(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボンベ体に貯蔵された圧力流体の出し入れを、開弁位置と閉弁位置とを移動することで開閉規制する開閉弁を開弁方向に付勢する開弁方向付勢手段の付勢力に抗して前記開閉弁を前記閉弁位置に規制する閉弁規制位置と、前記開閉弁の前記開弁位置に対応する開弁規制位置とを移動する開閉弁規制手段と、前記開弁方向付勢手段の付勢力に抗して前記開閉弁規制手段を閉弁方向に付勢する閉弁方向付勢手段と、
前記閉弁規制位置にある前記開閉弁規制手段の前記開弁規制位置への移動を制限してロックする移動制限状態と、前記移動の制限を解除する制限解除状態とを切替える移動制限切換え手段と、
前記開閉弁を開閉操作する操作流体の流入を許容する操作流体流入部と、
前記操作流体流入部から流入した前記操作流体を、前記開閉弁規制手段に対して、前記閉弁方向付勢手段の付勢力に抗して前記操作流体の圧力が開弁方向に作用するように導通する前記操作流体導通流路と、
該操作流体導通流路における、前記操作流体の導通を遮断する導通遮断手段とを備え、
前記移動制限切換え手段を、
前記移動制限状態において、前記導通遮断手段を、前記操作流体導通流路における前記操作流体の導通を遮断する遮断状態に保持する構成とし、
前記開閉弁の開閉方向を軸方向とし、
前記移動制限切換え手段における前記移動制限状態の移動制限位置を前記閉弁側の軸方向位置に配置するとともに、前記制限解除状態の制限解除位置を前記開弁側の軸方向に配置し、
前記操作流体導通流路の少なくとも一部に、前記軸方向に略直交する直交導通部を形成し、
前記導通遮断手段を、
前記移動制限位置において前記直交導通部を前記軸方向に遮断する構成とした
開閉弁操作機構。
ボンベ体に貯蔵された圧力流体の出し入れを、開弁位置と閉弁位置とを移動することで開閉規制する開閉弁と、該開閉弁を開弁方向に付勢する開弁方向付勢手段とで構成するバルブ装置に対して装着する開閉弁操作装置であって、
前記開弁方向付勢手段の付勢力に抗して前記開閉弁を前記閉弁位置に規制する閉弁規制位置と、前記開閉弁の前記開弁位置に対応する開弁規制位置とを移動する開閉弁規制手段と、
前記開弁方向付勢手段の付勢力に抗して前記開閉弁規制手段を閉弁方向に付勢する閉弁方向付勢手段と、
前記閉弁規制位置にある前記開閉弁規制手段の前記開弁規制位置への移動を制限してロックする移動制限状態と、前記移動の制限を解除する制限解除状態とを切替える移動制限切換え手段と、
前記開閉弁を開閉操作する操作流体の流入を許容する操作流体流入部と、
前記操作流体流入部から流入した前記操作流体を、前記開閉弁規制手段に対して、前記閉弁方向付勢手段の付勢力に抗して前記操作流体の圧力が開弁方向に作用するように導通する前記操作流体導通流路と、
該操作流体導通流路における、前記操作流体の導通を遮断する導通遮断手段とを備え、
前記移動制限切換え手段を、
前記移動制限状態において、前記導通遮断手段を、前記操作流体導通流路における前記操作流体の導通を遮断する遮断状態に保持する構成とし、
前記開閉弁の開閉方向を軸方向とし、
前記バルブ装置に対して、前記軸方向に装着する装着部を有するハウジングを備えるとともに、
前記移動制限切換え手段における前記移動制限状態の移動制限位置を前記閉弁側の軸方向位置に配置するとともに、前記制限解除状態の制限解除位置を前記開弁側の軸方向に配置し、
前記操作流体導通流路の少なくとも一部に、前記軸方向に略直交する直交導通部を形成し、
前記導通遮断手段を、
前記移動制限位置において前記直交導通部を前記軸方向に遮断する構成とした
開閉弁操作装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を、
図1乃至
図8とともに説明する。
図1は開閉アクチュエータ1をバルブ装置200に装着した状態の斜視図を示し、
図2は開閉アクチュエータ1の分解斜視図を示し、
図3は閉止弁機構210の分解斜視図を示し、
図4はロック解除状態の開閉アクチュエータ1の断面図を示し、
図5は駆動エアGを供給開始した状態の開閉アクチュエータ1の断面図を示し、
図6はエアピストン90によって増圧した状態の開閉アクチュエータ1の断面図を示し、
図7は開弁状態の開閉アクチュエータ1の断面図を示し、
図8はロック状態の開閉アクチュエータ1の断面図を示し、
図9はロック状態で駆動エアGを供給した開閉アクチュエータ1の断面図を示している。
【0031】
なお、
図2及び
図3では、各種Oリングの図示を省略している。また、
図4乃至
図9では、バルブ装置200に装着した状態の開閉アクチュエータ1の断面図を示し、バルブ装置200の上側一部の断面図も図示している。
【0032】
開閉アクチュエータ1は、図示省略する高圧用ボンベ容器の上部に装着され、高圧用ボンベ容器に貯蔵された高圧ガスの放出と封止とを規制する閉止弁機構210を内部に備えたバルブ装置200の上部に装着される。
【0033】
開閉アクチュエータ1は、上部に平面視リング状のロックリング10を備えた略樽型であり、ロックリング10の内部に装着したカップリングプラグ310に、図示省略するコンプレッサに接続されたホース320の先端に装着されたカップリングソケット330から操作流体である駆動エアGを供給して、バルブ装置200の弁体220を開閉操作する装置である。なお、駆動エアGとしては、窒素や空気などの無害な気体を用いることができる。
【0034】
以下に、詳細に説明する。
まず、開閉アクチュエータ1を装着するバルブ装置200は、
図3に示すように、高圧用ボンベ容器(図示省略)の上部に装着するねじ溝を有する装着部を下部に有する正面視略十字型のハウジング201の内部中央にキャビティ室202が形成されるとともに、キャビティ室202から下部の高圧用ボンベ容器につながる導入路204、キャビティ室202から放出口206につながる放出路205、キャビティ室202の上部に、キャビティ室202よりひとまわり大きな径の空間である収容空間203が形成され、キャビティ室202と収容空間203に亘って閉止弁機構210が装着されている。なお、キャビティ室202における導入路204の開口を弁座202aとしている。
【0035】
閉止弁機構210は、弁体220、金属製のダイヤフラム230、環状の押圧スリーブ240、環状の回転拘束部材250、中間伝動具260、グランドナット270、及び開弁ばね280で構成している。
【0036】
弁体220は、後述する挿通孔243よりひと回り大きな径を有する円柱状の本体部222と、本体部222の上面に突設し、ダイヤフラム230の挿通孔231に挿通可能な連結凸部221とで構成している。なお、本体部222の底面には、後述する弁体シール220aの嵌込みを許容する嵌込み溝223を有している。また、連結凸部221の外周面には、後述する中間伝動具260の螺挿孔264と螺合するねじ山を備えている。
