(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976337
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】焼却設備及び焼却設備の制御方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
F23G5/50 CZAB
F23G5/50 G
F23G5/50 P
F23G5/50 Q
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-41721(P2012-41721)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-178008(P2013-178008A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】滑澤 幸司
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 匡之
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−170736(JP,A)
【文献】
特開2000−205540(JP,A)
【文献】
特開平10−332121(JP,A)
【文献】
特開平06−272843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物が一時的に貯留され、該被焼却物を連続的にフィードテーブル上に供給するためのホッパと、
前記被焼却物を燃焼させる焼却炉と、
前記フィードテーブル上を所定のストロークで進退移動し、前記フィードテーブルから前記被焼却物を押し出して前記焼却炉内のストーカ上に投入するフィーダと、
前記ホッパ内の前記被焼却物の高さレベルを検出する被焼却物高さ検出手段と、
前記焼却炉の炉内圧を検出する炉内圧検出手段と、
前記被焼却物高さ検出手段と前記炉内圧検出手段の各検出結果に基づいて、前記フィーダの動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記フィーダが予め設定した回数動作した後の前記被焼却物高さ検出手段の検出結果に基づいて求められた高さレベルの変動割合が予め設定した高さレベルの変動割合設定値を下回ったときに、前記ストロークを増加させるように前記フィーダの動作を制御し、
前記炉内圧検出手段の検出結果が予め設定した炉内圧の設定値を上回ったときに、前記ストロークを減少させるように前記フィーダの動作を制御するように構成されていることを特徴とする焼却設備。
【請求項2】
請求項1記載の焼却設備において、
前記ストーカの下方から一次空気を供給するための風箱の内部圧力を検出する風箱内圧検出手段を備え、
前記制御手段が、前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の上限値を上回ったときに、ストーカ速度を増加させるように前記ストーカの動作を制御し、
前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の下限値を下回ったときに、ストーカ速度を減少させるように前記ストーカの動作を制御するように構成されていることを特徴とする焼却設備。
【請求項3】
被焼却物が一時的に貯留され、該被焼却物を連続的にフィードテーブル上に供給するためのホッパと、
前記被焼却物を燃焼させる焼却炉と、
前記フィードテーブル上を所定のストロークで進退移動し、前記フィードテーブルから前記被焼却物を押し出して前記焼却炉内のストーカ上に投入するフィーダと、
前記ホッパ内の前記被焼却物の高さレベルを検出する被焼却物高さ検出手段と、
前記焼却炉の炉内圧を検出する炉内圧検出手段とを備えてなる焼却設備を制御する方法であって、
前記フィーダが予め設定した回数動作した後の前記被焼却物高さ検出手段の検出結果に基づいて求められた高さレベルの変動割合が予め設定した変動割合設定値を下回ったときに、前記ストロークを増加させるように前記フィーダの動作を制御し、
前記炉内圧検出手段の検出結果が予め設定した炉内圧の設定値を上回ったときに、前記ストロークを減少させるように前記フィーダの動作を制御することを特徴とする焼却設備の制御方法。
【請求項4】
請求項3記載の焼却設備の制御方法において、
前記焼却設備が前記ストーカの下方から一次空気を供給するための風箱の内部圧力を検出する風箱内圧検出手段を備え、
前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の上限値を上回ったときに、ストーカ速度を増加させるように前記ストーカの動作を制御し、
