【文献】
武内保憲、外2名,“2.4GHz帯を用いた場所検知システムの開発”,平成17年度電気・情報関連学会中国支部第56回連合大会論文集,2005年10月22日,p.66-67
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図18に非特許文献1に開示されている位置標定システムの概略的な構成を示している。図中、符号3は平面上を移動する移動体であり、符号30は移動体3に搭載された移動端末、符号20は基地局である。
【0007】
移動端末30は、所定のタイミングで位置標定信号を送信する。基地局20は、隣接配置された複数のアンテナを短い時間で切り替えながら、移動端末30から送信された位置標定信号(例えば、2.4GHz帯の無線信号)を受信する。
【0008】
図19は基地局20に配置されるアンテナの一例である。同図に示すように、4つのアンテナ25a〜25dが夫々位置標定信号の1波長(例えば、位置標定信号として2.4GHz帯の電波を用いた場合は波長λ=12.5cm)以下の間隔(例えばλ/4≒3cm)をあけて平面的に略正方形状に隣接配置されている。
【0009】
ここでアンテナ25の高さ位置における水平方向とアンテナ25に対する移動端末30の方向とのなす角をαとすれば、これらの間には次の関係がある。
α=arcTan(D(m)/L(m))=arcSin(ΔL(cm)/3(cm)) 尚、ΔL(cm)は、アンテナ25を構成しているアンテナ25a〜25dのうち、特定の2つのアンテナ25と移動端末30との間の伝搬路長の差(以下、経路差とも称する。)である。
【0010】
また4つのアンテナ25a〜25dのうち特定の2つのアンテナ25によって受信される位置標定信号の位相差をΔθとすれば、次の関係がある。
ΔL(cm)=Δθ/(2π/λ(cm))
【0011】
ここで例えば位置標定信号が2.4GHz帯の電波(波長λ=12.5(cm))である場合は
α=arcSin(Δθ/π)
となり、測定可能範囲(−π/2<Δθ<π/2)においてα=Δθ(ラジアン)となり、位相差Δθから基地局20が存在する方向αを特定することができる。
【0012】
尚、
図17に示すように、基地局20の平面からの地上高をH、移動端末30の平面からの地上高をhとし、基地局20の直下の平面上の位置を原点として平面上に直交座標(X,Y)を設定し、上記方向αから求まる、基地局20から移動端末30の方向とX軸とがなす角をΔΦ(x)、上記方向αから求まる、基地局20から移動端末30の方向とY軸とがなす角をΔΦ(y)とすれば、原点に対する移動端末30の位置Δd(x),Δd(y)は次式から求めることができる。
Δd(x)=(H−h)×Tan(ΔΦ(x))
Δd(y)=(H−h)×Tan(ΔΦ(y))
【0013】
ここでこれらの式から理解されるように、位置標定システムにより移動端末30の位置標定を行う際は基地局20の高さHと移動端末30の高さhが既知であることが前提となる。このため、例えば、位置標定システムを用いて人や荷物の現在位置を把握しようとした場合、移動端末30の高さhが移動端末30の携帯者や移動端末30が取り付けられる荷物ごとに異なれば、個々の移動端末30について高さhを予め取得して設定しておく必要があり、利便性の観点から考慮すべき点があった。
【0014】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、位置標定システムの利便性を向上させることが可能な位置標定システム、及び位置標定システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明の一つは、移動端末と、隣接して配置された複数のアンテナを有する基地局とを含み、前記移動端末が、当該移動端末の位置の標定に用いる無線信号である位置標定信号を送信し、前記基地局が、前記アンテナの夫々によって受信される前記位置標定信号の位相差Δθに基づき、当該基地局からみた前記移動端末が存在する方向Δφを取得し、求めた前記方向Δφに基づき前記移動端末の位置標定を行う位置標定システムであって、
前記移動端末が設けられた移動体が移動する平面から高さHの位置に前記基地局を設け、
前記基地局が、
前記高さHを記憶するとともに、前記移動体が位置X
0に存在する時の、前記基地局の直下から前記移動端末の直下までの前記平面上の距離d
0を記憶し、
前記移動体が前記位置X