【0037】
弁体シール220aは、上述の嵌込み溝223に嵌込み可能なリング状であり、詳しくは、キャビティ室202の底面における導入路204の開口である弁座202aより大きな内径を有するリング状である。
【0038】
ダイヤフラム230は、後述する押圧スリーブ240と同径の薄板状円形板であり、弁体220の連結凸部221の挿通を許容する挿通孔231を中央に備えている。なお、ダイヤフラム230は、複数の金属製薄板を互いに重ね合わせて構成している。
【0039】
押圧スリーブ240は、上面にリング状の挿着凸部241を有する有底中空円柱状であり、内面をバネ受け部242とし、後述する中間伝動具260の円柱状部262の挿通を許容する挿通孔243を底面に形成している。
【0040】
回転拘束部材250は、後述する中間伝動具260の六角状部261と同じ六角状の平面外形の回転拘束孔251を有するリング状であり、押圧スリーブ240の挿着凸部241の挿着を許容する円形溝252を底面側に有している。
【0041】
中間伝動具260は、上部外周面を六角柱状に形成した六角状部261と、その下部に配置した円柱状部262とで構成し、六角状部261の上面に、後述するロアステム70のステム本体73の下端の嵌込みを許容する平面視円形の円形凹部263を備え、円柱状部262の内部に弁体220の連結凸部221の螺挿を許容する螺挿孔264を有している。
【0042】
なお、円柱状部262の外周面は、後述する押圧スリーブ240の内面で構成するバネ受け部242とともに、バネ収容空間290(
図4b部拡大図参照)を構成するバネ押え部265としている。また、螺挿孔264の内面には、弁体220の連結凸部221と螺合するねじ溝を形成している。
【0043】
グランドナット270は、後述するロアステム70のステム本体73の挿通を許容する貫通孔270aを有する平面視リング状の中空円柱状であるリング本体271の底面における内周側に、中間伝動具260の六角状部261の嵌込みを許容する底面視円形の円形溝272を形成している。なお、リング本体271の外周面には、バルブ装置200の収容空間203の上部に形成したねじ溝に螺合するねじ山を形成している。また、リング本体271における円形溝272の上部にはOリングを装着している。
【0044】
このように、グランドナット270、中間伝動具260、回転拘束部材250、押圧スリーブ240、ダイヤフラム230、弁体220、弁体シール220a及び開弁ばね280で構成する閉止弁機構210は、円形溝252に挿着凸部241を挿着して組み合わせた回転拘束部材250及び押圧スリーブ240に対し、中間伝動具260を上方から挿入する。この状態では、六角状部261が回転拘束部材250の回転拘束孔251に嵌合するとともに、円柱状部262が挿通孔243に挿入されるため、中間伝動具260は、回転拘束部材250及び押圧スリーブ240に対して、軸心Lの方向へ進退できるが、軸心Lの方向周りに回転できないように組付けられる。
【0045】
また、中間伝動具260のバネ押え部265と、押圧スリーブ240のバネ受け部242との間にバネ収容空間290が形成され、バネ収容空間290に開弁ばね280が装着される。したがって、中間伝動具260は、開弁ばね280によって、上方に付勢された状態となる(
図4b部拡大図参照)。
【0046】
この状態において、ダイヤフラム230の挿通孔231を貫通した弁体220の連結凸部221を、下方から挿入して、螺挿孔264に螺挿することで、弁体220と中間伝動具260とは一体化される。
【0047】
このようにして構成された閉止弁機構210は、嵌込み溝223に弁体シール220aが装着された弁体220をバルブ装置200のキャビティ室202に嵌込み、ダイヤフラム230の周面が収容空間203の底面に密着するようにして、収容空間203に装着する。
【0048】
このとき、押圧スリーブ240の下端面における外周部がダイヤフラム230を上方から押し付け、さらにグランドナット270におけるリング本体271が回転拘束部材250を上方から押し付けるようにして、リング本体271のねじ山を収容空間203の内面に形成したねじ溝に螺合してハウジング201に装着することができる。
【0049】
なお、この状態において、
図4のb部拡大図に示すように、中間伝動具260は、ダイヤフラム230からグランドナット270までの高さより低く形成されているため、上下方向に移動可能である。
【0050】
そして、後述するロアステム70のステム本体73によって下方に押し付けられ、弁体シール220aが弁座202aに密着して、高圧貯蔵ガスHgの放出を規制する最下位置を閉弁位置とし、逆に、開弁ばね280の付勢力によって、中間伝動具260の上面がグランドナット270の内面に当接するまで上方移動して、高圧貯蔵ガスHgの放出を許容する最上位置を開弁位置としている。
【0051】
このように構成されたバルブ装置200に装着される開閉アクチュエータ1は、
図2に示すように、上から順に、ロックリング10、シリンダーカバー20、アッパーステム30、エアストッパー40、リングゴムパッキン50、メインピストン60、ロアステム70、シリンダー80、エアピストン90、ベースシリンダー100、インジケータリング110、及びロアカバー120とで構成している。
【0052】
ロックリング10は、平面視中央に軸方向Lに貫通する貫通孔10aを有する平面視リング状のロックリング本体11と、貫通孔10aに沿って下方に突出する螺合筒状部12とで構成し、螺合筒状部12の外周面に、後述するシリンダーカバー20の螺合突出部21の内周面に形成したねじ溝に螺合するねじ山を形成している。なお、貫通孔10aは、上述したカップリングソケット330の挿入を許容する径で形成している。また、ロックリング本体11における外側周面には、滑り止め用の凹凸加工を施している。
【0053】
シリンダーカバー20は、略樽型である開閉アクチュエータ1の上面部分を構成する扁平な略逆お椀型であり、上面中央からリング状に突出する螺合突出部21を備えている。螺合突出部21の内周面には、上述のロックリング10の螺合筒状部12の外周面に形成したねじ山と螺合するねじ溝を形成している。また、下端の周縁部より少し径内側には、下方に突出し、後述するシリンダー80の上部内周面に形成したねじ溝に螺合する螺合ねじ山部22を備えている。なお、螺合ねじ山部22の外周側上端部分には、Oリングを装着している。
【0054】
