(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
〈第1実施形態〉
図1に示すように、第1実施形態に係る電力デマンド抑制システム(以下、「システム」と略す。)S1は、制御装置1と、電力供給装置である蓄電装置7と、デマンド監視装置3とから構成されている。
【0022】
制御装置1は、電源入力端子部11と信号入力端子部12と切替信号出力端子部13と第1信号出力端子部14とを備えている。電源入力端子部11は、電源4に接続されている。信号入力端子部12は、デマンド監視装置3の信号出力端子部31に接続されている。切替信号出力端子部13は、負荷装置5の信号入力端子部51に接続されている。第1信号出力端子部14は、蓄電装置7の信号入力端子部71に接続されている。
【0023】
なお、制御装置1は、後述する第2信号出力端子部19も備えているが、第1実施形態では第2信号出力端子部19は用いないので、
図1には図示していない。
【0024】
そして、制御装置1は、信号入力端子部12から、後述するデマンド監視装置3が出力する警報信号(第1信号に相当。)が入力されると、切替信号出力端子部13から負荷装置5に対応した所定の第1切替信号を出力するとともに、第1信号出力端子部14から蓄電装置7に対応した所定の起動信号を出力し、起動信号出力後、信号入力端子部12から、後述するデマンド監視装置3が出力する警報解除信号(第2信号に相当。)が入力されると、切替信号出力端子部13から負荷装置5に対応した所定の第2切替信号を出力するとともに、第1信号出力端子部14から蓄電装置7に対応した所定の停止信号を出力するように構成されている。
【0025】
なお、デマンド監視装置3によっては、警報信号ではなく、負荷を制限するための負荷制限信号や、負荷を遮断するための遮断信号を出力するものもあるが、要するに、デマンド値が目標値を超えると予測したときにデマンド監視装置3が出力する信号が第1信号、第1信号出力後デマンド値が目標値を超えないと予測したときにデマンド監視装置3が出力する信号が第2信号に相当する。本実施形態では、デマンド監視装置3は、警報信号及び警報解除信号を出力するものとする。
【0026】
第1切替信号は、負荷装置5に対する電源4からの電力供給を遮断させるための信号であり、第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの電力の受電を停止するように構成されている。第2切替信号は、負荷装置5に対する電源4からの電力供給を再開させるための信号であり、第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの電力の受電を再開するように構成されている。
【0027】
図5を用いて詳説すると、制御装置1は、電源入力端子部11を備える電源回路21と、信号入力端子部12を備える入力回路22と、切替信号出力端子部13及び第1信号出力端子部14を備える出力回路23と、電源回路21、入力回路22及び出力回路23に接続された制御部17とを備えている。
【0028】
また、制御装置1は、電源回路21に接続されて電源4からの電力により充電される停電用バッテリー18を備え、停電用バッテリー18は制御部17に接続されている。そして、制御部17は、電源4の非停電時には電源回路21を介して電源4から電力の供給を受けて作動し、電源4の停電時には停電用バッテリー18からの電力により作動するように構成されている。
【0029】
制御部17は、上述したように起動信号及び停止信号を出力することにより蓄電装置7を制御する起動停止制御手段を有するとともに、電源入力端子部11から入力される電力の電圧又は電流を監視することにより、電源4の停電及び復電を検出する停電復電検出手段を有しており、電源4の停電を検出すると、停電用バッテリー18から供給される電力により作動して、第1信号出力端子部14から起動信号を出力するように構成されている。また、制御部17は、電源4の復電を検出すると、停電用バッテリー18からの電力の入力を停止し、電源4から供給される電力により作動して、第1信号出力端子部14から停止信号を出力するように構成されている。
【0030】
また、制御装置1は、作動時間帯を設定する時間帯設定手段として、ユーザが操作可能なボタン等を有した入力部15と、入力部15に接続され、発振回路を備えて現在の時刻を知得可能なタイマー部(タイマー手段)16とを備えており、ユーザが入力部15から、蓄電装置7を作動させる時間帯である作動時間帯の開始時刻及び終了時刻を入力すると、入力された開始時刻及び終了時刻は、タイマー部16に記憶され、タイマー部16は、現在の時刻が作動時間帯の開始時刻になったこと及び終了時刻になったことを検出する。
【0031】
そして、制御部17は、タイマー部16により現在の時刻が作動時間帯の開始時刻になったことを検出すると(すなわち、時間帯設定手段により設定された作動時間帯になったとき)、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力するとともに、第1信号出力端子部14から起動信号を出力するように構成されている。また、制御部17は、起動信号出力後、タイマー部16により現在の時刻が作動時間帯の終了時刻になったことを検出すると(すなわち、起動信号出力後、作動時間帯外になったとき)、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力するとともに、第1信号出力端子部14から停止信号を出力するように構成されている。
