(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1の(a)は、流量センサのモールド前の平面図を示す。
図1−bは
図1の(a)の裏面における平面図を示し、
図1の(c)は
図1の(a)のA−A断面を示している。
【0027】
図1の(a)、1の(b)、1の(c)で示すように、モールド前の流量センサは、空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2と、一方に段差付き開口部7を配置し、他方に前記半導体素子2を制御するための電気制御回路3部を配置した基板4とを備え、前記半導体素子2が前記開口部7に設置した段差部に搭載され、金線5および基板4に設置された配線6によって電気信号が伝えられる構造である。また、電気制御回路3および半導体素子2は接着剤10などで基板4に接合されている。
【0028】
ここで、半導体素子2は、空気流量検出部1として、少なくとも発熱抵抗体と測温抵抗体を設置し、発熱抵抗体の温度が空気温度に対応する側温抵抗体よりも一定温度高くなるように、電気制御回路3で制御する。空気の流れで側温抵抗体の温度が変化する場合には、一定温度高くなるように発熱抵抗体に流す加熱電流値を流量として検出する。
【0029】
なお、空気流量検出部1は、少なくとも発熱抵抗体と測温抵抗体を設置していれば良いものとし、例えば、空気流量の上下流の測温抵抗体の温度差から流量を検出できるものとする。
【0030】
発熱抵抗体および測温抵抗体は、白金などの金属膜、多結晶ケイ素などの半導体薄膜をスパッタ、CVDなどの方法で形成後、イオンエッチングなどの方法で形成するものとする。
【0031】
空気流量検出部1を形成する半導体素子2には、熱絶縁のためにダイヤフラム8を形成する空洞を異方性エッチングなどの方法で形成するものとする。
【0032】
なお、基板4の材質はガラスエポキシなどを用いて、モールド樹脂11の材質は、エポキシまたはフェノールなどの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱硬化性樹脂を用いて、樹脂中にガラス、マイカなどの充填材を混入することもできる。
【0033】
[製造方法]
ここで、
図1の基板4に設置した半導体素子2と制御基板4を含む構造体をモールドにより樹脂封止するための製造方法を
図2に示す。
【0034】
図2の(a)は、
図1に示すA−A断面において、
図1のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
基板4に設置した開口部7に下金型13を挿入し、半導体素子2を上下から上金型12と下金型13により挟み込んで固定することにより、モールド時の半導体素子2の寸法精度を向上できる。
【0035】
また、空気流量検出部1は上金型12が接触しないように上金型12に空間9を設けた状態でゲート14部から金型内に樹脂11を充填し、電気制御回路3、金線5、半導体素子2の一部を樹脂11で封止することができる。
【0036】
図2の(a)のB−B断面は
図2の(b)、または
図2の(c)で構成される。ここで、ダイヤフラム8に樹脂11が流れ込まないように、B−B断面における半導体素子2と基板4の隙間を塞いで、樹脂11の流れを塞き止める必要がある。
【0037】
B−B断面における半導体素子2と基板4間の隙間は、
図2の(b)に示すテフロンブロックなどの弾性体15を設置したり、
図2の(c)に示す上金型12に設置した入れ駒16で樹脂11を塞き止める構造とする。
【0038】
ここで、半導体素子2は寸法ばらつきがあるので、
図2の製造方法を用いると、半導体素子2の寸法が金型クランプ寸法よりも小さい場合には、半導体素子2上に樹脂11漏れが発生し、半導体素子2の寸法が金型クランプ寸法よりも大きい場合には、半導体素子2の破断が生じることがある。
【0039】
図3、
図4、
図5は、
図1に示すA−A断面において、
図1のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0040】
ここで、
図3に示すように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方が金型内をスライドできる可動入れ駒17で構成され、金型内をスライドできる可動入れ駒17の半導体素子2と接する反対側をバネ18などの弾性体で支持している構造の金型を用いることができる。また、バネ18はバネ押さえ19で金型内に固定されているものとする。
【0041】
また、
図4に示すように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方にテフロンなどの弾性体入れ駒20を設置した構造の金型を用いることができる。
