(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976451
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】ブラインド用ガイド装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/327 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
E06B9/327
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-179577(P2012-179577)
(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公開番号】特開2014-37697(P2014-37697A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(74)【代理人】
【識別番号】100097250
【弁理士】
【氏名又は名称】石戸 久子
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩二
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−86168(JP,A)
【文献】
米国特許第4739816(US,A)
【文献】
米国特許第1787158(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム要素(18a、18b、18c)が四方枠を形成するように直交配置されてなるフレーム(18)内に、ラダーテープ(26)によって整列状態に支持される多数のスラット(28)を有するブラインド(20)を設け、多数のスラットの少なくとも一方の端部に形成した挿通孔(28a)にガイドワイヤ(32)が挿通することによりスラットの横方向の移動を規制したブラインド用ガイド装置において、
ガイドワイヤは、一端(32a)が、ばね(62)を介してフレーム(18)に固定され、他端(32b)が、直交配置される2つのフレーム要素(18b、18c)を連結するために該2つのフレーム要素に螺合されるネジ(50)の締め付け方向と同一方向となるように該ネジに巻付けられ、締め付けられてフレーム(18)外方向に引っ張られて、緊張状態に保持され、フレームに固定されていることを特徴とするブラインド用ガイド装置。
【請求項2】
複数のフレーム要素(18a、18b、18c)が四方枠を形成するように直交配置されてなるフレーム(18)内に、ラダーテープ(26)によって整列状態に支持される多数のスラット(28)を有するブラインド(20)を設け、多数のスラットの少なくとも一方の端部に形成した挿通孔(28a)にガイドワイヤ(32)が挿通することによりスラットの横方向の移動を規制したブラインド用ガイド装置において、
ガイドワイヤは、一端(32a)が、ばね(62)を介してフレーム(18)に固定され、他端(32b)が、直交配置される2つのフレーム要素(18b、18c)を連結するために該2つのフレーム要素に螺合されるネジ(50)が挿通する孔(18d)に挿通され、該挿通方向から該ネジの締め付け方向に沿って転回され該ネジに締め付けられてフレーム(18)外方向に引っ張られて、緊張状態に保持され、フレームに固定されていることを特徴とするブラインド用ガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四方枠を形成するフレーム内に設けられるブラインドにおいて、スラットの横方向の移動を規制するブラインド用ガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなブラインド用ガイド装置としては、特許文献1に示されるものが知られている。これに示されるものは、隙間を開けて対向する2枚のガラスの周縁に矩形四辺状の枠体を組み付けて形成した隙間空間に、上下に間隔を開けた多数のスラットをラダーコードにより吊持する遮光状態調整用の回転軸を有するブラインドを設け、多数のスラットの長尺方向片側端部ないしその近傍を上下方向に遊嵌貫通する線状の転倒防止用ワイヤを設けている。ワイヤはスラットの転倒防止作用と長尺方向についての位置決め作用を与えるものであり、ワイヤの上端は、枠体の上部角部に設けられる上部スペーサに形成されたワイヤ挿通孔及び圧縮コイルばねを通り圧縮コイルばねの先端に係合するリベットに連結固着されて上部スペーサに固定されている。また、ワイヤの下端は、枠体の下部角部に設けられる下部スペーサに形成されたワイヤ挿通孔及び圧縮コイルばねを通り圧縮コイルばねの先端に係合するリベットに連結固着されて下部スペーサに固定されている。
