特許第5976229号(P5976229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000002
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000003
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000004
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000005
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000006
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000007
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000008
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000009
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000010
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000011
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000012
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000013
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000014
  • 特許5976229-タバコ産業で使用する切断装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976229
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】タバコ産業で使用する切断装置
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/47 20060101AFI20160809BHJP
   B26D 1/40 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   A24C5/47
   B26D1/40 501B
【請求項の数】30
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-537360(P2015-537360)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公表番号】特表2015-533276(P2015-533276A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】GB2013052752
(87)【国際公開番号】WO2014064433
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】1218970.0
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1305625.4
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブッチャー、ウィンフライド
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ファロン、ゲイリー
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−136288(JP,A)
【文献】 米国特許第03036581(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第00872046(GB,A)
【文献】 国際公開第2010/142498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/47
B26D 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙品シート状材料のウェブから複数の非方形不連続片を切断する回転式剪断装置であって、
第1の切れ刃が設けられた第1の回転式担体と、
第2の切れ刃が設けられた第2の回転式担体とを備え、
前記第1の切れ刃および前記第2の切れ刃は、前記第1の回転式担体および前記第2の回転式担体の回転中に協働して前記ウェブから非方形片を切断するように構成されている、回転式剪断装置。
【請求項2】
前記第1および第2の切れ刃による前記切断は、上記ウェブを幅方向に対して傾斜して切断することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の回転式剪断装置。
【請求項3】
前記第1および第2の切れ刃は、前記第1および第2の回転式担体の回転中に協働して切断を行い、少なくとも第1の部分および前記第1の部分に対して傾斜した第2の部分を含む切断部を提供するように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転式剪断装置。
【請求項4】
前記第1および/または第2の切れ刃の形状は、前記回転式担体の回転中に前記切れ刃が協働して前記ウェブから前記非方形片を切り出すように決められている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項5】
前記切れ刃の少なくとも一方は直線から反れている、ことを特徴とする請求項4に記載の回転式剪断装置。
【請求項6】
前記切れ刃は第1の部分および前記第1の部分に対して傾斜した第2の部分を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の回転式剪断装置。
【請求項7】
前記切れ刃は前記第1の部分に対して傾斜した第3の部分を備え、前記第1の部分は前記第2の部分と前記第3の部分の間に配置されている、ことを特徴とする請求項6に記載の回転式剪断装置。
【請求項8】
前記第2の部分および前記第3の部分は前記切れ刃の外側部分である、ことを特徴とする請求項7に記載の回転式剪断装置。
【請求項9】