【0042】
ここで、弾性体にはテフロン、フッ素樹脂などの高分子材料を用いることができる。
【0043】
また、
図5に示すように、基板4の開口部7からの下金型13挿入により半導体素子2を支持し、金型の樹脂11材料と接する上金型12側に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2を上下でクランプする金型を用いることができる。
【0044】
なお、
図5の(a)は、
図1に示すA−A断面において、
図1のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示しており、
図5の(a)のB−B断面は
図5の(b)、または
図5の(c)で構成される。
【0045】
ここで、ダイヤフラム8部に樹脂11が流れ込まないように、B−B断面における半導体素子2と基板4の隙間を塞いで、樹脂11の流れを塞き止める必要がある。
【0046】
B−B断面における半導体素子2と基板4間の隙間は、
図5の(b)に示すテフロンブロックなどの弾性体15を設置したり、
図5の(c)に示す上金型12に設置した入れ駒16で樹脂11を塞き止める構造とする。
【0047】
ここで、弾性体のフィルム21にはテフロン、フッ素樹脂などの高分子材料を用いることができ、弾性体フィルム21の肉厚方向の寸法が変化することにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、破断が無く、モールドすることができる。
【0048】
以上のように、
図3、または
図4、または
図5に示す構造の金型を用いて、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、半導体素子2の破断が無く、モールドすることができる。
【0049】
また、
図5に示す半導体素子2をクランプする部分に
図3に示す弾性体で支持された可動入れ駒17を用いる構造、または
図4に示す弾性体の入れ駒20を用いる構造とすることもできる。
【0050】
また、
図3、4、5では基板4の開口部7からダイヤフラム8部も入れ駒で支持する構造としたが、
図6のように、入れ駒で半導体素子2のダイヤフラム8部を支持しない構造とすることもできる。
【0051】
また、
図3の金型は、上金型12または下金型13のどちらか一方にテフロンなどの弾性体入れ駒20の入れ駒を設置することもできる。
【0052】
図4の金型は、上金型12または下金型13のどちらか一方にバネ18などの弾性体に支持された入れ駒16を設置することもできる。
【0053】
[モールド後の構造]
図7の(a)は、
図1で示すモールド前の半導体素子2と制御基板4を含む構造体を
図3の金型でモールドして製造した流量センサの平面図である。
【0054】
図7の(b)は、
図7の(a)のA−A断面図を示しており、半導体素子2と基板4、電気制御回路3と基板4を電気的に接続する金線5はモールド樹脂11で絶縁され、検出した流量を電気信号の出力部38より出力するものとする。
【0055】
また、本流量センサは、半導体素子2と、半導体素子2の電気信号を伝える金線5と、基板4を一体で樹脂モールドする部分を除いて、半導体素子2と樹脂11モールド、または基板4は接触しない構造にできる。
【0056】
即ち、基板4の壁23が、半導体素子2の空気流量検出部分の設置面と直交する3面22と連続した空間を有する状態で、半導体素子2を囲んだ流量センサの構造を提供できる。
【0057】
[リードフレーム24構造]
図8の(a)は、本発明による流量センサのモールド前の平面図を示す。
図8の(b)は
図8の(a)の裏面における平面図を示し、
図8の(c)は
図8の(a)のA−A断面を示している。
【0058】
図8の(a)、
図8の(b)、
図8の(c)で示すように、モールド前の流量センサは、空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2と、一方に開口部25を配置し、他方に前記半導体素子2を制御するための電気制御回路3部を配置したリードフレーム24とを備え、前記半導体素子2が前記開口部25の投影面上に搭載される構造である。また、電気制御回路3および半導体素子2は接着剤10などでリードフレーム24に接合されている。また、リードフレーム部のダム28は金型にクランプされて、樹脂の金型内からの流出を防止しており、モールド後のダム28を切断し、出力端子27から電気信号を出力するものとする。
【0059】
[製造方法]
ここで、
図8のリードフレーム24に設置した半導体素子2と電気制御基板4を含む構造体をモールドにより樹脂封止するための製造方法を
図9に示す。
【0060】
図9の(a)は、
