【発明の効果】
【0007】
本発明に従い、
ポンプモジュールは、
少なくとも1つの流動通路を区画するケーシングを有しており、その際、
この少なくとも1つの流動通路が、少なくとも1つの流入口を、少なくとも1つの排出口と結合し、且つ、自体で、それぞれに1つの、流動方向に整向された状態で位置するポンピング装置を収容している。
このポンピング装置は、個別に制御可能なアクチュエータを介して、部分的に偏位され得、且つ、その際、
搬送されるべき媒体が、少なくとも1つの搬送室の内側に閉じ込められることが可能であり、
前記搬送室が、これらアクチュエータのシーケンシャルな制御によって、ポンピング装置の部分と、前記少なくとも1つの流動通路のそれぞれに
対応する(所属して設けられた)周囲部分との間で、カプセル状に閉鎖可能であり、且つ、
搬送移動において、前記少なくとも1つの流入口と前記少なくとも1つの排出口との間で移動可能である。
【0008】
前記ポンピング装置は、本発明の意味において、特に、円板状の、板状の、または類似に形成された構造部材として構成されており、且つ、個別のセグメントがアクチュエータの影響のもとで、このポンピング装置の長手方向延在に対して直角に位置移動されるというやり方で、部分的に偏位可能である。この場合、このポンピング装置の偏位される部分の数に応じて、1つまたは多数の搬送室が、流動通路の一つまたは多数の周囲部分でもって閉じ込められ、その際、1つの搬送室内において、それぞれに、1つの搬送されるべき媒体が閉じ込められている。
本発明の意味において、この媒体は流体であり、即ち、ガスもしくはガス混合物、または液体もしくは液体混合物である。
アクチュエータのシーケンシャルな制御でもって、その場合に、これに伴い区画された、少なくとも1つの搬送室は、ポンプモジュールの、少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの排出口との間で移動し、従って、同様に、閉じ込められた搬送されるべき媒体が、流入口と排出口との間で搬送される。この搬送移動は、その際、これらアクチュエータの適当な制御において、特にポンピング装置の蠕動的な移動に類似している。
【0009】
本発明は、ここで、
前記アクチュエータが、ケーシングによって収容されていること、および、それぞれに、流動通路の両側で、互いに相対して位置している前記アクチュエータが、アクチュエータ段を形成し、
これらアクチュエータ段が、流動方向に相前後して連続して設けられており、
前記ポンピング装置が、弾性的な薄膜として構成されており、
前記薄膜が、個別のアクチュエータ段の内のそれぞれに1つのアクチュエータの制御によって、
前記アクチュエータにそれぞれ対応する前記薄膜の部分でもって、
前記少なくとも1つの流動通路の
、前記薄膜の部分にそれぞれ対応する周囲部分に当接可能であること、
前記ケーシングは、少なくとも2つのケーシング部材から成ること、
これらケーシング部材および中間に位置する前記薄膜が、環状の断面を有する円板として形成されていること、および、
少なくとも1つの前記流入口が、リング状に形成されており、且つ、半径方向外側に設けられており、且つ、流動通路を介して少なくとも1つの排出口と結合状態にあり、この排出口が、半径方向において、中央に位置決めされていることの技術的な教示を備えている。
換言すれば、従って、これらアクチュエータは、周囲に位置するケーシング内において位置決めされており、これらアクチュエータを介して、流動通路内において位置するポンピング装置が、部分的に偏位され得、その際、
これらアクチュエータが、この場合に、対の状態でアクチュエータ段へと統合されており、これらアクチュエータ段において、それぞれに、それぞれ
対応(所属)するアクチュエータが、前記流動通路の両側で位置しており、従って、1つのアクチュエータ段の一方のアクチュエータが、この流動通路の上側に、このアクチュエータ段の他方のアクチュエータが、この流動通路の下側に位置決めされている。
総じて、これらアクチュエータ段は、その際、流動方向において、相前後して連続して設けられており、従って、流動方向に沿っての移動(Entlangwandern)の場合、従って、個別のアクチュエータ段が順々に通過される。
