特許第5976598号(P5976598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976598
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】ポンプモジュール並びに容積形ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/04 20060101AFI20160809BHJP
   F04B 43/08 20060101ALI20160809BHJP
   F04B 43/12 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   F04B43/04 A
   F04B43/08 A
   F04B43/12 C
   F04B43/12 T
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-129759(P2013-129759)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-15930(P2014-15930A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年8月11日
(31)【優先権主張番号】10 2012 013 681.1
(32)【優先日】2012年7月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391043675
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】コンラート・アルミン
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06007309(US,A)
【文献】 仏国特許発明第01545918(FR,A)
【文献】 特開昭60−013994(JP,A)
【文献】 特許第4873075(JP,B2)
【文献】 特開平05−106562(JP,A)
【文献】 特表2000−505521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/04
F04B 43/08
F04B 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流動通路(17)を区画するケーシング(14)を有するポンプモジュール(4、5、6;4′;4″)であって、
この少なくとも1つの流動通路が、少なくとも1つの流入口(7、8、9)を、少なくとも1つの排出口(10、11、12)と結合し、且つ、
それぞれに1つの、流動方向に整向された状態で位置するポンピング装置を収容しており、
このポンピング装置が、個別に制御可能なアクチュエータを介して、部分的に偏位され得、且つ、
搬送されるべき媒体が、少なくとも1つの搬送室(19、20)の内側に閉じ込められることが可能であり、
前記搬送室が、これらアクチュエータのシーケンシャルな制御によって、
ポンピング装置の部分と、前記少なくとも1つの流動通路(17)の、前記ポンピング装置の部分にそれぞれ対応する周囲部分との間で、カプセル状に閉鎖可能であり、且つ、
搬送移動において、前記少なくとも1つの流入口(7、8、9)と前記少なくとも1つの排出口(10、11、12)との間で移動可能である様式の上記ポンプモジュールにおいて、
前記アクチュエータが、ケーシング(14)によって収容されていること、および、それぞれに、流動通路(17)の両側で、互いに相対して位置している前記アクチュエータが、アクチュエータ段(A1〜A6)を形成し、
これらアクチュエータ段が、流動方向に相前後して連続して設けられており、
前記ポンピング装置が、弾性的な薄膜(18;21;22)として構成されており、
前記薄膜が、個別のアクチュエータ段(A1〜A6)の内のそれぞれに1つのアクチュエータの制御によって、
前記アクチュエータにそれぞれ対応する前記薄膜の部分でもって、
前記少なくとも1つの流動通路(17)の、前記薄膜の部分にそれぞれ対応する周囲部分に当接可能であること、
前記ケーシング(14)は、少なくとも2つのケーシング部材(15、16)から成ること、
これらケーシング部材(15、16)および中間に位置する前記薄膜(18;21;22)が、環状の断面を有する円板として形成されていること、および、
少なくとも1つの前記流入口(7、8、9)が、リング状に形成されており、且つ、半径方向外側に設けられており、且つ、流動通路(17)を介して少なくとも1つの排出口(10、11、12)と結合状態にあり、この排出口が、半径方向において、中央に位置決めされていること、
を特徴とするポンプモジュール(4、5、6;4′;4″)。
【請求項2】
前記アクチュエータは、マグネットコイル(M1.1〜M6.2)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール(4、5、6;4′)。
【請求項3】
前記薄膜(18;21)は、磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料から成っているか、
または、
前記アクチュエータ段(A1〜A6)に対応する前記薄膜の部分内において、それぞれに強磁性の材料が混入されている、伸縮性合成樹脂材料から形成されていること