前記第2および/または第3の部分は、前記第1の部分の前方に配置されるように傾斜している、ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項10】
前記第1の部分は平面に配置されており、前記第2および/または第3の部分は上記平面に対して傾斜するように角度が付けられている、ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項11】
前記切れ刃の少なくとも一方は前記切れ刃の中心線周りに対称である、ことを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項12】
前記切れ刃の少なくとも一方は、前記切れ刃が協働して前記ウェブから非方形片を切断するように構成されるように、その担体に対して傾斜して取り付けられている、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項13】
前記第1の回転式担体には前記第1の切れ刃の上流にそれに隣接して凹みが設けられており、前記凹みは、前記第1および第2の切れ刃が協働して上記ウェブを切断するときに前記第2の切れ刃を受けるように構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項14】
前記第1の回転式担体は円筒形部材を備え、前記第1の切れ刃は前記円筒形部材に固定された長尺部材の後端で規定されており、前記凹みは前記後端と前記後端に隣接して配置された第2の長尺部材の前端の間で画定されている、ことを特徴とする請求項13に記載の回転式剪断装置。
【請求項15】
前記第1および第2の切れ刃の少なくとも一方は片持ち状態に取り付けられた小刀で画定されている、ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項16】
前記切れ刃の少なくとも一方は平坦部を有する刃物によって規定されており、前記平坦部は前記回転式担体と前記切れ刃の間に設けられて前記刃物に柔軟性を与えている、ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項17】
前記切れ刃の少なくとも一方は、刃物に柔軟性を与える1つ以上の空間を画定するように形状が決められた刃物で画定されている、ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項18】
前記1つ以上の空間は前記刃物に形成された切り込みを含む、ことを特徴とする請求項17に記載の回転式剪断装置。
【請求項19】
前記回転式担体の少なくとも一方は少なくとも1つの弾性支持を含む、ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項20】
前記第1および第2の切れ刃の少なくとも一方は、前記第1の切れ刃と前記第2の切れ刃の間の接触を容易にするための傾斜部分を備え、
それによって前記第1および第2の切れ刃は協働して、前端、後端、および両側部を備える非方形片を切断し、前記前端または前記後端は前記側部に対して角度βで傾斜した部分を備え、βは85°未満である、ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項21】
前記非方形片はその前端または後端に向かって幅が狭くなる、ことを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項22】
前記非方形片の前記前端および前記後端はそれぞれ互いに傾斜した2つ以上の部分を備える、ことを特徴とする請求項14、20または21のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項23】
前記非方形片の前記前端および前記後端はそれぞれ第1の部分、第2の部分、および第3の部分を備え、前記第1の部分は前記第2の部分と前記第3の部分の中間に配置されている、ことを特徴とする請求項22に記載の回転式剪断装置。
【請求項24】
前記第1の部分は前記非方形片の前記側部に対して垂直であり、前記第2の部分および前記第3の部分は前記第1の部分に対して傾斜している、ことを特徴とする請求項20に従属する請求項23に記載の回転式剪断装置。
【請求項25】
前記第2の回転式担体は円筒形部材を備え、前記第2の切れ刃は上記円筒形部材に固定された小刀で規定されており、前記第2の切れ刃が前記円筒形部材の半径方向外向きに配置されるようになっている、ことを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項26】
前記第1および第2の切れ刃の少なくとも一方は、隣り合わせに配置された2つの刃部材で規定されている、ことを特徴とする請求項1乃至25のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項27】
前記第1および第2の切れ刃は、前記第1の切れ刃と前記第2の切れ刃の間の1つ以上の初期の接触点から内向きに剪断を進めるよう構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至26のいずれか1項に記載の回転式剪断装置。
【請求項28】
1枚以上のシート状ラッパーを有する喫煙品組み立て装置であって、
請求項1乃至27のいずれか1項に記載の回転式剪断装置と、
前記回転式剪断装置で切断されたシート状材料の非方形片を受けるように構成された包装装置を備え、前記包装装置はシート状材料の前記非方形片を巻いて前記喫煙品の包装層を形成するように構成されている、
装置。
【請求項29】
前記回転式剪断装置はチッピング材料のウェブから複数の非方形不連続チッピング材料片を切り出すように構成されており、前記包装装置は前記非方形チッピング材料片を用いて1つ以上の喫煙材ロッドを別の1つ以上のロッド品に接続するように構成されている、ことを特徴とする請求項28に記載の喫煙品組み立て装置。
【請求項30】
前記包装装置は、第1および第2の喫煙材ロッドおよび別の1つ以上のロッド品を含むロッド組立体を形成するように構成されており、さらにシート状材料の前記非方形片を前記ロッド組立体の周りに巻いて、包装されたロッド組立体を形成するように構成されており、
