(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1補正部は、前記並進ぶれの補正前の第1画像信号によって表される原画像の一部を切り出すことで、前記並進ぶれの補正後の第1画像信号の画像である切り出し原画像を生成し、前記切り出し原画像を生成する際、前記並進ぶれの検出結果に基づいて前記原画像上における前記切り出し原画像の切り出し位置を設定するとともに、前記回転ぶれの検出結果に応じて前記切り出し原画像の画像サイズを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の概略的な外観を、撮像装置1の被写体SUBと共に示した図である。
図1では、被写体SUBの例として1人の人物を示しているが、被写体SUBは1以上の任意の被写体から成る。本実施形態では、説明の便宜上、被写体SUBは実空間上で静止しているものとする。
図2は、撮像装置1の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、符号10〜17及び21〜29によって参照される各部位を備える。撮像装置1は、動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラ又は静止画像及び動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラである。一点鎖線AX
OPTは、撮像装置1及び光学系10の光軸を表す。
【0018】
撮像素子11を用いて得られた撮像装置1の撮影画像は動画像として表示部14に表示され、撮影者は、表示部14の表示内容を確認しながら各種の撮影操作を行うことができる。撮影者が撮像装置1の筐体を手で把持して撮影操作を行う場合などにおいては、動画像の撮影中に撮像装置1がぶれ、結果、撮影によって得られた動画像にぶれが発生することがある。このようなぶれは、一般に手ぶれとも呼ばれる。撮像装置1のぶれは撮影装置1の動きと同義である。
図3(a)には、撮像素子11の出力信号に基づく二次元画像300が示されている。二次元画像300の画像信号には、被写体SUBの画像信号が含まれている。二次元画像300は、例えば、後述のRAW画像I
310(
図2及び
図4参照)の一種であると考えることができる。X軸及びY軸は、夫々、二次元画像300の水平及び垂直方向に平行な軸である。また、
図3(b)に示す如く、X軸及びY軸の夫々に直交する軸(即ち二次元画像300が定義される平面に直交する軸)をZ軸と呼ぶ。
【0019】
撮像装置1のぶれには、水平方向のぶれであるヨー方向のぶれ、垂直方向のぶれであるピッチ方向のぶれ、及び、回転方向のぶれであるロール方向のぶれが含まれる。ヨー方向及びピッチ方向のぶれによって、夫々、被写体SUBは画像300上をX軸及びY軸方向に沿って平行移動する。従って、ヨー方向のぶれ及びロール方向のぶれから形成されるぶれを並進ぶれと呼ぶことができる。ロール方向のぶれによって、被写体SUBは画像300上で回転する。従って、ロール方向のぶれを回転ぶれと呼ぶことができる。撮像装置1のぶれには、更に、距離方向のぶれが含まれる。距離方向のぶれとは、被写体SUBの被写体距離を増大又は減少させるぶれを指す。被写体SUBの被写体距離とは、実空間上における撮像装置1及び被写体SUB間の距離を指す。距離方向のぶれによって、画像300上における被写体SUBの大きさは増大又は減少する。従って、距離方向のぶれを増減ぶれと呼ぶことができる。但し、以下では、距離方向のぶれをZ軸ぶれと呼ぶ。
【0020】
撮像装置1は、電子式ぶれ補正によって、撮像素子11の出力信号に含まれる並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれを補正する。この際、
図4に示す如く、まずRAW信号の段階で並進ぶれを補正してから(RAW画像I
310からRAW画像I
320を切り出してから)、RAW信号をYUV信号に変換し(RAW画像I
320をYUV画像I
330に変換し)、その後、YUV信号の段階で回転ぶれ及びZ軸ぶれを補正する(YUV画像I
330からYUV画像I
340)を生成する。