【0032】
また、制御部17は、目標電力を設定する目標電力設定手段、電力使用量を計測する電力使用量計測手段、デマンド値を予測するデマンド値予測手段、及び、電力使用量及びデマンド値等のデータを記録するデータ記録手段を有しているが、第1実施形態では、これらの手段は使用されない。
【0033】
蓄電装置7は、図示しない蓄電池を備え、電源4に接続されて、夜間等の電力料金の安価な時間帯に電源4から供給される電力により蓄電池に蓄電するように構成されている。そして、蓄電装置7は、信号入力端子部71と電源出力端子部72とを備え、信号入力端子部71を介して、上述した制御装置1が出力する所定の起動信号が入力されると、作動(放電)を開始して、蓄電池から電源出力端子部72を介して電力を出力し、電源出力端子部72に接続された負荷装置5に、電力を供給するように構成されている。また、蓄電装置7は、信号入力端子部71を介して、上述した制御装置1が出力する所定の停止信号が入力されると、作動を停止して、電源出力端子部72からの電力の出力を停止し、負荷装置5への電力の供給を停止するように構成されている。
【0034】
デマンド監視装置3は、一般に普及しているタイプのものであり、電源4から電力の供給を受けるとともに、電源4に、図示しない電力量計及びパルス検出器を介して接続され、パルス検出器から出力される電源4の使用電力量(すなわち、デマンド値)を示すパルス信号に基づいて、所定時間(ここでは、30分)毎のデマンド値を監視する。そして、デマンド値が予め設定された目標値を超えると予測したときは、所定の警報信号を信号出力端子部31から出力し、警報信号出力後にデマンド値が目標値を超えないと予測したときは、所定の警報解除信号を信号出力端子部31から出力するように構成されている。但し、デマンド監視装置3は、警報信号出力後から警報解除信号出力までの間は、デマンド値が目標値を超えると予測したときでも、重ねて警報信号を出力することはないように構成されるとともに、警報解除信号出力後から次の警報信号出力までの間は、デマンド値が目標値を超えないと予測したときでも、重ねて警報解除信号を出力することはないように構成されている。なお、目標値は、予めユーザが設定できるようになっている。
【0035】
また、デマンド監視装置3は、警報信号出力後から所定の解除抑制時間が経過しないと、警報解除信号を出力しないように設定可能であり、第1実施形態では、かかる設定がなされているものとする。負荷装置5への電力供給源の切替えが頻繁に生じることを防止するためである。
【0036】
電源4は、商用電源とその商用電源に接続された高圧受変電設備とからなり、電源4は高圧受変電設備を介して、制御装置1、蓄電装置7、及び、デマンド監視装置3に電力を供給する。また、電源4は、負荷装置5に電力を供給するとともに、図示しない他の負荷装置にも電力を供給するように構成されている。負荷装置5は、ここでは空調装置とするが、勿論、照明装置やその他の電気機器であってもよい。
【0037】
以上のように構成されたシステムS1の動作について、次に説明する。
【0038】
デマンド監視装置3は、30分間が経過する毎にその30分間のデマンド値を算出し、所定の判定条件にしたがって、次の30分間のデマンド値が目標値を超えるか否かを判断(すなわち、予測)する。そして、超えると予測した場合には、警報信号を信号出力端子部31から出力する。すると、制御装置1は、第1信号出力端子部14から起動信号を蓄電装置7に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力する。第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を停止し、起動信号が入力された蓄電装置7は、作動を開始して、電源出力端子部72から負荷装置5に電力を供給する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、蓄電装置7からの電力を受け取って、作動を継続することとなり、また、電源4の使用電力量が抑制されることとなる。
【0039】
また、デマンド監視装置3は、警報信号出力後に、解除抑制時間が経過し、かつ、デマンド値が目標値を超えないと予測した場合には、警報解除信号を信号出力端子部31から出力する。すると、制御装置1は、第1信号出力端子部14から停止信号を蓄電装置7に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力する。第2切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を再開し、停止信号が入力された蓄電装置7は、作動を停止して、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、蓄電装置7からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0040】