アッパーステム30は、カップリングプラグ310の挿着を許容する断面凹型の凹型上部31、凹型上部31の下部において、凹型上部31よりひとまわり径の小さなアッパーステム本体32、アッパーステム本体32の下方において、アッパーステム本体32よりひとまわり径が小さく、外周面にねじ山を形成した螺挿本体部33とで略円柱状に構成している。
【0055】
なお、凹型上部31の底面からアッパーステム本体32まで、平面視中央に、カップリングプラグ310の下方の螺挿を許容し、カップリングプラグ310からの駆動エアGの供給を許容する駆動エア供給孔34を備えるとともに、駆動エア供給孔34の下部からアッパーステム本体32の側方に貫通する導通孔35を備えている。
【0056】
また、凹型上部31の外周面は、貫通孔10aを構成するロックリング本体11の内周面よりわずかに小さな径で形成し、内周面に、カップリングソケット330の螺合を許容するねじ溝を形成している。
【0057】
また、底面視中央に、螺挿本体部33の底面からアッパーステム本体32までの長さの軸心Lに沿った下部導通孔36を備えるとともに、下部導通孔36の上部から螺挿本体部33の側方に貫通する導通孔37を備えている。導通孔35,37は、開閉アクチュエータ1の中心を通る軸線Lに対して直交する方向に貫通している。また、導通孔35,37の外周側開口部に対応するアッパーステム本体32,螺挿本体部33における外周面には、径内側にへこむ周方向の周方向溝35a,37aを形成している。さらにまた、アッパーステム本体32の上部には、Oリングr1を装着している。
【0058】
エアストッパー40は、アッパーステム30の挿通を許容する略円筒状であり、詳しくは、凹型上部31の嵌込みを許容する上部凹部41を上部に形成し、アッパーステム本体32の挿通を許容する貫通孔42を形成し、上部凹部41と貫通孔42とが連通している。なお、上部凹部41の外周面側にOリングr2を装着するとともに、貫通孔42の内周面の上部にOリングr3を装着している。さらに、底面視リング状のエアストッパー40の下端面40aにおける内周側には、下方に突出するリング凸部43を備えている。
【0059】
リングゴムパッキン50は、弾性ゴムで形成する平面視リング状のパッキンであり、内周縁がアッパーステム30の螺挿本体部33の外周に密着し、外周縁がエアストッパー40の下端面40aの中央付近となり、リング凸部43を跨ぐ態様の断面扁平矩形状で形成している。
【0060】
メインピストン60は、上部の円柱状部61と、円柱状部61の下端に配置した円形フランジ部62とで構成している。
円柱状部61は、エアストッパー40の嵌込みを許容する嵌込み凹部63を形成している。なお、エアストッパー40の外周面に装着したOリングr1が嵌込み凹部63の内周面に密着する。
【0061】
また、円形フランジ部62は、外周面にOリングr3を装着するOリング装着部64を備えている。なお、円形フランジ部62の上面はフラットに形成しており、Oリングr4を装着するOリング装着部64の厚み分、底面を径方向に傾斜させて径外側を分厚く構成している。
【0062】
また、円形フランジ部62の底面から円柱状部61の内部にかけて、後述するロアステム70の円筒部71及びフランジ部72の嵌込みを許容する断面ハット状の嵌込み空間65(
図4a部拡大図参照)を形成している。
【0063】
なお、嵌込み凹部63と嵌込み空間65とを仕切る中間仕切部66の平面視中央には、アッパーステム30の螺挿本体部33の挿通を許容する貫通孔67(
図4参照)を形成し、貫通孔67の内周面にアッパーステム本体32に装着したOリングr1が密着する。
【0064】
また、嵌込み空間65の内周面には、後述するロアステム70の円筒部71の外周に形成したねじ山と螺合するねじ溝を形成している。さらに、中間仕切部66の上面側における貫通孔67の周囲に、リングゴムパッキン50の嵌込みを許容する嵌め込溝68を形成している。さらに、円柱状部61の内部において、嵌込み凹部63と嵌込み空間65とを連通させる連通孔69を備えている。
【0065】
ロアステム70は、上から順に、内周面と外周面との両方にねじ山を形成した円筒部71、円筒部71の下端において径方向に広がるフランジ部72、及び円柱状のステム本体73で構成している。
【0066】
円筒部71は、内周面にアッパーステム30の螺挿本体部33の螺入を許容する、内周面にねじ溝が形成された螺入凹部71aを有するとともに、メインピストン60における嵌込み空間65の内周面に形成したねじ溝と螺合するねじ山が外周面に形成されている。なお、螺入凹部71aは、円筒部71上面からフランジ部72の底面に対応する深さで形成している。
【0067】
フランジ部72は、ハット状に形成した嵌込み空間65に、円筒部71とともに嵌め込まれる平面視円形であり、上側角部にOリングを装着している。
ステム本体73は、内部中央における上部から半分程度の高さまで形成した導通孔74を有する円柱状であり、グランドナット270の貫通孔270aに挿通可能な径で形成している。
【0068】
また、導通孔74の下部からステム本体73の側方に貫通する導通孔75を備え、導通孔75の外周側開口部に対応するステム本体73における外周面には、径内側にへこむ周方向の周方向溝76を形成している。さらにまた、周方向溝76より上部のステム本体73には、Oリングを装着している。なお、ステム本体73は、開閉アクチュエータ1を組み付けた状態において、中間伝動具260の円形凹部263に嵌め込まれ、中間伝動具260を上方から押し付ける長さで形成している(
図4参照)。
【0069】
シリンダー80は、略円筒状に形成するとともに、アッパーステム30、エアストッパー40及びリングゴムパッキン50を組み付けたメインピストン60を装着するとともに、上部からシリンダーカバー20を被せるように装着する上部装着空間81と、後述するエアピストン90の装着を許容する下部装着空間82(
図4参照)と、上部装着空間81及び下部装着空間82を仕切る中間仕切部83とを備えている。なお、中間仕切部83の中央には、後述するエアピストン90の円柱状部91の挿通を許容する貫通孔84を備えている。また、中間仕切部83は、径外側より、貫通孔84を形成する径内側を厚肉に形成するため、上面及び底面の一部を傾斜させている。
【0070】
なお、中間仕切部83の上面の傾斜は、円形フランジ部62の底面の傾斜に対応する形状である。また、上部装着空間81の内周面はメインピストン60のOリング装着部64に装着したOリングr4が密着し、貫通孔84の内周面は、後述するエアピストン90の円柱状部91に装着したOリングr6(
図4参照)が密着する。
【0071】
