(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)対前記第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)の重量比が、85:15から70:30である請求項3に記載の配合物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および後の請求項において、下記の意味を有する多数の用語が記述される。
【0013】
本明細書を通して、文脈によって別様に理解される必要がない限り、用語「を含んでなる」は、記述された整数もしくはステップまたは整数群もしくはステップ群を包含するが、他の整数もしくはステップまたは整数群もしくはステップ群を排除しないことと解される。
【0014】
単数形、「一つの」、「その」は、文脈によって明らかに別様に示されない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「生物活性剤」の記述は、そのような生物活性剤の二種以上の混合物などを含む。
【0015】
本明細書において、範囲は、「約」一特定値から、および/または「約」別の特定値までとして表し得る。このような範囲が表されている場合、別の態様は、一特定値から、および/または別の特定値までを含む。同様に、値が先行の「約」の使用により、近似値として表されている場合、その特定値は別の態様を形成するものと解される。さらに、範囲の各々の終点は、他方の終点と関連して、および他方の終点とは独立しての双方を意味すると解される。
【0016】
「生物活性剤」とは、生物学的活性を有する薬剤のことである。生物活性剤は、疾患、障害、感染などを処置、診断、治療、緩和、防止(すなわち、予防的に)、寛解、調整するために、または、それらに好適な影響を与えるために使用することができる。生物活性剤はまた、対象の構造または機能に影響を与える物質、または予め決められた生理学的環境に置かれた後に生物活性に、またはより生物活性になるプロドラッグを含む。
【0017】
「生分解性」とは、溶解性の種へと浸食するか、または生理的条件下で、対象にとってそれら自体が非毒性(生体適合性)の小単位または化学種へと分解し、対象によって代謝、除去または排出され得る物質のことである。
【0018】
「コーティング」とは、広く定義され、限定はしないが、基材、シート、ファイバー、裏地または形状適合性裏地部材などの材料の表面と物質とを結合させる注入、浸漬、コーティング、付着、含浸、注入または他の任意の様式を含む。本明細書に用いられる用語「コーティング」とは、もっぱら材料の表面上にある層ならびにある程度材料を浸透し得る層の双方を指すことが意図されている。下記のいくつかの使用では、「コーティング」は、表面下の材料を完全に浸透し得る。
【0019】
「形状適合性裏地部材」とは、限定はしないが、解剖学的表面などの表面に形状適合性である材料のことである。斯様に、この裏地を表面に適用すると、裏地はその表面形状に適合する。いくつかの適用において、表面が移動し、その移動に適応するために延伸する場合でも形状適合するが、表面が非移動条件に復帰する場合は表面に形状適合し続けるのに十分弾性である材料が選択される。好適な材料としては、例えば不織布繊維ウェブ類、織布繊維ウェブ類、ニット類、フィルム類、シート類、テープ類、および他の知られた裏地材料が挙げられる。このような材料は、天然材料と、ポリマー材料などの人工材料との双方から製造することができる。
【0020】
「ガラス転移温度」または「T
g」とは、示差走査熱量測定(DSC)により測定したガラス転移温度のことである。DSCは、ポリマーがガラス状態からゴム状態になる際の熱容量の変化として定義されている。これは、二次吸熱転移(転移を経るために熱を要する)であり、したがって、この転移は、溶融転移に予想されるようなピークではなく、段階転移として現れる。
【0021】
本明細書に用いられる「分子比」、「モル比」および「分子パーセント」とは、ターポリマーにおける各モノマーのモルパーセンテージのことである。モルパーセンテージは、ターポリマーの
1H NMR分析によって測定することができる。
【0022】
本明細書に用いられる「分子量」または「M
w」とは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した重量平均分子量のことである。
【0023】
「mPEG」とは、メトキシポリ(エチレングリコール)のことである。
【0024】
「任意選択の」または「任意選択で」とは、続いて記述される事象または状況が生じることも生じないこともあり得ることを意味し、この記述には、事象または状況が生じる場合と生じない場合が含まれる。
【0025】
本明細書に用いられる「多分散指数」または「PDI」とは、M
wをM
n(数平均分子量)で割ることによって得られる値のことである。M
wとM
nは双方ともゲル透過クロマトグラフィーにより測定される。
【0026】
感圧接着剤
感圧接着剤(「PSA」)は、単一成分のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)接着剤、またはポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)と、別のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)、またはポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)とを一緒に含んでなるターポリマー配合物のいずれかを含んでなる。下記の使用は、下記のターポリマーのいずれかを含んでなるか、または構成される。別の態様において、開示されたポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)類または配合物のいずれかを含んでなる感圧接着剤(「PSA」)は、生体適合性であり生分解性である。
【0027】
(i)単一成分のPSA
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)を含んでなるPSAは、140,000ダルトン以下の分子量(M
w)を有し、2.0未満の多分散指数(PDI)を有し得る。いくつかの態様において、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、30℃において、約0.1Hzから約1Hzの周波数にわたり約1.5×10
5Paから約5.5×10
5Pa;約10
2Hzから約10
4Hzの周波数にわたり約1.0×10
6Paから約4.0×10
6Paの貯蔵弾性率(G’)値を示し得る。
【0028】
ポリマーの流体力学的測定値は、下記のとおりに測定することができる。動的せん断弾性率の測定は、平行板流量計(TA Instruments AR2000)により、0.10Hzと100Hzとの間の周波数で実施する。発振周波数掃引は、各周波数掃引に関して、10℃ずつ段階的に、0℃から60℃までの範囲で、等温度で実施する。平行ディスクは直径20mmであった。標準曲線は、参照温度として供される30℃で温度依存性シフト因子(WLF)を用いて得た。
【0029】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、弾性か、または粘弾性であり得るが、他方、粘着性または他着性でもあり得る。したがって、ターポリマーは、感圧接着剤として機能でき、軽い圧力の適用で種々の基材に接着することができる。
【0030】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、140,000ダルトン以下、例えば、60,000ダルトンから140,000ダルトン、または60,000ダルトンから130,000ダルトンの分子量を有し得る。例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、60,000ダルトン、70,000ダルトン、80,000ダルトン、90,000ダルトン、100,000ダルトン、120,000ダルトン、130,000ダルトン、または140,000ダルトンの分子量(M
w)を有し得る。
【0031】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、約2.0未満、例えば、約1.5から約1.8であり得る多分散指数(PDI)を有し得る。
【0032】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、約−20℃から約30℃など、30℃以下のガラス転移温度(T
g)を有し得る。例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、30℃、25℃、22℃、21℃、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、−5℃、−8℃、−9℃、−10℃、−12℃、−15℃、または−20℃のガラス転移温度(T
g)を有し得る。
【0033】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、ラクチド:グリコリド:カプロラクトンの種々のモル比を有し得る。例えば、D,L−ラクチドが10%から60%の範囲のモル%、グリコリドが10%から50%の範囲のモル%、ε−カプロラクトンが10%から80%の範囲のモル%で存在し得る。表1は、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)類に関するモル%組成を記載している。