図8に示すA−A断面において、
図8のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0061】
リードフレーム24に設置した開口部25に下金型13を挿入し、半導体素子2を上下から金型により挟み込んで固定し、前記半導体素子2の一部を露出させた状態で、前記半導体素子2の一部を含む表面に樹脂11層を形成している。
【0062】
このように半導体素子2を上下から金型で挟み込むことにより、モールド時の半導体素子2の寸法精度を向上できる。ここで、リードフレーム部のダム28は金型でクランプされ、樹脂11の金型内からの流出を防止している。
【0063】
また、流量検出部1は金型が接触しないように金型に空間9を設けた状態でゲート14部から金型内に樹脂11を充填し、電気制御回路3、金線5、半導体素子2の一部を樹脂11で封止することができる。
【0064】
図9の(a)のB−B断面は
図9の(b)、または
図9の(c)で構成される。ここで、ダイヤフラム8部に樹脂11が流れ込まないように、B−B断面における半導体素子2と基板4の隙間を塞いで、樹脂11の流れを塞き止める必要がある。
【0065】
B−B断面における半導体素子2と基板4間の隙間は、
図9の(b)に示すテフロンブロックなどの弾性体15を設置したり、
図9の(c)に示す下金型13に設置した入れ駒16で樹脂11を塞き止める構造とする。
【0066】
ここで、半導体素子2は寸法ばらつきがあるので、
図9の製造方法を用いると、半導体素子2の寸法が金型クランプ寸法よりも小さい場合には、半導体素子2上に樹脂11漏れが発生し、半導体素子2の寸法が金型クランプ寸法よりも大きい場合には、半導体素子2の破断が生じることがある。
【0067】
図10、
図11、
図12は、
図8に示すA−A断面において、
図8のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0068】
図10に示すように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方が金型内をスライドできる可動入れ駒17で構成され、金型内をスライドできる可動入れ駒17の半導体素子2と接する反対側をバネ18などの弾性体で支持している構造の金型を用いることができる。なお、バネ18はバネ押さえ19で金型内に固定されているものとする。
【0069】
また、
図11に示すように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方にテフロンなどの弾性体入れ駒20を設置した構造の金型を用いることができる。
【0070】
ここで、弾性体入れ駒20にはテフロン、フッ素樹脂などの高分子材料を用いることができる。
【0071】
また、
図12に示すように、リードフレーム24の開口部から下金型13の挿入により、半導体素子2を支持し、上金型12の表面に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2を上下でクランプする金型を用いることができる。
【0072】
ここで、弾性体のフィルム21にはテフロン、フッ素樹脂などの高分子材料を用いることができ、弾性体フィルム21の肉厚方向の寸法が変化することにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、破断が無く、モールドすることができ、弾性体フィルム21の肉厚方向の寸法が変化することにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、半導体素子2の破断が無く、モールドすることができる。
【0073】
以上のように、
図10、または
図11、または
図12に示す構造の金型を用いて、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、半導体素子2の破断が無く、モールドすることができる。
【0074】
また、
図12に示す半導体素子2をクランプする部分に
図10に示す弾性体で支持された可動入れ駒17、または
図11に示す弾性体の入れ駒20を用いる構造とすることもできる。
【0075】
また、
図10、11、12では基板4の開口部からダイヤフラム8部も入れ駒で支持する構造としたが、
図13のように、可動入れ駒17で半導体素子2のダイヤフラム8部を支持しない構造とすることができる。
【0076】
また、
図10の金型は、上金型12または下金型13のどちらか一方にテフロンなどの弾性体入れ駒20の入れ駒を設置することもできる。
【0077】
図11の金型は、上金型12または下金型13のどちらか一方にバネ18などの弾性体で支持された可動入れ駒17を設置することもできる。
【0078】
