特許第5976422号(P5976422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976422
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電子カメラ
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20160809BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20160809BHJP
   H04N 101/00 20060101ALN20160809BHJP
【FI】
   H04N5/232 Z
   G03B15/00 H
   H04N101:00
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-145347(P2012-145347)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-11543(P2014-11543A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】313003417
【氏名又は名称】株式会社ザクティ
(74)【代理人】
【識別番号】100103056
【弁理士】
【氏名又は名称】境 正寿
(72)【発明者】
【氏名】松田 勝典
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−258927(JP,A)
【文献】 特開2006−126814(JP,A)
【文献】 特開2003−087619(JP,A)
【文献】 特開2008−167273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 15/00
H04N 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段、
K個(K:3以上の整数)の撮像モードを案内するメニューを出力する出力手段、
所望のL個(L:2以上でK以下の整数)の撮像モードを前記K個の撮像モードの中から選択する第1選択操作を前記出力手段の処理に関連して受け付ける第1受け付け手段、
前記第1選択操作の後の画像取得指示に応答して前記撮像手段から電子画像を取得する取得手段、および
前記第1選択操作によって選択されたL個の撮像モードにそれぞれ対応するL個の処理を前記取得手段によって取得された電子画像に施してL個の処理画像を作成する作成手段を備え
前記L個の処理の順序を各々が定義する複数の取得モードのいずれか1つを選択する第2選択操作を受け付ける第2受け付け手段をさらに備え、
前記作成手段は前記第2選択操作によって選択された取得モードに従う順序で前記L個の処理を実行し、
前記複数の取得モードの1つは、前記取得手段の処理の実行回数の低減を優先する処理時間優先モードに相当し、
前記複数の取得モードの他の1つは前記第1選択操作による選択順を優先するモードに相当する、電子カメラ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に複数の画像を連続して取得する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、撮像手段は、複数枚の画像を連続して撮影し、複数の画像データを取得する。制御手段は、取得された複数の画像データから1つの画像データを選択し、選択した画像データと残りの画像データとを1つの画像ファイルとして記録させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/087914号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、共通の画角を有しかつ互いに異なった品質の複数の画像を取得する場合は、撮像設定を変更する毎に新たなシャッタ操作が必要であり、また、前回のシャッタ操作時と共通となるように画角を合わせる必要もある。したがって、高度かつ煩雑な操作が必要となって操作性が低下する恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、操作性を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段(16)、K個(K:3以上の整数)の撮像モードを案内するメニューを出力する出力手段(S1)、所望のL個(L:2以上でK以下の整数)の撮像モードをK個の撮像モードの中から選択する第1選択操作を出力手段の処理に関連して受け付ける第1受け付け手段(S3)、第1選択操作の後の画像取得指示に応答して撮像手段から電子画像を取得する取得手段(S39~S41)、および第1選択操作によって選択されたL個の撮像モードにそれぞれ対応するL個の処理を取得手段によって取得された電子画像に施してL個の処理画像を作成する作成手段(S43)を備える。
【0007】
好ましくは、L個の撮像モードのうち新たな電子画像の取得を要する特定撮像モードに対応して画像取得指示を発行する発行手段(S51)をさらに備え、取得手段は特定撮像モードに対応した設定で処理を実行する。
【0008】
好ましくは、L個の処理の順序を各々が定義する複数の取得モードのいずれか1つを選択する第2選択操作を受け付ける第2受け付け手段(S21~S23)をさらに備え、作成手段は第2選択操作によって選択された取得モードに従う順序でL個の処理を実行する。
【0009】
さらに好ましくは、複数の取得モードの1つは処理時間を優先するモードに相当し、複数の取得モードの他の1つは第1選択操作による選択順を優先するモードに相当する。
【0010】
さらに好ましくは、処理時間を優先するモードは取得手段の処理の実行回数の低減を優先するモードに相当する。
【0011】