図4に示される内容については後に詳細に説明する。以下、このような電子式ぶれ補正を実現する構成例である、
図2の構成について詳細に説明する。
【0021】
光学系10は、複数のレンズ及び絞り等から成り、被写体SUBの光学像を撮像素子11上に結像させる。撮像素子11は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等から成る固体撮像素子である。撮像素子11は、レンズ部10を介して入射した被写体に応じた光学像を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号を出力する。
【0022】
メモリ13は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等にて形成され、撮像装置1内で生成された各種信号を一時的に記録する。例えば、DDR SDRAM (Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)にてメモリ13を形成可能である。表示部14は、液晶ディスプレイパネル等から成り、主制御部17の制御の下で、撮像素子11を用いた撮影画像又は記録媒体15に記録された画像などを表示する。記録媒体15は、カード状半導体メモリや磁気ディスク等から成る不揮発性メモリであり、主制御部17による制御の下、任意の信号及びデータを記録する。操作部16は、撮像装置1のユーザ(操作者)からの各種操作を受け付け、操作内容を主制御部17に伝達する。主制御部17は、CPU(Central Processing Unit)等から成り、操作部16に対する操作内容等に従って、撮像装置1内の各部位の動作を統括的に制御する。
【0023】
前置信号処理部21は、撮像素子11から出力される、被写体SUBに応じた信号に対して必要な信号処理(例えば、相関二重サンプリング、自動ゲイン調整及びA/D変換)を施し、該信号処理後の信号をRAW信号として出力する。
【0024】
撮像素子11の出力信号は、撮像素子11の撮像面に設けられた複数の受光画素の出力信号から形成される。撮像素子11の撮像面と光学系10との間には、赤の光だけを透過させるカラーフィルタ、緑の光だけを透過させるカラーフィルタ及び青の光だけを透過させるカラーフィルタが、所謂ベイヤ配列に従って配置されている。結果、撮像素子11から出力される1つの画素(1つの受光画素)についての信号は、赤の色情報、緑の色情報及び青の色情報の何れか1つのみを有する。RAW信号についても同様である。即ち、撮像素子11の出力信号及びRAW信号は、各画素に対して1つの色情報のみが割り当てられた画像信号の一種であり、その画像信号を原信号(第1画像信号)と呼ぶこともできると共に原信号によって表される画像を原画像と呼ぶこともできる。尚、上記カラーフィルタは、ベイヤ配列以外の配列方式に従って配列されても良い。
【0025】
RAW信号によって表される二次元画像をRAW画像という。前置信号処理部21から出力されるRAW信号を符号310にて参照し、RAW信号310によって表されるRAW画像を符号I
310にて参照する(
図4も参照)。撮像装置1は、撮像素子11を用いて所定のフレーム周期で順次撮影を行うことで動画像MIを生成することができる。
図5(a)に示す如く、動画像MIは、時系列上に並ぶ複数のフレーム画像FI[1]〜FI[n]から形成される(nは2以上の整数)。時系列上に並ぶ複数のRAW画像I
310をフレーム画像FI[1]〜FI[n]として持つ動画像MIを動画像MI
310と呼ぶ(
図5(b)参照)。時系列上に並ぶ複数のRAW画像I
310は、互いに異なる時刻での撮影によって得られた複数のRAW画像I
310である(後述の複数のRAW画像I
320、I
330及びI
340についても同様)
【0026】
