルギーの低いオレフィン表面などの、特定の基材には良好に付着しない。アクリル系接着剤の付着性を改善するための努力が、すなわち、これらの種類の表面にもより強力に付着させるような開発がなされてきた。粘着付与は、一般に塩基性アクリルポリマーにより実施される。様々な種類の粘着付与剤が、フェノール変性テルペン、ポリビニルシクロヘキサン及びポリ(t−ブチルスチレン)などの炭化水素樹脂、及びロジンのグリセロールエステル及びロジンのペンタエリスリトールエステルなどのロジンエステルを包含する。
【0053】
様々な種類の粘着付与剤が、フェノール変性テルペン、並びに商品名Nuroz(商標)、Nutac(商標)(Newport Industries)、Permalyn(商標)、Staybelite(商標)、Foral(商標)(Eastman)で市販されている、ロジンのグリセロールエステル及びロジンのペンタエリスリトールエステルなどの、ロジンエステルを包含する。ナフサ分解生成物により、典型的にC5及びC9モノマーから得られる炭化水素樹脂粘着付与剤、並びに商品名Piccotac(商標)、Eastotac(商標)、Regalrez(商標)、Regalite(商標)(Eastman)、Arkon(商標)(Arakawa)、Norsolene(商標)、Wintack(商標)(Cray Valley)、Nevtack、LX(Neville Chemical Co.)、Hikotack(商標)、Hikorez(商標)(Kolon Chemical)、Novares(商標)(Rutgers N.V.)、Quintone(商標)(Zeon)、Escorez(商標)(Exxonmobile Chemical)、Nures(商標)、及びH−Rez(商標)(Newport Industries)で入手可能な製品も利用できる。
【0054】
従来の感圧アクリル系接着剤のほとんどで溶解度パラメーターが高いこと、並びにこれらの接着剤と多くの粘着付与剤の間に特定の潜在的な相互作用が存在することから、配合者に利用できる粘着付与剤の選択は制限される。部類として、炭化水素系粘着付与剤、及び特に水素添加炭化水素樹脂は、それらの非極性の性質に起因して、典型的には極性のアクリル系接着剤配合物への使用に適さない。
【0055】
ロジン酸系粘着付与剤、及び選択されたフェノール変性テルペン及びαピネン系樹脂は、従来の様々なアクリル系感圧接着剤で良好に機能する。しかしながら、尚もこのようなアクリル系接着剤に使用される粘着付与剤の範囲を制限するようないくつかの問題点が存在する。粘着付与したアクリル系感圧接着剤配合物は、多くの場合変色しており、又は黄色である。これらの粘着付与したアクリル系感圧接着剤の外観が黄色なのは、これらの粘着付与剤の多くが元々はっきりとした黄色味を帯びていることに直接由来する。より明るい色味に着色された樹脂の場合でさえ、時間経過及び光への暴露により、この退色が更により進行する場合がある。粘着付与剤を含有していないアクリル系接着剤は、典型的には優れた経時特性を有する。
【0056】
粘着付与した従来のアクリル系感圧接着剤は、外見が濁っている場合もあり、従来のアクリレート系感圧接着剤組成物の多くに見出される透明な特性が損なわれていることが示される。この濁りは、粘着付与剤及びアクリル系ポリマーの相溶性が限られたものであること、又は不完全なものであることの指標になる。粘着性が損なわれること、又は剥離接着力が低下することから明らかであるように、相溶性が制限されることで、時間経過に伴い接着剤特性が劣化する恐れがある。場合によっては、アクリル系モノマー、ポリマー、オリゴマー、及びこれらの任意の混合物を含有する接着剤組成物に、粘着付与剤を添加した場合にも、透明であり、かつ明らかに相溶性である場合もある。しかしながら、溶媒の除去後に、接着剤の硬化後に、又は時間経過後に、この接着剤は濁り始め、粘着付与剤とアクリル系ポリマーの間で、ある程度の不溶性が示されるようになる場合がある。
【0057】
