(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材(3)と樹脂製表皮材(5)との間に発泡樹脂層(7)が形成された三層構造を有する車両用インストルメントパネル(1)において、前記基材(3)及び表皮材(5)の互いに対応する位置にそれぞれ形成された破断予定線(29, 39)と、該各破断予定線(29, 39)の端末同士を連結するヒンジ部(31, 33)とによって画定され、エアバッグ装置(13)が作動した際に前記各破断予定線(29, 39)が破断することで、前記ヒンジ部(31, 33)を支点に回動して開くエアバッグドアであって、
前記表皮材(5)の破断予定線(39)は、当該表皮材(3)の表面に達しないように当該表皮材(3)の裏側に形成された切込み(35)によって構成され、
前記表皮材(5)において前記破断予定線(39)の端末部分には、前記切込み(35)の切込み深さが当該破断予定線(39)の他の部分(39c)の切込み深さよりも深いことで、前記表皮材(5)の表側からの残肉厚が当該破断予定線(39)の他の部分(39c)よりも薄い薄肉部(39d)が設けられている
ことを特徴とするエアバッグドア。
樹脂製表皮材(5)を裏面が上方を向くように載置台(41)に載置した後に、カッター(45)を一定の高さで前記載置台(41)に対し相対的にスライドさせることで前記表皮材(5)の裏側に当該表皮材(5)の表面に達しないように切込み(35)を形成して、エアバッグ装置(13)の作動で破断する破断予定線(39)を形成するエアバッグドア用表皮材の形成方法であって、
前記載置台(41)において、前記表皮材(5)の破断予定線(39)の形成予定箇所における端末部分が載置された部位(43a)を、前記表皮材(5)の破断予定線(39)の形成予定箇所における他の部分が載置された部位(43b)よりも高くした状態で、前記カッター(45)を前記破断予定線(39)の端末で終わるようにスライドさせて前記切込み(35)を形成する
ことを特徴とするエアバッグドア用表皮材の形成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような四方開きタイプをはじめ、2つのドア部に区画された観音開きタイプや1つのドアパネルからなる片開きタイプなどの各種エアバッグドアでは、当該エアバッグドアがヒンジ部を支点として開くことから、表皮材において破断予定線のヒンジ部に対応した端末部分周辺はエアバッグドアの開作動時に屈曲される。このとき、表皮材における破断予定線の端末部分周辺には急激に圧縮力が作用するため、エアバッグの膨出圧により表皮材にかかる破断力が、破断予定線ばかりかその端末部分周辺にも大きく及ぶ。したがって、エアバッグドアの表皮材の物性が経日変化などにより劣化すると、表皮材における破断予定線の端末部分周辺が破断して飛散するおそれがある。
【0008】
また、特許文献1のエアバッグドアでは、表皮材の各サイド破断予定線がヒンジ部を越えてエアバッグドアの外側に延出していることから破断予定線の形成範囲、つまりエアバッグの形成エリアが広くなっている。このように、エアバッグドアの形成エリアが広くなると、他の車両構造物を配置可能なエリアが狭くなるため、インストルメントパネルのデザインの自由度が下がる。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアバッグドアの形成エリアを広げることなく、エアバッグドアの開作動時に、表皮材において、本来破断すべき破断予定線のみを確実に破断させて、当該破断予定線の端末部分周辺の飛散を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、表皮材において破断予定線の端末部分の肉厚を当該破断予定線の他の部分の肉厚よりも薄くするようにした。
【0011】
具体的には、本発明は、基材と樹脂製表皮材との間に発泡樹脂層が形成された三層構造を有する車両用インストルメントパネルに形成されたエアバッグドア及びこのエアバッグドアに用いられる表皮材の形成方法を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明の第1の態様は、基材及び表皮材の互いに対応する位置にそれぞれ形成された破断予定線と、この破断予定線の端末同士を連結するヒンジ部とによって画定され、エアバッグ装置が作動した際に各破断予定線が破断することで、ヒンジ部を支点に回動して開くエアバッグドアである。このエアバッグドアにおいて、表皮材の破断予定線は、当該表皮材の表面に達しないように当該表皮材の裏側に形成された切込みによって構成されている。すなわち、表皮材の破断予定線は、切込みの形成により薄くなった当該表皮材の切込みに対応する薄肉箇所で形成されている。