を特徴とする請求項2に記載のポンプモジュール(4、5、6;4′)。
【請求項4】
前記アクチュエータは、電極(E1.1〜E6.2)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール(4″)。
【請求項5】
前記薄膜(22)は、エレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料(23)から成っていることを特徴とする請求項4に記載のポンプモジュール(4″)。
【請求項6】
前記アクチュエータ段(A1〜A6)は、流動方向において、等間隔に、または、異なる間隔で互いに位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載のポンプモジュール(4、5、6;4′)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の、少なくとも1つのポンプモジュール(4、5、6;4′;4″)を有する、流体を搬送のための容積形ポンプ
【請求項8】
前記ポンプケーシング(1)内において、多数のポンプモジュール(4、5、6)は、直列接続状態、及び/または、並列接続状態において設けられていることを特徴とする請求項7に記載の容積形ポンプ。
【請求項9】
少なくとも1つのポンプモジュール(4、5、6;4′;4″)のアクチュエータは、電力用電子装置(13)を介して、制御可能であることを特徴とする請求項7に記載の容積形ポンプ。
【請求項10】
真空槽内において、低真空または中真空を達成するための方法であって、
前記低真空または中真空の達成のために、真空ポンプとして構成された、請求項7から9のいずれか一つに従う容積形ポンプが使用されることを特徴とする方法。
【請求項11】
真空ポンプとしての、および、高真空ポンプ及び/または超高真空ポンプの予備ポンプとしての、請求項7に従う容積形ポンプの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
少なくとも1つの流動通路を区画する(begrenzenden)ケーシングを有するポンプモジュールであって、
この少なくとも1つの流動通路が、少なくとも1つの流入口を、少なくとも1つの排出口と結合し、且つ、
それぞれに1つの、流動方向に整向された状態で位置するポンピング装置を収容しており、
このポンピング装置が、個別に制御可能なアクチュエータを介して、部分的に偏位され得(auslenkbar)、且つ、
搬送されるべき媒体が、少なくとも1つの搬送室(Foerderraumes)の内側に閉じ込められることが可能(einschliessbar)であり、
前記搬送室が、これらアクチュエータのシーケンシャルな制御によって、ポンピング装置の部分と、前記少なくとも1つの流動通路のそれぞれに対応する(所属して設けられた)周囲部分との間で、カプセル状に閉鎖可能(kapselbar)であり、且つ、
搬送移動において、前記少なくとも1つの流入口と前記少なくとも1つの排出口との間で移動可能である様式の上記ポンプモジュールに関する。
本発明は、更に、流体を搬送のための容積形ポンプに関し、この容積形ポンプの場合、少なくとも1つの、上記ポンプモジュールが使用される。
【背景技術】
【0002】
容積形ポンプの場合、通常、流入口を通ってこのポンプの内側室内へと流入する媒体は、搬送室内においてカプセル状に収容され(gekapselt)、且つ、引き続いて、排出口内へと押し退けられる。
この押し退けの場合に、前記流入口内へのこの媒体の還流を防止するため、および、既に押し退けられた媒体の逆吸引を阻止するために、
少なくとも1つの流入および排出制御が、圧力制御された弁、または、その他の構造的な構成を介して行われる。
このことによって、しかしながら、構造部材の必要な数は増大され、且つ、それに加えて、低い最終圧力の達成が困難にされる。何故ならば、これら弁は、大抵の場合は、差圧制御されており、且つ、低い圧力の場合、如何なる十分に高い押圧力も、この弁の領域内において形成しないからである。
それぞれの搬送移動の導入の構造およびやり方に応じて、それに加えて、摩擦損失および振動が生じる。ところで、容積形ポンプは、部分的にポンプモジュールによって構成され、これらポンプモジュールの場合、構造部材の数が減少され、且つ、搬送移動が、可能な限り簡単に具現可能である。
【0003】
特許文献1からポンプモジュールが読み取れ、このポンプモジュールは、直方体形状の流動通路を区画するケーシングを有している。この流動通路は、その際、流入口を排出口と結合し、それ自体で、ポンピング装置を、収容している。
このポンピング装置は、その際、流動方向に整向されており、且つ、多数の圧電アクチュエータ部分片(Piezoaktorenabschnitte)によって形成されており、
これら圧電アクチュエータ部分片が、互いに接し合うように並列させられた状態で、一種の、この流動通路の内側に位置する薄片体を形成している。