前記包装されたロッド組立体を切断するロッド切断装置をさらに備えて2つの喫煙品を形成する、ことを特徴とする請求項28または29に記載の喫煙品組み立て装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はタバコ産業機械に関する。詳細には、本開示は紙巻きタバコチッピング紙のような喫煙品シート状材料のウェブ(web)から複数の不連続片を切断する回転式剪断装置に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコの製造において2本分の長さの紙巻きタバコが形成される場合があり、これは、回転式の組み立て用ドラムのひだの中の2つの未加工の紙巻きタバコロッドの端と端の間に2本分の長さのフィルタープラグを位置決めし、この紙巻きタバコロッドとフィルタープラグを紙巻きタバコチッピング紙片で固定することによって形成される。この紙片はコルクの外観を有する場合がある。その後、この2本分の長さの紙巻きタバコはフィルタープラグ部分で切断されて、先端にフィルターが付いた2本の紙巻きタバコが形成される。
【0003】
チッピング紙片は方形のブランクであり、その片面には接着剤が塗布されており、組み立て用ドラムの上流位置で連続した紙巻きタバコ紙のウェブから切断されてもよい。この方形ブランクは既知の回転式剪断装置で切断されてもよく、この回転式剪断装置は、直線的な刃先の刃物およびそれと対となる直線的な刃先の刃物がそれぞれ取り付けられた2つの回転式ドラムを備える。紙巻きタバコ紙のウェブは、複数の回転式担体が回転中に上記の刃物とそれと対となる逆向きの刃物の間に送られ、鋏と同様の剪断作用で切断される。各切断によって1つの方形ブランクの直線状の後端および次の方形ブランクの直線状の前端が形成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、喫煙品シート状材料のウェブから複数の不連続の非方形片を切断する回転式剪断装置を備えるタバコ産業装置を提供する。この回転式剪断装置は、第1の切れ刃が設けられた第1の回転式担体、および第2の切れ刃が設けられた第2の回転式担体を備える。第1の切れ刃および第2の切れ刃は、第1の回転式担体および第2の回転式担体の回転中に協働してウェブから非方形片を切断するように構成されている。
【0005】
複数の実施形態では、第1の切れ刃および第2の切れ刃は協働して曲線状の切断を行う。
【0006】
第1および第2の切れ刃の少なくとも一方の形状は、両切れ刃が回転式担体の回転中に協働してウェブを剪断して上記非方形片を規定するように決められてもよい。切れ刃はその長さに沿って複数の傾斜した部分を備えてもよく、あるいは曲線状でもよい。一部の実施形態では、切れ刃にはその長さに沿って1つ以上の中断部分があり、そこで切れ刃が曲がっても、あるいは方向を変えてもよい。
【0007】
あるいは、またはそれに加えて、切れ刃の少なくとも一方は、それぞれの担体に斜めに取り付けられている刃物で画定されてもよい。斜めに取り付けられることによって、切れ刃は担体に対して特定の固定した向きに配置されるため、対をなす切れ刃と協働してウェブを剪断して非方形片を規定する。
【0008】
種々の実施形態では、上記切れ刃の少なくとも一方は、刃物に柔軟性を与えるための1つ以上の空間(例えば、刃物に形成された細長い穴)が画定された形状の刃物によって画定されている。このように柔軟性を改善させることによって、切れ刃に傾斜および/または曲げを設けることにより生じ得る剛性が補正される。
【0009】
あるいは、またはそれに加えて、刃物は担体と切れ刃の間に弾性平坦部を含んで刃物に柔軟性を与えてもよい。あるいは、またはそれに加えて、回転式担体の少なくとも一方は弾性支持部を備え、それに各刃物を取り付けて柔軟性を改善してもよい。
【0010】
柔軟性を改善するこれらの手段を単独にあるいは組み合わせて設けて、刃物の形状に起因する任意の固有の剛性を補正してもよい。
【0011】
喫煙品シート状材料のウェブの幅はその長さに沿って変化しなくてもよい。喫煙品シート状材料のウェブにはチッピング紙のウェブも含まれ、そのウェブから切り取られる非方形片にはチッピング紙片も含まれる場合がある。チッピング紙片を喫煙品組立体のラッパーとして用いて、例えば回転式剪断装置の下流の回転ドラム部分で、複数のロッドを互いに結合してもよい。
【0012】
種々の実施形態によれば、非方形片の幅はその前端または後端に向かって狭くなる。そのためこの非方形片を回転ドラム部で容易に巻くことができる。その理由は、チッピングウェブ片の幅が非常に広い場合でも、幅が狭い領域から巻き始めることによって巻きの途中でウェブ片にしわが生じないようにできるからである。
【0013】
本発明は喫煙品を組み立てる装置も提供し、本装置は本明細書に添付の特許請求項1〜27のいずれかに規定された回転式剪断装置を備える。
【0014】
本発明は、1種以上のシート状ラッパーを有する喫煙品を組み立てる装置も提供する。この組み立て装置は、上記特許請求項のいずれかで特許請求された回転式剪断装置、およびこの回転式剪断装置で切断されたシート状材料の非方形片を受け取るように構成された包装装置を備え、この包装装置はシート状材料の上記非方形片を巻いて上記喫煙品の包装層を形成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のより完全な理解のために、添付図面を参照して、本発明の複数の実施形態を単に例示的に記述する。
図1】切断装置を含む紙巻きタバコ製造機械の一部の概略図である。
図2図1の一部の拡大図である。
図3図1の紙巻きタバコ製造機械に用いてもよい切断装置の斜視図である。
図4図3の切断装置の切断刃物の斜視図である。
図5図3の一部の拡大図である。
図6図3の切断装置の小刀の平面図である。
図7図6の小刀の刃部材の正面図である。
図8図3の切断装置により紙巻きタバコ紙の連続ウェブから切断されたブランクの平面図である。
図9図1に示した紙巻きタバコ製造装置に用いてもよい別の切断装置の斜視図である。
図10図9の切断装置の小刀の刃部材の斜視図である。
図11】切断装置に用いてもよい小刀の別の刃部材の斜視図である。
図12】一例示的な小刀およびそれと対となる小刀の形状の概略説明図である。
図13】切断の開始と完了の間に回転式担体によって生じる角移動量を説明する図である。