[モールド後の構造]
図14の(a)は、
図8で示すモールド前の半導体素子2と制御基板4を含む構造体を
図10の金型でモールドした構造の平面図である。
【0079】
図14の(b)は、
図14の(a)のA−A断面図を示している。このように、半導体素子2とリードフレーム24、電気制御回路3とリードフレーム24を電気的に接続する金線5はモールド樹脂11で絶縁される。
【0080】
また、
図15は、出力端子27以外のリードフレーム24のダム28部を切断した構造を示し、検出した流量を電気信号として出力端子27より出力するものとする。
【0081】
また、半導体素子2と、半導体素子2の電気信号を伝える金線5と、リードフレーム24を一体で樹脂11モールドする部分を除いて、半導体素子2と樹脂11モールドは接触しない構造にできる。
【0082】
即ち、樹脂11モールド部分で形成される樹脂壁26が、半導体素子2の空気流量検出部分の設置面と直交する3面22と連続した空間を有する状態で、半導体素子2を囲んだ流量センサの構造を提供できる。
【0083】
[基板4端部からの半導体素子の露出構造]
図16の(a)は、本発明による流量センサのモールド前の表面における平面図を示す。
図16の(b)は
図16の(a)のA−A断面を示している。
【0084】
図16の(a)、16の(b)で示すように、モールド前の流量センサは、空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2が、基板4の端部から露出された状態で搭載され、他方に前記半導体素子2を制御するための電気制御回路3部を配置した基板4とを備えた構造である。
【0085】
[製造方法]
ここで、
図16の基板4に設置した半導体素子2と制御基板4を含む構造体をモールドにより樹脂11封止するための製造方法を
図17に示す。
【0086】
図17は、
図16に示すA−A断面において、
図16のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0087】
半導体素子2を上下から金型により挟み込んで固定し、前記半導体素子2の一部を露出させた状態で、前記半導体素子2の一部を含む表面に樹脂11層を形成している。このように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方が金型内をスライドできる可動入れ駒17で構成され、金型内をスライドできる可動入れ駒17の半導体素子2と接する反対側をバネ18などの弾性体で支持している構造の金型を用いることができる。
【0088】
また、
図17で示した金型は、
図4に示すように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方にテフロンなどの弾性体入れ駒20を設置した構造の金型を用いることができる。
【0089】
また、
図17で示した金型は、
図5に示すように、金型の樹脂11材料と接する上金型12側に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2を上下でクランプする金型を用いることができる。
【0090】
図17に示す弾性体で支持された可動入れ駒17を用いることにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、破断が無く、モールドすることができる。
【0091】
[モールド後の構造]
図18の(a)は、
図16で示すモールド前の半導体素子2と制御基板4を含む構造体を
図17の金型でモールドした構造の平面図である。
【0092】
図18の(b)は、
図18の(a)のA−A断面図を示している。このように、半導体素子2と基板4、電気制御回路3と基板4を電気的に接続する金線5はモールド樹脂11で絶縁され、検出した流量を電気信号の出力部38より出力するものとする。
【0093】
また、
図18で示す流量センサを用いる場合には、別途半導体素子2と連続した空間を有する構造体で、半導体素子2の周囲を囲った状態にすることにより、ダイヤフラム8部への空気流入を防止することができる。
【0094】
図19の(a)は、本発明による流量センサのモールド前の表面における平面図を示す。
図19の(b)は
図19の(a)のA−A断面を示している。
【0095】
図19の(a)、19の(b)で示すように、モールド前の流量センサは、空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2が、リードフレーム24の端部から露出された状態で搭載され、他方に前記半導体素子2を制御するための電気制御回路3部を配置したリードフレーム24とを備えた構造である。
【0096】
[製造方法]
ここで、