また、電源4の停電により、制御部17が、電源入力端子部11からの電力の入力の停止を検出すると、停電用バッテリー18からの電力により作動して、第1切替信号を負荷装置5に出力するとともに、起動信号を蓄電装置7に出力する。起動信号が入力された蓄電装置7は、作動を開始し、電源出力端子部72から負荷装置5に電力を供給する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、蓄電装置7からの電力を受け取って、作動を継続することとなる。
【0041】
一方、電源4の復電により、制御部17が、電源入力端子部11からの電力の入力の再開を検出すると、第1切替信号を負荷装置5に出力するとともに、停止信号を蓄電装置7に出力する。停止信号が入力された蓄電装置7は、作動を停止し、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、蓄電装置7からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0042】
なお、電源4の停電により起動信号を出力してから電源4の復電により停止信号を出力するまでは、デマンド監視装置3から警報解除信号が入力されても、制御装置1は停止信号を出力しないものとする。停電中は、蓄電装置7の放電を継続させるためである。
【0043】
また、負荷装置5が、電源4が停電したときは自動的に蓄電装置7からの電力を受電し、電源4が復電したときは自動的に電源4からの電力を受電する構成とされている場合には、電源4の停電・復電時に、制御装置1が第1・第2切替信号を出力する必要はない。
【0044】
また、ユーザが、作動時間帯の開始時刻及び終了時刻を入力部15から入力しておいた場合には、システムS1は次のように動作する。
【0045】
作動時間帯になったことをタイマー部16が検出すると、制御部17は、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力するとともに、起動信号を蓄電装置7に出力する。第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を停止し、起動信号が入力された蓄電装置7は、作動を開始して、電源出力端子部72から負荷装置5への電力の供給を開始する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、蓄電装置7からの電力を受け取って、作動を継続することとなり、また、電源4の使用電力量が抑制されることとなる。
【0046】
一方、作動時間帯外になったことをタイマー部16が検出すると、制御部17が、停止信号を蓄電装置7に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力する。第2切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を再開し、停止信号が入力された蓄電装置7は、作動を停止して、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、蓄電装置7からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0047】
なお、作動時間帯中に、デマンド監視装置3から警報信号や警報解除信号が入力されても、制御装置1は起動信号や停止信号は出力しないものとする。すなわち、作動時間帯においては、デマンド監視装置3からの信号に基づく制御は行わないものとする。一方、作動時間帯外に、デマンド監視装置3から警報信号や警報解除信号が入力された場合には、制御装置1は起動信号や停止信号を出力するものとする。すなわち、作動時間帯外においては、デマンド監視装置3からの信号に基づく制御を行うものとする。なお、作動時間帯にデマンド監視装置3からの信号に基づく制御を行ったり、作動時間帯外にデマンド監視装置3からの信号に基づく制御を行わないこととすることも可能である。
【0048】
また、作動時間帯中にデマンド監視装置3から警報信号や警報解除信号が入力された場合には、その旨を記憶しておき、作動時間帯外になった時に、作動時間帯中に警報信号が入力されたがその後に警報解除信号が入力されていないときには、起動信号を出力し、作動時間帯中に警報信号が入力されてその後に警報解除信号が入力されていれば、起動信号も停止信号も出力しないように構成してもよい。作動時間帯中に警報信号が入力されたがその後に警報解除信号が入力されていないときには、作動時間帯中にデマンド値が目標値よりも下がらなかったと予想されるため、引き続き蓄電装置7を作動させる方がよいからである。
【0049】
第1実施形態のシステムS1によれば、デマンド監視装置3として既設のものを利用して、電力デマンド抑制システムを構築することができるので、導入コストを抑制できる。
【0050】
また、デマンド値が目標値を超えそうなときは、制御装置1が、デマンド監視装置3からの警報信号を蓄電装置7に対する起動信号に置換して蓄電装置7に送信し、蓄電装置7を起動させて、電源4から蓄電装置7に負荷装置5への電力供給源を切り替えるので、負荷装置5への電力供給を低減若しくは遮断することなく、最大デマンド値を抑制できる電力デマンド抑制システムを構築可能である。
