(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976685
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ラッチディバイダ
(51)【国際特許分類】
H03K 23/00 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
H03K23/00 E
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-554570(P2013-554570)
(86)(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公表番号】特表2014-510467(P2014-510467A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012025220
(87)【国際公開番号】WO2012112671
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年2月3日
(31)【優先権主張番号】13/028,003
(32)【優先日】2011年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】リチャード グー
(72)【発明者】
【氏名】ダチュエン ホアン
【審査官】
栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/099588(WO,A1)
【文献】
特開2009−033643(JP,A)
【文献】
特開2007−173971(JP,A)
【文献】
特開2007−097148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LC共振器であって、
供給電圧を受け取るように構成されるインダクタと、
第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極と第1の寄生容量とを有する第1のトランジスタであって、前記第1のトランジスタの前記第1の受動電極が前記インダクタに結合される、前記第1のトランジスタと、
第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極と第2の寄生容量とを有する第2のトランジスタであって、前記第2のトランジスタの前記第1の受動電極が前記インダクタに結合され、前記第1のトランジスタの前記第2の受動電極が前記第1の受動電極の前記第2の受動電極に結合され、前記第1及び第2のトランジスタの前記第1及び第2の寄生容量と前記インダクタのインダクタンスとがLCタンクを形成する、前記第2のトランジスタと、
を有する、前記LC共振器と、
前記第1及び第2のトランジスタの前記制御電極に結合されるラッチと、
第1の周波数を有する入力信号を受け取るように構成される入力回路であって、前記ラッチに結合され、前記第1及び第2のトランジスタの各々の前記第2の受動電極に結合される、前記入力回路と、
前記LC共振器に結合され、制御信号を受け取るように構成される制御回路であって、複数の部分を有し、各部分が、
第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第3のトランジスタであって、前記第3のトランジスタの前記第1の受動電極が前記LC共振器に結合され、前記第3のトランジスタの前記制御電極が前記制御信号を受け取るように構成される、前記第3のトランジスタと、
第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第4のトランジスタであって、前記第4のトランジスタの前記制御電極が前記制御信号を受け取るように構成され、前記第4のトランジスタの前記第1の受動電極が前記第3のトランジスタの前記第1の受動電極に結合される、前記第4のトランジスタと、
を含む、前記制御回路と、
各出力端子が前記共振器に結合される複数の出力端子であって、前記出力端子が、前記第1の周波数の分数である第2の周波数を有する出力信号を提供する、前記複数の出力端子と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記インダクタがセンタータップを有し、前記センタータップが前記供給電圧を受け取るように構成される、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記インダクタが、前記供給電圧を受け取るように構成される第1のインダクタと、前記供給電圧を受け取るように構成される第2のインダクタとを更に含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記ラッチが、
第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第5のトランジスタと、
第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第6のトランジスタと、
を更に含み、
前記第5のトランジスタの前記第1の受動電極が前記第6のトランジスタの前記制御電極に結合され、前記第5のトランジスタの前記制御電極が前記第6のトランジスタの前記第1の受動電極に結合され、前記第5のトランジスタの前記第2の受動電極が前記第6のトランジスタの前記第2の受動電極に結合される、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記入力回路が、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第7のトランジスタを更に含み、