図19のリードフレーム24に設置した空気流量検出部1と制御基板4を含む構造体をモールドにより樹脂封止するための製造方法を
図20に示す。
【0097】
図20は、
図19に示すA−A断面において、
図19のモールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0098】
半導体素子2を上下から金型により挟み込んで固定し、前記半導体素子2の一部を露出させた状態で、前記半導体素子2の一部を含む表面に樹脂11層を形成している。このように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方が金型内をスライドできる可動入れ駒17で構成され、金型内をスライドできる可動入れ駒17の半導体素子2と接する反対側をバネ18などの弾性体で支持している構造の金型を用いることができる。
【0099】
なお、リードフレーム部のダム28は金型でクランプされ、樹脂11の金型内からの流出を防止している。
【0100】
また、
図20で示した金型は、
図4に示すように、半導体素子2を上下でクランプする金型の少なくとも一方にテフロンなどの弾性体入れ駒20を設置した構造の金型を用いることができる。
【0101】
また、
図20で示した金型は、
図5に示すように、金型の樹脂11材料と接する上金型12側に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2を上下でクランプする金型を用いることができる。
【0102】
図20に示す弾性体で支持された入れ駒を用いることにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、破断が無く、モールドすることができる。
【0103】
[モールド後の構造]
図21の(a)は、
図19で示すモールド前の半導体素子2と制御基板4を含む構造体を
図20の金型でモールドした構造の平面図である。
【0104】
図21の(b)は、
図21の(a)のA−A断面図を示している。このように、半導体素子2とリードフレーム24、電気制御回路3と基板4を電気的に接続する金線5はモールド樹脂11で絶縁され、リードレームのダム28部分を切断した後、検出した流量を電気信号の出力端子27より出力するものとする。
【0105】
また、
図20で示す流量センサを用いる場合には、別途半導体素子2と連続した空間を有する構造体で、半導体素子2の周囲を囲った状態にすることにより、ダイヤフラム8部への空気流入を防止することができる。
【0106】
[流量センサの空気通路部への設置]
図22の(a)は、樹脂封止した
図7の流量センサを空気の通路を形成する構造体29に設置した場合の平面図であり、空気通路を形成する構造体29には、空気の通路溝30を加工している。
【0107】
図22の(b)は、
図22の(a)のA−A断面を示す。このように、空気の通路を形成する構造体29の位置決め用凸部33を、流量センサの開口部7に挿入して固定することにより、空気の通路を形成する構造体29と流量センサの位置決め精度向上、組み付け時間の短縮を図ることができる。
【0108】
図22の(c)は、
図22の(b)の断面で示す流量センサを搭載した空気の通路を形成する構造体29の上部にカバー34を設置した場合の断面図である。
【0109】
図22の(c)で示す空気の通路30において、
図22の(a)で示す入り口31から流入した空気が空気の通路30を流れ、流量検出センサの上部を通過して、
図22の(a)で示す上方に設置した出口32から排出される構造である。
【0110】
[基板4の段差部に肉厚差を設けた構造]
図23の(a)は、流量センサのモールド前の表面における平面図を示す。
図23の(b)は
図23の(a)のA−A断面の第一の実施例を示している。
【0111】
図23の(a)、23の(b)で示すように、モールド前の流量センサは、空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2と、半導体素子2を制御するための電気制御回路3部を配置した基板4とを備え、前記半導体素子2が段差部に搭載され、金線5と基板4に設置された配線6によって電気信号が伝えられる構造である。また、電気制御回路3は接着剤10などで基板4に接合されている。
【0112】
ここで、半導体素子2が設置される基板4の段差部には、肉厚差を設け、半導体素子2の電気制御回路3側は、接着剤10などで基板4に接合されており、半導体素子2の電気制御回路3との反対側は段差部の肉厚が大きくなっている部分35と接する構造となっている。
【0113】
図23の(c)は