図14】切断装置用の小刀の刃部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および2を参照すると、紙巻きタバコ組立機械10の一部がウェブ供給機12、切断装置14、および回転式組立ドラム16を備える。ウェブ供給機12は、連続ウェブ20の形態の紙巻きタバコチッピング紙の供給品を保持している巻き枠18、一対の案内ローラー22、24、および2つの案内ローラーの中間に配置された振動装置25を備える。切断装置14は第1の回転式担体26および第2の回転式担体28を備える。第1の回転式担体26と第2の回転式担体28の間に狭窄部30が画定されている。紙巻きタバコチッピング紙のウェブ20は狭窄部30に送られ、そこでそれぞれの切れ刃(図1および2には図示せず)が協働してこのウェブを横断的に切断する。各切断によって、ウェブ20から分離された紙巻きタバコ紙の一部すなわちブランク34の後端32、および後続のブランクの前端36が形成される。振動装置25は狭窄部30へのウェブ20の送りを変化させるように構成されており、ウェブから切り取られたブランクをウェブから確実に分離するためにブランク34を加速してウェブの先端から離すことができるようになっている。振動装置25はブランクの長さも決定する。第1の回転式担体26はその表面に、分離されたブランク34を所定の位置に保持するための吸引口(図1および2には図示せず)も有する。狭窄部30の上流には、接着剤塗布装置(図示せず)が設けられていて、コールドメルト(PVA)などの接着剤をウェブ20の表面に塗布する。
【0017】
図2に示すように、組立ドラム16はその周縁面42に複数のひだ40すなわち溝を備える。複数のひだ40は組立ドラム16の幅を横断し、その回転軸に平行に延びている。各ひだ40には吸引圧を加える吸引口が設けられていて、紙巻きタバコロッド組立体44をひだ内に保持するのを補助する。紙巻きタバコロッド組立体44は2本分の長さのフィルタープラグを備え、これを2本の紙巻きタバコロッドの対向する端部と端部の間に配置してもよい。各紙巻きタバコロッド組立体44が第1の回転式担体26を通過すると、紙巻きタバコロッド組立体の周縁が紙巻きタバコ紙ブランク34と接触する。ブランクの接着剤塗布面と接触することにより、紙巻きタバコロッド組立体44の周縁に接線方向に貼り付けられる。ブランク34が紙巻きタバコロッド組立体44に貼り付けられる位置の下流で、この紙巻きタバコロッド組立体および貼り付けられたブランクは組み立て過程を経る。この過程は既知であり、本明細書では詳述しない。簡単には、ロッド組立体およびブランクは回転板の下を通過し、そこで回転して各ブランク34が紙巻きタバコロッド組立体44の全周に巻かれ、押圧されて貼り付けられ、それによってブランクと紙巻きタバコロッド組立体は完全に結合され、フィルタープラグと2本の紙巻きタバコロッドが固定されて2本分の長さの紙巻きタバコが確実に形成される。次にこの2本分の長さの紙巻きタバコロッドは別のドラム(図示せず)に搬送され、フィルタープラグ部で切断されて2つの別々の紙巻きタバコが形成されてもよい。
【0018】
ここまで記述してきた組み立て過程は、2本の紙巻きタバコロッドの対向する端部と端部の間に配置された2本分の長さのフィルタープラグを備える紙巻きタバコロッド組立体に関連しているが、組み立て過程はこれに限定されない。例えば、フィルターが複数ある紙巻きタバコを組み立てる場合、代わりに、紙巻きタバコロッド組立体は、フィルターが先端に付けられた紙巻きタバコ2本の間に2本分の長さのフィルターロッドを配置して備えてもよい。その場合、2本分の長さのフィルタープラグを2本のフィルター付き紙巻きタバコに結合するために、紙巻きタバコロッド組立体の周りにブランク34を巻いてもよい。次にこの2本分の長さのフィルタープラグが切断されて2つの別々の複数フィルター紙巻きタバコが形成される。あるいは、別の複数フィルター組み立て過程では、第1のフィルターが2本の紙巻きタバコロッドの間に挿入され、切断されて分離され、次に第2のフィルターがその隙間に挿入され、さらに次にチッピングブランクが貼り付けられてロッド組立体が結合される。その後、結合されたロッド組立体が中央で切断されて2本の独立した複数フィルター紙巻きタバコが形成される。
【0019】
図3は、図1および2に示した紙巻きタバコ製造機械10に使用してもよい切断装置14の斜視図である。切断装置14は第1の回転式担体26および逆方向に回転する第2の回転式担体28を備える。第1の回転式担体26および第2の回転式担体28はそれぞれの駆動軸(図示せず)で担持されており、この駆動軸がこれら担体のそれぞれの回転軸を画定する。第1の回転式担体26および第2の回転式担体28の回転軸は平行かつ間隔を置いた関係に配置されている。駆動軸は片持ち梁状に取り付けられており、動力取り出し装置が取り付けられていてもよい。この動力取り出し装置を介して紙巻きタバコ製造機械の機械式歯車箱、または1つ以上のサーボモーターによって駆動軸が駆動されてもよい。
【0020】
図4および5を詳細に参照すると、第1の回転式担体26はドラム50を備え、その周縁に複数の平面部52が配置されている。平面部52に切断板54が固定される。切断板54は長尺部材であり、ドラムの平面部52に収まる平坦な底面および弓形の上面58を有する。切断板54の後端が切断装置14の第1の切れ刃62を規定する。第1の切れ刃62は第1の部分64、第2の部分68、および第3の部分66を備える。第1の部分64は直線的な端部を規定し、この直線的な端部は長手方向中心線61に少なくとも実質的に平行に延びている。第2の部分68は第1の部分64に対してある角度で延びている。第2の部分68の第1の部分に対する傾きは、第2の部分68の内側端(すなわち、第1の部分64に隣接する端部)が外側端(すなわち、第1の部分64から最も遠くに配置されている端部)よりも中心線61の近くに配置されるような傾きである。同様に、第3の部分66は第1の部分64に対してある角度で延びており、第2の部分68と左右対称になっている。この図示の実施例では、第2および第3の部分は共に第1の部分に対して5°の角度で延びているが、この値に限定されない。別の実施形態では、第2および第3の部分は第1の部分に対して10°の角度で延びていてもよい。第1の部分64は第2の部分68と第3の部分66の間に配置されており、第2の部分68と第3の部分66は、図示の実施例では第1の部分に対して対称的に配置されている。図示の実施例では、第1の切れ刃62は底が浅くて平坦なV字型状である。図示の実施形態では、切断板54の前端60は切れ刃ではない。
【0021】
切断板54には複数の貫通穴70が設けられており、これを介して刃物をねじ、ボルトまたは同種のものでドラム50に着脱式に固定することができる。切断板には複数の開口部72も設けられている。この開口部72はドラム50(図示せず)の内部通路の系と連通する。開口部72を経由して吸引圧の供給源がウェブ20およびブランク34に作用する。開口部72へ吸引圧を伝える系の構成はブランク34が組立ドラム16に接近すると吸引圧が放出されるようになっているため、各ブランクは紙巻きタバコロッド組立体44に確実に貼り付けられる。このように吸引圧を加えることは当業者には既知であり、本明細書ではこれ以上詳述しない。