前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の下限値を下回ったときに、ストーカ速度を減少させるように前記ストーカの動作を制御することを特徴とする焼却設備の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却設備及び焼却設備の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば都市ごみなどの被焼却物を焼却処理するためのストーカ式の焼却設備は、被焼却物を一時的に貯留するホッパと、ホッパからシュート部を通じて連続的にフィードテーブル上に供給された被焼却物を所定のストロークで進退移動して焼却炉内に押し出し投入するフィーダと、焼却炉の底部側に、金属製の固定火格子とごみの流れ方向に往復運動する可動火格子を交互に配置してなるストーカと、ストーカの下方に設けられ、ストーカの各部に一次空気を供給するための風箱とを備えて構成されている。
【0003】
また、この種の焼却設備においては、焼却炉内のストーカが、フィーダによって押し出されて焼却炉内に落下した被焼却物を受け、被焼却物の水分を蒸発させるとともに一部熱分解するための乾燥ストーカ部と、下方の風箱から供給される一次空気によって、乾燥ストーカ部で乾燥した被焼却物に着火させ、揮発分および固定炭素分を燃焼させる燃焼ストーカ部と、燃焼ストーカ部で燃焼されずに通過してきた固定炭素分等の未燃分を完全に灰になるまで燃焼させる後燃焼ストーカ部とを備えている。また、後燃焼ストーカ部の出口に灰出し口が設けられ、この灰出し口を通じて焼却炉から灰を排出する。
【0004】
また、焼却炉には、ストーカの上方に一次燃焼室が設けられ、一次燃焼室のさらに上方に二次燃焼室が設けられている。そして、一次燃焼室で生じた燃焼ガスが、二次空気と混合されて二次燃焼室に送られ、この二次燃焼室で燃焼ガス中の未燃成分を燃焼させる。また、二次燃焼室の後流に熱回収ボイラが接続して配設され、焼却炉の排熱を回収して有効利用できるように構成されている。さらに、熱回収ボイラで熱回収された排ガスは、減温塔、集塵器等の排ガス処理設備を順次通過して処理され、煙突から外部に排出される。
【0005】
一方、焼却炉の排熱を熱回収ボイラによって効率的に回収し、蒸気をエネルギーとして有効利用するためには、焼却設備を安定的に操業することが必要であるが、焼却設備の焼却炉で焼却する被焼却物の質や量の変動、焼却炉に対する操作量の変動などの様々な要因によって、焼却炉の燃焼状態ひいては熱回収ボイラで生成する蒸気量が変化する。
【0006】
そして、従来、熱回収ボイラでの蒸発量に応じてフィーダの動作を制御して焼却炉への被焼却物の投入量を調整し、蒸発量を安定させるようにしている。すなわち、このフィーダの動作制御は、蒸発量の下限値を下回ったときに動作して、上限値を上回った場合に停止するようにしている。
【0007】
しかしながら、このようにフィーダの動作制御を行なうと、被焼却物の供給が過剰になることがあり、カロリーが高い場合は蒸気量が過大に上昇(結果として炉内圧も変動)するという問題があった。また、カロリーの低い被焼却物を連続投入した場合、蒸発量が低下し、被焼却物が連続投入されているにも係らず、フィーダを連続動作させるという逆応答が生じるという問題もあった。さらに、蒸発量を短時間で安定させるために、また、逆応答を防止するために空気流量を制御することも考えられるが、この場合には、炉内圧(焼却炉の内部圧力)が不安定になってしまう。
【0008】
これに対し、特許文献1では、熱回収ボイラの蒸発量の偏差値及び制限値に応じ、フィーダの動作制御、一次空気の圧力制御、二次空気の流量制御及び焼却炉の炉内圧の制御を行い、蒸発量及び炉内圧を安定させるようにしている。また、フィーダの速度制御手段の制限値は、幅を持って設定されているため、フィーダの速度制御、すなわち、被焼却物の投入量の細かい制御が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−98108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、一次空気の圧力や二次空気の流量を調整して炉内圧の変動を抑制するには限界がある。
