(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態をさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施形態は、暗電流の原因となるプラズマ損傷や感光膜除去時の重金属汚染を
防止するため、フォトダイオードの形成後にフォトダイオードの上部にブロック層を形成
する。
【0016】
図2Aないし
図2Lは、本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を
示すための断面図である。
【0017】
図2Aに示すように、高濃度のP型不純物がドープされたP型基板(P
++)21Aと
、P型基板21A上に低濃度のP型不純物がインサイチューでドープされてエピタキシャ
ル成長したP型エピタキシャル層(P−エピタキシャル)21Bとからなる基板21に、
通常の方法により素子分離膜22を形成する。例えば、素子分離膜22は、STI(Sh
allow Trench Isolation)法にて形成する。
【0018】
次いで、基板21の全面に化学気相蒸着(CVD)法又は熱酸化法により第1ブロック
酸化膜23を形成する。例えば、第1ブロック酸化膜23は、化学気相蒸着法によりTE
OSで形成し、第1ブロック酸化膜23の厚さは20Å〜2000Åの範囲とする。
【0019】
図2Bに示すように、第1ブロック酸化膜23上に感光膜を塗布し、露光及び現像によ
りパターニングを行い、第1ブロックマスク24を形成した後、第1ブロックマスク24
をエッチングバリアとして第1ブロック酸化膜23をエッチングする。このとき、第1ブ
ロック酸化膜23のエッチングは、プラズマを用いたドライエッチングではなく、ウェッ
トエッチングで行う。これにより、第1ブロック酸化膜23のエッチング時に露出する基
板21の表面のプラズマ損傷を防止する。好ましくは、第1ブロック酸化膜23のウェッ
トエッチングは、BOE又はHF水溶液を用いて行う。第1ブロック酸化膜23が除去さ
れる部分は、フォトダイオードを除く残りの領域(例えば、トランジスタ形成領域)であ
る。すなわち、フォトダイオードの形成される領域の上部にパターニングされた第1ブロ
ック酸化膜23Aを残留させる。
【0020】
図2Cに示すように、第1ブロックマスク24を除去する。このとき、第1ブロックマ
スク24は、感光膜で形成されたものであるため、プラズマを用いて除去する。一方、除
去時にプラズマを用いるため、パターニングされた第1ブロック酸化膜23のエッチング
後に露出していた基板21の表面がプラズマ損傷を受ける。しかし、この部分は、フォト
ダイオードが形成される部分ではないため、除去時にプラズマを用いても構わない。
【0021】
第1ブロックマスク24を除去した後の結果をみると、基板21のフォトダイオードの
形成される領域の上部にパターニングされた第1ブロック酸化膜23Aが残留することが
分かる。以下、残留するパターニングされた第1ブロック酸化膜23Aを、略称して「第
1ブロック層23A」とする。
【0022】
図2Dに示すように、フォトダイオードの形成される領域の上部を第1ブロック層23
Aでブロックした後、後続のイオン注入を行う。
【0023】
ここで、後続のイオン注入とは、素子分離膜22の形成からゲート酸化膜の形成前まで
行われるイオン注入工程を指す。このようなイオン注入工程は、感光膜をマスクとして用
い、その種類は5〜8種類に及ぶ。これにより、図示してはいないが、図中の参照符号「
M1
X」が表すように、複数回にわたって感光膜除去工程を行う。ここで、「
X」は形成
及び除去される感光膜マスクの数を示す。このとき、感光膜の除去は一般的にプラズマを
用いて行うため、工程時に生じるプラズマ損傷がフォトダイオードの形成される領域に与
えられる。しかし、本発明のように、フォトダイオードの形成される領域の上部を酸化膜
からなる第1ブロック層23Aでブロックすれば、イオン注入時のプラズマ損傷を防止す
ることができる。
【0024】
また、感光膜は、少量の重金属を含有しているが、本発明のように製造すれば、フォト
ダイオードの形成される領域が感光膜と直接接触しなくなるため、重金属の浸透を大きく
抑制することができる。
【0025】
そのため、好ましくは、第1ブロック層23Aの厚さを20Å〜2000Åの範囲とす
ると、プラズマ損傷からフォトダイオードの形成される領域を保護することができる。
【0026】
前述した複数回にわたるイオン注入工程が完了したら、
図2Eに示すように、基板21
上にゲート酸化によりゲート酸化膜25を形成する。このとき、ゲート酸化膜25の形成
