前記ベース本体には、前記後頭部受面部に頭部が載置されて沈み変形した際に前記後頭部受面部に弾力的に当接して前記後頭部受面部を前記仰臥時適合高さに保持する高さ保持材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の枕。
前記支持脚は、前記受本体と前記ベース本体の一方に設けた嵌合凸部と、前記受本体と前記ベース本体の他方に設けて前記嵌合凸部に嵌合する嵌合凹部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の枕。
前記嵌合凸部と前記嵌合凹部との間に配置され前記ベース本体に対して前記受本体を固定する高さを調節する高さ調節部材を備えたことを特徴とする請求項5に記載の枕。
前記受本体を、前記後頭部受面部を有する前記外周強度部の左右方向の中間部による中央受部と、前記側頭部受面部を有する前記外周強度部の左右方向の端部による外側受部とに分割し、前記中央受部及び前記外側受部は夫々独立した支持脚により前記ベース本体に固定したことを特徴とする請求項1に記載の枕。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の枕100の全体形状を示す正面図、
図2は
図1をA−A方向から見た平面図、
図3は
図1をB−B方向から見た平面図である。本発明の枕100は、平面形状が左右方向Xに長い概略長方形を有する受本体1と、該受本体1と同様の形状を有して対峙するベース本体2と、前記受本体1を前記ベース本体2に対し固定高さL1を保持して固定する複数の支持脚3を有する。枕100を構成する受本体1、ベース本体2及び支持脚3は合成樹脂によって形成できる。
【0024】
前記受本体1は、
図2に示すように、後頭部受面部4と該後頭部受面部4を挟んで左右に位置する側頭部受面部5、5を有しており、更に前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5の外周には外周強度部6を有している。前記受本体1における前後方向Yの手前側の辺は左右方向Xへ延びた直線となっており、一方、受本体1の前後方向Yの後方の辺は左右方向Xの中間部が後方へ湾曲して張り出した曲線となっている。
【0025】
前記外周強度部6の周縁部には、
図1、
図5に示すように湾曲して下方へ延びた補強ベルト部7が形成してあり、この補強ベルト部7を備えた外周強度部6は前記受本体1の平面の曲がりに対する強度を保持している。
【0026】
前記後頭部受面部4及び前記側頭部受面部5、5には、
図2に示すように複数の貫通口8が設けてあり、この貫通口8により受本体1は上下方向へ通気できる通気構造を有している。更に、前記外周強度部6にも前記貫通口8を設けることができる。
【0027】
前記受本体1をベース本体2に固定する支持脚3は、
図2、
図3に示すように前記外周強度部6における前後方向Yの前側の辺と後側の辺に、前記側頭部受面部5、5の夫々を略4角形に取り囲むように4つずつ配置した計8つの支持脚3a、3b、3c、3d、3a'、3b'、3c'、3d'を備えている。
図2、
図3では、前側の支持脚3a、3b、3a'、3b'は左右方向Xへ直線に配置されているのに対し、後側における左右方向X内側の支持脚3d、3d'は左右方向X外側の支持脚3c、3c'よりも後側に配置されている。又、前側の左右方向X内側の支持脚3b、3b'の相互の間隔に対して、後側の左右方向X内側の支持脚3d、3d'の相互の間隔は狭くなっている。従って、左右の側頭部受面部5、5の中心O2を結ぶ線に対して後頭部受面部4の中心O1は後側に位置されている。
【0028】
前記ベース本体2は、
図3、
図10に示す如く、ベース本体2の外周部を形成する上下方向へ幅を有する環状の外周ベルト部9と、該外周ベルト部9の内側に交差して配置した複数の補強梁部10を有している。前記外周ベルト部9と前記補強梁部10は同等の高さを有している。前記ベース本体2における前記補強梁部10が交差した部分に前記支持脚3が設けられている。
【0029】
図3では、左右方向Xに配置される支持脚3a、3b、3b'、3a'の相互の間、及び、支持脚3c、3d、3d'、3c'の相互の間を補強梁部10により連結している。更に、支持脚3a、3b、3b'、3a'に対して前後方向Yに対峙する支持脚3c、3d、3d'、3c'の相互間を補強梁部10により連結している。更に、対角に位置する支持脚3a、3dの間、支持脚3b、3cの間、支持脚3a'、3d'の間、支持脚3b'、3c'の間、支持脚3b、3d'の間、支持脚3b'、3dの間を夫々補強梁部10により連結している。前記支持脚3a、3b、3c、3d、3a'、3b'、3c'、3d'を相互に連結している補強梁部10は、他に配置した補強梁部10及び外周ベルト部9よりも厚さが厚くなっている。前記ベース本体2は前記外周ベルト部9と補強梁部10によって平面の曲がりに対する強度が保持されている。
【0030】
図4は
図1の枕100の左半分を拡大して示した平面図、
図5は
図4をC−C方向から見た断面図、
図6は
図4をD−D方向から見た断面図であり、
図5、
図6は前記支持脚3の構成を示す。
図5、
図6に示すように、前記支持脚3は、前記受本体1の外周強度部6と一体に形成してベース本体2側へ突出した筒状の嵌合凸部11と、前記ベース本体2と一体に形成して受本体1側へ突出し前記嵌合凸部11に嵌合する筒状の嵌合凹部12を有している。
【0031】
前記嵌合凹部12には前記嵌合凸部11が嵌合する際の嵌合深さを制限する段部13が設けてあり、この段部13により嵌合深さが制限された支持脚3によって受本体1は固定高さL1に保持される。この固定高さL1により、側頭部受面部5、5に頭部が載置されて沈み変形した際に側頭部受面部5、5と前記ベース本体2の底面との間の横臥時適合高さh2が保持されるようになっている。前記ベース本体2の嵌合凹部12と前記補強梁部10との間には、支持脚3の曲げに対する強度を高めるためのリブ12'(
図1参照)を設けることができる。
【0032】