0に存在する時に前記位置標定を行うことにより、前記移動体が前記位置X
0に存在する時の前記基地局からみた前記移動端末が存在する方向Δφ
0を取得し、
前記距離d
0及び求めた前記方向Δφ
0を次式に代入することにより、前記移動端末の前記平面からの高さh
0を求め、
d
0=(H−h
0)×tanΔφ
0
前記移動体が前記位置X
0以外の位置Xに存在する時に前記位置標定を行うことにより、前記移動体が前記位置Xに存在する時の前記基地局からみた前記移動端末が存在する方向Δφを取得し、
求めた前記方向Δφ及び求めた前記高さh
0を次式に代入することにより、前記移動体が前記位置Xに存在する時の前記基地局の直下から前記移動端末の直下までの前記平面上の距離dを求める。
d=(H−h
0)×tanΔφ
【0016】
本発明によれば、基地局は、例えば、自身の平面からの高さH、及び移動端末が位置X
0に存在する時の距離d
0を記憶し、移動体が位置X
0に存在する時に位置標定を行って移動端末の平面からの高さh
0を自動的に取得し、この高さh
0を用いて移動体が任意の位置Xに存在する時の距離dを取得するので、基地局に予め高さh
0を設定しておくことなく、移動体が任意の位置Xに存在する時の距離dを標定することができる。このため、例えば、位置標定システムを人や荷物などの移動体の位置標定を用いる場合、移動端末が携帯される位置や移動端末の取り付け位置等により移動体ごとに異なる移動端末の高さh
0をいちいち基地局に設定する必要がなく、位置標定システムの利便性を向上させることができる。
【0017】
本発明の他の一つは、上記位置標定システムであって、前記基地局と通信可能に接続し、前記位置X
0の地点に前記移動体が存在する時に、その旨を前記基地局に通知するトリガ信号発生装置を備え、前記基地局は、前記通知に基づき前記位置X
0の地点に前記移動体が存在するか否かを判断することとする。
【0018】
このように、トリガ信号発生装置から移動体が位置X
0の地点に存在する旨の通知を受けたことをトリガとして基地局が移動端末の位置標定を行うようにすることで、移動端末が位置X
0の近傍に存在する時点を確実に捉えることができ、移動端末の平面からの正確な高さh
0を自動的に取得することができる。
【0019】
本発明の他の一つは、上記位置標定システムであって、前記移動体に取り付けられた非接触型の応答装置を含み、前記トリガ信号発生装置は、前記応答装置から送られてくる応答信号を受信した場合に前記位置X
0の地点に前記移動体が存在する旨を前記基地局に通知することとする。尚、前記応答装置は、例えばRFIDタグであり、前記トリガ信号発生装置は、例えば前記RFIDタグの読み取り装置である。
【0020】
本発明の他の一つは、上記位置標定システムであって、前記平面の異なる位置に設置された複数の前記トリガ信号発生装置を備えることとする。
【0021】
本発明によれば、移動体がいずれかのトリガ信号発生装置の近傍を通過する度に高さh
0を更新することができ、移動体の移動中に移動端末の高さh
0が変化するような場合でも位置標定の精度を確保することができる。
【0022】
本発明の他の一つは、上記位置標定システムであって、互いに通信可能に接続された複数の前記基地局を備え、前記基地局の夫々は、前記移動端末について前記基地局の一つによって求められた前記高さh
0を共有することとする。
【0023】
このように複数の基地局の夫々が基地局の一つによって求められた高さh
0を共有することで、各基地局が移動端末の高さh
0を個別に取得する必要がなく、何れかの基地局によって最新に取得された高さh
0を用いて移動体の現在位置を標定することができる。
【0024】
本発明の他の一つは、上記位置標定システムであって、前記移動端末は、前記位置標定信号に自身の識別子を付帯させて送信し、前記基地局の夫々は、前記移動端末について前記基地局の一つによって求められた前記高さh
0を当該移動端末の前記識別子と対応づけて共有し、前記位置標定信号を受信するとこれに付帯する識別子に対応する前記高さh
0を取得する。
【0025】
このようにすれば、複数の移動端末が存在する場合でも、基地局20は各移動端末の高さh
0を確実に取得することができる。
