特許第5976196号(P5976196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5976196アコースティック・エミッションセンサを備えたセンサ素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976196
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】アコースティック・エミッションセンサを備えたセンサ素子
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/14 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G01N29/14
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-504868(P2015-504868)
(86)(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公表番号】特表2015-514220(P2015-514220A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2012056697
(87)【国際公開番号】WO2013152797
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2014年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ヘニング クロース
(72)【発明者】
【氏名】アーノ ハシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ディアク シャイプナー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シマー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト ヴァイゲル
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2009/096551(JP,A1)
【文献】 特表2001−500597(JP,A)
【文献】 特開2001−201373(JP,A)
【文献】 特開平07−168619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムを監視するためのセンサ素子(10)であって、
アコースティック・エミッション(41)を測定するためのアコースティック・エミッションセンサ(11)を備え
温度レベル(42)および/または温度勾配を測定するための第2のセンサ(12、13、14)と、
前記第2の測定量(52、53、54)および/または前記外部のセンサ信号(55)を考慮しつつ前記アコースティック・エミッションセンサ(11)のセンサ信号(51)を評価することによって、統合されたおよび/または縮合された1つのセンサ信号を生成するための評価装置(22)と、を含んでいる、センサ素子(10)において、
前記統合されたおよび/または縮合された1つのセンサ信号の生成は、監視される前記システムの立上りフェーズ(31,32)の後、監視される前記システムの通常動作フェーズ(33)において行われる、ことを特徴とするセンサ素子(10)。
【請求項2】
温度レベル(42)、振動特性および/または磁界の強さおよび/または磁界の方向を測定するための第3のセンサ(12、13、14)を有している、請求項記載のセンサ素子(10)。
【請求項3】
外部のセンサ信号(55)を受信するためのインタフェース(28)を有している、請求項1または2記載のセンサ素子(10)。
【請求項4】
前記センサ素子(10)は評価装置(22)を含んでおり、当該評価装置(22)は、記外部のセンサ信号(55)を考慮しつつ前記アコースティック・エミッションセンサ(11)のセンサ信号(51)を評価することによって、前記統合されたおよび/または縮合された1つのセンサ信号を生成する、請求項1からまでのいずれか1項記載のセンサ素子(10)。
【請求項5】
評価装置(22)を有しており、当該評価装置(22)内にプログラムコードをロードすることが可能である、および/または、当該評価装置(22)内でプログラムコードを実行可能である、請求項記載のセンサ素子(10)。
【請求項6】
前記第1のセンサ(11)と前記第2のセンサ(12)とによって、および/または、前記第1のセンサ(11)と前記第3のセンサ(13)とによって、および/または、前記第1のセンサ(11)と前記第4のセンサ(14)とによって、および/または、前記第2のセンサ(12)、前記第3のセンサ(13)、前記第4のセンサ(14)のうちのいずれかのペアによって測定可能な複数の信号(51、52、53、54)を相関させるように、前記評価装置(22)は準備されている、請求項または記載のセンサ素子(10)。
【請求項7】
