(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直方体形状の箱体内部に敷設され、ワークを収容している袋体の口部が、前記箱体の上面開口から外側に折り返されて構成された折返し口部を、前記箱体の外周側面に沿って引き下げる引下げ装置であって、
前記箱体の4面の外周側面のうちの、少なくとも一対の平行な外周側面と前記折返し口部との間に1基ずつ水平に配置された吸着バーを含み、各吸着バーが、前記折返し口部を前記外周側面側から負圧により吸着可能、且つ、前記外周側面に沿って同期して上下動可能とされた吸着ユニットと、
前記吸着バーに吸着された前記折返し口部を、吸着バーとの間に挟み込み可能で、且つ、水平軸廻りに回転可能であって、前記吸着バーと同期して、前記外周側面に沿って上下動可能な、前記吸着バーと同数のニップローラと、を有してなり、
前記吸着バー及び前記ニップローラは、下降時に、前記吸着された折返し口部を挟み込み、該折返し口部に引張力を付与しつつ、該折返し口部に対して、相対的に下方への移動が可能に構成されたことを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
直方体形状の箱体内部に敷設され、ワークを収容していて、且つ、口部がワークの上面に、4方向から順次折り曲げられて重ねられた4辺の蓋部を構成している袋体の、前記口部を開いて、箱体の4面の外周側面上端を折返し点として下方に折り曲げて折返し口部を形成し、該折返し口部を前記外周側面に沿って引き下げる箱体内袋体の口部開き方法であって、
前記箱体の4面の外周側面のそれぞれの外側から、負圧が印加された吸盤により前記重ねられた4辺の蓋部を上から1枚ずつ吸着して異なる方向に引っ張って立ち上げる蓋部立上げ工程と、
前記箱体における4隅の角部の外側面に上方から転接可能な押下げローラにより、前記立ち上げられた蓋部の内側面を、前記箱体の4角の対角線に沿って外側に引き出す角部引出し工程と、
前記箱体の4隅の角部の上方から該角部外側面に沿って前記押下げローラを降下させ、前記引き出された蓋部を、前記外周側面の上端を折返し点として下方に折り曲げて前記折返し口部を形成する折返し工程と、
前記4面の外周側面のうち、少なくとも一対の平行な外周側面と前記折返し口部との間の位置で、前記折返し口部の下端内側面を、負圧が印加される水平の吸着バーにより吸着するとともに、該吸着された折返し口部を、その外側からニップローラにより前記吸着バーとの間に挟み込む挟持工程と、
前記ニップローラと吸着部材との間に前記折返し口部を挟み込んだままで、これに負圧により抵抗力を付与しつつ該ニップローラと吸着部材とを、前記外周側面に沿って、前記折返し口部に対して相対的に垂直に降下させて、前記折返し口部を引き下げる引下げ工程と、を有してなる箱体内袋体の口部開き方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、箱体内部に敷設された袋体の口部を、箱体の上面開口から外側に折り返して折返し口部を形成する際に、折返し口部が外側に広がって、搬送ラインに沿ったセンサや機器に接触したりすることがないように、箱体の外周側面に沿って引き下げることができる、箱体内袋体の折返し口部引下げ装置及び箱体内袋体の口部開き方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の本実施例により、上記課題を解決することができる。
【0010】
(1)直方体形状の箱体内部に敷設され、ワークを収容している袋体の口部が、前記箱体の上面開口から外側に折り返されて構成された折返し口部を、前記箱体の外周側面に沿って引き下げる引下げ装置であって、前記箱体の4面の外周側面のうちの、少なくとも一対の平行な外周側面と前記折返し口部との間に1基ずつ水平に配置された吸着バーを含み、各吸着バーが、前記折返し口部を前記外周側面側から負圧により吸着可能、且つ、前記外周側面に沿って同期して上下動可能とされた吸着ユニットと、前記吸着バーに吸着された前記折返し口部を、吸着バーとの間に挟み込み可能で、且つ、水平軸廻りに回転可能であって、前記吸着バーと同期して、前記外周側面に沿って上下動可能な、前記吸着バーと同数のニップローラと、を有してなり、前記吸着バー及び前記ニップローラは、下降時に、前記吸着された折返し口部を挟み込み、該折返し口部に引張力を付与しつつ、該折返し口部に対して、相対的に下方への移動が可能に構成されたことを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0011】
