(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に実施形態を掲げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0016】
(シート状をなす熱硬化性樹脂組成物12(以下「熱硬化性樹脂シート12」という))
熱硬化性樹脂シート12について説明する。
図1に示すように、熱硬化性樹脂シート12はシート状をなす。
【0017】
熱硬化性樹脂シート12は充填剤を含む。そして、充填剤の平均粒径の4倍の値が熱硬化性樹脂シート12の厚み以下である。
【0018】
好ましくは、充填剤の平均粒径の5倍の値が熱硬化性樹脂シート12の厚み以下である。充填剤の平均粒径の5倍の値が熱硬化性樹脂シート12の厚み以下であると、熱硬化性樹脂シート12を硬化させることにより得られた硬化物にレーザーで貫通孔を容易に形成できる。具体的には、レーザーの光源よりに位置する入射開口と、入射開口と対向した出射開口で形状が定義される貫通孔に関して、出射開口が入射開口に比べて過度に小さくなることを防止することが可能であるので、硬化物に貫通孔を容易に形成できる。
なお、平均粒径は、次の方法により算出する。
(平均粒径の算出方法)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧5kV下、500倍、10000倍および50000倍で熱硬化性樹脂シート12の断面を観察し、image Jなどの画像ソフトを用いて500倍視野で1μm以上の充填剤を対象とする第1平均粒径、10000倍視野で0.1μm以上1μm未満の充填剤を対象とする第2平均粒径および50000倍視野で0.01μm未満の充填剤を対象とする第3平均粒径を算出し、第1平均粒径、第2平均粒径および第3平均粒径を基に「平均粒径」を算出する。なお、エリアサイズをモニター内全視野に設定する。
3つの倍率で観察するため、平均粒径を精度よく算出できる。
【0019】
熱硬化性樹脂シート12の厚みを100%としたとき、充填剤の最大粒径は、好ましくは67%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。40%以下であると、半導体チップに与える損傷を軽減できる。一方、熱硬化性樹脂シート12の厚みを100%としたとき、充填剤の最大粒径は、好ましくは5%以上である。
【0020】
熱硬化性樹脂シート12の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上である。熱硬化性樹脂シート12の厚みは、100μm以上でもよく、150μm以上でもよく、180μm以上でもよい。一方、熱硬化性樹脂シート12の厚みは、好ましくは1000μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下、よりさらに好ましくは200μm以下である。
【0021】
充填材の平均粒径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、よりさらに好ましくは25μm以下、特に好ましくは20μm以下である。20μm以下であると、熱硬化性樹脂シート12を硬化させることにより得られた硬化物にレーザーで貫通孔を容易に形成できる。一方、充填材の平均粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上である。
【0022】
充填材の最大粒径は、好ましくは75μm以下、より好ましくは54μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。20μm以下であると、半導体チップに与える損傷を軽減できる。一方、充填材の最大粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは3μm以上である。
【0023】
充填剤としては、例えば、無機充填材を挙げることができる。
【0024】
無機充填材としては、例えば、石英ガラス、タルク、シリカ(溶融シリカや結晶性シリカなど)、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素などが挙げられる。なかでも、熱膨張係数を良好に低減できるという理由から、シリカ、アルミナが好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、流動性に優れるという理由から、溶融シリカが好ましく、球状溶融シリカがより好ましい。
【0025】
無機充填材は、シランカップリング剤により処理(前処理)されたものでもよい。これにより、樹脂との濡れ性を向上でき、無機充填材の分散性を高めることができる。
【0026】
熱硬化性樹脂シート12中の充填材の含有量は、好ましくは20体積%以上であり、より好ましくは70体積%以上であり、さらに好ましくは74体積%以上である。一方、充填材の含有量は、好ましくは90体積%以下であり、より好ましくは85体積%以下である。90体積%以下であると、良好な凹凸追従性が得られる。
【0027】
充填材の含有量は、「重量%」を単位としても説明できる。代表的にシリカの含有量について、「重量%」を単位として説明する。
シリカは通常、比重2.2g/cm
3であるので、シリカの含有量(重量%)の好適範囲は例えば以下のとおりである。
すなわち、熱硬化性樹脂シート12中のシリカの含有量は、81重量%以上が好ましく、84重量%以上がより好ましい。熱硬化性樹脂シート12中のシリカの含有量は、94重量%以下が好ましく、91重量%以下がより好ましい。
【0028】
アルミナは通常、比重3.9g/cm
