(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
最新のデータセンタは、典型的には、高床式のアクセスフロア上に立つ複数列の機器キャビネットを収容し、このアクセスフロアは、冷却空気をコンピュータ機器に送達する加圧エアプレナムとして働く。キャビネット列は、床取付け式エアグリルからの冷却空気が供給される「コールドアイル」に面し、この冷却空気は、機器ラックを経由して引き込まれ、キャビネット列の後方にある「ホットアイル」に放出され、ここで、冷却空気は、コンピュータ室空気調節装置を介して再循環する。
【0004】
機器ラックに達するケーブル類の多くは、サブフロア空間から、フロアデッキ/サブフロアにある孔を介して通される。ケーブルは、定期的に追加、また取外しがなされ、したがって即座にアクセスできるように大型の孔が必要となるが、こうした大型の孔では、機器ラックを迂回することになる冷却空気が相当量漏れ、冷却効率が低減する恐れがある。この問題に対処するために、容易に取り外し、取り付け直すことができ、空気の漏れを大幅に低減させ、したがってコールドアイルに送達される空気量が増大するシールが開発されてきている。しかし、かかるシールでは、実際上火災に対する耐性が得られない。現時点で利用可能な耐火性シールがあるものの、これらのシールは剛性で、様々な寸法及び本数のケーブルには適合可能ではなく、したがって定期的な配線変更が求められる用途には適さない。
【0005】
データセンタの火災は、深刻な問題である。サブフロアプレナムを流れる空気流が高速であるため、火災の発生及び延焼が煽られることになり、火炎はその後フロア貫通部を通り抜けて機器ラックに達する恐れがあり、壊滅的な結果をもたらす可能性がある。
【0006】
こうした危険に対処するために、データセンタには、超早期煙検出装置、及び急速展開式火災抑制システムが、散水器及び/又はガス充満システムの形で取り付けられている。有効となるように、火災検出及び抑制システムは、最初の考えられ得る火災徴候で起動するように設定され、これは反面、誤警報の危険が生じることになり、そのため火災抑制システムが不必要に起動し、データセンタをシャットダウンさせることになり、それ自体が壊滅的であり、コストのかかる事象となる。
【0007】
電子機器に対するさらなる危険が、空気中に浮遊する微粒子から生じ、こうした微粒子には、サブフロア構造体から分離した亜鉛ウィスカが含まれ得るが、火災から生じる腐食性の分解生成物も含まれ得、したがって空気流に対するより有効なバリアもやはり、かかる危険を低減させる一助となる。
【0008】
従来技術がこうした問題のいくつかに対処しているものの、いずれも完全に満足のいくものではない。Semplinerの特許文献1は、対向するブラシの複数の層が、グロメット枠の両側からケーブルの周りに広がり、それによって開口を遮蔽しているブラシシール装置を開示している。このシールは、ケーブル配線を変更することが可能となるように、取り外し、取り付け直しやすいように設計され、このシールは、様々な寸法及び本数のケーブルに適合可能であるが、通過しているケーブルが、ブラシに対して側方に引っ張られると、このシールは開口し、有効性が失われる恐れがある。
【0009】
やはりSemplinerに付与された特許文献2は、空気漏洩、静電気の蓄積、及び適合性の問題に対処している。難燃性材料、及び発泡体などの可撓性材料から作成された代替の封止要素について言及されているが、かかる材料を利用して耐塵性もしくは耐水性、又は耐火性を実現する実施可能な手段は開示されていない。
【0010】
特許文献3、特許文献4、及び特許文献5には、より有効な封止能力を有する閉止部が記載されているが、これらの装置は一般に、所定の導管直径に合うようにシール面を輪郭形成する必要があり、したがってこうした閉止部は、様々な導管寸法及び本数には適合可能ではない。これらの閉止部はまた、取付け及び取外しに労力が必要となり、したがって特に機器キャビネットのフロア上などの囲まれた空間での、定期的なケーブル配線変更といった状況には適さない。
【0011】
本明細書に含まれてきた文献、行為、材料、装置、物品などに関するいかなる考察も、それらの事項のいずれか、又は全てが従来技術の基礎の一部を成す、又は本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していた、本発明が関連する分野における共通の一般的知識であったことを認めるものとして解釈すべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
概して、シール界面で接する、複数の対向するシールセグメントが提供され、少なくとも1つのセグメントは、対向するシールと係合する位置から、前記貫通部がその少なくとも1つのセグメントによって比較的塞がれない位置まで移動可能であり、各シールセグメントは、対向するシール要素の領域に接し、かつ前記貫通部を通過する導管にも接する複合シールを形成する複数の表面を有し、それによって導管とバリアとの両方の間で、連続したシールを実現し、前記シールは、様々な寸法及び本数の導管に適合可能である。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、1本又は複数本のケーブル又は導管などなどが通過する開口のエアシール、又は部分的なエアシールを実現する装置であって、