図7aは支持脚3を構成する前記嵌合凸部11の形状を示す平面図、
図7bは
図7aをJ方向から見た断面図である。前記外周強度部6に設ける嵌合凸部11には、前記外周強度部6から湾曲して下方へ延びる絞り形状部14が形成してあり、この絞り形状部14によって前記受本体1は弾力的に支持脚3に支持され、更に外周強度部6は支持脚3に対して傾くように変形できる。又、前記嵌合凸部11の絞り形状部14には貫通口8'を設けることができる。この貫通口8'により前記受本体1は更に弾力的に支持脚3に支持されるようになり外周強度部6は更に傾くことで容易になり、又、前記貫通口8'によって支持脚3の通気性が向上される。
【0033】
尚、
図5、
図6では、受本体1に備えた嵌合凸部11とベース本体2に備えた嵌合凹部12を嵌合することにより支持脚3を形成する場合について説明したが、受本体1に嵌合凹部12を設け、ベース本体2に嵌合凸部11を設けてもよい。又、前記受本体1とベース本体2とは別体の支持脚3を設け、この別体の支持脚3により前記受本体1とベース本体2を一体に組み立てるようにしてもよい。
【0034】
又、
図2では左右の側頭部受面部5、5を取り囲むように夫々4つの支持脚3を外周強度部6に設けた場合について説明したが、
図2に二点鎖線で示すように、前記外周強度部6の前後の辺における左右方向Xの中間部6'に、支持脚15を追加して設けてもよい。
図2では、外周強度部6の前後の辺の中間部6'に対して夫々2つずつ計4つの追加の支持脚15を設けた場合を示しているが、追加して設ける支持脚15の数は任意である。
【0035】
図8aは、前記支持脚3を構成する嵌合凸部11と嵌合凹部12との間に、高さ調節部材16を配置して
図5に示す固定高さL1を調節可能にした構成を示す。
図8aに示す嵌合凹部12の内径は嵌合凸部11の外径よりも大きくなっており、前記嵌合凸部11の外側には前記高さ調節部材16の一端が嵌合し、高さ調節部材16の他端は前記嵌合凹部12の内側に嵌合している。又、前記嵌合凸部11の外面には前記高さ調節部材16の嵌合深さを規制する段部13aが形成してあり、一方、嵌合凹部12の内面には前記高さ調節部材16の嵌合深さを規制する段部13bが形成してある。
【0036】
図8bは
図8aに示す固定高さL1を調節可能にした構成とは別の構成を示しており、
図8bでは、前記受本体1とベース本体2に対して同一の口径を有する嵌合凸部11、11'を対向して設けている。前記嵌合凸部11、11'の外側には管状を有する高さ調節部材16の両端が嵌合しており、前記嵌合凸部11、11'の外面には高さ調節部材16の嵌合深さを規制する段部13a、13bを形成している。尚、
図8bでは、嵌合凸部11、11'の外側に高さ調節部材16の両端を嵌合させた場合について示したが、前記嵌合凸部11、11'の内側に嵌合できる径の高さ調節部材16を設け、更に、前記嵌合凸部11、11'の内面に高さ調節部材16の嵌合深さを規制する段部13a、13bを設けるようにしてもよい。
【0037】
図8a、
図8bに示した構成によれば、前記高さ調節部材16の長さを選定することにより、ベース本体2に対して設置する受本体1の高さを任意の固定高さL1に変更して、
図5に示す横臥時適合高さh2を任意に変更することができる。
【0038】
図9は
図4をE方向から見た断面図であり、受本体1をベース本体2に固定する固定構造17の構成を示す。この固定構造17は、前記受本体1の外周強度部6における支持脚3a、3c、3a'、3c'の近傍位置に、下方へ湾曲して突出した引掛け部18を形成している。一方、途中に曲り部19を有し且つ一端と他端にフック20を備えたバネ材からなる連結具21を備えている。前記連結具21の一方のフック20を前記ベース本体2の補強梁部10に引掛け、前記連結具21を引き延ばして他方のフック20を前記引掛け部18に引掛けることにより、受本体1とベース本体2は連結具21のバネ力によって弾力的に固定される。連結具21によって固定した受本体1とベース本体2は、連結具21を取り外すことにより分離することができる。一方、受本体1とベース本体2を分離する必要がない場合には、
図5、
図6に示す前記嵌合凸部11と嵌合凹部12を接着剤等により固定してもよい。
【0039】
図1、
図5に示すように、支持脚3によってベース本体2に固定した受本体1の外周強度部6における左右方向Xの端部側は、側頭部受面部5、5に頭部が載置された際に横臥時適合高さh2を保持できる固定高さL1で支持されているのに対し、外周強度部6の前側の辺における左右方向Xの中間部6'は、
図1に示すように仰臥時の首部の高さに対応するよう下方へ湾曲した低い首部高さL2になっている。
【0040】
図10は
図4をF−F方向から見た断面図、
図11は
図4をG−G方向から見た断面図、
図12は4をH−H方向から見た断面図である。
図11、
図12に示すように、前記側頭部受面部5、5は、支持脚3によって固定高さL1に保持された外周強度部6に対して僅かに低い側頭部高さL3になっている。ここで、前記側頭部受面部5、5の側頭部高さL3は、前側(
図11の左側)よりも後側(
図11の右側)に向かって低くなるように傾斜を有している。前記側頭部受面部5、5の側頭部高さL3が前側よりも後側を低くしてあるのは、頭部の左右の幅がこめかみ部から頭頂へ向かって広がっていることに基づいている。即ち、傾斜した側頭部受面部5、5に側頭部を載置する横臥時に、頭部の中心及び脊椎が略水平に保持されるようにするためである。
【0041】
一方、前記後頭部受面部4は、
図10に示すように、前記側頭部受面部5、5から下方へ曲げられて前記側頭部受面部5、5よりも僅かに低い後頭部高さL4になっている。前記後頭部受面部4は、
図12に示すように、前記外周強度部6における前側の中間部6'の首部高さL2から上方へ湾曲して延びたのち後頭部高さL4を保持して水平に後側まで延びている。尚、
図10では前記側頭部受面部5、5の側頭部高さL3に対して後頭部受面部4の後頭部高さL4を低くした場合について説明したが、前記側頭部受面部5、5の側頭部高さL3と後頭部受面部4の後頭部高さL4は同一としてもよい。