【0026】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、位置標定システムの利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に実施形態として説明する位置標定システム1の概略的な構成を示している。位置標定システム1は、例えば、人、荷物、貨物などの移動体3の現在位置を監視するシステム、移動体3の道案内や移動体3の目的地までの誘導を行うシステムなどに広く適用することができる。
【0030】
位置標定システム1は、システム管理センタやシステム監視センタなどに設けられるサーバ装置10、位置標定システム1が適用されるエリアの各所に設けられる複数の基地局20、移動体3に携帯もしくは取り付けられる移動端末30、及び一つ以上のトリガ信号発生装置40を含んで構成されている。
【0031】
基地局20は、移動体3が移動する平面Zから所定の高さ位置に設けられる。例えば、位置標定システム1が屋内で用いられる場合には、基地局20は柱や建物の壁などに設けられる。また例えば、位置標定システム1が屋外で用いられる場合には、基地局20は電柱や鉄塔などに設けられる。
【0032】
基地局20、移動端末30、及びトリガ信号発生装置40は、いずれもサーバ装置10と通信ネットワーク5を介して通信可能に接続している。通信ネットワーク5は、有線もしくは無線による通信手段であって、例えば、専用線、公衆回線、インターネット等である。
【0033】
尚、トリガ信号発生装置40については必ずしも通信ネットワーク5に接続していなくてもよい。但し、トリガ信号発生装置40は、少なくとも一つ以上の基地局20と通信可能に接続しているものとする。
【0034】
図2にサーバ装置10の主なハードウエアを示している。同図に示すように、サーバ装置10は、中央処理装置11(CPU、MPU等)、記憶装置12(半導体メモリ(RAM、ROM、NVRAM等)、ハードディスク装置等)、入力装置13(キーボードやマウス等)、表示装置14(液晶ディスプレイ等)、サーバ装置10を通信ネットワーク5に接続する通信インタフェース15(NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール等)などを備える。このうち表示装置14には、例えば、移動体3の現在位置や移動方向などを示す情報がリアルタイムに表示される。同図に示すように、サーバ装置10の各構成要素は、バス18を介して互いに通信可能に接続されている。
【0035】
図3にサーバ装置10が備える主な機能を示している。同図に示すように、サーバ装置10は、情報収集部101、情報提供部102、及び設定情報記憶部103を備える。これらの機能は、サーバ装置10が備えるハードウエアによって、もしくは、サーバ装置10の中央処理装置11が、記憶装置12に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0036】
情報収集部101は、基地局20又は移動端末30から随時送られてくる、移動端末30の現在位置などの情報を受信して管理する。
【0037】
情報提供部102は、例えば、基地局20又は移動端末30に対して、移動体3の現在位置や移動方向などの監視情報、移動体3の安全確保に関する情報や道案内情報、目的地までの誘導情報、現在位置周辺の地理情報などを提供する。
【0038】
設定情報記憶部103は、例えば、基地局20の設置位置を示す情報(緯度、経度、設置高さ等)を設定情報として記憶する。
【0039】
図4に移動端末30の主なハードウエアを示している。同図に示すように、移動端末30は、中央処理装置31(CPU、MPU等)、記憶装置32(半導体メモリ(RAM、ROM、NVRAM等)、ハードディスク装置等)、後述する位置標定信号の送信や他の装置との間での無線通信を行う無線通信インタフェース33(NIC、無線通信モジュール等)、無線通信インタフェース33によって行われる無線通信に用いられるアンテナ34、入力装置35(タッチパネル、操作ボタン等)、表示装置36(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)、及び応答装置37を備える。尚、これらの各構成要素はバス39を介して互いに通信可能に接続されている。
【0040】
アンテナ34は、例えば、指向性アンテナである。アンテナ34は、移動端末30の筐体と一体に設けられていてもよいし、移動端末30の筐体とは別体に設けられていてもよい。移動端末30を壁等の障害物が存在する屋内等で用いる場合には、アンテナ34は円偏波指向性アンテナであることが望ましい。円偏波の反射波(又は定在波)の偏波面は、壁等の障害物で反射した際に反転するが、円偏波指向性アンテナを用いることで、反射波や定在波を効果的に減衰させることができるからである。