第1の封止面を画定する少なくとも第1の封止部材と、第1の封止面に対向する第2の封止面を画定する少なくとも第2の対向する封止部材とを備え、封止部材の少なくとも一方が、開口が実質的に閉じる位置と、開口が実質的に開く位置との間で移動可能であり、
封止部材が、弾性の可撓圧縮性発泡プラスチック又はポリマー材料などを含み、
第1の封止面が、少なくとも1つの側壁を有する面に沿って延びる少なくとも1つの細長い凹部を画定し、第2の封止面が、第1の封止面と第2の封止面とが一体に係合されると、側面が凹部に位置するように配置されたタングの形の突出部を画定し、封止部材が、使用時に、タングの少なくとも1つの側面が、凹部の少なくとも1つの側壁に当接し、そこに重なり、封止部材を形成する前記弾性の可撓圧縮性発泡プラスチック又はポリマー材料が、枠を通って延びるいかなるケーブル又は導管の周りでも変形し、共形となって(conform)、枠開口全体にわたって実質的なエアシールを実現するように構成される、装置が提供される。
【0015】
有利には、この装置は、封止部材が完全に閉じていないときでも、(開口の平面に平行であり、かつ開口を通過するケーブルの軸に垂直である)タングの側面と、溝の側面とが実質的に同一平面となり、重なり合って、有効な入り組んだシールを実現するシールを提供する。この特徴は、発泡体の弾性及び圧縮性と相まって、非常に改善されたシールを実現する。対向する封止部材の嵌合面は、本質的に平面/平坦であることに留意されたい。すなわち、特定のケーブル又は導管のアレイに合わせて予め画定された切欠き部を設ける必要がなく、このシールは、必要な場合に変形し、開口を通過するケーブル/導管のアレイと共形となる。しかし、ある実施形態では、切欠き部を設けてもよい。
【0016】
典型的には、封止部材は、開口を縁取り(line)、2つの対向する封止部材が中に取り付けられる枠開口を有する枠に取り付けられる。
【0017】
凹部は、2つのタング間のチャネルの形でよい。
【0018】
あるいは、凹部は、縁凹部でよい。
【0019】
一実施形態では、突出部が、第1の封止部材に面し、平坦であり、ケーブルなどを受けるための予め形成された凹部が実質的にない第1の表面を画定する。
【0020】
しかし、代替実施形態では、導管などを受けるように成形された1つ又は複数の切欠き部を設けることができる。
【0021】
典型的には、凹部が配置される第1の封止面が、実質的に同一平面となる2つの表面を画定し、これらの表面は凹部の両側に位置し、ケーブルなどを受けるための予め形成された凹部が実質的にない。
【0022】
好ましくは、第2の封止面が、第1の封止部材に面し、第1の表面と同一表面となる第2の表面を画定する第2の突出部を画定し、第1の封止面と第2の封止面とが一体に係合されると、第2の突出部を受けるための縁凹部が、第2の突出部に対向する第1の封止面に画定される。
【0023】
本発明の関連する態様は、1本又は複数本のケーブル又は導管などが通過する開口のシール、又は部分的なシールを実現する装置であって、
第1の封止面を画定する少なくとも第1の封止部材と、第1の封止面に対向する第2の封止面を画定する少なくとも第2の対向する封止部材とを備え、封止部材の少なくとも一方が、開口が実質的に閉じる位置と、開口が実質的に開く位置との間で移動可能であり、
第1の封止部材が、弾性の可撓圧縮性発泡プラスチック又はポリマー材料などの、第2の封止部材の方に延びる複数の連続した指部を備え、第2の封止部材が、弾性の可撓圧縮性発泡プラスチック又はポリマー材料などの、第1の封止部材の方に延びる複数の指部を備え、
この封止部材が、使用時に、指部が、開口を通って延びるいかなるケーブル又は導管の周りでも偏向かつ/又は変形し、共形となって、開口全体にわたって実質的なエアシールを実現するように構成される、装置を提供する。
【0024】
典型的には、封止部材は、開口を縁取り、2つの対向する封止部材が中に取り付けられる枠開口を有する枠に取り付けられる。
【0025】
典型的には、指部は、端面、及び平行な側面を画定し、端面及び側面はどちらも、枠を通って延びるいかなるケーブル又は導管なども封止する。
【0026】
各封止部材の指部は、一定の矩形断面を有し、発泡プラスチック又はポリマー材料の単一片から延びることができる。
【0027】
一実施形態では、指部の端面は、ブラシ状アレイであるフィラメントのアレイを画定する。
【0028】
好ましくは、このフィラメントは不燃性である。
【0029】
好ましくは、このフィラメントは導電性である。
【0030】
発泡プラスチック又はポリマー材料は、難燃剤を含むことができる。
【0031】
好ましくは、発泡プラスチック又はポリマー材料は、活性化温度を上回る温度でセラミック材料に転換する成分(化合物の混合体又は組合せ体でよい)を含む。
【0032】
好ましい実施形態では、発泡プラスチック又はポリマー材料は、活性化温度を上回る温度で拡張/膨張する成分を含む。この成分は、剥脱性黒鉛でよい。
【0033】
典型的には、発泡プラスチック又はポリマー材料は、導電材料を含む。
【0034】
ある用途、例えば消音の目的では、発泡プラスチック又はポリマー材料は、硫酸バリウムなど、材料の密度を増大させる添加剤を含む。
【0035】
封止部材は、封止要素が係合する表面に概ね垂直であり、かつ対向する封止部材の封止面よりも比較的厚い表皮を有する上面を画定することができる。
【0036】