(2)(1)において、前記吸着バーは、垂直断面において前記外周側面と平行な鉛直面と、この鉛直面の上端から下側ほど前記外周面から離間する外側傾斜面と、を有する水平方向に長い中空三角形状部材からなり、前記外側傾斜面には負圧が印加される吸引孔と、この吸引孔の上側及び下側に設けられた一対の水平突起部と、が設けられ、前記ニップローラは、前記折返し口部を、前記一対の水平突起部とにより挟み込むとともに前記吸引孔方向に押圧可能に構成されたことを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0012】
(3)(2)において、前記吸着バーを、水平方向には、前記箱体の前記外周側面に接近する引下げ位置及び離間する待機位置との間で移動させ、且つ、鉛直方向には、前記折返し口部を前記ニップローラとの間で挟み込む引下げ開始位置と、前記折返し口部を前記外周側面に沿って引き下げた引下げ終了位置との間で上下動させるように構成された吸着ユニット駆動装置と、前記ニップローラを、前記吸着バーの前記一対の水平突起部との間で前記折返し口部を挟持可能な挟持位置、及び、前記水平突起部から離間した待機位置に駆動し、且つ、前記挟持位置から、前記吸着バーの前記引下げ開始位置と前記引下げ終了位置との間で、前記挟持位置に維持し、該引下げ終了位置到達後に前記待機位置に駆動するように構成されたニップローラ駆動装置と、を設けたことを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0013】
(4)(3)において、前記吸着ユニットは、前記ニップローラと前記吸着バーとによる前記折返し口部の挟持の前に、前記吸引孔に負圧を印加し、前記ニップローラが、前記吸着バーから離間して前記待機位置に駆動されたときに、前記負圧を解除するように構成されたことを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0014】
(5)(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記箱体に収容されている前記袋体の口部は、前記ワークの上面に4方向から順次内側に折り曲げられて重ねられた4辺の折曲げ蓋部を構成していて、これら4辺の折曲げ蓋部を上から順次負圧により吸着して、前記箱体の4角形外側面に沿って立ち上げて、前記口部を開く吸着開口装置を有してなり、前記吸着開口装置は、4基の蓋部吸着装置と、これら4基の蓋部吸着装置を別個に駆動する4基の吸盤駆動装置とを有してなり、前記4基の吸盤駆動装置は、前記蓋部吸着装置を、前記箱体の4面の外周側面の各々の幅方向中心の上方を通って前記箱体の内外間、且つ、上下方向に駆動可能とされ、前記吸着開口装置は、吸盤により、前記折曲げ蓋部を4方向から順次吸着し、且つ、吸着した折曲げ蓋部の先端を前記箱体の外側面よりも外側となる状態に立ち上げるように構成されたことを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0015】
(6)(5)において、前記吸盤は、水平方向に細長い長円形状であって負圧が印加される吸込み口と、この吸込み口を囲んで、且つ、該吸込み口より前方に突出して設けられ、先端が、前記吸込み口と平行な連続した先端平面を形成する長方形状の吸着チャンバと、を有してなり、前記吸着チャンバの前記先端平面から前記吸込み口にかけて、断面において凹円弧状となるテーパ面が形成されていることを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0016】
(7)(6)において、前記吸盤は、前記先端平面の、前記長方形における長辺から前方に突出して設けたゴムリップを有していることを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0017】