そして、第1の態様は、表皮材において破断予定線の端末部分に、切込みの切込み深さが当該破断予定線の他の部分の切込み深さよりも深いことで、表皮材の表側からの残肉厚が当該破断予定線の他の部分よりも薄い薄肉部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この第1の態様では、エアバッグドアがヒンジ部を支点に回動して開くことから表皮材において破断予定線のヒンジ部に対応した端末部分周辺がエアバッグドアの開作動時に屈曲し急激に圧縮されるが、この表皮材における破断予定線の端末部分には、当該破断予定線の他の部分よりも薄い薄肉部が設けられているので、この薄肉部をその周辺が破断する前に速やかに破断させることができ、エアバッグドアの展開性が改善される。すなわち、エアバッグの膨出圧により表皮材にかかる破断力は、破断予定線の中央側からその端末部分に及んだ際に薄肉部が破断するのに逸早く作用して外部に開放されるので、当該破断予定線の端末部分周辺及び当該破断予定線の延長線上には及びにくい。これにより、表皮材における破断予定線の端末部分周辺及び当該破断予定線の延長線上が破断することなく、表皮材の破断が、破断予定線通りにその端末まで確実に導かれると共に、破断予定線の形成範囲に留められる。
【0014】
第1の態様のエアバッグドアは、基材及び表皮材の破断予定線が、車幅方向に直線状に延びる中央破断予定線と、この中央破断予定線の両端から車体前後斜め外側にV字状にそれぞれ延びる前後のサイド破断予定線とからなり、これら中央破断予定線とサイド破断予定線とで前側のメインドア部、後側のメインドア部及び両サイドのサブドア部に四区画された四方開きタイプのエアバッグドアであってもよい。この四方開きタイプのエアバッグドアでは、前後のサイド破断予定線における外側端末部分の4箇所全てに薄肉部がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0015】
四方開きタイプのエアバッグドアにおいては、サイド破断予定線が中央破断予定線の両端から車体前後斜め外側に向きを変えて延びていることから、エアバッグの膨出圧により表皮材にかかる破断力がサイド破断予定線の周辺及び延長線上に及びやすく、観音開きタイプや片開きタイプのエアバッグドアに比べて、表皮材における前後のサイド破断予定線の外側端末部分周辺が破断しやすい。このような四方開きタイプのエアバッグドアでも、表皮材の前後のサイド破断予定線における外側端末部分の4箇所全てに薄肉部がそれぞれ設けられていると、これら前後のサイド破断予定線の外側端末部分周辺及び当該各サイド破断予定線の延長線上が破断することなく、表皮材の破断が、前後のサイド破断予定線通りにその外側端末まで確実に導かれると共に、中央破断予定線及びこれに続く前後のサイド破断予定線の形成範囲に留められる。
【0016】
第1の態様のエアバッグドアでは、表皮材の破断予定線周辺の肉厚が1.0mm以上且つ1.4mm以下であり、表皮材の破断予定線のうち薄肉部を除く部分の残肉厚が0.4mm以上且つ0.6mm以下であってもよい。このような構成によれば、比較的薄手且つ軽量な表皮材をエアバッグ装置の作動時に破断予定線通りに破断させることが可能である。
【0017】
さらに、第1の態様のエアバッグドアでは、表皮材の破断予定線周辺の肉厚と表皮材の破断予定線のうち薄肉部を除く部分の残肉厚とが上記の如く設定されている場合、薄肉部の残肉厚が0.2mm以上且つ0.3mm以下であって、破断予定線に沿う方向における薄肉部の長さが2.0mm以上且つ5.0mm以下であることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、表皮材における破断予定線の端末部分に薄肉部を形成した際の痕跡、例えば表皮材の表側への膨れなどを目立たなくすることができ、たとえ当該破断予定線の端末部分に薄肉部の痕跡が僅かに視認されてもその範囲は比較的短いので、薄肉部を設けることでインストルメントパネルの外観を損ねることがない。したがって、エアバッグドアの展開性とインストルメントパネルの見栄えとを両立させることができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様は、樹脂製表皮材を裏面が上方を向くように載置台に載置した後に、カッターを一定の高さで載置台に対し相対的にスライドさせることで表皮材の裏側に当該表皮材の表面に達しないように切込みを形成して、エアバッグ装置の作動で破断する破断予定線を形成するエアバッグドア用表皮材の形成方法である。そして、第2の態様は、載置台において、表皮材の破断予定線の形成予定箇所における端末部分が載置された部位を、表皮材の破断予定線の形成予定箇所における他の部分が載置された部位よりも高くした状態で、カッターを破断予定線の端末で終わるようにスライドさせて切込みを形成することを特徴とする。
【0020】