前記第7のトランジスタの前記第1の受動電極が第5及び第6のトランジスタの前記第2の受動電極に結合され、前記第7のトランジスタの前記制御電極が前記入力信号の少なくとも一部を受け取るように構成される、装置。
【請求項6】
入力回路であって、
第1の周波数を有する差動入力信号の第1の部分をそのゲートで受け取るように構成される第1のNMOSトランジスタと、
前記差動入力信号の第2の部分をそのゲートで受け取るように構成される第2のNMOSトランジスタと、
を有する、前記入力回路と、
前記第1のNMOSトランジスタのドレインに結合されるラッチと、
前記ラッチに結合され、差動出力信号の第1の部分を提供する第1の出力端子であって、前記差動出力信号が前記第1の周波数の分数である第2の周波数を有する、前記第1の出力端子と、
前記ラッチに結合され、前記差動出力信号の第2の部分を提供する第2の出力端子と、
前記第1及び第2の出力端子の各々に結合されるLC共振器であって、
供給電圧を受け取るように構成されるインダクタと、
前記インダクタに結合され、各々が寄生容量を有する複数の共振器MOSトランジスタであって、前記複数の共振器MOSトランジスタの前記寄生容量と前記インダクタのインダクタンスとがLCタンクを形成する、前記複数のMOSトランジスタと、
を含む、前記LC共振器と、
第1の部分と第2の部分とを有する制御回路であって、前記制御回路の前記第1及び第2の部分の各々が、
前記第1及び第2の出力端子の少なくとも1つにそのゲートで、前記複数の共振器MOSトランジスタの少なくとも1つのゲートにそのドレインで結合される第1のコントローラMOSトランジスタであって、制御信号をそのゲートで、前記供給電圧をそのボディで受け取るように構成される、前記第1のコントローラMOSトランジスタと、
前記第1のコントローラMOSトランジスタのドレインにそのドレインが結合され、前記制御信号をそのゲートで受け取るように構成される、第2のコントローラMOSトランジスタと、
を含む、前記制御回路と、
を含む、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記インダクタが、
供給電圧を受け取るように構成され、前記第1の出力端子に結合される第1のインダクタと、
前記供給電圧を受け取るように構成され、前記第2の出力端子に結合される第2のインダクタと、
を更に含む、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記ラッチが、
前記第1の出力端子にそのドレインで、前記第2の出力端子にそのゲートで、前記第1のNMOSトランジスタの前記ドレインにそのソースで結合される第3のNMOSトランジスタと、
前記第2の出力端子にそのドレインで、前記第1の出力端子にそのゲートで、前記第1のNMOSトランジスタの前記ドレインにそのソースで結合される第4のNMOSトランジスイタと、
を更に含む、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記複数の共振器MOSトランジスタが、
前記第1の出力端子にそのドレインで、前記第2の出力端子にそのゲートで、前記第2のNMOSトランジスタの前記ドレインにそのソースで結合される第5のNMOSトランジスタと、
前記第2の出力端子にそのドレインで、前記第1の出力端子にそのゲートで、前記第2のNMOSトランジスタの前記ドレインにそのソースで結合される第6のNMOSトランジスタと、
前記第1の出力端子にそのドレインで、前記第2の出力端子にそのゲートで、前記第2のNMOSトランジスタの前記ドレインにそのソースで結合される第7のNMOSトランジスタと、
前記第2の出力端子にそのドレインで、前記第1の出力端子にそのゲートで、前記第2のNMOSトランジスタの前記ドレインにそのソースで結合される第8のNMOSトランジスタと、
を更に含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記制御回路の前記第1の部分からの前記第1及び第2のMOSコントローラトランジスタが、それぞれ、
前記第2の出力端子にそのソースで、前記第7のNMOSトランジスタの前記ゲートにそのドレインで結合されるPMOSトランジスタであって、前記制御信号をそのゲートで、前記供給電圧をそのボディで受け取るように構成される、前記PMOSトランジスタと、
前記第7のNMOSトランジスタの前記ゲートにそのドレインで結合される第9のNMOSトランジスタであって、前記制御信号をそのゲートで受け取るように構成される、前記第9のNMOSトランジスタと、
を含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記PMOSトランジスタが第1のPMOSトランジスタを更に含み、
前記制御回路の前記第2の部分からの前記第1及び第2のMOSコントローラトランジスタが、それぞれ、
前記第1の出力端子にそのソースで、前記第8のNMOSトランジスタの前記ゲートにそのドレインで結合される第2のPMOSトランジスタであって、前記制御信号をそのゲートで、前記供給電圧をそのボディで受け取るように構成される、前記第2のPMOSトランジスタと、
前記第8のNMOSトランジスタの前記ゲートにそのドレインで結合される第10のNMOSトランジスタであって、前記制御信号をそのゲートで受け取るように構成される、前記第10のNMOSトランジスタと、
を含む、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記第1の周波数が約120GHzである、装置。
【請求項13】
第1の入力端子と、
第2の入力端子と、
第1の出力端子と、
第2の出力端子と、
制御端子と、
前記第1及び第2の入力端子に結合される入力回路と、
