特許第5976107号(P5976107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エージーシー グラス ユーロップの特許一覧

特許5976107絶縁ガスの層を含む少なくとも一つの内部空間を含む絶縁板ガラスパネル、及びかかる板ガラスパネルの製造方法
<>
  • 特許5976107-絶縁ガスの層を含む少なくとも一つの内部空間を含む絶縁板ガラスパネル、及びかかる板ガラスパネルの製造方法 図000002
  • 特許5976107-絶縁ガスの層を含む少なくとも一つの内部空間を含む絶縁板ガラスパネル、及びかかる板ガラスパネルの製造方法 図000003
  • 特許5976107-絶縁ガスの層を含む少なくとも一つの内部空間を含む絶縁板ガラスパネル、及びかかる板ガラスパネルの製造方法 図000004
  • 特許5976107-絶縁ガスの層を含む少なくとも一つの内部空間を含む絶縁板ガラスパネル、及びかかる板ガラスパネルの製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976107
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】絶縁ガスの層を含む少なくとも一つの内部空間を含む絶縁板ガラスパネル、及びかかる板ガラスパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20160809BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20160809BHJP
   B60J 1/00 20060101ALN20160809BHJP
【FI】
   C03C27/06 101Z
   E06B3/66 Z
   !B60J1/00 J
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-520580(P2014-520580)
(86)(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公表番号】特表2014-527502(P2014-527502A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】EP2012061829
(87)【国際公開番号】WO2013010743
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】BE2011/0469
(32)【優先日】2011年7月20日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ドリュー, プリシル
(72)【発明者】
【氏名】サヒュン, ザヴィエ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−504441(JP,A)
【文献】 特開2006−315945(JP,A)
【文献】 特開2002−037961(JP,A)
【文献】 特開昭63−233029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0193138(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0287851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00 − 27/12
E06B 3/66
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介在フレーム(12)を介して一緒に接合された少なくとも第一(10)及び第二(11)のガラス板、及び前記少なくとも二枚のガラス板の間に少なくとも一つの内部空間(15)を含む板ガラスパネル(100)であって、介在フレーム(12)が少なくとも第一(10)及び第二(11)のガラス板を特定の距離で離して保持し、少なくとも一つの内部空間(15)が前記内部空間のまわりに配置された介在フレームによって閉じられているものにおいて、
介在フレーム(12)が、内部空間(15)を板ガラスパネルの外側と連通させる開口(122)を含むこと、板ガラスパネルが、開口に挿入された少なくとも一つの電気伝導性要素(14)、内部空間に位置される電気伝導性要素の第一端(141)、及び内部空間の外側に位置される電気伝導性要素の第二端(142)を含むこと、及び板ガラスパネルが、電気伝導性要素のまわりの開口(122)を閉じる熱可塑性エラストマー材料の第一栓(17)をさらに含むことを特徴とする板ガラスパネル。
【請求項2】
熱可塑性エラストマー材料が少なくとも部分的に合成ゴムからなることを特徴とする請求項1に記載の板ガラスパネル。
【請求項3】