個別のこれら圧電アクチュエータ部分片の制御によって、この薄片体は、部分的に(abschnittsweise)偏位され(ausgelenkt)、その際、この薄片体が、その際、それぞれの部分片でもって、周囲に位置するケーシングに当接し、且つ、搬送されるべき媒体を、それぞれのこれによって形成された搬送室の内側に閉じ込める。これら圧電アクチュエータが、ここで、シーケンシャルに制御される場合、それぞれの搬送室内において閉じ込められた媒体は、蠕動的な搬送移動において、流入口から排出口へと移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−81585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、この上記公知技術を出発点として、本発明の課題は、ポンプモジュールを使用に供することであり、このポンプモジュールの場合、搬送移動が、精密な構造およびやり方で、同時に簡単な構造において導入可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の上位概念を前提として、この請求項1の典型的な特徴との結合において解決される。
この請求項1に従属する従属請求項は、それぞれに、本発明の有利な更なる構成をそれぞれ与える。少なくとも1つの本発明に従うポンプモジュールが使用される容積形ポンプは、更に別の請求項8〜10から明瞭である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従い、
ポンプモジュールは、
少なくとも1つの流動通路を区画するケーシングを有しており、その際、
この少なくとも1つの流動通路が、少なくとも1つの流入口を、少なくとも1つの排出口と結合し、且つ、自体で、それぞれに1つの、流動方向に整向された状態で位置するポンピング装置を収容している。
このポンピング装置は、個別に制御可能なアクチュエータを介して、部分的に偏位され得、且つ、その際、
搬送されるべき媒体が、少なくとも1つの搬送室の内側に閉じ込められることが可能であり、
前記搬送室が、これらアクチュエータのシーケンシャルな制御によって、ポンピング装置の部分と、前記少なくとも1つの流動通路のそれぞれに対応する(所属して設けられた)周囲部分との間で、カプセル状に閉鎖可能であり、且つ、
搬送移動において、前記少なくとも1つの流入口と前記少なくとも1つの排出口との間で移動可能である。
【0008】
前記ポンピング装置は、本発明の意味において、特に、円板状の、板状の、または類似に形成された構造部材として構成されており、且つ、個別のセグメントがアクチュエータの影響のもとで、このポンピング装置の長手方向延在に対して直角に位置移動されるというやり方で、部分的に偏位可能である。この場合、このポンピング装置の偏位される部分の数に応じて、1つまたは多数の搬送室が、流動通路の一つまたは多数の周囲部分でもって閉じ込められ、その際、1つの搬送室内において、それぞれに、1つの搬送されるべき媒体が閉じ込められている。
本発明の意味において、この媒体は流体であり、即ち、ガスもしくはガス混合物、または液体もしくは液体混合物である。
アクチュエータのシーケンシャルな制御でもって、その場合に、これに伴い区画された、少なくとも1つの搬送室は、ポンプモジュールの、少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの排出口との間で移動し、従って、同様に、閉じ込められた搬送されるべき媒体が、流入口と排出口との間で搬送される。この搬送移動は、その際、これらアクチュエータの適当な制御において、特にポンピング装置の蠕動的な移動に類似している。
【0009】
本発明は、ここで、
前記アクチュエータが、ケーシングによって収容されていること、および、それぞれに、流動通路の両側で、互いに相対して位置している前記アクチュエータが、アクチュエータ段を形成し、
これらアクチュエータ段が、流動方向に相前後して連続して設けられており、
前記ポンピング装置が、弾性的な薄膜として構成されており、
前記薄膜が、個別のアクチュエータ段の内のそれぞれに1つのアクチュエータの制御によって、
前記アクチュエータにそれぞれ対応する前記薄膜の部分でもって、
前記少なくとも1つの流動通路の、前記薄膜の部分にそれぞれ対応する周囲部分に当接可能であること、
前記ケーシングは、少なくとも2つのケーシング部材から成ること、
これらケーシング部材および中間に位置する前記薄膜が、環状の断面を有する円板として形成されていること、および、
少なくとも1つの前記流入口が、リング状に形成されており、且つ、半径方向外側に設けられており、且つ、流動通路を介して少なくとも1つの排出口と結合状態にあり、この排出口が、半径方向において、中央に位置決めされていることの技術的な教示を備えている。
換言すれば、従って、これらアクチュエータは、周囲に位置するケーシング内において位置決めされており、これらアクチュエータを介して、流動通路内において位置するポンピング装置が、部分的に偏位され得、その際、
これらアクチュエータが、この場合に、対の状態でアクチュエータ段へと統合されており、これらアクチュエータ段において、それぞれに、それぞれ対応(所属)するアクチュエータが、前記流動通路の両側で位置しており、従って、1つのアクチュエータ段の一方のアクチュエータが、この流動通路の上側に、このアクチュエータ段の他方のアクチュエータが、この流動通路の下側に位置決めされている。
総じて、これらアクチュエータ段は、その際、流動方向において、相前後して連続して設けられており、従って、流動方向に沿っての移動(Entlangwandern)の場合、従って、個別のアクチュエータ段が順々に通過される。
弾性的な薄膜として形成された前記ポンピング装置は、
前記個別のアクチュエータ段のそれぞれ1つのアクチュエータが制御され、且つ、この場合に、このアクチュエータ段のアクチュエータの間に位置する、前記薄膜の1つの部分が偏位され、且つ、前記流動通路のそこの周囲部分に当接されるというやり方で、
