【課題を解決するための手段】
【0024】
一態様によると、本発明は、内腔を有する歯科用インプラントに接続するための二次部品であって、前記二次部品は、ヘッド部とベース部とを含み、前記ヘッド部は、使用時に前記歯科用インプラントから突出する歯冠部と、前記歯冠部の歯根側の連結部とを含み、前記ベース部は、インプラントに接続するためのインプラント接続手段と、締付手段とを含み、前記連結部と前記締付手段は回転可能に直接連結させることができ、それにより、前記ヘッド部と前記ベース部を軸方向に連結させ、前記ヘッド部は、前記歯冠部から前記連結部まで延びる貫通路をさらに含み、前記ベース部は、前記ヘッド部と前記ベース部が連結されたとき、前記貫通路に連通する駆動手段を含むことを特徴とする二次部品を提供する。
【0025】
「直接連結」とは、嵌め込み(inlay)等の付加的部品を必要とせずに、ヘッド部およびベース部が結合されることを意味する。上記連結は、ヘッド部の連結部とベース部の締付手段との相互作用によって起こり、2つの部分の軸方向の位置合わせ(axial alignment)を保持する。従って、連結された状態において、ヘッド部およびベース部は軸方向に結合されるが、いくつかの実施形態では、軸方向の遊びがあることもある。
【0026】
ヘッド部およびベース部は、回転可能に連結するように配置されているため、これらが連結された状態でも、両者の間の少なくとも部分的な相対的回転が可能となっている。
【0027】
従って、本発明は、ベース部がヘッド部に対して回転することができる、2部材からなる二次部品を提供する。実際には、2部材からなる二次部品は、組込式(in-built)インプラント接続手段を備えた二次部品であると考えられる。インプラント接続手段は二次部品の歯根側の端部に直接連結されるので、二次部品のヘッド部の貫通路内に、インプラント接続手段を通す、または収容する必要がない。
【0028】
従って、この貫通路は、ベース部の駆動手段に係合するための駆動工具を挿入できる大きさに作られてさえいればよい。ゆえに、二次部品を通る通路の径を大幅に減少することができる。その結果としての体積の増加により、二次部品が強化される。さらに、通路の径が減少すると、二次部品の歯冠部を個別化された形状に研削する性能が向上する。また、別個のねじ部品がないため、この小さな部品の取り扱いに起因する汚染または吸引の危険性が排除される。
【0029】
ヘッド部およびベース部の直接連結により、簡素な構成になる。各部分を互いに結合するのに嵌め込みまたは他の第3の部品を必要としないので、部分間の接続が時間とともに緩くまたは弱くなりにくい。
【0030】
連結部および締付手段は、互いに協働してヘッド部およびベース部を軸方向に連結し、同時にヘッド部およびベース部がベース部の長手方向軸の周りを少なくとも部分的に相互に回転できるようにもする。
【0031】
連結部および締付手段は、それぞれヘッド部およびベース部の組立済み部品を構成する。連結部および/または締付手段は、ヘッド部およびベース部が連結される前に、製造時において、それぞれヘッド部およびベース部に、接着される、接合される、成型される、またはそうでなければ永久的に結合されてもよい。しかし、本発明によれば、ヘッド部およびベース部を連結可能にするために、これらの部分が互いに接触して配置された後、ヘッド部にもベース部にも、付加的部品を加えてはならない。
【0032】
構成の容易にし、かつ構造上の完全性を高めるために、ヘッド部およびベース部は、それぞれ単一部品、すなわち、一体型部品からなることが好ましい。これらの部分は、例えば焼結、射出成形および機械加工等の公知の方法で形成することができる。上記部品の一方のみを一体的に形成することも可能である。
【0033】
いくつかの実施形態において、直接連結は、連結部および締付手段が接触して配置された後、連結部および/または締付手段の改良または変更を介して実現されてもよい。すなわち、連結可能にするために、組立体に付加的要素は加えられないが、組立済み要素を作り直すことはできる。例えば、締付手段および連結部は、塑性変形、圧着(crimping)および焼ばめ等を介して直接連結されてもよい。しかし、連結は、連結部および締付手段の正確な位置合わせによってのみ得られることが好ましい。これは、連結可能にするために、ヘッド部またはベース部の変更または改良が不要であることを意味する。そのような連結の例としては、上記部品の形状嵌合(form fit)、バヨネット結合または弾性変形が挙げられる。
【0034】