【0051】
また、従来は、負荷装置5への電力供給の遮断を回避するために、夏季のピーク時には目標値を上げる等、季節毎の負荷変動に応じて設定変更が必要であったが、システムS1によれば、負荷装置5への電力供給が遮断されないので、かかる設定変更の必要がなくなり、年間を通しての目標値の設定が可能となる。
【0052】
そして、システムS1では、電力供給装置として蓄電装置7を用いているので、電力料金の安い夜間に電源4から蓄電装置7に蓄電すれば、電力料金を削減できる。
【0053】
さらに、システムS1によれば、消費電力のピークを含む時間帯を作動時間帯として設定すれば、設定された作動時間帯になると、電源4から負荷装置5への電力の供給が停止されるとともに、蓄電装置7が起動して負荷装置5に電力を供給し、作動時間帯外になると、電源4から負荷装置5への電力の供給が再開されるとともに、蓄電装置7の作動が停止して蓄電装置7からの負荷装置5への電力供給が停止するので、既設のデマンド監視装置3が無い場合等にもデマンド監視装置3を利用することなく、使用電力量を削減可能であるとともに、負荷への電力供給を低減若しくは遮断する必要のない電力デマンド抑制システムを構築可能である。
【0054】
また、電源4からの電力供給が停止すると、制御装置1が起動信号を蓄電装置7に送信して、蓄電装置7を起動させて負荷装置5に電力を供給させ、電源4からの電力供給が再開すると、制御装置1が停止信号を蓄電装置7に送信して、蓄電装置7を停止させて、電源4からの電力を負荷装置5に供給するので、停電時にも負荷装置5を作動可能である。
【0055】
なお、第1実施形態において、作動時間帯の設定を行わない形態とすることもできるし、そもそも時間帯設定手段を有しない形態とすることもできる。
【0056】
また、停電復電検出手段を有さないこととして、電源4の停電・復電によっては起動・停止信号を出力しない形態とすることもできる。
【0057】
〈第2実施形態〉次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態の構成要素と共通する構成要素については、同じ符号を付して、その説明を適宜省略する。
図2に示すように、第2実施形態に係るシステムS2は、制御装置1と、電力供給装置である蓄電装置7とから構成され、デマンド監視装置3は用いない形態とされている。
【0058】
制御装置1は、第1実施形態の制御装置1と同じ構成を有し、電源入力端子部11と切替信号出力端子部13と第1信号出力端子部14とを備えている。なお、制御装置1は、信号入力端子部12も備えているが、システムS2では、デマンド監視装置3を用いないため、信号入力端子部12は使用されない。したがって、
図2には、信号入力端子部12は図示されていない。電源入力端子部11は、電源4に接続され、第1信号出力端子部14は、蓄電装置7の信号入力端子部71に接続されている。
【0059】
以上のように構成されたシステムS2の動作について、次に説明する。
【0060】
まず、ユーザは、作動時間帯の開始時刻及び終了時刻を入力部15から入力しておく。作動時間帯になったことをタイマー部16が検出すると、制御部17は、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力するとともに、起動信号を蓄電装置7に出力する。第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を停止し、起動信号が入力された蓄電装置7は、作動を開始して、電源出力端子部72から負荷装置5への電力の供給を開始する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、蓄電装置7からの電力を受け取って、作動を継続することとなり、また、電源4の使用電力量が抑制されることとなる。
【0061】
一方、作動時間帯外になったことをタイマー部16が検出すると、制御部17が、停止信号を蓄電装置7に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力する。第2切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を再開し、停止信号が入力された蓄電装置7は、作動を停止して、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、蓄電装置7からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0062】
また、電源4の停電により、制御部17が、電源入力端子部11からの電力の入力の停止を検出すると、停電用バッテリー18からの電力により作動して、第1切替信号を負荷装置5に出力するとともに、起動信号を蓄電装置7に出力する。起動信号が入力された蓄電装置7は、作動を開始し、電源出力端子部72から負荷装置5に電力を供給する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、蓄電装置7からの電力を受け取って、作動を継続することとなる。
