特許第5976798号(P5976798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シルベント アーベェの特許一覧

特許5976798スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置
<>
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000002
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000003
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000004
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000005
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000006
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000007
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000008
  • 特許5976798-スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976798
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】スチール素材等の材料又は構造物を洗浄するための装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20160817BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20160817BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   B08B3/02 B
   B05B1/14 Z
   B08B5/02 A
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-518489(P2014-518489)
(86)(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公表番号】特表2014-525824(P2014-525824A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】SE2012050633
(87)【国際公開番号】WO2013002704
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年3月16日
(31)【優先権主張番号】1150595-5
(32)【優先日】2011年6月28日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】514001090
【氏名又は名称】シルベント アーベェ
【氏名又は名称原語表記】SILVENT AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ティベル, ラスマス
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−138064(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0157093(US,A1)
【文献】 特開平10−199836(JP,A)
【文献】 特開2003−176982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00
B08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近傍表面の洗浄のための洗浄装置であって、前記洗浄装置は、
少なくとも第一及び第二アーム(31、31')を備え、
前記第一及び第二アーム(31、31')は、相互接続体(30、30')と結合して互いに角度(α)を形成し、
各アーム(31、31')は、少なくとも一つの洗浄部材(8)を備え、
前記相互接続体(30、30')は、前記アームの1つが回転するとその他のアームも同様に回転するように、前記アーム(31、31)同士のトーションが硬くなるように配置される、洗浄装置。
【請求項2】
前記第一及び第二アーム(31、31')の各々は、複数の開口部(33)を備え、
各開口部は、洗浄部材(8)を洗浄装置(1)に搭載するためのネジ山セクションを備える、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄部材は、洗浄対象(12)の方へ噴霧する媒体を供給するノズル(8、9)を備える、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズル(8、9)は、前記少なくとも2つのアーム(31、31')を回転させることで対象(12)に対する調節が行えるように配置される、請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記相互接続体(30、30')は、前記少なくとも2つのアーム(31、31')間の角度(α)が前記相互接続体(30、30')の屈曲によって変化することができるように配置される、請求項1-4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つのアーム(31、31')は、中間部(32)を介して互いに接続され、