連結部および締付手段は、好ましくはスナップ嵌合接続によって直接連結される。これは、弾性変形の一形態であり、それ自体では、ベース部およびヘッド部は、連結部および締付手段を一直線に並べるだけで連結される。スナップ嵌合連結を行うために、連結部および締付手段の少なくとも一方は、弾性的に柔軟でなければならない。これにより、連結部および締付手段の少なくとも一方を変形させることができるため、元の形状にスプリングバックあるいはスナップバックする前に、ヘッド部およびベース部を動かして一直線にすることができ、その結果、これらの部品が一直線に並んだ位置に保持される。
【0035】
好ましくは、連結部は、ヘッド部の歯根側端部に配置される。さらに好ましくは、締付手段は、ベース部の歯冠側先端部に配置される。すなわち、ヘッド部は、連結部の先端部に位置するさらなる部分を含まず、ベース部は、締付手段の上に歯冠側端部に位置するいかなる部分も含まない。連結部および締付手段は、それぞれヘッド部の歯根側端部の表面およびベース部の歯冠側端部の表面を形成する。これは、上記部品の構成を容易にするとともに、連結された状態において、部分間の重なりを最小にする。従って、ベース部の長さを短くしておくことができるため、使用時に、ベース部に及ぼされる曲げ力が低減される。
【0036】
従来の歯科用語によると、「歯根側(apical)」とは、骨に向かう方向を示しており、「歯冠側(coronal)」とは、歯に向かう方向を示している。従って、部品の歯根側端部は、使用時に、顎骨に向けられる端部であり、歯冠側端部は、口腔に向けられる端部である。
【0037】
連結された状態において、ベース部は、一部の角度範囲にわたって、その長手方向軸の周りを自由に回転できなければならない。これにより、ヘッド部に対してベース部を回転させることができるため、インプラント接続手段がインプラントに係合して、二次部品をインプラントに固定することができる。従って、ベース部のインプラント接続手段は、インプラントに対する相対的回転によって、インプラントに軸方向に安定して固定されるように配置されている。このようにして、上述したように、二次部品は、基部ねじ等の付加的な固定部品を必要とせずに、インプラントに固定されることができる。インプラント接続手段により、回転を介して実現される、インプラントへの軸方向の固定が行われる。
【0038】
軸方向に固定されているが、回転可能なヘッド部とベース部との連結を実現するために、ヘッド部およびベース部は、ねじによって連結されることができる。しかし、連結部および締付手段の一方が少なくとも1つのレールを含み、他方がこのレールに係合するように形成された1つ以上のランナーを含むことが好ましい。
【0039】
このことは、それ自体独創的であると考えられるため、別の態様から見ると、本発明は、内腔を有する歯科用インプラントに接続するための二次部品であって、前記二次部品は、ヘッド部とベース部とを含み、前記ヘッド部は、使用時に前記歯科用インプラントから突出する歯冠部と、前記歯冠部の先端の連結部とを含み、前記ベース部は、インプラントに接続するためのインプラント接続手段と、締付手段とを含み、前記ヘッド部と前記ベース部を軸方向に連結するために、前記連結部および前記締付手段の一方は、少なくとも1つのレールを含み、他方は、前記レールに回転可能に係合するように形成された1つ以上のランナーを含んでおり、前記ヘッド部は、前記歯冠部から前記連結部まで延びる貫通路をさらに含み、前記ベース部は、前記ヘッド部と前記ベース部が連結されたとき、前記貫通路に連通する駆動手段を含むことを特徴とする二次部品を提供する。
【0040】
本発明の上記態様の好ましい特徴は、第1の態様に関連して上述したこと、および後述することに対応する。
【0041】
レールは、ヘッド部またはベース部の内面または外面において、一定の角度範囲にわたって延びる突起または溝のいずれの形をとることもできる。例えば、連結部または締付手段は、当該部分の周囲に延在し、空胴を形成する環状壁を含んでもよい。その場合、レールは、内壁内部または内壁上に形成される。あるいは、レールは、ヘッド部またはベース部の外面上における、狭窄、溝、拡幅または突起によって形成されてもよい。1つのレールが設けられてもよく、または複数のレールが角度的に間隔をあけて配置されることにより、「断続的な」または「破線状の」レールが形成されるようにしてもよい。
【0042】
1つ以上のランナーは、レールに係合するように形作られている。すなわち、ランナーは、レールの輪郭に対して相補的な輪郭を有する窪みまたは突起を含む。これにより、ランナーがレールに接することができるため、ヘッド部に対してベース部を軸方向に固定することになるが、ランナーは当該レールに沿って動くことができるので、必要な相対的回転がなされる。ランナーは、レールの輪郭にちょうど逆に一致するように形作られてもよく、その結果、正確な軸方向の固定が得られる。あるいは、ランナーは、ヘッド部およびベース部が連結されたとき、両者の間に軸方向の遊びを可能にする輪郭を有することもできる。後者の選択肢は、インプラント内に二次部品を設置する際に有益となり得る。