また、上部装着空間81に装着されたメインピストン60と、上部装着空間81を被せるように装着するシリンダーカバー20との間には、円柱状部61が挿通された複数枚の皿ばね130が高さ方向に重ね合わせて装着され、シリンダーカバー20を反力として、メインピストン60は皿ばね130によって下方に付勢されている。なお、積み重ねた皿ばね130の下方への付勢力は、上述した開弁ばね280の上向きの付勢力より大きくなるように設定している。
【0072】
エアピストン90は、上部の円柱状部91と、円柱状部91の下端に配置し、円柱状部91より大径の円形フランジ部92とで構成している。
円柱状部91は、シリンダー80の貫通孔84に挿通可能な円筒状であり、外周面にOリングr6を装着している。
【0073】
また、円形フランジ部92は、外周面にOリングr5を装着するOリング装着部93を備えている。なお、円形フランジ部92の底面はフラットに形成しており、Oリングr5を装着するOリング装着部93の厚み分、上面を径方向に傾斜させて径外側を分厚く構成している。なお、この傾斜は、上述のシリンダー80における中間仕切部83の底面の傾斜に対応する形状である。
【0074】
また、エアピストン90における平面視中央には、エアピストン90を高さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔94を形成している。
なお、貫通孔94はロアステム70のステム本体73の挿通を許容し、貫通孔94の内周面は、ステム本体73に装着したOリングが密着する。
また、メインピストン60の円形フランジ部62は、円柱状部91に比べて、約2.3倍の直径で形成している。
【0075】
ベースシリンダー100は、シリンダー80の下部装着空間82とともにエアピストン90の装着を許容する挿着空間101aを形成する有底円筒状のリング本体101と、リング本体101の底面側から下方に突出し、バルブ装置200のハウジング201の上部に螺合する円筒状螺合部102とで構成している。
【0076】
リング本体101の高さ方向中央付近に、径方向に突出するフランジ103を備え、フランジ103より上方のリング本体101の外周面に、シリンダー80の下部装着空間82に挿入して螺合するねじ山を形成している。また、フランジ103より下方のリング本体101の外周面には、後述するロアカバー120の内周面に形成したねじ溝に螺合するねじ山を形成している。
【0077】
リング本体101における底面部101bの中央には、上下に貫通する貫通孔104を備えている。貫通孔104は、ステム本体73の挿通を許容し、ステム本体73に装着したOリングが内周面に密着する。さらにまた、底面部101bにおける、円筒状螺合部102より径外方向において、後述するインジケータリング110の上面に対向する位置に、上下に貫通する貫通孔105を周方向に複数備えている。
【0078】
インジケータリング110は、円筒状螺合部102の外側に装着されるリング体であり、上部のフランジ部111と、フランジ部111の内周側から下方に突出する円筒部112とで片断面逆L字型を構成している。
【0079】
なお、フランジ部111の内周面と外周面に、Oリングを装着するとともに、上面において、上述のベースシリンダー100の貫通孔105に対応する箇所に、平面視円周状の円周溝113を形成している。
【0080】
ロアカバー120は、インジケータリング110を挟んで下方から覆う態様でベースシリンダー100に装着する下方に向かって先絞りのリング体であり、上部の内周面にベースシリンダー100のリング本体101におけるフランジ103より下方に形成したねじ山に螺合するねじ溝を形成するとともに、下方に円形開口121を形成している。
【0081】
なお、円形開口121は、円筒状螺合部102の外側に装着されたインジケータリング110の円筒部112の厚みに対応する間隔を円筒状螺合部102から隔てる径で形成している。また、図示省略するが、ロアカバー120を反力としてインジケータリング110のフランジ部111を上方に付勢するコイルばねを装着している。
【0082】
このように各要素を構成した開閉アクチュエータ1は、まず、嵌込み空間65に円筒部71を螺合してメインピストン60とロアステム70とを一体化したうえで、円柱状部61の嵌込み凹部63に、エアストッパー40とリングゴムパッキン50とを上からこの順で挿入し、エアストッパー40の上方からアッパーステム30を装着する。このとき、リングゴムパッキン50はメインピストン60の中間仕切部66に形成した嵌め込溝68に嵌め込まれ、その上方にエアストッパー40が配置される。
【0083】
さらに、凹型上部31が上部凹部41に位置し、アッパーステム本体32が貫通孔42に位置し、螺挿本体部33がメインピストン60の中間仕切部66に形成した貫通孔67を貫通するとともに、ロアステム70の螺入凹部71aと螺合し、アッパーステム30、エアストッパー40、リングゴムパッキン50、メインピストン60及びロアステム70が組み付けられて開閉弁規制部材140を構成する。
【0084】
このとき、アッパーステム30における下部導通孔36とロアステム70の導通孔74とは連通する。また、開閉弁規制部材140において、アッパーステム30、メインピストン60及びロアステム70は螺合によって一体化するが、エアストッパー40はアッパーステム30とメインピストン60とに挟まれながら、わずかに上下方向に移動することができる。
【0085】
この状態で、
図4のa部拡大図に示すように、アッパーステム本体32の外周面と貫通孔42の内周面において周方向溝35aを有する導通空間a1を構成することができる。なお、導通空間a1の上部は貫通孔42の内周面に装着され、アッパーステム本体32の外周面に密着するOリングr3によってシールされた状態となる。また、エアストッパー40が最下位置にあり、リング凸部43がリングゴムパッキン50に食い込んだ状態では、導通空間a1(
図6参照)の下方もシールされた状態となる。
さらに、カップリングプラグ310が装着されるアッパーステム30の駆動エア供給孔34、導通孔35並びに導通空間a1によって第一導通流路s1を構成する。
【0086】
また、エアストッパー40の外周面と、嵌込み凹部63の内周面との間にも、導通空間a2が構成される。なお、導通空間a2の上部は上部凹部41の外周面に装着され、嵌込み凹部63の内周面に密着するOリングr2によってシールされた状態となるが、下方は連通孔69と連通することとなる。
【0087】
さらに、円筒部71の外周面と嵌込み空間65の内周面及び螺入凹部71aの内周面と螺挿本体部33の外周面との間にも導通空間a3が構成される。なお、導通空間a3の上部は、螺挿本体部33の外周面に装着され、貫通孔67の内周面に密着するOリングr1によってシールされた状態となり、下方はフランジ部72の上面側の外周縁に装着され嵌込み空間65の角部に密着するOリングによってシールされた状態となる。しかしながら、導通空間a3は、連通孔69、導通孔37と連通することとなる。