すなわち、フィーダが前進して投入する一回の被焼却物の投入量が大きい場合やフィードテーブルからストーカの乾燥ストーカ部までの落下距離が大きい場合(落差が大きい場合やストーカ上の被焼却物の層厚が薄い場合)には、フィーダから焼却炉内への被焼却物の投入時に炉内圧の急激な変動が発生して焼却設備の安定運転に支障をきたすおそれがあるが、上記従来技術のように一次空気の圧力や二次空気の流量を調整する方法では、このような急激な炉内圧の変動を抑制することができない。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、フィーダから焼却炉内への被焼却物の投入量(供給量)を制御することによって急激な炉内圧の変動を抑制できるようにした焼却設備及び焼却設備の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の焼却設備は、被焼却物が一時的に貯留され、該被焼却物を連続的にフィードテーブル上に供給するためのホッパと、前記被焼却物を燃焼させる焼却炉と、前記フィードテーブル上を所定のストロークで進退移動し、前記フィードテーブルから前記被焼却物を押し出して前記焼却炉内のストーカ上に投入するフィーダと、前記ホッパ内の前記被焼却物の高さレベルを検出する被焼却物高さ検出手段と、前記焼却炉の炉内圧を検出する炉内圧検出手段と、前記被焼却物高さ検出手段と前記炉内圧検出手段の各検出結果に基づいて、前記フィーダの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、
前記フィーダが予め設定した回数動作した後の前記被焼却物高さ検出手段の検出結果
に基づいて求められた高さレベルの変動割合が予め設定した高さレベルの
変動割合設定値を下回ったときに、前記ストロークを増加させるように前記フィーダの動作を制御し、前記炉内圧検出手段の検出結果が予め設定した炉内圧の設定値を上回ったときに、前記ストロークを減少させるように前記フィーダの動作を制御するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の焼却設備の制御方法は、被焼却物が一時的に貯留され、該被焼却物を連続的にフィードテーブル上に供給するためのホッパと、前記被焼却物を燃焼させる焼却炉と、前記フィードテーブル上を所定のストロークで進退移動し、前記フィードテーブルから前記被焼却物を押し出して前記焼却炉内のストーカ上に投入するフィーダと、前記ホッパ内の前記被焼却物の高さレベルを検出する被焼却物高さ検出手段と、前記焼却炉の炉内圧を検出する炉内圧検出手段とを備えてなる焼却設備を制御する方法であって、
前記フィーダが予め設定した回数動作した後の前記被焼却物高さ検出手段の検出結果
に基づいて求められた高さレベルの変動割合が予め設定した
変動割合設定値を下回ったときに、前記ストロークを増加させるように前記フィーダの動作を制御し、前記炉内圧検出手段の検出結果が予め設定した炉内圧の設定値を上回ったときに、前記ストロークを減少させるように前記フィーダの動作を制御することを特徴とする。
【0014】
これらの発明においては、フィーダの1回の前進動作で焼却炉に投入する被焼却物の投入量が少なくなり過ぎないようにしつつ、フィーダのストロークを小さくしてフィーダの1回の前進動作で焼却炉に投入する被焼却物の投入量を抑えることができ、被焼却物の投入時に焼却炉の炉内圧(焼却炉の内部圧力)が急激に変動することを抑制することが可能になる。
【0015】
また、このとき、ストロークを小さくした場合であっても、ホッパ内の被焼却物の高さレベル(ホッパに貯留した被焼却物の上面高さ)を捉えることで、被焼却物の質の変化などによるフィーダの空打ち、すなわち、ストローク分前進したにも係らず、フィードテーブル上の被焼却物が圧縮されるなどして焼却炉内に投入されない状態を確認し、これを防ぐことが可能になり、連続的に安定して被焼却物を焼却炉内に投入することが可能になる。
【0016】
さらに、ストロークを小さくし、フィーダの1回の前進動作で焼却炉に投入する被焼却物の投入量を抑えることで、ストーカ上の被焼却物の厚さを所定の厚さが、厚くなり過ぎることを防止できる。これにより、焼却炉に投入した被焼却物の急激な燃焼を抑えることができ、この点からも、焼却炉の炉内圧の変動を抑制することが可能になる。
【0017】
また、本発明の焼却設備においては、前記ストーカの下方から一次空気を供給するための風箱の内部圧力を検出する風箱内圧検出手段を備え、前記制御手段が、前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の上限値を上回ったときに、ストーカ速度を増加させるように前記ストーカの動作を制御し、前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の下限値を下回ったときに、ストーカ速度を減少させるように前記ストーカの動作を制御するように構成されていることが望ましい。
【0018】
また、本発明の焼却設備の制御方法においては、前記焼却設備が前記ストーカの下方から一次空気を供給するための風箱の内部圧力を検出する風箱内圧検出手段を備え、前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の上限値を上回ったときに、ストーカ速度を増加させるように前記ストーカの動作を制御し、前記風箱内圧検出手段の検出結果が予め設定した風箱の内部圧力の下限値を下回ったときに、ストーカ速度を減少させるように前記ストーカの動作を制御することが望ましい。