前記中間部(32)は、少なくとも一つの洗浄部材(9)を備える、請求項1-5のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つのアーム(31、31')及び相互接続体(30、30')は、内側プロファイル(3)を形成し、
前記内側プロファイル(3)は、前記内側プロファイル(3)を保護するために衝突を吸収するように配置された外側プロファイル(2)内にある、請求項1から6のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記外側プロファイル(2)は、衝突を吸収するための少なくとも一つの減衰部材(5)を更に備え、
前記減衰部材(5)は、前記洗浄部材(8、9)の作業の遮断又は妨害を回避するように搭載される、請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記内側プロファイル(3)は、セクション(31、31'、32)毎に少なくとも1つの支持部材(4)、セクション(31、31'、32)毎に少なくとも2つの支持部材(4)を備え、
前記支持部材(4)は、前記外側プロファイル(2)に対して前記内側プロファイル(3)を回転可能に移動できるように配置される、請求項7又は8に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記装置(1)は、前記装置(1)の位置の軸調節を可能にするように配置された固定構造体(6)に接続される、請求項1から9のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項11】
前記固定構造体(6)は、外側シリンダー(60)及び内側シリンダー(61)を備え、
前記内側シリンダー(61)は、前記外側シリンダー(60)内で軸及び回転方向に移動可能に配置され、
前記固定構造体(6)は、ロック部材(63)を更に備え、
前記内側シリンダー(61)は、結合手段(62)を備え、
前記ロック部材(63)及び前記結合手段(62)は、軸及び回転方向に対する内側シリンダー(61)の変位を制限するために、互いが協同するように配置され、
前記装置(1)は、前記内側シリンダー(61)に接続される、請求項10に記載の洗浄装置。
【請求項12】
前記ロック部材は、摩擦ネジ(63)を備え、
前記結合手段は、縦方向及び横方向に長さを有する溝(62)を備え、
前記摩擦ネジ(63)及び前記溝(62)は、協同して、前記内側シリンダー(61)を調節し、前記洗浄装置(1)が軸及び回転方向にそれぞれ移動できるように配置される、請求項11に記載の洗浄装置。
【請求項13】
前記装置は、スチール素材、ステンレススチール素材又は耐酸性ステンレススチールでできている、請求項1から12のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項14】
表面を洗浄する方法であって、上記方法は、
請求項1から13のいずれかに記載の洗浄装置を提供するステップと、
前記洗浄部材(8)の各々が前記洗浄表面から同じ距離に配置されるように前記洗浄表面から離れて洗浄装置を配置するステップと、
前記アーム(31、31')の少なくとも1つを回転させることによって洗浄表面に対する前記洗浄部材(8)の位置を調節するステップと、
前記洗浄部材(8)を通じて洗浄媒体を前記洗浄表面へ放出するステップを含む、方法。
【請求項15】
前記洗浄表面は、洗浄作業中に、前記洗浄装置と相対して動くように配置される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄作業を行なうための洗浄装置であって、上記洗浄装置は、少なくとも第一及び第二アームを備え、上記第一及び第二アームは、相互接続体と結合して互いにある角度を形成し、各アームは、少なくとも一つの洗浄部材を備える、洗浄装置に関する。
【0002】
背景技術
構造物又は材料を効果的に洗浄する需要が、スチール及びアルミニウム加工工場並びにパルプ、紙及び木材産業等の多くの産業界で増している。例えば、スチールがベルト上で輸送されるスチール素材の製造においては、工程の初期ステップの段階で、スチールの表面から粒子及び/又は物体(substance)の形態の残留物を除去する洗浄ステップをしばしば必要とする。
【0003】
この目的のために一般的に使用される洗浄装置が、EP 2233219 A2(Achenbach Buchhiitten)に開示されている。これによると、V型の洗浄装置が、ベルトの上に吊るされており、複数のノズルを用いてガス媒体をベルトに対して吹き付けて表面から残留物を除くことが開示されている。類似の装置は、EP 0652056及びCN 2254783に開示されている。しかしながら、上記装置には、ベルト又はスチール素材自体が装置と衝突してノズル又は装置全体がズレて、その構造に潜在的な損傷を与える洗浄装置損傷リスクの問題が存在する。
【0004】
V型の装置を使用すると、ノズルから噴霧される媒体がベルトに対して適切な入射角となるように装置の位置を決めることが困難でもある。ノズルの調節は、特にV型の洗浄装置の場合には、時間とコストがかかる洗浄作業の開始前に全てのノズル角を個々に調整することが一般的であり、非常に時間を消費し且つ面倒な作業である。
【0005】
類似の洗浄装置が、他の多くの技術分野(例えば車両の自動洗浄又はベルト輸送に関する任意の技術分野)でも使われている。
【0006】
