(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976113
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】シート構造物へのヘッドレスト支柱の接続要素とその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20160809BHJP
B60N 2/48 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/48
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-526406(P2014-526406)
(86)(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公表番号】特表2014-524386(P2014-524386A)
(43)【公表日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】EP2012003294
(87)【国際公開番号】WO2013026524
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年3月27日
(31)【優先権主張番号】102011111057.0
(32)【優先日】2011年8月24日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011115714.3
(32)【優先日】2011年10月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】フライシュハウアー、 シモン
(72)【発明者】
【氏名】ムント、 ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヌダギジマナ、 ロビン
(72)【発明者】
【氏名】クリングスポーン、 ユッタ
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム、 ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー、 ハンス−ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ペレンツ、 ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】フリゼ、 ニルス
【審査官】
佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−225610(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/017856(WO,A1)
【文献】
特開2003−11708(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102006061638(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
B60N 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車シートのシート構造物(1、9)へのヘッドレスト支柱の接続要素(2)であって、
前記接続要素は接続外形(3)を有し、
前記接続外形(3)は、前記ヘッドレスト支柱及び/又はヘッドレスト支柱ハウジングを受容する開口を画定して軸方向に延びる貫通部材を形成し、
前記貫通部材は、前記シート構造物(1、9)の側方壁を通って突出する接続要素(2)。
【請求項2】
前記接続要素(2)は、前記シート構造物(1、9)と前記接続要素(2)とを一体的に接合する少なくとも一つの接合表面(7)を有する、請求項1に記載の接続要素(2)。
【請求項3】
前記接続要素(2)は、前記シート構造物(1、9)と前記接続要素(2)とを固定する固定手段(8)を含む、請求項1又は2に記載の接続要素(2)。
【請求項4】
前記接続外形(3)は、前記シート構造物(1、9)における抜き部(4)に係合するか又は前記抜き部(4)を貫通する、請求項1から3のいずれか一項に記載の接続要素(2)。
【請求項5】
前記抜き部(4)は切り抜き又は打ち抜きである、請求項4に記載の接続要素(2)。
【請求項6】
前記接続要素(2)はプラスチック部品である、請求項1から5のいずれか一項に記載の接続要素(2)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の接続要素(2)を製造する方法であって、
前記接続要素(2)は押し出し成形によって作られる方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の接続要素(2)を製造する方法であって、
前記接続要素(2)は圧力嵌め、及び/又は接着剤結合を含む物質接続によって前記シート構造物(1、9)に接続される方法。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の接続要素(2)を製造する方法であって、
前記接続外形(3)は、前記シート構造物(1、9)における抜き部(4)と形状嵌め及び/又は圧力嵌め接続によって協働する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート構造物へのヘッドレスト支柱の接続要素に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の従来技術によれば、ヘッドレストは、例えばプラスチック製ハウジングを介してシート構造物の上領域に接続される。この場合、ヘッドレスト支柱は、ハウジングの中に挿入されて例えばラッチ機構により固定される。鋼の外形からなる鋼管のフレーム又は構造物の場合、プラスチック製ハウジングは、これに溶接された金属管を介して固定される。この場合、金属管は、プラスチック製ハウジングのための支承表面を形成する。2つのコンポーネントは双方とも、丸形及び矩形の変形として存在する。少なくとも一方が非金属又は非鉄金属からなる金属管又は外形の接合にとって、溶接法は適切でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/196432(A1)号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2004 043860(A1)号明細書
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の課題は、ヘッドレスト支柱用プラスチック製ハウジングが自動車のシート構造物に取り付けられることを可能にする接続要素を与えることにある。
【0005】