熱可塑性エラストマー材料がポリイソブチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の板ガラスパネル。
【請求項4】
電気伝導性要素の第一端(141)に電気的に接続された少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された少なくとも一つの絶縁基板(18)を内部空間(15)に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板ガラスパネル。
【請求項5】
少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板が印刷回路板(18)であることを特徴とする請求項4に記載の板ガラスパネル。
【請求項6】
電気伝導性要素が、絶縁シース(143)によって保護された少なくとも一つの長線形電気伝導性要素を含む電気ケーブルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の板ガラスパネル。
【請求項7】
シース(143)が、少なくとも部分的に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及びポリアミドからなることを特徴とする請求項6に記載の板ガラスパネル。
【請求項8】
電気ケーブルの第一端(141)が熱可塑性エラストマー材料の第二栓(20)に埋め込まれていることを特徴とする請求項6又は7に記載の板ガラスパネル。
【請求項9】
開口に面して配置されることができるように内部空間の内側で介在フレームに取り付けられたリザーバ(19)を含み、リザーバ(19)が電気ケーブルの第一端(141)を通すことができる貫通穴を含む、請求項8に記載の板ガラスパネルにおいて、少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板(18)がリザーバの一つの側に作られたスロット(191)に配置され、電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板の一部がリザーバ(19)の内側に位置されること、及び熱可塑性エラストマー材料の第二栓(20)がリザーバの内側の空間を満たすことを特徴とする板ガラスパネル。
【請求項10】
内部空間(15)が絶縁ガスの層を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の板ガラスパネル。
【請求項11】
介在フレーム(12)を介して一緒に接合された少なくとも第一(10)及び第二(11)のガラス板、及び前記少なくとも二枚のガラス板の間に少なくとも一つの内部空間(15)を含む板ガラスパネル(100)であって、介在フレーム(12)が少なくとも第一(10)及び第二(11)のガラス板を特定の距離で離して保持し、少なくとも一つの内部空間(15)が前記内部空間のまわりに配置された介在フレームによって閉じられているものを製造するための方法において、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
−内部空間(15)を板ガラスパネルの外側と連通させるように介在フレーム中に開口(122)を作成すること(401)、
−電気伝導性要素の第一端(141)が内部空間(15)の内側に位置され、電気伝導性要素の第二端(142)が内部空間(15)の外側に位置されるように開口中に少なくとも一つの電気伝導性要素(14)を挿入すること(402)、
−熱可塑性エラストマー材料の第一栓(17)を使用して電気伝導性要素のまわりの開口を閉鎖すること(403)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、内部空間を画定する複数のガラス板を含む板ガラスパネルの分野である。特に、本発明は、電気又は電子信号を供給されるように設計された少なくとも一つの構成要素を含む、かかるパネルに関する。
【0002】
これらのパネルは、ユーティリティ板ガラス、車両用板ガラス、又は建造物のようなあらゆる種類の用途に使用されることができる。
【背景技術】
【0003】
本発明が関係する板ガラスパネルは、例えば「絶縁ガラスユニット」としても言及される絶縁板ガラスパネルである。
【0004】
かかる絶縁ガラスユニットは、介在フレームによって一緒に接合された第一及び第二のガラス板を通常の方法で含み、介在フレームは、第一及び第二のガラス板を平行にかつ一定の距離で離して保持する。ユニットは、内部空間としても言及されるガラス板の間の空間が完全に閉じられるように周囲シールによってその周囲を閉じられている。
【0005】
内部空間はいかなるガスも排出されてもよく、板ガラスはそのとき真空板ガラスと称される。真空絶縁板ガラスユニットを横切るエネルギー移動は、真空空間によって大きく減少される。