【0042】
前記後頭部受面部4には、
図10、
図12に示すように、後頭部受面部4に頭部が載置された際は頭部の形状に沿い前記側頭部受面部5、5の横臥時適合高さh2よりも低い仰臥時適合高さh1に沈み変形するようにした中央部伸縮構造22を備えている。
【0043】
又、前記側頭部受面部5、5には、
図10、
図11に示すように、側頭部受面部5、5に頭部が載置された際は頭部の形状に沿い横臥時適合高さh2に沈み変形するようにした外側部伸縮構造23を備えている。
【0044】
前記中央部伸縮構造22及び外側部伸縮構造23の構成について説明する。
【0045】
図4に示す後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に形成した貫通口8は、幅に対して長さが長い長円口の場合を示している。そして、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5の夫々の中心O1、O2を中心として、受本体1の左右方向Xへ長い長円口8aを受本体1の前後方向Yへ隣接して複数形成した前後列と、受本体1の前後方向Yへ長い長円口8bを受本体1の左右方向Xへ隣接して複数形成した左右列と、左右方向Xと前後方向Yに対して45°の方向に長い長円口8cを、45°の方向と直交する方向へ隣接して複数形成した傾斜列を組み合わせて配置している。後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に備えた前後列の隣接した長円口8aの相互間と、左右列の隣接した長円口8bの相互間と、傾斜列の隣接した長円口8cの相互間の夫々には、桟部24が存在している。この桟部24は後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5の夫々の中心O1、O2に対して略半径方向へ放射状に備えられている。尚、前記桟部24の断面形状は板形状、楕円形状、円形状等の任意の形状とすることができるが、桟部24の上面は頭部に接することから角部が無い曲面を有していることが好ましい。
【0046】
図10〜
図12に示すように、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に備えられる各桟部24には、上方へ向かい湾曲して突出した曲り部25a、25bを形成する。これにより、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5には中心O1、O2に対して略半径方向へ放射状に延びた曲り部25a、25bによる前記中央部伸縮構造22及び外側部伸縮構造23が備えられる。
図4では貫通口8の幅及び桟部24の幅は5mmであり、貫通口8の長さは最大で40mmである場合を示しており、前記桟部24による曲り部25a、25bの長さと曲り高さS1、S2を設定することにより、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5が半径方向へ伸縮できる伸縮量は決められる。尚、貫通口8の幅と桟部24の幅は任意に設定でき、曲り部25a、25bの長さと曲り高さS1、S2は任意に設定できる。
【0047】
前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に頭部が載置された際は、左右方向、前後方向、及び45°方向の桟部24に形成された曲り部25a、25bの夫々が直線状に伸ばされることにより、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は半径方向へ伸長して沈み変形する。又、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5から頭部が退去した際は、直線方向に伸びた曲り部25a、25bが元の曲がり形状に戻ろうとする力により、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は沈み変形する前の状態に戻るようになる。
【0048】
ここで、
図10〜
図12に示すように、前記後頭部受面部4の桟部24に形成する曲り部25aの曲り高さS1は、前記側頭部受面部5、5の桟部24に形成する曲り部25bの曲り高さS2よりも大きくしている。よって前記後頭部受面部4は前記側頭部受面部5、5の伸縮量よりも大きい伸縮量で伸縮できる。
【0049】
前記後頭部受面部4に備える前記中央部伸縮構造22の桟部24に形成する曲り部25aの曲り高さS1と曲り部25aの長さは予め設定してあり、後頭部受面部4に頭部が載置された際に、最も深く沈む部分が仰臥時適合高さh1を超えて下方へ沈み変形できるようにしている。尚、後頭部受面部4は仰臥時適合高さh1を僅かに超えて沈み変形できればよい。
【0050】
又、前記側頭部受面部5、5に備える前記外側部伸縮構造23の桟部24に形成する曲り部25bの曲り高さS2と曲り部25bの長さは予め設定してあり、前記側頭部受面部5、5に頭部が載置された際に、最も深く沈む部分が横臥時適合高さh2を超えて下方へ沈み変形できるようにしている。尚、側頭部受面部5、5は横臥時適合高さh2を僅かに超えて沈み変形できればよい。前記後頭部受面部4の仰臥時適合高さh1は、前記側頭部受面部5、5の横臥時適合高さh2の約半分(1/2)の高さ或いはそれ以下の高さとすることができる。
【0051】
前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に頭部が載置されて沈み変形が繰り返されると、曲り部25a、25bの曲りは伸びたままになって初期の曲がり形状に戻れなくなる。このために、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は初期の沈み変形する前の状態には戻れなくなる。
【0052】
このため、
図10、