この第2の態様では、載置台において、表皮材の破断予定線の形成予定箇所における端末部分が載置された部位を、表皮材の破断予定線の形成予定箇所における他の部分が載置された部位よりも高くした状態で、カッターにより表皮材の裏側に切込みを形成するので、カッターを一定の高さで載置台に対し相対的にスライドさせるだけで、破断予定線の端末部分に、表側からの残肉厚が当該破断予定線の他の部分よりも薄い部分(薄肉部)を形成することができる。したがって、第1の態様のエアバッグドアに用いられるエアバッグドア用表皮材を容易に成形することができる。
【0021】
さらに、第2の態様では、表皮材の裏側に対するカッターでの切込みの形成を破断予定線の端末で終わるようにカッターをスライドさせて行うので、当該破断予定線の端末部分に薄肉部を形成した際にその痕跡、例えば表皮材の表側への膨れなどが目立つ状態で残ることを防止できる。すなわち、これとは逆に、表皮材の裏側に対するカッターでの切込みの形成を破断予定線の端末から始める場合には、表皮材にカッターをその他の部分よりも深く刺し入れるのに強く押し付けることになるため、当該破断予定線の端末部分が表皮材の表側へ膨れるなどして当該破断予定線の端末部分に薄肉部を形成した際の痕跡が目立つ状態で残りやすいが、第2の態様によると、破断予定線の端末部分に至るまでのスライド過程で表皮材にカッターを充分に刺し入れることができるので、破断予定線の端末部分を形成する際の表皮材に対するカッターの押付け力を過剰に強くせずに済み、当該破断予定線の端末部分に薄肉部を形成した際の痕跡が目立つ状態で残ることを防止できる。したがって、破断予定線、特にその端末部分(薄肉部)の形成によってインストルメントパネル用表皮材の外観、ひいてはインストルメントパネルの見栄えを損ねることがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様によれば、表皮材の破断予定線における端末部分をその周辺が破断する前に速やかに破断させることができ、エアバッグドアの形成エリアを広げることなく、エアバッグドアの開作動時に、表皮材において、本来破断すべき破断予定線のみを確実に破断させて、当該破断予定線の端末部分周辺の飛散を防止することができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、破断予定線の形成によってインストルメントパネル用表皮材の外観、ひいてはインストルメントパネルの見栄えを損ねることなく、本発明の第1の態様のエアバッグドアに用いられるエアバッグドア用表皮材を容易に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係るエアバッグドア及びこれに用いられる表皮材を形成する方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0026】
この実施形態では、本発明に係るエアバッグドアとして四方開きタイプのエアバッグドアが形成された車両用インストルメントパネルを例に挙げて説明する。
【0027】
−エアバッグドアの構成−
図1は、右ハンドルの車両用インストルメントパネルにおけるアッパーパネルの左側半分を構成するパネル構成部材1を示す。
図2は、
図1のII−II線における断面図である。
図3は、
図1のIII−III線における断面図である。なお、
図3では、後述する破断予定線29,39の外側端末寄りの一部のみを示している。パネル構成部材1は、
図2に示すように、当該パネル構成部材1の裏側を構成する樹脂製基材3と当該パネル構成部材1の表側を構成する樹脂製表皮材5とが断面略平行に対向して配置され、これら基材3と表皮材5との間に発泡樹脂層7が一体に成形された3層構造を有している。
【0028】
基材3は、例えば、ポリプロピレン(PP;Polypropylene)や繊維入りポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS;Acrylonitrile butadienestyrene)樹脂、ノリル樹脂などの樹脂材で射出成形されてなる。表皮材5は、例えば、サーモプラスチックウレタン(TPU;Thermoplastic polyurethane)からなるエラストマー樹脂材やポリ塩化ビニル(PVC;Polyvinyl chloride)などの樹脂材でスラッシュ成形や真空成形、射出成形により成形されてなる。発泡樹脂層7は、ウレタン発泡体などであり、例えば独立発泡と連通発泡とが約半分ずつ分布する半硬質構造を有する。
【0029】
表皮材5の車体後方側(乗員側)の端末部分には、当該表皮材5の主体をなす本体部5aに対して基材3側に離間した後側端末部5bが形成されている。この後側端末部5bの前方端縁と本体部5aの後方端縁とは段部5cにより一体に連結されている。そして、表皮材5の後側端末部5bの裏面は、基材3における車体後方側の端末部分3aの表面に密着して両者間をシールしている。
【0030】