これらのような、粘着剤を添加したアクリル系接着剤での透明度及び安定度の低下に加え、バルクアクリル系重合反応時に粘着付与剤を存在させた場合に、他の悪影響が観察される場合がある。粘着付与剤が連鎖移動剤又は連鎖停止剤として機能する場合、粘着付与剤の添加による弊害としては、粘着付与剤の構成による、重合反応の阻害若しくは遅延、及び/又は最終的なポリマー構成の変更などが挙げられる。このような作用は、これらの粘着付与剤の存在下で重合させたアクリレートの性能及び安定性に悪影響を及ぼす場合がある。連鎖停止剤も、望ましくない高濃度の揮発性残留物を生じる場合がある。
【0058】
本開示は、多くの実施形態において、当該技術分野で認識されている課題を克服した、粘着付与剤が添加されたPSA組成物を提供する。好ましくは、粘着付与剤は任意のエチレン性又はアセチレン性不飽和結合を本質的に含まない材料から選択される。粘着付与剤としては、限定するものではないが、水素添加ロジン樹脂、水素添加及びエステル化ロジン樹脂、水素添加テルペン樹脂、脂肪族石油系樹脂、芳香族石油系樹脂、芳香族石油系樹脂に水素添加することにより得られる脂環式石油系樹脂、及び同様物が挙げられる。好ましくは、使用する粘着付与剤は、限定するものではないが、Regalrez(商標)粘着付与剤(Eastman)又はArkon(商標)(Arakawa)粘着付与剤などの水素添加C
9石油系樹脂から選択される。このような「疎水性粘着付与剤」は、上記(メタ)アクリレートエステル(コ)ポリマーの100部当たり、20〜150部、好ましくは50〜100部の量で使用することができる。
【0059】
本発明の接着剤を、従来のコーティング技術を用いて種々の可撓性及び非可撓性裏材上にコーティングして、接着剤コーティングされた材料を製造してよい。可撓性基材は、本明細書では、テープ裏材として従来利用される任意の材料として定義され、又は任意の他の可撓性材料であってよい。例としては、限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、及びエチルセルロースが挙げられる。フォーム裏材を使用することもできる。非可撓性基材の例としては、限定するものではないが、金属、金属化ポリマーフィルム、インジウムスズ酸化物でコーティングされたガラス及びポリエステル、PMMAプレート、ポリカーボネートプレート、ガラス、又はセラミックシート材料が挙げられる。接着剤でコーティングされたシート材料は、ラベル、テープ、サイン、カバー、標識インデックス、ディスプレイコンポーネント、タッチパネル及び同様物のような接着剤組成物を利用することが従来知られている任意の物品の形態をとることができる。微小複製された表面を有する可撓性の裏材も想到される。
【0060】
上記組成物は、特定の基材に適するように調節された従来のコーティング技術を使用して基材にコーティングされる。例えば、これらの組成物は、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティングのような方法により、様々な固体基材に適用され得る。これらの種々のコーティング法は、厚さを変えて組成物を基材上に定置することを可能にし、これにより、組成物はより広い範囲で使用することができるようになる。コーティング厚さは変更することができるが、2〜500マイクロメートル(乾燥厚さ)、好ましくは約25〜250マイクロメートルのコーティング厚さが想到される。
【0061】
本開示の接着剤は、表面エネルギーの低い(LSE)基材に対して強力な接着を生成するにあたり特に有用である。本明細書で使用するとき、表面エネルギーの低い基材とは、1cmあたり約45dyne未満の表面エネルギーを有するものであり、より典型的には1cm当たり約40dyne未満、及び最も典型的には1cm当たり約35dyne未満の表面エネルギーを有するものである。このような基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレンすなわちHDPE)、ポリスチレン及びポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)が挙げられる。基材の表面上に存在する石油残留物などの残留物又は塗装などの被膜に起因して、他の基材も低表面エネルギー特性を有する場合がある。既存の接着剤も表面エネルギーの低い基材に良好に接着するが、本発明の接着剤は、表面エネルギーの低い基材に接着するだけでなく、表面エネルギーの高い、例えば、その他の樹脂、セラミック(例えば、ガラス)、金属などの基材にも良好に接着できることが判明している。
