特許第5976547号(P5976547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5976547電気部品用の熱管理システムおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976547
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電気部品用の熱管理システムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   H05K7/20 B
   H05K7/20 H
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-552102(P2012-552102)
(86)(22)【出願日】2011年2月4日
(65)【公表番号】特表2013-519234(P2013-519234A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】US2011023724
(87)【国際公開番号】WO2011097462
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年6月14日
(31)【優先権主張番号】61/301,804
(32)【優先日】2010年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514166687
【氏名又は名称】ブラック タンク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】コダデク,サード,ロバート,イー.
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−008272(JP,A)
【文献】 特開平10−293540(JP,A)
【文献】 特開2009−231135(JP,A)
【文献】 特開平10−097196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側面に電気部品を受容可能な、開口部を有する印刷回路基板(PCB)と、
前記PCBの第2側面に取付けられた一方の終端と、前記PCBから離れて配置された他の終端と、両終端間で流体連通するように開放内部を含む細長部材であって、少なくとも部分的に閉じた断面を有し、前記一方の終端が前記PCB上に少なくとも部分的に閉じた境界を画定する細長部材とを含み、
前記PCBの開口部が、前記PCBの第1側面と前記PCBの第2側面の間、および前記細長部材の少なくとも一部に沿って流体連通するように、前記境界の近傍に前記PCBを貫通して配置されており、
前記PCBが、前記PCBの第2側面上で画定された境界の少なくとも一部の正反対側の、前記PCBの第1側面上の所定位置で、前記電気部品を受容でき、
前記細長部材の一方の終端が、前記電気部品から前記PCBを貫通して前記細長部材内への熱伝導を促進する熱伝導材料により前記PCBに取付けられていることを特徴とする電気部品用の熱管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記PCBの第1側面と前記PCBの第2側面との間で、および前記細長部材の内部を貫通して流体連通するように、前記開口部が少なくとも部分的に前記境界の内側に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、少なくとも1個の内壁を含み、内部に前記PCBが配置されている筐体と、
前記筐体内に配置されていて、前記開口部を貫通して前記細長部材の少なくとも一部に沿って空気を移動させるべく動作可能な送風機を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項に記載のシステムにおいて、前記電気部品を制御すべく前記PCBに動作可能に接続された制御盤を更に含み、前記制御盤の各辺と前記筐体の対応する内壁との間に少なくとも1個の流体ダクトが形成され、前記送風機により移動された空気が前記少なくとも1個の流体ダクトを横断した後で前記筐体から排出可能であるように、前記制御盤が前記筐体内に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項に記載のシステムにおいて、前記PCBの上に複数の電気部品が配置され、前記電気部品の各々が発光ダイオード(LED)を含み、前記筐体が更に、
LEDからの光が前記筐体の外部空間を照射できる少なくとも部分的に開いた前部と、
