(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976452
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】ブラインドの駆動装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20160809BHJP
E06B 9/264 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/264 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-179578(P2012-179578)
(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公開番号】特開2014-37698(P2014-37698A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(74)【代理人】
【識別番号】100097250
【弁理士】
【氏名又は名称】石戸 久子
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡芳
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平6−200679(JP,A)
【文献】
特開平4−231587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方枠を形成するフレーム(22)の内側において該フレーム(22)の上枠(22a)内に回転可能に支持される回転軸(24)と、多数のスラット(18)を整列状態に支持するとともに回転軸の回転に連動して傾動する複数のラダーテープ(28)と、回転軸を回転可能な駆動ギア(62b、64b)と、を有するブラインドの駆動装置において、
駆動ギアはフレーム(22)の内側に配置されるホルダ(66)に内蔵されており、ホルダ(66)において駆動ギアの内蔵位置よりもフレーム(22)側に形成される開口部(66d、66e)にフレーム(22)に固定される支持金具(44)が挿入されることにより、ホルダ(66)のフレーム(22)に対する上下前後方向あるいは左右前後方向の移動が規制され、
支持金具(44)は水平方向及び鉛直方向に延びたL字状に形成され、支持金具(44)が開口部(66d、66e)を水平方向あるいは鉛直方向に貫通していることを特徴とするブラインドの駆動装置。
【請求項2】
ホルダ(66)の外面に溝部(66g)が形成されており、ホルダ(66)の溝部(66g)に対応するフレーム(22)の位置にリブ(22e)が形成されており、ホルダ(66)の溝部(66g)にフレーム(22)のリブ(22e)を挿入することにより、ホルダ(66)の左右方向あるいは上下方向の移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載のブラインドの駆動装置。
【請求項3】
支持金具(44)は、フレーム(22)の上枠(22a)と縦枠(22c)とを連結するためのものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラインドの駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層ガラス内に設けられたブラインドの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなブラインドの駆動装置としては、特許文献1に示されるものが知られている。これに示されるものは、二重ガラス窓の上枠に取付けられたヘッドボックスと、ヘッドボックスに軸受けされてスラットを回動させる回転軸と、二重ガラス窓の縦枠に設けられた垂直軸と、垂直軸の回転を回転軸に伝達する回転伝達機構を備え、回転伝達機構は、ギアケースに軸受けされるとともに回転軸の端部に固定されるベベルギアと、ギアケースに軸受けされるとともに垂直軸の端部に固定されるベベルギアと、から構成されており、垂直軸に送りねじが設けられ、送りねじにスライダがねじ嵌合され、縦枠にスライダの回転と昇降範囲を規制する案内部材が設けられている。
【0003】
これにより、スライダを昇降させると送りねじが垂直軸とともに回転し、回転伝達機構を介して回転軸に伝えられ、スラットの傾斜角度が変化するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−167596公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の回転伝達機構のギアケースは、上枠と縦枠との連結部に配されているものの、その固定方法は不明であり、具体的に実現するには困難な構造になっている。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、ブラインドの回転軸を駆動する駆動ギアのフレームへの固定を簡単に行うことができるブラインドの駆動装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、
本発明は、四方枠を形成するフレームのうち上枠内に回転可能に支持される回転軸と、多数のスラットを整列状態に支持するとともに回転軸の回転に連動して傾動する複数のラダーテープと、回転軸を回転可能な駆動ギアと、を有するブラインドの駆動装置において、