(8)(1)乃至(7)のいずれかにおいて、直交する一対の水平軸廻りに回転自在に支持され、且つ、相互に接近して配置された一対の押下げローラを、前記箱体の4隅の角部外側面に接触可能に4対備えてなり、これら4対の押下げローラが、前記折返し口部を、前記箱体の4隅の角部外側面に押し付けつつ該4隅の角部に沿って下降可能に構成された角部押下げ装置を有することを特徴とする箱体内袋体の折返し口部引下げ装置。
【0018】
(9)直方体形状の箱体内部に敷設され、ワークを収容していて、且つ、口部がワークの上面に、4方向から順次折り曲げられて重ねられた4辺の蓋部を構成している袋体の、前記口部を開いて、箱体の4面の外周側面上端を折返し点として下方に折り曲げて折返し口部を形成し、該折返し口部を前記外周側面に沿って引き下げる箱体内袋体の口部開き方法であって、前記箱体の4面の外周側面のそれぞれの外側から、負圧が印加された吸盤により前記重ねられた4辺の蓋部を上から1枚ずつ吸着して異なる方向に引っ張って立ち上げる蓋部立上げ工程と、前記箱体における4隅の角部の外側面に上方から転接可能な押下げローラにより、前記立ち上げられた蓋部の内側面を、前記箱体の4角の対角線に沿って外側に引き出す角部引出し工程と、前記箱体の4隅の角部の上方から該角部外側面に沿って前記押下げローラを降下させ、前記引き出された蓋部を、前記外周側面の上端を折返し点として下方に折り曲げて前記折返し口部を形成する折返し工程と、前記4面の外周側面のうち、少なくとも一対の平行な外周側面と前記折返し口部との間の位置で、前記折返し口部の下端内側面を、負圧が印加される水平の吸着バーにより吸着するとともに、該吸着された折返し口部を、その外側からニップローラにより前記吸着バーとの間に挟み込む挟持工程と、前記ニップローラと吸着部材との間に前記折返し口部を挟み込んだままで、これに負圧により抵抗力を付与しつつ該ニップローラと吸着部材とを、前記外周側面に沿って、前記折返し口部に対して相対的に垂直に降下させて、前記折返し口部を引き下げる引下げ工程と、を有してなる箱体内袋体の口部開き方法。
【0019】
(10)(9)において、前記引下げ工程において、前記折返し口部を引き下げる際に、前記吸着バーと同期して、前記押下げローラを前記4隅の角部に沿って降下させることを特徴とする箱体内袋体の口部開き方法。
【0020】
(11)(9)又は(10)において、前記引下げ工程の途中で、前記ニップローラと吸着バーとの降下を停止し、次に前記ニップローラを前記折返し口部から離間させ、離間後に前記吸着バーを降下させるニップローラ離脱工程を有することを特徴とする箱体内袋体の口部開き方法。
【0021】
(12)(9)乃至(11)のいずれかにおいて、前記角部引出し工程は、前記蓋部立上げ工程で、前記吸盤により立ち上げられている前記蓋部の内側に、前記押下げローラを降下させ、次に、前記対角線に沿って水平に外側に移動させることにより、前記蓋部を、前記4隅の角部上方位置まで開く工程を含むことを特徴とする箱体内袋体の口部開き方法。
【0022】
(13)(12)において、前記折返し工程は、前記蓋部を前記4隅の角部上方位置まで開いた状態のままで、前記押下げローラを鉛直方向に下降して、前記蓋部を折り曲げるようにされていることを特徴とする箱体内袋体の口部開き方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、箱体内部に敷設され、ワークを収容している袋体の口部を、箱体の上面開口から外側に折り返して折返し口部を構成する際に、該折返し口部を外側に膨らむことなく、箱体の外周側面に沿って引き下げて構成することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例に係る箱体内袋体の折返し口部引下げ装置(以下、実施例装置)を示す平面図
【
図2】実施例装置により開かれ、且つ、折返し口部が引き下げられる袋体及びこれを収容する直方体形状の箱体を示す斜視図
【
図3】同箱体から袋体の口部を引き出して開いた状態を示す斜視図
【
図4】同袋体の口部を、箱体の外周側面に沿って引き下げて折返し口部を形成した状態を示す斜視図
【
図5】実施例装置における吸着開口装置及びこれを駆動するための吸盤駆動装置を示す正面図
【
図6】同吸着開口装置及び吸盤駆動装置の作動中の状態を示す正面図
【
図8】
図7の要部を拡大して示す一部断面とした側面図
【
図12】実施例装置における角部押下げ装置を示す正面図
【
図13】同角部押下げ装置の動作中の状態を示す正面図
【
図14】同角部押下げ装置により袋体の口部を開いた状態を示す正面図