【0019】
これらの発明においては、風箱の内部圧力を捉え、これに基づいてストーカ速度、すなわち、可動火格子の往復運動速度を制御することで、ストーカ上の被焼却物の層厚を平均化することができ、ストーカ上の被焼却物の厚さを所定の厚さで維持し、厚くなり過ぎたり、薄くなり過ぎることを防止できる。これにより、より確実に、焼却炉に投入した被焼却物の急激な燃焼を抑えることができ、この点からも、焼却炉の炉内圧の変動を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の焼却設備及び焼却設備の制御方法によれば、確実に急激な炉内圧の変動を抑制することができ、焼却設備を安定的に運転・操業することが可能になる。また、焼却炉の排熱を熱回収ボイラによって効率的に回収して有効利用することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る焼却設備を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る焼却設備の制御方法を示すフロー図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る焼却設備の制御方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1から
図3を参照し、本発明の一実施形態に係る焼却設備及び焼却設備の制御方法について説明する。なお、本実施形態は、都市ごみなどの被焼却物を焼却処理するための焼却設備及びこの焼却設備の制御方法に関するものである。
【0023】
本実施形態の焼却設備Aは、
図1に示すように、被焼却物1を一時的に貯留するホッパ(ホッパシュート)2と、被焼却物1を燃焼させる焼却炉3と、ホッパ2からシュート部2aを通じて連続的にフィードテーブル4上に供給された被焼却物1を所定のストロークで進退移動して焼却炉3内に押し出し投入するフィーダ5と、フィーダ5をフィードテーブル4上で進退移動させるためのフィーダ駆動装置6と、焼却炉3の底部側に、金属製の固定火格子とごみの流れ方向に往復運動する可動火格子を交互に配置してなるストーカ7と、ストーカ7の下方に設けられ、送風機8からの一次空気をストーカ7の各部に供給するための風箱9とを備えて構成されている。ここで、本実施形態において、フィーダ5の最大ストローク量は例えば400〜500mmとされている。
【0024】
また、ストーカ7は、フィーダ5によって押し出されて焼却炉3内に落下した被焼却物1を受け、この被焼却物1の水分を蒸発させるとともに一部熱分解するための乾燥ストーカ部と、下方の風箱9から供給される一次空気によって、乾燥ストーカ部で乾燥した被焼却物1に着火させ、揮発分および固定炭素分を燃焼させる燃焼ストーカ部と、燃焼ストーカ部で燃焼されずに通過してきた固定炭素分等の未燃分を完全に灰になるまで燃焼させる後燃焼ストーカ部とを備えている。また、後燃焼ストーカ部の出口に灰出し口10が設けられ、この灰出し口10を通じて焼却炉3から灰を排出するように構成されている。
【0025】
また、焼却炉3には、ストーカ7の上方に一次燃焼室と二次燃焼室からなる燃焼室11が設けられ、二次燃焼室の後流に熱回収ボイラ12が接続して配設されている。さらに、焼却炉3には、燃焼室11に二次空気を供給する送風機13が接続されている。また、熱回収ボイラ12で熱回収された排ガスは、排ガス処理設備14の減温塔、集塵器などを順次通過して処理され、煙突15から外部に排出される。また、このとき、本実施形態では、排ガス処理設備14と煙突15の間の排気経路にIDF(誘引送風機)16が設けられ、このIDF16の入口に設けられたIDF入口ダンパ17を開閉制御することによって焼却炉3の炉内圧(焼却炉3の内部圧力)が調整できるように構成されている。
【0026】
さらに、本実施形態の焼却設備Aは、ホッパ2内の被焼却物1の高さレベル(上面高さの位置)Hを検出する被焼却物高さ検出手段20と、焼却炉3の炉内圧を検出する炉内圧検出手段21と、風箱9の内部圧力を検出する風箱内圧検出手段22とを備えて構成されている。また、被焼却物高さ検出手段20と炉内圧検出手段21の各検出結果に基づいてフィーダ5の動作(フィーダ駆動装置6の駆動)を制御し、また、風箱内圧検出手段22の検出結果に基づいてストーカ7の可動火格子の往復動作(ストーカ速度)を制御する制御手段23を備えている。
【0027】
ここで、本実施形態では、炉内圧検出手段21が燃焼室11の第1燃焼室に設けられているが、この炉内圧検出手段21は、フィーダ5によって焼却炉3の内部に被焼却物1が投入落下することで炉内圧が変動する領域に設けられていればよい。また、焼却炉3の内部に複数の炉内圧検出手段21を設け、複数箇所で炉内圧を検出するようにしてもよい。