駆動ギアはホルダに内蔵されており、ホルダに形成される開口部にフレームに固定される支持金具が挿入されることにより、ホルダのフレームに対する上下前後方向あるいは左右前後方向の移動が規制されることを特徴とする。
【0008】
また、支持金具は水平方向あるいは鉛直方向に延びており、支持金具が開口部を水平方向あるいは鉛直方向に貫通していることを特徴とする。
【0009】
また、ホルダの外面に溝部が形成されており、ホルダの溝部に対応するフレームの位置にリブが形成されており、ホルダの溝部にフレームのリブを挿入することにより、ホルダの左右方向あるいは上下方向の移動が規制されることを特徴とする。
【0010】
また、支持金具は、フレームの上枠と縦枠とを連結するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動ギアを内蔵するホルダの開口部に、フレームに固定された支持金具を挿入することでホルダの上下前後方向あるいは左右前後方向の位置決めを行うので、ホルダ及び駆動ギアのフレームへの固定を簡単に行うことができる。
【0012】
また、ホルダの溝部にフレームのリブを挿入することで、ホルダの左右方向あるいは上下方向の位置決めを行うことができるので、ホルダ及び駆動ギアのフレームへの固定をさらに簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の駆動装置を適用した複層ガラス内蔵ブラインドの正面図である。
【
図2】駆動機構近傍のフレームの内部の正面図である。
【
図4】駆動機構のホルダと取付金具の分解斜視図である。
【
図5】駆動機構のホルダに取付金具を挿入した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、複層ガラス10は、方形枠状に上下左右のスペーサ14を連結し、このスペーサ14の前後面を2枚のガラス板12で挟んで構成され、ガラス板12で挟まれた内部空間16を画成しており、この内部空間16内に多数のスラット18を有するブラインド20が配設される。
【0015】
このブラインド20の駆動装置は、上枠22a、下枠22b及び一対の縦枠22cからなるフレーム22と、上枠22a内で水平方向に延び回転可能に支持された回転軸24と、回転軸24上に回転軸24と一体に回転可能に設けられた複数の回転ドラム25と、回転ドラム25に上端が連結されて多数のスラット18を整列状態に支持するとともに回転ドラム25の回転に従動して傾動する複数のラダーテープ28と、一方の縦枠22cの上部に設けられ回転軸24に回転を伝達する駆動機構60と、外部から駆動機構60の駆動を操作可能な操作装置30と、から構成される。尚、29は、スラット列18の下方に配置されてラダーテープ28の下端が連結されたボトムレールである。
【0016】
フレーム22の上枠22a、下枠22b及び両縦枠22cは、互いに直交して隣り合う枠同士を金属製のL字状の支持金具44を介してネジ50で連結することにより、互いに連結され、フレーム22を構成する。各枠22a、22b、22cの両端部にはネジ50のネジ軸50aが挿通する挿通孔22dが2か所ずつ形成されている(
図6参照)。また、一方の縦枠22c内には、
図2及び
図3に示すように、後述するホルダ66の溝部66gに挿入可能なリブ22eが形成されている。
【0017】
支持金具44の水平方向に延びる水平片44aと、垂直方向に延びる垂直片44bとには、各枠22a、22b、22cの挿通孔22dと対応する位置にネジ50のネジ軸50aが螺合するネジ孔44cが形成されている。
【0018】
操作装置30は、一方の縦枠22cの内外に設けられており、一方の縦枠22c上のガラス板12面上に移動可能に配設された操作部32と、一方の縦枠22c内にあって操作部32に従動する従動部34と、従動部34と駆動機構60とに連結される伝達軸36と、操作部32をガラス面12上で摺動自在に支持するガイド部38と、から構成される。
【0019】
ガイド部38は、一方の縦枠22c上のガラス板12上に両面テープ等の固定手段で上下方向に延びるように固定されており、操作部32は、ガイド部38に脱落が防止されて上下方向に摺動可能に係合している。操作部32と従動部34は、縦枠22c及びガラス板12を介して、磁力により吸着されている。伝達軸36は、一方の縦枠22c内で鉛直方向に延び、回転可能に且つ上下に移動不能に支持されて、その外周面には螺旋溝が形成されて、従動部34のネジ孔と螺合している。
【0020】
駆動機構60は、
図4〜6に示すように、第1歯車62と、第1歯車62に噛み合う第2歯車64と、第1歯車62及び第2歯車64を支持するホルダ66とを有する。第1歯車62の軸部62a内には伝達軸36の上端が相対回転不能に挿入されており、第2歯車64の軸部64a内には回転軸24の一端が相対回転不能に挿入されている。第1歯車62及び第2歯車64は、互いに噛み合うベベルギアを構成する歯車部62b及び64bを有している。
【0021】
ホルダ66は、互いに相補的に嵌合しプラスチック等からなる成形品であるホルダ部品66A及び66Bとから構成され、その底部に設けられた軸受孔66aに第1歯車62の軸部62aが、一方の側壁に設けられた軸受孔66bに第2歯車64の軸部64aが挿通しており、第1歯車62及び第2歯車64を回転自在に軸受けしている。そして、ホルダ66内には、第1歯車62及び第2歯車64の歯車部62b及び歯車部64b(駆動ギア)が配設される。