【
図15】同角部押下げ装置の押下げローラによって、袋体の折返し口部を形成する過程を示す正面図
【
図16】実施例装置における吸着ユニット及びニップローラとこれらの駆動装置を示す正面図
【
図18】実施例装置における蓋部吸着装置により袋体の蓋部の吸着を開始する直前の状態を模式的に示す断面図
【
図19】同蓋部吸着装置により1枚目の蓋部を吸着した状態を模式的に示す断面図
【
図20】同蓋部吸着装置によって1枚目の折曲げ蓋部を吸着し、且つ、立ち上げた状態を模式的に示す断面図
【
図21】1枚目及び2枚目の折曲げ蓋部を吸着して立ち上げた状態を模式的に示す断面図
【
図22】4枚の折曲げ蓋部を吸着して立ち上げた状態を模式的に示す断面図
【
図24】蓋部吸着装置によって立ち上げた袋体の口部を、角部押下げ装置によって広げる前の状態を模式的に示す平面図
【
図25】同角部押下げ装置によって口部を広げた状態を模式的に示す平面図
【
図26】広げた状態の口部を角部押下げ装置によって押下げ開始直前の状態の要部を示す斜視図
【
図27】同角部押下げ装置によって口部を押し下げて折返しを開始した状態を示す斜視図
【
図28】折返し口部を吸着、挟み込む直前の状態から、吸着ユニットと吸着バーにより挟み込んだ状態、折返し口部を箱体の外周側面に沿って引き下げた状態、引き下げ終了した状態を模式的に示す側面図
【
図29】吸着バーとニップローラにより挟み込んだ折返し口部に対して吸着バーとニップローラが相対移動する状態を拡大して示す断面図
【
図30】吸盤の、ゴムリップを有しない変形例を示す
図11と同様の断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の箱体内袋体の折返し口部引下げ装置は、直方体形状の箱体内部に敷設され、ワークを収容している袋体の口部が、前記箱体の上面開口から外側に折り返されて構成された折返し口部を、前記箱体の外周側面に沿って引き下げるためのものであり、折返し口部を外周側面側から負圧により吸着可能、且つ、外周側面に沿って同期して上下動可能とされた吸着ユニットと、この吸着ユニットの吸着バーとの間で前記折返し口部を挟み込み、吸着バーと同期して上下動可能なニップローラと、を有して構成されている。
【0026】
又、箱体内袋体の折返し口部引下げ装置の実施例では、ワークが収容される袋体の口部4方向から順次内側に折り曲げて重ねられた4辺の折曲げ蓋部を、順次負圧により吸着して開く吸着開口装置を含む。
【0027】
更に、前記吸着開口装置により立ち上げられた折曲げ蓋部を箱体の対角線に沿って広げると共に、これを箱体の4隅の角部に沿って押し下げることができる角部押下げ装置を含む。
【0028】
図1に示されるように、折返し口部引下げ装置10は、コンベア4上を搬送される箱体1の、搬送路幅方向両側に配置された一対の吸着ユニット12A、12Bと、これらに対応して、吸着ユニット12A、12Bの搬送路幅方向両外側に配置された一対のニップローラ14A、14Bと、を含んで構成される吸着引下げユニット60A、60Bを有している。
【0029】
又、折返し口部引下げ装置10は、コンベア4上の箱体1内に収容された袋体2の、折曲げ蓋部3A〜3Dを順次吸着して立ち上げるようにされた4基の吸着開口装置20A〜20Dと、箱体1の4隅の角部1A〜1Dを通る対角線に沿って、箱体1の平面視において、内側と外側の間を往復動する4基の角部押下げ装置40A〜40Dと、を含んで構成されている。
【0030】
この実施例において、
図2に示されるように、箱体1内に収容される袋体2の口部2A(
図3参照)が、袋体2内のワーク(例えば乾燥たばこ葉、緑茶や紅茶などのワーク)の上面に4方向から順次内側に折り曲げられて重ねられた4辺の折曲げ蓋部3A〜3Dを構成しているが、この折曲げ蓋部3A〜3Dを、吸着開口装置20A〜20Dにより順次4方向に開いて立ち上げ、更に、角部押下げ装置40A〜40Dによって、前記の立ち上げられた折曲げ蓋部3A〜3Dの内側から、箱体1の対角線に沿って外側に引っ張って、
図3に示されるように、口部2Aを拡げた状態とし、次に、角部押下げ装置40A〜40Dを降下させることによって、箱体1の角部1A〜1Dに沿って拡げた折曲げ蓋部3A〜3Dからなる口部2Aを折り曲げて折返し口部5A〜5Dとし、最後に、折り返された折返し口部5A〜5Dを、吸着引下げユニット60A、60Bの吸着ユニット12A、12Bとニップローラ14A、14Bによって挟み込んだ後、箱体1の外周側面6A〜6Dに沿って引き下げるものである。