【0036】
感圧接着剤は、ターポリマーのみから、または他の添加剤をさらに含んで構成することができる。接着剤の物理的性質を調整するために使用できる他の添加剤としては、グリセリンまたはPEGなどの湿潤剤、未反応モノマー、すなわち、ラクチド、グリコリド、またはε−カプロラクトンなどの可塑剤、ならびに鉱油またはラノリンが挙げられる。
【0037】
ターポリマーは、好適な開始剤を用い、所望のモル比で、D,L−ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトンを共重合(開環重合)することにより調製することができる。種々の求核性開始剤が使用できる。開始剤は、PEG、mPEG、PPO、PEG/PPOコポリマー、脂肪族アルコールまたはグリセリンなどの多価アルコール種、および糖類、ならびに水およびグリコール酸であり得る。重合時は、オクタン酸第一スズなどの触媒を用いることもできる。重合は、130℃から180℃で、8時間から24時間進行でき、その後、減圧下で未反応モノマーを除去することができる。モノマー供給量に対して適切な量の開始剤を用いることによって、特定の分子量のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)を調製することができ、そのことにより、作製されるポリマー鎖の長さを制御することができる。
【0038】
一態様において、ポリマーの粘着強度を増加させるために、2つ以上のヒドロキシル基を有する分子によって、ターポリマーを架橋することができる。当業界に知られた方法を用いて、複数のヒドロキシル基を有する分子を、連続的交換反応により、ポリエステル骨格内に挿入することができる。
【0039】
また、アルコール開始剤、例えば、ヘキサンジオール、カプロラクトン、グリコリド、およびラクチドを用いて、連続的共重合化により、ターポリマーの粘着性を改善することができる。L−ラクチドはまた、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、またはPEG/PPOマクロ開始剤を用い、固体状態において、カプロラクトンおよびグリコリドと重合することもできる。
【0040】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、所望の場合、例えば、γ線照射を用い、例えば、22〜28kGyのガンマ照射から、4〜6kGy/時間の低速照射線量で、使用前に滅菌することができる。照射操作により、ターポリマーの分子量は低下し得る。したがって、いくつかの態様において、ターポリマーの最終目標分子量よりもわずかに高い(約10,000ダルトン高い)分子量を有するターポリマーによって開始することが有用であり得る。
【0041】
(ii)ターポリマー配合のPSA
ターポリマー配合感圧接着剤は、(a)75,000ダルトンから250,000ダルトンの分子量(M
w)、および2.0未満の多分散指数(PDI)を有する第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)、および(b)130,000ダルトン以下の分子量(M
w)、および2.0未満の多分散指数(PDI)を有する第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)を含んでなる配合物を含んでなる。
【0042】
第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は弾性または粘弾性であり得、第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は粘着性または付着性であり得る。したがって、第一のポリマーと第二のポリマーの配合組成物は感圧接着剤として機能し、軽い圧力の適用により種々の基材に接着することができる。
【0043】
第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、75,000ダルトンから250,000ダルトンの分子量(M
w)を有し、いくつかの実施形態においては、100,000ダルトンから130,000ダルトンの分子量(M
w)を有する。例えば、第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、100,000、110,000、112,000、113,000、115,000、119,000、125,000ダルトンの分子量(M
w)を有し得る。第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、130,000ダルトン以下の分子量、いくつかの実施形態においては、60,000から130.000ダルトンの分子量を有し得る。例えば、第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、60,000、70,000、80,000、90,000、10,000、または120,000ダルトンの分子量(M
w)を有し得る。
【0044】
第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)未満の分子量(M
w)を有する。第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)の分子量(M
w)の10%から90%であり得る分子量を有し得る。例えば、第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)の分子量(M
w)の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る分子量(M
w)を有し得る。
【0045】
第一および第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)の各々は、約2.0未満、また、約1.5から約1.8であり得る多分散指数(PDI)を有する。第一のポリマーと第二のポリマーのPDIは、同じこともあり得るし、異なっていることもあり得る。
【0046】
第一および第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は双方とも、一般に、約−20℃から約0℃など、0℃以下のガラス転移温度(T
g)を有する。例えば、第一および第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は各々、同じか、または異なる0℃、−5℃、−8℃、−9℃、−10℃、−12℃、−15℃、または−20℃のガラス転移温度(T
g)を有する。
【0047】
第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)対第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)の重量比は、約90:10から約60:40、例えば、90:10、80:20、70:30、または60:40の範囲であり得る。
【0048】
第一および第二のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は互いに同じか、または異なり得るラクチド:グリコリド:カプロラクトンの種々のモル比を有し得る。第一の(弾性)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)に関して、D,L−ラクチドは、10%から60%の範囲のモル%で存在し得、グリコリドは、10%から60%の範囲のモル%で存在し得、ε−カプロラクトンは、10%から80%の範囲のモル%で存在し得る。第二の(粘着性)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)に関して、D,L−ラクチドは、10%から60%の範囲のモル%で存在し得、グリコリドは、10%から50%の範囲のモル%で存在し得、ε−カプロラクトンは、10%から80%の範囲のモル%で存在し得る。表2および表3は、第一の(弾性)および/または第二の(粘着性)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)に関するモル%組成を記載している。
【0052】
配合物の量と正確な組成は、インプラントデバイスの基材との適合性を最大化するために変更することができる。例えば、第二の(粘着性)ポリマーのモノマー組成は、チタンまたは酸化チタンなどの親水性基材に対する接着を最大化するために、より親水性になるように調整することができる。パリレン、または生分解性ポリマーのラクチド/グリコリドファミリーから作製されたストリップなどの生分解性薬剤溶出ストリップなどの極性の低い基材に接着させるために、より疎水性の第二の(粘着性)ポリマーを使用することができる。
【0053】
配合物はさらに他の添加剤を含んでなり得る。配合物の物理的性質を調整するために使用できる他の添加剤としては、グリセリンまたはPEGなどの湿潤剤、未反応モノマー、すなわち、ラクチド、グリコリド、またはε−カプロラクトンなどの可塑剤、ならびに鉱油またはラノリンが挙げられる。
【0054】
配合物は、高せん断条件下、PATTERSON−KELLY配合機などの市販の配合機中で、第一および第二のポリマー(および他の任意の添加剤または成分)を一緒に混合することによって調製することができる。配合物はまた、高せん断配合の他に、反応性押出し、押出し混合、熱の助けによる低せん断での混合によっても調製することができる。