並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれは撮像装置1に作用する考えることもできるし、撮像装置1のぶれによって動画像MIにぶれが発生するのであるから、撮像装置1のぶれによって、撮像素子11の出力信号に、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれが混入すると考えることもできる。今、撮像素子11の出力信号に、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれが含まれている場合を考える。ぶれについて考える場合、撮像素子11の出力信号もRAW信号310も等価である。従って、RAW信号310(即ちRAW画像I
310)にも、それらの並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれがそのまま残存している。RAW信号310に含まれる並進ぶれは動画像MI
310上で被写体SUBを平行移動させ、RAW信号310に含まれる回転ぶれは動画像MI
310上で被写体SUBを回転させ、RAW信号310に含まれるZ軸ぶれは動画像MI
310上で被写体SUBの大きさを増大又は減少させる。
【0027】
動き検出部12は、撮像素子11の出力信号に基づき、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれを検出し、それらの検出結果を含んだ動き検出情報を生成する。動き検出部12は、撮像素子11の出力信号に所定の信号処理を施して得られる信号に基づき、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれの検出を行っても良い。それらの検出方法は公知であるので、詳細な説明を割愛する。例えば、代表点マッチング法を用いて導出したフレーム画像間のオプティカルフローを用いて、それらの検出を行うことができる。また、動き検出部12の代わりに、
図6に示す如く、撮像装置1の動きを検出する動きセンサ(角加速度センサ、加速度センサなど)、即ち、撮像装置1に作用した並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれを検出する動き検出センサ12Aを撮像装置1に設けておき、動き検出センサ12Aの検出結果を用いて動き検出情報を生成するようにしても良い。また、動き検出部12と動き検出センサ12Aを併用して動き検出情報を生成するようにしても良い。例えば、動き検出部12にて並進ぶれを検出し、動き検出センサ12Aにて回転ぶれ及びZ軸ぶれを検出するといったことも可能である。
【0028】
動き検出情報は、
図7に示す如く、XY軸動き情報、回転動き情報及びZ軸動き情報を含む。XY軸動き情報は、時間的に隣接する2枚のフレーム画像FI[i]及びFI[i+1]間(例えば、2枚のRAW画像I
310間)における被写体SUBの位置の偏移ベクトル(位置の偏移の平行移動成分)VECを表す(
図8(a)参照;iは整数)。偏移ベクトルVECはX軸成分及びY軸成分から成る。回転動き情報は、時間的に隣接する2枚のフレーム画像FI[i]及びFI[i+1]間(例えば、2枚のRAW画像I
310間)における被写体SUBの回転の角度θを表す(
図8(b)参照)。Z軸動き情報は、時間的に隣接する2枚のフレーム画像FI[i]及びFI[i+1]間(例えば、2枚のRAW画像I
310間)における被写体SUBの大きさの変化量C
SIZEを表す(
図8(c)参照)。XY軸動き情報に示される被写体SUBの位置の偏移、回転動き情報に示される被写体SUBの回転、Z軸動き情報に示される被写体SUBの大きさの変化は、夫々、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれによってもたらされたものである。
【0029】
図2のライトバッファ回路22は、前置信号処理部21から送られてくるRAW信号310(即ちRAW画像I
310の画像信号)をメモリ13に書き込む。リードバッファ回路23は、ライトバッファ回路22によってメモリ13に書き込まれたRAW信号を読み出し、読み出したRAW信号を後置信号処理部24に出力する。ここで、リードバッファ回路23は、動き検出情報に基づき、メモリ13に書き込まれたRAW信号310の一部のみを読み出し、RAW信号310の一部をRAW信号320として出力する。RAW信号320によって表されるRAW画像を符号I
320にて参照する(
図4も参照)。また、時系列上に並ぶ複数のRAW画像I