【0031】
上記吸着開口装置20A〜20Dの詳細は、
図5〜
図11に示される。
【0032】
吸着開口装置20A〜20Dは、箱体1の高さ方向をZ軸、外周側面6A〜6Dと直交する方向をX軸としたとき、Z軸アーム22ZとX軸アーム22Xを有する2軸ロボットである吸盤駆動装置22と、Z軸アーム22Zの下端に設けられた、折曲げ蓋部3A〜3Dを吸着して立ち上げるための蓋部吸着装置24とから構成されている。
【0033】
なお、
図5〜
図11は、吸着開口装置20A〜20Dのうち、20Bについてのみ示している。他の吸着開口装置20A、20C、20Dは吸着開口装置20Bと同一の構成であるので、説明を省略する。
【0034】
蓋部吸着装置24が取り付けられたZ軸アーム22Zは、X軸アーム22Xにより、X軸方向に往復動自在とされ、且つ、Z軸アーム22Zは、X軸アーム22Xに対して上下方向に移動自在に取り付けられている。X軸アーム22X及びZ軸アーム22Zは、ボールねじを用いた直動システムであり、これは周知であるので説明は省略する。
【0035】
吸盤駆動装置22は、蓋部吸着装置24を、箱体1の4面の外周側面6A〜6Dのうち6Bの幅方向中心の上方を通って箱体1の内外間、且つ、上下方向に駆動可能とされている。
【0036】
吸着開口装置20Bは、吸盤26により、折曲げ蓋部3Bを上方から吸着し、且つ、吸着した折曲げ蓋部3Bの先端を箱体1の外側面よりも外側となる状態に立ち上げるように構成されている。
【0037】
詳細には、吸着開口装置20Bは、
図5に示されるように、水平のX軸アーム22Xを、その先端が、箱体1の中心部近くの上方位置となるように、且つ、箱体1の中心から外周側面6Bの幅方向中央位置を通って箱体1の外側にまで至るように配置して
図5に示される待機状態とし、ここから、Z軸アーム22ZをX軸アーム22Xに沿って
図5において左端近傍(箱体1の中心上方)に移動させつつ、Z軸アーム22Zを下降させて
図6に示される吸着位置にまで移動することができるようにされている。
【0038】
蓋部吸着装置24は、Z軸アーム22Zの下端にZ軸アーム22Zと直交し、且つ、水平な揺動軸25により前記吸盤26を揺動自在に取り付けて構成されている。
【0039】
図5において下向きの吸盤26は、
図7に示されるエアシリンダ27によってその揺動位置が規制されるものであり、
図5及び
図6に示される下向き状態(吸着位置)と、
図10において二点鎖線で示される立上げ状態との間で90°の角度範囲で揺動されるように構成されている。
【0040】
吸盤26は、
図8、
図9及び
図11に拡大して示されるように、吸着位置で、水平方向に細長い長円形状の、負圧が印加される吸込み口28と、この吸込み口28を囲んで、且つ、該吸込み口28より前方(吸着位置では下方)に突出して設けられ、先端が吸込み口28と平行な連続した先端平面30Aを形成する長方形状の吸着チャンバ30と、特に
図11において明確に示されるように、先端平面30Aの、吸着チャンバ30の長方形における長辺から前方に突出して設けたゴムリップ31と、を有している。
【0041】
又、吸着チャンバ30の先端平面30Aから吸込み口28にかけて、断面において凹円弧形状となるテーパ面32が形成されている。
【0042】
吸込み口28は、揺動軸25内を通って負圧パイプ28Aに連通され、負圧源(図示省略)から負圧パイプ28Aを通って負圧を導くようにされている。
【0043】
更に詳細には、吸着チャンバ30を構成する吸盤26は、その背後が、連通チャンバ33により支持され、この連通チャンバ33の底面に形成された連通孔34を介して、吸着チャンバ30、吸込み口28、連通チャンバ33及び連通孔34を経て、負圧パイプ28Aに連通される構成となっている。
【0044】
符号29は、連通孔34が連通チャンバ33内を経て、吸込み口28、テーパ面32から袋体の折返し口部に圧縮空気を吹き付けて、付着したワーク7やごみや埃を吹き飛ばすためのエアーブローパイプを示す。
【0045】
次に、
図12〜
図15に示される角部押下げ装置40Bについて説明する。
【0046】