【0055】
各ターポリマーは、好適な開始剤を用い、所望のモル比でD,L−ラクチド、グリコリド、およびε−カプロラクトンを共重合(開環重合)することによって調製することができる。種々の求核性開始剤を使用することができる。開始剤は、PEG、mPEG、PPO、PEG/PPOコポリマー、脂肪族アルコールまたはグリセリンなどの多価アルコール種、および糖類、ならびに水およびグリコール酸または1−ドデカノールであり得る。重合時にオクタン酸第一スズなどの触媒を使用することもできる。重合は、130℃から180℃で、8時間から24時間進行させることができ、その後、減圧下で未反応モノマーを除去することができる。モノマー供給量に対して適切な量の開始剤を用いることによって、特定の分子量のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)を調製することができ、そのことにより、作製されるポリマー鎖の長さを制御することができる。
【0056】
一態様において、ポリマーの粘着強度を増加させるために、当業界に知られた方法を用い、2つ以上のヒドロキシル基を有する分子によって、第一のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)を架橋することができる。
【0057】
第一の(弾性)ポリマーの粘着性はまた、アルコール開始剤、例えば、カプロラクトン、グリコリド、およびラクチドのヘキサンジオールを用いて、連続的共重合により改善することもできる。L−ラクチドはまた、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、またはPEG/PPOマクロ開始剤を用い、固体状態で、カプロラクトンおよびグリコリドと重合させることもできる。
【0058】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)配合物は、使用前に、好ましくは、約25kGyの照射線量のγ線照射を用いて滅菌することができる。照射操作により、配合物中のポリマーの分子量が低下し得る。したがって、配合物中の各ターポリマーの最終目標分子量よりもわずかに高い(約10,000ダルトン高い)分子量を有するターポリマーによって開始することができる。
【0059】
別の態様において、配合物は、(a)75,000ダルトンから250,000ダルトンの分子量、および2.0未満の多分散指数(PDI)を有するポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)、および(b)25,000ダルトン以下の分子量、および2.0未満の多分散指数(PDI)を有するポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)を含んでなり;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)の分子量(M
w)未満であり得る分子量を有し;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)対ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)の重量比は、約95:5から約75:25であり得る。
【0060】
この配合物に関して、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、第一の(弾性)ポリマーとして上記に記載されている。ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、配合物中の粘着性成分であり得る。ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、25,000ダルトン以下、または10,000ダルトンから20,000ダルトンの分子量(M
w)を有する。ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、2.0未満、または1.4から1.7の他分散指数(PDI)を有する。ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、約−20℃から約0℃など、0℃以下のガラス転移温度(T
g)を有する。例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、0℃、−5℃、−8℃、−9℃、−10℃、−12℃、−15℃、または−20℃のガラス転移温度(T
g)を有し得る。
【0061】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)対ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)の重量比は、約95:5から約70:30の範囲であり得、例えば、95:5、90:10、80:20、または70:30である。
【0062】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)中のD,L−ラクチド対グリコリドのモル比は、90:10から40:60の範囲であり得、例えば、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、または40:60である。ポリエチレングリコール(mPEG)部分は、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)鎖の末端のブロックとして存在する。このようなポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)は、D,L−ラクチドとグリコリドをmPEG開始剤によって開始させることによって調製する。したがって、ポリマーのmPEG部分は、分子量(M
w)に関して、出発のmPEG開始剤によって定義し得る。PEG開始剤は、市販品で得ることができ、PEGの分子量(M
w)は、市販品の供給者によって記載された分子量である。特定例としてはmPEG 2000があり、これは、市販品の供給者である、Spectrum Chemicals and Laboratory Products、New Brunswick、NJにより記載された約2000の分子量(M
w)を有する。
【0063】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)はまた、ポリマー中のラクチド、グリコリドおよびエチレングリコールのモル比によっても特性化できる。ラクチドのモル%は、10%から60%の範囲であり得、グリコリドのモル%は、10%から60%の範囲であり得、エチレングリコールは、10%から80%の範囲であり得る。表4は、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)に関するモル%組成を記載している。
【0065】
あるいは、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、そのモルパーセンテージとラクチドおよびグリコリドによって、およびmPEGブロックの分子量によって特性化できる。一定の態様において、ポリマーは、mPEGベースのターポリマーのファミリーに関して、50モル%のD,L−ラクチドから100モル%のD,L−ラクチド、かつ50モル%以下のグリコリドを含んでなり得、mPEG部分のM
wは、約350ダルトンから5000ダルトンの範囲である(出発のmPEG開始剤の分子量を基準にして)。
【0066】
ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)は、上記で検討した方法を用いて作製することができる。D,L−ラクチドとグリコリドは、求核性末端基を有するmPEG開始剤を用いて共重合させる。mPEGはアルコール末端基を有して市販品として入手でき、D,L−ラクチドとグリコリドの開環重合を開始することができる。重合は、上記で検討した触媒の存在下で実施できる。
【0067】
生物活性剤
本明細書に用いられる用語「生物活性剤」とは、動物にインビボで投与した場合に、生物学的効果を生じさせる広範囲の生物学的活性物質のことである。用語「生物活性剤」には、限定はしないが、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、多糖類またはそれらの組み合わせ;または合成もしくは天然の有機もしくは無機分子などのマクロ分子(すなわち、少なくとも約1000Daの分子量を有する分子)などの疎水性分子および親水性分子が含まれる。用語「動物」には、限定はしないが、鳥類、ヒトを含む哺乳類が含まれる。生物活性剤の包括的な一覧は、Merck Index、第13版、Merck & Co.(2001)に見ることができ、その全内容は参照として本明細書に援用されている。
【0068】
生物活性層および/またはPSA層内の生物活性剤の濃度は、薬剤およびその意図されている使用法(すなわち、短時間か長時間か)など、種々の要因によって変化し得る。一態様において、生物活性剤は、移植物の0.05重量%から80重量%の範囲の量、例えば、0.1重量%、0.5重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、70重量%、または80重量%の量で存在し得る。
【0069】