前にはゲート酸化前洗浄を行うことが必須であるが、このようなゲート酸化前洗浄時にお
いて、第1ブロック層23Aも全て除去される。例えば、ゲート酸化前洗浄は、BOE又
はHF水溶液を用いて行うが、BOE又はHF水溶液により酸化膜物質の第1ブロック層
23Aは容易に除去される。さらに、ゲート酸化前洗浄がウェット処理で行われるため、
基板21の表面のプラズマ損傷はない。
【0027】
図2F及び
図2Gに示すように、ゲート酸化膜25上にゲート電極26として用いられ
るポリシリコン膜を蒸着した後、ゲートパターニングを行い、ゲート電極26を形成する
。これらの図においては、トランスファトランジスタTXのゲート電極26のみを示して
いる。ここで、図中の参照符号「25A」は、パターニングされたゲート酸化膜を表す。
【0028】
次いで、フォトダイオード形成領域に対して、深いN型領域(深いN
−)28とP
0領
域(P
0)29とを形成するため、イオン注入を行う。
【0029】
より詳しくは、まず、ゲート電極26上に感光膜を塗布し、露光及び現像によりパター
ニングを行い、第1イオン注入マスク27Aを形成する(
図2F参照)。このとき、第1
イオン注入マスク27Aにより開放される領域は、フォトダイオードの形成される領域で
ある。このために、第1イオン注入マスク27Aの一側面をゲート電極26の中央付近に
整列することができ、他側面を素子分離膜22のエッジからフォトダイオード形成領域側
に一部延長して整列することができる。続いて、通常のイオン注入法によりN型不純物の
イオン注入(深いN
−注入)を行い、深いN型領域(深いN
−)28を形成する。
【0030】
次に、
図2Gに示すように、第1イオン注入マスク27Aを除去し、P
0領域29を形
成する。このとき、詳しくは、再び感光膜を塗布し、露光及び現像によりパターニングを
行い、第2イオン注入マスク27Bを形成した後、P型不純物(例えば、ボロン)の第1
P
0イオン注入(P
0注入)を行う。
【0031】
上記のような一連の不純物イオン注入により、フォトダイオード形成領域に深いN型領
域28とP
0領域29とを形成して、フォトダイオードを完成させる。
【0032】
周知のように、深いN型領域28とその下のP型エピタキシャル層21BとからなるP
N接合部分が、フォトダイオードになる。フォトダイオードの最上部にはP
0領域29が
形成され、その下のフォトダイオード領域とシリコン表面とを隔離させ、シリコン表面の
シリコンダングリングボンドによる暗電流の流入を抑制する。
【0033】
図2Hに示すように、第2イオン注入マスク27Bを除去する。このとき、第2イオン
注入マスク27Bは、プラズマを用いて除去する。
【0034】
次いで、ゲート電極26を含む基板の全面に第2ブロック酸化膜30を蒸着する。この
とき、第2ブロック酸化膜30は、化学気相蒸着(CVD)法又は熱酸化法を用いて20
Å〜2000Åの範囲の厚さに蒸着する。例えば、第2ブロック酸化膜30は、化学気相
蒸着法によりTEOSで形成する。ここで、第2ブロック酸化膜30も、プラズマ損傷を
防止するブロック層として用いられる。
【0035】
続いて、第2ブロック酸化膜30上に感光膜を塗布し、露光及び現像によりパターニン
グを行い、第2ブロックマスク31を形成した後、第2ブロックマスク31をエッチング
バリアとして第2ブロック酸化膜30をエッチングする。このとき、第2ブロック酸化膜
30のエッチングは、プラズマを用いたドライエッチングではなく、ウェットエッチング
で行う。これにより、第2ブロック酸化膜30のエッチング時に露出する基板21の表面
のプラズマ損傷を防止する。好ましくは、第2ブロック酸化膜30のウェットエッチング
は、BOE又はHF水溶液を用いて行う。第2ブロック酸化膜30が除去される部分は、
フォトダイオードを除く残りの領域である。すなわち、フォトダイオードの形成された領
域の上部にパターニングされた第2ブロック酸化膜30Aを残留させる。
【0036】
図2Iに示すように、第2ブロックマスク31を除去する。このとき、第2ブロックマ
スク31が感光膜で形成したものであるため、プラズマを用いて除去する。一方、除去時
にプラズマを用いるため、第2ブロック酸化膜30のエッチング後に露出していた基板2
1の表面がプラズマ損傷を受ける。しかし、この部分は、フォトダイオードの形成された
部分ではないため、除去時にプラズマを用いても構わない。
【0037】
第2ブロックマスク31を除去した後の結果をみると、基板21のフォトダイオードの
形成された領域の上部にパターニングされた第2ブロック酸化膜30Aが残留することが
分かる。以下、残留するパターニングされた第2ブロック酸化膜30Aを、略称して「第
2ブロック層30A」とする。