【0088】
このように、アッパーステム30、エアストッパー40、リングゴムパッキン50、メインピストン60及びロアステム70を組付けて構成した開閉弁規制部材140におけるステム本体73を貫通孔84に挿入しながら上部装着空間81に収容し、メインピストン60における円柱状部61の外側に皿ばね130を上下方向に複数積み重ねて配置し、その上方からシリンダーカバー20で覆うように螺合ねじ山部22を螺入してシリンダーカバー20を装着する。
【0089】
この状態では、上述したように、メインピストン60は、シリンダーカバー20を反力として皿ばね130によって下方に付勢されている。また、シリンダーカバー20の螺合突出部21に対して、螺合筒状部12を螺合してロックリング10を取り付ける。このとき、ロックリング10の貫通孔10a内部にアッパーステム30の凹型上部31を上方から望むことができる。
【0090】
また、ロックリング10は、図示省略する回転規制手段により360度の回転のみできるように回転規制されている。そして、ロックリング10をシリンダーカバー20に対して最も螺入した状態をロック状態とし、該ロック状態から270度螺出した状態をアンロック状態としている。
【0091】
また、ロックリング10をシリンダーカバー20に対して最も螺入した状態、つまりシリンダーカバー20に対してロックリング10が最も下がった状態であるロック状態では、螺合筒状部12の下端面12aが螺合突出部21の底面21a(
図7a部拡大図参照)より下方に突出し、エアストッパー40の上端面40bを螺合筒状部12の下端面12aで押圧して、上下方向に移動するエアストッパー40を下方に押し下げる状態となる。
【0092】
つまり、ロックリング10がロック状態にある場合、エアストッパー40の下端面40aがメインピストン60の中間仕切部66の上面にメタルタッチするととともに、リング凸部43が嵌め込溝68に装着したリングゴムパッキン50に食い込む最下位置にあるエアストッパー40は、螺合筒状部12の下端面12aと中間仕切部66の上面とにより上下方向から挟まれた拘束された状態となる。
【0093】
逆に、ロックリング10がシリンダーカバー20に対して最も螺出した状態、つまりシリンダーカバー20に対してロックリング10が最も上がった状態であるアンロック状態では、
図4のa部拡大図に示すように、螺合筒状部12の下端面12aは、螺合突出部21の底面21aより上方に位置し、最下位置にあるエアストッパー40の上端面40bと螺合筒状部12の下端面12aとの間にクリアランスが形成される。
【0094】
このようにして、開閉弁規制部材140を組み付けたシリンダー80に対して、下方から突出するステム本体73を貫通孔94に挿通させながら、エアピストン90の円柱状部91を貫通孔84の下方から挿入して下部装着空間82にエアピストン90を収容し、さらにその下方からステム本体73を貫通孔104に挿通させながら、リング本体101を下部装着空間82の下方から螺合する。このとき、フランジ103がシリンダー80の下端に接触するまで螺入して組み付ける。
【0095】
この状態で、メインピストン60及びフランジ部72の底面側、中間仕切部83の上面、貫通孔84に挿入された円柱状部91の上面との間に、増圧オイルzを封入する封入空間fを構成する。
【0096】
なお、封入空間fの上部は、Oリング装着部64に装着され上部装着空間81の内周面に密着するOリングr4、及びフランジ部72の上面側の外周縁に装着され嵌込み空間65の角部に密着するOリングによってシールされた状態となり、下方は円柱状部91に装着され貫通孔84の内周面に密着するOリングr6、及びステム本体73に装着され、貫通孔94の内周面に密着するOリングによってシールされた状態となり、封入空間fに増圧オイルzを封入する。
【0097】
また、ステム本体73の外周面と貫通孔94の内周面において周方向溝76を有するとともに、エアピストン90の底面とベースシリンダー100における底面部101bとの間、並びに貫通孔105が連通する導通空間a4(
図6b部拡大図参照)を構成する。
【0098】
なお、導通空間a4の上部は、ステム本体73に装着し、Oリング装着部93の内周面に密着するOリング、及び貫通孔94に装着され、挿着空間101aの内周面に密着するOリングr5によってシールされた状態となる。また、導通空間a4の下方は、貫通孔104に装着され、ステム本体73の外周面に密着するOリング、及びインジケータリング110のフランジ部111の内周側と外周側にそれぞれ装着されたOリングによってシールされた状態となる。
なお、この導通空間a4は、連通する導通空間a2、連通孔69、導通空間a3、導通孔37,35、及び導通孔74,75とともに、第二導通流路s2を構成する。
【0099】
さらに、ロックリング10、シリンダーカバー20、開閉弁規制部材140、シリンダー80、及びエアピストン90を組み付けたベースシリンダー100に対して、円筒状螺合部102の外側にインジケータリング110を装着するとともに、さらにその下方からロアカバー120を螺合して、開閉アクチュエータ1の組み付けを完了する。
【0100】
このようにして組付けられた開閉アクチュエータ1は、ステム本体73をグランドナット270の貫通孔270aに挿通させて、ステム本体73の下端を中間伝動具260の円形凹部263に当接させた状態で、バルブ装置200のハウジング201の上部に対してベースシリンダー100の円筒状螺合部102を螺合させて、バルブ装置200に装着する。
【0101】
なお、この状態では、
図4に示すように、開弁ばね280の上向きの付勢力より大きく設定した皿ばね130の下方への付勢力により、中間伝動具260はステム本体73によって下方に押し付けられ、中間伝動具260とともに下方移動した弁体220の弁体シール220aが弁座202aに密着して導入路204を塞ぎ、高圧貯蔵ガスHgの放出は遮断される。
【0102】
このときの弁体220の軸心Lの方向における位置を閉弁位置とし、ロアステム70の軸心Lの方向における位置を閉弁規制位置とする。このように、駆動エアGが供給されていない通常状態では、ロックリング10がアンロック状態であっても、ロアステム70は、弁体220が閉弁位置となるように規制する閉弁規制位置となり、高圧貯蔵ガスHgが放出されない閉弁状態となる。
【0103】
続いて、バルブ装置200に装着した開閉アクチュエータ1における開弁操作について、
図4乃至
図7とともに説明する。