その場合に、部分的に偏位され得る。
【0010】
本発明に従うポンプモジュールは、その際、同時に信頼性の高い機能態様における機能簡単な構造によって特徴付けられている。
そこで、自体で停止状態のケーシング内における、アクチュエータの位置決め状態によって、これらアクチュエータが、簡単な構造およびやり方で、このケーシング内において延在する導線(Leitungen)を介して制御され得、その際、これら導線が、その場合に、空間的に、流動通路、およびこの流動通路内において搬送される媒体から分離されている。
この搬送移動の様式に基づいて、更に、流入口側および排出口側の弁を必要としない。何故ならば、この搬送されるべき媒体は、部分的に、弾性的な薄膜の偏位によって、この薄膜自体と、前記流動通路の周囲との間でカプセル状に収容されるからである。この薄膜は、その際、唯一の運動可能な構造部材であり、従って、適当な最適化によって、本発明に従うポンプモジュールの長い耐用期間が達成され得る。
それに加えて、この薄膜は、弾性的な構造部材として、精密に偏位され得、且つ、前記流動通路の周囲に当接され得、このことによって、それぞれの搬送室が、精確に形成され、且つ同様に密閉され得る。
更に、このポンプモジュールのポンピング周波数、並びにポンピングシーケンス、即ち、少なくとも1つの搬送室の大きさの設定は、自由に、これらアクチュエータを介して調節され得、従って、本発明に従うポンプモジュールは、その場合に、所望された搬送の様式に応じて、単にこれらアクチュエータの制御が変化され得るというやり方で、広範に、異なる使用状況に適応される。
総じて、本発明に従うポンプモジュールは、低い製造技術的な手間暇および僅かの騒音の発生における簡単な構造によって特徴付けられる。
【0011】
前記のこととは異なって、特許文献1のポンプモジュールの場合、流動通路内において位置するポンピング装置の制御は、困難に行われる。何故ならば、部分的な偏位のために、薄片板状の構造部材の上に設けられた圧電素子部分片が、相応して通電されねばならないからである。
この目的のために、相応する接触子が設けられねばならず、または、導線が、これら偏位可能なポンピング装置に導入されねばならず、このことは、このポンプモジュールの構造を相応して複雑にし、且つ、この結果として、製造技術的な手間暇を増大する。更に、圧電素子を備える薄片板は、薄膜よりも僅かに可撓性であり、とりわけ、搬送室の設定(Definition)が、前記圧電素子部分片の配設および大きさに相応して、強固に予め設定されている。
上記のことに応じて、ポンピングシーケンスは、個々に、個別の使用状況に適合され得ない。同様に、前記流動通路の周囲に対するこの薄片板の密着は、弾性的な薄膜の場合よりもより不精確である。
【0012】
本発明の有利な実施形態に相応して、前記アクチュエータは、マグネットコイルによって形成されている。
これらマグネットコイルは、その際、特に、それぞれに、例えば鉄のような、高い透磁性の材料でもって囲繞されており、且つ、通電の際に、相応する磁界を形成し、この磁界を介して、弾性的な薄膜は、この薄膜のそれぞれに対応(所属)する部分でもって偏位される。
磁界内における前記薄膜の部分的な偏位を達成するために、
本発明の更に別の実施形態に従う薄膜は、磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料(magnetorheologischen Elastomermaterial)から成っているか、または、アクチュエータ段に対応(所属)する、前記薄膜の部分内においてそれぞれに強磁性の材料が混入されている、伸縮性合成樹脂材料から形成されている。
磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料は、
その内において設けられた磁気的に分極可能な微粒子を有する柔軟な伸縮性合成樹脂マトリックス(Elastomermatrix)から成る合成材料であり、これら微粒子に対して、磁界を介して作用可能である。
その内において混入された強磁性の材料を有する伸縮性合成樹脂材料から成る薄膜の実施形態の場合、本発明の意味において、特に、伸縮性合成樹脂材料を有する金属薄板セグメントでもって周囲を鋳込まれており(umgossen)、従って、結合システム(Verbundsystem)が構成される。
【0013】
本発明の、前記に対して選択的な実施形態に従い、前記アクチュエータは、電極によって形成されている。これら電極の相応する通電の際に、その場合に、それぞれに、それぞれ1つの電界が形成され、この電界を介して、弾性的な薄膜は、これまた同様に、部分的に偏位され得る。
この目的のために、この弾性的な薄膜は、その場合に、特に、エレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料(elektrorheologischen Elastomermaterial)から成っており、このエレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料が、その内において混入された微粒子を有する伸縮性合成樹脂から形成されており、これら微粒子が、電界内において、それぞれに通電された電極の方向に引っ張られ、且つ、上記のことに応じて、前記弾性的な薄膜の部分的な偏位を生じさせる。
【0014】