【0043】
一般的には、1つ以上のランナーは、少なくとも1つのレールよりも角度範囲(angular extension)が小さいので、レールに沿って動くことができる。従って、少なくとも1つのレールおよび1つ以上のランナーが互いに異なる角度範囲を有するあらゆる実施形態において、角度範囲が小さい方の特徴を「ランナー」とする。二次部品は、好ましくはレールよりもランナーを多く含む。特に好ましい実施形態において、二次部品は、1つのレールと、このレールに係合するように形成された複数のランナーとを含む。しかし、とりわけレールおよびランナーがどちらも連結部および締付手段の長手方向軸の周りに360度にわたって延在している場合、レールおよびランナーは、両方とも同じ角度範囲を有することが可能である。この場合、どちらの部品をレールまたはランナーとしてもよい。
【0044】
複数のランナーは、軸方向に延伸するアームの形をとることができ、それらの遠端には、レールの輪郭に対して相補的な輪郭を備えた窪みまたは突起が設けられている。
【0045】
ヘッド部またはベース部の内腔にレールが形成される場合、ランナーは、この内腔に挿入されるように配置された、軸方向に延伸するアームを含んでもよい。あるいは、半径方向に延伸するランナーを遠端に備えた中心軸(central stem)を設けてもよい。
【0046】
しかし、少なくとも1つのレールは、連結部または締付手段の外面に形成されていることが好ましい。従って、1つ以上のランナーは、連結された状態において、少なくとも部分的にレールを取り囲んでいる。
【0047】
1つ以上のランナーは、複数(例えば2、3または4)の等間隔に配置された同一のアームを含むことができる。好ましい実施形態において、6以上のアームが設けられるが、さらに好ましくは、少なくとも10(例えば12)のアームが設けられる。しかし、アームの十分な強度を確保するために、15未満のアームを設けることが好ましい。これらのアームは、どの部品がランナーを含むかによって、連結部または締付手段の長手方向軸の周りに等間隔に配置される。
【0048】
しかし、さらに好ましい実施形態において、1つ以上のランナーは、1つ以上の軸方向に延伸するアームを含み、これらのアームが組み合わされて「馬蹄」形または「C」形の側壁を形成している。このような側壁は、少なくとも約180度の角度にわたって延在する1つのアームによって形成することもできる。あるいは、側壁は、複数の密接に配置された軸方向に延伸するアームによって形成されてもよい。これらのアームは、軸方向に延伸する1対のアームの間の間隙が軸方向に延伸する他の対のアームの間の間隙よりも大きくなるように配置されている。実際には、これによって「断続的な」または「破線状の」側壁が形成される。側壁は、好ましくは180度を超える角度、より好ましくは200度を超える角度にわたって延在している。側壁にとって特に好ましい角度範囲は、190度〜220度である。
【0049】
側壁を備えることにより、横方向の開口が設けられるとともに、連結部および締付手段がヘッド部とベース部との相対的な横方向の動きによって連結されることが可能になるので、少なくとも1つのレールは、横方向の開口を通過して、側壁によって規定された空胴内に押し込められる。これは、簡単な接続方法を提供するものである。断続的な側壁を備えれば、柔軟度がより高くなるため、横方向の開口に連結部または締付手段を通過させることがさらに容易になる。
【0050】
特に好ましい実施形態において、1つ以上のランナーは、3つの軸方向に延伸するアームを含み、これらのアームが組み合わされて「C」形を形成し、中央のアームは、両端の各アームの角度の少なくとも2倍の角度にわたって延在している。このようにして、ランナー表面の大部分が1つのアームによって設けられているため、その安定性が向上する一方、両端のアームからなる側壁の端部においては、柔軟性が向上して、ヘッド部およびベース部を連結するのに役立つ。好ましい一実施形態において、両端のアームは、それぞれ10度〜15度の角度にわたって延在しているが、中央のアームは、約180度の角度範囲を有する。
【0051】
より一般的には、相対的な横方向の動きを介して部品の連結が起こるように、連結部および締付手段の一方は、連結部および締付手段の他方が挿入されるように形成された横方向の開口を含むことが好ましい。