この発明に従う画像生成プログラムは、撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(26)に、K個(K:3以上の整数)の撮像モードを案内するメニューを出力する出力ステップ(S1)、所望のL個(L:2以上でK以下の整数)の撮像モードをK個の撮像モードの中から選択する第1選択操作を出力ステップの処理に関連して受け付ける第1受け付けステップ(S3)、第1選択操作の後の画像取得指示に応答して撮像手段から電子画像を取得する取得ステップ(S39~S41)、および第1選択操作によって選択されたL個の撮像モードにそれぞれ対応するL個の処理を取得ステップによって取得された電子画像に施してL個の処理画像を作成する作成ステップ(S43)を実行させるための、画像生成プログラムである。
【0012】
この発明に従う外部制御プログラムは、撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段(16)、およびメモリ(44)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、K個(K:3以上の整数)の撮像モードを案内するメニューを出力する出力ステップ(S1)、所望のL個(L:2以上でK以下の整数)の撮像モードをK個の撮像モードの中から選択する第1選択操作を出力ステップの処理に関連して受け付ける第1受け付けステップ(S3)、第1選択操作の後の画像取得指示に応答して撮像手段から電子画像を取得する取得ステップ(S39~S41)、および第1選択操作によって選択されたL個の撮像モードにそれぞれ対応するL個の処理を取得ステップによって取得された電子画像に施してL個の処理画像を作成する作成ステップ(S43)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
所望のL個の撮像モードが第1選択操作によって選択され、その後に画像取得操作が行われると、撮像手段から電子画像が取得され、L個の撮像モードに対応するL個の処理が取得された電子画像に対して施され、L個の処理画像が作成される。
【0014】
L個の撮像モードを第1選択操作に応答して選択することで、処理画像の品質の自由度が確保される。また、L個の処理画像を画像取得操作に応答して作成することで、処理画像間での画角および/または被写体のずれが抑制される。こうして操作性が向上する。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
図3図2実施例に適用されるテーブルの構成の一例を示す図解図である。
図4】撮影モード一覧画面の一例を示す図解図である。
図5図2実施例に適用される他のテーブルの構成の一例を示す図解図である。
図6】取得順序選択画面の一例を示す図解図である。
図7図2実施例に適用されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
図8図2実施例に適用されるSDRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
図9】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
図10図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
図11図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
図12図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
図13】この発明の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0018】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する。出力手段2は、K個(K:3以上の整数)の撮像モードを案内するメニューを出力する。第1受け付け手段3は、所望のL個(L:2以上でK以下の整数)の撮像モードをK個の撮像モードの中から選択する第1選択操作を出力手段の処理に関連して受け付ける。取得手段4は、第1選択操作の後の画像取得指示に応答して撮像手段から電子画像を取得する。作成手段5は、第1選択操作によって選択されたL個の撮像モードにそれぞれ対応するL個の処理を取得手段によって取得された電子画像に施してL個の処理画像を作成する。
【0019】
所望のL個の撮像モードが第1選択操作によって選択され、その後に画像取得操作が行われると、撮像手段から電子画像が取得され、L個の撮像モードに対応するL個の処理が取得された電子画像に対して施され、L個の処理画像が作成される。
【0020】
L個の撮像モードを第1選択操作に応答して選択することで、処理画像の品質の自由度が確保される。また、L個の処理画像を画像取得操作に応答して作成することで、処理画像間での画角および/または被写体のずれが抑制される。こうして操作性が向上する。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10が起動されると、CPU26は、操作者の操作に従ってモード登録タスクまたはマルチ撮像タスクを起動する。
【0022】
これらのタスクの実行のために、図3に示す撮影モードテーブルTBL1が準備される。撮影モードテーブルTBL1は、撮影モードの名称および撮像設定値を格納するためのテーブルであり、フラッシュメモリ44に保存される。
【0023】
モード登録タスクにおいては、ディジタルカメラ10を用いて撮影する際に用いられる操作者の所望の複数の撮影モードが、操作者の操作によってあらかじめ登録される。このようなモード登録タスクが起動されると、CPU26は、撮影モードテーブルTBL1に登録された撮影モードの名称を読み出し、撮影モード一覧画面の表示をLCDドライバ36に命令する。LCDドライバ36は、読み出された名称に基づいてLCDモニタ38を駆動する。この結果、図4に示す撮影モード一覧画面がLCDモニタ38に表示される。
【0024】
撮影モード一覧画面においては、ディジタルカメラ10を用いて撮影する際に設定可能な撮影モードの一覧が表示される。操作者は、表示された撮影モードの一覧から撮影時に使用したい複数の撮影モードを、キー入力装置28を通じて選択する。なお、選択された撮影モードの名称は、表示色の変更によって他の撮影モードと区別される。
【0025】
キー入力装置28を通じて終了操作が行われると、CPU26は、選択された撮影モードを図5に示す選択テーブルTBL2に選択順に登録する。なお、選択テーブルTBL2は、フラッシュメモリ44に保存される。