また、表皮材5の後側端末部5bを除く端末部分5dは、基材3側に鋭角に折り返された状態に形成されている。一方、基材3において表皮材5の折り返し部分5dに対応する箇所には、縦断面略三角形状の突片3bが突設されている。この突片3bの内側表面は、表皮材5における折り返し部分5dの外側表面に臨んでいる。そして、表皮材5における折り返し部分5dの外側表面は、基材3における突片3bの内側表面に密着して両者間をシールしている。
【0031】
基材3における車体前方寄りの部位の裏側には、エアバッグシュート部11が一体に設けられている。このエアバッグシュート部11は、車体前後方向の衝撃から助手席の乗員を保護するためのエアバッグ及びインフレ−タなどからなるエアバッグ装置13が内部に収納された矩形筒状の枠体15を備えている。この枠体15は、車幅方向に延びる前側枠壁15aと、この前側枠壁15aの後側に対向して配置されて同じく車幅方向に延びる後側枠壁15bと、車体前後方向に延びてこれら前側枠壁15a及び後側枠壁15bの左縁同士を連結する左側枠壁(不図示)と、車体前後方向に延びて前側枠壁15a及び後側枠壁15bの右縁同士を連結する右側枠壁(不図示)とで構成されている。
【0032】
前側枠壁15a及び後側枠壁15bには、複数個(
図2ではそれぞれ1個ずつ現れる)の掛止孔17が車幅方向に間隔をあけて形成されている。これら掛止孔17にはエアバッグ装置13に複数個取り付けられた(
図2ではそれぞれ1個ずつ現れる)フック19のそれぞれが挿入され、エアバッグ装置13の作動時にフック19が掛止孔17の周縁に引っ掛かって後述するエアバッグドア25のみがエアバッグで上方に押圧されるようになっている。エアバッグ装置13は、車体のサイドパネルに橋絡されたインパネレインフォースメント(不図示)にブラケット21で固定される。
【0033】
エアバッグシュート部11における枠体15の上端部の内側には、バックアップ用のフラップ部23が枠体15内部の上端側を閉塞するように一体に形成されている。そして、パネル構成部材1には、このフラップ部23に対応する3層構造の領域に、四方開きタイプのエアバッグドア25が矩形状に形成されている。つまり、このエアバッグドア25は、表皮材5及び発泡樹脂層7を当該エアバッグドア25外周りのパネル構成部材1と共用している。また、フラップ部23は、エアバッグドア25の基材3であると共に、パネル構成部材1の基材3をも兼ねている。
【0034】
フラップ部23の裏側には、車幅方向に延びる直線の両端に逆矢印が付加された形状に延びる山形のV溝27が基材3の表面に達しないように形成されている。具体的には、このV溝27は、
図1に示すように、フラップ部23裏面の中央に形成されて車幅方向に直線状に延びる第1溝27aと、この第1溝27aの両端から車体前後斜め外側にV字状にそれぞれ延びる前後の第2溝27bとからなる。
【0035】
そして、フラップ部23には、V溝27に対応する薄肉箇所により、エアバッグ装置13の作動で破断する基材破断予定線29が形成されている。この基材破断予定線29は、
図1に示すように、第1溝27aに対応する薄肉箇所により形成されて車幅方向に直線状に延びる中央破断予定線29aと、第2溝27bに対応する薄肉箇所により形成されて中央破断予定線29aの両端から車体前後斜め外側にV字状にそれぞれ延びる前後のサイド破断予定線29bとからなる。
【0036】
また、フラップ部23と枠体15との境目には、前後の横ヒンジ部31及び両サイドの縦ヒンジ部33が所定幅で薄肉化されて形成されている(
図1〜
図3参照)。前後の横ヒンジ部31は、基材3の車幅方向に隣り合うサイド破断予定線29bの外側端末同士を連結している。他方、両サイドの縦ヒンジ部33は、基材3における前後のサイド破断予定線29bの外側端末同士を連結している。
【0037】
また、表皮材5においてフラップ部23に対応する部分の裏側には、基材3に形成されたV溝27と同様な形状、つまり車幅方向に延びる直線の両端に逆矢印が付加された形状に延びる切込み35が当該表皮材5の表面に達しないように形成されている。この切込み35は、表皮材5においてフラップ部23に対応する部分の中央に形成されて車幅方向に直線状に延びる第1切込み35aと、この第1切込み35aの両端から車体前後斜め外側にV字状にそれぞれ延びる前後の第2切込み35bとからなる。この表皮材5の切込み35とフラップ部23のV溝27とは、発泡樹脂層7を挟んで上下に互いに重なっている。すなわち、第1溝27aと第1切込み35a、及び第2溝27bと第2切込み35bとは、表皮材5及びフラップ部23の互いに対応する位置にそれぞれ形成されている。
【0038】
この表皮材5の切込み35内には、
図2及び