【0063】
一方、電源4の復電により、制御部17が、電源入力端子部11からの電力の入力の再開を検出すると、第2切替信号を負荷装置5に出力するとともに、停止信号を蓄電装置7に出力する。停止信号が入力された蓄電装置7は、作動を停止し、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、蓄電装置7からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0064】
第2実施形態のシステムS2によれば、消費電力のピークを含む時間帯を作動時間帯として設定し、蓄電装置7に負荷装置5を接続して蓄電装置7からの電力の供給を負荷装置5が受けられるように構成すれば、設定された作動時間帯になると、電源4から負荷装置5への電力の供給が停止されるとともに、蓄電装置7が起動して負荷装置5に電力を供給し、作動時間帯外になると、電源4から負荷装置5への電力の供給が再開されるとともに、蓄電装置7の作動が停止して蓄電装置7からの負荷装置5への電力供給が停止するので、既設のデマンド監視装置3が無い場合等にもデマンド監視装置3を利用することなく、使用電力量を削減可能であるとともに、負荷への電力供給を低減若しくは遮断する必要のない電力デマンド抑制システムを構築可能である。
【0065】
また、電源4からの電力供給が停止すると、制御装置1が起動信号を蓄電装置7に送信して、蓄電装置7を起動させて負荷装置5に電力を供給させ、電源4からの電力供給が再開すると、制御装置1が停止信号を蓄電装置7に送信して、蓄電装置7を停止させて、電源4からの電力を負荷装置5に供給するので、停電時にも負荷装置5を作動可能である。
【0066】
〈第3実施形態〉次に、第3実施形態について説明するが、第1実施形態の構成要素と共通する構成要素については、同じ符号を付して、その説明を適宜省略する。
図3に示すように、第3実施形態は、第1実施形態における蓄電装置7をガス発電機6に置き換えたものであり、第3実施形態に係るシステムS3は、制御装置1と、電力供給装置であるガス発電機6と、デマンド監視装置3とから構成されている。
【0067】
制御装置1は、第1実施形態の制御装置1と同じ構成を有し、電源入力端子部11と信号入力端子部12と切替信号出力端子部13と第2信号出力端子部19とを備えている。電源入力端子部11は、電源4に接続され、切替信号出力端子部13は、負荷装置5の信号入力端子部51に接続され、信号入力端子部12は、デマンド監視装置3の信号出力端子部31に接続されている。第2信号出力端子部19は、ガス発電機6の信号入力端子部61に接続されている。なお、制御装置1は、第1信号出力端子部14も備えているが、システムS3では、蓄電装置7を用いないため、第1信号出力端子部14は使用されない。したがって、
図3には、第1信号出力端子部14は図示されていない。
【0068】
制御装置1は、信号入力端子部12から、デマンド監視装置3が出力する警報信号が入力されると、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力するとともに、第2信号出力端子部19からガス発電機6に対応した所定の起動信号を出力し、起動信号出力後、信号入力端子部12から、デマンド監視装置3が出力する警報解除信号が入力されると、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力するとともに、第2信号出力端子部19からガス発電機6に対応した所定の停止信号を出力するように構成されている。
【0069】
ガス発電機6は、天然ガス等の都市ガスやLPガスを用いてエンジンを駆動し、発電するタイプのものである。ガス発電機6は、信号入力端子部61と電源出力端子部62とを備え、信号入力端子部61を介して、上述した制御装置1が第2信号出力端子部19から出力する所定の起動信号が入力されると、作動(発電)を開始して、電源出力端子部62から電力を出力し、電源出力端子部62に接続された負荷装置5に、電力を供給するように構成されている。また、ガス発電機6は、信号入力端子部61を介して、上述した制御装置1が第2信号出力端子部19から出力する所定の停止信号が入力されると、作動を停止して、電源出力端子部62からの電力の出力を停止するように構成されている。なお、ガス発電機6は、電源4には接続されず、電源4からの電力の供給は受けない構成とされている。
【0070】
以上のように構成されたシステムS3の動作について、次に説明する。
【0071】
デマンド監視装置3は、第1実施形態と同様に、デマンド値が目標値を超えると予測した場合には、警報信号を信号出力端子部31から出力する。すると、制御装置1は、第2信号出力端子部19から起動信号をガス発電機6に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力する。第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を停止し、起動信号が入力されたガス発電機6は、作動を開始し、電源出力端子部62から負荷装置5に電力を供給する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、ガス発電機6からの電力を受け取って、作動を継続することとなり、また、電源4の使用電力量が抑制されることとなる。