前記入力回路と前記第1の出力端子と前記第2の出力端子とに結合されるラッチと、
共振器であって、
前記第1及び第2の出力端子に結合されるインダクタと、
前記入力回路と前記第1の出力端子と前記第2の出力端子とに結合されるクロスカップルされたトランジスタの第1のペアと、
前記入力回路にそのソースで、前記第1の出力回路にそのドレインで結合される第1のMOSトランジスタと、
前記入力回路にそのソースで、前記第2の出力端子にそのドレインで結合される第2のMOSトランジスタと、
を有する、前記共振器と、
制御回路であって、
前記第2の出力端子と前記第1のMOSトランジスタの前記ゲートとの間に結合され、前記制御端子にそのゲートで結合される第3のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタの前記ゲートに結合され、前記制御端子にそのゲートで結合される第4のMOSトランジスタと、
前記第1の出力端子と前記第2のMOSトランジスタの前記ゲートとの間に結合され、前記制御端子にそのゲートで結合される第5のMOSトランジスタと、
前記第2のMOSトランジスタの前記ゲートに結合され、前記制御端子にそのゲートで結合される第6のトンラジスタと、
を有する、前記制御回路と、
を含む、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記クロスカップルされたトランジスタの第1のペアが第1及び第2のNMOSトランジスタを更に含む、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記インダクタが複数のインダクタを更に含む、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、
前記第1、第2、第4及び第6のMOSトランジスタが、第3、第4、第5及び第6のNMOSトランジスタを更に含み、前記第3及び第5のMOSトランジスタが第1及び第2のPMOSトランジスタを更に含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してディバイダに関し、更に特定して言えば、単一段ラッチディバイダに関連する。
【背景技術】
【0002】
種々の周波数範囲において用いられてきている多数のタイプのディバイダがある。多くの非常に高い周波数範囲(即ち、30GHzを上回る)では、CMOS内のディバイダが開発されてきている。しかし、これらの設計の多くは複数段を用いる。ただし、対象の周波数範囲が増大するとき、これらの多段ディバイダ配置は、性能に悪影響を与える恐れがある寄生(parasitics)(即ち、寄生インダクタンス)を導入し得る。そのため、非常に高い周波数(即ち、120GHz)で動作するように適合される一層コンパクトなディバイダが求められている。
【0003】
従来の回路の幾つかの例は、下記文献である。
【特許文献1】PCT公開番号WO/2009/115865
【特許文献2】米国特許公開番号2008/0303561
【非特許文献1】Kim et al,"A 75GHz PLL Front-End Integration in 65nm SOI CMOS Technology," 2007IEEE Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers, pp. 174-175
【非特許文献2】Lee et al,"A 40-GHz Frequency Divider in 0.18-μιη CMOS Technology," IEEE J. of Solid State Circuits, Vol. 39, No. 4, April 2004, pp. 594-601.
【非特許文献3】Kim et al,"A 20-GHz Phase-Locked Loop for 40Gb/s Serializing Transmitter in 0.13-μm CMOS," IEEEJ. of Solid State Circuits, Vol. 41, No. 4, April 2006, pp. 899-908
【非特許文献4】The et al,"A 0.18-μm CMOS 3.2-10 GHz Quadrature VCO of IEEE 802.15.4a UWBTransceivers," Asia Pacific Microwave Conference, 2009, December 2009, pp.245-248.
【発明の概要】
【0004】
本発明の例示の一実施例は或る装置を提供する。この装置は、インダクタ、クロス結合されたトランジスタの複数のセットであって、クロス結合されたトランジスタの各セットからの各トランジスタがインダクタに結合される、クロス結合されたトランジスタの複数のセット、クロス結合されたトランジスタの複数のセットからの各トランジスタに結合され、且つ、共振器に結合される、第1の周波数を有する入力信号を受け取る入力回路、クロス結合されたトランジスタの複数のセットの少なくとも1つから各トランジスタに結合され、且つ、制御信号を受け取る制御回路、及び各出力端子がインダクタに結合される複数の出力端子であって、出力端子が、第1の周波数の分数である第2の周波数を有する出力信号を提供する、複数の出力端子を含む。
【0005】
例示の一実施例において、インダクタはセンタータップを有し、センタータップは供給電圧を受け取る。
【0006】
例示の一実施例において、インダクタは、供給電圧を受け取る第1のインダクタと、供給電圧を受け取る第2のインダクタとを更に含む。
【0007】