【0026】
図2に戻って、この実施例のディジタルビデオカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞りユニット14を含む。これらの部材を経たシーンの光学像は、ドライバ18cによって駆動されるイメージセンサ16の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0027】
マルチ撮像タスクにおいては、モード登録タスクにおいて登録された複数の撮影モードに基づいて、複数の静止画ファイルが生成される。このようなマルチ撮像タスクが起動されると、図6に示す取得順序選択画面がLCDモニタ38に表示される。取得順序選択画面は、モード登録タスクにおいて登録された複数の撮影モードに基づく画像の取得を登録順および処理時間を優先した順のいずれに従って実行するのかを、キー入力装置28を通じて操作者が選択するための画面である。
【0028】
登録順が選択された場合、CPU26は、選択テーブルTBL2の登録内容をそのまま図7に示すレジスタRGST1に読み出す。
【0029】
処理時間優先順が選択された場合、CPU26は、選択テーブルTBL2に登録された複数の撮影モードの順序をソートする。選択テーブルTBL2に登録されたいずれかの撮影モードに従って取り込まれた生画像データを登録された他の撮影モードに従った画像の生成に用いることが可能な場合、取り込み処理の実行回数を減らすことができる。したがって、これらの撮影モードに従う処理を連続して行うことによって、全体の処理時間が短縮される。このような2以上の撮影モードが連続するように、撮影モードの順序がソートされる。この場合、ソート後の内容がレジスタRGST1に読み出される。
【0030】
レジスタRGST1への読み出しが完了すると、CPU26は、動画取り込み処理を実行するべく、露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しをドライバ18cに命令する。ドライバ18cは、図示しないSG(Signal Generator)から周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージセンサ16の撮像面を露光し、かつイメージセンサ16の撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様でそれぞれ読み出す。イメージセンサ16からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0031】
前処理回路20は、イメージセンサ16から出力された生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御などの処理を施す。これらの処理を施された生画像データは、メモリ制御回路30を通してSDRAM32の生画像エリア32a(図8参照)に書き込まれる。
【0032】
LCDドライバ36は、生画像エリア32aに格納された生画像データを繰り返し読み出し、読み出された画像データをLCDモニタ38の解像度に適合するように縮小し、そして縮小された画像データに基づいてLCDモニタ38を駆動する。この結果、シーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がLCDモニタ38に表示される。
【0033】
シャッタボタン28shが操作されると、CPU26は、マルチ撮像タスクの下で、レジスタRGST1に登録された撮影モードに従った取り込み処理と画像処理または画像処理のみを、レジスタRGST1に登録された撮影モードの順に繰り返し実行する。また、画像処理が完了する毎に記録処理が実行される。
【0034】
取り込み処理は、撮影モードテーブルTBL1に登録された撮像設定値に基づいて実行される。例えば、撮影モードが“オート撮影”の場合、AE処理およびAF処理の実行後に、1フレームの生画像データがSDRAM32の静止画像エリア32b(図8参照)に取り込まれる。なお、AE処理およびAF処理は、以下の要領で実行される。
【0035】
図9を参照して、イメージセンサ16の撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは水平方向および垂直方向の各々において16分割され、256個の分割エリアが評価エリアEVAを形成する。また、図2に示す前処理回路20は、上述した処理に加えて、生画像データを簡易的にRGBデータに変換する簡易RGB変換処理を実行する。
【0036】
AE評価回路22は、前処理回路20によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVAに属するRGBデータを、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAE評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE評価回路22から出力される。
【0037】
AF評価回路24は、前処理回路20によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVAに属するRGBデータの高周波成分を、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAF評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAF評価回路24から出力される。
【0038】
CPU26は、AE評価回路24の出力に基づくAE処理をマルチ撮像タスクの下で実行し、これによって算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間をドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定する。この結果、取り込み画像の明るさが厳格に調整される。CPU26はまた、AF評価回路24からの出力に基づくAF処理をマルチ撮像タスクの下で実行し、ドライバ18aを通じてフォーカスレンズ12を合焦点に設定する。これによって、取り込み画像の鮮鋭度が向上する。
【0039】