【0062】
基材は、使用される具体的な用途に応じて選択される。例えば、接着剤は、シート製品(例えば、装飾用の図柄及び反射製品)、ラベルストック、及びテープ裏材に適用することができる。加えて、接着剤は、他の基材又は物体をパネル又は窓に接着することができるよう、自動車用パネル、又はガラス窓などの基材上に直接塗布することもできる。
【0063】
接着剤は、感圧接着剤転写テープの形態で提供することもでき、このようなテープでは、後に永久基材に貼り付けるために、接着剤の層が剥離ライナー上に少なくとも1層配置される。接着剤は、1重コート又は2重コートされ接着剤が永久裏材上に配置されたテープとして提供することもできる。裏材は樹脂(例えば、二軸延伸ポリプロピレンなどのポリプロピレン、ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、不織布(例えば、紙、布、不織布スクリム)、金属箔、及び発泡体(例えば、ポリアクリル酸、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン)及び同様物から製造することができる。発泡体は、3M Co.、Voltek、Sekisui、及びその他の様々な供給元から市販されている。発泡体は、発泡体の片面又は両面に接着剤を備える共押出シートとして形成することができ、すなわち接着剤を積層することができる。接着剤が発泡体に積層される場合、発泡体又は任意の他の種類の裏材に対する接着剤の接着性を改善させるために、表面を処理することが望ましい場合もある。このような処理法は、典型的には、接着剤、及び発泡体又は裏材の材料の性質に基づいて選択され、プライマー及び表面改質剤(例えば、コロナ処理、表面磨耗)が包含される。更なるテープ構成としては、参照により本案件に組み込まれる米国特許第5,602,221号(Bennett et al.)に記載のものが挙げられる。
【0064】
片面テープの場合、典型的には、接着剤が配置された面とは反対側の裏材表面側の面が、好適な剥離材により被覆される。剥離材は既知であり、例えば、シリコーン、ポリエチレン、ポリカルバマート、ポリアクリル及び同様物のような材料が挙げられる。二重コートテープに関しては、本発明の接着剤が配置された面とは反対側の裏材表面上に、他の接着剤層が配置される。他の接着剤層は、本発明の接着剤とは異なっていてもよく(例えば、従来のアクリル系PSAなど)、あるいは、同一の処方又は異なる処方を有する、本発明の接着剤と同様の接着剤であってもよい。典型的には、2重コートテープは、剥離ライナー上に適用される。
【0065】
実験
以下のモノマーを入手し、更なる精製は行なわずに使用した。CM 7モノマー及びGuerbetモノマー(GM 1〜11)を、以下の調製例に従って合成した。
【0067】
試験方法
試験方法1:モノマー及びホモポリマーフィルムの動的スキャニング熱量分析
それぞれおよそ10mgのCM 1〜7及びGM 1〜11を、別個の標準アルミニウム製DSCパン(TA Instruments T080715)に配置し、ダイナミックスキャニング熱量計(DSC,TA Instruments)のオートサンプラーに配置した。各サンプルに関し、空の参照パンが反対側のポストに配置されるように、それぞれのパンを、DSCの、密閉セル内の異なるポストのうちの1つに配置した。温度を55℃に上昇させ、10分保持し、サンプルを熱的にアニールし、これを次に3℃/分で−95℃〜55℃のサイクルにかけた。結晶化温度(T
c)、融解温度(T
m)、及びガラス転移温度(T
g)などの推移は、熱流対温度のスキャニング特性で識別された。典型的には、結晶化及び溶解転移が、サンプルを加熱及び冷却するにつれ、ポジティブ及びネガティブな熱流ピークとして示され、それぞれ潜熱が発生し又は吸収された。反対に、概してガラス転移は、転移の変更後に、サンプルの熱容量として、プロファイルの傾きが加熱に応じてシフトすることにより表される。ガラス転移温度は、熱流プロフィルのシフトに関連する曲線の変曲点にて記録された。
【0068】
