【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。以下の記載において「部」は質量部、「%」は質量%を意味する。
【0037】
<製造例1〜17(アクリル系共重合体(A)の調製)>
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、表1に示す量(%)の成分(A1)〜(A4)と、酢酸エチル、連鎖移動剤としてn−ドデカンチオール及びラジカル重合開始剤としてラウリルパーオキサイド0.1部を仕込んだ。反応装置内に窒素ガスを封入し、攪拌しながら窒素ガス気流下で68℃、3時間、その後78℃、3時間で重合反応させた。その後、室温まで冷却し、酢酸エチルを添加した。これにより、固形分濃度30%のアクリル系共重合体(A)を得た。
【0038】
<実施例1〜13及び比較例1〜11(粘着テープの作製)>
表2に示す通り、製造例1〜17で得たアクリル系共重合体(A)の固形分100部に対して、架橋剤(B)としてイソシアネート系架橋剤(B1)又はエポキシ系架橋剤(B2)を加えて混合し、粘着剤組成物を調製した。
【0039】
この粘着剤組成物を、シリコーン処理された離型紙上に乾燥後の厚みが0.05mmになるように塗布した。次いで、120℃で溶媒を除去・乾燥すると共に架橋反応させて、粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、両面に約0.005mm厚のスキン層を有するPE発泡体(0.2mm厚)の両面に貼り合せた。そして23℃、50%Rhで7日間養生して、粘着テープを得た。
【0040】
<製造例18:(アクリルシロップの調製)>
攪拌機、温度計、還流冷却器、UVランプ及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、表1に示す量(%)の成分(A1)〜(A4)と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.01部及び光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名ダロキュア1173)0.01部を添加し、窒素雰囲気下でUV光を照射してアクリルシロップを調製した。アクリルシロップ中のアクリルポリマー濃度は約13%、重量平均分子量は約150万であった。
【0041】
<実施例14(粘着テープの作製)>
製造例18で得たアクリルシロップ100部に対して、架橋剤(B)としてヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、商品名NKエステルA−HD−N)0.08部、追加の光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名ダロキュア1173)0.5部を添加して均一に撹拌した。撹拌混合時に混入した空気泡を脱泡操作により除去して、UV硬化型粘着剤組成物を調製した。
【0042】
このUV硬化型粘着剤組成物を、表面を離型剤処理した厚さ0.05mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に硬化後の厚さが0.05mmになるように塗布した。その上を厚さ50μmのPETフィルムで被覆し、紫外線を照射して粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、両面に約0.005mm厚のスキン層を有するPE発泡体(0.2mm厚)の両面に貼り合せた。そして23℃、50%Rhで7日間養生して、粘着テープを得た。
【0043】
<実施例15(粘着テープの作製)>
実施例1に記載の粘着剤組成物を、両面に約0.20mm厚のスキン層を有するPP発泡体(2.0mm厚)の両面に貼り合せた。そして23℃、50%Rhで7日間養生して、粘着テープを得た。
【0044】
<参考例1(粘着テープの作製)>
実施例1に記載の粘着剤組成物を、両面にスキン層を有しないPE発泡体の両面に貼り合せた。そして23℃、50%Rhで7日間養生して、粘着テープを得た。
【0045】
<参考例2(粘着テープの作製)>
実施例1に記載の粘着剤組成物を、両面にスキン層を有しないウレタンフォーム発泡体の両面に貼り合せた。そして23℃、50%Rhで7日間養生して、粘着テープを得た。
【0046】
【表1】
表1中の略号は、以下の通りである。
「2−EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート、
「BA」:n−ブチルアクリレート、
「MA」:メチルアクリレート、
「AA」:アクリル酸、
「2−HEA」:2−ヒドロキシエチルアクリレート。
【0047】
【表2】
表2中の略号は、以下の通りである。