【0022】
図3に示すように、一式の複数の切断板54がドラム50の周縁に装着されると、隣接する切断板の前端60と切れ刃62の間に凹み74が画定される。
【0023】
図5を参照すると、第2の回転式担体28はドラム80を備える。ドラム80の周縁に複数の溝82が設けられている。複数の溝82はドラム80の幅全体を横断して延びており、各溝82は非対称のV字形断面を有する。V字形の溝82の短い方の辺は、図6に示した小刀86のような小刀用の支持面84を画定する。小刀は、ドラム80の幅全体に延びている単片でもよい。しかし、図3〜7に図示した実施例では、小刀86は2つの刃部材88を備え、これらが支持面84に隣り合わせに固定されて切断装置14の連続した第2の切れ刃90を画定している。図3および5には、各小刀の刃部材88の一方だけが示されている。図6をよく見ると、2つの刃部材88が互いに左右対称にドラム50の各支持面84に取り付けられて、ドラム50の周縁に間隔を置いて配置された複数の刃物86が形成されている様子がわかる。
【0024】
図6を参照すると、第2の切れ刃90は第1の部分92、第2の部分94、および第3の部分96を備える。これらの部分92、94、96は、第2の切れ刃が第1の切れ刃62の3つの部分と相補的な3つの部分を有するように構成されている。すなわち、第2の部分94および第3の部分96のそれぞれが第1の部分92に対して5°の角度で延びている。第1の部分92は、第2の部分94と第3の部分96の間に配置されている。図示の実施例では、第2の部分94と第3の部分96は第1の部分に対して対称であるため、第2の切れ刃90は底が浅く平坦なV字形状をしており、この形状は第1の切れ刃62の形状と相補的である。
【0025】
図6および7を参照すると、小刀86の各刃部材88は全体に平坦な部材である。各刃部材88はそれぞれ溝98の形状をした空間を画定して、切れ刃90の柔軟性を改善している。各溝98は小刀86の両外側端100から小刀の中心線に向かって延びており、したがって刃部材88は平面図では全体にU字形である。両溝98の各内側端は対向して配置され、第2の切れ刃90の第2の部分94および第3の部分96の両内側端は対向し、2つの第1の部分92の各外側端は繋がっている。2つのU字形の刃部材88の各腕部102が第2の切れ刃90の第2の部分94および第3の部分96を画定している。両腕部102はそれぞれの線104に沿って上向きに曲げられている。線104は第1の部分92の外側端から溝98の内側端まで延びている。その結果、全体の形状としては、L字形で平坦な本体に、本体の平面から5°の角度で反れている腕部102がある構成となっている。
【0026】
刃部材88には複数の貫通穴106が設けられているため、ドラム80に設けられたねじ穴に係合するねじ、ボルトまたは同種のもので支持面84に固定することができる。
【0027】
図3および5に示すように、刃部材88が支持面84に固定されているとき、小刀86の前部はドラム80の周縁から突き出ている。すなわち、第2の切れ刃90は支持面で支持された片持ち梁であり、小刀86に柔軟性をもたらすように切れ刃90と複数の穴106の間に刃物の平坦部が配置されている。
【0028】
使用時、紙巻きタバコ紙のウェブ20は、第1の回転式担体26と第2の回転式担体28の間に画定された狭窄部30にウェブ供給機12で送られる。ウェブ20は逆回転している第1の回転式担体と第2の回転式担体の間に引き込まれる。小刀86が狭窄部30に接近すると、第2の切れ刃90はウェブ20を噛み、第1の切れ刃62と協働してウェブを剪断する。切断中、第2の切れ刃90は、対応する第1の切れ刃62と後続の切断板54の前端60で規定された凹み74に入る。切れ刃62、90はそれぞれの第2の部分68、94および第3の部分96、66で同時に切断を開始し、回転式担体26、28が回転し続けると剪断が両側から内側へ進み、切れ刃62、90が互いに離れるまで続く。支持面から突き出ている刃物86の前部の片持ち支持、および刃部材88の平坦な本体から突き出ている腕部102の片持ち支持によって小刀に柔軟性があるため、第2の切れ刃90は切断板54から離れるように変形して過度な衝突を防ぐことができ、それによって切れ刃62、90は紙巻きタバコ紙のウェブ20を効率的に剪断することができる。
【0029】
図8を参照すると、紙巻きタバコ紙のウェブ20から切り出されたブランク34は前端110および後端112を有する。一対の協働する切れ刃62、90による各切断によってブランク34の後端112が形成される。この後端112は切断によってウェブから新しく分離され、ウェブおよび次のブランクの前端110になる。この切断はウェブ20の幅全体にわたって延びており、ウェブの縦に延びている両側(これがウェブおよびブランクの側部114を形成する)の間に延びている。図8から分かるように、ブランク34の幅wはブランクの長さlより長い。図示の実施例では、幅は長さより約4.5倍大きいが、この値に限定されない。一実施例では、幅は約116mm、長さは27mmである。
【0030】
従来の切断過程によって紙巻きタバコ製造機械で形成された方形ブランクとは異なり、ブランク34は方形ではなく、直線ではない曲線状の前端110および後端112を有する。図8からわかるように、非方形ブランクは前端110に向かって幅が狭くなっている。これによってブランクは回転ドラム部で巻きやすくなる。その理由は、幅が狭い領域から巻きを開始することができるからである。この方法によれば、チッピング紙片の幅が非常に広い場合でも、巻きの途中にチッピング紙片にしわが寄らないようにできる。当然だが、ブランクが前端ではなく後端に向かって狭くなるように切断装置の別の切れ刃を選択して、同じ効果を実現することができる。
【0031】
さらに、図8のブランクは、その中央にブランクの側部114に対して垂直方向に向けられた第1の部分116があるが、この部分は必須ではない。別の実施形態では、切れ刃の形状はV字形の前端と後端を有するブランクが得られるように決定される。そのようなブランクは前端または後端の一方に向かって狭くなっているため、上記の理由からブランクを巻くことが容易になる。そのようなブランクを形成するには、切れ刃の片方または両方が対応するV字形の刃を有してもよく、すなわち2つ以下の部分を有してもよい。
【0032】