生物活性層またはPSAのいずれかの中に、約0.05重量%から約10重量%の量で組み込むことのできる生物活性剤の例としては、免疫賦活剤、抗ウィルス剤、抗角質溶解剤、抗炎症剤、抗真菌剤、座瘡治療剤、日焼け止め剤、皮膚科用剤、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、レスピラトリーバースト阻止剤、プロスタグランジン合成阻害剤、抗微生物剤、抗真菌剤、防腐剤、麻酔薬、細胞栄養媒体、火傷救済薬、日焼け薬、虫刺され薬、創傷洗剤、創傷被覆材、瘢痕減少剤、およびそれらの混合品が挙げられる。さらなる一態様において、1種以上の任意の生物活性剤を、生物活性層またはPSAのいずれかの内に組み込むことができる。
【0070】
さらなる一態様において、生物活性剤は、約0.05重量%から約10重量%の量で、限定はしないが、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダック、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドダック、メクロフェナメートナトリウム、フェノプロベンカルシウム、ケトプロフェン、メフェナム酸、ナブメトン、ケトロラックトロメタミン、ジクロフェナック、オオマツヨイグサ油、アセチルサリチル酸、メサラミン、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、コリンマグネシウムトリサリチレート、フルニソリド、トリアムシノリン、トリアムシノリンアセトニド、ベクロメタゾンジプロプリオネート、ベタメタゾンジプロプリオネート、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、プレジニゾン、メチルプレドニゾロン、およびプレドニゾロンなどの1種以上の抗炎症剤を含み得る。
【0071】
さらなる一態様において、生物活性剤は、1種以上の抗酸化剤を含み得る。生物活性剤として使用できる代表的な抗酸化剤としては、限定はしないが、レニナールおよび3,4−ジデヒドロレチノールなどのビタミンAの全ての形態、アルファ−カロテン、β−カロテン(ベータ、t−カロテン)、ガンマ−カロテン、デルタ−カロテンなどのカロテンの全ての形態、ビタミンC(D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸)の全ての形態、ビタミンE(アルファ−トコフェロール、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリ−デシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オール)、β―トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、デルタ−トコフェロール、トコキノン、トコトリエノールなどのトコフェロールの全ての形態、ビタミンEアセテートおよびビタミンEスクシネートなどのビタミンEに対し加水分解を容易に受けるビタミンEエステル類、およびビタミンEホスフェートなどの薬学的に許容できるビタミンE塩類、ビタミンA、ビタミンC、およびビタミンEのプロドラッグ、ビタミンA、カロテン、ビタミンC、およびビタミンEなどの薬学的に許容できる塩類、およびそれらの混合物が挙げられる。抗酸化剤は、ビタミンA、β−カロテン、ビタミンE、ビタミンEアセテート、およびそれらの混合物からなる脂溶性酸化剤の群から選択されることが好ましい。抗酸化剤は、ビタミンEまたはビタミンEアセテートであることがより好ましい。抗酸化剤は、約0.05重量%から約10重量%の量でのビタミンEアセテートであることが最も好ましい。
【0072】
さらなる一態様において、生物活性剤として、限定はしないが、約0.05重量%から約10重量%の量でのアシクロビル、ホスカメットナトリウム、リバビリン、ビダラビン、ガネイクロビルナトリウム、ジドブジン、フェノール、塩酸アマンタジン、およびインターフェロンアルファ−n3などの抗ウィルス剤を挙げることができる。さらなる一態様において、生物活性剤として、限定はしないが、約0.05重量%から約10重量%の量での乳酸、ソルビン酸、ミコナゾール、クロトリマゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、ポビドン−ヨウ素、およびブトコナゾールなどの抗真菌剤を挙げることができる。別の態様において、生物活性剤として、限定はしないが、塩化銀およびコロイド状銀などの銀化合物などの抗菌剤、ビスマスアルミネート、ビスマスサブガレート、ビスマスサブサリチレートなどのビスマス化合物;スルホンアミド類;ニトロフラゾンおよびニトロフラントインなどのニトロフラン類;フラゾリドン、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、安息香酸;ゲンタミシン、ネオマイシン、カナマイシン、およびストレプトマイシンなどのアミノグリコシド類;エリスロマイシン、クリンダマイシン、およびリファマイシンなどのマクロライド類;ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリンおよびアモキシリンなどのペニシリン類;バシトラシンおよびポリミキシンなどのポリペプチド類;テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリンなどのテトラサイクリン類;セファレキシンおよびセファロチンなどのセファロスポリン類;クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンなどの抗菌剤を挙げることができる。さらなる一態様において、生物活性剤は、約0.05重量%から約10重量%の量での塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、チメロサールナトリウム、クロロブタノールおよび酢酸フェニル水銀グリセリルものラウレート、プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、グルコン酸クロルヘキシジン、ナトリウムラクトイルカプリレート、ベンジルアルコール、イミダゾリジニル尿素、トリクロロカルボニリド、および亜鉛ウンデシレネートなどの抗微生物剤であり得る。
【0073】
さらなる一態様において、生物活性剤として、限定はしないが、1種以上の四級アンモニウム化合物を挙げることができる。このような化合物としては、約0.05重量%から約10重量%の量での以下のものを挙げることができる:塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム、フッ化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化n−アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジイソブチルフェノキシエトキセチルジメチルアンモニウム、塩化n−ジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルデシルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化オクチルデシルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、o−ベンジル−p−クロロフェノール、塩化ジエチルジメチルアンモニウム、塩化ドクチルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、および塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム。
【0074】
さらなる一態様において、生物活性剤として、限定はしないが、1種以上の酵素阻害剤を挙げることができる。酵素阻害剤は、酵素反応を阻害する物質である。酵素阻害剤の例としては、塩化エドロホニウム、N−メチルフィゾスチグミン、臭化ネオスチグミン、硫酸フィゾスチグミン、タクリンHCl、タクリン、1−ヒドロキシマレエート、ヨードツベルシジン、p−ブロモテトラミゾール、塩酸10−(アルファ−ジエチルアミノプロピオニル)−フェノチアジン、塩化カルミダゾリウム、ヘミコリニウム−3,3,5−ジニトロカテコール、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤I、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤II、3−フェニルプロパルギルアミン、N−モノメチル−L−アルギニンアセテート、カルビドーパ、3−ヒドロキシベンジルヒドラジンHCl、ヒドラジンHCl、クロルギリンHCl、デプレニルHCl、L(−)、デプレニルHCl、D(+)、ヒドロキシルHCl、イプロニアジドhオスフェート、6−MeO−テトラヒドロ−9H−ピリド−インドール、ニアラミド、パルギリンHCl、キナクリンHCl、セミカルウバジドHCl、トラニルシプロミンHCl、塩酸N,N−ジエチルアミノエチル−2,2−ジフェニルバレレート、3−イソブチル−メチルキサンチン、パパベリンHCl、インドメタシン、塩酸2−シクロオクチル−2−ヒドロキシエチルアミン、2,3−ジクロロ−a−メチルベンジルアミン(DCMB)、塩酸8,9−ジクロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン、p−アミノグルテチミド、p−アミノグルテチミドタルトレート、R(+)、p−アミノグルテチミドタルトレート、S(−)、3−ヨードチロシン、アルファ−メチルチロシン、L(−)、アルファ−メチルチロシン、DL(−)、セタゾラミド、ジクロフェナミド、6−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾールスルホンアミド、およびアロプリノールが挙げられる。