【0041】
応答装置37は、例えば、受動型もしくは能動型のRFIDタグであり、トリガ信号発生装置40から後述の応答要求信号を受信すると無線の応答信号を送信する。尚、この応答信号には、当該応答装置37が設けられている移動端末30の識別子(以下、端末IDと称する。)が付帯される。
【0042】
応答装置37は、
図4に示すようにバス39を介して移動端末30の他の構成要素の電気的に接続されていてもよいし、移動端末30の他の構成要素とは電気的に独立した装置として移動体3に設けてもよい。
【0043】
尚、応答装置37は、例えば、応答要求信号の受信有無に拘わらず短い時間間隔で応答信号を繰り返し送信するものとしてもよい。この場合、例えば、トリガ信号発生装置40に電界強度計(RSSI)を設け、トリガ信号発生装置40が、応答装置37から所定の電界強度を超える応答信号を受信した場合に後述のトリガ信号を基地局20に入力するようにする。
【0044】
図5に移動端末30が備える主な機能を示している。同図に示すように、移動端末30は、位置標定信号送信部301、情報送受信部302、情報表示部303、及び応答信号送信部304を備える。これらの機能は、移動端末30が備えるハードウエアによって、もしくは、移動端末30の中央処理装置31が記憶装置32に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0045】
上記機能のうち、位置標定信号送信部301は、移動端末30の位置の標定に用いられる無線信号(以下、位置標定信号と称する)を無線通信インタフェース33から送信する。位置標定信号送信部301は、例えば短い時間間隔で繰り返し(例えば周期的に)位置標定信号を送信する。
【0046】
情報送受信部302は、無線通信インタフェース33による無線通信や通信ネットワーク5による有線通信によりサーバ装置10もしくは基地局20と通信し、移動体3に提示するための情報の受信(ダウンロード)や、サーバ装置10もしくは基地局20において用いられる各種情報の送信(アップロード)などを行う。
【0047】
情報表示部303は、移動体3である人などに提示する情報を表示装置36に出力する。
【0048】
応答信号送信部304は、応答装置37がトリガ信号発生装置40から後述のトリガ信号を受信すると応答信号を送信する。尚、応答装置37が受動型のRFIDタグである場合、応答装置37は、応答要求信号の電力を利用して応答信号の生成及び送信を行う。
【0049】
図6に基地局20の主なハードウエアを示している。同図に示すように、基地局20は、中央処理装置21(CPUやMPU等)、記憶装置22(半導体メモリ(RAM、ROM、NVRAM等)、ハードディスク装置等)、基地局20を通信ネットワーク5に接続するための通信インタフェース23(NIC、無線通信モジュール等)、無線通信を行う無線通信インタフェース24(無線通信モジュール等)、複数のアンテナ25a〜25d(第2アンテナ)(以下の説明においてこれらをアンテナ25と総称することがある。)、及びアンテナ切替スイッチ26を備える。これらの各構成要素は、バス28を介して通信可能に接続されている。
【0050】
中央処理装置21は、記憶装置22に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、基地局20の様々な機能を実現する。無線通信インタフェース24は、移動端末30から送信された位置標定信号を受信する。
【0051】
アンテナ25は、いずれも指向性アンテナである。アンテナ切替スイッチ26は、複数のアンテナ25a〜25dのうちのいずれかを順次選択してアンテナ25を無線通信インタフェース24に接続する。尚、位置標定システム1を壁等の障害物が存在する屋内等で用いる場合には、アンテナ25として円偏波指向性アンテナを用いることが好ましい。円偏波の反射波(又は定在波)の偏波面は壁等での反射時に反転するので、アンテナ25として円偏波指向性アンテナを用いることで反射波(又は定在波)を効果的に減衰させることができるからである。
【0052】