本発明の更に別の実施形態に相応して、前記ケーシングは、少なくとも2つのケーシング部材から成り、その際、これらケーシング部材および中間に位置する前記薄膜が、環状の円板として形成されている。更に、少なくとも1つの流入口は、半径方向外側に設けられており、且つ、流動通路を介して、少なくとも1つの排出口と結合状態にあり、この排出口が、半径方向において、中央に位置決めされている。
この場合、ポンプモジュールは、従って、環状の構造を有しており、その際、搬送されるべき媒体が、半径方向外側から、半径方向内側の排出口へと搬送される。本発明の意味において、しかしながら、同様に、良好に、同様に流入口が、中央に位置決めされることは可能であり、且つ、少なくとも1つの排出口が、半径方向外側に位置することも可能である。
前記ポンプモジュールのこの環状の構造によって、何の問題もなく、多数のポンプモジュールは、
個別の環状のポンプモジュールが軸線方向に互いに上下に積み重ねられ、且つ所望された接続に応じて個別の流入の並列な供給が具現され、または、しかしながら、1つのモジュールの少なくとも1つの排出口が後に続くモジュールの少なくとも1つの流入口と直列接続の様式に従って連結されるというやり方で、
相前後して接続され得る。
環状の円板から成る前記ポンプモジュールの環状の構造の場合、その際に、前記アクチュエータは、相応して、リング形状に形成され得、従って、例えば、リング形状のコイル、またはリング形状の電極として形成され得る。この環状の構造に対して選択的に、しかしながら、原理的に同様に、ポンプモジュールの矩形の構造も可能である。
【0015】
本発明の更なる構成において、前記アクチュエータ段は、流動方向において、等間隔に、または、異なる間隔で互いに位置決めされている。
ポンプモジュールの形状、および搬送されるべき媒体の様式に応じて、少なくとも1つの搬送室は、この場合、少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの排出口との間のこの搬送室の移動の際に、容積において一定に保持され得、または、しかしながら、変化され得る。
従って、ガスまたはガス混合物の様式における媒体は、前記ポンプモジュールの環状の構造の場合に、これらアクチュエータの間の間隔が、等間隔に流動方向において選択されているというやり方で、搬送の際に、少なくとも1つの流入口から、少なくとも1つの排出口へと圧縮され、
従って、少なくとも1つの搬送室が、半径方向外側に位置する流入口から中央に位置する排出口への移動の際に、これらアクチュエータ段の間のより小さくなるリングの面積に基づいて、連続的に減少し、且つ、従って、前記ガスの圧縮が行われる。
類似して、矩形の構造の場合、前記アクチュエータ段の間の異なる間隔によって、少なくとも1つの搬送室の連続的な減少が形成される。
【0016】
搬送されるべき媒体が、上記に反して、液体である場合、この液体の圧縮できない特性に基づいて、通常、少なくとも1つの搬送室の容積の減少は所望されない。
この容積は、少なくとも1つの流入口から少なくとも1つの排出口への移動の際に、
1つの環状のポンプモジュールの場合に、前記個別のアクチュエータ段が、均等なリングの面積の具現のために、異なる間隔でもって、流動方向において互いに位置決めされるか、または、
前記ポンプモジュールの矩形の構造の場合に、前記アクチュエータ段の間の不変の間隔が選択されることによって、一定に保持される。
少なくとも1つの流入口が、流動方向において、中央に、且つ少なくとも1つの排出口が半径方向外側に位置して設けられている場合、最終的に、同様に、液体の搬送は、ポンプモジュールの環状の構造の場合にも、および、等間隔に互いに位置決めされたアクチュエータ段の場合にも可能であり、従って、少なくとも1つの搬送室の容積が、流入口から排出口への移動の際に増大される。
【0017】
搬送室の可変のまたは不変の容積は、しかしながら、同様に、ポンピングシーケンスの適当な調節によっても設定され得る。それぞれの搬送室のカプセル状の閉鎖および移動が、相応するアクチュエータ段の制御によって、制御されるので、これらアクチュエータ段の操作の変化によって、搬送室の大きさおよび変化は、ほぼ自由に調節され得る。
さもないと、互いのアクチュエータ段の間隔に基づいて、およびポンプモジュールの構造によって、搬送室の移動の場合に行われる、媒体の圧縮は、従って、上記のことによって、増大され得るか、または減少され得、
従って、排出口側で、媒体のそれぞれに達成しようとされる圧力レベルは、達成可能である。
【0018】
本発明に従い、容積形ポンプは、上記された変形の実施形態の内の1つの実施形態に従って形成されている、少なくとも1つのポンプモジュールを有している。この容積形ポンプは、その際、特に真空ポンプとして形成されており、且つ、流体を搬送のために使用される。
有利には、更に、前記ポンプケーシング内において、多数のポンプモジュールが、直列接続状態、及び/または、並列接続状態において設けられており、従って、前記流体は、これら個別のポンプモジュールを介して、並列に、または連続して(abfolgend)、互いに共通の排出口内へと搬送される。
【0019】
本発明の、更に別の、有利な実施形態に相応して、少なくとも1つのポンプモジュールのアクチュエータは、電力用電子装置を介して制御可能である。
この様式の電力用電子装置を介して、その際、何の問題も無く、異なるポンピング周波数は、および同様にポンピングシーケンスも、前記アクチュエータの相応する制御によって具現され得、その際、この場合に、同様に、多数のポンプモジュールの互いに適合された制御が行われ得る。