発泡プラスチック又はポリマー材料は、発泡ポリウレタン、エチレンプロピレンジエンモノマー(epdm)、又はシリコーンを含むことができる。
【0037】
この枠は、平面図で円形でよく、又は代替実施形態では、平面図で矩形でもよい。
【0038】
典型的には、各封止要素は、枠に当接する3つの周縁を画定し、これらの周縁は、枠の内側に係合し、封止部材を枠に対して押圧する突出部を画定する。
【0039】
一実施形態では、枠は、床、サブフロア、壁、天井などにある開口に枠を取り付けるためのばね式クランプを画定することができる。
【0040】
あるいは、トグルねじを用いて、サブフロア又は他のバリアに枠を固定することができる。
【0041】
さらなる実施形態では、本発明は、1本又は複数本のケーブル又は導管などが通過する開口のガスもしくはエアシール、又は部分的なガス/エアシールを実現する装置であって、
第1の封止面を画定する少なくとも第1の封止部材と、第1の封止面に対向する第2の封止面を画定する少なくとも第2の対向する封止部材とを備える第1の対の封止要素であって、封止部材の少なくとも一方が、開口が実質的に閉じる位置と、開口が実質的に開く位置との間で移動可能であり、
封止部材が、弾性の可撓圧縮性発泡プラスチック又はポリマー材料などを含む、第1の対の封止要素と、
開口を縁取り、2つの対向する封止部材が中に取り付けられる枠開口を有する枠と、
各要素が、枠から片持ち式に係留され、枠開口に延びて、枠開口を空気が通り抜けて流れるのを阻止する第2のシールを形成する、複数の繊維状要素を備える、第2の対の対向する封止要素と
を備え、
封止部材及び封止要素が、使用時に、封止部材を形成する前記弾性の可撓圧縮性発泡プラスチック又はポリマー材料が、枠を通って延びるいかなるケーブル又は導管の周りでも変形し、共形となって、枠開口全体にわたって実質的なエアシールを実現するように構成される、装置を提供する。
【0042】
次に、本発明の特定の実施形態について、添付の図面を参照しながら、単なる例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】高床式アクセスフロアの一区画が、シール/グロメットが嵌め込まれたサービス用開口を有する、本発明の典型的な応用例を示す概略図である。
【
図2】従来技術によるブラシシールの概略図である。
【
図4】ブラシシールが、圧縮性発泡体シールとともに使用されている複合シール構成の概略図である。
【
図5】各セグメントが、前面と後面との間で、閉止平面全体にわたってシール界面まで延びる指部の直線アレイを有する、圧縮性発泡体シールの分解図である。
【
図5a】同じシールが閉止位置にあり、導管を閉じ込めている様子を示す図である。
【
図6】
図5に示すシールセグメントの発展形態を示し、実施可能な製造工程を示す図である。
【
図6a】
図6のシールセグメントが、グロメット枠のセグメントに嵌め込まれた様子を示す図である。
【
図7】円柱状の貫通部に嵌め込まれるように設計された圧縮性発泡体シールセグメントを示す図である。
【
図7a】
図7に示すシールセグメントが、円柱状グロメット枠のセグメントに嵌め込まれた様子を示す図である。
【
図7b】
図7に示す種類の1つ又は複数のシールセグメントが、360度巻かれている代替構成を示す図である。
【
図8】シールセグメントが、各シール面上に繊維状ブラシシールを組み込んだ圧縮性発泡体シールの分解図である。
【
図9】各セグメントが、封止面に沿って長さ方向に延在する一連のリブを有し、これらのリブが、対向するセグメントに係合する圧縮性発泡体シールの分解図である。
【
図10】シールセグメントが、典型的な導管の周りで圧縮し、共形となる様子を示す、
図14に示すシールの分解図である。
【
図11】各シールセグメントが半円筒状であり、相互係止タングが交互の層になっているシールアセンブリの分解図である。
【
図11a】このシールセグメントが、導管の周りで圧縮し、共形となる様子を示す、同じシールアセンブリの分解図である。
【
図12】4個のシールセグメントを有するシールアセンブリの分解図である。
【
図13】
図12に示したものと同様のセグメントを組み込んだ、4個のセグメントの一体成形シールを備えるシール構成要素の図である。
【
図14】好ましいシールセグメントの等角投影図である。
【
図15a】シールアセンブリがバリア貫通部に直接取り付けられるグロメット構成の分解等角投影図である。
【
図15b】同じグロメットが閉止位置にある等角投影図である。
【
図16a】シールアセンブリが、バリア貫通部の上に、かつ/又はその中に取り付けられる周囲枠内に保持されるグロメットの分解等角投影図である。
【
図16b】同じグロメットが閉止位置にある等角投影図である。
【
図17a】シールアセンブリが、取外し可能な枠内に支持される、代替の好ましいグロメットの側面図である
【
図17d】グロメットアセンブリの分解等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、データセンタで見受けられるものなどの高床式アクセスフロアにおいて、代表的な応用例で本発明を実施したエアシール、又はグロメットを実現した装置1の概略図である。バリア1a、この例では高床式アクセスフロアパネルは、前面2、及び背面3(図では見えず)を有する。貫通部4の形の開口が、背面から前面へとバリアを貫通して延在し、この開口から、ケーブル、光ファイバチューブ、又は送水管などの導管5が、バリアの背面からバリアの前面側へと通過している。