図7に基地局20が備える主な機能を示している。同図に示すように、基地局20は、通信処理部201、位置標定信号受信部202、設定情報記憶部203、位置標定部204、トリガ信号受信部205、及び端末情報共有部206を備える。尚、これらの機能は、基地局20が備えるハードウエアによって、もしくは、基地局20の中央処理装置21が記憶装置22に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0053】
通信処理部201は、通信インタフェース23や無線通信インタフェース24を制御して移動端末30やサーバ装置10との間でデータの送信又は受信を行う。
【0054】
位置標定信号受信部202は、無線通信インタフェース24及びアンテナ切替スイッチ26を制御して移動端末30から送信された位置標定信号を受信する。
【0055】
設定情報記憶部203は、前述した設定情報(例えば、当該基地局20の現在位置を示す情報(緯度、経度、高さH等)、後述する、移動体3が位置X
0に存在する時の、基地局20の直下から移動端末30の直下までの平面Z上の距離d
0等)を記憶する。
【0056】
位置標定部204は、移動体3(移動端末30)の位置標定を実施するタイミング(例えば、位置標定信号を受信した時、予め設定した時刻が到来した時、移動体3の状態が変化した時(移動端末30の取り付け位置が変更された時)等)が到来すると、位置標定信号受信部202が受信した位置標定信号に基づき移動端末30の現在位置を標定する。位置標定部204によって標定された移動端末30の現在位置は、通信処理部201によってサーバ装置10や移動端末30に随時送信されて様々な目的に利用される。位置標定の仕組みの詳細については後述する。
【0057】
トリガ信号受信部205は、トリガ信号発生装置40から後述のトリガ信号を受信すると、その旨を位置標定部204に通知する。位置標定部204は、上記通知を受けると直ちに移動端末30の位置標定を実施する。
【0058】
端末情報取得部206は、移動端末30が設けられている移動体3がトリガ信号発生装置40の近傍(以下、位置X
0と称する。)に存在する時、基地局20の直下から移動端末30の直下までの距離d
0又は移動端末30の平面Zからの高さh
0を取得して記憶する。
【0059】
端末情報共有部207は、通信ネットワーク5を介して他の基地局20と情報(例えば、移動端末30の高さh
0)を共有する。
【0060】
図8にトリガ信号発生装置40の主なハードウエアを示している。同図に示すように、トリガ信号発生装置40は、中央処理装置41(CPU、MPU等)、記憶装置42(半導体メモリ(RAM、ROM、NVRAM等)等)、通信インタフェース43(NIC、無線通信モジュール等)、及び端末検出装置44を備える。これらの各構成要素は、バス28を介して通信可能に接続されている。
【0061】
端末検出装置44は、移動端末30が当該トリガ信号発生装置40の近傍に存在することを検出する。端末検出回路44は、例えば、RFIDタグの読取装置を用いて実現される。
【0062】
端末検出装置44は、移動端末30に対して応答信号の送信を促す信号である応答要求信号(例えばRFIDタグへのレスポンス要求信号)を短い時間間隔で繰り返し(例えば、短い周期で繰り返し)無線送信する。
【0063】
端末検出回路44は、端末検出装置44の近傍に存在して上記応答要求信号を受信した移動端末30から送信されてくる応答信号(例えば、RFIDタグのレスポンス信号)を受信すると、その旨を示す信号を出力する。尚、端末検出装置44が送信する応答要求信号は微弱信号であり、トリガ信号発生装置40の近傍に存在する移動端末30のみが受信することができる。
【0064】
図9にトリガ信号発生装置40が備える主な機能を示している。同図に示すように、トリガ信号発生装置40はトリガ信号送信部401を備える。尚、トリガ信号送信部401は、トリガ信号発生装置40が備えるハードウエアによって、もしくは、トリガ信号発生装置40の中央処理装置41が記憶装置42に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0065】
トリガ信号送信部401は、端末検出装置44から移動端末30が近傍に存在することを示す信号が出力されると、その旨を基地局20に通知する信号(以下、トリガ信号と称する。)を生成してこれを送信する。尚、トリガ信号送信部401は、送信するトリガ信号に、当該トリガ信号を発生する契機となった移動端末30から受信した応答信号に付帯していた端末IDを付帯させる。