3であるので、アルミナの含有量(重量%)の好適範囲は例えば以下のとおりである。
すなわち、熱硬化性樹脂シート12中のアルミナの含有量は、88重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。熱硬化性樹脂シート12中のアルミナの含有量は、97重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましい。
【0029】
熱硬化性樹脂シート12は、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0030】
エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではない。例えば、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などの各種のエポキシ樹脂を用いることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
【0031】
エポキシ樹脂の反応性を確保する観点からは、エポキシ当量150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃の常温で固形のものが好ましい。なかでも、信頼性の観点から、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。また、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0032】
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂との間で硬化反応を生起するものであれば特に限定されるものではない。例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、レゾール樹脂などが用いられる。これらフェノール樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0033】
フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂との反応性の観点から、水酸基当量が70〜250、軟化点が50〜110℃のものを用いることが好ましい。硬化反応性が高いという観点から、フェノールノボラック樹脂を好適に用いることができる。また、信頼性の観点から、フェノールアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂のような低吸湿性のものも好適に用いることができる。
【0034】
熱硬化性樹脂シート12中のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計含有量は、5重量%以上が好ましい。5重量%以上であると、半導体チップなどに対する接着力が良好に得られる。熱硬化性樹脂シート12中のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計含有量は、40重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。40重量%以下であると、吸湿性を低く抑えることができる。
【0035】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、硬化反応性という観点から、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計が0.7〜1.5当量となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2当量である。
【0036】
熱硬化性樹脂シート12は、硬化促進剤を含むことが好ましい。
【0037】
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の硬化を進行させるものであれば特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11−Z)、2−ヘプタデシルイミダゾール(商品名;C17Z)、1,2−ジメチルイミダゾール(商品名;1.2DMZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(商品名;2P4MZ)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(商品名;1B2MZ)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(商品名;1B2PZ)、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ−CN)、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z−CN)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(商品名;2PZCNS−PW)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;C11Z−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2E4MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MA−OK)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2PHZ−PW)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2P4MHZ−PW)などのイミダゾール系硬化促進剤が挙げられる(いずれも四国化成工業(株)製)。