【0006】
内部空間は、その中にガスの層、伝統的には乾燥空気を閉じ込めていてもよい。この従来構造を有する絶縁ユニットを横切るエネルギー移動は、単一ガラス板と比較すると内部空間における空気の層の存在のために減少される。
【0007】
エネルギー移動は、内部空間の厚さを増大し、空気の層によって生成される絶縁体を増加することによってさらに減少されることができる。しかしながら、内部空間の厚さには限界があり、それを越えるとガラス板間の空気の層内の対流がエネルギー移動を増加する。
【0008】
エネルギー移動は、追加のガラス板を並べて作られた追加の内部空間の形の追加の層を加えることによっても減少されることができる。例えば、二つの内部空間によって分離された三枚の平行なガラス板であって、シールを使用してそれらの周囲を封止したもの。従って、内部空間の厚さは、空気の層における対流の効果によって設定される最大限界以下に維持されることができ、従ってエネルギー移動はさらに減少されることができる。
【0009】
さらに、エネルギー移動は、空気(N,O)を、より密で熱伝導性に劣るガスに置換することによっても減少されることができる。好適なガスは、無色で、(少なくとも適度な濃度以下では)人に対して非毒性で、非腐食性で、不燃性で、紫外線にさらしても感受性がなく、空気より密で、低い熱伝導性を持つことが必要である。アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、及び六フッ化硫黄(SF)はかかるガスの例であり、それらは一般的に絶縁ガラスユニットにおける空気を置換するために使用される。
【0010】
例えば情報を表示するため又は照明用途のために発光ダイオード(LED)のような電子構成要素を含むガラスユニットはまた、(例えばEP1840449から)知られている。これらの用途では、電子構成要素を含むガラスユニットの製造は、典型的には透明電気伝導性層を第一ガラス板に付与する工程、透明電気伝導性層を使用して内部電気伝導性回路の電気伝導性トラックを作成する工程、及び内部電気伝導性回路の電気伝導性トラック上に電子構成要素を置き、(例えば電気伝導性接着剤を使用して)電子構成要素を付着する工程を含む。ガラスユニットは、第二ガラス板を介在フレームに付与することによって得られ、これの全ては、ガラス板間の内部空間が完全に閉じられるように周囲シールを使用してその周囲を閉じられる。
【0011】
このLEDユニットでは、内部電気伝導性回路を外部電源のような外部電気回路(それはガラスユニットに対して外部であることを意味する)に接続するために、ユニットが閉じられる前に、電気伝導性要素、例えば電線を含むことが必要であり、その一端はガラスユニットの内側に電気的に接続され、その他端はユニットの縁を越えて延びる。
【0012】
文献EP1529922は、二重板ガラスユニットにおけるコネクターの形のかかる電気伝導性要素を示す。コネクターは、電気信号が介在システムを介して二重板ガラスユニットの外側から内側に運ばれることを可能にする。この文献の特に図1に示されているように、このコネクターは、二重板ガラスの介在フレーム3の二つの分岐間に相互接続されるように設計されるくさび形状の構成要素からなる。
【0013】
介在フレームの二つの分岐中に挿入されるように設計された成形構成要素の形のこのタイプのコネクターは、特に所定の介在フレームのために設計され、それゆえ例えば異なる寸法を持つ他の介在フレームに適合されることができない。現在、二重板ガラスユニット市場は、第一と第二のガラス板の間の空間が一般的に顧客の要求に従って6〜27mmで変化できるようなものである。同様に、フレームが販売又は使用される国に従って変動する介在フレームの様々な断面及び寸法がある。それゆえ、それは、この構成要素を含む幅広い製品範囲を与えることができるように各タイプの介在システム及び各二重板ガラスユニット空間の作成を伴なう。
【0014】
さらに、かかるコネクターは、一般的に板ガラスの決定された周囲領域中に挿入されるように設計され、板ガラス中の構成要素の配置のために多くの余地を残していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一つの重要な目的は、従来技術のこれらの欠点を緩和することである。
【0016】
特に、本発明の一つの目的は、その実施形態の少なくとも一つにおいて、内部空間を画定する少なくとも二枚のガラス板を含むガラスユニットの外側から内側に電気接続を作ることができると同時に、ユニットが絶縁ガラスユニットの場合に持つような良好な断熱性を保持する技術を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、その実施形態の少なくとも一つにおいて、厚さが介在フレームによって制御される内部空間を画定する少なくとも二枚のガラス板を含むいかなるタイプのガラスユニットにも適応されることができるような技術を採用することである。