前記外部のセンサ信号(55)と、前記第1のセンサ(11)および/または前記第2のセンサ(12)および/または前記第3のセンサ(13)および/または前記第4のセンサ(14)のセンサ信号(51)とを相関させるように、前記評価装置(22)は準備されている、請求項からまでのいずれか1項記載のセンサ素子(10)。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項記載のセンサ素子(10)を有している、ことを特徴とする監視システム(60)。
【請求項9】
軸受監視システムまたは機械監視システムである、請求項8記載の監視システム(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの異なる態様の下で、アコースティック・エミッションを測定するアコースティック・エミッションセンサを備えたそれぞれ1つのセンサ素子を規定する。さらに、本発明は監視システム、殊に腐食監視システム、軸受監視システムまたは機械監視システムに関する。
【0002】
工業施設の状態監視はますます重要になってきている。以下で、用語「アコースティック・エミッション」が使用されている。この外国語の用語は、専門家の間で、技術的な正確な名称として市民権を得ている。この用語には、可逆的な材料変化時にではなく、不可逆的な材料変化時にのみ生じる固体伝搬音が含まれる。超音波領域の固体伝搬音(アコースティック・エミッション)の評価は、材料欠損および材料疲弊過程を識別するためのツールとして認められている。多くの用途において、アコースティック・エミッションは特徴的な信号を供し、この信号によって、例えば軸受監視、工具監視または腐食識別のために、監視されるべきプロセスを注視することができる。しばしば、このアコースティック・エミッション信号のみからでは、充分に明確な情報は得られない。例えば、熱膨張による加熱過程によっても、アコースティック・エミッションは生じる。
【0003】
アコースティック・エミッションを測定するためのセンサは典型的に、広帯域または共振特性を備えた、人によって製造されたピエゾセンサである。一般的な研究用途または特別な用途、例えば工作機械での工具監視のための測定システムが提供可能である。このようなシステムは、アコースティック・エミッション信号のみを評価する。測定されたアコースティック・エミッション信号のみの評価は、ノイズ信号および誤った解釈の影響を受けやすい。アコースティック・エミッションセンサからアコースティック・エミッションデータを受信した後に、上位の装置において、(例えばPCでのMATLABによって)別の測定量と相関させることができるが、このために必要な機器は、複雑かつコストがかかり、工業的な環境に組み込むのに適していない。
【0004】
本発明の課題は、2つの態様の下で、それぞれ1つの、アコースティック・エミッションセンサを備えたセンサ素子を提供することである。このセンサ素子によって測定タスクを容易に実行することができる。さらに、本発明の課題は、測定タスクの実行を容易にする、監視システム、殊に腐食監視システム、軸受監視システムまたは機械監視システムを提供することである。
【0005】
上述の課題は、本発明では、第1の態様では、次のことによって解決される。すなわち、アコースティック・エミッションを測定するための、アコースティック・エミッションセンサを備えたセンサ素子が、アコースティック・エミッションとは異なる第2の測定量のための第2のセンサを含んでいることによって解決される。これによって、1つのセンサ部材だけを用いて、低コストに、処理された(洗練された)センサタスクを提供することができ、さらなる部材のためのコスト、配線コストおよび/または生の測定値の後続の処理のためのコストを、少なくとも部分的に省くことができる。さらに、第2のセンサは確実に、アコースティック・エミッションセンサの位置に対して正確に位置付けされる。
【0006】
第2の態様では、上述の課題は次のことによって解決される。すなわち、アコースティック・エミッションを測定するための、アコースティック・エミッションセンサを備えた本発明のセンサ素子が、外部のセンサ信号を受信するためのインタフェースを含んでいることによって解決される。この外部のセンサ信号は例えば、測定箇所が遠方のためまたは構造的な理由によってセンサ素子内に組み込まれていない回転速度センサまたは別のセンサによって提供される。しばしば、回転速度測定は、状態監視センサ(condition monitoring sensors)の評価のために有利である。なぜなら、信号の質が、付加的なセンサの付加的な情報によって格段に改善されるからである。さらに、周期的なノイズ量との同期化による回転速度測定によって、このノイズ量の抑圧が改善される。
【0007】
監視システムに関しては、本発明の上述の課題は、この監視システムが本発明のセンサ素子を有していることによって解決される。
【0008】