【0075】
さらなる一態様において、生物活性剤として、限定はしないが、1種以上の細胞応答調整剤を挙げることができる。細胞応答調整剤は、血小板由来成長因子(pDGF)などの化学走化性因子である。他の化学走化性因子としては、好中球活性化タンパク質、単球化学誘引タンパク質、マクロファージ炎症性タンパク質、SIS(小分泌誘導性)、血小板因子、血小板塩基性タンパク質、メラノーマ成長刺激活性、上皮成長因子、形質転換成長因子(アルファ)、線維芽細胞成長因子、血小板由来内皮細胞成長因子、エストラジオール類、インスリン様成長因子、神経成長因子、骨成長/軟骨誘発因子(アルファおよびベータ)、およびマトリックスプロテイナーゼ阻害剤が挙げられる。他の細胞応答調整剤は、インターロイキン1からインターロイキン10などのインターロイキン類、インターロイキン阻害剤またはインターロイキン受容体;アルファ、ベータおよびガンマなどのインターフェロン類;エリスロポイエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子および顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子などの造血性因子;アルファおよびベータなどの腫瘍壊死因子;ベータ1、ベータ2、ベータ3、インヒビン、アクチビンなどの変異成長因子(ベータ)である。血管内皮成長因子(VEGF)は、新血管の成長を刺激する細胞によって産生される化学シグナルである。VEGF阻害剤は、成長および転移のために十分な血液供給を必要とする癌などの疾患を治療するために用いることができる。これらのタンパク質、アンチセンス分子、アンドロゲン性受容体遮断剤およびスタチン剤のいずれかの産生をコードするDNAもまた生物活性剤であり得る。
【0076】
下記の使用に関して、上記に開示されたターポリマーまたはターポリマー配合物を使用することができる。さらなる一態様において、感圧接着剤は、上記に開示されたターポリマーまたはターポリマー配合物のいずれかを含んでなり得る。
【0077】
形状適合性裏地部材を含んでなる物品
一態様において、物品は、形状適合性裏地部材および上記に開示されたターポリマー類のいずれかを含むか、またはそれらからなる感圧接着剤(PSA)の1つの主要面の少なくとも一部を被覆するコーティングを含んでなる。さらなる一態様において、PSAは、生物活性剤を任意に含むことができる。さらなる一態様において、形状適合性裏地部材は、生分解性ポリマーマトリックスと生物活性剤とを含んでなる生物活性層によりコーティングされている。なおさらなる一態様において、PSA表面を、剥離ライナー表面に接着させることができる。
【0078】
図1に示される一態様において、物品100は、形状適合性裏地部材30にコーティング、または塗布されているPSA20に接着している剥離ライナー10を含んでなる。
図2に示される一態様において、物品200は、生物活性層40にコーティングまたは塗布されているPSA20を接着している剥離ライナー10を含んでなり、生物活性層40は、形状適合性裏地部材30にコーティングまたは塗布されている。
図3に示される一態様において、物品300は、形状適合性裏地部材30にコーティングまたは塗布されているPSA20を接着している剥離ライナー10を含んでなり、PSA層に対して形状適合性裏地部材の反対側に、生物活性層40が、形状適合性裏地部材30にコーティングまたは塗布されている。
【0079】
物品は、所望の任意の形状を有することができる。平面的な物品は、他の形状の中でも大体において、正方形、長方形、円形、三角形であり得る。一態様において、物品は、正方形または長方形であり得る。さらなる一態様において、物品は、非長方形であり得る形状を有する。
【0080】
物品は、所望の任意のサイズを有することができる。感圧接着剤が、生物活性剤を含んでなる場合、物品のサイズ選択は、生物活性剤の所望の充填量によって影響を及ぼされ得る。一般に、所望され得る生物活性剤が多くなるほど、物品は大きくなり得る。感圧接着剤膜の所望の剥離性を提供するために、サイズを選択することもできる。形状適合性裏地面の部分は、露出されたままであることが望ましいことがあり得る。このような場合、形状適合性裏地面を完全に被覆しないように感圧接着剤のサイズを選択することができる。
【0081】
感圧接着剤は、所望の任意の厚さを有することができる。一態様において、感圧接着剤は、約1nm以下から約1000nmまでの厚さを有する薄膜であり得、例えば、それらの薄膜は、限定はしないが、約5nm、20nm、50nm、100nm、150nm、200nm、300nm、500nm、800nm、または900nmの厚さを有する。さらなる一態様において、薄膜は、約1000nm超の厚さを有し、例えば、それらの薄膜は、限定はしないが、約1000nmから約50ミクロン以上の厚さを有する。例えば、薄膜は、約1μm、5μm、20μm、30μm、40μm、または50μmの厚さを有することができる。当然のことながら、薄膜は、平面である必要はないが、平面であってもよい。したがって、種々の態様において、薄膜は、薄膜の異なる領域で変動した高さを有し得る。斯様に薄膜は、上記に検討されたように物品の所望の形状に依って任意の形状を含むことができる。
【0082】
好適な任意の剥離ライナーを使用することができる。剥離ライナーは、物品が対象に移植される前か、または移植デバイスに適用される前に、物品の感圧接着剤から除去できる一時的剥離ライナーであり得る。斯様に、一時的剥離ライナーは、対象に有害となり得る量の物質を残さない限り有用となり得る。
【0083】
好適な剥離ライナーは、剥離ライナーが隣接する感圧接着剤から容易に剥ぎ取られるか、または剥離され得る材料から作製されるものである。代表的な剥離ライナーは、紙および/またはプラスチック材料から構成されるものである。一般にこのような剥離ライナーは、剥離ライナーと隣接接着剤との間の接着性を減じるシリコーンまたはフッ化炭化水素などの材料でコーティングされたポリエステル類またはポリエチレン類などのポリマー類から作製される。他の好適な剥離ライナーとしては、クラフト紙などの紙が挙げられ、これは、接着剤からライナーを容易に剥離することができるシリコーン材料で被覆することができる。剥離ライナーの材料は市販品として入手でき、例えば、ポリエチレンは、3M(登録商標)から市販品として入手できる。
【0084】
上記のとおり調製されたPSA配合物は、従来のコーティング技法により、好適な形状適合性裏地材料に容易にコーティングされ、本発明による皮膚用接着剤でコーティングされたシート材料を製造する。本発明の接着剤配合物に有用となり得る形状適合性裏地材料の一般的な例としては、不織布、織布、編物、またはポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリウレタン、低弾性率のポリエステル、およびエチルセルロースなど、中等度から低度の引張り弾性率の合成薄膜が挙げられる。形状適合性合成薄膜裏地に関して、薄膜は、ASTM D−638およびD−882により測定された約400,000psi未満、好ましくは約300,000psi未満の引張り弾性率を有する必要がある。
【0085】
一態様において、PSAコーティング形状適合性裏地部材は、シート材料を含んでなる。シート材料は、組織または骨などの体内表面、または皮膚あるいは創傷などの体外表面に適用することができる。なおさらなる一態様において、シート材料の少なくとも一面は、その全体がPSAで被覆される。さらなる一態様において、PSAは、内側領域を含有する境界を形成するシート材料上の端部にコーティングされる。端部に沿ったPSAの幅は、体外表面に対する適切な接着にとって必要であるとする当業者により判定される。別の態様において、内側領域は、生物活性層を含んでなる。
【0086】
一態様において、形状適合性裏地部材は、裏地を含んでなる。裏地はまた、綿花、ナイロン、またはレーヨンなどの合成材料または天然材料の糸から形成された織布、または天然繊維または合成繊維もしくはこれらの配合物のエアレイドウェブのような不織布などの布から調製することができる。なおさらなる一態様において、それを通して汗および/または組織あるいは創傷の滲出液の蒸散を可能にするもの、例えば、不織布、織布、ニットなどである。別の態様において、裏地は、生分解性または非生分解性であり得る。用語「生分解性ポリマーマトリックス」とは、哺乳動物体内においてインビボで完全に分解され、吸収される材料のことである。好適な非生分解性ポリマー類としては、ビスコース、ポリアミド、ポリウレタン、またアルギネートなど、セルロース加工処理セルロースなどの通常の繊維材料が挙げられる。好適な生分解性ポリマー類としては、コラーゲン類、酸化セルロース類などの生体吸収性セルロース誘導体、ガー/ボレートなどのガラクトマンナン類、架橋ヒアルロナートなどのグリコサミノグリカン類、ポリラクチド類/ポリグリコリド類、ポリヒドロキシブチレート類、およびこれらの混合物からなるものが挙げられる。さらなる一態様において、生分解性ポリマーマトリックスは、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー類を含んでなる。なおさらなる一態様において、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーは、約20,000ダルトン以下の分子量を有する。