【0018】
本発明の別の目的は、その実施形態の少なくとも一つにおいて、ユニットの寸法、特に二枚のガラス板を分離する介在フレームの寸法に合うように特に適応された構成要素の設計を要求しないような技術を採用することである。
【0019】
本発明の別の目的は、その実施形態の少なくとも一つにおいて、ユニット内に電気接続を配置するための大きな余地を与え、及び/又はユニットの外側から内側の電気接続を必要なだけ多く実現するような技術を採用することである。
【0020】
本発明は、その実施形態の少なくとも一つにおいて、製造が容易であり、かつ低コストで製造されることができるかかるユニットを提供する目的をさらに持つ。
【課題を解決するための手段】
【0021】
一つの特別な実施形態によれば、本発明は、介在フレームを介して一緒に接合された少なくとも第一及び第二のガラス板、及び前記少なくとも二つのガラス板の間に少なくとも一つの内部空間を含む板ガラスパネル、特に絶縁ガラスユニットであって、介在フレームが少なくとも第一及び第二のガラス板を特定の距離で離して保持し、少なくとも一つの内部空間が前記内部空間のまわりに配置された介在フレームによって閉じられているものに関する。
【0022】
本発明によれば、かかるガラスユニットでは、介在フレームは、内部空間をユニットの外側と連通させる開口を含む。
【0023】
再び本発明によれば、ユニットは、開口に挿入された少なくとも一つの電気伝導性要素、内部空間に位置される電気伝導性要素の第一端、及び内部空間の外側に位置される電気伝導性要素の第二端を含む。
【0024】
再び本発明によれば、ユニットはまた、電気伝導性要素のまわりの開口を閉じる熱可塑性エラストマー材料の第一栓を含む。
【0025】
本発明の一般的な原理は、通常のガラスユニットの既存の介在フレームにおいて、内部空間をユニットの外側と連通させ、かつユニットの外側から内側の電気接続を作るための電気伝導性要素の挿入を可能にする開口の作成にある。熱可塑性エラストマー材料の第一栓は、封止を与え、それゆえ絶縁ガラスユニットの場合においてユニットが持ちうる良好な断熱性を保持することを可能にする。
【0026】
従って、穴はいかなるタイプの介在フレームにおいても作られることができるので、かかる接続技術は、介在フレームを有するいかなるタイプの多重板ガラスユニットにも合うように適応されることができる。さらに、かかる技術は、ユニットの寸法に、特に二枚のガラス板を分離する介在システムの寸法に特に合わせた構成要素の設計を要求しない。
【0027】
さらに、介在フレーム上のいかなる場所にも穴が作られることができるので、本発明によるかかる接続技術は、ユニットにおける電気接続の配置において大きな余地を可能にし、及び/又はユニットの外側から内側への電気接続を必要なだけ多く可能にする。
【0028】
さらに、文献EP1529922に記載されているように、特別に設計されたコネクターを使用する従来技術と比較すると、本発明による接続技術は簡単でかつ安価である。
【0029】
有利には、熱可塑性エラストマー材料は少なくとも部分的に合成ゴムからなる。
【0030】
本発明の一つの有利な実施形態によれば、熱可塑性エラストマー材料はポリイソブチレンである。
【0031】
有利には、ユニットは、電気伝導性要素の第一端に電気的に接続された少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された少なくとも一つの絶縁基板を内部空間に含む。
【0032】
本発明の一つの有利な実施形態によれば、少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板は印刷回路板である。
【0033】
有利には、電気伝導性要素は、絶縁シースによって保護された少なくとも一つの長線形電気伝導性要素を含む電気ケーブルである。
【0034】
有利には、シースは、少なくとも部分的に、低密度ポリエチレン(頭字語PELDによっても知られ、その密度が約0.92付近であるように規定される)、高密度ポリエチレン(頭字語PEHDによっても知られ、その密度が約0.95付近であるように規定される)、及びポリアミドからなる。例えば、シースは、Tyco Electronics社によって販売されたRBK−ILS−125−NR3−0−65MMと称されるシースである。
【0035】
これは、シースのこれらの三つの材料の組み合わせが第一栓のポリイソブチレンとの優れた接着性を示すために極めて良好な封止を生み出す。
【0036】
本発明の一つの有利な実施形態によれば、電気ケーブルの第一端は、熱可塑性エラストマー材料の第二栓に埋め込まれている。
【0037】