【0028】
さらに、本実施形態では、風箱内圧検出手段22がストーカ7の上流側(被焼却物1の投入口側)から2番目の風箱9の内圧を検出するように設けられているが、どの風箱9に風箱内圧検出手段22を設けるかは適宜選択すればよく、また、複数の風箱9にそれぞれ風箱内圧検出手段22を設け、複数の風箱9の内部圧力を検出するようにしてもよい。
【0029】
次に、上記構成からなる本実施形態の焼却設備Aを制御する方法について説明するとともに、本実施形態の焼却設備A及びこの焼却設備Aの作用及び効果について説明する。
【0030】
図2に示すように、本実施形態の焼却設備Aにおいては、まず、制御手段23が、被焼却物高さ検出手段20の検出結果を受け、フィーダ5が予め設定した回数動作した後のホッパ2内の被焼却物1の高さレベルHの検出結果と予め設定した高さレベルの設定値とを比較する。そして、高さレベルの検出結果が高さレベル設定値(予め設定した高さレベルの変動割合)を下回っている場合には、制御手段23がフィーダ駆動装置6を制御し、フィーダ5のストロークが増加するように制御する。すなわち、フィーダ5が前進して投入する1回の被焼却物1の投入量が多くなるように制御する。
【0031】
また、制御手段23は、炉内圧検出手段21の結果を受け、この炉内圧の検出結果と予め設定した炉内圧の設定値とを比較する。そして、炉内圧の検出結果が予め設定した炉内圧設定値を上回っている場合には、制御手段23がフィーダ駆動装置6を制御し、フィーダ5の動作をストロークが減少するように、すなわち、フィーダ5が前進して投入する1回の被焼却物1の投入量が少なくなるように制御する。
【0032】
より具体的に、本実施形態の焼却設備Aの制御方法においては、まず、
図1及び
図2に示すように、フィーダ5が何回前進動作を行なったかをカウントしているフィーダカウントをリセットし、リセット後のフィーダ5の前進動作をカウントする。すなわち、ホッパ2からシュート部2aを通じて連続的にフィードテーブル4上に供給された被焼却物1を焼却炉3内に投入した回数をカウントする。
【0033】
そして、フィーダ5が予め設定した回数、例えば5回前進動作したら、制御手段23が、被焼却物高さ検出手段20によって検出したフィーダカウントのリセット時のホッパ2内の被焼却物1の高さレベルHと、フィーダ5が予め設定した回数前進動作した後の被焼却物1の高さレベルHとを比較する。また、これとともに制御手段23が、フィーダ5の前進動作による高さレベルの変動割合を求め、この高さレベルの変動割合が予め設定した高さレベルの変動割合設定値、例えば10%よりも小さい場合には、ストロークを所定量、例えば50mm増加させるようにフィーダ駆動装置6を制御する。
【0034】
ここで、フィーダ5のストローク量の制御は、例えば、最大ストローク量が400〜500mmの本実施形態のフィーダ5の場合、150〜500mmのストローク範囲で行なうことが好ましい。
【0035】
また、フィーダ5の前進動作によって被焼却物1を焼却炉3内に投入したときの炉内圧が炉内圧検出手段21によって検出され、このときの検出結果を制御手段23が予め設定した炉内圧設定値、例えば−10Paと比較し、炉内圧設定値を上回る炉内圧が検出された場合には、ストロークを所定量、例えば50mm減少させるようにフィーダ駆動装置6を制御する。また、ストロークを変更した後、タイマーによって、ある一定時間は変更したストロークを保つようにする。
【0036】
なお、フィーダ5によって被焼却物1を投入する動作が行なわれていないときの焼却炉3の炉内圧は例えば−100Pa程度であり、この炉内圧がフィーダ5の動作によって被焼却物1を投入すると変動し、本実施形態では、被焼却物1の投入時に例えば−10Paの炉内圧設定値よりも炉内圧が大きくなったときに、ストロークを減少させる。
【0037】
これにより、ホッパ2内の被焼却物1の高さレベルHを捉え、フィーダ5の1回の前進動作で焼却炉3に投入する被焼却物1の投入量が少なくなり過ぎないようにしつつ、フィーダ5のストロークを小さくして、被焼却物1が投入されるときに焼却炉3の炉内圧が急激に変動することが抑制される。
【0038】
一方、本実施形態の焼却設備Aの制御方法においては、
図1及び
図3に示すように、風箱内圧検出手段22によって検出された風箱9の内部圧力の検出結果が制御手段23に送られ、制御手段23が、風箱9の内部圧力の検出結果と、予め設定した風箱9の内部圧力の上限値とを比較する。そして、風箱9の内部圧力の検出結果が予め設定した風箱9の内部圧力の上限値を上回っている場合には、ストーカ速度、すなわち、ストーカ7の可動火格子の往復動作速度を所定量、例えば3%増加させる。
【0039】