この、またはこれらポンプモジュールに対応(所属)する1つの電力用電子装置は別として、同様に、例えばターボモレキュラーポンプのような他のポンプ、または他のシステムの、1つの適当な電子装置も、重要な要素である。
【0020】
上記された変形の実施形態の1つの実施形態に従って形成される容積形ポンプは、本発明に従い、特に、低真空または中真空(Grob− oder Feinvakuums)の達成の際に、真空槽内において、真空ポンプとして使用される。
それに加えて、
本発明に従う、真空ポンプとして形成された容積形ポンプは、同様に、高真空ポンプ及び/または超高真空ポンプ(Hoch− und/oder Ultrahochvakuumpumpe)、特にターボモレキュラーポンプ(Turbomolekularpumpe)の予備ポンプ(Vorpumpe)として使用される。
【0021】
本発明は、並列された請求項または従属する請求項の提示された組み合わせに限定されない。更に、これら個別の特徴を、同様にその範囲では、複数の請求項から、以下に記載の本発明の実施形態の説明から、または、図面から読み取れる、個別の特徴を、互いに組み合わせることの可能性が与えられる。
参照符号の使用による、図面に対する請求項の関連付けは、これら請求項の保護範囲を制限するべきでない。
【0022】
本発明の有利な実施形態を、以下で図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の有利な実施形態に従う容積形ポンプの概略図である。
図2】第1の実施形態の可能性に従う、図1の容積形ポンプの、ポンプモジュールの概略図である。
図3図2のポンプモジュールの個別の切換シーケンスの図である。
図4】選択的な実施形態の可能性に相応する、図1の容積形ポンプのポンプモジュールの概略図である。
図5】本発明の、更に別の選択的な実施形態の可能性に従う、図1の容積形ポンプのポンプモジュールの概略図である。
図6】本発明の、第2の実施形態の可能性に従う、容積形ポンプの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から、本発明の第1の実施形態に相応する容積形ポンプの概略的な外観が見て取れ、その際、この容積形ポンプは、特に、真空ポンプであり、且つ、この場合、更に有利には、ターボモレキュラーポンプの補助ポンプである。
この容積形ポンプは、その際、ポンプケーシング1を装備し、このポンプケーシング内において、このポンプケーシング1の側方に設けられた流入口側2と、端面側の排出口側3との間に、多数の、同じに構成されたポンプモジュール4、5および6が設けられている。
これらポンプモジュール4〜6は、この場合、それぞれに、環状の回転対称的なモジュールとして構成されており、
これらポンプモジュールが、それぞれに1つの、リング状に形成された流入口7、もしくは8、もしくは9を介して、それぞれに、流入口側2と結合状態にあり、それぞれに1つの、中央に位置する排出口10、もしくは11、もしくは12を介して、共通に、排出口側3へと送っている(foerdern)。
これらポンプモジュール4〜6は、結果として、従って、並列接続状態において前記ポンプケーシング1内において収容されており、且つ、この場合、特に空気混合物の様式の流体を、流入口側2から排出口側3へと搬送する。その他になお、前記ポンプケーシング1内において、更に1つの電力用電子装置13が収容されており、この電力用電子装置を介して、個別のポンプモジュール4、5、および6が制御され得る。
【0025】
図2から、ここで、更に、ポンプモジュール4の概略的な個別の外観が見て取れ、このポンプモジュールは、構造において、しかも、ポンプモジュール5および6にも相応する。
認識可能なように、このポンプモジュール4は、ケーシング14を装備しており、このケーシングが、2つのケーシング部材15、16から構成され、
これらケーシング部材が、それぞれに、環状の断面を有する円板として形成され、且つ、これらケーシング部材がある間隔のもとで相対して設けられているというやり方で、中間に位置する流動通路17を区画している。
この流動通路17は、その際、本実施例において単に示唆されているリング形状の流入口7を、中央に位置する排出口10と結合し、その際、図2内において、見通しの理由から、半径方向において、単にこのポンプモジュール4の半分体だけが図示されている。この流動通路17を通って、従って、流入口7から出発した流体は、ケーシング14を半径方向に貫通流動し、且つ、排出口10を通って、軸線方向に、共通の、図1内において見て取れる排出口側3へと到達する。
【0026】
前記流動通路17によって、更に、薄膜18が収容されており、この薄膜は、図2内において図示されている静止位置内において、ケーシング部材15とケーシング部材16との間の中央に設けられている。この目的のために、この薄膜18は、例えば、リング形状の流入口7の領域内において、適当な方法で、ケーシング部材15とケーシング部材16との間で、緊張状態で固定されている。
本実施例において、この薄膜18は、その際、同様に、環状の断面を有する円板として形成されており、且つ、伸縮性合成樹脂材料から成っており、この伸縮性合成樹脂材料内に、多数の、排出口10を中心に同心的に位置する金属薄板状リングB1〜B6が一体にまとめられている。
【0027】