図23の(a)のA−A断面の第二の実施例を示している。このように、半導体素子2の電気制御回路3側は、接着剤10などで基板4に接合されており、半導体素子2の電気制御回路3との反対側は基板4の段差部とスペーサ36で支持されて接する構造となっている。
【0114】
なお、スペーサ36には、テフロン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などの有機材料を用いることができ、基板4と半導体素子2を接着する構造または接着しない構造とすることができる。
【0115】
[製造方法]
ここで、
図23の基板4に設置した半導体素子2と制御基板4を含む構造体をモールドにより樹脂封止するための製造方法を
図24に示す。
【0116】
図24の(a)は、
図23の(b)に示すA−A断面において、モールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合を示す。
【0117】
上金型12の表面に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2を上下でクランプする金型を用いることができる。
【0118】
ここで、
図23の(b)で示すように、半導体素子2におけるダイヤフラム8と相対する電気制御回路3との反対側は段差部の肉厚が大きくなっている部分と接する構造となっているので、上金型12からの弾性体のフィルム21を介してクランプをしても、金型クランプ方向において正確な位置決めができる。
【0119】
図24の(a)のB−B断面は
図24の(b)、または
図24の(c)で構成される。
【0120】
ダイヤフラム8部に樹脂11が流れ込まないように、B−B断面における半導体素子2と基板4の隙間を塞いで、樹脂11の流れを塞き止める必要がある。
【0121】
B−B断面における半導体素子2と基板4間の隙間は、
図24の(b)に示すテフロンブロックなどの弾性体15を設置したり、
図24の(c)に示す上金型12に設置した入れ駒16で樹脂11を塞き止める構造とする。
【0122】
なお、弾性体のフィルム21にはテフロン、フッ素樹脂などの高分子材料を用いることができ、弾性体フィルム21の肉厚方向の寸法が変化することにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、破断が無く、モールドすることができる。
【0123】
また、モールド後に形成される本流量センサは、半導体素子2と、半導体素子2の電気信号を伝える金線5と、基板4を一体で樹脂11モールドする部分を除いて、半導体素子2と樹脂11モールドは接触しない構造にできる。
【0124】
即ち、基板4の壁23が、半導体素子2の空気流量検出部分の設置面と直交する3面22と連続した空間を有する状態で、半導体素子2を囲んだ流量センサの構造を提供できる。
【0125】
[リードフレーム構造にスペーサを設けた構造]
図25の(a)は、流量センサのモールド前の表面における平面図を示す。
図25の(b)は
図25の(a)のA−A断面を示している。
【0126】
図25の(a)、25の(b)で示すように、モールド前の流量センサは、空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2と、半導体素子2を制御するための電気制御回路3を配置したリードフレーム24とを備え、前記半導体素子2が導電性を有するリードフレーム24によって電気信号が伝えられる構造である。また、電気制御回路3は接着剤10などで
リードフレーム24(図1〜図24の実施例の基板4
に相当)に接合されている。
【0127】
図25の(b)で示すように、半導体素子2の電気制御回路3側は、接着剤10などでリードフレーム24に接合されており、半導体素子2の電気制御回路3との反対側はリードフレーム24とスペーサ36で支持されて接する構造となっている。
【0128】
なお、スペーサ36には、テフロン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などの有機材料を用いることができ、リードフレーム24と半導体素子2を接着する構造または接着しない構造とすることができる。
【0129】
[製造方法]
図25の
リードフレーム24に設置した半導体素子2と電気制御回路3を含む構造体をモールドにより樹脂封止するための製造方法を
図26に示す。
【0130】
図26は、
図25の(b)に示すA−A断面において、モールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0131】
ここで、上金型12の表面に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2を上下でクランプする金型を用いることができる。
【0132】
また、