図12に示すように、前記後頭部受面部4には、沈み変形した後頭部受面部4から頭部が退去した際に、後頭部受面部4を沈み変形する前の状態に復元させるための中央部復元バネ26を備える。又、前記側頭部受面部5、5には、沈み変形した側頭部受面部5、5から頭部が退去した際に、側頭部受面部5、5を沈み変形する前の状態に復元させるための外側部復元バネ30を備える。
【0053】
図10、
図12に示す前記中央部復元バネ26は、上部の径が大きく、下部の径が小さいテーパ状を有するテーパ押しバネ26aの場合を示している。前記後頭部受面部4の下面には、
図2、
図4、
図10、
図12に示すように、前記テーパ押しバネ26aの上端を取り囲むように、後頭部受面部4の中心O1から半径方向へ等距離の位置で下方へ突出した4つの突出部27を設けており、又、ベース本体2の中央部には前記テーパ押しバネ26aの下端が嵌合する位置決め凹部28を設けている。テーパ押しバネ26aは前記突出部27と位置決め凹部28によって位置決めされる。前記テーパ押しバネ26aによれば、径が大きい上端によって前記後頭部受面部4の下面の中心O1を所要の径で囲んだ範囲を弾力的にベース本体2に支持することができる。
【0054】
前記後頭部受面部4に頭部が載置された際は、前記後頭部受面部4に備えた曲り部25aが伸長することにより後頭部受面部4は沈み変形するが、このとき、前記テーパ押しバネ26aは前記後頭部受面部4の沈み変形に伴って圧縮される。一方、前記後頭部受面部4から頭部が退去した際は、伸長した曲り部25aが元の曲り形状に戻る戻り力と、圧縮された前記テーパ押しバネ26aが伸長しようとする力により、前記後頭部受面部4は沈み変形する前の状態に押し戻される。ここで、前記テーパ押しバネ26aは、頭部が載置されないときには前記側頭部受面部5、5を僅かに押し上げる長さに予め設定されている。更に、前記テーパ押しバネ26aは、後頭部受面部4に頭部が載置された際は後頭部受面部4が仰臥時適合高さh1をわずかに超えて下部に沈み変形するように弾発力を予め設定している。
【0055】
図13は
図12に示した中央部復元バネ26の他の構成を示しており、長さ方向に一定の径を有する複数のコイル押しバネ26bを備えた場合を示している。
図4、
図13に示すように、前記後頭部受面部4の下面に設けた4つの前記突出部27の夫々の近傍位置に、
図4に一点鎖線で示すように位置決め凸部29を設け、この位置決め凸部29と前記ベース本体2に設けた収容部28aとの間に4つのコイル押しバネ26bを配置している。
【0056】
図10、
図11に示す前記外側部復元バネ30は、前記側頭部受面部5、5の下面とベース本体2との間に、長さ方向に一定のコイル径を有するコイル押しバネ30aを設けた場合を示している。このコイル押しバネ30aは、前記側頭部受面部5、5の下面を所要の範囲で支持するように前記コイル押しバネ26bよりも大きい径を有している。側頭部受面部5、5の中心O2の下面には、
図2、
図4、
図10、
図11に示すように、前記コイル押しバネ30aの上端の内側に嵌合する筒形状の位置決め凸部31が設けてあり、又、ベース本体2における前記側頭部受面部5、5の中心O2に対応した位置には前記コイル押しバネ30aの下端の外側に嵌合する位置決め凹部32を設けている。前記コイル押しバネ26bは位置決め凸部31と位置決め凹部32によって位置決めされる。
【0057】
前記側頭部受面部5、5に頭部が載置された際は、前記側頭部受面部5、5に備えた曲り部25aが伸長することにより側頭部受面部5、5は沈み変形するが、このとき、前記コイル押しバネ30aは前記側頭部受面部5、5の沈み変形に伴って圧縮される。前記側頭部受面部5、5から頭部が退去した際は、伸長した曲り部25bが元の曲り形状に戻る戻り力と、圧縮された前記コイル押しバネ30aが伸長しようとする力によって、前記側頭部受面部5、5は沈み変形する前の状態に押し戻される。ここで、前記コイル押しバネ30aは、頭部が載置されないときに前記側頭部受面部5、5を僅かに押し上げる長さに予め設定されている。更に、前記コイル押しバネ30aは、側頭部受面部5、5に頭部が載置された際は該側頭部受面部5、5が横臥時適合高さh2に沈み変形するように弾発力を予め設定している。
【0058】
図14a、
図14bは前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に備える中央部伸縮構造22及び外側部伸縮構造23の別の形状例を示す。
図14aに示す後頭部受面部4及び側頭部受面部5は、半径方向に径の大きさが異なる環状の連結部33を複数有し、この環状の連結部33の相互の間を半径方向に延びる桟部34によって接続している。環状の連結部33と桟部34以外の部分は貫通口8になっている。そして、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に対して
図14bに示すように半径方向で上下に湾曲した曲り部25a、25bを形成する。従って、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は夫々の中心O1、O2を通るいずれの方向で切断しても
図14bのように曲り部25a、25bが形成されている。ここで、前記後頭部受面部4に備える中央部伸縮構造22の曲り部25aの曲り高さS1は、側頭部受面部5、5に備える外側部伸縮構造23の曲り部25bの曲り高さS2よりも大きく設定する。
【0059】
図15a、
図15bは前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5に備える中央部伸縮構造22及び外側部伸縮構造23の更に別の形状例を示す。
図15aは前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5の半径方向へ径の大きさが異なる位置に、複数の貫通口8を環状に形成している。このとき、前記貫通口8の大きさは任意に設定することができ、更に、貫通口8の形状は図示した円形以外に三角形、四角形、楕円形等種々の形状とすることができる。そして、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に対して