前記送風機により移動された空気を前記筐体から排出可能にする少なくとも部分的に開いた後部とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記PCBから離れて配置された前記細長部材の終端と熱伝導的に接触するクロス部材を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項に記載のシステムにおいて、前記クロス部材が、前記細長部材の前記開放内部と流体連通する開放内部を含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
少なくとも1個の開口部を有し、自身の第1側面に表面実装された少なくとも1個の電気部品を有する印刷回路基板(PCB)と、
前記少なくとも1個の電気部品の正反対側にある前記PCBの第2側面に配置された少なくとも1個の実装パッドと、
各実装パッドに沿って表面実装され、それぞれの内部を通って流体連通するように開放内部をそれぞれ含む少なくとも1個の細長部材とを含み、
前記PCBの前記少なくとも1個の開口部が、前記少なくとも1個の開口部を貫通し、且つ少なくとも1個の各細長部材の少なくとも部分的に沿って前記PCBの第1側面と前記PCBの第2側面の間で流体連通するように少なくとも1個の各実装パッドの近傍に前記PCBを貫通して配置されることを特徴とする電気部品用の熱管理システム。
【請求項9】
請求項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1個の開口部が、前記PCBの第1側面と前記PCBの第2側面の間で、前記少なくとも1個の開口部を貫通して、且つ前記少なくとも1個の各細長部材の内部を貫通して流体連通するように、少なくとも1個の各実装パッド内に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項に記載のシステムにおいて、複数の電気部品が前記PCBの第1側面に表面実装され、複数の前記細長部材が各実装パッドに沿って前記PCBの第2側面に表面実装され、
前記実装パッドが前記電気部品と各細長部材との間で熱伝導を促進すべく熱伝導材料を含み、
前記PCBが、前記細長部材の内部を貫通して前記PCBの第1側面から流体連通するように各実装パッドに関連付けられた複数の開口部を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
内部に前記PCBが配置された筐体と、
前記開口部を貫通して、且つ前記細長部材の内部を貫通して空気を移動させるべく前記筐体内に配置された送風機とを更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記細長部材が略管状であって、各々が、
閉多角形を形成する断面と、
各実装パッドに取付けられた第1終端と、
前記PCBから離れて配置されていて、周囲環境に対して開いている第2終端とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、前記電気部品の少なくともいくつかが発光ダイオード(LED)を含み、前記筐体が前記LEDからの光が前記筐体の外部空間を照射可能にする前部と、前記送風機により移動された空気を前記筐体から排出可能にする後部とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記PCBが非金属コアPCBであることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記筐体が、複数の内壁により少なくとも部分的に画定される内部空間を含み、前記システムが更に、前記LEDを制御すべく前記PCBに接続された制御盤を含み、前記制御盤の各辺と前記筐体の対応する内壁との間に少なくとも1個の流体ダクトが形成され、前記送風機により移動された空気が前記少なくとも1個の流体ダクトを横断した後で前記筐体から排出可能であるように、前記制御盤が前記筐体内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項16】
印刷回路基板(PCB)の第1側面上の所定位置で前記PCBに取付け可能な電気部品用の熱管理システムを製造する方法であって、
細長部材の第1終端を前記所定位置の反対側にある前記PCBの第2側面に取付けるステップであって、前記細長部材は少なくとも部分的に閉じた断面を有し、前記1終端が前記PCBの第2側面上で少なくとも部分的に閉じた境界を画定し、前記細長部材が、前記PCBから離れて配置された第2終端、および両終端の間で流体連通するように開放内部を含むステップと、
前記PCBの第1側面と前記PCBの第2側面の間で、且つ前記細長部材の少なくとも一部に沿って前記流体連通するように前記境界の近傍に前記PCBを貫通して開口部を配置するステップとを含んでおり、
前記細長部材の第1終端を前記PCBの第2側面に取付けるステップが、前記細長部材の第1終端を熱伝導実装パッドに沿って前記PCBの第2側面に表面実装することを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記境界の近傍に前記PCBを貫通して開口部を配置する前記ステップが、前記開口部を少なくとも部分的に前記境界の内側に配置することを含み、それにより、前記PCBの第1側面と前記PCBの第2側面との間で、且つ前記細長部材の内部を貫通して流体連通することを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、