図8のブランク34をさらに詳細に述べると、図示のように、前端110および後端112は底が浅く平坦なV字形状をしており、これは第1の切れ刃62および第2の切れ刃90の形状に対応している。すなわち前端110および後端112は、その中央にブランクの側部114に垂直に配置された第1の部分116、およびブランクの中心から両側部114に向かって外向きに延びている第2の部分118および第3の部分120を有する。図8では、第2の部分118および第3の部分120がそれぞれの側部114と成す角度βは85°である。さらに一般的には、第2の部分118および第3の部分120の傾きの角度は、第1の切れ刃62の第2の部分68および第3の部分66が第1の部分64と成す角度、および腕部102が曲がって小刀88の本体の平面から反れる角度によって決まる。
【0033】
以上から分かるように、本発明の種々の実施形態によれば、回転式剪断装置の切れ刃の形状は、非方形ブランクを提供するように決められる。代わりに、またはそれに加えて、一部の実施形態では、切れ刃の方向を非方形ブランクの形成に適するように決めてもよい。これは、切れ刃を、対応する回転式担体に対して特定の固定した方向に配置することによって行ってもよく、例えば、切れ刃を担持している刃物を、そのドラムに対して適切な角度で配置することによって決めてもよい。
【0034】
このような傾斜した取り付けを採用している切断装置214の一実施例について、図9および10を参照して述べる。当然だが、切断装置214を図1および2に示した紙巻きタバコ組み立て装置に使用してもよい。
【0035】
切断装置214には多数の部品があり、これらの部品は切断装置14の部品と同じかあるいは類似のものである。以下の記述では、同じまたは類似する部品は200だけ増やした同じ参照番号で参照され、再度詳細に記述しない場合がある。
【0036】
切断装置214は、第1の回転式担体226および逆回転する第2の回転式担体228を備える。第1の回転式担体226は複数の切断板254を担持し、これらはドラム250の周縁に間隔を置いて固定されている。切断板254の形状は図4に示した切断板54の形状に対応している。すなわち、切断板254は前端260および後端を有し、後端は切断装置214の第1の切れ刃262を画定する。第1の切れ刃262には3つの部分があり、中央に配置された第1の部分264、ならびに第2の部分268および第3の部分266で構成されている。第2の部分268および第3の部分266は、第1の部分に対してある角度(例えば、5°)で延びており、第1の切れ刃260は直線ではなく曲線状である。第1の切れ刃262の形状は底が浅く平坦なV字形である。前端260とそれに隣接する切断板254の対向する切れ刃262の間に複数の凹み274が画定されている。
【0037】
第2の回転式担体228はドラム280を備え、ドラム280には複数の非対称V字形の溝282が形成されている。溝282はドラムの幅方向に延び、ドラムの周縁に等間隔に配置されている。各溝282の短い方の辺は小刀286用の支持面を規定する。小刀286は2つの刃部材288を備え、この2つの刃部材288は隣り合わせに配置されて切断装置214の連続した第2の切れ刃290を画定する。この実施例では、支持面の形状は長く延びたV字形である。支持面のこのV字形状の各辺は、第2の回転式担体228の周方向に延びている中心線に対して傾斜(例えば、5°)している。このようにして、刃物286は回転式担体228に傾斜して取り付けられる。
【0038】
図10を見るとよくわかるように、各刃部材288は全体に平坦な部材で構成されており、曲げられて部材の平面から反れている部分289を有する。各刃部材288は第2の切れ刃290の半分を画定し、具体的には切れ刃の第2の部分294および第3の部分296の一方と第1の部分292の半分を画定する。図示のように、第2の切れ刃の第1の部分292の一部を形成している部分は、第3の部分296に対して5°の角度αで傾斜している。
【0039】
刃部材288の部分289は線304から、刃部材の平面に対してある角度α(例えば、5°)で傾斜している。線304は、第1の部分292が第2の部分294または第3の部分296に繋がる位置を通って刃部材の内側端308まで延びている。
【0040】
刃部材288の一変更形態では、図10に示すように端308がS字形の曲げを含むように複数の曲げで部分289を形成する代わりに、切れ刃の第1の部分292に対して全体に平行に延びている切り込みを入れ、線304に沿って曲げてもよい。その場合も角度αは5°でもよい。
【0041】
図10に示した実施例では、刃部材の形状は、第2の切れ刃290の第1の部分292を形成している部分が第2の部分および第3の部分を形成している部分より相対的に剛性が高いような形状である。これは必須ではない。別の実施例では、刃部材の、第2の切れ刃の第2の部分および第3の部分を画定している部分が、第1の部分を画定している部分より相対的に剛性が高いように作られていてもよい。例えば図10を参照すると、刃部材288の第2の切れ刃の第3の部分296を規定している部分を部分289と同様に曲げて、曲げなければ全体に平坦な刃部材の平面から反れ、第1の部分292の半分を画定する部分は平坦でもよい。
【0042】
図11に示した別の実施例に、刃部材388が示されている。刃部材388は、それと左右対称の刃部材と対で切断装置用の小刀を形成してもよく、全体にS字形状に曲げられた本体部389を有する。このS字形状によって小刀の切れ刃が曲がり易くなる。また、図11の実施例では、耳391が本体部389の片側から突き出ている。左右対称の一対の刃部材388で形成された第2の切れ刃の第1の部分392の半分は、耳391の前端で画定される。第2の切れ刃の第2の部分394は本体部389の前端で画定される。本体部389による第2の部分394の支持は、耳391による第1の部分392の支持よりも剛性が高い。つまり、第2の切れ刃の第1の部分392は第2の部分および第3の部分よりも柔軟であることになる。図11には、耳391および柔軟性を改善するための「S字形の曲げ」の両方を示しているが、一部の実施形態では、これらの特徴の1つだけ(すなわち、「耳」または「S字形の曲げ」)を刃物の一方または両方に設けてもよいことは明らかである。一部の実施形態では、耳および/またはS字形の曲げを他の手段と一緒に設けて柔軟性を改善してもよく、例えば刃物に溝を設ける、すなわち上記のように刃物または刃物の特定の部分を片持ち支持にしてもよい。
【0043】