320をフレーム画像FI[1]〜FI[n]として持つ動画像MIを動画像MI
320と呼ぶ(
図5(c)参照)。
【0030】
リードバッファ回路23は、XY軸動き情報に基づき、動画像MI
310上における被写体SUBの平行移動(並進ぶれに起因するX軸及びY軸方向への移動)が動画像MI
320上で打ち消されるように、即ちRAW信号320及びRAW画像I
320に並進ぶれが含まれなくなるように、RAW信号310の一部をRAW信号320として切り出す切り出し処理(並進ぶれ補正処理)を実現している。RAW信号310の一部をRAW信号320として切り出すことと、RAW画像I
310の一部をRAW画像I
320として切り出すことは同義である。実際には、リードバッファ回路23は、XY軸動き情報によって示される現フレーム画像についての遷移ベクトルVEC(
図8(a))に基づき、メモリ13上の読み出し開始アドレスを調整することでRAW信号320を得る。RAW信号320では並進ぶれが除去されているため、RAW信号320は並進ぶれの補正後のRAW信号(並進ぶれの補正後の原信号)であると言える。
【0031】
図4の位置410は、RAW画像I
310上におけるRAW画像I
320の中心位置を表している。リードバッファ回路23による読み出し開始アドレスの変更によって、RAW画像I
320の中心位置410も変更されるため、リードバッファ回路23は、XY軸動き情報に基づき、RAW画像I
310(原画像)からRAW画像I
320(切り出し原画像)を切り出す際の切り出し位置(410)を設定していると言える。
【0032】
後置信号処理部24は、公知のデモザイキング処理を用いて、RAW信号320を、輝度信号Y並びに色差信号U及びVから成るYUV信号330に変換する。後置信号処理部24は、この変換の過程において、必要な他の信号処理(輪郭強調処理やノイズ低減処理)を行うこともできる。YUV信号によって表される画像をYUV画像と呼び、YUV信号330によって表されるYUV画像を符号I
330にて参照する(
図4も参照)。また、時系列上に並ぶ複数のYUV画像I
330をフレーム画像FI[1]〜FI[n]として持つ動画像MIを動画像MI
330と呼ぶ(
図5(d)参照)。YUV信号は、各画素に対して複数の色情報が割り当てられた画像信号の一種である。従って、RAW画像の各画素には赤、緑及び青の色情報の内の何れか1つのみが割り当てられるのに対し、YUV画像の各画素には複数の色情報が割り当てられる。即ち、YUV画像において、1つ1つの画素の画像信号は輝度信号Yと2つの色差信号U及びVから成り、輝度信号Yと2つの色差信号U及びVは赤、緑及び青の色情報を内包する。
【0033】
YUV信号330は、ライトバッファ回路25を用いてメモリ13に書き込まれる。その後、リードバッファ回路26を用いてメモリ13から読み出されたYUV信号330は、Z軸/回転補正部27(以下、回転補正部27という)に送られる。回転補正部27は、YUV信号330に対して回転ぶれ補正処理及びZ軸ぶれ補正処理を施すことで、回転ぶれ及びZ軸ぶれが除去されたYUV信号であるYUV信号340を生成する。YUV信号340によって表されるYUV画像を符号I
340にて参照する(
図4も参照)。また、時系列上に並ぶ複数のYUV画像I
340をフレーム画像FI[1]〜FI[n]として持つ動画像MIを動画像MI
340と呼ぶ(
図5(e)参照)。ライトバッファ回路28は、YUV信号340をメモリ13に書き込むことができる。また、動画像MI
340は表示部14にて表示されると共に、動画像エンコーダ29にて動画像MI
340の画像信号(即ちYUV信号340)に所定のエンコード処理が施されてストリームデータが生成され、該ストリームデータが記録媒体15に記録される。
【0034】
リードバッファ回路23による読み出し開始アドレスの調整により、RAW信号320では並進ぶれが除去され、結果、YUV信号330にも並進ぶれが存在していないが、以前として、YUV信号330には回転ぶれ及びZ軸ぶれが残存している。回転補正部27は、回転動き情報に基づき、動画像MI
330上における被写体SUBの回転が動画像MI