【0003】
このように、ワイヤの上下端部は、それぞれ圧縮コイルばねの先端に係合するリベットに連結固着されて支持される構成であるため、ワイヤの長さ及び圧縮コイルばねの自然状態時の長さを、ガラス組立時の枠体の上下寸法に対応して設計しておくことで、圧縮コイルばねの適度な圧縮を与えた状態でワイヤを緊張状態で調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−86168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワイヤの上下両端に圧縮コイルばねを配置し、ワイヤの長さを考慮しながらワイヤ端部をリベットにてカシメる作業は容易ではなく、作業が非効率といえる。特に、ワイヤの端部をリベットにてカシメる作業は、枠体内で行わなければならないが、枠体内の寸法が小さい場合、作業空間が狭く作業が容易でないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、ガイドワイヤの組付作業が容易なブラインド用ガイド装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、
本発明の
一態様は、四方枠を形成するフレーム内に、ラダーテープによって整列状態に支持される多数のスラットを有するブラインドを設け、多数のスラットの少なくとも一方の端部に形成した挿通孔にガイドワイヤが挿通することによりスラットの横方向の移動を規制したブラインド用ガイド装置において、
ガイドワイヤは、一端がばねを介してフレームに固定され、他端がフレームに螺合されるネジに締め付けられてフレーム外方向に引っ張られて、緊張状態に保持されることを特徴とする。
【0008】
また、前記ネジは、直交配置される2つのフレーム要素を連結するためのネジであり、ガイドワイヤの他端は、該ネジに巻付けられることを特徴とする。
【0009】
また、前記ネジは、直交配置される2つのフレーム要素を連結するためのネジであり、ガイドワイヤの他端は、該ネジが挿通する孔に挿通されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネジの締め付けによってガイドワイヤがフレーム外方向に引っ張られるために、ガイドワイヤを弛みなく容易に固定することができる。フレームに螺合するネジを用いて、ガイドワイヤの他端の固定を行うために、ガイドワイヤの組付作業をフレームの外側から行うことができて、作業が容易である。
【0011】
また、直交配置される2つのフレーム要素を連結するためのネジを用いて、ガイドワイヤの他端を該ネジに巻付けるか、またはネジが挿通する孔に挿通することで、フレーム要素の組立作業に伴ってガイドワイヤの端部を固定することができ、作業の効率がよく、また、フレーム要素の組立部品を共用することができるため、コスト削減にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のブラインド用ガイド装置の適用される横型ブラインドの正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るブラインド用ガイド装置のガイドワイヤの一方の上端部付近の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るブラインド用ガイド装置のガイドワイヤの一方の下端部付近の斜視図であり、(a)は組付前の状態を、(b)は組付後の状態を、それぞれ示す。
【
図4】
図3のガイドワイヤの一方の下端部付近の断面図である。
【
図5】
図3のガイドワイヤを取付けるネジの頭部を切断した、ガイドワイヤの一方の下端部付近の底面図である。
【
図6】
図3のガイドワイヤの一方の下端部付近の底面図である。
【
図7】本発明の別実施形態に係るブラインド用ガイド装置のガイドワイヤの一方の下端部付近の斜視図であり、(a)は組付前の状態を、(b)は組付後の状態を、それぞれ示す。
【
図8】
図7のガイドワイヤの一方の下端部付近の断面図である。
【
図9】