図3に示すように、接着防止剤37が介在されている。この接着防止剤37は、液状のものであり、乾燥することで水分が蒸発して成分が膜状に残存している。その一例を挙げれば界面活性剤である。なお、接着防止剤37はこれに限らず、二酸化珪素水溶液などであってもよく、要は、成分の溶融温度が表皮材5よりも高く、且つ水分が蒸発しやすいものであればよい。本実施形態では、このように表皮材5の切込み35内に接着防止剤37が膜状に介在していることで、高温環境下で切込み35内の側壁が軟化溶融しても、両側壁の接着が切込み35内の接着防止剤37により防止されて切込み35が塞がらないようになっている。
【0039】
そして、表皮材5には、切込み35に対応する薄肉箇所により、エアバッグ装置13の作動で破断する表皮材破断予定線39が形成されている。この表皮材破断予定線39は、第1切込み35aに対応する薄肉箇所により形成されて車幅方向に直線状に延びる中央破断予定線39aと、第2切込み35bに対応する薄肉箇所により形成されて中央破断予定線39aの両端から車体前後斜め外側にV字状にそれぞれ延びる前後のサイド破断予定線39bとからなる。この表皮材破断予定線39と基材破断予定線29とは、発泡樹脂層7を挟んで上下に互いに重なっている。すなわち、基材3の中央破断予定線29aと表皮材5の中央破断予定線39a、及び基材3の各サイド破断予定線29bと表皮材5の各サイド破断予定線39bとは、フラップ部23及び表皮材5の互いに対応する位置にそれぞれ形成されている。
【0040】
エアバッグドア25は、上述した基材破断予定線29及び表皮材破断予定線39と横ヒンジ部31及び縦ヒンジ部33とによってパネル構成部材1に画定され、四方開きタイプに構成されている。具体的には、エアバッグドア25は、四方が横ヒンジ部31及び縦ヒンジ部33によって囲まれると共に、基材3及び表皮材5の中央破断予定線29a,39aと各サイド破断予定線29b,39bとで前側のメインドア部25a、後側のメインドア部25b及び両サイドのサブドア部25c,25dに四区画されている。また、このエアバッグドア25は、エアバッグ装置13が作動していない状態では表皮材破断予定線39がパネル構成部材1の表面側から識別できない、いわゆるシームレスタイプに構成されている。
【0041】
上記構成のエアバッグドア25を備えたパネル構成部材1では、車両衝突時に、エアバッグ装置13のエアバッグがインフレ−タの作動によって膨出し、その膨出圧力でエアバッグが上方に押圧されて基材破断予定線29及び表皮材破断予定線39がそれぞれ破断し、前側のメインドア部25a、後側のメインドア部25b及び両サイドのサブドア部25c,25dが共にヒンジ部31,33を支点に車体前後方向に上向きに回動して四方に開く。このとき、表皮材5における各サイド破断予定線39bの外側端末部分周辺がヒンジ部31,33に対応していることから屈曲し急激に圧縮されることとなるため、何らかの対策を施していないと、エアバッグの膨出圧により表皮材5にかかる破断力が表皮材破断予定線39ばかりか各サイド破断予定線39bの外側端末部分周辺にも大きく及び、これに起因して各サイド破断予定線39bの外側端末部分周辺で表皮材5が破断し飛散するおそれがある。
【0042】
そこで、本実施形態では、表皮材5の各サイド破断予定線39bにおける外側端末部分の4箇所全てに、表皮材破断予定線39の他の部分39cよりも薄い部分39dが設けられている。すなわち、表皮材破断予定線39は、各サイド破断予定線39bの外側端末部分を除いて当該表皮材破断予定線39の略全体を構成する第1薄肉部39cと、各サイド破断予定線39bの外側端末部分を第1薄肉部39cよりも薄く構成する第2薄肉部39dとを有している。第2薄肉部39dにおける表皮材5の表側からの残肉厚は、当該第2薄肉部39dに対応する箇所の切込み35bの切込み深さが第1薄肉部39cに対応する箇所の切込み深さよりも深いことで、第1薄肉部39cにおける表皮材5の表側からの残肉厚よりも薄くなっている。この第2薄肉部39dが本発明の薄肉部である。これにより、エアバッグ装置13の作動時に表皮材5における各サイド破断予定線39bの外側端末部分周辺が急激に圧縮されても、これら各サイド破断予定線39bの外側端末部分を構成する第2薄肉部39dをその周辺が破断する前に速やかに破断させることができ、エアバッグドア25の展開性を改善することができる。
【0043】
つまり、表皮材破断予定線39のうち各サイド破断予定線39bの外側端末部分を構成する第2薄肉部39dが表皮材破断予定線39の他の部分を構成する第1薄肉部39cよりも薄いことで、エアバッグの膨出圧により表皮材5にかかる破断力は、中央破断予定線39aから各サイド破断予定線39bの端末部分に及んだ際に第2薄肉部39dが破断するのに逸早く作用して外部に開放され、各サイド破断予定線39bの外側端末部分周辺及びこれら各サイド破断予定線39bの延長線上には及びにくい。したがって、表皮材5における各サイド破断予定線39bの外側端末部分周辺及びこれら各サイド破断予定線39bの延長線上が破断することなく、表皮材5の破断が、各サイド破断予定線39b通りにその外側端末まで確実に導かれると共に、中央破断予定線39a及びこれに続く各サイド破断予定線39bの形成範囲に留められる。