【0038】
図2Jに示すように、フォトダイオードの形成された領域の上部を第2ブロック層30
Aでブロックした後、後続のイオン注入を行う。ここで、後続のイオン注入とは、ゲート
パターニングの後にもフォトダイオードを除く残りのトランジスタ形成領域に感光膜をマ
スクとして用いて、7〜10回程度イオン注入(例えば、LDDイオン注入)を行うこと
を意味する。これにより、図示してはいないが、図中の参照符号「M2
Y」が表すように
、複数回にわたって感光膜除去工程を行う。ここで、「
Y」は形成及び除去される感光膜
マスクの数を示す。このとき、感光膜除去工程は一般的にプラズマを用いるため、工程時
に生じるプラズマ損傷がフォトダイオードの形成された領域に与えられる。しかし、本発
明のように、フォトダイオードの形成された領域の上部を酸化膜からなる第2ブロック層
30Aでブロックすれば、イオン注入時のプラズマ損傷を防止することができる。
【0039】
また、感光膜は、少量の重金属を含有しているが、本発明のように製造すれば、フォト
ダイオードの形成された領域が感光膜と直接接触しなくなるため、重金属の浸透を大きく
抑制することができる。
【0040】
図2Kに示すように、第2ブロック層30Aを残留させた状態で、通常のLDDスペー
サ32を形成する工程を行う。すなわち、第2ブロック層30Aを含む全面にスペーサ絶
縁膜を蒸着した後、スペーサエッチングを行い、LDDスペーサ32を形成する。このと
き、LDDスペーサ32は、ゲート電極26の側壁に形成され、TEOS32Aと窒化膜
32Bとの二重構造となる。一方、第2ブロック層30Aの両端側壁と、ゲート電極26
の一側壁に形成された第2ブロック層30Aの側壁にも、TEOS32Aと窒化膜32B
との二重構造を形成することができる。
【0041】
前述したスペーサエッチングは、通常、プラズマを用いたドライエッチングで行うが、
スペーサエッチング時に多量のプラズマ損傷がフォトダイオードの上部に与えられても、
第2ブロック層30Aがこれを全てブロックする。
【0042】
次に、通常よく知られているソース及びドレインイオン注入を、LDDスペーサ32と
感光膜とをマスクとして用いて行う。
【0043】
一方、最初に実施したP
0領域29を形成する第1P
0イオン注入のほか、付加的にL
DDスペーサの形成後、第2P
0イオン注入を行わなければならない場合は、
図2Lのよ
うな方法を適用する。
【0044】
同図に示すように、通常のソース及びドレインイオン注入を行った後、第2P
0イオン
注入を行うために、まず、第2ブロック層30Aをウェットエッチングにより除去する。
【0045】
ここで、ウェットエッチングは、BOE又はHF水溶液を用いて行う。このとき、LD
Dスペーサ32において第2ブロック層30Aと同じように、酸化膜物質のTEOS32
Aの一部がエッチングされることがある。図中の参照符号「32C」は、残留するTEO
Sを表し、参照符号「32D」は、残留するLDDスペーサを表す。また、第2ブロック
層30Aは、少なくともフォトダイオードの上部が完全に露出するまで除去し、フォトダ
イオードエッジ上のゲート電極26の一側壁には、残留する第2ブロック層32Bの一部
が存在することがある。
【0046】
前述のように、第2ブロック層30Aを除去する理由は、第2ブロック層30Aが非常
に厚いことから、それを予め除去することにより、後続の第2P
0イオン注入を円滑に行
うためである。
【0047】
続いて、第2P
0イオン注入を行う。このとき、第2P
0イオン注入時、イオン注入に
よる基板21の表面の損傷を防止するため、バッファ酸化膜を50Å〜200Åの範囲の
薄い厚さに予め形成することもできる。
【0048】
上述した実施形態によると、本発明は、第1ブロック層及び第2ブロック層を用いて、
フォトダイオードの形成前及びフォトダイオードの形成後に行われるイオン注入及び感光
膜除去工程によって生じるプラズマ損傷及び重金属汚染を根本的に防止することができる
。さらに、ブロック層は、後続のプラズマを用いたドライエッチング時におけるプラズマ
損傷も防止する。
【0049】
本発明は、ブロック層を用いて、フォトダイオードの形成前及びフォトダイオードの形
成後に伴うプラズマ損傷及び感光膜除去時の重金属汚染からフォトダイオードをブロック
することにより、暗電流の原因を根本的に遮断することができるという効果がある。
【0050】
以上、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思
想の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲
に属する。