第2のセンサが温度レベルおよび/または温度勾配を測定するための温度センサである実施形態、または、第2のセンサが振動特性を測定するための振動センサである実施形態、または、第2のセンサが磁界の強さおよび/または磁界の方向を測定するための磁界センサである実施形態がある。振動センサは、バイブレーションセンサとも称される。センサの個数を、監視タスクに合わせて選択することができる。
【0009】
磁界の強さおよび/または磁界の方向を測定するために、例えば、3Dホールセンサが使用される。これによって、機械の状態を表す磁気的な指紋の検出が可能になる。種々の評価ストラテジーが可能である。すなわち、機械の(例えばモータでの)内在する磁界の評価および/または電動機または発電機の回転磁界の磁界変化からの回転速度測定である。リニアモータのロータの位置を、ロータのストッパーでのまたは抑止時の分路変化を評価することによって求めるために、方向が一定のままである磁界(「DC磁界」)の変調を評価することも可能である。3D磁界センサの使用時には、磁界に対するセンサの配向は重要ではない。なぜなら、磁界ベクトルが評価可能だからである。
【0010】
センサ素子の有利な発展形態は、温度レベル、振動特性および/または磁界の強さおよび/または磁界の方向を測定するための第3のセンサを含んでいる。
【0011】
第1の態様でも、センサ素子は、外部のセンサ信号を受信するためのインタフェースを含むことができる。ここから、結果として得られる利点は既に述べてある。
【0012】
第2の測定量および/または外部のセンサ信号を考慮しつつ、アコースティック・エミッションセンサのセンサ信号を評価することによって、統合されたおよび/または縮合されたセンサ信号を生成する評価装置をセンサ素子が有しているのは有利である。このセンサは、測定量の信号合併のための1つまたは複数のアルゴリズムを含んでいる。アルゴリズムは、例えば簡単な閾値監視を含み得る、または、2つの測定量の間の相関計算を含み得る。このアルゴリズムは、別個にまたは一緒に起動および/または停止される複数の診断ブロックとして提供され得る。
【0013】
評価装置内にプログラムコードがロード可能である、および/または、評価装置内でプログラムコードが実行可能であるのは特に有利である。これによって、アプリケーション特有の評価アルゴリズムが別個に、または、相互に組み合わされて、センサ素子内にロードされ、そこで選択的に実行される。このプログラムコードが、異なるインタフェースを介してセンサ素子内にロードされても、このプログラムコードと同じインタフェースを介してセンサ素子内にロードされてもよい。
【0014】
第1のセンサと第2のセンサとによって、および/または、第1のセンサと第3のセンサとによって、および/または、第1のセンサと第4のセンサとによって、および/または、第2のセンサから第4のセンサのいずれかのペアによって測定可能な信号を相関させるように評価装置が構成されているのも、有利である。これによって、センサ素子によって選択された状態特性値の信頼性が高まる。
【0015】
幾つかの実施形態では、外部のセンサ信号と第1および/または第2および/または第3および/または第4のセンサのセンサ信号とを相関させるように、評価装置が構成されている。これによっても、センサ素子によって選択された状態特性値の信頼性が高まる。
【0016】
本発明を、添付の図面に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】センサ素子の概略的なブロック回路図
図2】図示された、時間で変化する種々の測定量に依存した妥当性特性値の、縮尺通りではない時間経過
【実施例】
【0018】
以降では、本発明の有利な実施形態の実施例をより詳細に示す。
【0019】
監視対象物18を監視する、図1に示されている監視システム60は、上位の監視装置26と、これに接続されているセンサ素子10とを含んでいる。このセンサ素子10は、種々の物理的な測定量のための複数のセンサ11、12、13、14と、データ検出回路20と、測定された測定値51、52、53、54、55のための評価装置22と、上位の監視装置26を接続するためのインタフェース24とを有している。
【0020】
第1のセンサ11は、測定されたアコースティック・エミッションの強さおよび/または方向に依存して電気信号を生成するアコースティック・エミッションセンサである。第2のセンサ12は、測定された温度のレベルおよび/または温度勾配の強さおよび/または方向に依存して電気信号を生成する温度センサである。第3のセンサ13は、測定された振動の強さ、周波数および/または方向に依存して電気信号を生成する振動センサである。第4の温度センサ14は、測定された磁界の強さおよび/または方向に依存して電気信号を生成する磁界センサである。
【0021】
選択的に、センサ素子10は、1つまたは複数の外部のセンサ15からの信号55を供給するためのインタフェース28も含む。これとは無関係に、外部のセンサ16からの信号55が、センサ素子10を上位の監視装置26に接続するために設けられているインタフェース24を介して供給され得る。多くの用途に対して有利な実施形態では、外部のセンサ15、16のためのインタフェース24、28は、回転速度センサ15、16からの回転速度信号55および/または軸受電流センサ15、16からの軸受電流信号55を供給するように構成されている。