例示の一実施例において、クロス結合されたトランジスタの各セットは、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第1のトランジスタ、及び第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第2のトランジスタを更に含む。第1のトランジスタの第1の受動電極が、第2のトランジスタの制御電極に結合され、第1のトランジスタの制御電極が、第2のトランジスタの第1の受動電極に結合され、第1のトランジスタの第2の受動電極が、第2のトランジスタの第2の受動電極に結合される。
【0008】
例示の一実施例において、入力回路は、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第3のトランジスタを更に含む。第3のトランジスタの第1の受動電極が、クロス結合されたトランジスタの複数のセットの少なくとも1つからの第1及び第2のトランジスタの第2の受動電極に結合され、第3のトランジスタの制御電極が入力信号の少なくとも一部を受け取る。
【0009】
例示の一実施例において、制御回路は複数の部分を更に含み、各部分が、クロス結合されたトランジスタの複数のセットの少なくとも1つからの少なくとも1つのトランジスタに結合され、更に、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第4のトランジスタ、及び第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第5のトランジスタを含む。第4のトランジスタの制御電極が制御信号を受け取り、第5のトランジスタの制御電極が制御信号を受け取り、第5のトランジスタの第1の受動電極が、第4のトランジスタの第1の受動電極に結合される。
【0010】
例示の一実施例において、或る装置が提供される。この装置は、LC共振器であって、供給電圧を受け取るインダクタと、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極と第1の寄生容量とを有する第1のトランジスタであって、第1のトランジスタの第1の受動電極がインダクタに結合される、第1のトランジスタと、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極と第2の寄生容量とを有する第2のトランジスタであって、第2のトランジスタの第1の受動電極がインダクタに結合され、第1のトランジスタの第2の受動電極が、第1の受動電極の第2の受動電極に結合され、第1及び第2のトランジスタの第1及び第2の寄生容量とインダクタのインダクタンスとがLCタンクを形成する、第2のトランジスタとを有する、LC共振器、第1及び第2のトランジスタの制御電極に結合されるラッチ、第1の周波数を有する入力信号を受け取り、ラッチに結合され、そして、第1及び第2のトランジスタの各々の第2の受動電極に結合される入力回路、共振器に結合され、制御信号を受け取る制御回路、及び各出力端子が共振器に結合される複数の出力端子であって、出力端子が、第1の周波数の分数である第2の周波数を有する出力信号を提供する、複数の出力端子を含む。
【0011】
例示の一実施例において、ラッチは、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第3のトランジスタ、及び第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第4のトランジスタを更に含む。第3のトランジスタの第1の受動電極が、第4のトランジスタの制御電極に結合され、第3のトランジスタの制御電極が、第4のトランジスタの第1の受動電極に結合され、第3のトランジスタの第2の受動電極が、第4のトランジスタの第2の受動電極に結合される。
【0012】
例示の一実施例において、入力回路は、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第5のトランジスタを更に含む。第5のトランジスタの第1の受動電極が、第3及び第4のトランジスタの第2の受動電極に結合され、第5のトランジスタの制御電極が入力信号の少なくとも一部を受け取る。
【0013】
例示の一実施例において、制御回路は、複数の部分を更に含み、各部分が、第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第6のトランジスタ、及び第1の受動電極と第2の受動電極と制御電極とを有する第7のトランジスタを更に含む。第6のトランジスタの第1の受動電極が共振器に結合され、第6のトランジスタの制御電極が制御信号を受け取り、第7のトランジスタの制御電極が制御信号を受け取り、第7のトランジスタの第1の受動電極が、第6のトランジスタの第1の受動電極に結合される。
【0014】
例示の一実施例において、或る装置が提供される。この装置は、入力回路であって、そのゲートで、第1の周波数を有する差動入力信号の第1の部分を受け取る第1のNMOSトランジスタと、そのゲートで差動入力信号の第2の部分を受け取る第2のNMOSトランジスタとを有する入力回路、第1のNMOSトランジスタのドレインに結合されるラッチ、ラッチに結合され、且つ、差動出力信号の第1の部分を提供する第1の出力端子であって、差動出力信号が、第1の周波数の分数である第2の周波数を有する、第1の出力端子、ラッチに結合され、且つ、差動出力信号の第2の部分を提供する第2の出力端子、第1及び第2の出力端子の各々に結合されるLC共振器であって、供給電圧を受け取るインダクタと、インダクタに結合され、且つ、各々寄生容量を有する複数のMOSトランジスタであって、複数のMOSトランジスタの寄生容量とインダクタのインダクタンスとがLCタンクを形成する、複数のMOSトランジスタとを含む、LC共振器、及び複数のMOSトランジスタの少なくとも1つに結合され、制御信号を受け取る制御回路を含む。
【0015】