図7のガイドワイヤの一方の下端部を取付ける手順を表す下端部付近の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1に示すブラインドは、複層ガラスに内蔵されるブラインドとなっており、複層ガラス10は、方形枠状に上下左右のスペーサ14を連結し、このスペーサ14の前後面を2枚のガラス板12で挟んで構成され、ガラス板12で挟まれた内部空間16を画成しており、この内部空間16内に、フレーム18に少なくとも一部が囲まれたブラインド20が配設される。フレーム18は、フレーム要素である上枠18a、下枠18b及び一対の縦枠18cからなる。
【0014】
このブラインド20は、上枠18a内で水平方向に延び回転可能に支持された回転軸24と、回転軸24上に回転軸24と一体に回転可能に設けられた複数の回転ドラム25と、回転ドラム25に上端が連結されて回転ドラム25の回転に従動して傾動するラダーテープ26と、ラダーテープ26に整列状態に支持される多数のスラット28と、スラット28列の下方に配設され、ラダーテープ26の下端が連結されるとともにフレーム18に対して回転可能に且つ上下方向の移動は規制されて支持されるボトムレール29と、一方の縦枠18cの内外に設けられ複層ガラス外部から回転軸24の回転を操作可能な操作装置30と、各スラット28の両側端部に形成される挿通孔28aを挿通し、スラット28の転倒及び横方向の移動を規制するガイドワイヤ32と、から構成される。
【0015】
操作装置30は、一方の縦枠18c上のガラス板12面上に配設される操作部36を備えており、操作部36を上下方向に操作して、磁石の吸着力を利用して一方の縦枠18c内に配設されている駆動軸を回転駆動させて駆動軸の回転を回転軸24に伝達するようになっている。これにより、ラダーテープ26が傾動してスラット28列及びボトムレール29が回転する。
【0016】
フレーム18の上枠18a、下枠18b及び両縦枠18cは、直交して隣り合う枠同士を金属製のL字状の支持金具44を介してネジ50で連結することにより、互いに連結され、四方枠を構成する。各枠18a、18b、18cの両端部にはネジ50のネジ軸50aが挿通する挿通孔18dが2か所ずつ形成されている(
図4参照)。
【0017】
L字状の支持金具44は、鉛直方向に延びる鉛直片44aと、水平方向に延びる水平片44bとを有し、
図4に示すように、鉛直片44a及び水平片44bにはそれぞれ、各枠18a、18b、18cの挿通孔18dと対応する位置にネジ50のネジ軸50aが螺合するネジ孔44cが形成されるとともに、支持金具44の水平片44bにはガイドワイヤ32が挿通する挿通孔44dが形成されている。
【0018】
ボトムレール29の両端部には、
図3及び
図4に示すように、端部キャップ40が被せられており、端部キャップ40はガイドワイヤ32が挿通する上下方向の孔を画成する挿通部40aと、挿通部40aからさらに側方に突出する円筒形状の連結部40bを有する。
【0019】
連結部40bはホルダ42に回転可能に連結されており、ホルダ42は、ガイドワイヤ32が挿通する挿通孔42aと、開口部42bとを有し、開口部42bには、下枠18bと縦枠18cとを連結する支持金具44の水平片44bが遊嵌状態で貫通している。支持金具44の鉛直片44aが縦枠18cの、水平片44bが下枠18bのそれぞれの内板に当接し、縦枠18c及び下枠18bの外部からネジ50で締結されることにより、ボトムレール29は、フレーム18に対して上下方向の移動が制限されて連結される。
【0020】
ガイドワイヤ32は、
図2に示すように、その上端32aが上枠18aの側端部に取付けられる連結ブラケット60を挿通して上枠18a内に進入しており、連結ブラケット60との間にばね62を介して端部に抜け止め具64が設けられることにより、連結ブラケット60から抜け止めされている。
【0021】
ガイドワイヤ32の下端32bは、
図3及び
図4に示すように、各スラット28の端部に形成された挿通孔28a、ボトムレール29の端部キャップ40の挿通部40a、ホルダ42の挿通孔42a、支持金具44の挿通孔44dの順に通って、支持金具44の水平片44bに沿って配回され、ホルダ42の開口部42bから下枠18b方向に導出される。
【0022】
下枠18b方向に導出されたガイドワイヤ32の下端32bの下枠18bへの固定は、上述の支持金具44の水平片44bを下枠18bに連結する作業時に、この作業と同時に行われる。すなわち、下枠18bに形成されている複数の挿通孔18dのいずれか、例えば、ホルダ42寄りの挿通孔18dにネジ50を挿入する前に、ガイドワイヤ32の下端32bをネジ50のネジ軸50aにネジ締め付け方向と同じ方向となるように巻付け(