【0045】
グロメット1の分解概略図が示され、この図では、シールアセンブリを保持する周囲枠6が、開口/貫通部4の上又は下、かつ/又はその中に嵌め込まれる。このシールアセンブリは、シールセグメント7及び8の形の、第1及び第2の対向するシール部材を備え、これらのシール部材は周囲枠6によって画定される開口全体にわたって延在する。各シールセグメントは、底面9(図では見えない)、上面10、周囲面11、及び前縁面又は封止面12a及び12bを有する(シールセグメント7については図では見えず)。
【0046】
このシールアセンブリは、貫通部4を通過し、アセンブリの背部と前部との間に延在し、開口/貫通部4を通過するケーブル、導管などと概ね平行又は同軸である貫通軸13と、前記貫通軸に垂直であり、貫通部全体にわたって延在する閉止平面14とを有する。この閉止平面は、シールセグメントを通り、シールセグメントは、この閉止平面を横切ってグロメットを開閉させる。バリアを通過する導管は、シールセグメント7及び8の封止面12aと12bとの間で形成されるシール界面15で包み込まれる。例示の目的で、
図1には、封止面は単なる平坦面として示されているが、以下で説明するように、シール界面は、複合表面である。
【0047】
この装置は、様々な寸法及び本数のサービス導管の周りを封止しなければならないので、封止要素は、遭遇し得る表面輪郭の範囲で共形性が得られるように、可撓性かつ弾性でなければならない。
【0048】
図2は、Semplinerらによって開示されている種類の既知のブラシシールの概略図であり、この図では、領域21及び22にある片持ち式ブラシフィラメントが導管23の周りで広がり、ブラシがケーブルによって分けられているところで生じるエアギャップ24及び25以外で、周囲領域を主に封止している。
【0049】
図3は、プラスチック多孔性発泡体シールの概略図であり、この図では、シールセグメント31及び32が導管33の周りで変形し、この発泡体が導管外装と、シール前縁36との間で伸びたところのシール界面で生じるギャップ34及び35以外で、周囲領域を主に封止している。
【0050】
ブラシシールのエアギャップは、ブラシフィラメントが分かれた線で形成され、このシール界面の後方では、発泡体シールのエアギャップが、ブラシシールのシール界面に直角に、シール界面に沿って生じることが分かる。したがって、ブラシ構成要素及び発泡体構成要素を備える複合シールでは、一方の構成要素のエアギャップが、他方の構成要素によって塞がれることになり、したがってより完全なシールが実現されることになる。
【0051】
この様子を、
図4のシール40で概略的に示し、この図では、ブラシ要素41及び42が、発泡体要素43及び44に押し付けられるように並べられ、導管45の周りで変形している。ブラシ要素のエアギャップ46及び47は発泡体要素によって塞がれ、逆に発泡体要素のエアギャップ48及び49はブラシ要素によって塞がれていることが分かる。この図面には、シールアセンブリの前面上にしかブラシシールが示されていない。代替実施形態では、第2の組のブラシシールを、シールアセンブリの背面に設けることができる。
【0052】
ブラシシールを火炎の通過に耐えるようにするには、ブラシシールを不燃性としなければならない。かかるフィラメント状材料は一般に、金属ワイヤ、又はセラミック繊維、又はポリマー結合剤で封入されたセラミック繊維などの複合体から形成することができる。しかし、かかる繊維は比較的剛性かつ針状であり、それらの繊維が封止しようとする導管の外装を突き破る恐れがある。金属ブラシ繊維によってプラスチックのケーブル外装を包み込む場合、導電フィラメントが外装を突き抜け、ケーブルコアに接触し、その結果悪影響をもたらす可能性がある。したがって、「羊毛状(woolly)」のブラシを形成するには、極めて微細な導電フィラメントを使用することが好ましい。
【0053】
別の代替形態は、
図3に示すように、シールセグメント43及び44を、圧縮性かつ弾性のポリマー/プラスチック材料から、ブラシシールと組み合わせて、又はかかる追加のブラシシールなしで形成することである。
【0054】
適切なポリマーは、ポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(epdm)、シリコーン、又は他の適切な化合物でよい。ポリマーは、好ましくは圧縮性及び弾性を高めるために発泡化させる。耐火性を実現するために、難燃性添加剤、又は高温(約400℃以上)で反応して不燃性セラミック材料を生成する特性を有するセラミック化添加剤を含めることができ、それによってシール本体の内部を断熱し、さらなる燃焼が防止されることになる。かかる材料が、例えばhttp://www.cerampolymerik.com/に記載されている。かかる組成物の例はまた、Olex Holdings Pty Ltd名義の特許文献6、名称「Ceramifying composition for fire protection」にも記載されており、その全内容を参照により本明細書に組み込む。
【0055】