【0038】
なかでも、混練温度での硬化反応を抑えられるという理由からイミダゾール系硬化促進剤が好ましく、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンがより好ましく、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールがさらに好ましい。
【0039】
硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは0.8重量部以上である。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下である。
【0040】
熱硬化性樹脂シート12は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂としてはエラストマーが好ましい。
【0041】
熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBTなどの飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
熱硬化性樹脂シート12中の熱可塑性樹脂の含有量は、1重量%以上が好ましい。1重量%以上であると、柔軟性、可撓性を付与できる。熱硬化性樹脂シート12中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。30重量%以下であると、半導体チップなどに対する接着力が良好に得られる。
【0043】
熱硬化性樹脂シート12は、前記成分以外にも、難燃剤成分、顔料などを適宜含有してよい。
【0044】
難燃剤成分としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化カルシウム、水酸化スズ、複合化金属水酸化物などの各種金属水酸化物;ホスファゼン化合物などを用いることができる。なかでも、難燃性、硬化後の強度に優れるという理由から、ホスファゼン化合物が好ましい。
【0045】
顔料としては特に限定されず、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0046】
熱硬化性樹脂シート12の製造方法は特に限定されないが、前記各成分(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、無機充填材及び硬化促進剤など)を混練して得られる混練物をシート状に塑性加工する方法が好ましい。これにより、無機充填材を高充填でき、熱膨張係数を低く設計できる。
【0047】
具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、無機充填材及び硬化促進剤などをミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などの公知の混練機で溶融混練することにより混練物を調製し、得られた混練物をシート状に塑性加工する。混練条件として、温度の上限は、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。温度の下限は、上述の各成分の軟化点以上であることが好ましく、例えば30℃以上、好ましくは50℃以上である。混練の時間は、好ましくは1〜30分である。また、混練は、減圧条件下(減圧雰囲気下)で行うことが好ましく、減圧条件下の圧力は、例えば、1×10
−4〜0.1kg/cm
2である。
【0048】
溶融混練後の混練物は、冷却することなく高温状態のままで塑性加工することが好ましい。塑性加工方法としては特に制限されず、平板プレス法、Tダイ押出法、スクリューダイ押出法、ロール圧延法、ロール混練法、インフレーション押出法、共押出法、カレンダー成形法などが挙げられる。塑性加工温度としては上述の各成分の軟化点以上が好ましく、エポキシ樹脂の熱硬化性および成形性を考慮すると、例えば40〜150℃、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜120℃である。
【0049】
熱硬化性樹脂シート12を塗工方式で製造することも好ましい。例えば、前記各成分を含有する接着剤組成物溶液を作製し、接着剤組成物溶液を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を乾燥させることで、熱硬化性樹脂シート12を製造できる。
【0050】
接着剤組成物溶液に用いる溶媒としては特に限定されないが、前記各成分を均一に溶解、混練又は分散できる有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0051】
基材セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤などの剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙などが使用可能である。接着剤組成物溶液の塗布方法としては、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工などが挙げられる。また、塗布膜の乾燥条件は特に限定されず、例えば、乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間で行うことができる。
【0052】
(半導体装置54の製造方法)
実施形態1の方法では、Fan−out(ファンアウト)型ウェハレベルパッケージ(WLP)を製造する。