図25の(b)で示すように、半導体素子2の電気制御回路3との反対側はスペーサ36によってリードフレーム24と接する構造となっているので、上金型12からの弾性体のフィルム21を介してクランプをしても、金型クランプ方向において正確な位置決めができる。
【0133】
なお、リードフレーム部のダム28は金型でクランプされ、樹脂11の金型内からの流出を防止している。
【0134】
また、弾性体のフィルム21にはテフロン、フッ素樹脂11などの高分子材料を用いることができ、弾性体フィルム21の肉厚方向の寸法が変化することにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、半導体素子2の破断が無く、モールドすることができる。
【0135】
また、モールド後に、
図14、15で示すように、出力端子27以外のリードフレーム24のダム28部を切断して流量センサとして用いるものとし、検出した流量を電気信号として出力端子27より出力するものとする。
【0136】
また、本流量センサは半導体素子2と、半導体素子2の電気信号を伝える金線5と、基板4を一体で樹脂11モールドする部分を除いて、半導体素子2とモールド樹脂11は接触しない構造にできる。
【0137】
即ち、樹脂11モールド部分で形成される樹脂壁26が、半導体素子2の空気流量検出部分の設置面と直交する3面22と連続した空間を有する状態で、半導体素子2を囲んだ流量センサの構造を提供できる。
【0138】
[プリモールドとリードフレーム構造]
図27の(a)は、流量センサのモールド前の表面における平面図を示す。
図27の(b)は
図27の(a)のA−A断面を示している。
【0139】
図27の(a)、27の(b)で示すように、モールド前の流量センサは、プリモールド部品37に搭載した空気流量検出部1とダイヤフラム8とを形成した半導体素子2、半導体素子2を制御するための電気制御回路3を配置したリードフレーム24とを備え、前記半導体素子2が導電性を有するリードフレーム24によって電気信号が伝えられる構造である。また、プリモールド部品37と電気制御回路3は接着剤10などで
リードフレーム24に接合されている。
【0140】
ここで、
図28の(a)は樹脂で形成したプリモールド部品37の平面図を示し、
図28の(b)は
図28の(a)のA−A断面を示している。プリモールド部品37は半導体素子2の設置面41と、半導体素子2設置面41に直交する面42を有する構造であり、半導体素子2の設置面41には、部分的に凸部39を形成している。
【0141】
図27の(b)で示すように、半導体素子2の電気制御回路3側は、接着剤10などでプリモールド部品37に接合されており、半導体素子2の電気制御回路3との反対側は、半導体素子2の一部と凸部39が接触する構造となっている。
【0142】
ここで、プリモールド部品37の材質は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネイト樹脂、PBT樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0143】
また、プリモールド部品37の凸部39の形状は
図28で半球形状を3個設置した例を示したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、設置個数は任意であり、凸部の断面は矩形、三角形などの任意の断面形状を用いることができる。
【0144】
[製造方法]
ここで、
図27のプリモールド部品37に設置した半導体素子2、
リードフレーム24を含む構造体をモールドにより樹脂封止するための製造方法を
図29に示す。
【0145】
図29の(a)は、
図27の(b)に示すA−A断面において、モールド前の構造体を金型内に設置し、モールドした場合の断面図を示す。
【0146】
上金型12の表面に弾性体のフィルム21を設置し、弾性体のフィルム21を介して半導体素子2をクランプする金型を用いることができる。また、リードフレーム部のダム28は金型でクランプされ、樹脂11の金型内からの流出を防止している。
【0147】
ここで、
図27の(b)、
図28で示すように、半導体素子2の電気制御回路3との反対側はプリモールド部品37の凸部39と接する構造となっているので、上金型12からの弾性体のフィルム21を介してクランプをしても、金型クランプ方向において正確な位置決めができる。
【0148】
図29の(a)のB−B断面は
図29の(b)、または
図29の(c)で構成される。
【0149】
ダイヤフラム8部に樹脂11が流れ込まないように、B−B断面における半導体素子2と
リードフレーム24の隙間を塞いで、樹脂11の流れを塞き止める必要がある。
【0150】
B−B断面における半導体素子2と