特許文献6に記載のセラミック化添加剤は、典型的には無機リン酸塩とケイ酸塩鉱物繊維との組合せを含む。より具体的には、火災状況下で耐火性セラミックを形成するセラミック化組成物は、ケイ酸塩鉱物繊維を少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%と、800℃以下の温度で液相を成す、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、及びピロリン酸アンモニウムから選択された少なくとも1つの無機リン酸塩を8重量%〜15重量%と、有機ポリマーを少なくとも50重量%含むポリマーベース組成の組成物を、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%とを含むことができ、この組成物は、1000℃まで上昇させた温度に30分間曝露させると、自己支持性セラミックを形成する。
【0056】
特許文献6の28頁の表1は、上昇温度で硬質かつ強固なセラミックに転換する組成物A、B、C、Dを呈示している。29頁の表2は、別の適切な組成物Eを呈示し、30頁の表3は、組成物F〜Nを呈示し、O及びPは比較例である。
【0057】
特許文献6の42頁の実施例11を特に参照すると、セラミック化成分を組み込んだポリウレタン発泡体AH及びAIの調製が呈示されており、これらの発泡体は、本発明を実施したシール/グロメットを作成するのに使用する発泡体として適切となり得る。
【0058】
ポリマーにはまた、静電気を消散させるために、カーボンブラック、カーボン繊維、金属などの導電添加剤を組み込むことができる。
【0059】
ポリマーにはまた、火災時に、シールセグメントを拡張させ、導管外装をより緊密に包み込む、剥脱性黒鉛などの膨張添加剤を組み込むことができる。これは、経時変化の影響、及びそれに伴うシール界面の長期変形を打ち消すのに有用となり得る。
【0060】
図3に示すように、セグメント31及び32から形成される単純な2部片シールでは、通過している導管33が完全に包囲されることにはならず、シール表面がシール界面36と導管表面との間で伸びてギャップ34、35が残ることになる。こうした流路によって、高温ガス、及び火炎がシールを通過することが可能となり、それによって導管外装が溶融し、シールが劣化し、縮む恐れがあり、したがって通路がさらに開き、シールが早期に機能しなくなる。
【0061】
封止面を一連の指部として形成することによって、開口を通過しているケーブル及び導管によりよく適合するように封止面を作成することができる。かかる一構成が、
図5のシール50で示されており、この図は、封止部材/セグメント51、52を備えるシールの分解図を示し、ここでは、封止面が、連続した指部53、54を形成する垂直に並んだ一連の入り組み部(convolution)を有する。
図5aは、このシールが導管55を取り囲んでいる様子を示し、この図では、指部は、シール界面に対して垂直であり、シールセグメントの本体から前縁面へと延びている。指部の間隙面は、この図に示すように、前記前部のシール面及び背部のシール面に対して垂直であり、又は指部の間隙面は、他の何らかの角度でよいが、一般にシールの背部から前部へと延びる。これらのシールセグメントが一体に押圧され、導管周辺で圧縮すると、指部56、57は独立して変形し、したがってこのシールは、導管の表面に対してより密接して共形となる。
【0062】
図6及び6aは、かかるグロメット60を作製する一手段を示し、この図では、シール部材セグメント62が、分割線63とともに成型され、指部64間にギャップ65が生じた拡張状態にある。グロメットの枠61は、このシールセグメントよりも小さく、したがって
図6aに示すように、シールセグメントをこの枠に挿入すると、指部が互いに圧縮され、それによってギャップ65が閉じ、嵌合面64が前方に押し出され、したがって嵌合面64がシール界面で緊密に接触して維持されることになる。
【0063】
図5、5a、及び6、6aは、2つの矩形セグメントからなるグロメットを示すが、他の形状も可能であり、他の形状によって、特定の利点をもたらすことができる。例えば、
図6aに示す構成など、グロメットはただ1つのセグメントだけを備えることができるが、側壁又は他の表面に対して押し付けるように配置することができる。
【0064】
図7及び7aは、中央導管通路を備えた円柱状又は半円柱状グロメット70を示す。
図7は、可撓性発泡体材料から成型されたシールセグメントを示し、この図では、指部71が外縁73から内側に突出している。このシールセグメントは、半円の枠セグメント74に嵌め込まれ、その結果、指部71間のギャップ72が閉じ、このシールセグメントは、平坦な封止界面75を形成し、対向するシールセグメント、又は縁部壁に押し当てられることになる。かかるシール構成によって、貫通ゾーン76を通過する導管に対する適合性が向上することになる。
【0065】
あるいは、
図7bに示すように、シールは、導管の周りを360度取り巻く1つ又は複数のシール要素77から形成することができる。
【0066】
周囲の枠は、図示のように複数のセグメントから形成することも、又は単一の円柱状要素として形成することもできる。
【0067】
様々な寸法及び本数の導管を有効に包み込む代替手段は、各シールセグメントの前縁に、可撓弾性剛毛のアレイからなるブラシを設けることである。このシール80を
図8に示し、この図では、シールセグメント81、82は、表面にブラシ85及び86を備えた前縁83及び84を有する。かかるブラシは、例えば、シールセグメントの前縁表面に接着させた織マット上に支持された、長さが2〜6mm程度の可撓弾性剛毛のアレイを備えることができる。