【0052】
このことは、それ自体独創的であると考えられるため、別の態様によると、本発明は、内腔を有する歯科用インプラントに接続するための二次部品であって、前記二次部品は、ヘッド部とベース部とを含み、前記ヘッド部は、使用時に前記歯科用インプラントから突出する歯冠部と、前記歯冠部の先端の連結部とを含み、前記ベース部は、インプラントに接続するためのインプラント接続手段と、締付手段とを含み、前記連結部および前記締付手段の一方は、前記連結部および前記締付手段の他方が挿入されるように形成された横方向の開口を含み、それにより、前記ヘッド部と前記ベース部が相対的な横方向の動きを介して回転可能に連結させることができ、前記ヘッド部は、前記歯冠部から前記連結部まで延びる貫通路をさらに含み、前記ベース部は、前記ヘッド部と前記ベース部が連結されたとき、前記貫通路に連通する駆動手段を含むことを特徴とする二次部品を提供する。
【0053】
上述したように、横方向の開口は、「C」形環状側壁によって規定されてもよい。
【0054】
連結部および締付手段は、好ましくは直接連結される。
【0055】
さらに、本発明の上記態様の好ましい特徴は、第1の態様に関連して上述したこと、および後述することに対応する。
【0056】
連結部は、その外面に配置された少なくとも1つのレールを含むことが好ましい。これにより、ヘッド部が空胴または薄肉アームを含む必要がなくなるため、この部品の強度が向上する。また、レールは、連結部の、歯冠部の先端部よりも径が狭い部分に配置されていることが好ましい。すなわち、レールは、歯冠部の歯根側先端部よりも細径化されている。連結部が細径化されているので、締付手段は、二次部品の全径を増加させることなく、少なくとも部分的にレールを取り囲むことができる。これにより、本発明の二次部品は、既存のインプラントとともに用いることが可能になる。
【0057】
レールは、好ましくは連続溝の形をしている。上記実施形態において、連続溝は、連結部の細径部そのものとして形成されてもよく、この細径部内に形成されてもよい。別の実施形態において、連続突起の形をしたレールは、細径部上に配置することができる。
【0058】
連結部がレールを含む場合、締付手段は、このレールの輪郭に対して相補的に形成された遠端を備え、軸方向に延伸するアームの形をとる少なくとも1つのランナーを含むことが好ましい。従って、レールが溝によって形成されるならば、上記アームの遠端は、この溝に収容されるように形成された突起を含むことになる。上述したように、(複数の)軸方向に延伸するアームは、「C」形側壁を形成するか、または複数のアームが長手方向軸の周りに等間隔に配置されることが好ましい。
【0059】
上述したように、ヘッド部およびベース部は、スナップ嵌合接続によって連結されることが好ましい。従って、1つ以上のランナーは、1つ以上のレールにスナップ嵌合接続されるために、弾性的に柔軟であることが好ましい。しかし、他の接続方法も可能である。例えば、(複数の)レールおよび(複数の)ランナーが一直線に並んだ後、(複数の)ランナーは、塑性変形によって(複数の)レールに連結されることができる。
【0060】
スナップ接続を可能にするために、1つ以上のランナーが弾性的に柔軟である場合、1つ以上のランナーは、少なくとも部分的にレールを取り囲んでいることが特に好ましい。これにより、二次部品がインプラントに接続されたとき、1つ以上のランナーの外面と、インプラントの内腔またはインプラントシステムの他の部分とが近接する、または接触するようにシステムを設計することができる。その結果、ヘッド部の緩みまたは分離を招くことがある、(複数の)ランナーの不要な外側への屈曲の可能性を防ぐことができる。その代わりに、またはそれに加えて、(複数の)ランナーの突起または窪みは、スナップ接続の分離が阻止される鏃形(barb shaped)でもよい。
【0061】
連結部および締付手段は、ヘッド部とベース部との相対的回転を360度にする、または部分的回転のみにすることができるように構成されてもよい。部分的回転のみが必要な場合、連結部および/または締付手段は、相対的な回転運動を制限する止め具を備えることができる。例えば、レールおよびランナーが用いられる場合、少なくとも1つのレールが(複数の)ランナーの動きを制限する止め具を備えていればよい。また、レールが1つ以上の溝の形をしている場合、これらの溝が360度未満の角度に対していればよく、溝の間の領域が相対的回転を制限する止め具として機能する。あるいは、レールの端部に、(複数の)ランナーが接することになる突出フランジを配置してもよい。
【0062】