【0044】
表皮材5の表皮材破断予定線39周辺の肉厚は、例えば1.0mm以上且つ1.4mm以下である。表皮材5は、表皮材破断予定線39の形成箇所を除く表皮材5の略全体において同程度の肉厚であり、比較的薄手且つ軽量に構成されている。また、表皮材破断予定線39のうち第1薄肉部39cにおける表皮材5の表側からの残肉厚は、当該第1薄肉部39cをエアバッグ装置13の作動時に確実に優先して破断すべく、例えば0.4mm以上且つ0.6mm以下に設定されている。また、第1薄肉部39cと第2薄肉部39dとの間には、第1薄肉部39cから第2薄肉部39dに向かうに連れて次第に薄くなる移行部39eが形成されている。
【0045】
第2薄肉部39dにおける表皮材5の表側からの残肉厚は、後述するように当該第2薄肉部39dを形成した際の痕跡、例えば表皮材5の表側への膨れなどを目立たなくするために、例えば0.2mm以上且つ0.3mm以下に設定されている。また、表皮材5のサイド破断予定線39bに沿う方向における第2薄肉部39dの長さは、たとえ当該第2薄肉部39dの痕跡が僅かに視認されてもその範囲を比較的短くし、また、乗員が不用意にパネル構成部材1のエアバッグドア形成箇所又はその周辺部分を押さえても表皮材5が裂け難くするために、例えば2.0mm以上且つ5.0mm以下に設定されている。このように第2薄肉部39dの残肉厚及び長さが設定されていることで、上述したエアバッグドア25の展開性とパネル構成部材1の見栄えとを両立させることができる。
【0046】
−表皮材の形成方法−
次に、上記エアバッグドア25用の表皮材5、つまりエアバッグドア25を備えたパネル構成部材1の表皮材5を形成する方法について、
図1及び
図4〜
図6を参照しながら一例を挙げて説明する。
図4は、表皮材5の形成方法を示す工程図である。
図5は、表皮材5に切込み35を形成する際の様子を示す工程図である。
図6は、切込み35が形成された状態の表皮材5を示す断面図である。
【0047】
まず、
図4(a)に示すように、スラッシュ成形や真空成形、射出成形により所定形状に成形された例えばTPUからなる表皮材5をその裏面が上方を向くように載置台41に載置する。次いで、載置台41に設けられた図示しない真空吸着手段によって表皮材5を載置台41に吸着させる。この載置台41には、形成しようとする切込み35の形状に対応するように車幅方向に延びる直線の両端に逆矢印が付加された形状の貫通孔41aが形成されている。この貫通孔41aには、先端が凸状湾曲面に形成され且つ貫通孔41aと同じ形状の押上げ治具43が上下方向に出退可能に配置されている。この押上げ治具43は、載置台41の一部を構成する。
【0048】
押上げ治具43において、表皮材5の表皮材破断予定線39の形成予定箇所における端末部分が載置される部位43aは、その他の部位43bに比べて上方に若干隆起していて、表皮材5の表皮材破断予定線39の形成予定箇所における他の部分が載置される部位43bよりも高くなっている(後に参照する
図5に示す)。
図4(a)の段階では、押上げ治具43は載置台41から下方に没入していてその先端を載置台41の上面とほぼ同じ高さレベルに位置付け、表皮材5における表皮材破断予定線39の形成予定箇所は凸凹することなく扁平状態で載置台41の上面に沿っている。
【0049】
続いて、
図4(b)に示すように、押上げ治具43を載置台41から上方に突出させ、表皮材5における表皮材破断予定線39の形成予定箇所を表面側(下方)から押上げ治具43で押し上げる。
【0050】
次いで、
図4(c)に示すように、
図4(b)の押上げ状態で、表皮材5の裏側における表皮材破断予定線39の形成予定箇所の上方に配置したコールドカッター45を下降させて、
図5に示すように、その刃先を表皮材破断予定線39の形成予定箇所に刺し入れながら、コールドカッター45を一定の高さで載置台41に対し相対的にスライドさせることで、表皮材5の裏側に当該表皮材5の表面に達しないように切込み35を形成する。このとき、切込み35は、形成されると同時に、押上げ治具35の押上げによる応力でV字状に開く。ここで言う「コールドカッター45」とは、加熱や加振していないカッターのことであり、樹脂で熱を溶かして切込みを入れる熱刃や超音波カッターなどを除く意味である。この表皮材5の裏側に対する切込み35の形成は、各サイド破断予定線39bの端末で終わるようにコールドカッター45をスライドさせて行う。
【0051】
具体的な切込み35の形成手順を例示すると、まず、コールドカッター45を、中央破断予定線39aの形成予定箇所のうち左端寄りの箇所から表皮材5に刺し入れながらこの中央破断予定線39aの形成予定箇所に沿ってその右端にまでスライドさせ、さらにそこからコールドカッター45の刃の向きを変えて車体右後方斜め外側に延びる第1のサイド破断予定線39bの形成予定箇所に沿ってその外側端末まで続けてスライドさせることで、そのスライド箇所に切込み35を形成する(