【0022】
図2に基づいて、軸受診断の例に即して、センサ素子10によってどのように、種々の物理的な多数の測定量41、42、45の測定値51、52、53、54、55から、妥当性特性値46が生成されるのかを説明する。この妥当性特性値は、測定されたアコースティック・エミッション活動41の適用性および/または有効性を示す尺度として用いられる。この例では、軸受18が通常動作フェーズ33において、ほぼ一定の通常動作回転速度450で動作すると仮定する。軸受18の使用開始時には、まず、立上りフェーズ31が存在し、ここでは、回転速度42が通常動作回転速度450まで上昇する。立上りフェーズ31に、加熱フェーズ32が続く。ここでは通常動作回転速度450は既に得られているが、軸受18はここで初めて通常動作温度420まで徐々に加熱される。すなわち使用開始フェーズは、部分的に時間が重なっている立上りフェーズ31と加熱フェーズ32とを含んでいる。使用開始フェーズ31、32の間、軸受診断は実行されない。使用開始フェーズ31、32の後の通常動作フェーズ33において、回転速度42はほぼ一定になる。従って、使用開始フェーズ31、32における温度変化は、回転速度変化によるものではない。通常動作フェーズ33のほぼ静的な状態の間に、妥当性を有する結果をもたらす軸受診断を実施することができる。この例では、通常動作フェーズ33の終了34時に、アコースティック・エミッション41の強い上昇と、温度42の緩やか〜強い上昇とが観察される。アコースティック・エミッション41の強い上昇と跳躍的な温度上昇が同時に生じることから、軸受の摩滅が増していることが推測される。これは、センサ素子10内で、保守措置開始のために早期に警告信号(これは、相応の状態特性値を伴う)を生成するために用いられる。
【0023】
センサ素子10は柔軟にパラメータ化可能である、これによって、評価方法を特定の用途または監視対象物18(例えばポンプ、軸受、伝動装置、ファン、コンプレッサ監視部)に合わせることができる。このためにそれぞれ、アコースティック・エミッション信号51と合併されるべきデータ52、53、54、55、各合併方法および評価規則および/または評価の重みが定められる。以降では、種々のこのような、用途特定の方法をより詳細に説明する。
【0024】
ポンプでの空洞識別の例:アコースティック・エミッション識別と温度識別の合併が有利である。なぜなら、空洞は、温度に著しく依存するからである。空洞源の位置を突き止めるために、ポンプ回転速度45への同期化が必要である。このために、外部の回転速度入力側、(例えばPTPテレグラムの)ネットワーク信号またはセンサ素子10の磁界センサ14の評価が設定可能である(PTP=precision time protocol)。センサ素子10の振動センサ13の信号53は、損傷の強さを表すインジケータである。この付加信号53が強い場合には、アコースティック・エミッション信号51の妥当性46が高まり、これによってポンプ18を正しく停止させることができる。この妥当性46(確実性)は、ポンプ18の状態特性値に対する付加的な情報として、利用可能である。
【0025】
軸受診断の例:軸受18では、アコースティック・エミッションが、高い周波数領域において、立上りフェーズ31の間に生じる。これは、機械部品18の熱膨張によるものである。これ単体は、目に見える著しい軸受損傷と同様に作用するように見える。しかし実際には、これは、実際の損傷信号ではなく、加熱による膨張時の材料弛緩である。軸受損傷が存在しているか否かを判断するための有効なアコースティック・エミッション評価は、熱的に安定した状態において初めて可能になる。付加的な温度センサ12による加熱過程の識別および監視は、低温状態における急激な立上りを回避するのに有効である。加熱が過度に行われると、軸受間隙(軸受クリアランス)が低減し、軸受18が「食い込んで、動かなくなる」。温度測定とアコースティック・エミッション測定とを融合することによって、潤滑剤の粘性および摩擦の種類も推測可能である。
【0026】
モータ軸受での軸受電流の例:軸受電流も、アコースティック・エミッション41によって表される。アコースティック・エミッション41は、典型的に、モータの振動と相関する。なぜなら、軸受18内の放電は、常に、特に高い振動振幅において生じるからである(このときに、軸受間隙は最低まで狭められる)。磁界センサ14も同様に、軸受電流が生じると、信号を供給し得る。本発明のセンサ素子10によって、軸受電流の種類をクラス分けすることができる。すなわち、
・アコースティック・エミッション41と温度上昇は、オーム軸受電流または放電浸食による軸受電流に対する間接的な証拠である
・放電浸食による軸受電流フラッシュオーバーは、少なくとも、設備の低周波振動時に生じる。この際に潤滑間隙幅が変わり、軸受電流発生時にはアコースティック・エミッション41と磁界パルスが生じる。生じた損傷(外側リングにおける溝形成と内側リングの後のポリゴン化)は、低周波振動センサ13によって識別可能である。