ベース部の駆動手段は、ヘッド部およびベース部が連結されたとき、ヘッド部の貫通路に連通する。これにより、駆動工具が貫通路を挿通して駆動手段に係合することができるため、ヘッド部に対してベース部を回転させることができる。いくつかの実施形態において、駆動手段は、2部材からなる二次部品の連結時に、貫通路の下または内部に位置する突起を含む。他の実施形態において、駆動手段は、窪みを含む。駆動手段は、ベース部にトルクを伝達することが可能な非円形形状であればよく、例えば、十字形、棒形、星形またはトルクス(TORX(登録商標))形等が挙げられる。従って、駆動手段は、ベース部にトルクを伝達することが可能な非円形の断面を有することが好ましい。駆動手段は、好ましくはベース部の内壁に形成される、すなわち、駆動手段は、突起ではなく窪み、穴または通路からなる。そのため、駆動工具は、駆動手段の上方に位置するのではなく、駆動手段の内部に挿入される。
【0063】
特に好ましい実施形態において、駆動手段は、ベース部の長手方向軸に沿って延びる通路を含む。本発明の文脈では、通路と窪みとは、通路については、その幅よりも深さが大きいが、窪みについては、反対のことが当てはまるという点で区別される。これにより、トルクの伝達が生じる長さが大きくなるため、良好な力の配分が得られる。好ましくは、駆動手段は、多角形の断面を有する。最も好ましくは、製造を容易にするため、駆動手段は、正方形または矩形の断面を有する通路を含む。また、多角形の断面の角が丸められていることが好ましい。矩形の断面の場合、矩形は、各短辺の全長にわたって丸められる。その結果、対向する2つの平面状側部が湾曲部によって相互に接続された断面となる。好ましくは、上記通路は、ベース部内に少なくとも0.5mm及んで、貫通路を形成してもよい。
【0064】
ヘッド部の貫通路は、駆動工具が挿入され、かつ支障なく回転できるような寸法にされなければならない。従って、貫通路の幅は、少なくとも駆動手段の最大幅に等しいことが好ましい。また、貫通路は、できる限り寸法を狭くすることから、回転対称であることが好ましい。
【0065】
貫通路の幅は、好ましくは2mm未満であり、より好ましくは0.8〜1.5mmである。これは、ねじ頭径が約2.5mmの標準的な基部ねじを用いるシステムと比較して、幅の著しい減少を示している。
【0066】
締付手段および駆動手段に加えて、ベース部は、インプラントに接続するためのインプラント接続手段をさらに含む。上述したように、インプラント接続手段は、ベース部とインプラントとの相対的回転を介して、インプラントに軸方向に安定して接続されるように設計されている。従って、インプラント接続手段とは、相対的回転と同時に、インプラントに二次部品を軸方向に固定する手段である。
【0067】
インプラント接続手段は、好ましくは締付手段の先端に配置されるが、これらのベース部の構成要素が重複することも可能である。例えば、締付手段が中心軸を含み、インプラント接続手段がこの中心軸を取り囲む環状壁の形をとり、連結された状態において、締付手段とインプラント接続手段との間の環状間隙に連結部が嵌合するようにしてもよい。あるいは、締付手段は、インプラント接続手段の一部を構成してもよい。例えば、締付手段が環状壁の形をとり、環状壁の内側が連結部に係合する場合、環状壁の外側にねじ山または他の刻印を施して、インプラントの内腔に係合し、固定するようにしてもよい。
【0068】
ベース部がヘッド部の連結部に直接連結されるので、ヘッド部の貫通路にベース部を通す必要がない。従って、ベース部の径および貫通路の径は相互に依存しないため、貫通路を狭くすることができる。ゆえに、好ましい実施形態によると、ヘッド部の貫通路は、インプラント接続手段の径よりも狭くなる。この通路は、好ましくはベース部の最小径よりも狭い。ヘッド部の貫通路にベース部を通すことができないため、二次部品は、インプラントへの取り付け前に、必ず予め組み立てられていなければならない。これは、標準的な基部ねじを用いるシステム、すなわち、二次部品がインプラントに配置されれば、この二次部品に基部ねじを挿通することができるシステムとは異なる。
【0069】
ヘッド部の貫通路は、歯冠部から連結部まで延びており、どちらの端部も開口している。貫通路の一端部は歯冠部に配置されているので、二次部品がインプラントに配置された後に接触可能である。
【0070】