【0068】
図8は、単純な矩形シールセグメントの構成を示すが、ここで示すブラシシールはまた、例えば
図6又は
図7に示すシールセグメントの前縁表面と同様の入り組んだシール表面に、又は以下で説明する構成に付着させることもできる。
【0069】
ポリマーシール要素にセラミック化添加剤を添加することによって、火災時のシールの性能が大幅に向上するが、火炎及び高温ガスがシール要素間のギャップを通過することができると、シールが早期に機能しなくなる。しかし、本発明者らは、間隙ギャップを最小限に抑えることができると、シールの背部は冷却されたままとなり、シール材料はその弾性を保持し、軟化した導管外装に対して押し付けられることになり、それによって導管外装を締めつけ、いかなるギャップも閉じられることになり、こうしたギャップはそうでなければ広がることになることを観測した。この機構は、単純な平坦表面の封止界面を備えたグロメットでは効果がなく、その理由は、導管の両側に生じるギャップ(例えば
図3のギャップ34、35)が大きくなりすぎて、高温ガス及び火炎が通過するのを防止できなくなるからである。
【0070】
この問題を克服する一手段は、シールセグメントの前縁面に、封止界面に沿って長さ方向に延びる1つ又は複数の長手方向タングを形成することである。この様子を、2部片シールアセンブリ90の分解図である
図9に示し、この図では、対向する封止部材/セグメント91及び92が、閉止平面93上に位置し、貫通軸94の方に向いており、それらのセグメントの前縁上にタング95の形の長手方向突出部を有する。凹部95aが、タングの各対の間で画定されている。縁凹部96bが、一方のタングの片側、及び封止部材の底面又は上面の片側に配置される。
【0071】
タングの横面96が上方に、バリアの頂部/前部の方に面しており、閉止平面に実質的に平行であり、タングの裏側にある横面97(この図では隠れている)もやはり、前記閉止平面に平行であるが、下方に、バリアの背部の方に向いている。各シールセグメントの前縁面98(セグメント91では隠れている)は、ここでは貫通軸とほぼ平行の平坦面として示されているが、これらの前縁面は、例えばテーパを付ける、面取りする、又は丸味を帯びた隅部とする、又は半円形輪郭を有することができる。
【0072】
これらのシールセグメントは、タングのそれぞれの前面に向いた表面96が、対向するシールセグメントの対応する背面に向いた面97と実質的に同一平面となるように配設される。したがって、対向するシールセグメント同士を、グロメットが閉止する方に移動させると、対向するタング同士が、対向する側面に沿って凹部95a及び95bに滑り接触して係合し、それによって階段状封止界面の形の多面シールが形成されることになる。上記によって、空気が通り抜けて流れるのを阻止する入り組んだ迷路状シールが生成される。
【0073】
図10は、導管周りでのシール形成を示す、かかるグロメット90の分解図である。シールセグメント91及び92が導管103を取り囲むと、各セグメントは、導管の表面の周りで、
図3で先に示したように圧縮する。シールセグメント92に示すように、突出タング95は、導管外装の周りで圧縮し、接触面105を形成し、その脇に間隙ギャップ106が形成され、これらのギャップは、導管外装と、タングの前縁面との間で生じる。
【0074】
シール材料が十分に柔軟で、かつ弾性である場合、このシール材料は導管の周りを取り巻き、これらのギャップは、導管の中央線よりも前方に形成されることになることが分かる。したがって、シールセグメントが一体となって完全に閉止し、タング同士が相互係止されると、シールセグメント91のタング上の間隙ギャップはシールセグメント92のタングによって塞がれ、その逆も同様である。この様子を
図10aにさらに示し、この図は、シールアセンブリが完全に閉止位置にある上面図を示す。この図では、シールセグメント91のタングは、曲線106に沿って変形し、シールセグメント92のタングは、曲線108に沿って変形し、これらのタング同士が相互係止した結果として、シールセグメント92の間隙ギャップは、シールセグメント91によって塞がれ、事実上、導管の表面の周りで完全なシールが形成される。
【0075】
2つのシールセグメント91と92とは、形状が同一である点に留意されたい。これは必須ではないが、グロメットの製造、取付け、及び操作を簡単にするのに有利である。
【0076】
製造中に、いくつかの技術を用いて、シール機構の効率を高めることができる。
【0077】
多孔性シールセグメントは、上面及び下面を厚い表皮で形成し、封止面では薄い表皮、又は断裁表皮で形成して、封止面の可撓性を高めることができる。
【0078】
シールセグメントは、低密度多孔性ポリマー又はブラシなど、比較的可撓性かつ弾性の材料から形成された封止面を備えた、比較的堅牢なコアからなることができる。
【0079】
火災に曝露される面の耐久性を向上させるために、難燃性添加剤、及び/又はセラミック化添加剤を前面及び背面に凝集させることが推奨され得る。
【0080】
シールセグメントは、高密度の表皮を備えた単一の成型体として形成することができるが、半分に切断して柔軟な封止面を形成することができる。
【0081】
図10は各セグメントに2つのタングがある2つのシールセグメントを示しているが、これは単なる例にすぎないことが理解されよう。しかし、各シール要素に2つのタングを設けることによって、対向するタングが横方向に確実に固定され、したがって各側面で連続したシールが維持されることになることに留意されたい。