先ず、上述したように、ロックリング10をシリンダーカバー20に対して螺出させて、つまりロックリング10を上方移動させてアンロック状態とし、ロックリング10の上方から、貫通孔10a内部にあるアッパーステム30の凹型上部31に装着したカップリングプラグ310に対してカップリングソケット330を装着する。
【0104】
なお、カップリングプラグ310は普段、取り外しており、カップリングソケット330を装着するときのみ装着する態様でもよい。また、カップリングプラグ310に対してカップリングソケット330を装着してから、ロックリング10をアンロック状態にしてもよい。
【0105】
この状態において、
図5に示すように、カップリングソケット330から駆動エアGを供給すると、駆動エアGは駆動エア供給孔34、及び導通孔35を通り導通空間a1に到達する。つまり、カップリングソケット330から供給された駆動エアGは、駆動エア供給孔34、導通孔35及び導通空間a1で構成する第一導通流路s1を導通する。
【0106】
この状態において、リング凸部43がリングゴムパッキン50の上面に接しているエアストッパー40は、駆動エアGの圧力によって
図5のa部拡大図において矢印で示すように上方に移動することによって、リングゴムパッキン50の上面及びメタルタッチしていた中間仕切部66の上面と、エアストッパー40の下端面40aとの間に、軸心Lの方向に対して直交する径方向の隙間が生じ、この径方向の隙間によって駆動エアGが径方向外側向きに導通する径方向導通流路s3を構成する。
【0107】
径方向導通流路s3によって導通空間a1と導通空間a2とは連通するため、駆動エアGは導通空間a2に流入する。導通空間a2は、上述したように、連通孔69、導通空間a3、導通孔37,35、導通孔74,75、及び導通空間a4とともに第二導通流路s2を構成しており、導通空間a2に流入した駆動エアGは、第二導通流路s2を導通して導通空間a4まで到達する。
【0108】
このように、リングゴムパッキン50の上面及びメタルタッチしていた中間仕切部66の上面と、エアストッパー40の下端面40aとの間に形成された径方向導通流路s3によって、第一導通流路s1と第二導通流路s2とが連通し、第一導通流路s1、径方向導通流路s3及び第二導通流路s2により、開弁操作導通流路Sを構成する。
【0109】
このようにして、
図6のa部拡大図に示すように、開弁操作導通流路S(
図7参照)を導通して導通空間a4に到達した駆動エアGの圧力はエアピストン90の円形フランジ部92の底面全体に作用し、エアピストン90は駆動エアGによって上方に押圧される。
【0110】
駆動エアGによって、
図6において矢印で示す上方に、ステム本体73に沿って移動するエアピストン90の円柱状部91は、封入空間fに封入された増圧オイルzを介して、メインピストン60の円形フランジ部62の底面を上方に向かって押圧する。
【0111】
上述したように、メインピストン60の円形フランジ部62は、円柱状部91に比べて、約2.3倍の直径で形成しているため、円柱状部91の面積に対して円形フランジ部62の面積は約5.3倍となる。したがって、円柱状部91の上面で押圧された増圧オイルzは、円形フランジ部62に対して、円柱状部91が上方に押圧する圧力の約5.3倍の圧力として作用する。
【0112】
このようにして、エアピストン90から圧力が増圧されて作用したメインピストン60は、シリンダーカバー20を反力として下方に付勢する皿ばね130の付勢力に抗して上方に移動する。皿ばね130の付勢力に抗したメインピストン60の上方移動に伴って、メインピストン60と螺合によって一体化したロアステム70も上方移動する(
図7参照)。なお、メインピストン60は、
図7のa部拡大図に示すように、円柱状部61の上端が、シリンダーカバー20の螺合突出部21の底面21aに当接するまで上方移動する。
【0113】
ロアステム70が上方移動すると、ステム本体73によって上方から押圧されていた中間伝動具260は、バネ収容空間290に収容した開弁ばね280の上向きの付勢力によって、弁体220とともに上方移動し、弁座202aに密着していた弁体シール220aも上方移動して隙間が生じるため、導入路204、キャビティ室202、放出路205及び放出口206は連通し、高圧用ボンベ容器に貯蔵していた高圧貯蔵ガスHgは、導入路204、キャビティ室202、及び放出路205を通って放出口206から放出される。
【0114】
このときの弁体220の軸心Lの方向における位置を開弁位置とし、ロアステム70の軸心Lの位置を開弁規制位置とし、導入路204、キャビティ室202、及び放出路205を通って放出口206から高圧貯蔵ガスHgが放出される状態を開弁状態とする。
【0115】
また、
図6のb部拡大図に示すように、開弁操作導通流路Sを導通して導通空間a4に到達した駆動エアGの圧力は、貫通孔105を通ってインジケータリング110のフランジ部111に作用し、ロアカバー120を反力としてインジケータリング110のフランジ部111を上方に付勢するコイルばね(図示省略)の付勢力に抗して、インジケータリング110を下方に押し下げる。
【0116】
駆動エアGによって下方に押し下げられたインジケータリング110の円筒部112は、ベースシリンダー100の円筒状螺合部102の外側と、ロアカバー120の内周縁との間から下方に突出し(
図6のb部拡大図において破線参照)、開弁操作導通流路Sに駆動エアGが導通され、弁体220が上方に移動して、開弁されていることを明示することができる。
【0117】
この開弁状態において、カップリングプラグ310からカップリングソケット330を取り外し、開弁操作導通流路S内の駆動エアGを放出すると、皿ばね130の付勢力によってメインピストン60とともにロアステム70が下方に移動し、ステム本体73が中間伝動具260を上方から押し付ける。上述したように、積み重ねた皿ばね130の下方への付勢力は、上述した開弁ばね280の上向きの付勢力より大きくなるように設定しているため、ステム本体73が中間伝動具260を押し付ける付勢力が、中間伝動具260を上方に付勢する開弁ばね280の上向きの付勢力に打ち勝って、中間伝動具260は弁体220とともに下がり、弁体シール220aが弁座202aに密着して導入路204を塞ぎ、高圧貯蔵ガスHgの放出が遮断される閉弁状態となる。
【0118】
もちろん開弁操作導通流路S内の駆動エアGは放出されているため、フランジ部111を上方に付勢するコイルばね(図示省略)の付勢力によってインジケータリング110は上方移動し、ロアカバー120の下方へ突出していた円筒部112は、ロアカバー120の内部に収まることとなる。
【0119】
次に、ロックリング10によるロック状態について、
図8、
図9とともに説明する。