前記PCBを前記筐体内に配置するステップと、
送風機を、前記送風機が前記開口部を貫通して、且つ前記細長部材の内部を貫通して空気を移動させるべく動作可能である前記筐体内の位置に配置するステップとを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、前記熱管理システムが更に複数の内壁により少なくとも部分的に画定される内部空間を有する筐体を含み、前記方法が更に、
制御盤を、前記制御盤の少なくとも1辺が前記筐体の各内壁と協働して流体ダクトを形成するように前記筐体内に配置すべく構成するステップを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に引用する2010年2月5日出願の米国仮特許出願第61/301,804号を優先権主張するものである。
【0002】
本発明は、電気部品用の熱管理システム、およびそのようなシステムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、益々多くの製品が各種の電気部品を利用してこれら製品の制御および機能拡充を行なっている。ある場合には、多数の電気部品が、比較的狭い空間にパッケージングされることが多い印刷回路基板(PCB)に実装される。この種の製品に付随する共通の問題は、各種の電気部品から出る熱がこもる点である。電気部品により生じた熱の発散が不十分な場合、電気部品の使用可能な寿命が短くなり、製品の全損故障につながりかねない。従って、この問題に対処すべく電気部品用の熱管理システムに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は電気部品用の熱管理システムを含む。本システムは、PCBの第1側面に電気部品を受容可能なPCBを含む。細長部材の一方の終端がPCBの第2側面に取付けられ、他の終端がPCBから離れて配置されている。細長部材はまた、両終端間の流体連通を促進する開放内部を含む。PCBの第2側面に取付けられた一方の終端は、PCB上に少なくとも部分的に閉じた境界を画定する。PCBは、PCBの第1側面とPCBの第2側面の間で、且つ細長部材の少なくとも一部に沿って流体連通を促進すべく、境界線の近傍に自身を貫通して配置された開口部を含む。
【0005】
PCBは、PCBの第2側面に画定された境界の少なくとも一部の正反対側にあるPCBの第1側面上の所定位置で電気部品を受容することができる。PCBに取付けられた細長部材の終端は、電気部品からPCBを貫通して細長部材への伝導性熱伝達を促進する熱伝導材料により実装することができる。PCBはまた、PCBを貫通して配置されていて各々が開口部より小さい直径を有する複数の穴を含んでいてよい。これらの穴は、電気部品から細長部材への熱伝導を促進する電気部品の所定位置の近傍に配置されていてよい。
【0006】
本発明の実施形態は、少なくとも1個の内壁を有し、内部にPCBが配置された筐体を含んでいてよい。筐体内に送風機が配置されていてもよく、PCB内の開口部を貫通して、また開口部が少なくとも部分的に境界の内側にある箇所では細長部材の内部を貫通して空気を移動させるべく動作可能である。代替的には、開口部が完全に境界外に配置されている場合、空気は細長部材の外面に沿って進むことができる。いくつかの実施形態において、電気部品を制御すべく制御盤がPCBに動作可能に接続されていてよい。制御盤は、制御盤の各辺と、対応する筐体の内壁との間に少なくとも1個の流体ダクトが形成されるように筐体内に配置されていてよい。これにより、送風機により移動された空気が少なくとも1個の流体ダクトを通った後で筐体から排出可能になる。
【0007】
本発明の実施形態は、PCBの第1側面に実装された電気部品の表面の少なくとも1個を有するPCBを含む電気部品用の熱管理システムを含む。少なくとも1個の実装パッドが、少なくとも1個の電気部品の正反対側のPCBの第2側面に配置されている。少なくとも1個の細長部材が各実装パッドに沿って表面実装されていて、流体連通を促進すべく各々開放内部を含む。PCBは、当該PCBを貫通して配置された少なくとも1個の開口部を少なくとも1個の各実装パッドの近傍に含み、PCBの第1側面とPCBの第2側面との間で、少なくとも1個の開口部を貫通して、且つ少なくとも1個の各細長部材の少なくとも一部に沿って流体連通が促進される。
【0008】