【0082】
封止部材は、矩形以外の形状でもよい。例えば、
図11及び11aは、シールセグメントが円柱状シールアセンブリを形成する構成を示す。この構成には、シールアセンブリを、バリアにある円形孔に直接挿入しやすくなるという利点があり、こうした円形孔は、例えば筒のことを用いてその場で形成することができる。
【0083】
図11及び11aでは、シールアセンブリ110は、対向する半円筒状シールセグメント111及び112から形成されている。本明細書で示すように、シールセグメントは同一であると有利である。シールセグメント111は、タング114が交互に挟まれたタング113を有し、シールセグメント112は、タング116が交互に挟まれたタング115を有する。
図9及び10の装置と同様に、シールセグメント同士を、このシールアセンブリが閉止する方に移動させると、対向するタング同士が滑り接触して係合し、それによって入り組んだシールが得られる。
【0084】
図11aに示すように、シールアセンブリの中央領域を通過する導管117によって、各シールセグメントが圧縮し、導管外装の周りで変形することになる。例えば、中央領域119は、導管外装周りで圧縮することになり、タング113は領域118で伸びて変形するが、シールアセンブリが閉じると、対向するタング115によって、領域118に形成されたギャップが塞がれることになり、したがって導管外装の周りで連続したシールが得られることになる。典型的には、これらのシールには、特定の導管及びケーブルを受けるための、予め形成された凹部を画定する輪郭面は必要でないが、特に、より大径の導管では、かかる予め形成された凹部を設けることは有利となり得る。
【0085】
この構成は、送水管などの導管が、壁又はフロアスラブを貫通する状況に特に適している。典型的には、孔は、壁又は床からコアを切り抜いたものであり、導管は、典型的にはそのコア孔に対してかなり大きく、周囲の構造体に嵌め込まれ、固締される。しかし、導管がコア孔と同心であることは稀であり、したがって、導管とバリアとの間で連続したシールを実現することができるが、導管がコア孔の中心からずれるのにも適合可能であるグロメットが必要となる。上記で論じたように、送水管などのより大型の導管に対処するには、導管周りでのシール材料の圧縮度を最適化させるために、予想される導管寸法よりも小型の半円筒状の凹部を、中央領域119に予め形成すると有利である。
【0086】
シールアセンブリは、2個以上のシールセグメントを備えることができ、長手方向のタングは、一定の断面を有する必要はない。
図12は、4個のセグメント120、121、122、及び123を備え、2つの封止界面平面124及び125を有するシールアセンブリを示し、この図では、各シール要素は、2組のタングを各界面に1組ずつ有する。これらの要素は矩形として示されているが、これらの要素は四分円として形成することもできる。
【0087】
2個以上のシールセグメントを使用することによって、様々な導管寸法及び本数に対する適合性がより高くなることを含めて、利点をもたらすことができる。
【0088】
シールセグメント123で最もよく分かるように、タングの前縁面126、及び隣接する溝127は、共通縁部128へとテーパが付けられている。これによって、隣接するシールセグメント同士を単一の要素として成型し、縁部128に沿ってヒンジ結合することが可能となる。
【0089】
かかる構成を
図13に示し、この図では、4個のシール要素121、122、123、及び124が、前記要素を連結する一体ヒンジ131、132、及び133を用いた一体成型体として形成されている。使用時には、このシールアセンブリで、バリアを通過している導管の周りを取り巻き、次いで、このシールアセンブリを、図示してはいないがグロメット枠又は予め形成された貫通部に挿入する。
【0090】
シールアセンブリを単一の成型体として形成する必要はなく、例えば、ヒンジ線に沿って連結される2個のシール要素をそれぞれが備えた2個のシールセグメントとして、シールアセンブリを形成することができることに留意されたい。
【0091】
好ましい一シールセグメントを
図14に示す。この図は、発泡ポリウレタンなど、圧縮性の弾性材料から製造された封止部材/セグメント140を示し、このセグメントは、セラミック化添加剤、及び/又は難燃剤、及び/又は膨張添加剤、及び/又は導電添加剤をベース材料に組み込むことができる。前縁は、長手方向に延びる2つのタング141、及び隣接する2つの凹部142を有する。これらは、前記封止部材の2つが相互係止されると、各部材の前面及び背面が並び、タングの各対が、対応するシール部材の対応する凹部にぴったりと嵌まり込むように構成される。
【0092】
周囲には、3つの縁部全ての周りに延在する凹部143があり、シールセグメントをグロメットに保持するための手段となっている。後縁では、この凹部が広げられてキャビティ144を形成しており、このキャビティ144は封止部材をグロメットから取り外し、取り付け直すのを補助する指用凹部として働く。この部品は成型され、分割線145を有し、したがって成型ダイを引かれた線で開く単純な2部片ツールとすることが可能である。
【0093】