【0087】
したがって、一定の態様において、裏地は、それを通って高率の水蒸気が透過するという点で、水蒸気透過性である。別の態様において、裏地は、ASTM E 96−98に従って試験した場合、80%の湿度差で100°F(38℃)、24時間にわたって少なくとも約500g/m
2、より好ましくは、少なくとも約1000g/m
2の水蒸気透過値を有する。例えば、B,F.Goodrich社から入手できるEstaneの商品名で販売されているポリウレタンから調製された連続薄膜裏地、およびDuPont社から入手できるHytrelの商品名で販売されているポリエステルから調製された連続薄膜裏地の各々は、約1000g/m
2から1500g/m
2の値を有し、3Mから入手できるDURAPORE(登録商標)テープに使用されるものなどの織布裏地は、さらにより高い値を有する。対照的に、従来のポリウレタンテレフタレート薄膜は、凡そ約50g/m
2の値を有する。
【0088】
上記に検討されたターポリマー類のいずれかを含むか、またはそれらから成る感圧接着剤(PSA)の一主要面の少なくとも一部を被覆する形状適合性裏地部材およびコーティングは、テープ、パッチ、ストリップ、創傷被覆材、モニタリング電極または神経刺激電極、ドレープなどの皮膚接着材に従来から知られている物品の任意の形態を取ることができる。これらの物品は、好適な任意の調剤形態、例えば、多層パッド、ロールなどから調剤することができる。
【0089】
本発明の感圧接着剤組成物は、ロールコーティング、スプレーコーティング、カーテンコーティングなどの従来からの種々のコーティング技法のいずれかによってコーティングすることができる。当業者に知られているように、選択された特定の方法は、使用される裏地の性質に依存し得る。例えば、裏地が不織布である場合、接着性コポリマーをそれに塗布する好適な方法は、剥離ライナー上に有機溶媒中の接着性コポリマー溶液をコーティングすること、次いで不織布裏地を(半乾燥)接着性コーティングに積層することを含む。この組成物は、押出しコーティング、同時押出しコーティング、ホットメルトコーティングなどにより、本目的のために好適な従来のコーティング装置を使用することによって、改変することなくコーティングすることもできる。下塗り剤を使用できるが、それらが常に必要とは限らない。
【0090】
本発明の感圧接着剤組成は、皮膚に対して基材を接着させる方法に用いることもできる。この方法において、本発明の感圧接着剤の有効量が基材と皮膚との間に挿入され、感圧接着剤を活性化するために圧が加えられる。基材は、その従来の目的のためにカバー、パッチまたはテープとして皮膚に適用される上記のシート材料であることが好ましい。
【0091】
治療物質の送達用エンベロープ
一態様において、PSAコーティング形状適合性裏地部材は、動物体にまたは動物体内に、治療的に有用な物質を送達するための密封可能なパッケージを含んでなる。さらなる一態様において、動物はヒトである。なおさらなる一態様において、パッケージは、上記のPSAで密封される。なおさらなる一態様において、パッケージの表面域は、生体適合性材料を含んでなる。さらなる一態様において、生体適合性材料は生分解性である。なおさらなる一態様において、パッケージの継ぎ目または端部は、上記のPSAにより結合される。さらなる態様において、パッケージはエンベロープとして形成される。
【0092】
なおさらなる一態様において、
図6に示される物品600は、エンベロープへと形成できるように形状化される。シート材料は、医療適用による必要に応じて生分解性または非生分解性であり得る。
図7に示されるように折りたたまれる場合にエンベロープを形成するフラップを形成する離散した位置にPSA20がコーティングされる。エンベロープ空洞には、時間使用で添加された液体またはゲルを含有することができ、その液体またはゲルは、生物活性剤を含んでなる。さらなる態様において、エンベロープには、製造時に添加された液体またはゲルを含有し、最後のフラップを密封することによって、密封パッケージが形成される。さらなる態様において、
図6および
図7に示されるように物品600は、少なくとも一面に生物活性層がコーティングされ、離散した位置における生物活性層上にPSAがコーティングされる。なおさらなる一態様において、剥離ライナーをPSA層に接着させる。
【0093】
一態様において、エンベロープは、体液と接触させるように置かれ、エンベロープを上記のPSAで密封する。体液と接触させる体内での配置の際、PSAによるエンベロープ密封は生分解を受け、それによってエンベロープの内容物への身体的アクセスが提供される。さらなる一態様において、内容物は、生物活性剤を含んでなるゲルまたは液体である。生物活性剤は、上記の1種以上の生物活性剤を含むことができる。
【0094】
医療用包装材料
一態様において、物品は、PSAコーティング形状適合性裏地部材を含んでなり、形状適合性裏地部材は、シート材料を含んでなる。さらなる一態様において、シート材料は、組織または骨などの体内表面に適用することができる。なおさらなる一態様において、シート材料の少なくとも一面は、PSAで全体が被覆される。さらなる一態様において、PSAは、内側領域を含有する境界を形成するシート材料上の端部にコーティングされる。端部に沿ったPSAの幅は、体外表面への適切な接着に必要なものとして当業者により判定される。別の態様において、内側領域には生物活性層を含んでなる。
【0095】
一態様において、接触組織は、外科切除術を受けた腸であり、切除腸の端部は、互いに接触させた腸の端部周囲に巻き付けたPSAコーティングシート材料により、少なくとも部分的に結合される。さらなる一態様において、接触骨は、骨折した、破損した、または修復もしくは支持を必要とする骨であり、PSAコーティングシート材料で巻き付けられ、修復を必要とする骨部分に対して少なくとも部分的な支持を提供する。
【0096】
なおさらなる一態様において、医療用感圧接着剤コーティングシート材料は、シート材料が、それ自体の最初の部分と接触するように、目標の内面周囲に巻き付けられる。さらなる一態様において、
図4に示されるように、物品100または200が、基礎をなす組織の表面501または骨500の周囲に巻き付けられて多層を形成する。一般に、組織または骨500に適用された物品100または200の長さLが増すにつれて、生物活性剤の量が増加する。なおさらなる一態様において、
図5に示されるように、物品100または200が、基礎をなす組織の表面501または骨500の周囲に巻き付けられて事実上、単層を形成する。当然のことながら、用語「単層」とは、物品100の第一端101と第二端102との間の重なり151が考慮されることを意味する。
【0097】
生分解性包装
一態様において、物品は、生分解性ポリマーをPSAでコーティングすることを含んでなる生分解性物品の製造に関する。これらの生分解性物品としては、限定はしないが、生理用ナプキン、拭き取り商品、おむつ、おむつ上部シート、おむつ裏面シート、使い捨て衣料、医療用使い捨て商品、使い捨て拭き取り商品、パンティーライナー、セルロース繊維または合成品用バインダーなどを含む衛生用および/または医療用の衣類、ならびにショッピングバッグおよび/または芝生/葉用バッグなどの堆肥化可能バッグ、農業用フィルム、魚網、庭廃棄物用ネットおよび播種用テンプレートが挙げられる。
【0098】
好適な基材としては、紙、布、縫糸および編糸が挙げられる。基材は紙であることが多いであろう。本明細書に用いられる「紙」とは、普通紙および厚紙などセルロース繊維から形成された基材のことである。本明細書に用いられる「布」としては、天然布および合成布が挙げられる。布は、ニット、織布、または不織布であり得る。好適な布としては、コットン、レーヨン、ウール、ポリエステル類、ならびにポリヒドロキシアルカノエートポリマー類(PHAs)を含んでなる生分解性布が挙げられる。本明細書に用いられる「縫糸および編糸」としては、コットン、レーヨン、ポリエステル、ウール、シルク、ナイロン、およびアクリルなどの天然および合成の縫糸および編糸、ならびにPHAsを含んでなる生分解性縫糸および編糸が挙げられる。縫糸および編糸は、PHAの繊維を用いて形成することができる。本明細書に用いられる「繊維」とは、長さ対幅の比が高く、小断面を有する可撓性で肉眼的に均質な物質のことである。
【0099】
コーティングされた紙は、テープ用裏地として使用することができ;テープは、紙、PSAを含んでなるコーティングおよび接着剤、好ましくはPSAを含んでなる接着剤を含んでなることが好ましい。
【0100】
PSAでコーティングされた布および紙を使用して、包装紙、紙バッグ、プラスチックバッグ、ボール紙容器、ドリンクボックス、トレー、テーブルクロス、ナプキン、レインコートおよびポンチョなどの成形品、および外科用スクラブなどの使い捨て衣類を形成することができる。使い捨て衣類の縫い目は、PSAコーティング縫糸で縫い合せることができるか、または接着剤、好ましくはPSAを含んでなる生分解性接着剤で接合させることができる。
【0101】
さらなる一態様において、物品は、縫い目、端部、および接着可能な面が、上記のPSAによるコーティングを含んでなるおむつを含んでなる。さらなる一態様において、おむつは、上記のPSAによりコーティングされた繊維を含んでなる。なおさらなる一態様において、おむつ自体が、生分解性である材料を含んでなる。なおさらなる一態様において、おむつ自体が、堆肥化可能である材料を含んでなる。なおさらなる一態様において、おむつ自体が、生分解性および/または堆肥化可能である。