340上で打ち消されるように、即ちYUV信号340及びRAW画像I
340に回転ぶれが含まれなくなるように、回転ぶれ補正処理を実行する。上述したように、本実施形態では、被写体SUBが実空間上で静止していることを想定しているため、動画像MI
330上における被写体SUBの回転は、回転ぶれに起因する回転である。実際には、回転ぶれ補正処理において、回転補正部27は、回転動き情報によって示される現フレーム画像についての回転角度θ(
図8(b))に基づき、YUV画像I
330に対して角度θの傾きを持った切り出し枠420を設定し(
図4参照)、YUV画像I
330における切り出し枠420内の画像を角度(−θ)だけ回転させるアフィン変換を含む幾何学的変換を実行することでYUV画像I
340を生成する。YUV画像I
340の画像サイズを一定に保つべく、この幾何学的変換には、切り出し枠420の大きさに応じた解像度変換処理(画像サイズの拡大処理又は縮小処理)が含まれうる。
【0035】
また、回転補正部27は、Z軸動き情報に基づき、動画像MI
330上における被写体SUBの大きさの増大又は減少が動画像MI
340上で打ち消されるように、即ちYUV信号340及びRAW画像I
340にZ軸ぶれが含まれなくなるように、Z軸ぶれ補正処理を実行する。上述したように、本実施形態では、被写体SUBが実空間上で静止していることを想定しているため、動画像MI
330上における被写体SUBの大きさの変化は、Z軸ぶれに起因する変化である。具体的には、回転補正部27は、Z軸動き情報によって示される現フレーム画像についての変化量C
SIZE(
図8(c))に基づき、切り出し枠420の大きさを変更することにより上記Z軸ぶれ補正処理を実現する。この際、回転補正部27は、YUV画像I
340の画像サイズが常に一定に維持されるように、切り出し枠420の画像に対し、切り出し枠420の大きさに応じた解像度変換処理(画像サイズの拡大処理又は縮小処理)を実行する。実際には、この解像度変換処理を、回転ぶれ補正処理における上記幾何学的変換に組み込んでおくことができる。このような回転ぶれ補正処理及びZ軸ぶれ補正処理により、YUV信号340は、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ぶれが補正された(除去された)画像信号となる。
【0036】
また、電子式ぶれ補正では、最終的なぶれ補正画像(本実施形態においてYUV画像I
340)の画角を一定に保つことが望ましい。一方、撮像素子11の出力信号に回転ぶれが含まれている場合には、回転ぶれ補正処理において、回転角度θに応じYUV画像I
330の一部のみが切り出されてYUV画像I
340として取り出される。YUV画像I
330の画角が一定であるという条件下において、回転角度θの絶対値が増大すればするほどYUV画像I
340の画角は減少する。故に、最終的なぶれ補正画像の画角を一定に保つべく、リードバッファ回路23は、RAW画像I
320(切り出し原画像)を生成する際、回転動き情報に基づきRAW画像I
320の画像サイズを最適に設定及び変更すると良い。この設定及び変更により、例えば、RAW画像I
320の画像サイズは、回転角度θがゼロのとき最小となり、回転角度θの絶対値がゼロより増大するにつれて増大する。
【0037】
更に、撮像素子11の出力信号にZ軸ぶれが含まれている場合には、撮像素子11の出力信号にZ軸ぶれが含まれていない場合を基準として、切り出し枠420の大きさの変更が必要になる。故に、最終的なぶれ補正画像の画角を一定に保つべく、リードバッファ回路23は、RAW画像I
320(切り出し原画像)を生成する際、回転動き情報及びZ軸動き情報に基づきRAW画像I
320の画像サイズを設定及び変更すると良い。リードバッファ回路23は、YUV画像I
340の画角が常に一定に保たれるという条件を満たした上で、RAW画像I
320の画像サイズが最小化されるように、回転動き情報及びZ軸動き情報に基づきRAW画像I
320の画像サイズを設定及び変更すると良い。
図4の四角枠420’は、この設定の際に想定される、切り出し枠420に対応する枠である。
【0038】