有利には、ユニットは、開口に面して配置されることができるように内部空間の内側で介在フレームに取り付けられたリザーバを含み、リザーバは、電気ケーブルの第一端を通すことができる貫通穴を含み、有利には、少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板は、リザーバの一つの側に作られたスロットに配置され、電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板の一部はリザーバの内側に位置され、熱可塑性エラストマー材料の第二栓はリザーバの内側の空間を満たす。
【0038】
本発明の一つの有利な実施形態によれば、内部空間は絶縁ガスの層を含む。
【0039】
本発明はまた、その実施形態の少なくとも一つにおいて、介在クレームを介して一緒に接合された少なくとも第一及び第二のガラス板、及び前記少なくとも二枚のガラス板の間に少なくとも一つの内部空間を含む板ガラスパネル、特に絶縁ガラスユニットであって、介在フレームが第一及び第二ガラス板を特定の距離で離して保持し、少なくとも一つの内部空間が前記内部空間のまわりに配置された介在フレームによって閉じられているものを製造するための方法に関する。
【0040】
本発明によれば、上記方法は、以下の工程を含む:
−内部空間を板ガラスパネルの外側と連通させるように介在フレーム中に開口を作成すること、
−電気伝導性要素の第一端が内部空間の内側に位置され、電気伝導性要素の第二端が内部空間の外側に位置されるように開口中に少なくとも一つの電気伝導性要素を挿入すること、
−熱可塑性エラストマー材料の第一栓を使用して電気伝導性要素のまわりの開口を閉鎖すること。
【0041】
有利には、本発明による方法は、少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆された少なくとも一つの絶縁基板を内部空間に挿入する工程、及び電気伝導性トラックと電気伝導性要素の第二端の間の電気接続を作る工程を含む。
【0042】
有利には、本発明による方法は、熱可塑性エラストマー材料の第二栓に電気ケーブルの第一端を埋め込む工程を含む。
【0043】
もちろん、第一及び第二栓は別個のものであってもよく、又は単一の栓全体を形成してもよい。
【0044】
有利には、本発明による方法は、以下の工程を含む:
−リザーバが開口に面して配置されるように内部空間の内側のリザーバを介在フレームに取り付けること、但しリザーバは、電気ケーブルの第一端を通すことができる貫通穴を持つ、
−絶縁トラックで少なくとも部分的に被覆された絶縁基板の一部がリザーバの内側に位置されるようにリザーバの一つの側に与えられたスロットに少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆される絶縁基板を配置すること、
−熱可塑性エラストマー材料の第二栓でリザーバの空間を満たすこと。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的な限定されない例によってのみ与えられる好ましい実施形態の以下の記載を読むことから、そして添付図面を研究することから明らかになるだろう。
【0046】
図1図1は、本発明の一実施形態による絶縁ガラスユニットの一部の断面図を示す。
【0047】
図2図2は、図1のユニットの介在フレームの図を示す。
【0048】
図3図3は、電気伝導性要素が絶縁シースによって保護される少なくとも一つの長線形電気伝導性要素を含む電気ケーブルである本発明によるガラスユニットの一つの特定の実施形態を示す。
【0049】
図4図4は、本発明の一つの実施形態による絶縁ガラスユニットを製造する方法の主要工程のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の一実施形態によるガラスユニット100の一部の断面図が図1及び2と関連して示される。
【0051】
ガラスユニット100は、介在フレーム12によって一緒に接合された第一及び第二ガラス板10,11(例えば、4mm厚のソーダライム石英ガラス板)を含む二重板ガラスユニットであり、介在フレーム12はそれらを特定の距離で離して保持する。
【0052】
二つのガラス板10,11の間には、絶縁ガスの層を含む内部空間15があり、内部空間15は、内部空間のまわりに配置された介在フレームによって閉じられている。好ましくは、周囲シール13は内部空間と外側の間の封止を与える。
【0053】
介在フレーム12(スペーサとも称される)はガラス板の周囲のまわりに延び、例えば0.4mm厚の亜鉛めっき鋼から作られる。介在フレーム12は、例えば正方形の形状の中空断面を持つ。例えば、乾燥剤のパッド(図に描かれず)は、介在フレーム12の内側に配置される。
【0054】