画像処理は、撮影モードテーブルTBL1に登録された撮像設定値に基づいて実行される。撮影モードが“オート撮影”の場合の画像処理においては、後処理回路34によって、静止画像エリア32bに取り込まれた生画像データが読み出されて、標準的な白バランス調整処理が施される。画像処理が施された画像データは、記録用画像データとしてSDRAM32の記録画像エリア32c(図8参照)に書き込まれる。
【0040】
上述のAE処理およびAF処理の実行後に静止画像エリア32bに取り込まれた生画像データは、撮影モードが例えば“オート撮影+WB(White balance)曇天”(図3参照)または“モノクロ撮影”(図3参照)の場合にも、用いることができる。したがって、レジスタRGST1に“オート撮影”に次いで“オート撮影+WB曇天”または“モノクロ撮影”が登録された場合、新たな取り込み処理が行われることなく、静止画像エリア32bに格納された生画像データを用いて撮影モードに従った画像処理が実行される。
【0041】
撮影モードが“オート撮影+曇天”の場合の画像処理においては、後処理回路34によって、静止画像エリア32bに取り込まれた生画像データが読み出されて、曇天に適した白バランス調整処理が施される。画像処理が施された画像データは、記録用画像データとして記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0042】
また、撮影モードが“モノクロ撮影”の場合の画像処理においては、後処理回路34によって、静止画像エリア32bに取り込まれた生画像データが読み出されて、輝度成分が取り出される。取り出された輝度成分を用いて記録用画像データが作成され、記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0043】
一方、レジスタRGST1に“オート撮影”,“オート撮影+WB曇天”,または“モノクロ撮影”に次いで、“花火シーン”,“スポーツシーン”,“HDR(High Dynamic Range)撮影”,または“HDRアート”などが登録された場合、新たな取り込み処理の実行が必要である。
【0044】
撮影モードが“花火シーン”(図3参照)の場合の取り込み処理においては、フォーカスレンズ12のパンフォーカス位置への配置後に、長時間露光によって得られた1フレームの生画像データが、静止画像エリア32bに取り込まれる。その後、花火の表現に適した画像処理が取り込まれた生画像データに施され、記録用画像データとして記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0045】
撮影モードが“スポーツシーン”(図3参照)の場合の取り込み処理においては、イメージセンサ16を高感度に設定した後に、短時間露光によって得られた1フレームの生画像データが、静止画像エリア32bに取り込まれる。その後、スポーツを行う人物の表現に適した画像処理が取り込まれた生画像データに施され、記録用画像データとして記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0046】
撮影モードが“HDR撮影”(図3参照)の場合の取り込み処理においては、互いに異なる3つの露光量が絞りユニット14およびイメージセンサ16にそれぞれ設定され、これらの3つの露光量にそれぞれ対応する3フレームの画像データが静止画像エリア32bに取り込まれる。その後、取り込まれた3フレームの画像データに基づいて1フレームの合成画像データが作成され、記録用画像データとして記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0047】
レジスタRGST1に“HDR撮影”に次いで“HDRアート”(図3参照)が登録された場合、新たな取り込み処理が行われることなく、静止画像エリア32bに格納された3フレームの生画像データを用いて画像処理が実行される。この場合、取り込まれた3フレームの画像データのコントラストおよび彩度が調整される。調整後の3フレームの画像データに基づいて1フレームの合成画像データが作成され、記録用画像データとして記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0048】
上述の画像処理が完了する毎に、記録処理が実行される。記録画像エリア32cに格納された記録用画像データは、記録媒体42に新規作成された静止画ファイルに記録処理によって記録される。このようにして、1回のシャッタボタン28shの操作によって、複数の静止画ファイルが生成される。
【0049】
CPU26は、図10に示すモード登録タスクおよび図11図12に示すマルチ撮像タスクを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0050】
図10を参照して、ステップS1では、撮影モードテーブルTBL1に登録された撮影モードの名称を読み出し、撮影モード一覧画面の表示をLCDドライバ36に命令する。LCDドライバ36は、読み出された名称に基づいてLCDモニタ38を駆動する。この結果、撮影モード一覧画面がLCDモニタ38に表示される。
【0051】
ステップS3ではキー入力装置28を通じて選択操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS7に進む一方、判別結果がYESであればステップS5に進む。ステップS5では、選択された撮影モードの名称の表示色を変更し、その後にステップS3に戻る。
【0052】
ステップS7ではキー入力装置28を通じて選択解除操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS11に進む一方、判別結果がYESであればステップS9に進む。ステップS9では、解除対象の撮影モードの名称の表示色を元に戻し、その後にステップS3に戻る。
【0053】
ステップS11ではキー入力装置28を通じて終了操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS3に戻る一方、判別結果がYESであればステップS13に進む。ステップS13では、選択された撮影モードを選択テーブルTBL2に選択順に登録する。その後、モード登録タスクを終了する。
【0054】