図15bに示すように半径方向で上下に湾曲した曲り部25a、25bを形成する。従って、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は夫々の中心O1、O2を通るいずれの方向で切断しても
図15bのように曲り部25a、25bが形成されている。ここで、前記後頭部受面部4に備える中央部伸縮構造22の曲り部25aに形成する曲り高さS1は、側頭部受面部5、5の外側部伸縮構造23の曲り部25bの曲り高さS2よりも大きく設定する。
【0060】
図16は前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5に備える中央部伸縮構造22及び外側部伸縮構造23の更に別の形状例を示す。
図16に示す後頭部受面部4及び側頭部受面部5は半径方向に径の大きさが異なる環状の連結部33を複数備え、この環状の連結部33の相互の間を半径方向に接続する桟部34'を備えている。そして、半径方向に備える桟部34'には水平面で半径方向へ湾曲して延びた曲り部25a、25bを形成している。従って、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は夫々の中心O1、O2を通るいずれの方向に対しても水平面で曲げられた曲り部25a、25bが形成される。ここで、前記後頭部受面部4に備える中央部伸縮構造22の曲り部25aの水平面での曲り高さS1は、側頭部受面部5、5に備える外側部伸縮構造23の曲り部25bの水平面での曲り高さS2よりも大きく設定する。
【0061】
前記したように受本体1の後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は、頭部を載置した際に沈み変形する柔軟性と沈み変形が繰り返されることに対する耐久強度を有している必要がある。
【0062】
前記受本体1の形成には、屈曲性に優れたポリプロピレン樹脂(PP)を用いることができる。又、受本体1は屈曲性と形状保持強度を有していればよく従って受本体1を形成する合成樹脂には限定されない。前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5は好適な沈み変形ができるように、外周強度部6の厚さ寸法よりも小さい厚さ寸法とすることができ、更に、曲り部25a、25bの曲り高さS1、S2及び曲り部25a、25bの長さ寸法が選定される。一方、外周強度部6は、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に頭部が載置されて沈み変形しても自身の形状は大きく変化しない強度を有している必要があり、このため、外周強度部6の厚さ寸法及び補強ベルト部7の上下方向の高さ寸法が決定される。
【0063】
図1、
図3に示す前記ベース本体2は、前記受本体1の後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に頭部が載置されて頭部の荷重が支持脚3を介して作用しても自身の形状は大きく変化しない強度を有している必要がある。このため、前記ベース本体2の形成には、前記ポリプロピレン樹脂(PP)のほか、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS)、不飽和フェノール樹脂(PF)、ポリエチレン樹脂(PE)等の種々の合成樹脂を用いることができる。ベース本体2は形状強度と耐久性を有していればよく従ってベース本体2を形成する合成樹脂には限定されない。ベース本体2の強度を保持するために外周ベルト部9及び補強梁部10の厚さ寸法と上下方向の高さ寸法が決定される。
【0064】
又、
図8a、
図8bに示した前記高さ調節部材16には、屈曲性を有する例えばシリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)等を用いることができる。屈曲性を有する高さ調節部材16は、受本体1に過大な荷重が作用した際に屈曲・変形することにより荷重を吸収できるので、前記嵌合凸部11及び嵌合凹部12が割れる等の問題を防止することができる。
【0065】
図17〜
図19は、
図10〜
図12に示した中央部復元バネ26及び外側部復元バネ30の構成とは異なる構成を示す。
【0066】
図17〜
図19では、長さ方向中間部に線状部35を有すると共に両端部近傍にはコイル部36を有し、両端部にはフック部37を備えた引きバネ38aを設けている。又、前記支持脚3の嵌合凹部12の上端には前記フック部37が係止される係止孔(図示せず)を備えた環状の取付具39を設けている。そして、
図19に示すように前記後頭部受面部4を取り囲む支持脚3における対角位置の支持脚3bと支持脚3d'の間、及び支持脚3dと支持脚3b'の間に、前記引きバネ38aの線状部35が後頭部受面部4の下面を交差して通るように配置する。そして、前記引きバネ38aを引き延ばしてフック部37を前記取付具39の係止孔に係合する。このとき、前記引きバネ38aの線状部35は、
図17、
図18に示すように前記後頭部受面部4の下面に突設した前記突出部27の下端に設けた案内溝40を通るように設けている。従って、前記引きバネ38aは前記突出部27を介して前記後頭部受面部4を上方へ引き上げるように作用する。上記により、前記後頭部受面部4には引きバネ38aによる中央部復元バネ26が備えられる。
【0067】
又、側頭部受面部5、5を取り囲むように配置された支持脚3における対角位置の支持脚3aと支持脚3dの間、支持脚3bと支持脚3cの間、支持脚3a'と支持脚3d'の間、支持脚3b'と支持脚3c'の間の夫々には、前記引きバネ38aと同様の構成を有する引きバネ38bの線状部35が側頭部受面部5、5の下面を交差して通るように配置する。そして、前記引きバネ38bを引き延ばしてフック部37を前記取付具39の係止孔に係合する。このとき、前記引きバネ38bの線状部35は
図17、