上記のDSC分析を、各モノマーのホモポリマーに関し繰り返した。上記調製例に列挙したアクリル系モノマーのホモポリマーサンプルを生成するため、表1の、それぞれ5gのアクリル系モノマーCM 1〜5及び7、並びにGM 1〜10を、アンバーバイアル中で、1時間にわたり磁気撹拌しながら、0.05重量%のIrgacure(商標)651(Ciba)と混合した。剥離ライナーとガラスプレートの間に2mm厚のシリコーンスペーサーキャビティを用い、クランプした型中でサンプルを硬化させた。型の一端のみが空気に触れるよう型を垂直位置に配置し、次にそれぞれのガラス面をUV照射(365nm,約5mW/cm
2)することで10分間硬化させた。硬化後、ガラスプレート及びシリコーンスペーサーを取り外し、剥離ライナー間のホモポリマーフィルムを剥がした。
【0069】
メタアクリレートモノマーのホモポリマーサンプルを作製するために、それぞれ50gのモノマーCM 6及びGM 11を、アンバー瓶中で10分間磁気撹拌しながら、50gのトルエン及び0.2gの熱反応開始剤2,2’−アゾビス(2−メチル−ブタンニトリル)(Vazo(商標)67,DuPont)、及び0.01gのイソオクチルチオグリコレート(IOTG,Aldrich)と混合した。この溶液に30分間窒素バブリングを行い、バイアル瓶をシールし、70℃のラウンドメーターに24時間配置した。重合後に、材料をバイアル瓶からアルミニウム製の型へと吸い出し、70℃のオーブンに配置し、真空下で24時間かけてすべての溶媒を除去した。
【0070】
試験方法2:ホモポリマーフィルムの動的機械分析
各サンプルの物理特性を温度の関数として特徴付けるため、AR2000平行型プレートレオメーター(TA Instruments)を用い、試験方法1で調製されたホモポリマーのそれぞれについての動的機械分析(DMA)を実施した。各サンプルに関し、およそ0.5gのホモポリマー材料をレオメーターの直径8mmの平行プレートの間の中央に配置し、サンプルの縁が頂部プレート及び底部プレートの縁に均一に広がるまで圧縮した。平行プレート及びレオメーターのシャフト周囲のたき口戸を閉め、温度を140℃に上げて5分間保持した。次に温度を3℃/分で140℃から−80℃へと傾斜させながら、平行プレートを周波数1Hzにて0.4%の一定のひずみ率で振動させた。材料の物理パラメーターのうち多くのものが温度を傾斜させながら記録されたが、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、及びtan δが本発明のホモポリマーに関する特徴において最も重要である。
【0071】
最初に貯蔵弾性率(G’)及び損失剪断弾性率(G”)を求めることで、接着剤組成物のガラス転移温度T
gを測定することができる。典型的には「tan δ」と記載される、単位のないパラメーターG”/G’比は、温度に対してプロットされる。良好に判断される場合、tan δ曲線のうちの、ガラス状態領域とゴム状態領域の間の、遷移領域の極大点(傾きが0になる点)が、特定の周波数下での接着剤組成物のTgを決定する。
【0072】
生成される各ホモポリマーフィルムに関し、貯蔵弾性率を室温(25℃)で記録し、T
gをtan δ曲線のピークで記録し、ピーク強度のおよそ半分の固定高さ(FHPW)でピーク幅を取ることにより、tan δピークを定量した。
【0073】
試験方法3:接着剤を配合したフィルムの経時変化
硬化させた接着フィルムを2つの条件下で経時処理した。各配合の接着フィルムサンプルを一定温度(25℃)かつ一定相対湿度(50%)にて48時間にわたって保管した後に、視覚的な特徴付け並びに接着剥離試験及び接着剪断試験を実施した。視覚的な特徴付け、剥離及び剪断試験を実施する前に、各配合の第2サンプルをアルミニウム製の容器に入れ、70℃のオーブンに一週間配置した。
【0074】
試験方法4:接着剤を配合したフィルムの視覚的な解析
硬化させた接着フィルムを、澄んでいる、透明又は不透明といったように視覚的に等級付けすることにより透明度について特徴付けした。
【0075】
試験方法5:180°剥離接着強度試験