他の角部押下げ装置40A、40C、40Dは構成が同一であるので説明を省略するものとする。
【0047】
角部押下げ装置40Bは、垂直ロッド41(
図1、
図13参照)の下端に設けられた直交する一対の水平軸42周りに回転自在に支持され、且つ、相互に接近して配置された一対の押下げローラ43A、43Bを備えている。これらの押下げローラ43A、43Bは、箱体1の角部1Bの外側面に接触可能に、且つ、角部1Bの外側面に沿って上下方向に転接可能とされている。
【0048】
垂直ロッド41は、その上端が直進ガイド44に沿って、直進シリンダ45により往復動できるようにされている。直進ガイド44及び直進シリンダ45は、昇降ベース46に、水平軸47を介して揺動自在に支持されている。又、昇降ベース46と直進ガイド44及び直進シリンダ45との間には、これらを水平軸47周りに揺動するための揺動シリンダ48が設けられている。昇降ベース46は、鉛直ガイドロッド49によって昇降自在に支持され、且つ、昇降シリンダ50によって上下方向に駆動されるようになっている。
【0049】
次に、
図16、
図17を参照して、吸着ユニット12Aとニップローラ14Aを含む吸着引下げユニット60Bについて説明する。
【0050】
吸着引下げユニット60Bは、吸着引下げユニット60Aと同期して昇降され、且つ、吸着ユニット12A、12B及びニップローラ14A、14Bも同期して駆動される構成となっている。他の構成については、吸着引下げユニット60Aと60Bは同一であるので、吸着引下げユニット60Aの説明は省略するものとする。
【0051】
吸着ユニット12Bとニップローラ14Bとは、共に、昇降フレーム61に取り付けられ、この昇降フレーム61は、鉛直直進ガイド62に沿って、ボールねじ直進装置63により鉛直方向に昇降されるようになっている。ボールねじ直進装置63に代えてシリンダを用いてもよい。
【0052】
吸着ユニット12Bは、折返し口部5Bを吸着するための水平方向に長い中空三角形状部材からなる吸着バー64を有している。
【0053】
この吸着バー64は、垂直断面において外周側面6Bと平行な鉛直面64Aと、この鉛直面64Aの上端から下側ほど外周側面6Bから離間する外側傾斜面64Bと、この外側傾斜面64Bに設けられ、負圧が印加される吸引孔64Cと、この吸引孔64Cの上側及び下側位置で、外側傾斜面64Bに設けられた一対の水平突起部64D、64Eとを備えて構成されている。又、吸着バー64は、吸着バーベース65に支持されている。
【0054】
鉛直直進ガイド62に沿って昇降される昇降フレーム61には、水平方向に、且つ、外周側面6Bに対して伸縮するユニット駆動シリンダ66が設けられ、このユニット駆動シリンダ66におけるロッド66Aの伸縮によって、ニップローラ14Bは、ニップローラ直進ガイド68に案内されて外周側面6Bに対して進退できるように支持されている。
【0055】
吸着バーベース65は、例えばボールねじシステムからなる吸着バー進退装置70を介して昇降フレーム61に支持されていて、吸着バー64を、
図16において実線の位置と二点鎖線の位置との間で昇降フレーム61に対して水平に進退できるようにされている。
【0056】
従って、吸着バー64は、水平方向には、
図16の実線で示される位置と二点鎖線で示される位置との間で移動自在とされ、且つ、鉛直方向には、ボールねじ直進装置63によって、鉛直直進ガイド62に案内されて昇降できるようにされている。
【0057】
又、ニップローラ14Bは、ボールねじ直進装置63によって、吸着ユニット12Bと共に同期して昇降されるが、水平方向には、ユニット駆動シリンダ66によって、ニップローラ直進ガイド68に案内されて、又、吸着バー64は吸着バー進退装置70により、それぞれ外周側面6Bに対して進退できるようにされている。
【0058】
図16の符号71は、吸着バー64の内側の負圧空間64Fに負圧源(図示省略)から負圧を導入するための負圧パイプを示す。
【0059】
次に、実施例に係る折返し口部引下げ装置10によって、コンベア4上の箱体1内の袋体2における折曲げ蓋部3A〜3Dを吸着して立ち上げてから、外周側面6A〜6Dに沿って引き下げて折返し口部5A〜5Dを形成する過程について説明する。
【0060】