図11を参照して、ステップS21では取得順序選択画面をLCDモニタ38に表示する。キー入力装置28を通じて選択操作が行われたか否かをステップS23で繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS25に進む。
【0055】
ステップS25では、ステップS23で判別された選択操作によって登録順が選択されたか否かを判別する。判別結果がYESであればステップS27の処理を経てステップS33に進み、判別結果がNOであればステップS29およびS31の処理を経てステップS33に進む。
【0056】
ステップS27では選択テーブルTBL2の登録内容をそのままレジスタRGST1に読み出す一方、ステップS29では選択テーブルTBL2に登録された複数の撮影モードを処理時間の優先順にソートする。ステップS31では、ステップS29のソート後の内容をレジスタRGST1に読み出す。
【0057】
ステップS33では、選択テーブルTBL2における撮影モードの登録数を、変数Nの最大値Nmaxに設定する。ステップS35では変数Nを“1”に設定する。
【0058】
ステップS37では動画取り込み処理を実行する。この結果、シーンを表すスルー画像がLCDモニタ38に表示される。ステップS39ではシャッタボタン28shが操作されたか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS41に進む。
【0059】
ステップS41では、レジスタRGST1に登録されたN番目の撮影モードに従った取り込み処理を実行する。この結果、1または2以上のフレームに対応した生画像データが静止画像エリア32bに取り込まれる。
【0060】
ステップS43では、レジスタRGST1に登録されたN番目の撮影モードに従った画像処理を実行する。この結果、1フレームの記録用画像データが記録画像エリア32cに書き込まれる。
【0061】
ステップS45では、記録処理を実行する。この結果、記録画像エリア32cに格納された記録用画像データは、記録媒体42に新規作成された静止画ファイルに記録される。
【0062】
ステップS47では変数Nをインクリメントし、変数NがNmaxを超えたか否かをステップS49で判別する。判別結果がYESであればステップS35に戻る一方、判別結果がNOであればステップS51に進む。
【0063】
ステップS51では、レジスタRGST1に登録されたN番目の撮影モードに従った取り込み処理を改めて実行する必要があるか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS43に戻る一方、判別結果がYESであればステップS41に戻る。
【0064】
以上の説明から分かるように、イメージセンサ16は、撮像面で捉えられたシーンを表す生画像を出力する。CPU26は、K個(K:3以上の整数)の撮影モードを案内するメニューを出力し、所望のL個(L:2以上でK以下の整数)の撮影モードをK個の撮影モードの中から選択する操作をメニュー出力に関連して受け付ける。CPU26はまた、選択操作の後の画像取得指示に応答してイメージセンサ16から生画像を取得し、選択操作によって選択されたL個の撮影モードにそれぞれ対応するL個の画像処理を取得された生画像に施してL個の記録用画像を作成する。
【0065】
所望のL個の撮影モードが選択操作によって選択され、その後に画像取得操作が行われると、撮像手段から生画像が取得され、L個の撮影モードに対応するL個の画像処理が取得された生画像に対して施され、L個の記録用画像が作成される。
【0066】
L個の撮影モードを選択操作に応答して選択することで、処理画像の品質の自由度が確保される。また、L個の記録用画像を画像取得操作に応答して作成することで、記録用画像間での画角および/または被写体のずれが抑制される。こうして操作性が向上する。
【0067】
なお、この実施例では、図3に示す7種類の撮影モードについて説明したが、これら以外の撮影モードを用いてもよい。
【0068】
また、この実施例では、マルチ撮像タスクの起動後の操作者の選択操作の後に、処理時間の優先のためのソート処理を実行するようにした。しかし、予めソート処理の実行を完了させておいてもよい。例えば、モード登録タスクにおいて、終了操作が行われた後にソート処理を実行し、登録順および処理時間優先順の両方の順序を保存するようにしてもよい。
【0069】
また、この実施例では、撮影モードに従った画像処理が完了する毎に記録処理を実行するようにした。しかし、他のタイミングで記録処理を実行するようにしてもよい。例えば、記録画像エリアに複数の記録用画像データを格納できるようにして、撮影モードに従った取り込み処理および画像処理が全て完了した後に、各々の記録処理を実行するようにしてもよい。
【0070】
また、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に予め記憶される。しかし、外部サーバに接続するための通信I/F60を図13に示す要領でディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ44に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0071】
また、この実施例では、CPU26によって実行される処理を、図10に示すモード登録タスクおよび図11〜12に示すマルチ撮像タスクを含む複数のタスクに区分するようにした。しかし、これらのタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を統合するようにしてもよい。また、転送タスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【0072】
また、この実施例では、ディジタルカメラを用いて説明したが、本発明は、タブレット型コンピュータ,携帯電話端末,またはスマートフォンなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 … ディジタルビデオカメラ
16 … イメージセンサ
20 … 前処理回路
26 … CPU
32 … SDRAM
34 … 後処理回路
42 … 記録媒体
図1
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図13