ベース部の駆動手段に連通するために、貫通路は、連結部を通って延びることができ、または連結部の空胴もしくは穴に通じることもできる。貫通路はヘッド部の先端部まで延びるのか、それとも連結部までだけなのかは、連結部がベース部の締付手段を取り囲むように設計されているのか、またはベース部の締付手段に取り囲まれるように設計されているのかによる。ヘッド部内の空胴を最小に保つために、締付手段は、連結部の外側に連結することが好ましい。このようにすれば、連結部は、内部空胴を備える必要がない。そのような空胴があると、ヘッド部の体積が減少することから、上記構成は有利である。従って、連結部は、ヘッド部およびベース部が連結されたとき、締付手段によって少なくとも部分的に取り囲まれることが好ましい。ゆえに、このような実施形態において、ベース部のいずれもヘッド部内に収容されず、貫通路は、ヘッド部の先端部の表面まで達している。
【0071】
このことは、それ自体独創的であると考えられるため、別の態様から見ると、本発明は、内腔を有する歯科用インプラントに接続するための二次部品であって、前記二次部品は、 ヘッド部とベース部とを含み、前記ヘッド部は、使用時に前記歯科用インプラントから突出する歯冠部と、前記歯冠部の先端の連結部とを含み、前記ベース部は、インプラントに接続するためのインプラント接続手段と、締付手段とを含み、前記締付手段は、前記連結部の外側に回転可能に固定されるように配置され、前記ヘッド部は、前記ヘッド部を通って延びる貫通路をさらに含み、前記ベース部は、前記ヘッド部と前記ベース部が連結されたとき、前記貫通路に連通する駆動手段を含むことを特徴とする二次部品を提供する。
【0072】
本発明の上記さらなる態様の好ましい特徴は、第1の態様に関連して上述したこと、および後述することに対応する。
【0073】
貫通路は、連結部の長手方向軸に対して傾斜させることも、屈曲させることさえできるが、好ましくは連結部の長手方向軸に沿って延びる。
【0074】
歯冠部の長手方向軸は、連結部の長手方向軸と同軸であってもよく、連結部の長手方向軸に対して角度をなしてもよい。これは、二次部品がアバットメントである場合に特に当てはまるが、なぜなら、歯冠部の角形成は、最終的な義歯の所望の向きによって決まるからである。しかし、連結部の長手方向軸およびベース部の長手方向軸は同軸であるため、ベース部が連結部に連結されると、ベース部は、その長手方向軸の周りを回転することができる。
【0075】
インプラント接続手段は、ベース部をインプラントに確実に固定できるようにするために、インプラントの設計に合わせた設計および寸法にされている。好ましい一実施形態において、インプラント接続手段は、雌ねじ付きインプラント内腔と協働するための雄ねじを含む。ベース部のねじがインプラントのねじに係合すると、ベース部および連結されたヘッド部は、インプラントに軸方向に固定される、すなわち、それらは、ねじが抜けるまでインプラントから取り外すことができない。しかし、別の好ましい実施形態において、インプラント接続手段は、角度的に間隔をあけて配置されたナブまたは溝を含み、これらがインプラント内腔における相補的な溝またはナブと協働するため、バヨネット嵌合により、インプラントとアバットメントとを接続することができる。「バヨネット嵌合」とは、周知の用語であり、最初に軸方向、次に周方向に延びて、ほぼ「L」形となる溝穴を用いた接続を意味する。この溝穴の軸方向に延伸する部分は、周方向部分への進入路となるが、くびれを含むことが多い。ゆえに、ピンまたは他の突起を、溝穴の軸方向部分を通して周方向の通路内に押し込まなければならず、その後、ピンまたは他の突起が溝穴の周方向部分に保持される。これにより、バヨネット嵌合の特徴である「差し込んでひねる」動作となる。ある場合には、溝穴の周方向部分が螺旋状もしくは傾斜した経路をたどることがあり、および/または周方向部分自体がくびれを有することにより、ピンをこの溝穴の部分に保持できるようにすることがある。本発明において、ベース部は、バヨネット嵌合の溝穴またはピンのいずれかを含むように設計することができる。
【0076】
別の実施形態において、インプラント接続手段は、先端に向かって延びる軸を含み、この軸の末端に、軸よりも径が大きく、多角形等の非円形の断面を有するディスクを設けてもよい。インプラント内腔は、上記ディスクに対応する断面を有する部分を含み、この部分の先端に、より大きな断面積を有するチャンバーが設けられている。ベース部およびインプラントが正確に位置合わせされると、ディスクが内腔の同じ断面を有する部分を挿通して、チャンバー内に入る。次に、ベース部が回転することにより、ディスクは、インプラント内腔との一直線上からずれるため、ベース部をチャンバーから取り外すことができなくなる。
【0077】