図5参照)、ネジ軸50aにガイドワイヤ32の下端32bが巻付いた状態でネジ50を挿通孔18dに挿入し、支持金具44のネジ孔44cにねじ込む。ネジ50を締めるときのネジ軸50aの回転により、ガイドワイヤ32がネジ軸50aに巻付かれていき、上端32aがばね62を介して抜け止めされているため、ガイドワイヤ32はフレーム18外方向へと引っ張られる。これによって、ガイドワイヤ32にテンションがかかり、ネジ50の締結完了時にはガイドワイヤ32が弛みなく固定される。
【0023】
このように、ネジ50による下枠18bと支持金具44との連結は、下枠18bの外部から行われるため、ガイドワイヤ32を弛みなく取付ける作業も下枠18bの外部から行うことができ、狭い枠内で作業を行う必要が少ないため、組付作業が容易である。また、下枠18bと縦枠18cの組立作業に伴ってガイドワイヤ32の組付も行うことができるため、作業の効率がよい。さらに、フレーム18の組立部品であるネジ50や取付金具44をガイドワイヤ32の固定にも共用することができるため、コスト削減にもなる。
【0024】
こうして組付けられたガイドワイヤ32は、遮光状態の調整機能に致命的な欠陥を招くおそれのあるスラット28の転倒(裏返し)を確実に防止し、スラット28の横方向への抜け落ちを確実に防止することができる。よって、建物窓部への組み込み前の最終的な組立作業における作業の負担も軽減することができる。
【0025】
図7〜
図9は、ガイドワイヤ32の下端部の別の固定を行った第2実施形態を表している。この例では、ガイドワイヤ32の下端32bは、ホルダ42の開口部42bから下枠18b方向に導出された後、支持金具44の水平片44bの下側と下枠18bの上側との間を通って、下枠18bの1つの取付孔18dを挿通している(
図9(a))。このときガイドワイヤ32の下端部32bが取付孔18dを挿通後に、ガイドワイヤ32挿通方向からネジ締め付け方向に沿って略水平に90°転回されるように引っ張っておくと良い。
【0026】
そして、支持金具44の水平片44bを下枠18bに連結する作業のために取付孔18dにネジ50を挿入して支持金具44のネジ孔44cにねじ込むと(
図9(b))、ネジ50の回転と共に、この取付孔18dを挿通しているガイドワイヤ32が取付孔18dからフレーム18外方向へと引っ張られる。これによって、ガイドワイヤ32にテンションがかかり、ネジ50の締結完了時にはガイドワイヤ32が弛みなく取付けられる。
【0027】
さらに、別の取付孔18dを挿通して支持金具44のネジ孔44cにねじ込まれる別のネジ50のネジ頭と下枠18bとの間に、ガイドワイヤ32の下端32bを挟みネジ50で締め付けることで、より確実にガイドワイヤ32の固定を図ることができる(
図9(d))。よって、いずれか一方のネジ50が緩んだとしても、他方のネジ50の締め付けが確保されている限り、ガイドワイヤ32の弛みの発生を防ぐことができ、その固定を維持することができる。
【0028】
また、ガイドワイヤ32のテンションを調整する場合には、ネジ50を緩める方向に回転させると(
図9(b))、ネジ50の回転と共に、この取付孔18dを挿通しているガイドワイヤ32がフレーム18内方向へと戻されるので、テンションを弱めることができる。
【0029】
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、ガイドワイヤ32をネジ50に巻付ける必要はないので、作業がより一層容易になっている。また、ガイドワイヤ32は、ネジ孔44cだけでなく、支持金具44と下枠18bとの間に挟まれているので、その固定をより一層確実に行うことができる。
【0030】
以上の各例では、ガイドワイヤ32がスラット28の両側端部をそれぞれ挿通するようにしていたが、これに限るものではなく、ガイドワイヤ32は、スラット28の一側端部のみを挿通するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
20 ブラインド
18 フレーム
18b 下枠(フレーム要素)
18c 縦枠(フレーム)
18d 挿通孔
26 ラダーテープ
28 スラット
28a 挿通孔
32 ガイドワイヤ
32a 上端(一端)
32b 下端(他端)
50 ネジ
62 ばね