【0066】
<位置標定の仕組み>
次に位置標定システム1によって行われる移動端末30の現在位置の標定の仕組みについて説明する。尚、以下の説明の前提として、移動端末30は、十分に短い時間間隔で繰り返し位置標定信号を送信するものとする。また基地局20は、4つのアンテナ25a〜25dを十分に短い周期で切り換えながら位置標定信号を受信するものとする。
【0067】
図10に移動端末30のアンテナ34から送信される位置標定信号の一例を示している。同図に示すように、位置標定信号1000は、制御信号1011、測定信号1012、及び端末情報1013を含む。このうち制御信号1011は、変調波や各種の制御信号を含む。また測定信号1012は、数m秒程度の無変調波(例えば、基地局20に対する移動端末30の存在する方向や基地局20に対するその移動端末30までの相対距離の検出に用いる信号(例えば、2048チップの拡散符号))を含む。端末情報1013には、例えば、その移動端末30の端末IDが含まれる。
【0068】
図11に基地局20と移動端末30の位置関係を示している。同図に示すように、基地局20は、移動体3が移動する平面Zから高さH(m)の位置に固定されている。また移動端末30は平面Zから高さh(m)の位置に存在する。尚、平面Z上、基地局20の直下から移動端末30の直下までの直線距離はL(m)である。
【0069】
図12に基地局20に設けられる4つのアンテナ25a〜25dを示している。同図に示すように、4つのアンテナ25a〜25dは、夫々、位置標定信号1000の1波長(例えば、位置標定信号1000として2.4GHz帯の電波を用いた場合は波長λ=12.5cm)以下の間隔(例えば3cm)を空けて平面的に略正方形状に隣接配置されている。尚、4つのアンテナ25a〜25dは、いずれも指向性アンテナ(例えば、円偏波指向性アンテナ)であり、これらのいずれについてもその指向方向は斜め下方向に向けられている。
【0070】
同図において、アンテナ25の高さ位置における水平方向とアンテナ25に対する移動端末30の方向とのなす角をαとすれば、これらの間には次の関係がある。
α=arcTan(D(m)/L(m))=arcSin(ΔL(cm)/3(cm))
・・・式1
【0071】
尚、ΔL(cm)は、アンテナ25を構成しているアンテナ25a〜25dのうち、特定の2つのアンテナ25と移動端末30との間の伝搬路長の差(以下、これを経路差とも称する。)である。
【0072】
ここで4つのアンテナ25a〜25dのうち、特定の2つのアンテナ25で受信される位置標定信号1000の位相差をΔθとすれば、次の関係がある。
ΔL(cm)=Δθ/(2π/λ(cm)) ・・・式2
【0073】
ここで例えば位置標定信号1000が2.4GHz帯の電波(波長λ=12.5(cm))である場合は
α=arcSin(Δθ/π) ・・・式3
となり、測定可能範囲(−π/2<Δθ<π/2)においてα=Δθ(ラジアン)となり、位相差Δθから基地局20が存在する方向αを特定することができる。
【0074】
尚、
図13に示すように、基地局20のアンテナ25の平面Zからの高さをH、移動端末30の平面Zからの高さをhとし、基地局20の直下の平面Z上の位置を原点として平面Z上に直交座標(X、Y)を設定し、上記方向αから求まる、基地局20から移動端末30の方向とX軸とがなす角をΔφ(x)、上記方向αから求まる、基地局20から移動端末30の方向とY軸とがなす角をΔφ(y)とすれば、原点に対する移動端末30の位置Δd(x),Δd(y)は次式から求めることができる。
Δd(x)=(H−h)×Tan(Δφ(x)) ・・・式4
Δd(y)=(H−h)×Tan(Δφ(y)) ・・・式5
【0075】
そして基地局20から平面Zに下ろした垂線が平面Zと交わる点を原点(X1,Y1)とすれば、移動端末30の現在位置(Xx,Yy)は次式から求めることができる。
Xx=X1+d(x) ・・・式6
Yy=Y1+d(y) ・・・式7
【0076】
尚、移動端末30の位置をd、位置標定により取得される基地局20から見た移動端末30が存在する方向をΔφとすれば、式4,5は、座標系を特定しない、次の形で表わすことができる。
d=(H−h)×tanΔφ ・・・式8
【0077】
以上に説明した位置標定の原理については、例えば、特開2004−184078号公報、特開2005−351877号公報、特開2005−351878号公報、及び特開2006−23261号公報等に詳述されている。