リードフレーム24間の隙間は、
図29の(b)に示すテフロンブロックなどの弾性体15を設置したり、
図29の(c)に示す上金型12に設置した入れ駒16で樹脂11を塞き止める構造とする。
【0151】
なお、弾性体のフィルム21にはテフロン、フッ素樹脂などの高分子材料を用いることができ、弾性体フィルム21の肉厚方向の寸法が変化することにより、半導体素子2の寸法がばらついた場合にも樹脂11漏れ、破断が無く、モールドすることができる。
【0152】
[モールド後の構造]
図30の(a)は、
図27で示すモールド前の半導体素子2と
リードフレーム24を含む構造体を
図28の金型でモールドした構造の平面図である。
【0153】
図30の(b)は、
図30の(a)のA−A断面図を示しており、半導体素子2とリードフレーム24、電気制御回路3とリードフレーム24を電気的に接続する金線5はモールド樹脂11で絶縁され、検出した流量を電気信号の出力部より出力するものとする。
【0154】
また、
図30で示すモールド後の構造を、
図14、15で示すように、出力端子27以外のリードフレーム24のダム28部を切断して流量センサとして用いるものとし、検出した流量を電気信号として出力端子27より出力するものとする。
【0155】
また、本流量センサは、半導体素子2と、半導体素子2の電気信号を伝える金線5と、プリモールド部品37と、リードフレーム24を一体で樹脂11モールドする部分を除いて、半導体素子2と樹脂11モールド、またはプリモールド部品37は接触しない構造にできる。
【0156】
即ち、半導体素子2の空気流量検出部分の設置面と直交する3面22とプリモールド部分が、連続した空間を有する状態で、半導体素子2を囲んだ流量センサの構造を提供できる。
【0157】
[スナップフィット構造]
図27で示したプリモールド部品37を用いた構造は、プリモールド部品37と半導体素子2、またはプリモールド部品37とリードフレーム24を接着剤10で接合する構造を示したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、
図31に示すように、プリモールド部品37に設置したスナップフィット40を用いて、プリモールド部品37と半導体素子2、またはプリモールド部品37とリードフレーム24を接合する構造を用いることもできる。
【0158】
なお、
図31の(a)は、流量センサのモールド前の表面における平面図を示し、
図31の(b)は、
図31の(a)のA−A断面を示している。
【0159】
ここで、
図32の(a)は樹脂で形成したプリモールド部品37の平面図を示し、
図32の(b)は
図32の(a)のA−A断面、
図32の(c)は
図32の(a)のB−B断面を示している。プリモールド部品37は半導体素子2の設置面41と、半導体素子2設置面に直交する面42を有する構造であり、半導体素子2の設置面41には、部分的に凸部39を形成し、
図32の(b)に示すリードフレーム24とプリモールド部材37の接合用スナップフィット40、
図32の(c)に示す半導体素子2とプリモールド部材37接合用のスナップフィット構造40を形成する構造である。
【0160】
また、以上では、
図27で示したように、プリモールド部品37と半導体素子2、またはプリモールド部品37とリードフレーム24を接着剤10で接合する構造、または、
図31で示したように、スナップフィット40を用いて、プリモールド部品37と半導体素子2、またはプリモールド部品37とリードフレーム24を接合する構造を示したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、
図33に示すように、プリモールド部品37と半導体素子2、またはプリモールド部品37とリードフレーム24が圧入43により接合される構造とすることもできる。
【0161】
なお、
図33の(a)は、流量センサのモールド前の表面における平面図を示し、
図33の(b)は
図33の(a)のA−A断面を示している。また、
図31、33で示すモールド前の構造をモールドした後に、
図14、15で示すように、出力端子27以外のリードフレーム24のダム28部を切断して流量センサとして用いるものとし、検出した流量を電気信号として出力端子27より出力するものとする。
【0162】
以上で示した製品構造と製造方法は、流量センサについて示したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、湿度センサなどの半導体素子2の一部を露出させた状態で樹脂11封止する部品の製造方法にも用いることができる。また、以上で示した製造方法の金型にはモールド樹脂11の抜き勾配が加工されており、製品構造のモールド樹脂11部には抜き勾配が付いているものとする。