【0102】
なおさらなる一態様において、物品は、包装の縫い目、端部、および接着性の面が、上記のPSAによりコーティングされている堆肥化可能な包装を含んでなる。堆肥化可能な包装としては、限定はしないが、造園敷物、袋、または食料品用バッグ、ごみ袋、食品および非食品双方の包装、またはおむつ、生理用ナプキン、パンティーライナーなどの物品における裏面シートが挙げられ、それらは、種々の体液の吸収に適合化されている。紙は、上記のPSAでコーティングすることができる。
【0103】
包帯
一態様において、物品は、形状適合性裏地部材上にコーティングされた生物活性剤をさらに含んでなるPSAを含んでなり、形状適合性裏地部材は、使い捨てポリマー物品を含んでなり、このポリマー物品は、本質的に、繊維、編糸、織布、不織布、ニット布、シートおよび薄膜の形態における天然ポリマー類、人工ポリマー類およびそれらの混合物からなる。さらなる一態様において、天然ポリマー類としては、コットン、リネン、またはシルクを挙げることができる。さらなる一態様において、人工ポリマー類としては、ビスコースレーヨン、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンおよびそれらの配合物を挙げることができる。さらなる一態様において、合成または天然ポリマー物品としては、限定はしないが、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリビニル類、ポリオレフィン類、Teflon(商標)、Gore−Tex(商標)、ポリビニルアルコール類、ポリエチレンオキシド類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類およびポリシアノアクリレート類、ラテックス、ポリ塩化ビニル類、ポリ乳酸誘導体およびポリグリコール酸誘導体、PHEMAなどのヒドロゲル形成剤、ポリエチレンオキシド類、ヒアルロン酸、キトサン、アルギン酸、セルロース、および当業者に知られている他の等価物を挙げることができる。対象の形状適合性裏地部材からなる天然繊維または合成繊維の各々は、個々に紡績された繊維、繊維束、撚線ケーブル、織布、不織布、ニット布、節のある布、または任意の等価物、およびそれらの任意の組み合せとして形成することができる。
【0104】
さらなる一態様において、滅菌創傷被覆材、排膿材料、パッド、パッチ、バンドエイド、ガーゼ、フォーム、スポンジなどを提供するために、形成、成型または加工された物品は、修飾天然品と合成品の組み合わせから製造または誘導することができる。さらなる一態様において、使い捨てポリマー物品は、天然ポリマー類または人工ポリマー類を含んでなるガーゼである。さらなる一態様において、ガーゼは、上記のPSAによりコーティングされる。
【0105】
さらなる一態様において、物品は、1種以上の抗微生物剤、坑ウィルス剤、抗菌剤または坑真菌剤を含んでなる生物活性剤を含んでなる。さらなる一態様において、坑微生物剤、坑ウィルス剤、抗菌剤または坑真菌剤として、限定はしないが、上記の生物活性剤が挙げられる。なおさらなる一態様において、PSAは、1種以上の1種以上の抗微生物剤、坑ウィルス剤、抗菌剤または坑真菌剤を含んでなる。さらなる一態様において、PSAは坑微生物剤を含んでなる。なおさらなる一態様において、物品は、潰瘍を治療するために使用される。さらなる一態様において、潰瘍は、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、神経障害性潰瘍、圧迫性潰瘍または褥瘡性潰瘍である。なおさらなる一態様において、物品は、褥瘡性潰瘍を治療するために使用される。
【0106】
さらなる一態様において、物品は、生物活性剤を含んでなり、生物活性剤は、形状適合性裏地部材および形状適合性裏地部材上にコーティングされたPSAのうちの1つまたは双方を含浸する。なおさらなる一態様において、形状適合性裏地部材は、ガーゼ、吸収性を有するシート材料、パッチなどであり、形状適合性裏地部材には、生物活性剤を含浸させる。さらなる一態様において、PSAは、生物活性剤を含んでなる。なおさらなる一態様において、生物活性剤は、1種以上の抗微生物剤、坑ウィルス剤、抗菌剤または坑真菌剤を含んでなる。さらなる一態様において、抗微生物剤、坑ウィルス剤、抗菌剤または坑真菌剤として、限定はしないが、上記の生物活性剤が挙げられる。さらなる一態様において、PSAは、抗微生物剤、坑ウィルス剤、抗菌剤または坑真菌剤の含浸を含んでなる。なおさらなる一態様において、PSAは、グルコン酸クロルヘキシジンを含んでなる。
【0107】
さらなる一態様において、物品は、酵素阻害剤を含んでなるPSAを含んでなる。なおさらなる一態様において、酵素阻害剤として、限定はしないが、上記の生物活性剤が挙げられる。さらなる一態様において、酵素阻害剤は、創傷治癒の過程を補助するか、加速させるか、または促進させる。なおさらなる一態様において、物品を、創傷部または損傷部に置いて創傷治癒を増大させる。
【実施例】
【0108】
以下の実施例は、本明細書に請求された化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が作製され、評価されるかについての完全な開示と説明を通常の当業者に提供するために記述され、また、本発明をもっぱら例示するものとして意図されており、本発明者が、発明と見なすものの範囲を限定する意図はない。数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを保証する努力はなされているが、何らかの誤差と逸脱を考慮に入れる必要がある。別に指示されない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか、または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはその近辺である。
【0109】
別に指示されない限り、以下の分析方法が、全ての実施例に用いられた。固有粘度は、Cannon−Fenskeサイズ25粘度計を用い、30℃でクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定した。ポリマー組成は、399.85MHzでのVarian Inova分光計上でCDCl
3中で記録された
1H−NMRスペクトルから判定した。熱的性質は、Refrigerated Cooling System(RCS)を備えたTA計測器示差走査熱量測定(DSC)2920を用いて測定した。熱履歴は、初発の加熱ランプによって除去された。ガラス転移温度(T
g)は、約−60℃から90℃の温度範囲にわたり、10℃/分の温度スキャン速度から得られたDSC曲線より判定した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析は、Waters Styragel HR−2および2本のWaters HR−5Eカラムが取付けられたPerkin Elmer Series200GPC/RI上、移動層としてクロロホルムを用いて実施し、狭い分子量分布の多重ポリスチレン標準物質で検量した。
【0110】
実施例1:単一成分のPSA
窒素ブランケット注入口下の樹脂製釜に、262.0グラム(1.818モル)のD,L−ラクチド、141.0グラム(1.215モル)のグリコリドおよび347.5グラム(3.045モル)のε−カプロラクトンを充填した。混合物を140℃に加熱し、2.2793グラム(12.233ミリモル)の1−ドデカノールを加えた。完全に混合した後、混合物に、228ミリグラム(0.562ミリモル)の触媒オクタン酸第一スズを充填した。重合化は、170℃で18時間進行させ、次いで未反応のモノマーを除くために28.5インチHgの減圧で2時間、減圧除去を実施した。得られたポリマーをTeflon張りトレーに注いで、減圧冷却し、4℃で貯蔵した。
【0111】
組成、固有粘度Tgおよび多分散性を測定した:D,L−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンのモル比(28:21:5);残存モノマー:D,L−ラクチド(2.2重量%)、グリコリド(0.1重量%)、ε−カプロラクトン(0.5重量%);固有粘度(IV)=0.87dL/g;T
g=−13.7℃;M
w=116,000、M
n=67,000、多分散指数(PDI)=1.7。
【0112】
実施例2:ターポリマー配合物のPSA
D,L−ラクチド対グリコリド対ε−カプロラクトンのモル比=30:20:50を有するエラストマーターポリマーのポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン)を、開始剤としてグリコール酸、モノマー供給材としてD,L−ラクチド、グリコリドおよびε−カプロラクトンを用いて開環重合法により作製した。窒素導入口、トラップ付きエア冷却蒸留アダプタ、および機械的攪拌機を備えた完全乾燥樹脂製釜に、261.5グラム(1.814モル)のD,L−ラクチド(Ortec、South Carolina)および142.5グラム(1.228モル)のグリコリド(Ortec、South Carolina)を入れた。モノマーを窒素でガスシールし、140℃で溶融した。347.2グラム(3.042モル)のε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)と1.393グラム(18.31ミリモル)の開始剤のグリコール酸(Sigma−Aldrich、Wisconsin)とを加えた。完全に混合した後、混合物に、223ミリグラム(0.550ミリモル)の触媒のオクタン酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)を入れた。重合は、170℃で18時間進行させ、次いで未反応のモノマーを除くために28.5インチHgの減圧で2時間、減圧除去を実施した。プロトンNMRにより測定されたように、最終ターポリマーは、30モル%のD,L−ラクチド、22モル%のグリコリドおよび48モル%のε−カプロラクトンから構成された。ポリマーは、0.84dL/gの固有粘度および−12℃のT