更に、図2から見て取れるように、半径方向において、それぞれに、個別の金属薄板状リングB1〜B6の高さで、更に、多数のアクチュエータ段A1〜A6が設けられており、これらアクチュエータ段は、流入口7から排出口10への流動方向内において、相前後して連続して設けられている。
これらアクチュエータ段A1〜A6のそれぞれのアクチュエータ段は、その際、2つのアクチュエータから構成されており、これらアクチュエータが、流動通路17の両側に、且つ同様に、それぞれに、金属薄板状リングB1〜B6の内の1つの金属薄板状リングの両側に設けられている。
これらアクチュエータ段A1〜A6のアクチュエータは、その際、互いに相対して位置している、マグネットコイルM1.1〜M6.2によって形成されており、これらマグネットコイルが、それぞれに、鉄でもって囲繞されており、且つ、対の状態に統合された状態で、アクチュエータ段A1〜A6を形成している。
これらアクチュエータ段A1〜A6のそれぞれのアクチュエータ段によって、その際、電力用電子装置13を介して、
対の状態に統合されたマグネットコイルM1.1またはM1.2、もしくはM2.1またはM2.2、もしくはM3.1またはM3.2、もしくはM4.1またはM4.2、もしくはM5.1またはM5.2、もしくはM6.1またはM6.2の内のそれぞれに1つのマグネットコイルが通電可能であり、従って、それぞれのマグネットコイルによって磁界が形成され、それぞれに中間に位置する金属薄板状リングB1、もしくはB2、もしくはB3、もしくはB4、もしくはB5、もしくはB6が、それぞれのコイルに引っ張られ、且つ、従って、前記薄膜18が部分的に偏位される。
その際、この薄膜18は、それぞれの部分でもって、それぞれのケーシング部材15もしくは16に、且つ従って、流動通路17の周囲部分に当接し、その際、個別のマグネットコイルM1.1〜M6.2の適当な制御によって、薄膜18とケーシング部材15および16との間で、搬送室が形成され得る。
【0028】
図3内において、図2のポンプモジュール4のための、全部揃った例示的な切換シーケンスが図示されている。この場合に見て取れるように、5つの個別のシーケンスI〜V内において、流入口7から排出口10への搬送移動が図示されており、その際、この個別のシーケンスVが、その場合に、他方また、個別のシーケンスIに相応する。
個別のアクチュエータ段A1〜A6によって、その際、マグネットコイルM1.1〜M6.2の内のそれぞれに1つのマグネットコイルが制御され、従って、
中間に位置する薄膜18が、それぞれに対応(所属)する部分でもって、それぞれに、ケーシング部材15または16の内の1つのケーシング部材の方向に偏位され、且つ、引き続いて、このケーシング部材に当接する。
総じて6つのアクチュエータ段A1〜A6を介して、その際、一方では、薄膜18とケーシング部材15との間で搬送室19および19′が、および他方では、薄膜18とケーシング部材16との間で搬送室20および20′が形成可能であり、
これら搬送室が、それぞれに、ポンピングシーケンスの経過において、流入口7から排出口10へと移動される。
【0029】
蠕動的な移動に類似するこの搬送移動を、ここで、例示的に、前記搬送室19に基づいて、それぞれの個別のシーケンスI〜Vにわたって、図2および3の統合した観点のもとで説明する:即ち、
先ず第一に、第1の個別のシーケンスI内において、搬送室19が、マグネットコイルM1.1、M2.2、M3.2、およびM4.1の通電によって、カプセル状に閉鎖され、且つ、ある適当な流体量が、薄膜18とケーシング部材15との間で閉じ込められる。 この搬送室19は、その場合に、アクチュエータ段A2において、
マグネットコイルM2.2の代わりに、マグネットコイルM2.1が、および、アクチュエータ段A4において、マグネットコイルM4.1の代わりに、マグネットコイルM4.2が、並びに、アクチュエータ段A5において、マグネットコイルM5.1が通電されるというやり方で、
個別のシーケンスII内において、更に、排出口10の方向に移動される。
更なる個別のシーケンスIIIへの移行のために、その場合に、個別のシーケンスIIと比較して、
アクチュエータ段A3において、マグネットコイルM3.2の代わりに、マグネットコイルM3.1が、および、アクチュエータ段A5において、マグネットコイルM5.1の代わりに、マグネットコイルM5.2が制御される。それに加えて、アクチュエータ段A6において、マグネットコイルM6.1が通電されるべきである。
要するに、個別のシーケンスIVにおいて、個別のシーケンスIIIと比較して、
アクチュエータ段A4において、マグネットコイルM4.2の代わりに、マグネットコイルM4.1が、および、アクチュエータ段A6において、マグネットコイルM6.1の代わりに、マグネットコイルM6.2が操作されるというやり方で、
搬送室19内において存在する流体は、排出口10内へと搬送される。
個別のシーケンスVにおいて、新しいサイクルが、搬送室19′のカプセル状の閉鎖のもとで開始する。
【0030】
図2から、この場合、アクチュエータ段A1〜A6が、等間隔に互いに位置決めされていることが見て取れる。
ケーシング部材15および16、および同様に薄膜18の環状の構造との組み合わせにおいて、搬送室19、19′、20、20′は、半径方向の搬送移動の際に、連続的に、これら搬送室の容積において減少される。何故ならば、アクチュエータ段A1〜A6の間で形成されるリング状の容積は、排出口10へと連続的により小さくなるからである。このことは、それぞれの搬送室19、もしくは19′、もしくは20、もしくは20′内において存在する流体が、流入口7から排出口10への搬送の際に圧縮されるということを結果として招く。