上述の如く、本実施形態では、RAW信号の段階で並進ぶれを補正してからRAW信号をYUV信号に変換し、その後、回転ぶれ及びZ軸ぶれを補正する。並進ぶれの補正を介して信号量を低減させてからYUV信号への変換を行うため、YUV信号を扱う信号処理ブロック(後置信号処理部24を含む)での処理負荷を低く抑えることができる。これは、要求される処理速度の低減及び消費電力の低減に繋がる。
【0039】
撮像装置1には、並進ぶれ、回転ぶれ及びZ軸ずれを検出するぶれ検出部と、ぶれ検出部の検出結果に基づき並進ぶれ補正処理、回転ぶれ補正処理及びZ軸ぶれ補正処理を実行するぶれ補正部(ぶれ補正装置)と、が備えられていると考えることができる。撮像装置1に設けられた画像処理装置は、ぶれ補正部を構成要素として含み、更にぶれ検出部も構成要素として含みうる。
図2の動き検出部12及び
図6の動き検出センサ12Aは、ぶれ検出部の一種である。ぶれ補正部は、符号23〜28によって参照される各部位を備え、前置信号処理部21及びライトバッファ回路22を更に備えうる。画像処理装置は、符号21〜28によって参照される各部位を備え、更に動き検出部12及び動画像エンコーダ29を含みうる。画像処理装置を集積回路にて形成することができ、メモリ13を該集積回路にとっての外部メモリと捉えることもできる。
【0040】
ぶれ補正部は、ぶれ検出部の検出結果(動き検出情報)に基づきRAW信号310(RAW画像I
310)の一部を切り出すことで並進ぶれを補正する第1補正部と、並進ぶれの補正後のRAW信号であるRAW信号320をYUV信号330に変換する信号変換部と、回転ぶれの検出結果に基づく上記回転ぶれ補正処理を成すことで並進ぶれ及び回転ぶれが補正されたYUV信号340を生成する第2補正部と、を備えていると言える。第2補正部にて、更に上記のZ軸ぶれ補正処理を成すこともできる。
図2の構成では、リードバッファ回路23、後置信号処理部24及び回転補正部27が、夫々、第1補正部、信号変換部及び第2補正部の機能を担う。第1補正部による切り出しを経てからYUV信号への変換を行うようにすることで、YUV信号を扱う信号処理ブロック(後置信号処理部24を含む)での処理負荷を低く抑えることができる。
【0041】
また、第1補正部では、回転ぶれの検出結果に応じて、並進ぶれ補正前のRAW画像(RAW画像I
310)から切り出されるべきRAW画像(RAW画像I
320)の画像サイズを設定及び変更することができ、その設定及び変更を、回転ぶれ及びZ軸ぶれの検出結果に応じて成すこともできる。これにより、並進ぶれ補正処理によって切り出されたRAW画像(RAW画像I
320)の画像サイズを比較的小さな画像サイズ(望ましくは必要最小限の画像サイズ)に抑えることができ、結果、YUV信号を扱う信号処理ブロック(後置信号処理部24を含む)での処理負荷を低く抑えることができる。
【0042】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈5を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0043】
[注釈1]
撮像装置1にて所謂電子ズームが可能であっても良い。電子ズームを行う場合、電子ズームに必要な信号処理を、後置信号処理部24における信号処理と同時に行うようにしても良いし、Z軸ぶれ補正処理と同時に行うようにしても良い。
【0044】
[注釈2]
上述の実施形態では、並進ぶれ及び回転ぶれの補正に加えてZ軸ぶれの補正も行っているが、Z軸ぶれの検出及びZ軸ぶれの補正を割愛することも可能である。
【0045】
[注釈3]
上述の実施形態では、各画素に複数の色情報が割り当てられた画像信号の例としてYUV信号を挙げているが、各画素に複数の色情報が割り当てられた画像信号は、YUV信号以外の画像信号であっても良い。
【0046】
[注釈4]
図2には示されていないが、撮像装置1の周辺音を表す音響信号を生成するマイク及び音響信号処理部が撮像装置1に設けられていても良く、該音響信号のデータを動画像のデータと共に記録媒体15に記録するようにしても良い。
【0047】
[注釈5]
撮像装置1は、任意の機器(携帯電話機などの携帯端末)に搭載されるものであっても良い。