剥離接着力は、コーティングされた可撓性シート材料を試験パネルから取り外すのに必要な力であり、特定の角度及び除去速度で測定される。本発明の実施例において、剥離力はコーティングしたシートの幅当たりのニュートン(Newtons/dm)として表される。各シートに関し、接着剤をコーティングした幅12.7mmのシート材料をおよそ15cm長さに裁断し、コーティングした接着剤から剥離層を剥がして取り外した。次に接着剤ストリップをステンレス鋼製試験パネルのきれいな面に適用した。重いゴムローラーを用いてストリップを適用した。取り外した角度が180℃になるよう、コーティングストリップの自由端を折り返した。自由端を接着試験スケールの水平アームに取り付けた。次に、制御速度(30.5cm/分)でスケールから離れるよう動くよう機械化された装置のプラットフォームにステンレス鋼製プレートを固定した。接着剤を基材に適用した直後に、付着を形成させる誘導時間を作らずに剥離試験を開始した。試験時には、剥離時の最大力及び最小力の両方の平均値として、オンス単位で目盛りを読み取った。剥離試験は各サンプルについて3回実施し、平均することで剥離接着値を生成した。
【0076】
高密度ポリエチレン(HDPE,International Plastics−Edina,MN)試験パネルで上記手順を用い、各サンプルに関し剥離接着力も測定した。
【0077】
試験方法6:高温剪断強度
試験パネルに対して平行に、一定荷重又は静荷重を用い応力を加えることで、ステンレス鋼製試験パネルから、接着剤をコーティングした裏材の画定された領域を引き剥がすのに必要とされる時間の観点から、剪断強度を測定した。
【0078】
およそ0.08mm厚で接着剤をコーティングした、接着剤コーティングPET材料を用い、剪断試験を実施した。各ストリップの12.7mm×25.4mm部分がパネルと強固に接触し、かつ各ストリップの一端が自由端になるよう、裁断した接着剤ストリップをきれいなステンレス鋼製パネルに適用した。接着剤ストリップを取り付けたパネルを、伸ばした自由端とパネルが180°の角度を形成するようラックに取り付け、次に500グラム荷重を適用することで自由端に張力をかけた。ラックを70℃のオーブンに格納し、各テープ実施例が試験パネルから剥がれる経過時間(分)を剪断強度として記録した。各接着剤サンプルについて、2種類の剪断試験を実施し、剪断強度を平均した。
【0079】
試験方法7:90°剥離接着強度試験
ASTM国際規格D3330の方法Fに記載のように、1.3cm×20cm(1/2インチ×8インチ)試験サンプルを用いて、IMASS SP−200滑り/剥離試験機(IMASS,Inc.(Accord,MA)から入手可能)を305mm/分(12インチ/分)の剥離速度で使用して、角度90°での剥離接着強度の評価を行った。2.0kg(4.5ポンド)のゴムローラーを4回通過させてテープをロールダウンさせ、サンプルを試験パネルに付着させた。別途記載のない限り、制御された環境空間で24時間滞留させた後、試験パネルに対して剥離試験を行った。テープをパネルから取り外すのに必要とされる平均剥離接着力はオンス単位で測定され、3つの試験試料に基づいてニュートン/デシメートル(N/dm)で表される。
【0080】
調製例(CM7)及びGuerbetモノマー(GM 1〜10)
方法1
アルカノール、アクリル酸(AA,TCI)、p−トルエンスルホン酸水和物(TSA,J.T.Baker)、フェノチアジン(PT,Aldrich)、及びトルエンの混合物を還流温度に加熱した。遊離水をディーン・スタークトラップで制御した。反応を完了させた後(4〜6時間)、反応物を冷却し、次に1.0MのNaOH及び水で洗浄した。溶媒を真空下で除去した。次に粗油を真空下で蒸留し、無色の油として生成物を得た。
【0081】
【表2】
* GM9製品は蒸留しなかった。
【0082】
方法2
アルカノール、トリエチルアミン(TEA,Alfa Aesar)、及び塩化メチレン(MC)をアイスバスを用い5℃に冷却した。機械的に撹拌しながら塩化アクリロイル(AC,Alfa Aesar)を1時間かけて滴加した。10時間後、混合物を濾過し、次に真空下で濃縮した。残りの油を酢酸エチルで希釈し、1.0MのHCl、1.0MのNaOH、及び食塩水で洗浄した。次に有機層を真空下で濃縮した。粗油を当量のヘキサンと混合し、中性アルミナのカラムを通過させ、有色の不純物を除去した。アルミナをヘキサンで溶出した。回収した濾液を真空下で濃縮し、最終生成物を無色の油として得た。