ロックリング10によるロック状態は、上述したように、ロックリング10をシリンダーカバー20に対して最も螺入した状態、つまりシリンダーカバー20に対してロックリング10が最も下がった状態であるロック状態では、螺合筒状部12の下端面12aが螺合突出部21の底面21aより下方に突出し、エアストッパー40の下端面40aがメインピストン60の中間仕切部66の上面にメタルタッチするととともに、リング凸部43が嵌め込溝68に装着したリングゴムパッキン50に食い込むようにエアストッパー40の上端面40bを螺合筒状部12の下端面12aで押圧する状態となる。
つまり、ロックリング10がロック状態にある場合、エアストッパー40は螺合筒状部12の下端面12aと中間仕切部66の上面との間で上下方向から挟まれた拘束された状態である。
【0120】
この状態では、メインピストン60は、エアストッパー40を介してロックリング10の螺合筒状部12によって下方に押し下げられるため、メインピストン60と螺合によって一体化したロアステム70も押し下げられる。押し下げられたロアステム70によって上方から押し付けられる中間伝動具260とともに弁体220は下がり、弁体シール220aが弁座202aに密着する閉弁状態となる。
【0121】
またこの状態では、導通空間a1が導通流路の一部となる第一導通流路s1と、導通空間a2が導通流路の一部となる第二導通流路s2とは、エアストッパー40によって、軸心Lの方向に遮断されており、つまり、開弁操作導通流路Sは径方向導通流路s3に対応する部分でエアストッパー40によって、軸心Lの方向に遮断される。
【0122】
したがって、カップリングプラグ310から駆動エアGが供給されても、
図9のa部拡大図に示すように、駆動エアGは第一導通流路s1を通って導通空間a1まで到達するものの、弁体220を開弁位置に移動させるための第二導通流路s2へ侵入することができない。よって、ロックリング10がロック状態である場合、駆動エアGが過剰な圧力で供給されたとしても、駆動エアGが弁体220を開弁位置に移動させるためのベースシリンダー100に作用することがなく、確実に弁体220による閉弁状態を維持することができる。
【0123】
このように、ロックリング10をシリンダーカバー20に対して最も螺入したロック状態では、ロックリング10の螺入によって、エアストッパー40を介して開閉弁規制部材140を押し下げて弁体220を閉弁状態とすると共に、第一導通流路s1と、第二導通流路s2とをエアストッパー40によって、軸心Lの方向に遮断するという、閉弁状態を確実に維持する二つの機能を達成することができる。
【0124】
上述したように、開閉アクチュエータ1に、高圧用ボンベ容器に貯蔵された高圧貯蔵ガスHgの出し入れを、開弁位置と閉弁位置とを移動することで開閉規制する弁体220を開弁方向に付勢する開弁ばね280の付勢力に抗して弁体220を閉弁位置に規制する閉弁規制位置と、弁体220の開弁位置に対応する開弁規制位置とを移動する開閉弁規制部材140と、開弁ばね280の付勢力に抗して開閉弁規制部材140を閉弁方向に付勢する皿ばね130と、閉弁規制位置にある開閉弁規制部材140の開弁規制位置への移動を制限してロックするロック状態と、移動の制限を解除するアンロック状態とを切替えるロックリング10と、弁体220を開閉操作する駆動エアGの流入を許容する駆動エア供給孔34と、駆動エア供給孔34から流入した駆動エアGを、開閉弁規制部材140に対して、皿ばね130の付勢力に抗して駆動エアGの圧力が開弁方向に作用するように導通する開弁操作導通流路Sとを備え、ロック状態において、開弁操作導通流路Sにおける、駆動エアGの導通を遮断するエアストッパー40のリング凸部43を備えたことにより、ロック状態において、駆動エアGが意図せず供給されても、閉弁状態を確実に維持することができる。
【0125】
詳しくは、開閉アクチュエータ1を、高圧用ボンベ容器に貯蔵された高圧貯蔵ガスHgの出し入れを、開弁位置と閉弁位置とを移動することで開閉規制する弁体220を開弁方向に付勢する開弁ばね280の付勢力に抗して弁体220を閉弁位置に規制する閉弁規制位置と、弁体220の開弁位置に対応する開弁規制位置とを移動する開閉弁規制部材140と、開弁ばね280の付勢力に抗して開閉弁規制部材140を閉弁方向に付勢する皿ばね130と、閉弁規制位置にある開閉弁規制部材140の開弁規制位置への移動を制限してロックするロック状態と、移動の制限を解除するアンロック状態とを切替えるロックリング10と、弁体220を開閉操作する駆動エアGの流入を許容する駆動エア供給孔34と、駆動エア供給孔34から流入した駆動エアGを、開閉弁規制部材140に対して、皿ばね130の付勢力に抗して駆動エアGの圧力が開弁方向に作用するように導通する開弁操作導通流路Sとを備えたことにより、ロックリング10がアンロック状態である状態において、導通孔35から駆動エアGを供給することで、駆動エアGが開弁操作導通流路Sを通って、開閉弁規制部材140に対して、皿ばね130の付勢力に抗して開弁方向に作用する。そのため、弁体220を閉弁位置に規制する閉弁規制位置にあった開閉弁規制部材140が開弁規制位置に移動し、開弁ばね280の付勢力によって弁体220は開弁位置となり、高圧用ボンベ容器に貯蔵された高圧貯蔵ガスHgを放出することができる。
【0126】
これに対し、開弁操作導通流路Sにおける、駆動エアGの導通を遮断するエアストッパー40のリング凸部43を備えたことにより、閉弁状態にある弁体220をロックするロック状態において、駆動エア供給孔34から駆動エアGを供給されたとしても、エアストッパー40のリング凸部43によって、開弁操作導通流路Sにおける駆動エアGの導通を遮断するため、開閉弁規制部材140に対して駆動エアGが開弁方向に作用することがなく、弁体220の閉弁状態を確実に維持することができる。したがって、このように、ロックリング10がロック状態である場合において、駆動エアGが意図せず供給されても、閉弁状態を確実に維持することができる。
【0127】
また、弁体220の開閉方向を軸心Lの方向とし、ロックリング10におけるロック状態の移動制限位置を軸心Lの方向における閉弁側の位置に配置するとともに、アンロック状態の制限解除位置を軸心Lの方向における開弁側の位置に配置し、開弁操作導通流路Sに、軸心Lの方向に略直交する径方向導通流路s3を形成し、エアストッパー40のリング凸部43が、移動制限位置において径方向導通流路s3を軸心Lの方向に遮断するため、ロックリング10がロック状態である場合に、駆動エアGが意図せず供給されても、閉弁状態をより確実に維持することができる。
【0128】