電気部品の少なくともいくつかは、発光ダイオード(LED)およびPCBが実装される筐体を含んでいてよい。筐体内の送風機を用いて、LEDが表面実装されているPCBの前部から、各開口部を貫通して、およびPCBの第2側面に実装された各細長部材を貫通して空気を移動させることができ、開口部は、各実装パッドまたは複数の実装パッド内に少なくとも部分的に配置されている。代替的に、空気は開口部が完全に実装パッドの外部に配置されている箇所で各細長部材の外面に沿って移動させることができる。細長部材は一般に、閉じた多角形を形成する断面を有する管状構造であってよい。代替的に、細長部材は、断面が閉じた多角形ではなく開いた2次元図形となるように開いた溝として構成されていてもよい。
【0009】
本発明の実施形態はまた、PCBの第1側面上の所定位置でPCBに取付け可能な電気部品用の熱管理システムを製造する方法を含む。本方法は、細長部材の第1終端を当該所定位置の反対側にあるPCBの第2側面に取付けるステップを含んでいてよい。第1終端は、PCBの第1側面上で少なくとも部分的に閉じた境界を画定することができる。細長部材は、PCBから離れて配置された第2終端を含み、また両終端の間で流体連通を促進する開放内部を含む。本方法はまた、PCBの第1側面とPCBの第2側面の間で、且つ細長部材の少なくとも一部に沿って流体連通を促進すべく境界の近傍にPCBを貫通して開口部を配置するステップを含む。細長部材の第1終端をPCBの第2側面に取付けるステップは、細長部材の第1終端を熱伝導実装パッドに沿って表面実装するステップを含んでいてよい。
【0010】
次いでPCBは筐体内に配置されていてよく、送風機は、当該送風機が開口部および細長部材の内部を貫通して、または細長部材外面に沿って、あるいその両方の仕方で空気を移動させるべく動作可能な位置で筐体内に配置されている。筐体は、複数の内壁により少なくとも部分的に画定される内部空間を含んでいてよい。本方法はまた、制御盤が流体ダクトを形成すべく筐体の各内壁と協働すべく構成された少なくとも1辺を有するように、筐体内に配置されるべく制御盤を構成するステップを含んでいてよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態による熱管理システムを、PCBに表面実装された複数の電気部品に適用された状態で示す透視図である
図2図2は、図1に示すPCBの下側の透視図である。
図3図3は、図1に示す一部の熱管理システムの詳細図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態による熱一部の管理システムの平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、筐体を貫通して空気の移動を促進する筐体および送風機を含む熱管理システムの透視図である。
図6図6は、図5と比較して代替的な位置に送風機を有する、本発明の実施形態の透視図である。
図7図7は、筐体の後面に配置された制御盤を含み、当該制御盤を貫通して空気の移動を可能にすべく構成された、本発明の実施形態の透視図である。
図8図8は、図7に示すような筐体の後部、および制御盤の辺と筐体の内壁との間で空気の移動を可能にすべく構成された制御盤の平面図である。
図9図9は、PCBと筐体の内壁との間で空気の移動を可能にすべく構成されていて、更に細長部材の内部を貫通して気流を促進すべく非円形の開口部が貫通して配置されたPCBを有する、本発明の実施形態による熱管理システムの平面図である。
図10図10は、放熱部材の境界の内側に部分的に配置された開口部を備えたPCBを有する、本発明の実施形態による熱管理システムの一部の平面図である。
図11図11は、放熱部材の境界の完全に外部で配置された開口部を備えたPCBを有する、本発明の実施形態による熱管理システムの一部の平面図である。
図12図12は、各放熱部材と協働する複数の開口部を備えたPCBを有する、本発明の実施形態による熱管理システムの一部の平面図である。
図13図13は、クロス部材が取付けられた放熱部材を備えたPCBを有する、本発明の実施形態による熱管理システムの一部の透視図である。
図14図14は、単一のクロス部材が取付けられた複数の放熱部材を備えたPCBを有する、本発明の実施形態による熱管理システムの一部の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明の実施形態による熱管理システム10を示す。本システムは、複数の電気部品14が実装された(簡潔のため、図1に示す全ての電気部品にラベル付けしている訳ではない)PCB12を含む。図1に示す実施形態において、電気部品14は、PCB12に表面実装されたLEDである。LED14の各々に各開口部16が対応している。開口部16は、空気の移動を促進すべくPCBを貫通して配置されている。
【0013】
LED14の各々は、PCB12の第1側面18に実装されている。更に詳しく図示および記述するように、本発明の熱管理システム10はまた、PCB12の第2側面22に実装された複数の細長部材20を含む。PCB12はまた、複数の取り付け穴24を含み、例えばPCB12を筐体内に実装するために用いることができる。
【0014】