【0027】
アコースティック・エミッションデータ51と、温度データ52と、振動データ53と(場合によっては、磁界データ54と、例えば磁界測定による回転速度データ55も)を、評価装置22内で共に評価することによって、軸受電流損傷の経過および監視対象物18の状態の経過をたどることができる。回転速度データ55に対して、択一的に、または、付加的に、共通の評価において、外部のデータ信号55として外部の軸受電流監視部15、16のデータも利用することができる。
【0028】
有利には、センサ素子10は、デジタルインタフェース24を含んでいる。このインタフェース24が有線データ接続または無線データ接続のためのインタフェース規格(例えばFast−Ethernet物理等のイーサーネット(登録商標)規格、CAN規格、WLAN規格および/またはBluetooth(登録商標))をサポートしているのは有利である。状態監視インフラストラクチャー26とのコミュニケーションの他に、デジタルインタフェース24を介して、具体的なアプリケーションへの整合が行われるのも有利である。この場合には、デジタルインタフェース24を介して、タイムスタンプを有する、または、タイムスタンプの無い信号が伝送可能である。タイムスタンプを有する信号の伝送によって、別のシステム素子との同期が可能になる。他の可能な付加的な利点として、これとは無関係に、タイムスタンプと(例えばポンプヘッドにある)複数のセンサによって、振幅方法または伝搬時間方法を介して、信号源の位置を特定することが可能である。
【0029】
通常動作時に特定値を伝送する、または、内部で格納することが可能である。この格納は、リングバッファ内で行われる。発展形態では、最も古くなった値の縮合によってヒストグラムが作成される。
【0030】
損傷が生じた場合には、詳細な分析が行われる。このために、測定データ51、52、53、54、55の高解像度に撮影された「スナップショット」が伝送される。ここでは、データ圧縮が使用可能である。
【0031】
本発明のセンサ素子10は、既知のセンサ素子と、1つまたは複数の以下の特徴において異なっている。すなわち、
・アコースティック・エミッション用のセンサ装置と付加的な量との合併が、センサ素子10(組み込まれたセンサ素子)内でサポートされている。ここで、これらの付加的な量は例えば、振動、温度42および/または磁界である。
・センサ素子10は、測定量の合併および付加的な情報(例えば、磁界変化からの回転速度情報45)を得るために、組み込まれた適合可能なアルゴリズムを有している。
・監視されている状態データ51、52、53、54、55の妥当性監視を用いて、統合された状態特性値および複数の可能な状態識別値の正当性に対する確実性46が結果として選ばれ、センサ素子10のセンサ出力側である上位の監視装置26のインタフェース24を介して提供される。
【0032】
本発明のセンサ素子10は、既知のセンサ素子に対して、1つまたは複数の以下の利点を有している。すなわち、
・(組み込まれた測定システムの)センサ素子10を、種々の測定タスクに容易に合わせることができる。
・組み込まれた磁界センサ14によって、回転速度識別が磁界から可能であり、このために、変換器とのコミュニケーションは必要ない。
・センサ素子10は、低コストで追加装備可能であり、その設置コストは僅かである。
・別の測定量との合併によって、アコースティック・エミッション信号51の妥当性検査を行うことができる。このセンサ素子10は、アコースティック・エミッション信号51の誤った解釈に対して、エラー強さを有している。
・センサ素子10内(組み込まれたセンサ素子内)での、種々の物理的な量41、42、45の局部的なデータ合併によって、データ量が低減する。
・配線コストが低減され、これによって、監視システム60の信頼性も改善される。
・サブシステム(通信インタフェース、マイクロプロセッサ・・・)の組み込みおよび複数回使用のためのシステムコストが低減される。
・センサ素子10の順応性が、種類および部分の多様性を低減させ、生産個数を多くすることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 センサ素子
11 アコースティック・エミッションセンサ
12 温度センサ
13 振動センサ
14 磁界センサ
15 外部のセンサ;回転速度センサ
16 外部のセンサ;回転速度センサ
18 監視対象物
20 データ検出回路
22 評価装置
24 センサ素子用のインタフェース
26 上位の監視装置
28 外部のセンサ用のインタフェース
31 立上りフェーズ
32 加熱フェーズ
33 通常動作フェーズ
34 通常動作フェーズの終了
41 アコースティック・エミッション
42 温度
45 回転速度
46 妥当性
51 アコースティック・エミッション信号
52 温度データ
53 振動データ
54 磁界データ
55 外部のセンサ信号;回転速度データ
60 監視システム
420 通常動作温度
450 通常動作回転速度
t 時間
図1
図2