例示の一実施例において、インダクタは、供給電圧を受け取り、第1の出力端子に結合される第1のインダクタと、供給電圧を受け取り、第2の出力端子に結合される第2のインダクタとを更に含む。
【0016】
例示の一実施例において、ラッチは、そのドレインで第1の出力端子に、そのゲートで第2の出力端子に、及びそのソースで第1のNMOSトランジスタのドレインに結合される第3のNMOSトランジスタと、そのドレインで第2の出力端子に、そのゲートで第1の出力端子に、及びそのソースで第1のNMOSトランジスタのドレインに結合される第4のNMOSトランジスタとを更に含む。
【0017】
例示の一実施例において、複数のMOSトランジスタは、そのドレインで第1の出力端子に、そのゲートで第2の出力端子に、そのソースで第2のNMOSトランジスタのドレインに、及びそのゲートで第2の出力端子に結合される第5のNMOSトランジスタと、そのドレインで第2の出力端子に、そのゲートで第1の出力端子に、及びそのソースで第2のNMOSトランジスタのドレインに、及びそのゲートで第1の出力端子に結合される第6のNMOSトランジスタと、そのドレインで第1の出力端子に、そのゲートで第2の出力端子に、及びそのソースで第2のNMOSトランジスタのドレインに結合される第7のNMOSトランジスタ、及びそのドレインで第2の出力端子に、そのゲートで第1の出力端子に、及びそのソースで第2のNMOSトランジスタのドレインに結合される第8のNMOSトランジスタを更に含む。
【0018】
例示の一実施例において、制御回路は第1の部分及び第2の部分を更に含み、 制御回路の第1の部分が、そのソースで第2の出力端子に、そのドレインで第7のNMOSトランジスタのゲートに結合され、且つ、そのゲートで制御信号を及びそのボディで供給電圧を受け取るPMOSトランジスタと、そのドレインで第7のNMOSトランジスタのゲートに結合され、且つ、そのゲートで制御信号を受け取る第9のNMOSトランジスタとを含む。
【0019】
例示の一実施例において、PMOSトランジスタは第1のPMOSトランジスタを更に含み、制御回路の第2の部分が、そのソースで第1の出力端子に、そのドレインで第8のNMOSトランジスタのゲートに結合され、且つ、そのゲートで制御信号を及びその本体で供給電圧を受け取る第2のPMOSトランジスタと、そのドレインで第8のNMOSトランジスタのゲートに結合され、且つ、そのゲートで制御信号を受け取る第10のNMOSトランジスタとを更に含む。
【0020】
例示の一実施例において、第1の周波数が約120GHzである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の原理の例示の一実施例に従ったラッチディバイダを図示する。
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1において、参照符号100は概して、例示の一実施例に従ったラッチディバイダを示す。ディバイダ100は、LC共振器102、入力回路104、及び制御回路108を概して含む。共振器102は、出力端子(これらは出力信号OUTP及びOUTMを提供する)に結合され、供給電圧VDDを受け取るインダクタL1及びL2を概して含むが、代替として、インダクタL1及びL2は、供給電圧VDDを受け取るセンタータップを有する単一のインダクタで置き換えることもできる。共振器102及びラッチ104の各々は、それぞれ、一対のクロス結合されたトランジスタQ1/Q2及びQ11/Q12、(これは例えば、NMOSトランジスタであり得る)を含む。入力回路108は、各々ラッチ104及び共振器102の一つに結合される、トランジスタQ5及びQ6(これらは例えば、NMOSトランジスタであり得る)を概して含む。制御回路110は概して、それぞれ、トランジスタQ7及びQ8及びトランジスタQ9及びQ10を含む、2つの部分を含む。トランジスタQ5、Q6、Q8、及びQ10は例えば、NMOSトランジスタであってもよく、トランジスタQ7及びQ9は例えば、PMOSトランジスタであってよい。
【0024】
オペレーションにおいて、差動入力信号INP及びINM(これは例えば、約120GHzの周波数を有し得る)が、差動入力信号の周波数の分数(即ち、2分の1)である周波数を有するように、ディバイダ100により差動出力信号OUTP及びOUTMに分割され得る。典型的に、LC共振器102は、トランジスタQ1及びQ2のゲート及びインダクタL1及びL2のインダクタンスからの寄生容量をLCタンクとして用いる。また、分周範囲を拡張するようにLCタンクを調整するため、制御信号CNTLは、トランジスタQ3及びQ4(これらもトランジスタQ3及びQ4の寄生容量に実質的に並列の寄生容量を有する)をオンにするようにアサートされ得る。このLCタンクは、電圧制御発振器のようにラッチ104に関連して動作する。トランジスタQ9及びQ10のゲート(又は制御電極)は、入力回路102がトランスコンダクタンス回路として動作でき、このトランスコンダクタンス回路からの対応する出力信号がラッチ104及び共振器102の制御を助けるように差動入力信号INP及びINMを受け取る。
【0025】
図2は、ディバイダ100のオペレーションを示す。図示するように、差動入力信号INP及びINM(これは正弦波であり、約120GHzの周波数を有する)が提供される。差動出力信号OUTP及びOUTM(これは、実質的に正弦波である)は、期間TOUTを有し、これは、入力信号INP及びINMのための期間の約倍であり、ディバイダ100に対する分周比が約2分の1であることを示す。
【0026】
本発明に関連する技術に習熟した者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び他の実施例を実装し得ることが分かるであろう。