【0031】
搬送室19、19′、20、および20′内における圧力変動を、排出口10への移動の際に、可能な限り僅かに保持するために、
電力用電子装置13を介して、その際、アクチュエータ段A1〜A6のそれぞれのアクチュエータ段内において、および、同様にアクチュエータ段A1からアクチュエータ段A6の間において、迅速な切換えが実施されるべきである。
【0032】
図4から、ポンプモジュール4′の選択的な実施形態の可能性が読み取れ、このポンプモジュールが、前記ポンプモジュール4〜6の代わりに、図1内における前記容積形ポンプにおいて使用され得る。
図2の前記ポンプモジュール4との相違において、薄膜21は、その際、磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料によって形成されており、その際、この磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料が、その内に混入されたナノスケールの微粒子を有する伸縮性合成樹脂から成っている。1つの磁界内において、この微粒子に、その際、1つの力が作用し、このことによって、これまた同様に、図3内において記載された搬送移動と類似の偏位を具現するために、薄膜21の、所望された部分的な偏位が具現可能である。
その他の点では、図4内において図示されたこのポンプモジュール4′は、図2の前記ポンプモジュール4に相応している。
【0033】
更に、図5から、ポンプモジュール4″の更に別の選択的な実施形態の可能性が読み取れ、このポンプモジュール4″が、同様に、ポンプモジュール4〜6の代わりに、図1内における前記容積形ポンプにおいて使用され得る。
図2の実施形態との相違において、アクチュエータ段A1〜A6が、この場合、対の状態で統合され且つ相対して位置している電極E1.1〜E6.2によって形成されている。これら電極E1.1〜E6.2は、蠕動的な搬送移動を具現するために、これまた同様に、個別に、電力用電子装置13を介して制御され得る。
個別の電極E1.1〜E6.2によって誘起される電界において、薄膜22の部分的な偏位を誘起するために、この薄膜は、本実施例において、エレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料から形成されており、このエレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料が、その内に混入されたナノスケールの微粒子を有する伸縮性合成樹脂から成っている。1つの電界の作用のもとで、その際、この微粒子に、その際、1つの力が作用し、このことによって、これまた同様に、薄膜22の、部分的な偏位が誘起され得る。
その他の点では、図5内におけるこのポンプモジュール4″は、図2の前記ポンプモジュール4に相応している。
【0034】
要するに、更に、図6内において、本発明の第2の実施形態に従う、容積形ポンプの概略的な外観が図示されている。
図1の実施形態との相違において、ポンプモジュール4〜6は、この場合、並列接続状態に設けられてなく、むしろ、直列接続の様式に従って、流動方向内において相前後して位置している状態で位置決めされている。この目的のために、ポンプモジュール4の流入口7は、前記容積形ポンプの流入口側2と結合されており、これに対して、このポンプモジュール4の排出口10が、ポンプモジュール5の流入口8と連結されている。
ポンプモジュール5の排出口11は、これまた同様に、ポンプモジュール6の流入口9と結合状態にあり、このポンプモジュール6の排出口12が、前記容積形ポンプの排出口側3と連結されている。この場合、それぞれの排出口10、もしくは11、もしくは12は、単に、それぞれのポンプモジュール4、もしくは5、もしくは6の上側だけに設けられるべきであり、即ち、それぞれに上側に位置するケーシング部材15だけが、中央で、軸線方向に指向する貫通穿孔でもって貫通されるべきである。
その他の点では、図6の容積形ポンプの実施形態は、しかしながら、図1に従う実施形態に相応している。
【0035】
ポンプモジュール4〜6、もしくは4′、もしくは4″の個別の実施形態を用いて、媒体の搬送は、簡単な構造および同時に信頼性の高い機能態様において可能である。その際、これらポンプモジュールは、適宜の方法において、容積形ポンプの実施形態のために互いに接続可能である。
この場合に、特に、ターボモレキュラーポンプの補助ポンプまたは補助ポンプ段の領域内における使用は、考慮に値する。
【符号の説明】
【0036】
1 ポンプケーシング
2 流入口側
3 排出口側
4、4′、4″ ポンプモジュール
5 ポンプモジュール
6 ポンプモジュール
7 流入口
8 流入口
9 流入口
10 排出口
11 排出口
12 排出口
13 電力用電子装置
14 ケーシング
15 ケーシング部材
16 ケーシング部材
17 流動通路
18 薄膜
19、19′ 搬送室
20、20′ 搬送室
21 薄膜
22 薄膜
23 エレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料
A1〜A6 アクチュエータ段
B1〜B6 金属薄板状リング
M1.1〜M6.2 マグネットコイル
E1.1〜E6.2 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6