【0084】
Guerbetモノマー11(GM 11)
フラスコにイソフォール(商標)20(100.00g,0.33mol)、無水メタクリル酸(Monomer and Polymer Dajac Lab(Trevose,PA),59.46g,0.38mol)、4−ジメチルアミノピリジン(Aldrich,1.00g)、及び酢酸エチル(100mL)を充填した。混合物を60℃にて17時間撹拌し、次に90℃で更に7時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、次に1.0MのHCl、及び1.0MのNaOHで洗浄した。次に有機層を真空下で濃縮した。粗油を当量のヘキサンと混合し、中性アルミナのカラムを通過させ、有色の不純物を除去した。アルミナをヘキサンで溶出した。回収した画分を真空下で濃縮させることで、最終生成物を無色の油として得た(109.17g)。
【0085】
モノマーCM 1〜7及びGM 1〜11に関するDSC解析を、試験方法1に概説される手順に従い実施した。結果を下記の表4に列挙している。表4中、「観察されず」は観察されなかったことを意味する。
【0087】
表4に示されるように、共通の直鎖を有するモノマーである、置換された(メタ)アクリル酸モノマー(CM 1〜7)は、C
12以上のアルキル鎖を有する場合に結晶質様の挙動を呈し始める。例外として、CM7は高度に置換されたC
13アクリレートである。比較して、Guerbetアルカノール(メタ)アクリレート(GM 1〜11)は、C
18アルキル鎖がモノマー中に存在するようになるまで結晶化の兆候を示さない。C
18アルキル鎖(GM 9及び10)上のメチル基が更に置換されることで、類似のC
18(GM 4)の結晶化度以下、装置の下限である−100℃にまで結晶化度が低下する。C
32アルキル鎖を有するGM 8は室温にて液状であることには留意されたい。
【0088】
実施例1〜11、比較例C1〜C7のホモポリマーフィルムのDSC及びDMA解析
試験方法1及び2で概説される手順に従い、CM 1〜7及びGM 1〜11に関しDSC及びDMA解析を実施した。結果を下記の表5に列挙している。表5において「観察されず」とは観察されなかったことを意味し、「NT」は試験しなかったことを意味する。
【0090】
上記表5に示されるように、共通の直鎖を有するモノマーから生成されるポリマーである、置換された(メタ)アクリル酸モノマー(CM 1〜7)は、モル平均炭素原子数12以上で結晶質ドメインを呈し始める。例外として、CM 7は高度にメチル置換されたC
13アクリレートである。比較して、合成された本発明の(メタ)アクリレート(GM 1〜11)を用い生成されたポリマーは、モル平均炭素原子数が24以下では結晶化の兆候を示さない。
【0091】
概して、本発明(GM 1〜8)で合成された分枝鎖、直鎖構造のモノマーは、DSC及びDMAにより測定される時に、メチル置換された直鎖状構造(CM 1,3,5,7)を有する一般的なPSAアクリレートのホモポリマーと比較して、有意に低いT
gを誘導する。C
18分枝構造(GM 10)上のメチル置換は、メチル置換していないC
18(GM 4)と比較して、T
gを有意に上昇させる。
【0092】
接着剤を配合したフィルムに関する、実施例12〜28、比較例C8〜C19の剥離接着力特性
試験方法5に概略される手順に従い、複数の基材に対して、粘着付与し、かつ架橋させた接着フィルムに関し剥離試験を実施することで、Guerbetモノマーを用いる付着性能の改善を実証した。各PSAサンプルの破壊(F)を、接着破壊(af)、凝集分割(cs)、部分的な凝集分割(pcs)、部分的な移行(pt)、又はゴースティング(g)として分類した。この一連のサンプルのうち、試験しなかったものはNTとして分類した。
【0093】
以下の配合例を用い、モノマーCM 1〜3、7及びGM 1〜4、10を混合した。電磁撹拌棒を用い、透明なガラスバイアル瓶中で、28.5gのGM 1、0.02gのイルガキュア(商標)651(Ciba)、0.3gのアクリル酸(AA,Alfa Aesar)、及び1.2gのヒドロキシエチルアクリレート(HEA,Aldrich)を混合した。次にガラスバイアル瓶を窒素で5分間パージすることで溶存酸素を除去し、コーティング可能な粘度が得られるまで、紫外線(365nm,約5mW/cm