図1に示す経路A)。そして、第1のサイド破断予定線39bの形成予定箇所における外側端末まで切込み35を形成した時点でコールドカッター45を表皮材5から引き抜く。
【0052】
次に、コールドカッター45を、中央破断予定線39aの形成予定箇所のうち右端寄りの箇所から表皮材5に刺し入れながらこの中央破断予定線39aの形成予定箇所に沿ってその右端にまでスライドさせ、さらにそこからコールドカッター45の刃の向きを変えて車体右前方斜め外側に延びる第2のサイド破断予定線39bの形成予定箇所に沿ってその外側端末まで続けてスライドさせることで、そのスライド箇所に切込み35を形成する(
図1に示す経路B)。そして、第2のサイド破断予定線39bの形成予定箇所における外側端末まで切込み35を形成した時点でコールドカッター45を表皮材5から引き抜く。
【0053】
続いて、コールドカッター45を、1回目のスライド開始ポイントよりも中央破断予定線39aの形成予定箇所の右端寄りの箇所からこの中央破断予定線39aの形成予定箇所に沿ってその左端にまでスライドさせ、さらにそこからコールドカッター45の向きを変えて車体左前方斜め外側に延びる第3のサイド破断予定線39bの形成予定箇所に沿ってその外側端末まで続けてスライドさせることで、そのスライド箇所に切込み35を形成する(
図1に示す経路C)。そして、第3のサイド破断予定線39bの形成予定箇所における外側端末まで切込み35を形成した時点でコールドカッター45を表皮材5から引き抜く。
【0054】
最後に、コールドカッター45を、3回目のスライド開始ポイントと同じ箇所から中央破断予定線39aの形成予定箇所に沿ってその左端にまでスライドさせ、さらにそこからコールドカッター45の刃の向きを変えて車体左後方斜め外側に延びる第4のサイド破断予定線39bの形成予定箇所に沿ってその外側端末まで続けてスライドさせることで、そのスライド箇所に切込み35を形成する(
図1に示す経路D)。そして、第4のサイド破断予定線39bの形成予定箇所における外側端末まで切込み35を形成した時点でコールドカッター45を表皮材5から引き抜く。
【0055】
以上の手順を経て、表皮材5の裏側に切込み35を形成することができる。また、このように表皮材5の裏側に切込み35を形成することで、この切込み35に対応する薄肉箇所によりエアバッグ装置13の作動で破断する表皮材破断予定線39が形成される。
【0056】
このような表皮材破断予定線39の形成方法によると、
図5に示すように、押上げ治具43において、表皮材5の表皮材破断予定線39の形成予定箇所における端末部分が載置された部位43aが、表皮材5の表皮材破断予定線39の形成予定箇所における他の部分が載置された部位43bよりも高くなっているので、コールドカッター45を一定の高さで載置台41に対してスライドさせるだけで、
図6に示すように、各サイド破断予定線39bの端末部分に、表側からの残肉厚が表皮材破断予定線39の他の部分、つまり第1薄肉部39cよりも薄い第2薄肉部39dが形成される。また、コールドカッター45で切込み35を形成するので、切込み35内の側壁間を互いに極めて接近させて形成することができ、熱影響によって表皮材5の表面に切込み35の跡が出ることがなく、表皮材5の見栄えを損ねない。
【0057】
ところで、表皮材5の裏側に対するコールドカッター45での切込み35の形成をサイド破断予定線39bの外側端末から始める場合には、表皮材5にコールドカッター45をその他の部分よりも深く刺し入れるのに強く押し付けることになるため、当該サイド破断予定線39bの外側端末部分が表皮材5の表側へ膨れるなどして当該サイド破断予定線39bの外側端末部分に第2薄肉部39dを形成した際の痕跡が目立つ状態で残りやすい。
【0058】
これに対して、本実施形態では、コールドカッター45を各サイド破断予定線39bの外側端末で終わるようにスライドさせて切込み35を形成するので、各サイド破断予定線39bの外側端末部分に至るまでのスライド過程で表皮材5にコールドカッター45を充分に刺し入れることができる。これにより、各サイド破断予定線39bの端末部分、つまり第2薄肉部39dを形成する際の表皮材5に対するコールドカッター45の押付け力を過剰に強くせずに済み、当該各サイド破断予定線39bの外側端末部分に第2薄肉部39dを形成した際の痕跡が目立つ状態で残ることを防止できる。したがって、表皮材破断予定線39、特に各サイド破断予定線39bの外側端末部分(第2薄肉部39d)の形成によって表皮材5の外観、ひいてはパネル構成部材1の見栄えを損ねることがない。
【0059】
上記のように切込み35を形成した後、