【0078】
=処理説明=
次に位置標定システム1によって行われる位置標定に関する処理について説明する。尚、以下の説明において、基地局20は、当該基地局20の高さH、及び移動体3がトリガ発生装置40の近傍(以下、位置X
0と称する。)に存在する時の基地局20の直下から移動端末30の直下までの平面Z上の距離d
0を、いずれも既知の値として記憶しているものとする。
【0079】
図14乃至
図16に高さH及び距離d
0を既知として移動端末30の高さh
0を求める際に位置標定システム1において行われる処理を示している。
【0080】
このうち
図14は、移動端末30がトリガ信号発生装置40に接近(もしくは通過)することによりトリガ信号発生装置40から基地局20にトリガ信号が送信される際に移動端末30とトリガ信号発生装置40との間で行われる処理(以下、トリガ信号送信処理S1400と称する。)を説明するフローチャートである。
【0081】
同図に示すように、トリガ信号発生装置40は、応答要求信号を短い時間間隔で(例えば短い周期で繰り返し)送信している(S1411)。
【0082】
移動端末30は、トリガ信号発生装置40からの応答要求信号の受信をリアルタイムに待機している(S1421)。移動端末30は、移動体3がトリガ信号発生装置40に接近(もしくは通過)してトリガ信号発生装置40から送信されている応答要求信号を受信すると(S1421:YES)、直ちに応答信号を送信する(S1422)。尚、前述したように、この応答信号には当該移動端末30の端末IDが付帯する。
【0083】
トリガ信号発生装置40は、移動端末30からの応答信号の受信をリアルタイムに待機している(S1431)。トリガ信号発生装置40は、移動端末30から応答信号を受信すると(S1431:YES)、直ちに基地局20にトリガ信号を送信する(S1432)。
【0084】
図15は、基地局20がトリガ信号発生装置40からトリガ信号を受信した場合に、当該トリガ信号が送信される契機となった移動端末30の位置標定を行い、当該移動端末30の高さh
0を取得すべく基地局20が行う処理(以下、端末情報取得処理S1500と称する。)を説明するフローチャートである。
【0085】
同図に示すように、基地局20は、トリガ信号発生装置40からのトリガ信号の受信をリアルタイムに待機している(S1511)。基地局20は、トリガ信号発生装置40からトリガ信号を受信すると(S1511:YES)、当該トリガ信号が送信される契機となった移動端末30からの位置標定信号1000の受信待機を開始する(S1512)。
【0086】
基地局20は、移動端末30から位置標定信号1000を受信すると(S1512:YES)、当該移動端末30の現在位置(位置X
0)について位置標定を行い、基地局20からみた当該移動端末30が存在する方向Δφ
0を求める(S1513)。
【0087】
尚、基地局20は、受信した位置標定信号1000が当該移動端末30から送られてきたものであるか否かの判断を、受信したトリガ信号に付帯している端末IDと、受信した位置標定信号1000に付帯している端末IDとが一致するか否かを調べることにより行う。
【0088】
次に基地局20は、予め記憶している高さH及び距離d
0、及びS1513で行った位置標定により取得した当該移動端末30が存在する方向Δφ
0を次式に代入することにより、当該移動端末30の高さh
0を求め、求めた高さh
0を記憶する(S1514)。
d
0=(H−h
0)×tanΔφ
0 ・・・式9
【0089】
次に基地局20は、一つ以上の他の基地局20との間で移動端末30に関する情報を共有すべく、求めた高さh
0を当該移動端末30の端末IDとともに一つ以上の他の基地局20に通知する。尚、この通知は、基地局20間で直接通信することにより行うようにしてもよいし、サーバ装置10を介して間接的に行うようにしてもよい。
【0090】
図16は基地局20が他の基地局20から移動端末30の高さh
0を取得する処理(以下、端末情報更新処理S1600と称する。)を説明するフローチャートである。
【0091】
同図に示すように、基地局20は他の基地局20からの高さh
0の受信をリアルタイムに待機している(S1611)。基地局20は、他の基地局20から高さh
0を受信すると、これに付帯する端末IDと対応づけて記憶する(S1612)。尚、基地局20は、既にその移動端末30の高さh