弾性的な薄膜として形成された前記ポンピング装置は、
前記個別のアクチュエータ段のそれぞれ1つのアクチュエータが制御され、且つ、この場合に、このアクチュエータ段のアクチュエータの間に位置する、前記薄膜の1つの部分が偏位され、且つ、前記流動通路のそこの周囲部分に当接されるというやり方で、
その場合に、部分的に偏位され得る。
【0010】
本発明に従うポンプモジュールは、その際、同時に信頼性の高い機能態様における機能簡単な構造によって特徴付けられている。
そこで、自体で停止状態のケーシング内における、アクチュエータの位置決め状態によって、これらアクチュエータが、簡単な構造およびやり方で、このケーシング内において延在する導線(Leitungen)を介して制御され得、その際、これら導線が、その場合に、空間的に、流動通路、およびこの流動通路内において搬送される媒体から分離されている。
この搬送移動の様式に基づいて、更に、流入口側および排出口側の弁を必要としない。何故ならば、この搬送されるべき媒体は、部分的に、弾性的な薄膜の偏位によって、この薄膜自体と、前記流動通路の周囲との間でカプセル状に収容されるからである。この薄膜は、その際、唯一の運動可能な構造部材であり、従って、適当な最適化によって、本発明に従うポンプモジュールの長い耐用期間が達成され得る。
それに加えて、この薄膜は、弾性的な構造部材として、精密に偏位され得、且つ、前記流動通路の周囲に当接され得、このことによって、それぞれの搬送室が、精確に形成され、且つ同様に密閉され得る。
更に、このポンプモジュールのポンピング周波数、並びにポンピングシーケンス、即ち、少なくとも1つの搬送室の大きさの設定は、自由に、これらアクチュエータを介して調節され得、従って、本発明に従うポンプモジュールは、その場合に、所望された搬送の様式に応じて、単にこれらアクチュエータの制御が変化され得るというやり方で、広範に、異なる使用状況に適応される。
総じて、本発明に従うポンプモジュールは、低い製造技術的な手間暇および僅かの騒音の発生における簡単な構造によって特徴付けられる。
【0011】
前記のこととは異なって、特許文献1のポンプモジュールの場合、流動通路内において位置するポンピング装置の制御は、困難に行われる。何故ならば、部分的な偏位のために、薄片板状の構造部材の上に設けられた圧電素子部分片が、相応して通電されねばならないからである。
この目的のために、相応する接触子が設けられねばならず、または、導線が、これら偏位可能なポンピング装置に導入されねばならず、このことは、このポンプモジュールの構造を相応して複雑にし、且つ、この結果として、製造技術的な手間暇を増大する。更に、圧電素子を備える薄片板は、薄膜よりも僅かに可撓性であり、とりわけ、搬送室の設定(Definition)が、前記圧電素子部分片の配設および大きさに相応して、強固に予め設定されている。
上記のことに応じて、ポンピングシーケンスは、個々に、個別の使用状況に適合され得ない。同様に、前記流動通路の周囲に対するこの薄片板の密着は、弾性的な薄膜の場合よりもより不精確である。
【0012】
本発明の有利な実施形態に相応して、前記アクチュエータは、マグネットコイルによって形成されている。
これらマグネットコイルは、その際、特に、それぞれに、例えば鉄のような、高い透磁性の材料でもって囲繞されており、且つ、通電の際に、相応する磁界を形成し、この磁界を介して、弾性的な薄膜は、この薄膜のそれぞれに
対応(所属)する部分でもって偏位される。
磁界内における前記薄膜の部分的な偏位を達成するために、
本発明の更に別の実施形態に従う薄膜は、磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料(magnetorheologischen Elastomermaterial)から成っているか、または、アクチュエータ段に
対応(所属)する、前記薄膜の部分内においてそれぞれに強磁性の材料が混入されている、伸縮性合成樹脂材料から形成されている。
磁気流動学的な伸縮性合成樹脂材料は、