【0072】
また、デマンド監視装置3は、第1実施形態と同様に、警報信号出力後に、デマンド値が目標値を超えないと予測した場合には、警報解除信号を信号出力端子部31から出力する。すると、制御装置1は、第2信号出力端子部19から停止信号を蓄電装置7に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力する。第2切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を再開し、停止信号が入力されたガス発電機6は、作動を停止して、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、ガス発電機6からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0073】
第3実施形態のシステムS3によれば、第1実施形態と同様に、デマンド監視装置3として既設のものを利用して、電力デマンド抑制システムを構築することができるので、導入コストを抑制できる。
【0074】
また、負荷装置5への電力供給を低減若しくは遮断することなく、最大デマンド値を抑制でき、電気の基本料金を削減できる。
【0075】
また、負荷装置5への電力供給が遮断されないので、季節毎の負荷変動に応じてデマンド監視装置3の目標値の設定を変更する必要がなくなり、年間を通しての目標値の設定が可能となる。
【0076】
そして、電力供給装置としてガス発電機6を用いているので、長時間の停電時にも作動可能であり、発電量が太陽光発電や風力発電のように天候に左右されることがなく、安定した電力の供給が可能である。
【0077】
なお、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、作動時間帯による制御、及び、電源4の停電・復電による制御を行うこととしてもよい。
【0078】
〈第4実施形態〉次に、第4実施形態について説明するが、第1〜3実施形態の構成要素と共通する構成要素については、同じ符号を付して、その説明を適宜省略する。
図4に示すように、第4実施形態は、第2実施形態における蓄電装置7をガス発電機6に置き換えたものであり、第4実施形態に係るシステムS4は、制御装置1と、電力供給装置であるガス発電機6とから構成されている。
【0079】
制御装置1は、第1実施形態の制御装置1と同じ構成を有し、電源入力端子部11と切替信号出力端子部13と第2信号出力端子部19とを備えている。なお、制御装置1は、信号入力端子部12及び第1信号出力端子部14も備えているが、システムS4では、デマンド監視装置3及び蓄電装置7を用いないため、信号入力端子部12及び第1信号出力端子部14は使用されない。したがって、
図4には、信号入力端子部12及び第1信号出力端子部14は図示されていない。電源入力端子部11は、電源4に接続され、第2信号出力端子部19は、ガス発電機6の信号入力端子部61に接続されている。
【0080】
以上のように構成されたシステムS4の動作について、次に説明する。
【0081】
まず、ユーザは、作動時間帯の開始時刻及び終了時刻を入力部15から入力しておく。作動時間帯になったことをタイマー部16が検出すると、制御部17は、切替信号出力端子部13から第1切替信号を出力するとともに、起動信号をガス発電機6に出力する。第1切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を停止し、起動信号が入力されたガス発電機6は、作動を開始して、電源出力端子部62から負荷装置5への電力の供給を開始する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、ガス発電機6からの電力を受け取って、作動を継続することとなり、また、電源4の使用電力量が抑制されることとなる。
【0082】
一方、作動時間帯外になったことをタイマー部16が検出すると、制御部17が、停止信号をガス発電機6に出力するとともに、切替信号出力端子部13から第2切替信号を出力する。第2切替信号が入力された負荷装置5は、電源4からの受電を再開し、停止信号が入力されたガス発電機6は、作動を停止して、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、ガス発電機6からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0083】
また、電源4の停電により、制御部17が、電源入力端子部11からの電力の入力の停止を検出すると、停電用バッテリー18からの電力により作動して、第1切替信号を負荷装置5に出力するとともに、起動信号をガス発電機6に出力する。起動信号が入力されたガス発電機6は、作動を開始し、電源出力端子部62から負荷装置5に電力を供給する。したがって、負荷装置5は、電源4からの電力の代わりに、ガス発電機6からの電力を受け取って、作動を継続することとなる。
【0084】