gを有した。数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれM
n=73,000およびM
w=119,000であった。
【0113】
ターポリマー(302050DLGCL6A)は、174.4グラム(1.210モル)のD,L−ラクチド(Ortec、South Carolina)および94.3グラム(0.813モル)のグリコリド(Ortec、South Carolina)を用いて、実施例1に記載されたものと同じ開環重合ルートを経て作製した。モノマーを窒素でガスシールし、140℃で溶融した。231.7グラム(2.030モル)のε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)と0.933グラム(12.3ミリモル)の開始剤のグリコール酸(Sigma−Aldrich、Wisconsin)とを加えた。完全に混合した後、混合物に、147ミリグラム(0.364ミリモル)の触媒のオクタン酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)を入れた。ポリマー中のD,L−ラクチド、グリコリドおよびε−カプロラクトンのモル%は、それぞれ29%、21%および50%であった。IVは0.55dL/gおよびT
gは−15℃であった。数平均分子量および重量平均分子量は、M
n=39,000およびM
w=65,000であった。
【0114】
ターポリマー(5050DLGmPEG2K)は、実施例1に記載されたものと同様に、開始剤としてmPEG2000、モノマー供給材としてD,L−ラクチドとグリコシドとを用いる開環重合を経て作製した。攪拌なしで150℃に設定された圧入エアオーブン内に置かれた反応器中で、重合を実施した。反応器に、111.9グラム(0.776モル)のD,L−ラクチド(Ortec、South Carolina)、86.5グラム(0.745モル)のグリコリド(Ortec、South Carolina)および101.7グラム(0.051モル)の乾燥mPEG2000(Spectrum Chemicals and Laboratory Products、New Brunswick、NJ)を入れ、これに0.150グラム(0.370ミリモル)の触媒のオクタン酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)を入れた。ポリマー中のD,L−ラクチド、グリコリドおよびエチレングリコールのモル%は、それぞれ20%、20%および60%であった。IVは0.19dL/gおよびT
gは−9℃であった。数平均分子量および重量平均分子量は、M
n=10,000およびM
w=14,000であった。
【0115】
上記のターポリマー類のいずれかを一緒に配合し、PSAとして機能するターポリマー配合物を作製することができる。
【0116】
本明細書に記載された化合物、複合体、キット、物品、デバイス、組成物、および方法に対して種々の修飾および変更を行うことができる。本明細書に記載された化合物、複合体、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の他の態様は、本明細書に開示された化合物、複合体、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の本明細および実施を考慮することから明らかとなろう。本明細および実施例は、例示として考慮されることが意図されている。
【0117】
実施例3:ポリマーの調製と生物活性層の形成
窒素ブランケット下の樹脂製釜に、605.2グラム(4.199モル)のD,L−ラクチドおよび146.0グラム(1.258モル)のグリコリドを入れ、140℃に加熱した。引き続き1−ドデカノール(42.28グラム;226.9ミリモル)と240ミリグラム(0.592ミリモル)の触媒のオクタン酸第一スズとを加えた。重合は、170℃で4時間進行させ、次いで未反応のモノマーを除くために28.5インチHgの減圧で2時間、減圧除去を実施した。得られたポリマーを、液体窒素で満たされたTeflon張りトレーに注ぎ入れ、4℃で貯蔵した。ポリマーを、ベンチトップのStephan Millにより冷凍粉砕し、4℃で貯蔵した。
【0118】
得られたポリマーは、以下の性質を有することが判明した。D,L−ラクチド:グリコリドのモル比は、76:24であった。組成物は、2.1重量%の量で残存D,L−ラクチドおよび0.1重量%の量で残存グリコリドを含んだ。ポリマーは、固有粘度(IV)=0.14dL/g、T
g=−25.4℃、M
w=11,000、M
n=6,000、および多分散指数(PDI=1.8)を有した。
【0119】
上記で検討された生物活性剤およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)の製剤を調製した。ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)および生物活性剤のミノサイクリンとリファンピンを、アセトン(68重量%)およびメタノール(32重量%)の混合溶媒系に加え、68重量%のポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、12重量%のミノサイクリン、および20重量%のリファムシンを有する組成物が提供された。全固体濃度は、300mg/mL(36mg/mLのミノサイクリン、60mg/mLのリファンピン、および204mg/mLのポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド))であった。
【0120】
実施例4.抗微生物薬用担体
75mm幅のコットンガーゼから作製されたマトリックス上にPSAをコーティングする。PSAは、0.5重量%のグルコン酸クロロヘキシジンを含んでなる。その物品の抗微生物活性は、寒天プレート上に接種された数種の細菌:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SA)、表在性ブドウ球菌(S.epidermidis)(SE)、大腸菌(Escherichia coli)(EC)およびシュードノマス・アエルギノーサ(Pseudonomas aeruginosa)(PA)のローン上に、約2cm
2のサンプルをプレート表面に置くことにより試験し、37℃で18時間、細菌の増殖後の阻害ゾーンを測定した。24時間後、サンプルを別の接種寒天プレートに連続的に継代し、阻害ゾーンを測定した。毎日のこの移植操作を、増殖阻害活性が無くなるまで継続する。
【0121】
実施例5.抗微生物薬用担体
医療グレードの織布ポリエチレンから作製されたマトリックス上にPSAをコーティングする。PSAは、0.5重量%のグルコン酸クロロヘキシジンを含んでなる。その物品の抗微生物活性は、寒天プレート上に接種された数種の細菌:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SA)、表在性ブドウ球菌(S.epidermidis)(SE)、大腸菌(Escherichia coli)(EC)およびシュードノマス・アエルギノーサ(Pseudonomas aeruginosa)(PA)のローン上に、約2cm
2のサンプルをプレート表面に置くことにより試験し、37℃で18時間、細菌の増殖後の阻害ゾーンを測定した。24時間後、サンプルを別の接種寒天プレートに連続的に継代し、阻害ゾーンを測定した。毎日のこの移植操作を、増殖阻害活性が無くなるまで継続する。
【0122】
実施例6.抗菌薬用担体
医療グレードのコットンガーゼから作製されたマトリックス上にPSAをコーティングする。PSAは、0.5重量%のグルコン酸クロロヘキシジンを含んでなる。その物品の抗微生物活性は、寒天プレート上に接種された数種の細菌:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SA)、表在性ブドウ球菌(S.epidermidis)(SE)、大腸菌(Escherichia coli(EC))およびシュードノマス・アエルギノーサ(Pseudonomas aeruginosa)(PA)のローン上に、約2cm
2のサンプルをプレート表面に置くことにより試験し、37℃で18時間、細菌の増殖後の阻害ゾーンを測定した。24時間後、サンプルを別の接種寒天プレートに連続的に継代し、阻害ゾーンを測定した。毎日のこの移植操作を、増殖阻害活性が無くなるまで継続する。
【0123】
実施例7.医療用エンベロープ
図6に示された形状で切断するSurgical Absorbable Hemostat(登録商標)のフラップ上に、0.5重量%のドキシクラインを含んでなるPSAをコーティングする。物品は、
図7に示されたエンベロープへと形成され、空洞は、0.5%のドキシクリンを含んでなるリン酸緩衝生理食塩水で満たされる。エンベロープは、外科的処置後の動物またはヒト患者の腹腔内に置かれる。