【0053】
図2に示すように、積層体1は、チップ仮固定体11、チップ仮固定体11上に配置された熱硬化性樹脂シート12及び熱硬化性樹脂シート12上に配置されたセパレーター13を備える。積層体1は下側加熱板41と上側加熱板42の間に配置されている。
【0054】
チップ仮固定体11は、支持板11a、支持板11a上に配置された仮固定材11b及び仮固定材11b上に配置された半導体チップ14を備える。
【0055】
支持板11aの材料としては特に限定されず、例えば、SUSなどの金属材料、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォンなどのプラスチック材料などである。
【0056】
仮固定材11bの材料としては特に限定されないが、容易に剥離できるという理由から、熱発泡性粘着剤などの熱剥離性粘着剤などが好ましい。
【0057】
半導体チップ14は、本体部14b及び本体部14b上に配置された電極パッド14aを備える。本体部14bの材料は、シリコンなどの半導体などである。半導体チップ14は、第1主面と、第1主面に対向した第2主面で両面を定義される。第2主面に電極パッド14aが位置する。第2主面が仮固定材11bと接する。
【0058】
セパレーター13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどを好適に使用できる。熱硬化性樹脂シート12をセパレーター13から容易に剥離できるという理由から、セパレーター13は離型処理が施されたものが好ましい。
【0059】
図3に示すように、下側加熱板41及び上側加熱板42を用いて平行平板方式で積層体1を熱プレスして、封止体51を形成する。
【0060】
熱プレスの温度は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。熱プレスの温度は好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。積層体1を熱プレスする圧力は、好ましくは1.0MPa以上、より好ましくは1.5MPa以上である。積層体1を熱プレスする圧力は、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。熱プレスする時間は、好ましくは0.3分以上、より好ましくは1分以上である。また、熱プレスする時間は、好ましくは60分以下、より好ましくは10分以下である。
【0061】
熱プレスは減圧雰囲気下で行うことが好ましい。減圧雰囲気下で熱プレスすることにより、ボイドを低減することが可能で、凹凸を良好に埋めることができる。減圧雰囲気下の圧力は、例えば、0.1kPa〜5kPa、0.1Pa〜100Paなどである。
【0062】
封止体51は、半導体チップ14及び半導体チップ14を覆う熱硬化性樹脂シート12を備える。封止体51は仮固定材11b及びセパレーター13と接する。
【0063】
図4に示すように、封止体51からセパレーター13を剥離する。
【0064】
次いで、封止体51を加熱し、熱硬化性樹脂シート12を硬化させて、硬化体52を形成する。
【0065】
加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。一方、加熱温度の上限は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。加熱時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。一方、加熱時間の上限は、好ましくは180分以下、より好ましくは120分以下である。加圧雰囲気下で封止体51を加熱することが好ましく、圧力は好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上である。一方、上限は好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。
【0066】
図5に示すように、硬化体52は、半導体チップ14及び半導体チップ14を覆う保護部材21を備える。硬化体52は、半導体チップ14が位置する膜予定面と、膜予定面と対向した面で両面を定義される。
【0067】
図6に示すように、仮固定材11bを加熱して仮固定材11bの粘着力を低下させた後、硬化体52から仮固定材11bを剥離する。仮固定材11bを加熱する温度としては、好ましくは175℃以上、より好ましくは180℃以上である。仮固定材11bを加熱する温度の上限は、例えば200℃である。
【0068】
図7に示すように、硬化体52の膜予定面と対向した面を研削してもよい。研削を行うことにより、硬化体52の反りを低減できる。研削方法としては、例えば、高速回転する砥石を用いるグラインディング法などが挙げられる。
【0069】
図8に示すように、膜予定面上にバッファーコート膜61を形成する。バッファーコート膜61の材料としては、感光性のポリイミド、感光性のポリベンゾオキサゾール(PBO)などを使用できる。バッファーコート膜61を形成する方法としては、スピンコート法、ダイコーティング法、膜予定面上にドライフィルムを配置する方法などが挙げられる。
【0070】
図9に示すように、バッファーコート膜61上にマスク62を配置する。次いで、バッファーコート膜61の上方に配置した光源91から露光光を照射することにより、バッファーコート膜61を感光させる。
【0071】
次いで、
図10に示すように、バッファーコート膜61に開口部61A及び開口部61Bを形成して、保護部材21の所定の部分及び電極パッド14aを露出させる。
【0072】