図15a及び15bは、一対のかかる封止部材140を組み込んだグロメットアセンブリ150を示し、この図では、封止部材151及び152が、バリア150aの貫通部153に直接嵌め込まれている。
図15aは、このアセンブリの分解図を示し、
図15bは、シール要素がバリア貫通部に嵌め込まれ、閉止を成している様子を示している。シールセグメント151は、長手方向に延びる2つのタング154を有し、これらのタング154は、シール要素152のタング155と係合して、通過している導管外装の周りで共形となることが可能な入り組んだシール界面を生成し、通過している導管外装の寸法及び本数は、様々に変動し得る。周囲凹部156が、バリア貫通部153の周囲に対して締り嵌めを成すように寸法設定され、また、周囲凹部156は、貫通部153の周囲に対して広範囲にわたって係合しやすくするために、バリアの厚さと同じ幅である。周囲凹部から延びる指把持凹部157によって、シール要素を取り外し、取り付け直しやすくなる。
【0094】
図16a及び16bは、代替のグロメットアセンブリ160を示し、この図では、同一のシール要素161及び162が枠160aによって担持され、この枠160aがバリア上に取り付けられ、貫通部上に、又はその中に嵌め込まれる。
図16aは、グロメットアセンブリの分解図であり、
図16bは、シール要素がグロメット枠内の定位置にあり、閉止を成しているアセンブリの図である。
【0095】
グロメット枠160aは、バリアの表面に圧接するように設計された水平フランジ要素165と、バリア貫通部に嵌め込まれるように設計された内側スリーブ169とを有する。この枠は、垂直に延び、シール要素を横方向に拘束する側縁部166と、シール要素161及び162の周縁163の周りで係合する返し部167とを有し、この返し部167によって封止部材がフランジ面に対して押圧されることになる。このフランジはまた、垂直に延び、封止部材の指用凹部164の周りで係合する拘束部168を有し、それによってシール要素の後縁が上方にずれる、又はシール界面に沿って離れるのを抑制している。
【0097】
このグロメットは、枠172内に支持されたシールアセンブリ171を有し、使用時には、バリア170にある貫通部174上に取り付けられ、ばねクランプ173を用いて定位置に保持される。
【0098】
シールアセンブリ171は、発泡ポリマー成型体として製造された2つの同一の封止部材を備え、難燃性添加剤、セラミック化添加剤、及び/又は膨張添加剤、及び/又は導電添加剤、及び/又は硫酸バリウムなどの消音添加剤を組み込むことができる。各封止部材は、長手方向に延びる2つのタングをその前縁に有し、これらのタングは、シールセグメントを相互係止させ、完全に閉止する方に移動させると、近接して嵌まり合う入り組んだシール界面を形成するように構成される。各封止部材は、その側面の周囲周りに、バリアに接して圧縮する突出リブ175を有し、したがってシールアセンブリを定位置にすると貫通部の周りで連続したシールが生成される。
【0099】
各封止部材はまた、グロメット枠に係合し、シールをバリアに対して押圧する突出部176をその周縁に有する。封止部材をグロメット枠に挿入し、対向する封止部材と係合させる際に、封止部材を回転させなければならない角度を最小限に抑えるために、突出部176の高さは可能な限り低く保持される。
【0100】
グロメット枠172は、その場で組み立てることができる2つの同一の枠セグメントからなり、したがって既存のケーブル(又は一般に導管)の周りに嵌め込むことが可能であり、それによってケーブルを外し、グロメット枠中に通してからつなぎ直す必要が回避される。組み立てやすいように、各枠セグメントは、2つの対向する隅部で対向する枠セグメントの周りと係合するタブ177及び178を有する。2つのセグメントを連結しやすいように、タブ178は、最初は平坦であり、定位置に配置されると、対向する枠セグメントの側壁に接するように折り曲げられる。ねじ固締しやすいように、各タブ及び枠の側壁に孔を設けることができ、かつ/又は、タブは高結合接着剤によって固締することができる。
【0101】
各枠セグメントは、二重に折り重ねられたフランジ179をその上縁に有し、このフランジ179は、シールセグメントにある突出部176と係合して、各枠セグメントをバリア面に対して定位置に保持する。各枠セグメントの下縁にある第2のフランジ1710によって枠が補強され、この第2のフランジ1710は、バリアとグロメットアセンブリとの間で副次的シールを実現する、任意選択によるストリップシール1710を担持することができる。
【0102】
各ばねクランプ173は、枠アセンブリのフランジ1710上に係合する上側クリップ1712と、バリアの下側に係合する下側接触ストリップ1713とを有する。ばね区画は、下側接触ストリップが上側クリップのすぐ下に位置するようにそれ自体の上に折り曲げられ、したがって把持力が枠ベース及びバリアに対して概ね垂直にかかることが確実となる。下側接触ストリップは、バリアの下側にある起伏間をクリップが確実に架橋するように、好ましくは100mm程度の最小長とすべきである。
【0103】
本開示の幅広い包括的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に数多くの変形及び/又は改変を行うことができることが当業者には理解されよう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないものとして考慮されたい。