その内において設けられた磁気的に分極可能な微粒子を有する柔軟な伸縮性合成樹脂マトリックス(Elastomermatrix)から成る合成材料であり、これら微粒子に対して、磁界を介して作用可能である。
その内において混入された強磁性の材料を有する伸縮性合成樹脂材料から成る薄膜の実施形態の場合、本発明の意味において、特に、伸縮性合成樹脂材料を有する金属薄板セグメントでもって周囲を鋳込まれており(umgossen)、従って、結合システム(Verbundsystem)が構成される。
【0013】
本発明の、前記に対して選択的な実施形態に従い、前記アクチュエータは、電極によって形成されている。これら電極の相応する通電の際に、その場合に、それぞれに、それぞれ1つの電界が形成され、この電界を介して、弾性的な薄膜は、これまた同様に、部分的に偏位され得る。
この目的のために、この弾性的な薄膜は、その場合に、特に、エレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料(elektrorheologischen Elastomermaterial)から成っており、このエレクトロレオロジー的な伸縮性合成樹脂材料が、その内において混入された微粒子を有する伸縮性合成樹脂から形成されており、これら微粒子が、電界内において、それぞれに通電された電極の方向に引っ張られ、且つ、上記のことに応じて、前記弾性的な薄膜の部分的な偏位を生じさせる。
【0014】
本発明の更に別の実施形態に相応して、前記ケーシングは、少なくとも2つのケーシング部材から成り、その際、これらケーシング部材および中間に位置する前記薄膜が、環状の円板として形成されている。更に、少なくとも1つの流入口は、半径方向外側に設けられており、且つ、流動通路を介して、少なくとも1つの排出口と結合状態にあり、この排出口が、半径方向において、中央に位置決めされている。
この場合、ポンプモジュールは、従って、環状の構造を有しており、その際、搬送されるべき媒体が、半径方向外側から、半径方向内側の排出口へと搬送される。本発明の意味において、しかしながら、同様に、良好に、同様に流入口が、中央に位置決めされることは可能であり、且つ、少なくとも1つの排出口が、半径方向外側に位置することも可能である。
前記ポンプモジュールのこの環状の構造によって、何の問題もなく、多数のポンプモジュールは、
個別の環状のポンプモジュールが軸線方向に互いに上下に積み重ねられ、且つ所望された接続に応じて個別の流入の並列な供給が具現され、または、しかしながら、1つのモジュールの少なくとも1つの排出口が後に続くモジュールの少なくとも1つの流入口と直列接続の様式に従って連結されるというやり方で、
相前後して接続され得る。
環状の円板から成る前記ポンプモジュールの環状の構造の場合、その際に、前記アクチュエータは、相応して、リング形状に形成され得、従って、例えば、リング形状のコイル、またはリング形状の電極として形成され得る。この環状の構造に対して選択的に、しかしながら、原理的に同様に、ポンプモジュールの矩形の構造も可能である。
【0015】
本発明の更なる構成において、前記アクチュエータ段は、流動方向において、等間隔に、または、異なる間隔で互いに位置決めされている。
ポンプモジュールの形状、および搬送されるべき媒体の様式に応じて、少なくとも1つの搬送室は、この場合、少なくとも1つの流入口と、少なくとも1つの排出口との間のこの搬送室の移動の際に、容積において一定に保持され得、または、しかしながら、変化され得る。
従って、ガスまたはガス混合物の様式における媒体は、前記ポンプモジュールの環状の構造の場合に、これらアクチュエータの間の間隔が、等間隔に流動方向において選択されているというやり方で、搬送の際に、少なくとも1つの流入口から、少なくとも1つの排出口へと圧縮され、
従って、少なくとも1つの搬送室が、半径方向外側に位置する流入口から中央に位置する排出口への移動の際に、これらアクチュエータ段の間のより小さくなるリングの面積に基づいて、連続的に減少し、且つ、従って、前記ガスの圧縮が行われる。
類似して、矩形の構造の場合、前記アクチュエータ段の間の異なる間隔によって、少なくとも1つの搬送室の連続的な減少が形成される。
【0016】