図18に示されるように、吸着開口装置20AにおけるX軸アーム22Xに沿ってZ軸アーム22Zを折曲げ蓋部3A〜3Dの上方位置に移動しつつ、且つ、Z軸アーム22Zの下端を降下させて、折曲げ蓋部3Aの真上で、吸着開口装置20Aにおける吸盤26を下向きとする。
【0061】
次に、吸盤26を更に降下させ、吸着チャンバ30に負圧を印加すると、折曲げ蓋部3Aが
図19に示されるように吸着される。
【0062】
吸盤26は、長円形の吸込み口28を有しているので、折曲げ蓋部3Aを水平方向に広い範囲で安定して吸着することができる。また、内側面が先端平面30Aから吸込み口28にかけて凹円弧状のテーパ面32とされているので、折曲げ蓋部3Bが内側面に密着して、吸着ミスが発生しない。
【0063】
この状態で、Z軸アーム22Zを上昇させつつ、且つ、X軸アーム22Xに沿って箱体1から離間する方向に駆動し、その過程で、エアシリンダ27によって吸着チャンバ30を、矢印で示されるように、90°反時計方向に揺動させて、
図20に示されるように、吸着した折曲げ蓋部3Aを立ち上げる。
【0064】
このとき、折曲げ蓋部3Aは、上記揺動の反作用として、箱体1方向に引張力を受けるが、先端平面30Aから突出したゴムリップ31との摩擦により、吸盤26のテーパ面32との間で滑ってずれることがない。
【0065】
次に、吸着開口装置20Bによって、折曲げ蓋部3Bを、上記と同様に吸着・立ち上げて、
図21に示されるような状態とする。
【0066】
更に、残りの折曲げ蓋部3C、3Dを、吸着開口装置20C、20Dにより順次吸着・立ち上げて、
図22に示されるように、袋体2の、折曲げ蓋部3A〜3Dからなる口部2Aを箱体1の上方で立ち上げた状態で拡開する。この状態を上方から見れば、
図23のようになり、ワーク7が露出する。
【0067】
次に、
図12において実線で示される待機位置から、角部押下げ装置40Bを昇降シリンダ50によって上昇させつつ、揺動シリンダ48により、直進ガイド44及び直進シリンダ45を押下げローラ43A、43Bと共に水平軸42を中心として、
図12において反時計方向に揺動させる。
【0068】
これにより、
図23に示されるように、立ち上げられた状態で拡開されている口部2Aの上端を越えて、垂直ロッド41及び押下げローラ43A、43Bが、口部2Aの内側上方に入り込む。
【0069】
昇降シリンダ50により、昇降ベース46を更に上昇させつつ、押下げローラ43A、43B、直進ガイド44及び直進シリンダ45を水平軸42周りに反時計方向に、直進ガイド44が水平、且つ、垂直ロッド41が鉛直下向きになるまで揺動させて、
図13に示される状態とする。
【0070】
このとき、他の角部押下げ装置40A、40C、40Dも、同期して、
図13に示されるような状態となり、4基の角部押下げ装置40A〜40Dの押下げローラ43A、43Bは、いずれも、拡げられ且つ立ち上げられた口部2Aの内側にあり、ここから、直進シリンダ45によって垂直ロッド41を箱体1の角部1A〜1D方向に移動させる。その途中の状態を、
図24に示す。
【0071】
図24に示された状態から、角部押下げ装置40A〜40Dの垂直ロッド41を、押下げローラ43A、43Bと共に箱体1の中心から角部1A〜1Dの方向に拡げると、4本の垂直ロッド41によって袋体2の立ち上げられた口部2Aは外側に引っ張られて拡開される。
【0072】
この拡開工程を、押下げローラ43A、43Bが、角部1A〜1Dの外側に転接可能位置となった状態で垂直ロッド41及び押下げローラ43A、43Bの移動を停止する。この状態を
図25に示す。
【0073】
図25に示される状態から、昇降シリンダ50によって昇降ベース46を下降させると、
図26及び
図27に示されるように、押下げローラ43A、43Bにより、垂直ロッド41によって外側に引っ張られていた口部2Aが箱体1の上端縁を支点として
図27に示されるように折り返され、且つ、押下げローラ43A、43Bが角部1A〜1Dにおいて箱体1の外周側面6A〜6Dに転接することによって、外周側面6A〜6Dに沿って押し付けられ、外周側面6A〜6Dの外側上方に折返し口部5A〜5Dが形成される。
【0074】
一方、
図28において符号Aで示される待機位置に、吸着引下げユニット60Bの吸着バー64が予め待機されている。
【0075】
詳細には、吸着バー64は、
図28において符号Bで示される、外周側面6Bに最も接近した位置から外側に離間した位置であって、且つ、押下げローラ43A、43Bによって押し下げられてきた折返し口部5Bが覆い被さる位置である待機位置Aで待機されている。