図11に示すように、レーザー照射により保護部材21に貫通孔71を形成する。貫通孔71は、保護部材21を厚み方向に貫通する。
【0073】
図12に示すように、貫通孔71に金属を充填して、貫通電極72を形成する。貫通電極72は保護部材21の厚み方向に延びる。充填する金属としては、例えば、Cu、Ag、Au、Sn、共晶はんだなどが挙げられる。共晶はんだとして、例えば、Sn−Ag共晶はんだ、Sn−Ag−Cu共晶はんだなどを用いることができる。
【0074】
次いで、バッファーコート膜61、電極パッド14a及び貫通電極72上にシード層を形成する。
【0075】
図13に示すように、シード層上にレジスト63を形成する。
【0076】
図14に示すように、電解銅めっきなどのめっき法で、シード層上にめっきパターン64を形成する。
【0077】
図15に示すように、レジスト63を除去した後、シード層をエッチングして、再配線65及び再配線75を完成する。
【0078】
図16に示すように、再配線65及び再配線75上に保護膜66を形成する。保護膜66の材料としては、感光性のポリイミド、感光性のポリベンゾオキサゾール(PBO)などを使用できる。
【0079】
図17に示すように、保護膜66に開口を形成し、保護膜66の下方にある再配線65及び再配線75を露出させる。これにより、硬化体52上に再配線65及び再配線75を含む再配線層69が完成し、再配線体53を得る。再配線体53は、半導体チップ14、半導体チップ14の周辺に配置された保護部材21、保護部材21の厚み方向に延び保護部材21を貫通する貫通電極72、並びに半導体チップ14上に配置された再配線層69を備える。
【0080】
図18に示すように、再配線65上に電極(UBM:Under Bump Metal)67を形成する。また、再配線75上に電極77を形成する。
【0081】
図19に示すように、電極67上にバンプ68を形成する。パンプ68は、電極67及び再配線65を介して電極パッド14aと電気的に接続されている。また、電極77上にバンプ78を形成する。パンプ78は、電極77及び再配線75を介して貫通電極72と電気的に接続されている。
【0082】
図20に示すように、再配線体53を個片化(ダイシング)して半導体装置54を得る。
【0083】
以上のとおり、実施形態1の半導体装置54の製造方法は、熱硬化性樹脂シート12で半導体チップ14を覆う工程を含む。熱硬化性樹脂シート12で半導体チップ14を覆う工程は、積層体1をプレスするステップを含む。
【0084】
[実施形態2]
図21に示すように、積層構造体2は、チップ実装ウェハ21、チップ実装ウェハ21上に配置された熱硬化性樹脂シート12及び熱硬化性樹脂シート12上に配置されたセパレーター13を備える。積層構造体2は下側加熱板41と上側加熱板42の間に配置されている。
【0085】
チップ実装ウェハ21は、半導体ウェハ31及び半導体ウェハ31上にフリップチップ実装(フリップチップボンディング)された半導体チップ14を備える。チップ実装ウェハ21は、半導体ウェハ31と半導体チップ14の間に挟まれたアンダーフィル材15をさらに備える。
【0086】
半導体チップ14は本体部14b及び本体部14b上に配置されたバンプ14cを備える。本体部14bの材料は、シリコンなどの半導体などである。半導体チップ14は、第1主面と、第1主面に対向した第2主面で両面を定義される。第2主面にバンプ14cが位置する。
【0087】
半導体ウェハ31は、ウェハ部31a、ウェハ部31aの厚み方向に延びる貫通電極31b及び貫通電極31b上に配置された電極31cを備える。ウェハ部31aの材料は、シリコンなどの半導体である。半導体ウェハ31は、電極面と、電極面と対向した裏面で両面を定義される。半導体ウェハ31の電極面に、電極31cが位置する。
【0088】
半導体チップ14と半導体ウェハ31は、バンプ14cと電極31cを介して電気的に接続されている。
【0089】
図22に示すように、下側加熱板41及び上側加熱板42を用いて平行平板方式で積層構造体2を熱プレスして、封止構造体71を形成する。好適な熱プレス条件は、実施形態1で説明した熱プレス条件と同様である。また、熱プレスは減圧雰囲気下で行うことが好ましい。好適な減圧条件は、実施形態1で説明した減圧条件と同様である。
【0090】
封止構造体71は、半導体ウェハ31、半導体ウェハ31上にフリップチップ実装された半導体チップ14及び半導体チップ14を覆う熱硬化性樹脂シート12を備える。封止構造体71は、セパレーター13と接する。
【0091】
封止構造体71からセパレーター13を剥離する。
【0092】
封止構造体71を加熱することで熱硬化性樹脂シート12を硬化させて、硬化構造体72を形成する。好適な加熱条件は、実施形態1で説明した加熱条件と同様である。
【0093】
図23に示すように、硬化構造体72は、半導体ウェハ31、半導体ウェハ31上にフリップチップ実装された半導体チップ14及び半導体チップ14を覆う保護部材21を備える。硬化構造体72は、半導体ウェハ31が位置するウェハ面と、ウェハ面と対向した面で両面を定義される。
【0094】
図24に示すように、ウェハ面と対向した面を研削してもよい。
【0095】
図25に示すように、ウェハ面を研削することにより、貫通構造体73を得る。貫通構造体73は、貫通ウェハ32、貫通ウェハ32上にフリップチップ実装された半導体チップ14及び半導体チップ14の周辺に配置された保護部材21を備える。貫通ウェハ32は、円盤状をなす主部32a、主部32aの厚み方向に延び主部32aを貫通する貫通電極31b及び貫通電極31b上に配置された電極31cを備える。貫通ウェハ32は、貫通電極31bが位置する形成面と、形成面と対向した面で両面を定義される。
【0096】