図2に、図1に示すPCB12の下側を示す。図2により明確に示すように、細長部材20は管状部材、および特に直円柱として構成されている。細長部材20が、断面が非円形の筒状部材、更には断面が閉多角形ではない開いた溝等、異なる構成を有していてよいことを理解されたい。図2に示す実施形態において、細長部材20は断面直径が概ね1/2〜3/4インチ、長さが概ね1インチである。細長部材20のこの構成により、開口部16(図1参照)は直径が概ね1/4〜3/8インチであってよい。
【0015】
図3に、熱システム10の一部を詳細に示す。具体的には、図3にPCB12の第1側面18に表面実装されたLED14の1個を示す。また、PCB12を貫通する状態で開口部16を示す。対応する細長部材20をPCB12に実装すべくPCB12の第2側面22に配置された実装パッド26を隠れ線で示す。実装パッド26は一般に、細長部材20の断面の輪郭にぴったり合っていてよく、そのような場合「トレース」と呼ばれる場合がある。しかし、これは輪郭よりも広い領域を含んでいてよいため、より一般的に「実装パッド」と称される。実装パッド26は、熱伝導性の材料、いくつか列挙すれば、はんだ、銅、または熱伝導性ポリマー接着剤等で製造できる。図3、および図1に、開口部16に相対的なLED14の位置を示す作図線円27も示す。
【0016】
図3に示すように、LED14は、PCB12の第2側面22に配置された実装パッド26の正反対側の所定位置でPCBの第1側面18に配置されている。この位置決めにより、LED14からPCB12を貫通して実装パッド26までの伝導性熱伝達が促進される。細長部材20もまた熱伝導材料、例えば銅合金で製造されているため、LED14により生じた熱をPCB12を貫通して細長部材20まで伝導することができる。以下に詳述するように、本発明の実施形態は、1個以上の送風機を用いて開口部16を通り、且つ細長部材20の内部28(図2参照)を通る空気移動を促進することができる。従って、図2に示すように、細長部材20は、PCB12の第2側面22に取付けられた第1終端30、およびPCB12から離れて配置されていて一般に周囲環境に対して開いた第2終端32を有していてよい。開放内部28は、終端30、32間における流体連通、例えば図3と合わせて上で述べた空気の移動を促進する。
【0017】
図4に、電気部品36が表面実装されたPCB34の一部断片的な平面図を示す。電気部品36はLEDであって、PCB34の一方の側に、PCB34の他の側の実装パッド38とは正反対側に実装されている。上述のように、実装パッド38は熱伝導性材料で製造されていて、細長部材20等の熱伝導構造を実装するために用いることができる。図4に示すように、実装パッド38はPCB34上に閉じた境界を形成する。本例では、実装パッド38は円形であり、これを用いて直円柱として形成された細長部材を実装するのに便利である。逆に、本発明の実施形態によるPCBに取付られた細長部材は断面が非円形であっても、開いた溝として構成されていても、またはその両方であってもよい。そのような場合、対応する実装パッドは、PCBの表面上に閉じた多角形ではなく、部分的に閉じた境界を形成する。
【0018】
図4に、PCB34を貫通して配置され、且つ実装パッド38内に位置する開口部40も示す。開口部40等の開口部が非円形であって、その一部しか実装パッドにより形成される境界の内側に存在しない点を理解されたい。そのような場合、開口部経由でPCBを貫通して移動する空気の一部は対応する細長部材の内部を流れる一方で、同じ開口部を貫通して移動する空気の一部は細長部材の外部部分を流れる。後述するように、そのような開口部は、開口部を貫通して移動する空気が各細長部材の外面に沿って流れるように各細長部材の近傍に配置されていてよい。
【0019】
図4に、PCB34を貫通して配置された複数の穴42も示す。穴42の直径は開口部40より小さく、LED36の略近傍に位置している。このような穴は「ビアホール」または「スティッチング」と呼ばれることがある。LED36の近傍に位置する穴42により、LED36からPCB34を貫通して実装パッド38に取付けられた細長部材までの熱伝導を増大させることができる。単一のLED36が実装パッド38に位置し、同様に細長部材に対する電気部品の1対1の比率を図1〜3に示しているが、本発明の実施形態は、細長部材20等の単一の放熱器を有する複数の電気部品から熱が放散されるように、複数の電気部品に対向して配置された単一の細長部材を提供することができる点に注意する価値がある。また、単一の細長部材に複数の開口部が対応していてもよく、単一の開口部が複数の細長部材に対して気流を送ってもよい。
【0020】