【0022】
図4及び
図5に示すように、ホルダ66の一方の側壁と対向する他方の側壁66cには第1開口部66d及び第2開口部66eがそれぞれ形成される。第1開口部66dと第2開口部66eは、それらの少なくとも一部が、同一の高さ位置で水平方向に対向しており、
図6に示すように、第1開口部66d及び第2開口部66eの上端とホルダ66の天井面66fとは面一に設定されている。第1開口部66d及び第2開口部66eの少なくとも一方は、支持金具44の水平片44aの断面形状に合致した形状となっている。また、ホルダ66の前後外面には、縦枠22c内に形成されたリブ22e(
図3参照)に嵌合する溝部66gがそれぞれ形成されている。
【0023】
ここで、駆動機構60の組み付けの手順について説明する。
【0024】
まず、ホルダ66のホルダ部品66A,66Bを分解した状態で、第1歯車62及び第2歯車64をホルダ66に組み付けて、ホルダ部品66A、66Bを嵌合した後、
図4に示すように、ホルダ66の各開口部66d、66eと支持金具44の水平片44aの位置を合わせ、
図5に示すように、支持金具44の鉛直方向に延びる鉛直片44bがホルダ66の他方の側壁66cの外側の面に当接する位置まで、支持金具44の水平片44aをホルダ66の第2開口部66e、第1開口部66dの順に挿入させて、ホルダ66を貫通させる。貫通された状態では、第1開口部66d及び第2開口部66eの少なくとも一方が、支持金具44の水平片44aと嵌合し、または、支持金具44の水平片44aはホルダ66の天井面66fに接触しており、ホルダ66の水平片44aに対する上下及び前後方向の移動が規制される。
【0025】
また、第1歯車62の軸部62a及び第2歯車64の軸部64aには、それぞれ伝達軸36の上端及び回転軸24の一端を挿入する。
【0026】
次に、支持金具44と共にホルダ66を縦枠22c内に挿入し、このとき、ホルダ66の溝部66gに縦枠22cのリブ22eをそれぞれ挿入させて、縦枠22c内に配置する。これにより、ホルダ66の縦枠22cに対する左右方向への移動が規制される。
【0027】
次に、上枠22aと縦枠22cを互いに直交する方向に組み合わせるとともに、上枠22aの内板の内側に支持金具44の水平片44aを、縦枠22cの内板の内側に支持金具44の鉛直片44bをそれぞれ当接させて、支持金具44のそれぞれのネジ孔44cの位置と上枠22a及び縦枠22cの挿通孔22dの位置とを一致させ、外部からネジ50を締結する。これにより、上枠22aと縦枠22cを支持金具44で組み付けると同時にホルダ66を縦枠22c内で上下・前後・左右方向に固定することができる。
【0028】
このように、フレーム22の上枠22aと縦枠22cの組み付け作業を利用して駆動機構60を固定することができるので、固定作業を簡単に且つ効率化することができる。
【0029】
また、ホルダ66は、支持金具44の水平片44aによってフレーム22に対する上下及び前後方向の移動が規制されるとともに、縦枠22cのリブ22eによってフレーム22に対する左右方向の移動が規制されるため、ホルダ66自体をネジ止めすることなく、縦枠22c内に固定することができ、固定作業をより簡単に且つ効率化することができる。
【0030】
但し、左右方向の規制に関してはリブ22eによって行う代わりに、例えば、フレーム22の一対の板間(例えば縦枠22cの一対の内板22c1、22c2(
図6参照))にホルダ66を挟むことで左右方向の移動を規制してもよい。
【0031】
また、ホルダ66の開口部を鉛直方向に貫通するように形成し、支持金具44の鉛直片44bを開口部に挿入させて左右前後方向の移動を規制し、ホルダ66の溝部を水平方向に形成し、フレーム22に水平方向に形成したリブを挿入させて上下方向の移動を規制するようにしてもよい。
【0032】
また、支持金具44の水平片44aまたは鉛直片44bが、ホルダ66を貫通しており、ホルダ66の天井面66fまたは側壁内面に接触しているため、ホルダ66の強度を支持金具44によって補強することができる。
【0033】
このように構成された駆動装置においては、ガラス板12上の操作部32を操作して、ガイド部38に沿って上下方向に移動させることにより、操作部32に磁力によって吸着している従動部34が上下方向に移動し、これと螺合している伝達軸36が回転駆動する。伝達軸36の回転は、これと一体回転するように連結されている第1歯車62に伝達し、第1歯車62の回転がこれと噛み合っている第2歯車64に伝達する。第2歯車の回転は、これと一体回転するように連結されている回転軸24に伝達するため、回転軸24が回転駆動し、ラダーテープ28が傾動してスラット26が回転する。これにより、スラット26の傾斜角度を変更することができる。
【0034】
尚、以上の実施形態では、駆動装置は、スラット26の傾斜角度を変更するための駆動を行うものとなっていたが、これだけに限るものではなく、ブラインドの任意の動作(例えば昇降)をさせるための駆動装置とすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
18 スラット
22 フレーム
22a 上枠
22c 縦枠
22e リブ
24 回転軸
28 ラダーテープ
44 支持金具
62 第1歯車
62b 歯車部(駆動ギア)
64 第2歯車
64b 歯車部(駆動ギア)
66 ホルダ
66d 第1開口部
66e 第2開口部
66g 溝部