図18に示すように前記側頭部受面部5、5の下面に突設した位置決め凸部31の下端に設けた案内溝40を通るように設けている。従って、前記引きバネ38bは前記位置決め凸部31を介して前記側頭部受面部5、5を上方へ引き上げるように作用する。上記により、前記側頭部受面部5、5には引きバネ38bによる外側部復元バネ30が備えられる。
【0068】
尚、上記説明では、引きバネ38a、38bのフック部37を支持脚3に設けた取付具39に取り付けた場合について示したが、前記支持脚3とは別にベース本体2に固定脚を設け、この固定脚に前記引きバネ38a、38bのフック部37を取り付けてもよい。
【0069】
図18の前記後頭部受面部4に頭部が載置された際は、後頭部受面部4に備えた曲り部25aが伸長することにより後頭部受面部4は沈み変形するが、このとき、前記引きバネ38aは前記後頭部受面部4の沈み変形に伴って伸長される。一方、前記後頭部受面部4から頭部が退去した際は、伸長した曲り部25aが元の曲り形状に戻る戻り力と、伸長した前記引きバネ38aが縮小しようとする力により、前記後頭部受面部4は沈み変形する前の状態に引き戻される。ここで、前記引きバネ38aは、頭部が載置されていないときに前記後頭部受面部4を僅かに引き上げる長さを有している。更に、前記引きバネ38aは、後頭部受面部4に頭部が載置されて沈み変形する際は前記後頭部受面部4が仰臥時適合高さh1をわずかに超えて沈み変形するように弾発力が予め設定されている。
【0070】
又、
図18の前記側頭部受面部5、5に頭部が載置された際は、前記側頭部受面部5、5に備えた曲り部25bが伸長することにより側頭部受面部5、5は沈み変形するが、このとき、前記引きバネ38bは前記側頭部受面部5、5の沈み変形に伴って伸長される。一方、前記側頭部受面部5、5から頭部が退去した際は、伸長した曲り部25bが元の曲り形状に戻る戻り力と、伸長した前記引きバネ38bが縮小しようとする力によって、前記側頭部受面部5、5は沈み変形する前の状態に引き戻される。ここで、前記引きバネ38bは、頭部が載置されていないときに前記後頭部受面部4を僅かに引き上げる長さを有している。更に、前記引きバネ38bは、前記側頭部受面部5、5に頭部が載置されて沈み変形する際は前記側頭部受面部5、5が横臥時適合高さh2に沈み変形するように弾発力が予め設定されている。
【0071】
前記中央部復元バネ26及び外側部復元バネ30にはコイル状の樹脂バネ或いは金属バネを用いることができ、更に、コイルバネ以外に板バネを用いることもできる。又、上記説明では前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に押しバネ26a、26b、30aと引きバネ38a、38bの一方を設けた場合について説明したが、後頭部受面部4には押しバネ26a、26b及び引きバネ38aのいずれか一つを設け、側頭部受面部5、5には押しバネ30a及び引きバネ38bのいずれか一つを設けるようにしてもよい。
【0072】
更に、
図10、
図12、
図13、
図18は、前記後頭部受面部4が沈み変形する際の最も低くなる部分が仰臥時適合高さh1に保持されるように沈み変形を制限する高さ保持材41を前記ベース本体2に設けた構成を示す。
図10、
図12、
図18では、前記後頭部受面部4が沈み変形した際に、後頭部受面部4の下面に設けた突出部27の下端に弾力的に当接する高さ保持材41を、前記ベース本体2に設けた位置決め凹部28の外周に設けた収容部28aに配置している。又、
図13では、収容部28aに高さ保持材41が配置され、更に高さ保持材41にはコイル押しバネ26bの下端が嵌合する位置決め凹部28'を切り欠くことにより形成している。前記高さ保持材41は弾性と復元性を有していればよいため種々のゴム、合成樹脂等を用いることができ、高さ保持材41を形成する材料には限定されない。
【0073】
従って、前記後頭部受面部4に頭部を載置して後頭部受面部4が沈み変形した際は、後頭部受面部4の下面に備えた突出部27の下端が高さ保持材41に弾力的に当接することにより沈み変形が制限されるので、後頭部受面部4は常に仰臥時適合高さh1に保持されるようになる。
【0074】
尚、前記側頭部受面部5、5は、頭部の載置により沈み変形した際には、
図10、
図11に示す押しバネ30aからなる外側部復元バネ30の押し力、又は、
図17に示す引きバネ38bからなる外側部復元バネ30の引き力によって横臥時適合高さh2に保持される。しかし、図示しないが、前記側頭部受面部5、5に対しても、該側頭部受面部5、5が沈み変形した際に側頭部受面部5、5の下面に設けた突出部に弾力的に当接して横臥時適合高さh2を保持する高さ保持材をベース本体2に設けてもよい。
【0075】
前記受本体1は、
図20に示すように複数に分割した構成とすることができる。
図20では、受本体1を、後頭部受面部4を有する外周
強度部6の左右方向Xの中間部6'による中央受部42と、側頭部受面部5、5を有する外周
強度部6の左右方向Xの端部による外側受部43、43とに分割した構成としている。このとき、前記外側受部43、43は前記支持脚3によりベース本体2に固定し、中央受部42は別の独立した支持脚44によりベース本体2に固定する。更に、前記中央受部42及び外側受部43、43の支持脚3、44の近傍位置には、中央受部42及び外側受部43、43を前記ベース本体2に固定するための前記固定構造17(
図9)を設ける。
【0076】
図20に示すように、受本体1を中央受部42と外側受部43、43に分割した構成によれば、合成樹脂により受本体1を製造する際に、中央受部42と外側受部43、43に分けて製造できるため小型の金型を用いて受本体1を製造することができる。又、中央受部42と外側受部43、43は異なる合成樹脂を用いて製造することもできる。
【0077】
上記では受本体1、ベース本体2及び支持脚3は合成樹脂により形成する場合について説明したが、受本体1、ベース本体2及び支持脚3の少なくとも一部を、繊維強化プラスチック或いは金属等を用いて製造することができる。
【0078】