一方、電源4の復電により、制御部17が、電源入力端子部11からの電力の入力の再開を検出すると、第2切替信号を負荷装置5に出力するとともに、停止信号をガス発電機6に出力する。停止信号が入力されたガス発電機6は、作動を停止し、負荷装置5への電力の供給を停止する。したがって、負荷装置5は、ガス発電機6からの電力の代わりに、電源4からの電力を受け取ることとなり、作動を継続することとなる。
【0085】
第4実施形態のシステムS4によれば、第2実施形態と同様に、既設のデマンド監視装置3が無い場合等にもデマンド監視装置3を利用することなく、使用電力量を削減可能であるとともに、負荷装置5への電力供給を低減若しくは遮断する必要のない電力デマンド抑制システムを構築可能である。また、停電時にも負荷装置5を作動可能である。
【0086】
そして、電力供給装置としてガス発電機6を用いているので、長時間の停電時にも作動可能であり、発電量が太陽光発電や風力発電のように天候に左右されることがなく、安定した電力の供給が可能である。
【0087】
以上、第1〜4実施形態について説明したが、以下、変形例について説明する。
【0088】
(1)負荷装置5に直接第1・第2切替信号を入力するのではなく、負荷装置5に対する電源4からの電力供給を遮断及び再開する切替装置(例えば、ブレーカ装置)に、切替信号出力端子部13を接続して、第1・第2切替信号を切替装置に入力し、その切替装置を制御することにより、負荷装置5に対する電源4からの電力供給を遮断及び再開させてもよい。
【0089】
(2)制御装置1を、信号入力端子部12から警報・警報解除信号が入力されたとき、第1信号出力端子部14から蓄電装置7に対応した起動・停止信号を、第2信号出力端子部19からガス発電機6に対応した起動・停止信号を、同時に出力するように構成してもよい。この場合には、蓄電装置7とガス発電機6とを併用して、蓄電装置7とガス発電機6とに別々の負荷装置を接続することとしてもよい。このように、制御装置1に、電力供給装置を複数接続することとしてもよい。
【0090】
(3)デマンド監視装置3が、複数の電力供給系統のデマンド値を検知可能に構成されて、各系統についての警報・警報解除信号を別個に出力するために、信号出力端子部を複数有している場合や、複数の電力供給系統のそれぞれにデマンド監視装置3が設けられる場合に対応して、制御装置1を、信号入力端子部12を含めて複数(例えば、8個)の信号入力端子部を有するように構成し、これに応じて、第1信号出力端子部14及び第2信号出力端子部19を含めて、信号入力端子部と同数の信号出力端子部を有するように構成してもよい。そして、デマンド監視装置3の各信号出力端子部に、制御装置1の信号入力端子部を1対1に対応させて接続し、制御装置1がデマンド監視装置3から第1の系統についての警報・警報解除信号を受け取ったときには、第1信号出力端子部14から起動・停止信号を出力し、第2の系統についての警報・警報解除信号を受け取ったときには、第2信号出力端子部19から起動・停止信号を出力し、…というように、各系統毎に制御を行うように構成してもよい。
【0091】
(4)時間帯設定手段として、ユーザに作動時間帯を入力させるのではなく、制御装置1が、デマンド監視装置3から警報信号を受信した日時及び警報解除信号を受信した日時等、電力供給装置を作動させた時間帯を示す情報を、データ記録手段により記録しておき、例えば前年以前の複数年のデータに基づいて、電力供給装置を作動させた時間帯の季節毎又は月毎の平均を求めて、その平均を季節毎又は月毎等の作動時間帯とする等、記憶しておいたデータに基づいて、制御装置1が自動設定するように構成してもよい。そうすれば、季節毎や月毎に作動時間帯の設定をユーザが変更する必要がなくなる。
【0092】
(5)デマンド監視装置3を用いず、制御装置1にパルス検出器を接続して、電源4の使用電力量を示すパルス信号を制御装置1が受信し、制御装置1が電力使用量計測手段により電力使用量(デマンド値)を計測するとともに、デマンド値予測手段によりデマンド値が目標値を超えると予測したときには、第1切替信号及び起動信号を出力し、第1切替信号及び起動信号出力後、デマンド値予測手段によりデマンド値が目標値を超えないと予測したときには、第2切替信号及び停止信号を出力するように構成してもよい。すなわち、制御装置1にデマンド監視装置3の機能を持たせてもよい。なお、目標値を設定する目標電力設定手段として、ユーザに入力部15を用いて目標値を入力させてその目標値を記憶するようにしてもよいし、制御装置1が、計測したデマンド値をデータ記録手段により記録して、例えば前年以前の複数年のデータに基づいて算出した季節毎又は月毎等のデマンド値の平均値から、目標値を季節毎又は月毎等に自動設定するようにしてもよい。そうすれば、季節毎や月毎に目標値をユーザが変更する必要がなくなる。
【0093】
(6)蓄電装置7に対し、電源4以外の外部の発電手段(例えば、太陽光発電装置、風力発電装置)を接続して、その発電手段から供給される電力により蓄電装置7に蓄電するように構成してもよい。
【0094】
(7)電力供給装置として、蓄電装置7及びガス発電機6以外のものを用いてもよい。
【0095】
(8)停電用バッテリー18として、充電式のものではなく、市販の乾電池等、充電式でないものを用いてもよい。