0を記憶している場合は記憶している高さh
0を、新たに受信した高さh
0に更新する。
【0092】
図17は、基地局20が、移動体3が位置X
0とは異なる任意の位置Xに存在する時、移動端末30の現在位置(以下、位置Xとも称する。)を標定しようとして行う処理(以下、現在位置標定処理S1700と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともに説明する。
【0093】
移動端末30は、位置標定信号1000を短い時間間隔で(例えば短い周期で繰り返し)送信している(S1711、S1712)。
【0094】
基地局20は、位置標定信号1000を受信すると(S1721:YES)、前述した位置標定の仕組みにより移動端末30の現在位置(位置X)を標定し、基地局20からみた当該移動端末30が存在する方向Δφを求める(S1722)。
【0095】
そして基地局20は、求めた方向ΔφとS1514で求めた高さh
0とに基づき、移動端末30の現在位置d(移動体3が位置Xに存在する時の基地局20の直下から移動端末30の直下までの平面Z上の距離)を求める。具体的には、基地局20は、求めた方向ΔφとS1514で求めた高さh
0を次式に代入することにより、移動端末30の現在位置dを求める。
d=(H−h
0)×tanΔφ ・・・式10
【0096】
尚、このようにして求められた移動端末30の現在位置dは、例えば、サーバ装置10や移動端末30に送信されてサーバ装置10もしくは移動端末30がユーザに提供するサービスに用いられる。
【0097】
以上に説明したように、本実施形態の位置標定システム1にあっては、基地局20が自身の平面Zからの高さH、及び移動端末30が位置X
0に存在する時の距離d
0を記憶している場合、まず移動体3が位置X
0に存在する時に位置標定を行うことにより移動端末30の平面Zからの高さh
0を自動的に取得する。そして基地局20は、この高さh
0を用いて移動体3が任意の位置Xに存在する時の距離dを取得する。このように基地局20は、移動端末30が位置X
0に存在する時に移動端末30の位置標定を行って自動的に移動端末30の高さh
0を取得するので、予め基地局20に移動端末30の高さを設定しておく必要がなく、位置標定システム1の利便性を向上することができる。
【0098】
また移動端末30の高さh
0は基地局20間で共有されるので(S1515,S1600)、各基地局20が移動端末30の高さh
0を個別に取得する必要がなく、何れかの基地局20によって最新に取得された高さh
0を用いて移動体3の現在位置を標定することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0100】
例えば、移動体3が移動するエリア内の複数の場所にトリガ発生装置40を設け、移動体3がいずれかのトリガ発生装置40に接近する度に移動端末30の高さh
0を取得し直すようにすれば、移動体3の移動中に移動端末30の高さが変化するような場合でも、常に正確に移動端末30の位置を標定することができる。このため、例えば、位置標定システム1を人の現在位置の管理に用いた場合、人が移動端末30を携帯する位置が変化しても、人の現在位置を精度よく標定することができる。また位置標定システム1を荷物や貨物の現在位置の標定に用いた場合、荷物や貨物の位置が変化しても、荷物や貨物の現在位置を精度よく標定することができる。
【0101】
また例えば、移動端末30が位置標定信号1000に自身の端末IDを付帯させて送信し、複数の基地局20の夫々が、複数の移動端末30の夫々についていずれかの基地局20によって求められた高さh
0を当該移動端末30の端末IDと対応づけて共有し、いずれかの移動端末30から位置標定信号1000を受信した場合に基地局20がその位置標定信号1000の端末IDに対応する高さh
0を用いて当該移動端末30の位置標定を行うようにしてもよい。このようにすれば、エリア内に複数の移動端末30が存在する場合でも、基地局20はこれから位置を標定しようとする移動端末30の高さh
0を確実に取得することができる。
【0102】
移動端末30は、例えば、アクティブ型もしくはパッシブ型のRFIDタグとして機能するものであってもよい。この場合、位置標定信号1000を、電磁誘導によってRFIDタグが備えるアンテナコイルから基地局20に送信するようにしてもよい。