図1〜11を参照して述べた切断装置では、85°の角度β(図8参照)が付けられた曲線状切断を確実に行うことができる。しかし一部の例では、角度βをもっと小さな値にして、最終的なウェブ片をさらに容易に巻くことができるようにすることが望ましい場合がある。しかし、角度βが小さくなり過ぎると、現実には刃物と刃物の間にずれが生じ、刃物が望ましい切断の範囲全体にわたって接触しないことがわかっている。この問題を説明するために、図12に、角度βが80°の場合の一例示的な小刀とそれと対となる小刀の形状の概略図が示されている。第1の切れ刃の外側部分の、中央に配置された第1の部分に対する最終的な傾斜角αは、図1〜11を参照して述べた角度5°に対して10°である。図13には、第1の回転式担体が第1の切れ刃の切断を始める点Yと切断を完了する点Xの間で成す角移動量が説明されている。この角移動量は、5°の場合に必要な角移動量より極めて大きく、角度βが小さいほど問題は大きくなる。この角度が小さくなり過ぎると、刃物が望ましい切断の範囲全体にわたって接触しないことがわかる。
【0044】
この問題を解決する一つの方法は、曲線形状を有する第1の回転式担体を設けて、刃物が切断範囲全体にわたって確実に接触するようにすることである。
【0045】
別の一つの解決法は、刃物の一部を持ち上げて刃物の平面から遠ざけ、刃物が切断の範囲全体にわたって接触するようにすることである。図14には、この方法で、小さな値のβ、例えば80°の場合に小刀とそれと対となる小刀が確実に最適に接触するように改良した一例示的な刃部材488が説明されている。図14の刃部材488は切断装置14、214に類似の切断装置用の小刀の半分を形成する。2つの刃部材488で形成された第2の切れ刃は中央に配置された第1の部分492を備え、各刃部材で第1の部分の半分を画定することになる。第2の切れ刃は、先の実施例のように第2の部分および第3の部分をさらに備えることになる(第2の部分494は図14でわかる)。第2の部分および第3の部分は第1の部分492のそれぞれの外側端から外向きに延びている。第2の切れ刃は第4の部分および第5の部分で完成する。第4の部分および第5の部分はそれぞれ第2の部分および第3の部分から切れ刃の最外端まで延びて、第2の切れ刃が完成する。第4の部分495は図14でわかる。
【0046】
図示のように、刃部材488の第2の部分494は第1の部分492に対して角度θで傾斜している。第4の部分495は部分494に対して角度φで傾斜している。図14の図示のように、角度θは角度φよりも大きい。同様に、第3の部分は第1の部分に対して角度θで傾斜しており、第5の部分は第3の部分に対して角度φで傾斜している。
【0047】
上記のように、図14の刃部材488は1つの小刀の半分を形成し、「左側」刃部材と考えることができる。小刀の他方の半分は、対応する「右側」刃部材で形成される。これら刃部材は2つで第2の切れ刃を画定する。複数の実施形態では、対応する対となる第1の切れ刃にも上記のような対応する第1の部分、第2の部分、第3の部分、第4の部分、および第5の部分を設けてよい。
【0048】
刃部材488の第4の部分495が曲がっているため、小刀およびそれと対をなす小刀の外側端は確実に噛み合い、正確に切断を行う。したがって第1の回転式担体の形状を曲線状にする必要はない。
【0049】
剪断小刀切断装置では、切断動作中、刃物には可撓性がなければならない。曲線状の切断を行うのに必要な角度を付けるために刃物に曲げを形成することによって固有の剛性が生じ、その剛性によって切断中の刃物の曲がりが邪魔される場合がある。複数の実施例で開示したように、この固有の剛性を補正する種々の手段が考えられる。例えば、刃物の形状を、空間(例えば、複数のひだ)を画定するように決めて、小刀の1つ以上の部分が片持ち支持の状態で曲がることができるようにしてもよい。あるいは、またはそれに加えて、1つ以上の刃物をそれぞれの担体に片持ち梁状に取り付け、その担体と切れ刃の間に小刀の平坦部を設けて刃物の柔軟性を改善してもよい。あるいは、またはそれに加えて、S字形の曲げまたは「耳」を設けて上記の様に柔軟性を改善してもよい。
【0050】
すなわち、小刀の構造に肉抜きまたは柔軟な構成要素を設けることによって、刃物は切断中に曲がることができ、切断角度を変えることができる。剛性が異なる領域および肉抜きを設けた刃物を形成する代わりに、またはそれに加えて、刃物を、第2の回転式担体の弾性支持構造に取り付けてもよい。例えば、刃部材を、刃部材に収まる固定ロッド、その固定棒と刃部材を貫通して第2の回転式担体に設けられたねじ穴に入るねじ、ボルトまたは同種のもので第2の回転式担体の支持面に固定することができる。取り付けにある程度の弾性を与えるために、刃部材と固定棒の間に、あるいは固定棒とねじ頭およびボルト頭の間に、弾性的に押し付けることができる部材を設けてもよい。弾性的に押圧可能な部材は圧縮ばねの形態でもよいが、その実施例に限定されない。
【0051】
刃物すなわち刃部材は種々の方法で製造することができる。例えば、適した鋼板を所望の形状に形成し、熱処理して所望の硬さにし、その後仕上げをしてもよい。代わりに、硬化処理された切れ刃、例えば炭化タングステン製の刃を比較的柔軟な鋼性本体部材に接合してもよい。別の方法は、炭化タングステンまたは他の適切な硬度の材料で焼結などの粉末技術過程を用いて製造することである。注意すべきは、ここまでの複数の刃物の記述では曲げ部を参照してきたことである。当然だが、これらの曲げ部は必ずしも曲げ加工により形成された形状を参照するとは限らず、曲げ過程または曲げ過程以外の工程で実現し得る小刀の形状を単に参照したものである。
【0052】
上記から分かるように、本発明の種々の実施形態により、剪断切断技術によって曲線状の切断が行われる。
【0053】
陳述
(本明細書のこの部分は説明の一部であって、特許請求の範囲ではない)
1.材料の連続したウェブから複数の不連続片を切断する切断装置であって、
第1の回転式担体と、
第2の回転式担体と
を備え、
上記第1の回転式担体は第1の回転軸およびこの第1の回転軸に平行に延びている幅を有し、上記幅は上記第1の回転式担体の横幅方向を画定し、上記第1の回転式担体には上記横幅方向に延びる第1の切れ刃が設けられており、
上記第2の回転式担体は第2の回転軸およびこの第2の回転軸に平行に延びている幅を有し、上記幅は上記第2の回転式担体の横幅方向を規定し、上記第2の回転式担体には上記第2の回転式担体の上記横幅方向に延びる第2の切れ刃が設けられており、
上記第1および第2の切れ刃は、上記第1および第2の回転式担体の回転中に協働して、上記第1と第2の回転式担体の間に送られる上記連続したウェブを切断し、この切断は上記ウェブの縦軸を横断し、上記第1および第2の切れ刃はそれぞれ傾斜部分を備え、それによって上記切断部は少なくとも第1の部分および第1の部分に対して傾斜した第2の部分を含む、