図5に、PCB44が筐体46内に配置されている本発明の実施形態を示す。複数の熱伝導細長部材48がPCB44の一方の側に配置されているのに対し、電気部品(図示せず)がPCB44の反対側にある細長部材48の正反対側に配置されている。筐体46内にはまた、空気を、矢印で示すように、開口部を貫通して(図5には示さず、例えば開口部16を有する図1を参照)、筐体46の外へ移動させるべく動作可能である送風機50も配置されている。PCB44は、ガラス繊維等の非金属コア材料で製造されているが、これは本発明の熱管理システムにより可能である。金属コアPCBはより高価であって、非金属コアガラス繊維等の他の何らかの材料と比較し装置の重量を増大させる。従って、本発明の少なくともいくつかの実施形態では、熱の放散に金属化されたPCBを必要としないため、重量と部品コストが減少するという追加的な効果が得られる。
【0021】
図5に示す筐体46は、筐体46の前部52が図の最上部に示す向きに置かれているのに対し、筐体46の後部54を図の最下部に示す。従って、空気は、筐体46の後部54からPCB44の一方の側面上の電気部品を横断し、PCB44および細長部材48を貫通して移動し、筐体46の正面52から外へ出る。これを図6にも示すが、送風機50’が図5に示す構成よりもはるかに細長部材48の近傍に配置されている。送風機50または50’等の送風機のサイズおよび位置を調整することにより、熱管理システムにおいて必要とされるパッケージングおよび冷却の度合に柔軟性を持たせることができる。
【0022】
図面に示す実施形態は筐体の前部から空気を吸引して、筐体の後部から排出する送風機を示しているが、送風機はまた、PCB内開口部を貫通してPCBの正面の方へ、空気を細長部材を横断および/または貫通して押し出すことができる。例えばパッケージングにおける考慮等、アプリケーションに依存するが、送風機は細長部材の後部に垂直に送風することにより、開口部を貫通して、且つ細長部材を貫通して空気がPCBの前部から吸引されるベンチュリー(Venturi)効果を生じさせるべく構成されていてよい。
【0023】
図6にはPCB44の前面に取付けられたLED56も示す。この種の装置において、筐体46の開いた前部52によりLED56からの光が筐体46の外部空間を照射できる一方、筐体46の開いた後部54により細長部材48を通過した空気が筐体46から排出可能であるため熱の蓄積が避けられる。
【0024】
図7に、商用、産業用、家庭用、または娯楽用途に利用できるLEDライトボックス58を示す。ライトボックス58は図6に示すような複数のLEDを使用する。これはまた、上で例示および記述したような熱管理システムを使用する。先に述べた熱システムの要素に加え、図7に示す本発明の実施形態は制御盤60を含み、ライトボックス58内のLEDの制御に用いる種類のPCBであってよい。送風機50または50’と同様の送風機62が、LEDおよび放熱部材を囲む筐体66の後部64の近傍に制御盤60に取付けられている。図7に示す実施形態において、送風機62は後部64の小さい領域しか利用しないが、依然として矢印で示すように筐体66の前部68から空気を吸引する。
【0025】
いくつかの実施形態において、図6に示す筐体46内の送風機50’等の送風機を筐体の内部に配置することが便利であろう。そのような場合、図7に示す制御盤60等の制御盤が筐体から排出される空気の流れを許容できない程度に妨げる恐れがある。図8に、この問題に対処する本発明の実施形態を示す。図8に、内壁74、76、78、80により画定され内部空間72を有する筐体70の平面図を示す。制御盤60が筐体66の後部64の近傍に配置された図7の例と同様に、制御盤82が筐体70の後部に向けた配置されている。図8に示す実施形態では、制御盤82に取付けられた送風機は存在しない。その代わり、図6に示す送風機50’等の送風機が制御盤82の後面に、制御盤82と図6に示すPCB44等のPCBの間に配置されている。筐体70から出る温風の移動を促進すべく、制御盤82は、自身の4辺84、86、88、90が筐体70の各内壁74、76、78、80と協働して流体ダクト92、94、96、98を形成すべく構成されるように構成されている。流体ダクト92〜98は、送風機により移動されて筐体70から出る空気の通路を提供する。代替的、または流体ダクト92〜98と連携して、制御盤82は、筐体70から出る空気の移動を促進すべく1個以上のスルーホールを備えて構成することができる。
【0026】
電気部品を含むPCBのために同様の構成を用いることができる。図9に、内部にPCB102が配置された筐体100を示す。PCB102は、PCB102の第一表面106に取付けられた複数の電気部品104を有している。PCB102の反対側に、上述のように放熱熱管の実装に用いる実装パッド108がある。PCB102の4辺110、112、114、116は、筐体100の各内壁118、120、122、124と協働して流体ダクト126、128、130、132を形成すべく構成されている。流体ダクト126〜132により、送風機、例えば図5に示す送風機50により移動される空気の一部が、PCB102の第1側面106から吸引されてPCB102の第2側面へ、次いで筐体100の後部から外へ出ることができる。各実装パッド108には開口部134が関連付けられているが、上で図示および記述したような円形ではなく、略矩形である。