2)下に配置した。この工程に関し典型的な標的粘度は、室温にておよそ3000cPであり、アクリルの変換率はおよそ10〜20%である。
【0094】
次に、各「増粘させた」サンプルを、50、75、85、又は100pph(樹脂に対する百分率)の低極性の粘着付与剤Regalrez 1094(Eastman Co.)、追加のIrgacure(商標)651、並びに光架橋剤、XL−330(2,4,−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−トリアジン,3M)と共に配合した。配合例として、5gのGM1系の「増粘させた」モノマー配合物を、2.5gのRegalrez(商標)1094粘着付与剤(50pph)、0.0045g(0.09pph)のIrgacure 651(商標)及び0.004g(0.08pph)のXL−330と共にアンバーバイアル瓶に添加した。次に、固体材料が完全に溶解するまでアンバーバイアル瓶を暗所で回転させた。上記の接着剤配合物を、下塗りしたPETフィルムにコーティング厚0.08mmでコーティングし、シリコーン処理した剥離ライナーで覆った。次におよそ600mJ/cm
2のUVを照射することで、この構成体を硬化させた。各追加の接着剤配合物に関し、この手順を繰り返した。
【0095】
結果を表6に示す。表6において、「透明」とは、視覚的に透明であったことを意味し、「NT」は試験しなかったことを意味し、「炭素数」はモル平均炭素原子数を意味する。
【0097】
表6のデータは、典型的なC
8PSAアクリレートを含有する低極性の粘着付与剤(R−1094)は溶解性が乏しいことを示す。粘着付与剤の溶解性はモル炭素数を12以上に増加させることで改善される。時間経過については、モル炭素数が14以下のサンプルは、時間経過に基づき、接着剤が不透明になる様を示し、ポリマーと粘着付与剤の相分離及び不相溶性を示唆する。これに反し、実施例15〜28は、非常に高濃度の粘着付与剤(100pph)を添加した場合でさえ、時間が経過しても透明なままであった。
【0098】
表6のデータは、モル炭素数が12超のモノマー、特にGM 1〜4及びGM 10を含有しているPSAに関し、より大きい剥離性能が得られることを示す。比較例CM 1及びCM 2(それぞれIOA及び2EHA)は、表6に示されるようなこれらの接着剤配合物中でのこの粘着付与剤の溶解性が乏しいことに主に起因して、剥離接着強度が乏しい。
【0099】
比較例モノマーにより生成されたPSAと比較して、本発明のGuerbetモノマーを使用する接着フィルムは、特に粘着付与剤を高濃度で添加した場合に、ステンレス鋼及びHDPEのそれぞれに対し優れた剥離性能を示す。
【0100】
実施例10〜23及び比較例C8〜C19の接着剤配合フィルムの剪断性能
比較例C8〜C19及び実施例12〜14、19〜21、及び23〜25において生成されたすべての接着剤を、試験方法3に概説される手順に従い、剪断保持性能について試験した。各試験サンプルは10,000分以上にわたり70℃にて保持した。保持している間、試験は中断した。これらの結果は、従来のC
8アクリレートモノマー系PSAと比較した場合に、本発明のGuerbetモノマーから生成したPSA材料は、引き続き同様に高度の剪断保持性能を提示することを示す。
【0101】
ベースモノマーのブレンド(B)調製例
GM 4、6及び8系のGuerbetアクリレートを、表7に記載の量で2−エチルヘキシルアクリレート(CM 2)と共にブレンドし、標的モル平均炭素原子数が12〜18のアクリレート組成物を生成した。
【0103】
実施例29〜38:コポリマーの物理特性
ブレンド例B1〜B10のそれぞれおよそ2gを、小型アンバーバイアル瓶中で0.01gの光開始剤I−651と混合した。重合させたサンプルを生成し、上記試験方法1に概略されるものと同様の方法に従い試験した。結果が表8に示される。表8において「観察されず」とは観察されなかったことを意味し、「NT」は試験しなかったことを意味する。
【0105】
実施例39〜68:ブレンドモノマー系PSA配合物の付着特性