周囲シール13は、介在フレーム12と第一及び第二ガラス板10,11の各々との間にそれぞれ配置されたポリイソブチレン13の封止層を含む。例えば、使用されるポリイソブチレンは、水蒸気のm×24h×kPaあたり厚さのmmあたり約0.11gの水の透過性を持つ。有利には、周囲シール13はまた、ガラス板10,11の各々と介在フレーム12の間の封止層13と接触するように配置されたポリサルファイド又はシリコーン樹脂のビードを含む。さらにより流体密封の周囲シールも使用され、例えばはんだ付けガラスに基づくものが使用される。
【0055】
例えば、二重板ガラスユニット100は、被覆16、例えば赤外線を反射する層、例えばAGC Glass Europe社によって販売される「Stopsol Super Silver」層をさらに含む。
【0056】
もちろん、被覆はまた、例えば第二ガラス板11の内部表面全体の上に又はガラス板10,11の一つの内部面の一部の上にだけ位置されてもよい。
【0057】
例えば、内部空間15は、例えば90%アルゴン及び10%乾燥空気の混合物(容積による)を含有する絶縁ガスの層を含む。
【0058】
好ましくは、絶縁ガスの層は10〜15mmで含まれる。例えば、以下のものでは、ガスの層は11mm厚である。
【0059】
介在フレーム12は、内部空間15をユニットの外側と連通させる開口122を含む。ユニットは、開口122内に挿入された少なくとも一つの電気伝導性要素14、内部空間15の内側に位置される電気伝導性要素の第一端141、及び内部空間15の外側に位置される電気伝導性要素の第二端142を含む。
【0060】
開口は、介在フレーム上のいかなる位置でも作られることができる(板ガラスの長さに沿って、板ガラスの幅上に、又はさらにコーナーに)。
【0061】
図2は、開口122を作るために内部をずっと貫通させて穴を開けられた介在フレーム12の一部を示す。
【0062】
ユニットはまた、電気伝導性要素14のまわりの開口122を閉鎖する熱可塑性エラストマー材料の第一栓17を含む。本発明による第一栓17は、開口122を閉鎖するために好適ないかなる形状も採用してもよい。
【0063】
好ましくは、熱可塑性エラストマー材料は、少なくとも部分的に合成ゴムからなる。より好ましくは、熱可塑性エラストマー材料はポリイソブチレンである。
【0064】
本発明によるガラスユニットの一つの特定の実施形態が図3と関連して示され、それによれば、電気伝導性要素は、少なくとも一つの長線形電気伝導性要素、例えば絶縁シース143によって保護される三つの電気伝導性金属ワイヤーを含む電気ケーブル14である。
【0065】
もちろん、いかなる数の長線形電気伝導性要素も使用することができ、例えば1〜10の数、さらにはより多くの数で使用することができる。
【0066】
好ましくは、電気ケーブルの直径は、介在フレームの(二つのガラス板10,11を分離する)厚さの60%を越えない。
【0067】
例えば、絶縁シース143は、低密度ポリエチレン(頭字語PELDとも称され、約0.92付近の密度を有するものとして規定される)、高密度ポリエチレン(頭字語PEHDとも称され、その密度が約0.95付近であるように規定される)、及びポリアミドから少なくとも部分的に作られる。例えば絶縁シースは、RBK−ILS−125−NR3−0−65MMと称されるシースであり、Tyco Electronics社によって販売される。
【0068】
さらに、本発明の一つの好ましい実施形態によれば、ユニット100の内部空間15の内側に収容されているのは、少なくとも一つの絶縁基板18、例えば電気ケーブルの第一端141に電気的に接続される少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆される絶縁基板である。有利には、少なくとも一つの電気伝導性トラックで少なくとも部分的に被覆される絶縁基板18は、電気ケーブルの第一端141に電気的に接続される印刷回路板18である。
【0069】
電気ケーブルの第一端141は、熱可塑性エラストマー材料の第二栓20に埋め込まれる。
【0070】
好ましくは、熱可塑性エラストマー材料は、少なくとも部分的に合成ゴムからなる。より好ましくは、熱可塑性エラストマー材料はポリイソブチレンである。
【0071】
ユニット100は、開口122に面して配置されることができるように内部空間15の内側で介在フレーム12に取り付けられたリザーバ19を含み、リザーバ19は、電気ケーブル14の第一端141を通すことができる貫通穴(描かれず)を含む。
【0072】
開口122は、例えば貫通穴を得るために介在フレームの厚さ部分を通ってまっすぐ穴をあけることによって作られることができる。介在フレームは正方形の中空断面を有するので、穴あけは、ガラスユニット100の内側上にある介在システム12の壁上で、及びガラスユニット100の外側上にある介在システム12の壁上で実施されることが好ましい。
【0073】