その課題は、自動車シートのシート構造物へのヘッドレスト支柱の少なくとも一つの接続要素によって解決される。当該接続要素は、ヘッドレスト支柱及び/又はヘッドレスト支柱ハウジングを受容する接続外形を有する。接続外形はシート構造物の側方壁を通って突出する。
【0006】
本発明によれば、ヘッドレスト支柱ハウジング又はヘッドレスト支柱の接続部は、接続要素からなる。例えば、プラスチック、鋼、又は、例えばアルミニウムのような非鉄金属からなる。当該接続要素は接続外形を有する。当該接続外形は、いずれの場合も少なくともヘッドレスト支柱及び/又はヘッドレスト支柱ハウジングを受容し、かつ、シート構造物の側方壁を通って突出する。これを目的として、特に、シート構造物は、少なくとも一つ、好ましくは2つ以上の抜き部を備える上側クロスメンバを有する。例えば、接続要素の単数又は複数の打ち抜かれた接続外形が、いずれの場合も、少なくとも部分的に抜き部を通る。引き続いて、接続要素が、例えば、ロールされた外形として、連続鋳造として、プレスされた部品若しくは曲げられた部品として製造されたバックレストのシート構造物に対し、形状嵌め及び/若しくは圧力嵌め接続により接合され、並びに/又は、物質接続により、特に接着剤結合の接続により互いに接続される。接続要素は、好ましくは当該接続要素に一体とされた固定手段によって、物質接続が完了するまで、例えば接着剤が硬化するまでその位置に保持又は固定される。好ましくは、単数又は複数の接続外形を除く接続要素全体をシート構造物が受容する結果、当該接続要素は、当該単数又は複数の接続外形以外にシート構造物から突出することがない。
【0007】
好ましくは、接続要素は少なくとも一つの接合表面を有する。接続要素が、当該接合表面を介して、自動車シートの構造物への物質接続によって接続されるのが好ましい。好ましくは、接合表面は2つの接続外形の間に設けられる。さらに好ましくは、接合表面は接続外形を取り囲む。さらに好ましくは、いずれの場合も接合表面は、接続外形の右側及び左側に配列される。
【0008】
接続要素は、押し出されるのが好ましく、いずれの場合も所望長さに切り取られるのが特に好ましい。
【0009】
本発明に係る接続要素は、圧力嵌め及び/又は物質接続によってシート構造物に接続される。
【0010】
好ましくは、車両シートの構造物、特にそのバックレストは、一以上の抜き部を含む。当該抜き部は、当該構造物に事後的に組み込まれるか又はその製造中に一体的に形成される。好ましくは、接続要素の接続外形は、形状嵌め及び/又は圧力嵌めによって、自動車シートの構造物における当該抜き部と協働する。好ましくは、抜き部は、自動車シートの構造物から切り抜きされるか又は打ち抜きされる。
【0011】
好ましくは、本発明に係る接続要素は、例えば押し出され、鋳込まれ、成形されるか又は射出成形により製造されるプラスチック部品である。
【0012】
好ましくは、接続要素は、一以上の箇所において自動車シートの構造物に接着剤結合される。
【0013】
以下、本発明が
図1から7を参照して説明される。当該説明は、単なる例示として与えられるものであって、一般的な発明概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】クロスメンバ及び接続要素を様々な視点で示す。
【
図2】クロスメンバ及び接続要素を様々な視点で示す。
【
図3】クロスメンバ及び接続要素を様々な視点で示す。
【
図4】クロスメンバ及び接続要素を様々な視点で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、この場合はバックレスト構造物のフレームの上側クロスメンバ1である自動車シートの構造物1を示す。これは、この場合U字形状の外形として構成される。U字形状のアームの両端はいずれの場合も接続フランジを有する。当該クロスメンバ1は2つの抜き部4を有する。いずれの場合も抜き部4を通るように、接続要素2の接続外形3が挿入される。抜き部4は、例えば、打ち抜きによって自動車シートの構造物に組み込まれる。この場合、抜き部4は、自動車シートの構造物の側方壁のみを通るように延びる。さらに、クロスメンバは、抜き部5を有することが好ましい。抜き部5は、ラッチ態様でラッチ手段8と協働する。ラッチ手段8はまた、接続要素に対し、好ましくは一体的に設けられる。さらに、この場合はプラスチックからなり、かつ、射出成形/連続鋳造又は熱可塑性成形要素として与えられる接続要素2が
図1に示される。この場合、当該接続要素2は2つの接続外形3を有する。接続外形3は、この場合、正方形断面を有する。さらに、接続要素は、この場合はラッチ要素8である固定手段8を有する。ラッチ要素8は、この場合、弾性となるように設けられる2つの側部片からなる。クロスメンバ1及び/又は接続要素2は、その接続要素2に面する側部に、いずれの場合も少なくとも一つの、この場合は3つの、接合表面7を接着剤表面の形態で有する。当該接着剤表面によってクロスメンバ1と接続要素2とが互いに物質接続される。組み付けを目的として、接続外形3が抜き部4を通して挿入され、及び接続要素2がクロスメンバ1に対し、ラッチ要素8が抜き部5に係合するまで押圧される。ラッチ要素8は、クロスメンバ1に対して接続要素2を、当該クロスメンバと当該接続要素との間の接着剤が硬化するまで固定する。
【0016】
特に
図3及び4に見られるように、接続外形3は、丸まった又は角張ったU字形状の外形として設けられる。当業者であれば理解することだが、接続外形には他の任意の断面も考えられる。
【0017】
図5〜7は、本発明のさらなる実施形態を示す。この場合はバックレストのフレーム9である自動車シートの構造物9は、この場合はアルミニウム製のクロスメンバを有する。これは、特に
図7からわかるように、4つの抜き部4を有する。これら抜き部4の各対の中に、一つのヘッドレスト支柱ハウジング及び/又はヘッドレスト支柱が案内される。一平面内に位置する少なくとも2つの抜き部4であって全部で4つが好ましい抜き部4がそれぞれ、一つの接続要素2を有する。接続要素2は、この場合は板状構成であって貫通管3が設けられる。すなわち、接続要素2がその開口の領域に縁曲げされる。貫通管3が、抜き部4の中に挿入されてそこから突出する。クロスメンバに対向する接続手段の表面が、例えば接着剤結合のような物質接続によって当該クロスメンバに接続される。代替的に又は付加的に、貫通管3と抜き部4との間には圧力嵌め及び/又は形状嵌め接続が存在する。
図7に係る実施形態では、接続フランジ6が接続要素2に設けられる。その結果、付加的な接続表面及び/又は位置決め表面6が接続要素
2に設けられる。
【符号の説明】
【0018】
1 自動車シートの構造物、クロスメンバ
2 接続要素
3 接続外形、打ち抜かれた接続外形
4 接続外形用抜き部
5 ラッチ要素用抜き部
6 接続フランジ、接続表面、及び/又は位置決め表面
7 接合表面
8 固定手段、ラッチ要素
9 自動車シートの構造物、バックレストのフレーム