又、前記後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5の少なくとも一方は、伸縮素材を用いて形成することができる。例えば、バネ或いはゴム等からなる伸縮素材を貫通口が形成されるように網状に組み立てた伸縮体を設け、この伸縮体の外周を固定脚を介してベース本体2に固定することができる。このように後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5を伸縮素材によって形成すると、頭部が載置された際は伸長して沈み変形し、頭部が退去した際は縮小して沈み変形する前の状態に戻るように作用するため、前記した中央部復元バネ26及び外側部復元バネ30の設置を省略できる可能性がある。
【0079】
本発明の枕100は、
図21、
図22に示す通気性を有する被覆材45によって覆うことができる。
図21、
図22では、受本体1を覆う被覆材45を設けた場合を示す。この被覆材45は、頭部及び顔の側面に接することから、肌触りが良好で且つ通気性及び吸放湿性を有していることが好ましく、被覆材45には布或いは不織布、又は紙等を用いることができる。被覆材45の周辺にはゴム或いは紐等からなる固定材46が取り付けてあり、固定材46が受本体1の下側で内側に配置されるようにして、被覆材45を受本体1に締め付けて固定する。又、被覆材45は面ファスナー等を用いて固定するようにしてもよい。更に、前記被覆材45は特に後頭部受面部4の沈み変形の追従できるように伸縮性を有する布材を用いて製作することができ、或いは、後頭部受面部4に対応する部分に沈み変形に追従できるようにゴム等を用いた伸縮部を設けることができる。
【0080】
又、被覆材45は、前記受本体1及びベース本体2を含む枕100の全体を覆う大きさを有していてもよい。この時、受本体1とベース本体2の間はメッシュ素材により覆うように構成して受本体1の下部空間の通気性を図ることは好ましい。尚、気温が低いときに使用する枕100の場合には、保温性を備えて枕100の全体を覆う被覆材45を取り付けることが好ましい。
【0081】
又、前記側頭部受面部5、5は横顔の肌が接する部分であるため、少なくとも側頭部受面部5、5に対応した前記被覆材45の上面に対しては、二点鎖線で示すように紙或いは不織布等からなる通気性を備えた使い捨てのシート48を取り付けてもよい。前記枕100、被覆材45及びシート48には抗菌加工が施されていることが好ましい。
【0082】
本発明の枕100の寸法例について説明する。
【0083】
枕の好適な仰臥時適合高さ及び横臥時適合高さについては種々提案されているが、仰臥時適合高さと横臥時適合高さを同時に満足できる枕は存在しておらず、一般の枕は仰臥時適合高さと横臥時適合高さの中間の均一高さに製作された均一高さ枕となっている。均一高さ枕では、仰臥時と横臥時のいずれにおいても使用者が満足した枕の高さで睡眠をとることができず、良好な使用感が得られていないのが現状である。
【0084】
上記課題を解決するために、種々報告されている人体の寸法のうち、肩幅、頭幅、前後頭長について、成人男子の平均値と成人女子の平均値からその中間値を求める手法を用いることにより、肩幅中間値433mmと、頭幅中間値155mmと、前後頭長中間値184mmを求めた。更に、一般に知られている成人の頭部の荷重が約5Kgであること、仰臥時に頭部が最も床に接近する部分の高さは好ましくは15〜40mmであり、仰臥時の首と床との間の首部高さは好ましくは30mm〜60mmであることを参考に、枕100の各寸法を設定して、基準枕を得た。
【0085】
基準枕の左右方向Xの長さ寸法は470mmであり、前後方向Yの幅寸法は左右の端部においては180mmであり、左右方向Xの中間部6'においては190mmである。
図2における前側の支持脚3b、3b'の相互間隔180mm、及び、後側の支持脚3d、3d'の相互間隔160mmの間に前記後頭部受面部4が形成されている。ベース本体2の底面から受本体1における外周強度部6の左右方向Xの端部の上面までの固定高さL1は55mmとした。ベース本体2の底面から受本体1における外周強度部6の前側の中間部6'の上面までの首部高さL2は35mmとした。前記側頭部受面部5、5の傾斜した側頭部高さL3は前側においては50mm、後側においては45mmであり、前記後頭部受面部4の後頭部高さL4は40mmとした。そして、前記後頭部受面部4が沈み変形した際の最も沈み込んだ部分の仰臥時適合高さh1は18mmとなるように
図10の高さ保持材41の高さ寸法(厚さ寸法)を設定した。前記側頭部受面部5、5が沈み変形した際の最も沈み込んだ部分の横臥時適合高さh2は42mmになるように
図10、
図11、
図17、
図18に示す外側部復元バネ30の弾発力を設定した。又、後頭部受面部4における中央部伸縮構造22の曲り部25aの曲り高さS1は約5mmとし、側頭部受面部5、5における外側部伸縮構造23の曲り部25bの曲り高さS2は約2mmとした。
【0086】
上記基準枕は、成人の人体の寸法の中間値及び頭部の平均的な荷重を参考にしているため、基準枕に適合した使用者は良好な使用感が得られるのに対し、前記中間値や平均値から離れた条件の使用者には良好な使用感が得られない可能性がある。
【0087】
このため、前記中間値及び平均値に基づいた基準枕の各寸法を例えば20%増加した大型枕と、上記標準枕の各寸法を例えば20%減少した小型枕を用意した。この3種類の枕を用意することにより、大凡の成人に対して良好に適合できるようになる。
【0088】
本発明の枕100によれば、次のように作用する。
【0089】
枕100を使用する際は、
図1に示す平面形状において左右方向Xに長い直線の辺が手前になり、曲線の辺が後方になるようにセットする。そして、仰向けに寝る際は仰向けの姿勢で枕100の後頭部受面部4に頭部を載置する。
【0090】
このとき、後頭部の最も突出した部分が
図10の前記後頭部受面部4の中心O1に載置されるため、後頭部受面部4に備えた中央部伸縮構造22の各曲り部25aは頭部の荷重によるモーメント力と引張り力を受けて伸長され、後頭部受面部4は頭部の形状に沿うように伸長して沈み変形する。そして、後頭部受面部4の下面に設けた突出部27の下端が高さ保持材41に当接することにより沈み変形は制限され、これにより、後頭部受面部4は仰臥時適合高さh1に確実に保持される。