図26に示すように、セミアディティブ法などを利用して、形成面上に再配線層81を形成して、再配線構造体74を形成する。再配線層81は、再配線82を備える。次いで、再配線層81上にバンプ83を形成する。バンプ83は再配線82、電極31c及び貫通電極31bを介してバンプ14cと電気的に接続している。再配線構造体74は、貫通ウェハ32、貫通ウェハ32上にフリップチップ実装された半導体チップ14、半導体チップ14の周辺に配置された保護部材21、及び形成面上に配置された再配線層81を備える。
【0097】
図27に示すように、再配線構造体74を個片化(ダイシング)して、半導体装置75を得る。
【0098】
(変形例1)
実施形態2では、チップ実装ウェハ21について半導体チップ14と半導体ウェハ31の間にアンダーフィル材15が充填されているが、変形例1では半導体チップ14と半導体ウェハ31の間にアンダーフィル材15が充填されていない。
【0099】
以上のとおり、実施形態2の半導体装置75の製造方法は、熱硬化性樹脂シート12で半導体チップ14を覆う工程を含む。熱硬化性樹脂シート12で半導体チップ14を覆う工程は、積層構造体2をプレスするステップを含む。
【実施例】
【0100】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている材料や配合量などは、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0101】
樹脂シートを作製するために使用した成分について説明する。
エポキシ樹脂1:新日鐵化学(株)製のYSLV−80XY(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキン当量191g/eq.軟化点80℃)
エポキシ樹脂2:三菱化学(株)製のエピコート828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキン当量185g/eq)
フェノール樹脂:明和化成社製のMEH−7500−3S(水酸基当量107g/eq.、軟化点83℃)
硬化促進剤:四国化成工業社製の2PHZ−PW(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)
シリカフィラーB:電気化学工業社製のFB−9454(溶融球状シリカ、平均粒径20μm、最大粒径54μm)
シリカフィラーD:電気化学工業社製の5SDC(溶融球状シリカ、平均粒径5μm、最大粒径20μm)
シリカフィラーE:電気化学工業社製の3SDC(溶融球状シリカ、平均粒径3μm、最大粒径10μm)
シリカフィラーG:龍森社製のMSR−8040(溶融球状シリカ、平均粒径11μm、最大粒径45μm)
アルミナフィラーI:昭和電工社製のAL−17−1(アルミナフィラー、平均粒径60μm)
アルミナフィラーJ:電気化学社製のDAW−45(アルミナフィラー、平均粒径43μm)
シランカップリング剤:信越化学社製のKBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
カーボンブラック:三菱化学社製の#20
【0102】
[樹脂シートの作製]
表1に記載の配合比に従い、各成分を配合し、ロール混練機により60〜120℃、10分間、減圧条件下(0.01kg/cm
2)で溶融混練し、混練物を調製した。次いで、混練物を、平板プレス法により、シート状に形成して、縦200mm、横230mm、表1に記載の厚みの樹脂シートを作製した。
【0103】
【表1】
【0104】
[評価1 チップクラック]
ガラス板(テンパックスガラス、縦200mm、横230mm、厚み1.1mm)上に熱剥離シート(日東電工社製のリバアルファ「3195V」、縦200mm、横230mm、厚み100μm)を積層した。次いで、熱剥離シート上に、シリコンチップ(縦7mm、横7mm、厚み200μm)を複数配置した。これにより、ガラス板、ガラス板上に配置された熱剥離シート及び熱剥離シート上に配置されたシリコンチップからなるチップ仮固定体を得た。
【0105】
次いで、チップ仮固定体上に樹脂シートを配置した。これにより、チップ仮固定体、及びチップ仮固定体上に配置された樹脂シートからなる積層体を得た。
【0106】
次いで、平行平板プレス装置(ミカドテクノス社製)を用いて、真空雰囲気下、90℃、プレス圧1.0MPa、120秒の条件で積層体を平行平板方式でプレスすることにより、封止体(シリコンチップ及びシリコンチップを覆う樹脂シートからなるもの)を得た。
【0107】
封止体の断面を観察し、シリコンチップにクラックがない場合を○と判定した。シリコンチップにクラックがないものの、シリコンチップの上に位置する樹脂の厚みと同等の直径を有するフィラーが確認され、クラックが入るおそれがある場合を△と判定した。シリコンチップにクラックがある場合を×と判定した。結果を表1に示す。
【0108】
[評価2 貫通孔の状態]
平行平板プレス装置(ミカドテクノス社製)を用いて、真空雰囲気下、90℃、プレス圧1.0MPa、120秒の条件で樹脂シートを平行平板方式でプレスすることにより、樹脂シートの厚みを当初の厚みの80%に調整した。次いで、樹脂シートを150℃で60分間保持することにより、樹脂シートを硬化させた。
【0109】
樹脂シートを硬化させることにより得られた硬化物に、表2に示す条件でレーザーを照射し、硬化物に直径50μmの貫通孔を形成した。次いで、硬化物を顕微鏡で観察し、円状をなす貫通孔が確認された場合を○と判定した(
図28参照)。一方、充填剤の影響で円状をなす貫通孔が得られなかった場合を×と判定した(
図29参照)。結果を表1に示す。
【0110】
【表2】