詳しくは、ロックリング10が、弁体220の開閉方向に一致する軸心Lの方向において、ロック状態の移動制限位置とアンロック状態の制限解除位置とを移動する構成とするとともに、開弁操作導通流路Sに形成した径方向導通流路s3を、移動制限位置にあるエアストッパー40のリング凸部43が軸心Lの方向に遮断する、つまり、弁体220が移動する軸心Lの方向に対して、直交する径方向導通流路s3を、軸心Lの方向に移動するエアストッパー40のリング凸部43で軸心Lの方向に遮断するため、確実に、駆動エアGの導通を、径方向導通流路s3で遮断することができる。
【0129】
したがって、開閉弁規制部材140に対して駆動エアGが開弁方向に作用することがなく、ロックリング10がロック状態において、駆動エアGが意図せず供給されても、閉弁状態を確実に維持することができる。
【0130】
また、弁体220の開閉方向を軸心Lの方向とし、ロックリング10におけるロック状態の移動制限位置を軸心Lの方向における閉弁側の位置に配置するとともに、アンロック状態の制限解除位置を軸心Lの方向における開弁側の位置に配置し、ロックリング10をロック状態の移動制限位置とすることで、開閉弁規制部材140を押し下げて弁体220を閉弁状態とすることができる。
【0131】
このように、ロックリング10をロック状態の移動制限位置とすることで、弁体220を機械的に閉弁状態とするとともに、駆動エアGの導通を径方向導通流路s3で確実に遮断するという、閉弁状態を確実に維持する二つの機能を、ロックリング10を螺入するという動作で達成することができる。
【0132】
また、駆動エアGの圧力を、封入空間fに封入した増圧オイルzによって、メインピストン60の円形フランジ部62の底面全体に作用させるため、駆動エアGを供給することで、弁体220を確実に開弁することができる。
【0133】
詳しくは、エアピストン90の円柱状部91から受けた圧力を、増圧オイルzによりメインピストン60の円形フランジ部62の底面全体に作用させることによって、駆動エアGの圧力は開閉弁規制部材140に対して増圧して開弁方向に作用する。
【0134】
したがって、小さい供給圧力で供給した駆動エアGであっても、皿ばね130の付勢力に抗して、開閉弁規制部材140を開弁方向に移動させ、弁体220を確実に開弁することができる。
【0135】
また、開弁ばね280の付勢力より、皿ばね130の付勢力を大きく設定したことにより、ロックリング10がアンロック状態、且つ駆動エアGが供給されない状態において、皿ばね130の付勢力によって開閉弁規制部材140を閉弁規制位置に移動させ、弁体220を確実に閉弁状態とすることができる。
【0136】
また、開弁操作導通流路Sを導通する駆動エアGの圧力によって突出して駆動エアGの導通を明示するインジケータリング110を備え、インジケータリング110を、開弁操作導通流路Sにおいて、エアストッパー40のリング凸部43の配置箇所より下流側である第二導通流路s2に配置したことにより、駆動エアGが供給されて弁体220が開弁した開弁状態を、外部から認識可能に明示することができる。
【0137】
詳しくは、開弁操作導通流路Sを導通する駆動エアGの圧力によって突出して駆動エアGの導通を明示するインジケータリング110を備えたことにより、開弁操作導通流路Sに駆動エアGが導通された状態を、駆動エアGの圧力によって突出するインジケータリング110で明示することができる。
【0138】
また、インジケータリング110を、開弁操作導通流路Sにおいて、エアストッパー40のリング凸部43の配置箇所より下流側である第二導通流路s2に配置することにより、エアストッパー40のリング凸部43で開弁操作導通流路Sが遮断されていないロックリング10がアンロック状態である状態、つまり供給された駆動エアGによって開閉弁規制部材140が開弁規制位置に移動し、弁体220が開弁した開弁状態をインジケータリング110で明示することができる。
【0139】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のボンベ体は、高圧用ボンベ容器に対応し、
以下同様に、
圧力流体は、高圧貯蔵ガスHgに対応し、
開閉弁は、弁体220に対応し、
開弁方向付勢手段は、開弁ばね280に対応し、
開閉弁規制手段は、アッパーステム30、エアストッパー40、リングゴムパッキン50、メインピストン60及びロアステム70を組み付けて一体化した開閉弁規制部材140に対応し、
閉弁方向付勢手段は、皿ばね130に対応し、
移動制限状態は、ロック状態に対応し、
制限解除状態は、アンロック状態に対応し、
移動制限切換え手段は、ロックリング10に対応し、
操作流体流入部は、駆動エア供給孔34に対応し、
操作流体は、駆動エアGに対応し、
操作流体導通流路は、開弁操作導通流路Sに対応し、
導通遮断手段は、エアストッパー40のリング凸部43に対応し、
開閉弁操作機構及び開閉弁操作装置は、開閉アクチュエータ1に対応し、
軸方向は、軸心Lに対応し、
直交導通部は、径方向導通流路s3に対応し、
増圧手段は、エアピストン90の円柱状部91から受けた圧力をメインピストン60の円形フランジ部62の底面全体に作用させる増圧オイルzに対応し、
明示手段は、インジケータリング110に対応し、
ハウジングは、ロアカバー120に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0140】
例えば、上述の説明では開閉アクチュエータ1をバルブ装置200に装着したが、開閉アクチュエータ1の機構とバルブ装置200の機構とを一体化した自動弁として構成してもよい。この場合であっても、上述の開閉アクチュエータ1と同様の効果を奏することができる。
【0141】
また、皿ばね130を皿ばねで構成し、開弁ばね280をコイルばねで構成したが、開弁ばね280の代わりに皿ばねを配置し、皿ばね130の代わりにコイルばねを配置しても良い。
【0142】
駆動エアGとして、窒素や空気などの無害な気体を用いたが、液体で構成してもよい。
また、軸心Lの方向に略直交する径方向導通流路s3は、駆動エアGの圧力によってエアストッパー40は、
図5のa部拡大図において矢印で示すように上方に移動することによって、リング凸部43が食い込んでいたリングゴムパッキン50の上面及びメタルタッチしていた中間仕切部66の上面と、エアストッパー40の下端面40aとの間に生じた径方向の隙間で構成したが、パイプ等で構成した流路をエアストッパー40の下端面40aで塞ぐ構成であってもよい。
【0143】
また、供給された駆動エアGによる開弁操作に連動して、インジケータリング110が下方に突出し、駆動エアGが供給された開弁状態を、確実かつ正確に、外部から認識可能に明示したが、上方や側方に突出する態様であってもよい。