【0027】
図10に、放熱細長部材138および開口部140を有するPCB136の一部の上面図を示す。開口部140の一部が細長部材138の外部により形成された境界の内側にあり、内部を貫通して流れる空気は細長部材138の表面の内外に沿って流れる。図11において、PCB142は、細長部材146の内部の完全に外部に配置されている細長部材144および開口部146を含む。これにより、開口部を貫通し、細長部材144の外面に沿った気流が促進される。細長部材144と開口部146の相対的な位置合わせに起因して、開口部146の少なくとも一部は、1個以上の細長部材144に気流を供給する。図11に示すPCB142の変型例において、図12に示すPCB148は、放熱細長部材150および開口部152を有する。細長部材150の各々は、1個以上の開口部152を貫通して移動する空気に接触するため、細長部材150における放熱の速度および全体量が増大する。
【0028】
図13に、各々がクロス部材158に取付けられた放熱細長部材156を有するPCB154を示す。図13に示す実施形態において、細長部材およびクロス部材は、互いに流体連通する開放内部を有する管として構成されている。これにより、特に空気が細長部材156の軸に垂直に流れている箇所での放熱を促進することができる。図14に、消放熱細長部材162およびクロス部材164を有するPCB160を示す。この実施形態において、単一のクロス部材164が2個の細長部材162に取付けられている。クロス部材164は開放内部166を有する管としても構成されているが、平材または他の固体、非管状部材を含む他の構成のクロス部材を用いてもよい。
【0029】
本発明はまた、上述の電気部品用の熱管理システムを製造する方法を含む。いくつかの実施形態において、放熱細長部材が、電気部品が取付けられる所定位置の反対側であるPCBの側に取付けられている。無論、既に電気部品がPCBに実装されている場合、細長部材は所定位置だけでなく電気部品の反対側に取付けられる。既に電気部品がPCBに取付けられていない場合、細長部材が取付けられた後でよい。実際、例えば空間を節約するために、複数の電気部品が単一の細長部材の反対側に取付けられていてもよい。細長部材の実装に際して、第1終端が、例えば表面実装技術によりPCBに取付けられてよい。少なくともいくつかの実施形態において、細長部材は熱伝導実装パッドを用いてPCBに取付けられる。
【0030】
細長部材は、所望の効果を実現するために有効な実質的に任意の形状を有していてよい。例えば、一方の終端がPCBに取付けられていて、他の終端が開放内部を有するPCBから離れて配置されていてもよい。開放内部により、流体連通、例えば両終端間の気流が促進される。PCB内において開口部が、少なくとも一部が細長部材の内部に向かって開いているように配置されていてもよい。本発明の実施形態は、各々に1個の開口部または複数の開口部が関連付けられた1個以上の細長部材を有していてよく、あるいは単一の開口部を複数の細長部材に用いることができる。
【0031】
上記に加えて、本発明の実施形態は、PCBを筐体内に配置し、送風機が1個の開口部または複数の開口部を貫通して、および細長部材または複数の部材を貫通して空気を移動させるべく動作可能である筐体内の位置に送風機を配置するステップを含んでいてよい。上述のように、これは細長部材を含むPCBの側の近傍に送風機を実装して、開口部を貫通して、次いで細長部材の内部を貫通して空気を吸引することにより実現できる。代替的に、送風機は、最初に内部を貫通して、次いで開口部を貫通して空気を押し出すことができる。いくつかの実施形態では、電気部品が、筐体外部空間を照射するために障害物のない経路を必要とするLEDでなく、送風機を電機部品を備えたPCBの側の近傍に、すなわち細長部材の反対側に配置することができる。
【0032】
本発明の実施形態はまた、制御盤、電気部品を備えたPCB、またはその両方を、それらの外縁周辺に気流経路を提供すべく構成するステップを含んでいてよい。例えば、本方法は、取付けられた際に筐体の内壁と共に流体ダクトを形成するように、制御盤またはPCBの1個以上の辺の一部を形成するステップを含んでいてよい。このような方法で、送風機により移動された空気は、細長部材および開口部を貫通するだけでなく、基板の周囲も回るであろう。この種の構成により、送風機と、筐体の空気が排出される部分との間に制御盤が配置可能になる。
【0033】
本発明の実施形態を例示および記述してきたが、これらの実施形態で本発明のあらゆる可能な形式を例示および記述することは意図していない。むしろ、本明細で使用する用語は限定的ではなく記述目的であり、本発明の概念および範囲から逸脱することなく各種の変更を加えることができる点を理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14