また、風箱9の内部圧力の検出結果が予め設定した風箱9の内部圧力の上限値を下回っている場合には、制御手段23が、風箱9の内部圧力の検出結果と、予め設定した風箱9の内部圧力の下限値とを比較する。そして、風箱9の内部圧力の検出結果が予め設定した風箱9の内部圧力の下限値を下回っている場合には、ストーカ速度を所定量、例えば3%減少させる。
【0040】
ここで、ストーカ7上の被焼却物1の層厚が大きいほど、被焼却物1が一次空気の流通抵抗が大きくなり、風箱9の内部圧力が上昇する。そして、上記のように風箱9の内部圧力が上限値を上回ってストーカ速度を増加させると、可動火格子が速く往復することによってストーカ7上の被焼却物1の移動が促進され、層厚が薄くなり、風箱9の内部圧力が低下する。また、風箱9の内部圧力が下限値を下回ってストーカ速度を減少させると、可動火格子がゆっくり往復することによってストーカ7上の被焼却物1の移動が抑えられ、層厚が厚くなり、風箱9の内部圧力が上昇する。
【0041】
これにより、風箱9の内部圧力を捉え、ストーカ7上の被焼却物1の層厚が平均化されるため、被焼却物1の急激な燃焼が抑えられ、この点からも、炉内圧の変動が抑制されることになる。
【0042】
したがって、本実施形態の焼却設備A及び焼却設備Aの制御方法においては、フィーダ5の1回の前進動作で焼却炉3に投入する被焼却物1の投入量が少なくなり過ぎないようにしつつ、フィーダ5のストロークを小さくしてフィーダ5の1回の前進動作で焼却炉3に投入する被焼却物1の投入量を抑えることができ、被焼却物1の投入時に焼却炉3の炉内圧が急激に変動することを抑制することが可能になる。
【0043】
また、このとき、ストロークを小さくした場合であっても、ホッパ2内の被焼却物1の高さレベルHを捉えることで、被焼却物1の質の変化などによるフィーダ5の空打ち、すなわち、ストローク分前進したにも係らず、フィードテーブル4上の被焼却物1が圧縮されるなどして焼却炉3内に投入されない状態を確認し、これを防ぐことが可能になり、連続的に安定して被焼却物1を焼却炉3内に投入することが可能になる。
【0044】
さらに、ストロークを小さくし、フィーダ5の1回の前進動作で焼却炉3に投入する被焼却物1の投入量を抑えることで、ストーカ7上の被焼却物1の厚さが、厚くなり過ぎることを防止できる。これにより、焼却炉3に投入した被焼却物1の急激な燃焼を抑えることができ、この点からも、焼却炉3の炉内圧の変動を抑制することが可能になる。
【0045】
また、風箱9の内部圧力を捉え、これに基づいてストーカ速度を制御することで、ストーカ7上の被焼却物1の層厚を平均化することができ、ストーカ7上の被焼却物1の厚さを所定の厚さで維持し、厚くなり過ぎたり、薄くなり過ぎることを防止できる。これにより、より確実に、焼却炉3に投入した被焼却物1の急激な燃焼を抑えることができ、この点からも、焼却炉3の炉内圧の変動を抑制することが可能になる。
【0046】
よって、本実施形態の焼却設備A及び焼却設備Aの制御方法によれば、確実に急激な炉内圧の変動を抑制することができ、焼却設備Aを安定的に運転・操業することが可能になる。また、焼却炉3の排熱を熱回収ボイラ12によって効率的に回収して有効利用することも可能になる。
【0047】
以上、本発明に係る焼却設備及び焼却設備の制御方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0048】
例えば、炉内圧はフィーダ5が動作するときに変動するため、フィーダ5が動作(前進)するときだけ、この動作を検出した制御手段23が炉内圧設定値を下げるようにしてもよい。この場合においても、確実に急激な炉内圧の変動を抑制することができ、焼却設備Aを安定的に運転・操業することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態では、フィーダ5のストロークを小さくしてフィーダ5の1回の前進動作で焼却炉3に投入する被焼却物1の投入量を抑えることで、被焼却物1の投入時に焼却炉3の炉内圧が急激に変動することを抑制することができる。このため、IDF入口ダンパ17を開閉制御して炉内圧を調整する必要がなくなり、IDF16の回転数のみで焼却設備Aを制御、構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 被焼却物(ごみ)
2 ホッパ(ホッパシュート)
2a シュート部
3 焼却炉
4 フィードテーブル
5 フィーダ
6 フィーダ駆動装置
7 ストーカ
8 送風機
9 風箱
10 灰出し口
11 燃焼室
12 熱回収ボイラ
13 送風機
14 排ガス処理設備
15 煙突
16 IDF(誘引送風機)
17 IDF入口ダンパ
20 被焼却物高さ検出手段
21 炉内圧検出手段
22 風箱内圧検出手段
23 制御手段
A 焼却設備
H 被焼却物の高さレベル