【0091】
通常の均一高さ枕においては仰臥時に頭部の高さが高すぎる場合があるが、本発明の枕100では仰臥時の頭部は常に仰臥時適合高さh1に保持されるので、使用者は良好な睡眠を得ることができる。又、前記後頭部受面部4に載置する頭部は前記曲り部25aと中央部復元バネ26の弾性によって柔らかく保持されるようになり、更に、弾力的に支持されているために頭部は動かすことができる。
【0092】
前記後頭部受面部4に頭部が載置された仰臥時の姿勢から寝返りをうって横臥時の姿勢に変えようとするときは、前記後頭部受面部4に備えた中央部復元バネ26が頭部を押し上げるように作用するため、寝返りがし易くなる。
【0093】
側頭部受面部5、5に頭部が載置されると、頭部の荷重により外側部伸縮構造23の各曲り部25bは伸長され、側頭部受面部5、5は頭部の形状に沿うように伸長して沈み変形する。このとき、側頭部受面部5、5は下部に備えた外側部復元バネ30の弾発力により沈み変形が抑制されて側頭部受面部5、5は横臥時適合高さh2に保持される。
【0094】
通常の均一高さ枕においては横臥時に頭部の高さが低すぎる場合があるが、本発明の枕100では横臥時の頭部は常に横臥時適合高さh2に保持されるので、使用者は良好な睡眠を得ることができる。又、前記側頭部受面部5、5に載置する頭部は前記曲り部25bと外側部復元バネ30の弾性によって柔らかく保持されるようになり、更に、弾力的に支持されているために頭部は動かすことができる。又、前記側頭部受面部5、5に頭部が載置された横臥時の姿勢から寝返りをうって仰臥時の姿勢に変わることにより頭部が再び後頭部受面部4の位置に来ると、後頭部受面部4は頭部の荷重により沈み変形して再び仰臥時適合高さh1に保持される。このとき、後頭部が後頭部受面部4に対して中心O1から多少ずれて載置されても、後頭部受面部4が沈み変形されることにより後頭部は後頭部受面部4の中心O1の方向へ位置が修正されるようになる。
【0095】
ここで、仰向の姿勢から寝返りをうって横臥の姿勢になった時の頭部の位置について調査したところ、後頭部受面部4の中心O1に位置していた頭部の中心は約100〜140mm前後の距離で側頭部受面部5、5へ移動することが判明した。従って、寝返りをうって横臥の姿勢になった時の頭部は常に側頭部受面部5、5に載置されるようになる。
【0096】
又、本発明の枕100は、横臥の姿勢で頭部が後頭部受面部4に位置される状態が発生しても後頭部受面部4は仰臥時適合高さh1に沈み変形しないことが判明した。頭部の形状は、頭幅に対して前後頭長が大きく、更に側頭部は後頭部の形状に比して突出が小さい平坦な形状となっている。従って、側頭部の荷重は後頭部受面部4の中心O1を押すように作用できないため、後頭部受面部4は仰臥時適合高さh1に沈み変形することができない。又、側頭部の荷重が側頭部受面部5、5と後頭部受面部4との境界部分に作用した場合には、後頭部受面部4の境界付近の曲り部25aにはモーメント力と引張り力が作用しないために該曲り部25aは伸長されにくく、よって後頭部受面部4は沈み変形することができない。従って、後頭部受面部4に対して横臥の姿勢で側頭部が載置されることが生じても、頭部は略横臥時適合高さh2に保持されるようになる。
【0097】
本発明の枕100によれば、受本体1の少なくとも後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に設けた貫通口8により通気構造を有しており、更に、受本体1の下部には空間が形成されていて空気が通り抜けることができるので、後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5に頭部を載置した際に、通気性が確保されて頭部が熱くなる感覚や汗をかいて湿ったりすることが低減される。更に、
図10、
図14b、
図15bに示す後頭部受面部4及び側頭部受面部5、5には、上下方向へ湾曲した曲り部25a、25bによる前記中央部伸縮構造22及び外側部伸縮構造23を備えているので、頭部は面接触ではなく点接触に近い状態で支持されるようになる。更に、受本体1の下部には空間が形成されているため、受本体1の下面に香料を収容したケース等を取り付けることができ、これにより就寝時のリラックス効果を得ることができる。
【0098】
本発明の枕100においては、枕100の下側にタオル等を敷くことにより前記側頭部受面部5、5の横臥時適合高さh2と後頭部受面部4の仰臥時適合高さh1を高くする調節を容易に行うことができる。又、横臥時適合高さh2が使用者に適合しない場合には、
図8a、
図8bに示す支持脚3に設けた高さ調節部材16を高さが異なるものに取り換えることにより、任意の横臥時適合高さh2に調節することができる。又、仰臥時適合高さh1が使用者に適合しない場合には、
図10、
図12、
図13、
図18に示すベース本体2に設けた高さ保持材41の高さ(厚さ)が異なるものに取り換えることにより、任意の仰臥時適合高さh1に調節することができる。
【0099】
尚、本発明の枕100を構成する受本体1、ベース本体2及び支持脚3の形状、構造及び材料は、図示及び前記説明に限定されることなく変更できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【解決手段】後頭部受面部4と後頭部受面部4を挟んで左右に位置する側頭部受面部5、5の外周が外周強度部6により支持され、貫通口により通気構造を有する受本体1と、受本体1に対峙するベース本体2と、受本体1をベース本体2に固定する支持脚を有する。後頭部受面部4には、仰臥時適合高さh1に沈み変形できる中央部伸縮構造22と、後頭部受面部4を沈み変形する前の状態に戻す中央部復元バネ26を備える。側頭部受面部5、5には、横臥時適合高さh2に沈み変形できる外側部伸縮構造23と、側頭部受面部5、5を沈み変形する前の状態に戻す外側部復元バネ30を備える。