【0076】
押下げローラ43A、43Bにより押し下げられた折返し口部5Bが、待機位置にある吸着バー64の外側傾斜面64Bに覆い被さると、ユニット駆動シリンダ66によって、ニップローラ14Bが、
図28において、左方向に前進され、水平突起部64D、64Eの間の位置で、折返し口部5Bを吸引孔64C方向に押し付けて、挟み込む。
【0077】
この挟み込んだ状態から、吸着バーベース65が吸着バー進退装置70によって外周側面6B方向に、ニップローラ14Bと同期して、
図28において符号Bで示される引下げ開始位置にまで移動される。
【0078】
ニップローラ14Bが吸着バー64との間で折返し口部5Bを挟み込むとき、ニップローラ14Bは、吸引孔64C方向への変位が一対の水平突起部64D、64Eによって規制され、且つ、これら水平突起部64D、64Eとニップローラ14Bとの間で折返し口部5Bが挟み込まれているので、折返し口部5Bが吸引孔64C内に深く吸引されてしまうことがない。
【0079】
このような状態では、折返し口部5Bに対して吸着バー64とニップローラ14Bとを同期して引き下げたとき、一定以上の引張力が発生すると、折返し口部5Bは、
図29において二点鎖線で示されるように、ニップローラ14Bを回転させつつ吸着バー64に対しては滑って、相対的に上方に移動する。従って、折返し口部5Bはほぼ一定の引下げ力によって引張力が付与されつつ引き下げられることができる。
【0080】
図28の符号Bで示される引下げ開始位置からニップローラ14Bと吸着バー64とを同期して下降させると、折返し口部5Bは引き下げられつつも吸着バー64とニップローラ14Bとの間を通って上方に抜け出し、
図28において符号Dで示される引下げ終了位置まで下がったときに、吸着バー64とニップローラ14Bとの間を抜け出し、結果として、箱体1の外周側面6Dに沿って引き下げられることになる。
【0081】
なお、
図29の状態は、
図28において符号B及びDで示される状態の中間位置での状態を拡大して示すものである。
【0082】
折返し口部5Bがニップローラ14Bと吸着バー64の間から抜け出たとき、吸着バー64の負圧印加を解除して、且つ、ニップローラ14Bを吸着バー64から待機位置まで離間して、且つ、吸着バー64も外周側面6Dから離間した、符号Eで示される状態とし、更に、ニップローラ14Bと吸着バー64を、最初の待機位置Aに戻して引下げ工程を終了する。
【0083】
上記の吸着引下げユニット60Bによる引下げ工程と同期して、吸着引下げユニット60Aによっても同様に折返し口部5Aも引き下げられ、これらによる引下げによって、他の折返し口部5C、5Dも同期して引き下げられる。
【0084】
なお、上記実施例において、吸着引下げユニット60A、60Bは、箱体1の外周側面6A、6Bの外側にのみ設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周側面6A〜6Dのそれぞれに対応して4基の吸着引下げユニットを設けるようにしてもよい。
【0085】
但し、実験によれば、吸着引下げユニット60A、60Bは、コンベア4の搬送方向に対して直交する幅方向両側にのみ設けても、折返し口部5A〜5Dの全てを均等に引き下げることができた。
【0086】
また、上記実施例は、折返し口部引下げ装置10として、吸着開口装置20A〜20D、角部押下げ装置40A〜40D及び吸着引下げユニット60A、60Bを含むものであるが、本発明はこれに限定されるものはなく、折返し口部引下げ装置10は、吸着開口装置20A〜20D及び角部押下げ装置40A〜40Dを設けることなく、人の作業によって袋体2の口部2Aを開いて、且つ、吸着引下げユニット60A、60Bの吸着バー64の位置まで引き下げるように構成する場合も含むものとする。
【0087】
更に、上記実施例は、吸盤26の先端にゴムリップ31を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばゴムの摩耗粉がワークに混入することを回避する必要がある場合は、ゴムリップ31を設けなくてもよい。この場合、吸着チャンバ30の先端は、
図30に示されるように、断面において円弧状の先端面30Bとする。