「コロネートL」:日本ポリウレタン社製イソシアネート系架橋剤、
「TETRAD−C」:三菱瓦斯化学社製エポキシ系架橋剤。
【0048】
<評価試験>
各実施例及び比較例で得た粘着テープを、以下の方法で評価した。結果を表3〜5に示す。
【0049】
(防水性)
粘着テープを幅5mmで40mm×50mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板に貼り合せ、更にもう一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板を貼り合せた。このサンプルに対して、オートクレーブを用いて23℃で1時間の加圧処理(0.5Mpa)を行い、その後JIS IPX7(防水規格)に基づき一時的に水没させて、以下の基準で防水性を評価した。また、このサンプルに対して、オートクレーブを用いて23℃で1時間の加圧処理(0.1Mpa、0.25Mpa、0.5Mpa)を行い、その後JIS IPX8(防水規格)に基づき水深10cmの水中に沈め、以下の基準で防水性を評価した。
「○」:枠内に水が浸入しなかった。
「×」:枠内に水が浸入した。
【0050】
(耐人工皮脂・人工肝油性)
粘着テープを幅5mmで40mm×50mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板に貼り合せ、更にもう一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板を貼り合せた。そして、オートクレーブを用いて23℃、0.5Mpa、1時間の加圧処理を行った。このサンプルを、人工皮脂(トリオレイン33.3%、オレイン酸20.0%、スクワレン13.3%、ミリスチルオクタドデシレート33.4%)又は人工汗油に1時間浸漬した。その後サンプルを取り出し、85℃、85%Rhの雰囲気下で72時間静置し、その後通常の雰囲気下に240時間放置した。そのサンプルを目視観察し、以下の基準で耐人工皮脂・人工肝油性を評価した。
「○」:テープの剥れ無し。
「×」:テープの剥れ有り。
【0051】
(耐荷重性)
粘着テープを25mm×25mmのサイズに裁断し、一方の離型紙を剥離した。そして
図1示すように、フック2に粘着テープ1(基材1a、粘着層1b)を貼り合せ、次いでもう一方の離型紙を剥離し、被着体3に貼り合せた。この被着体3としては、SUS304、ポリカーボネート板、アクリル板、EGI鋼板、ガルバリウム鋼板、ガラス板を用いた。そしてフック2に1kgfの荷重(錘4)をかけ、85℃で60分間保持し、以下の基準で耐荷重性を評価した。
「○」:60分間フック2は落下しなかった。
「×」:60分以内にフック2が落下した。
【0052】
(加工性)
粘着テープを5mm×125mmのサイズで10本に細断した状態のまま、65℃、80%Rh雰囲気下に1日放置した。そして1本毎に180°方向に離型紙ごと剥離し、隣接した部分との癒着を目視にて確認し、以下の基準で加工性を評価した。
「○」:隣接した部分との癒着がほとんど無く、隣接部分を剥すことなく剥離できた。
「×」:隣接した部分に著しい癒着があり、隣接部分が同時に剥れてしまった。
【0053】
(耐衝撃性)
粘着テープを幅5mmで40mm×50mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して、4mm厚のポリカーボネート板に貼り合せ、更にもう一方の剥離紙を剥離し、4mm厚のアクリル板に貼り合せ、20分間養生した。このサンプルを23℃、50%Rh下で、デュポン式衝撃試験機にて300gの錘を高さ600mmから落下させ、テープが剥離した時の落下させた回数を測定し、以下の基準で耐衝撃性を評価した。
「○」:テープが剥離した時に錘を落下させた回数が5回以上。
「×」:テープが剥離した時に錘を落下させた回数が5回未満。
【0054】
(発泡体のスキン層厚さ)
175倍のマイクロスコープにて、基材である発泡体のスキン層の厚さを測定した。
【0055】
(発泡体の厚さ方向の割裂力)
粘着テープを25mm×25mmにサイズに裁断し、一方の離型紙を剥離した。そして
図2示すように、フック2に粘着テープ1(基材1a、粘着層1b)を貼り合せ、次いでもう一方の離型紙を剥離し、被着体3に貼り合せた。そしてフック2を上方向に50mm/minの速度で引張り、発泡体が切れた時の強度[N/cm
2]を測定した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
表3〜5の評価結果から明らかなように、両面にスキン層を有する発泡体に本発明の粘着剤組成物を両面に塗工した各実施例の粘着テープは、防水性、耐荷重性、加工性、耐衝撃性、耐人工皮脂、耐人工汗油等の諸特性について優れていた。