搬送されるべき媒体が、上記に反して、液体である場合、この液体の圧縮できない特性に基づいて、通常、少なくとも1つの搬送室の容積の減少は所望されない。
この容積は、少なくとも1つの流入口から少なくとも1つの排出口への移動の際に、
1つの環状のポンプモジュールの場合に、前記個別のアクチュエータ段が、均等なリングの面積の具現のために、異なる間隔でもって、流動方向において互いに位置決めされるか、または、
前記ポンプモジュールの矩形の構造の場合に、前記アクチュエータ段の間の不変の間隔が選択されることによって、一定に保持される。
少なくとも1つの流入口が、流動方向において、中央に、且つ少なくとも1つの排出口が半径方向外側に位置して設けられている場合、最終的に、同様に、液体の搬送は、ポンプモジュールの環状の構造の場合にも、および、等間隔に互いに位置決めされたアクチュエータ段の場合にも可能であり、従って、少なくとも1つの搬送室の容積が、流入口から排出口への移動の際に増大される。
【0017】
搬送室の可変のまたは不変の容積は、しかしながら、同様に、ポンピングシーケンスの適当な調節によっても設定され得る。それぞれの搬送室のカプセル状の閉鎖および移動が、相応するアクチュエータ段の制御によって、制御されるので、これらアクチュエータ段の操作の変化によって、搬送室の大きさおよび変化は、ほぼ自由に調節され得る。
さもないと、互いのアクチュエータ段の間隔に基づいて、およびポンプモジュールの構造によって、搬送室の移動の場合に行われる、媒体の圧縮は、従って、上記のことによって、増大され得るか、または減少され得、
従って、排出口側で、媒体のそれぞれに達成しようとされる圧力レベルは、達成可能である。
【0018】
本発明に従い、容積形ポンプは、上記された変形の実施形態の内の1つの実施形態に従って形成されている、少なくとも1つのポンプモジュールを有している。この容積形ポンプは、その際、特に真空ポンプとして形成されており、且つ、流体を搬送のために使用される。
有利には、更に、前記ポンプケーシング内において、多数のポンプモジュールが、直列接続状態、及び/または、並列接続状態において設けられており、従って、前記流体は、これら個別のポンプモジュールを介して、並列に、または連続して(abfolgend)、互いに共通の排出口内へと搬送される。
【0019】
本発明の、更に別の、有利な実施形態に相応して、少なくとも1つのポンプモジュールのアクチュエータは、電力用電子装置を介して制御可能である。
この様式の電力用電子装置を介して、その際、何の問題も無く、異なるポンピング周波数は、および同様にポンピングシーケンスも、前記アクチュエータの相応する制御によって具現され得、その際、この場合に、同様に、多数のポンプモジュールの互いに適合された制御が行われ得る。
この、またはこれらポンプモジュールに
対応(所属)する1つの電力用電子装置は別として、同様に、例えばターボモレキュラーポンプのような他のポンプ、または他のシステムの、1つの適当な電子装置も、重要な要素である。
【0020】
上記された変形の実施形態の1つの実施形態に従って形成される容積形ポンプは、本発明に従い、特に、低真空または中真空(Grob− oder Feinvakuums)の達成の際に、真空槽内において、真空ポンプとして使用される。
それに加えて、
本発明に従う、真空ポンプとして形成された容積形ポンプは、同様に、高真空ポンプ及び/または超高真空ポンプ(Hoch− und/oder Ultrahochvakuumpumpe)、特にターボモレキュラーポンプ(Turbomolekularpumpe)の予備ポンプ(Vorpumpe)として使用される。
【0021】
本発明は、並列された請求項または従属する請求項の提示された組み合わせに限定されない。更に、これら個別の特徴を、同様にその範囲では、複数の請求項から、以下に記載の本発明の実施形態の説明から、または、図面から読み取れる、個別の特徴を、互いに組み合わせることの可能性が与えられる。
参照符号の使用による、図面に対する請求項の関連付けは、これら請求項の保護範囲を制限するべきでない。
【0022】
本発明の有利な実施形態を、以下で図面に基づいて詳しく説明する。