連結時のヘッド部とベース部の回転の遊びは、インプラント接続手段がインプラントに完全に係合することができるほど十分でなければならない。ベース部とヘッド部との連結によって、約360度の相対的回転が妨げられないことが好ましい。しかし、いくつかの実施形態において、例えばバヨネット嵌合では、好ましくは少なくとも45度、より好ましくは90度〜180度の部分的な相対的回転のみを可能にするような接続であってもよい。
【0078】
本発明によれば、インプラントと二次部品とを接続するために、ベース部しか回転させる必要がないアバットメントまたは他の二次部品を作成することが可能になる。これにより、インプラント内に二次部品を固定する前に、インプラントに対するヘッド部の角度位置を設定することができる。
【0079】
従って、ヘッド部は、インプラントとの協働のために、回転防止手段を含むことが好ましい。このようにすれば、ヘッド部は、インプラントに対して正確に位置付けられることができ、同時にベース部を介して、回転によって二次部品をインプラントに固定することができるようにもなる。上述したように、回転防止手段は、インプラントの相補的な回転防止手段に非回転で嵌るように適合された非円形の断面を有する。
【0080】
回転防止手段は、好ましくはインプラントの内腔と協働するために配置される。従って、回転防止手段は、ヘッド部の外面に形成される。回転防止手段の好ましい形状としては、インプラント内の多角形の空胴とかみ合うような六角形または八角形等の多角形、またはインプラントの内腔における突起と協働するように形成された溝もしくは平坦面が挙げられる。逆に、ヘッド部の回転防止手段は、インプラント内の溝または窪みに挿入するための突起を含むことがある。インプラントおよび二次部品のそれぞれの回転防止手段の形状は、これらが互いに非回転で係合できる限り、同一である必要はない。例えば、インプラントが正方形の空胴を含む一方、二次部品は、八角形の部分を含んでもよい。あらゆる公知の回転防止手段を用いることができる。
【0081】
体組織にさらされる界面の数を最小にするために、ヘッド部とベース部との接続は、二次部品がインプラントに装着されたとき、インプラントの内腔の中に配置されることが好ましい。これにより、インプラント−二次部品表面上の微小間隙の数が減少する。従って、ヘッド部は、インプラントの歯冠側端部に密封係合するように形作られることが好ましい。密封係合は、連結部の歯冠側端部によってなされる。すなわち、連結部の歯冠側端部の外面の形状寸法を、インプラント内腔の歯冠側端部の断面に対して相補的にすることで、連結部が内腔に挿入されたとき、この歯冠側端部がインプラント内腔を密封することになる。その代わりに、またはそれに加えて、ヘッド部の歯冠部の先端部は、インプラント内腔を取り囲む、インプラントの冠状表面に接するように形作られてもよい。ベース部がヘッド部の先端部に連結されるので、連結部と締付手段との界面は、インプラント内に配置される。
【0082】
好ましい実施形態において、連結部の歯冠側端部は、歯冠に向かう方向において、外側についたテーパーが歯冠部の先端部につながっているテーパー部を含む。このテーパー部は、インプラントの内腔の対応するテーパー部に係合して、これらの2つの部品の間を良好に密封することができる。
【0083】
ヘッド部が回転防止手段を含む場合、この回転防止手段は、好ましくはテーパー部の内部および/または先端に配置される。
【0084】
ベース部は、ヘッド部の回転防止手段の先端に連結することが好ましい。これは、ベース部の長さを短くするとともに、回転防止手段および密封係合が押し下げられるのではなく、インプラント上に下ろされることを意味する。ベース部の長さが短くなるため、この部品に作用する曲げ力が低減される。
【0085】
ヘッド部の歯冠部は、使用時に、インプラントから歯冠に向かう方向に延びて軟部組織にまで及ぶ。多くの場合、歯冠部は、軟部組織を通って患者の口腔に達する大きさに作られている。好ましい実施形態において、二次部品はアバットメントである。そのような場合、歯冠部は、義歯を支えるのに適するように設計される。従って、歯冠部は、使用時に、軟部組織を通って口腔にまで及ぶことにより、義歯の芯支持体となる。歯冠部は、連結部の長手方向軸と同軸か、または連結部の長手方向軸に対して角度をなして延びる円筒形または円錐形の支柱を含んでもよい。歯冠部の先端領域において、円筒形または円錐形の支柱の下に、外側にテーパーのついた部分をさらに設けてもよく、この部分の末端は、波形状もしくはホタテ貝状または連結部の軸に垂直なプラットフォームとなる。この部分は、アバットメントの周りに歯肉を形成し、天然歯のエマージェンスプロファイル(emergence profile)を模倣するのに役立つ。プラットフォームは、最終的な義歯の土台を提供する。あるいは、歯冠部は、患者の特定の口腔状態に応じて個別に形作ることもできる。そのような成形は、例えば計算機支援設計・製造(CAD-CAM)技術によって実現できる。使用時に、義歯は、歯冠部にねじ止めする、接着する、または直接張り合わせるこができる。アバットメントは、永久的または一時的なアバットメントでもよい。