切断装置。
2.上記第1および第2の切れ刃の上記傾斜部分は、上記第1および第2の回転式担体のそれぞれの回転軸に平行に延びる第1の部分、および上記回転軸に対して傾斜した外側部分を備える、陳述1に記載の切断装置。
3.上記第1および第2の切れ刃はそれぞれ2つの上記外側部分を備え、上記第1の部分は上記外側部分の中間に配置されている、陳述2に記載の切断装置。
4.上記第1および第2の回転式担体が回転すると、上記第1および第2の切れ刃は上記切断を上記第1の部分で開始し、上記外側部分に沿って外向きに剪断するように構成されている、陳述3に記載の切断装置。
5.上記第1および第2の切れ刃はこれらの切れ刃のそれぞれの中心線周りに対称である、陳述1〜4のいずれか1つに記載の切断装置。
6.上記第1の回転式担体には上記第1の切れ刃の上流に隣接して凹みが設けられており、上記第1および第2の切れ刃が協働して上記連続ウェブを切断するときに上記第2の切れ刃を受けるように構成されている、陳述1〜5のいずれか1つに記載の切断装置。
7.上記第1の回転式担体は円筒形部材を備え、上記第1の切れ刃は上記円筒形部材に固定された長尺部材の後端で画定され、上記凹みは上記後端と上記後端に隣接して配置された第2の前記長尺部材の前端の間に画定されている、陳述6に記載の切断装置。
8.上記第2の回転式担体は円筒形部材を備え、上記第2の切れ刃は、上記円筒形部材の半径方向外向きに配置されるように上記円筒形部材に固定された小刀で画定されている、陳述1〜7のいずれか1つに記載の切断装置。
9.上記小刀は、上記第2の切れ刃を規定するように隣り合わせに配置された複数の刃部材で構成されている、陳述8に記載の切断装置。
10.上記小刀は上記第2の切れ刃の上記複数の傾斜部分にそれぞれ支持部を有し、上記支持部は異なる剛性を有し、それによって、上記第2の切れ刃が上記第1の切れ刃と協働して上記連続したウェブを切断するときに、相対的に剛性が高い支持部で支持された上記第2の切れ刃の部分は、相対的に柔軟な支持部で支持された上記第2の切れ刃の部分よりも撓まない、陳述8または9に記載の切断装置。
11.上記相対的に柔軟な支持部で支持された上記第2の切れ刃の上記部分は平面に配置されており、上記相対的に剛性が高い支持部は少なくとも1つの曲げを備え、それによって、上記相対的に剛性が高い支持部で支持された第2の切れ刃の上記部分は上記平面から反れて配置されている、陳述10に記載の切断装置。
12.上記小刀の刃は本体部を備え、上記第2の切れ刃の上記傾斜部分を画定している上記小刀の刃の第2の部分は、部分的に上記本体部から切り込みによって分離されており、それによって上記第2の部分は上記本体部から片持ち支持されている、陳述8または9に記載の切断装置。
13.上記本体部は平面に配置されており、上記第2の部分は上記平面に対して傾斜している、陳述12に記載の切断装置。
14.上記第1の切れ刃は凹状に研がれているため、上記第1の回転式担体が回転しているとき、上記第1の切れ刃の中央に配置された部分は、上記第1の切れ刃の外端部の周速度より遅い周速度を有する。陳述1〜13のいずれか1つに記載の切断装置。
15.材料の連続したウェブから複数の不連続片を切断する切断装置であって、
第1の回転軸を有し、第1の長さを有しその長さに沿って曲線状の第1の切れ刃が設けられている第1の回転式担体と、
上記第1の回転軸から離れそれと平行に配置された第2の回転軸を有し、第2の長さを有しこの第2の長さに沿って曲線状に設けられた第2の切れ刃を有する第2の回転式担体を備え、
上記第1および第2の切れ刃は上記第1および第2の回転式担体の回転中に協働して、上記第1の回転式担体と上記第2の回転式担体の間に送られる上記連続したウェブを切断して曲線状の切断を行い、それによって上記ウェブの前端から上記不連続片を切り離し、上記第1および第2の切れ刃は上記第1および第2の切れ刃のそれぞれの中心線周りに対称である、切断装置。
16.上記第2の切れ刃は隣り合わせに接して配置された2つの刃部材を備える小刀で画定されており、上記第2の切れ刃の上記中心線は上記隣り合わせに接している部分に沿って延びている、陳述15に記載の切断装置。
17.上記第1および第2の切れ刃は、上記曲線状の切断が上記第1の切れ刃の中央に配置された部分から開始され、同時に上記中央に配置された部分から外向きに上記第1の切れ刃に沿って上記第1の切れ刃の両外端まで進むように構成されている、陳述15または16に記載の切断装置。
18.紙巻きタバコチッピング紙のウェブから複数の不連続片を切断する方法であって、
紙巻きタバコチッピング紙の上記ウェブを、複数の曲線状の切れ刃を相補的に担持している2つの回転式担体の間に送ることと、
上記回転式担体を回転させ、上記複数の曲線状の切れ刃の相対移動によって上記複数の曲線状の切れ刃が上記ウェブを剪断し、上記ウェブの曲線状の前端および上記ウェブから切断された上記不連続片の曲線状の後端を画定するようにする、
方法。
19.上記相補的な切れ刃に、上記ウェブの剪断を上記ウェブの縦軸に少なくとも隣接する位置で開始させ、同時に上記縦軸から外方向へ、上記ウェブの縦方向に延びている両端まで剪断させることを含む、陳述18に記載の方法。
20.上記曲線状の前端は上記縦軸周りに対称である、陳述19に記載の方法。
21.上記曲線状の前端は底が平坦なV字形状を有する、陳述18〜20のいずれか1つに記載の方法。
22.材料の連続したウェブから不連続片を切り出す方法であって、
上記ウェブを2つの曲線状の切れ刃の間に送ることと、
上記曲線状の切れ刃が材料の上記連続ウェブを剪断するように上記曲線状の切れ刃を相対移動させ、上記切れ刃はそれぞれの中心を有し、その中心周りに対称である、
方法。
23.紙巻きタバコ製造機械内で材料の連続したウェブから複数の不連続片を切断するための切断装置であって、
曲線状の切断を行うように構成された切れ刃が設けられた可動式の第1の部材と、
上記第1の部材と協働可能な第2の部材とを備え、材料の上記ウェブが上記第1の部材と上記第2の部材の間に送られるときに、上記ウェブの縦軸を横断して延びる上記曲線状の切断が連続的に行われて、上記ウェブの前端から上記複数の不連続片をそれぞれ分離するようになっている、
切断装置。
【0054】
当業者には多数の改変形態および変更形態が明らかであり、それらは以下の特許請求の範囲に入る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14