図4(d)に示すように、ノズル47の先端をV字状に開いた切込み35に対応させ、この切込み35にノズル47から液状の接着防止剤37(界面活性剤や二酸化珪素水溶液)を注入する。このように、V字状に開いた切込み35に液状の接着防止剤37を注入するので、接着防止剤37の注入作業が容易で、接着防止剤を切込み35内に確実に介在させることができる。この際、ノズル47による注入に代えて刷毛を用いて接着防止剤37を切込み35に塗布してもよい。
【0060】
なお、上記とは逆に、まず、切込み35をコールドカッター45で表皮材5の裏側における破断予定線39の形成予定箇所に当該表皮材5の表面に達しないように形成して、この切込み35に対応する薄肉箇所によりエアバッグ装置13の作動で破断する破断予定線39を形成し、その後に、押上げ治具43を載置台41から上方に突出させ、表皮材破断予定線39を表面側から押上げ治具35で押し上げて切込み35をV字状に開き、この切込み35に液状の接着防止剤37を注入又は塗布するようにしても構わない。
【0061】
次に、
図4(e)に示すように、押上げ治具43を載置台41から下方に没入させ、その先端を載置台41の上面とほぼ同じ高さレベルに位置付ける。これにより、表皮材破断予定線39は凸凹することなく扁平状態で載置台41の上面に沿い、V字状に開いていた切込み35が閉じる。これに伴い、切込み35内の余分な接着防止剤37が周辺にはみ出す。このはみ出した接着防止剤37は、エアバッグドア25(パネル構成部材1)成形時に発泡樹脂層7との密着性を阻害しないように、
図4(f)に示すように拭き取る。このように、V字状に開いていた切込み35が閉じたときに切込み35から余分な接着防止剤37を容易に排出できるので、粉末状の接着防止剤を用いる場合に比べて切込み35内に接着防止剤37が過剰に残ることがなく、過剰に残った接着防止剤37によって表皮材5の表面に切込み35の跡が出て見栄えを損なうことがない。
【0062】
しかる後、図示しないが、表皮材5を載置台41から加熱乾燥炉内に搬入して表面を上方に向けてセット治具にセットし、切込み35内の接着防止剤37を乾燥させることで水分を蒸発させ、成分を切込み35内に膜状に残存させる。このように、接着防止剤37を乾燥させるだけで切込み35内から不要な水分を簡単に除去することができる。この乾燥工程は、エアバッグドア25(パネル構成部材1)を成形する際に、表皮材5を形成型の成形面にフィットさせるために軟化させて製品形状に対応するセット治具の表面に沿わせる整形工程を利用して行うことができる。なお、この乾燥工程は、整形工程とは別工程であってもよい。
【0063】
以上の工程を経て、本実施形態に係るエアバッグドア25用の表皮材5を形成することができる。
【0064】
−実施形態の効果−
この実施形態のエアバッグドア25によると、表皮材5の各サイド破断予定線39bにおける端末部分をその周辺が破断する前に速やかに破断させることができ、エアバッグドア25の形成エリアを広げることなく、エアバッグドア25の開作動時に、表皮材5において、本来破断すべき表皮材破断予定線39のみを確実に破断させて、各サイド破断予定線39bの端末部分周辺の飛散を防止することができる。
【0065】
また、この実施形態の表皮材5の形成方法によると、表皮材破断予定線39の形成によって表皮材5の外観、ひいてはインストルメントパネルを構成するパネル構成部材1の見栄えを損ねることなく、本実施形態のエアバッグドア25用の表皮材5を容易に形成することができる。
【0066】
なお、上記実施形態では、接着防止剤37として液状のものを用いたが、この接着防止剤37は、石灰や二酸化珪素などのパウダー状のものであってもよい。また、接着防止剤37は必ずしも設けられていなくても構わない。
【0067】
また、上記実施形態では、エアバッグシュート部11がパネル構成部材1の基材3と一体物であるとしたが、これらエアバッグシュート部11とパネル構成部材1の基材3とは別体であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、表皮材破断予定線39を構成する切込み35を、コールドカッターを用いて形成する方法を説明したが、本発明はこれに限らず、当該切込み35は、その形成時に表皮材5が軟化溶融しなければ、超音波カッターやレーザーなどの他の切込み形成手段を用いて形成しても構わない。
【0069】
その他、上記実施形態では、4つのドア部に区画された四方開きタイプのエアバッグドアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、2つのドア部に区画された観音開きタイプや1つのドアパネルからなる片開きタイプのエアバッグドアにも勿論適用することが可能であって、表皮材破断予定線39の端末部分に、表皮材の表側からの残肉厚が当該破断予定線39の他の部分を構成する第1薄肉部39cよりも薄い第2薄肉部39dが設けられていればよい。