【0086】
他の実施形態において、二次部品は、例えばヒーリングキャップまたは取り外し可能な義歯用基質(matrix for removable prosthesis)でもよく、いずれの場合も、歯冠部は、二次部品がその機能を果たすことができるようにする公知の方法で形作られる。
【0087】
二次部品の2部材は、例えばチタン、金属合金、プラスチック、セラミックまたは複合材料等の好適な生体適合性材料から作成される。2部材は、同じ材料で作成されてもよく、異なる材料で作成されてもよい。例えば、一実施形態において、ヘッド部は、セラミック材料またはプラスチック材料からなり、ベース部は、例えばチタンまたはチタン合金等の金属材料からなる。ヘッド部をセラミックまたはプラスチックから形成すると、審美的に優れた方法で着色できるので、特に有利である。一方、ベース部を金属から形成すると、二次部品と金属インプラントとの金属間接続が可能になるが、そのような部品は、セラミックインプラントとも同じように良好に接続される。上記好ましい実施形態において、締付手段は、好ましくはランナーを形成する1つ以上のアームを含む。金属はセラミックよりも柔軟性があるため、金属ベース部にアームを作成することが有利である。これらのアームは、連結部の周りにスナップ嵌合される、圧締めされる、焼ばめされる、またはそうでなければ結合されてもよい。これにより、セラミックまたはプラスチック連結部の形状を、例えばその外面に1つのレールを有するような、より単純なものにすることができ、また貫通路を除いて中実にすることができる。
【0088】
別の態様によると、本発明は、前記二次部品と駆動工具とを含む歯科用インプラントシステムであって、前記駆動工具は、前記ヘッド部の前記貫通路を挿通するような寸法にされたシャフトを含み、その末端において、前記ベース部の前記駆動手段に形状嵌合接続(form fit connection)するための駆動要素を含むことを特徴とする歯科用インプラントシステムを提供する。
【0089】
駆動要素は、好ましくは形状が多角形であり、より好ましくは正方形または矩形であり、ベース部の駆動手段と同じ断面形状を有する。いくつかの実施形態において、シャフトは、全体として、駆動要素の断面を有すればよい。シャフトおよび駆動要素の径は、好ましくは0.8〜1.5mmである。駆動工具は、口内に短時間とどまるだけなので、材料の選択に対する制限が少ない。従って、高いねじり強さを備えた材料を選択することにより、その狭い径ににもかかわらず、工具は、歪みまたは剪断を生じることなく、インプラントに十分なトルクを伝達することができる。好適な材料としては、ステンレス鋼もしくは硬化鋼、繊維強化ポリマーまたはチタン合金が含まれる。
【0090】
この工具は、ヘッド部の通路を挿通してベース部の駆動手段に係合することができるため、トルクがベース部に伝達され、ベース部の回転を介して二次部品がインプラントに固定される。いくつかの実施形態において、シャフトは、湾曲した通路に挿通可能なように、柔軟であってもよい。
【0091】
前記システムは、内腔を有するインプラントをさらに含み、前記内腔は、その先端部に向かってねじを備えるとともに、前記ベース部および前記ヘッド部の前記連結部を収容するような寸法にされていることが好ましい。内腔は、ねじの歯冠側端部に、二次部品のヘッド部と協働するための回転防止手段を備え、この回転防止手段の歯冠側端部に、テーパー部を備えることが好ましい。また、二次部品のヘッド部およびベース部は、互いに連結され、インプラントに挿入されたとき、ベース部が内腔内に完全に収容されるように構成されていることが好ましい。
【0092】
別の態様から見ると、本発明は、前記二次部品および前記インプラントの組み合わせを提供する。
【0093】
より一般的には、本発明のさらなる態様は、前記二次部品およびインプラントの組み合わせであって、前記インプラントは、前記ベース部の前記インプラント接続手段に対して相補的な構造を有する内腔を含むので、前記二次部品を前記インプラントに軸方向に固定するために、前記インプラント構造に対して前記インプラント接続手段が回転すると、前記ベース部と前記インプラントとの係合が実現する組み合わせを提供する。
【0094】
本発明の上記さらなる態様の好ましい特徴は、上述したことに対応する。