各配合にベースモノマー系としてブレンド調製例(B1〜B10)を用い、PSA材料を生成した。例えば、47.5gのB1を2gのヒドロキシエチルアクリレート、0.5gのアクリル酸、及び0.03gの光開始剤I−651と混合した。上記実施例12〜28と同様、UV照射下でこの配合物を部分的に硬化させることで、この混合物を「増粘」した。下記表9に従い、実施例12〜28と同様の濃度で粘着付与剤(Regalrez(商標)1094,R−1094)、架橋剤(XL−330)、追加の光開始剤(I−651)を添加し、アンバーバイアル瓶で一晩混合させた。各接着剤配合物をコーティングし、硬化させ、並びに実施例12〜28及び試験方法3〜6に概略されるものと同様の手順に従い試験した。結果を表9に示す。表9において、「透明」とは、透明であったことを意味する。
【0107】
概して、低極性のRegalrez(商標)1094(R1094)粘着付与剤と、ブレンド組成物との初期溶解度は、非ブレンドGuerbetアクリレート系のPSA配合物と比べてわずかに劣った。しかしながら、ほぼあらゆる平均炭素原子数グループに関し、ブレンド系での粘着付与剤の溶解度は、PSAサンプルを70℃にて1週間の経時処理後に改良された。非ブレンド系(実施例12〜28)と同様に、モル平均炭素原子数が12超のブレンド系は、経時処理後にRegalrez(商標)1094粘着付与剤との良好な相溶性を示した。
【0108】
接着剥離性能に関し、主にC
8(CM 2)及びC
18(GM 4)系アクリレートからなるブレンド配合物は類似しており、又は同じモル平均炭素原子数を有する単鎖アルキルモノマー系の配合物をわずかに上回る。しかしながら、低級アルキルアクリレート成分(CM 2)を、濃度を上昇させ、より高級なアルキルアクリレートC
24(GM 6)又はC
32(GM 8)とブレンドさせた場合には、モル平均炭素原子数が12、14又は16で一定に維持された場合でさえも、概して接着剥離性能は低下する。
【0109】
実施例69〜74及びC20〜C21:GM 1及びGM 4から作製した接着剤転写テープ
実施例69〜74では、モノマー組成物にArkon(商標)P90炭化水素粘着付与剤(Arakawa Chemical,Chicago,Ill)を配合し、2つの透明な剥離ライナー間にコーティングし、硬化させ、下塗りしたPETライナーに転写させたことを除き、実施例12〜28と同様の方法で、2ミル(51μm)のアルミニウム裏材を備える転写テープ(コーティング厚さ51マイクロメートル、すなわち2ミル)を作製した。モノマー組成物を表10に示す。高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)及びステンレス鋼(SS)パネルに対して試験方法7を用いて、90°剥離を試験した。70℃での静的な剪断力を試験方法6を用い試験した。3M(商標)ブランドの6032及び9442接着テープに対し、接着テープを試験した。「HEA」はヒドロキシエチルアクリレートであり、「AA」はアクリル酸である。「#2接着」は、接着剤/裏材結合が破壊された破壊様式を指す。結果を表10に示す。
【0111】
表10の剥離接着力データは、接着テープが表面エネルギーの低い基材(HDPE及びPP)及び表面エネルギーの高い基材(SS)に対し優れた付着性を有すること、並びに市販のアクリル系テープと比較して、良好な温度剪断力を有することを示す。
【0112】
実施例75〜76及び比較例C22:接着発泡体テープ
実施例69〜74に記載のものと同様の方法で、但し表11に示すモノマー組成物を用い、接着剤(コーティング厚さ51マイクロメートルすなわち2ミル)を調製した。次に接着剤をアクリル系発泡体(42ミルすなわち1.07mm)に積層し、記載の基材に対して試験した。剥離試験には、アルミホイル(5ミルすなわち127マイクロメートル)を裏材として使用した。「HEA」はヒドロキシエチルアクリレートであり、「AA」はアクリル酸であり、「MA」はメチルアクリレートであり、「IOA」はアクリル酸イソオクチルである。本発明から作製される発泡体テープは、同様のアクリル系発泡体に対する従来のIOA系接着剤と比較して、低表面エネルギー基材及び高表面エネルギー基材の両方に対して非常に良好な付着性を示すなど独特の特徴を示す。