好ましくは、ガラスユニットの内側の壁の第一穴は、リザーバ19を受けるように寸法決定され、ガラスユニットの外側の壁の第二穴は、供給ケーブル14の第一端141が例えば30〜90°のケーブル14と介在フレーム12の間の傾斜度で挿入されることができるように寸法決定される。第二穴は、第一穴からオフセットされるように穴をあけられ、従ってケーブル14は、リザーバ19の端にその後面の最も近くに位置されるケーブル14の端との傾斜度で挿入されることができる。
【0074】
例えば、リザーバ19はプラスチック材料、例えばPA6から作られる。好ましくは、リザーバ19は、矩形形状を持ち、穴をあけられた介在フレーム12内に挿入されることができるようにその基部に小さなくぼみを持つ。このリザーバ19を具体化するこの方法に対する一つの代替策は、このリザーバ19にケーブル14に接続された印刷回路18を挿入することをより容易にするために一方の鞘を他方の鞘の内側に嵌める二つの鞘から形成されたリザーバを設計することである。
【0075】
組み立て段階では、ケーブル14及び印刷回路18は、まず第一に互いに接続される。リザーバ19は介在フレーム12上で第一穴上に位置される。ケーブル14に接続された印刷回路板18はリザーバ19の一つの側に与えられたスロット191中に導入され、従って印刷回路板の一部(好ましくは電気ケーブル14の第一端141が電気的に接続されることになる電気トラックを含む回路の部分)はリザーバ19の内側に位置される。
【0076】
第二栓20のポリイソブチレンは、リザーバ19内の空間を満たすためにリザーバ19の上面を介して注入される。このポリイソブチレンは、リザーバの内側に位置される構成要素、及びガラスユニットの外側の側上の介在フレーム12の後部上のケーブル14の部分をオーバーモールドする。
【0077】
好ましくは、スロット191の幅は多かれ少なかれ印刷回路板18の幅に相当し、従ってリザーバ19が満たされるときに逃げることができるポリイソブチレンが全くない。
【0078】
本発明の一つの有利な特徴によれば、第二栓20のポリイソブチレンがリザーバ19内に注入された後に美的外観を達成するためにリザーバ19の近くに蓋が嵌められてもよい。
【0079】
第一及び第二栓が別個である本発明の実施形態が上で記載された。もちろん、本発明はまた、(例えばポリイソブチレンから作られた)単一の全部の栓の場合にも適用され、それらはともに電気伝導性要素14のまわりの開口122を閉じ、それに埋め込まれた電気ケーブルの第一端141を持つ。
【0080】
本発明の一実施形態によるガラスユニット、特に絶縁ガラスユニットを製造する方法は、図4と関連して示される。
【0081】
ユニットは、介在フレームによって一緒に接合された少なくとも第一及び第二ガラス板、及び前記少なくとも二枚のガラス板の間に介在フレームによって閉じられた少なくとも一つの内部空間を含み、介在フレームは第一及び第二ガラス板を特定の距離に離れて保持し、介在フレームは前記内部空間のまわりに配置される。
【0082】
上記方法は以下の工程を含む:
−内部空間をユニットの外側と連通させるために介在フレームに開口を作成すること401、
−電気伝導性要素の第一端が内部空間の内側に位置され、電気伝導性要素の第二端が内部空間の外側に位置されるように、開口に少なくとも一つの電気伝導性要素を挿入すること402、
−熱可塑性エラストマー材料の第一栓を使用して電気伝導性要素のまわりの開口を閉じること403。
【0083】
もちろん、本発明は、上で述べた例示的な実施形態に限定されない。
【0084】
特に、本発明は絶縁ガラスユニットを使用して上で説明されたが、それはいかなるタイプのガラスユニットでも、特に非絶縁ガラスユニットでも作用する。本発明は、例えば外部環境(例えばウイルス、菌、毒性ガスなど)と接触することを許されない材料を含むように設計された、介在フレームによって分離された二枚のガラス板を持つ板ガラスの場合に適用されることができるだろう。
【0085】
さらに、当業者は、前述した図面に記載された本発明によるガラスユニットをいかなる方法でも変化できるだろう。例えば、ガラスユニットは幾つかの内部空間を含んでもよく(例えば三重板ガラス)、それぞれの内部空間は、例えば真空の層またはガスの層(空気を含むあらゆるタイプのガス及びガスの混合物)または液体の層(適切な固体が内部空間の一つ以上に含まれてもよい)を含み、本発明によるガラスユニットのガラスの板はいかなるタイプのガラスから作られてもよく、表面上にテクスチャ加工されてもよく、あらゆる機能を実施するために意図されるいかなる種類の被覆を含んでもよく、又はそれ自体プラスチック中間層などを積層されたガラスのユニットから作られてもよい。
【0086】
本発明によるガラスユニットは、車両の窓、仕切り、壁、窓ガラス開口(例えばベランダ、屋根要素など)、床、階段など又は建造物の窓のようないかなるタイプの用途にも使用されることができる。
図1
図2
図3
図4