従って、これらの問題を解決して最適な洗浄を行える、より適切な洗浄装置に関する需要が存在する。
【0007】
発明の開示
本発明の目的は、上述の問題を取り除くか少なくとも最小にすることである。これは、近傍表面の洗浄のための洗浄装置であって、上記洗浄装置は、少なくとも第一及び第二アームを備え、上記第一及び第二アームは、相互接続体と結合して互いにある角度を形成し、各アームは、少なくとも一つの洗浄部材を備え、上記相互接続体は、上記アームの1つが回転するとその他のアームも同様に回転するように、上記アーム同士のトーションが硬くなるように配置される、装置によって成し遂げられる。
【0008】
多くの洗浄作業における「近傍表面」は、「下方の表面」に対応する(即ち、洗浄装置は、洗浄表面よりも上に配置されている)が、本発明及び本発明の方法では、かかる位置に限定さないことが理解される。
【0009】
本願明細書が称する「相互接続体」は、「結合リンク部材」とも命名される。
【0010】
ねじれに対して硬く相互に連結したアームのおかげで、たとえ装置が略V型であっても、洗浄部材の位置と洗浄対象に対するそれらの入射角とが非常にシンプル且つ簡便に調節可能になる。
【0011】
本発明の一態様によると、上記洗浄部材は、洗浄対象に向かって噴霧するための媒体(好ましくは圧縮媒体)を供給するノズルを備える。これによって、残留物(例えば冷却液及び/又は潤滑油)を表面から吹き飛ばすように上記対象上に高圧縮媒体(例えば圧縮空気、ガス又は洗浄液)を吹き付けることで対象又は対象表面を洗浄する洗浄工程を効率的に行なうことができる。
【0012】
「洗浄対象」は、例えば、連続して動いている細長い一片又は金属板又はウェブ等の一連の表面を指してもよいが、洗浄対象は、他の構造物(例えば、任意のタイプ又は動いているウェブ/表面、コンベヤーベルト又は洗浄場において自動的に洗浄される車両)も含むものと理解される。
【0013】
一実施形態として、上記第一及び第二アームの各々は、その長さ方向に沿って複数の開口部を備え、各開口部は、洗浄部材を上記洗浄装置上に搭載するためのネジ山セクションを備える。これによって、非常に速く且つシンプルに洗浄部材(例えばノズル)を取り付ける及び/又は置き換える方法がもたらされる。
【0014】
本発明の更に別の態様によれば、上記ノズルは、上記少なくとも2つのアームを回転させることで上記洗浄対象に対する調節が行えるように配置されている。これによって、アーム上の全てのノズルが洗浄対象に対するそれらの入射角を同時に調節されるという利点が導かれ、個別の整列が不要となる。効果的な入射角は、垂直線から30度であることが証明されたが、この角度は、どのような残留分/ゴミを対象から取り除くかによって調節することが有利だろう。本発明のおかげで、全てのノズルは、上記装置のアームの一つを回転させることよって同時に調節することができる。
【0015】
本発明の更に別の態様によれば、上記相互接続体は、上記少なくとも2つのアーム間の角度が上記相互接続体の屈曲によって変更することができるように配置される。これは、各相互接続体は、屈曲可能であるが、ねじり動作ができないことを意味する。この態様のため、アームの回転動作の際に、洗浄対象からの距離が同じに保たれるように装置を配置することが可能になる。これは、ノズルの調節が単純である点に関して言えば非常に有利である。
【0016】
本発明の更に別の態様によれば、上記少なくとも2つのアームは、中間部を介して互いに接続され、上記中間部は、少なくとも一つの洗浄部材を好ましくは備える。この実施形態によれば、上記装置は、中間基部を形成する中間部を備える略V型である。中間部に配置される洗浄部材は、装置の移動方向に対して進行方向に向いている。洗浄作業の間、加圧媒体(例えば空気又は洗浄液)は、下方の表面に吹き付けられる。一実施形態として、下方の表面は、略V型の洗浄装置の方へと動いている一連の表面である。中間部のノズルは、例えば、前方へ進むエアジェットを出すことにより、例えば洗浄対象上の残留分及び粒子を2つの領域へ分離/分割する。その後、角度が付いている少なくとも2つのアームにおけるノズルが、上記2つの領域にある残留分をサイド方向に向かって吹き飛ばし、装置下の領域から(例えば一連の金属板のサイドエッジから)それを効率的に取り除く。
【0017】
本発明の更に別の態様によれば、上記少なくとも2つのアーム及び相互接続体は、内側プロファイルを形成し、上記内側プロファイルは、上記内側プロファイルを保護するために衝突を吸収するように配置された外側プロファイル内にある。これによって、内側プロファイル及びノズルは、例えば、洗浄装置の内側プロファイルを任意の方法で破壊する可能性がある、洗浄対象との衝突由来の潜在的な損傷から遮蔽/保護される。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、上記外側プロファイルは、衝突を吸収するための少なくとも一つの減衰部材を更に備え、上記減衰部材は、上記洗浄部材の洗浄作業の遮断又は妨害を回避するように搭載される。また、この特徴は、内側プロファイル及びその部品を損傷から効率的に保護することに貢献し、更に、洗浄される材料を防護する(例えば、一連の作業の間に、偶然に装置と接触する場合に生じる引っかき傷からシートを保護する)。
【0019】
本発明の更に別の態様によれば、上記内部構造体は、セクション毎に少なくとも1つの支持部材、好ましくはセクション毎に少なくとも2つの支持部材を備え、上記支持部材は、外部構造体をそのままにしつつ、外部構造体に対して内部構造体を回転可能に移動できるように配置される。これは、内部構造体の1つのアームを回転させると、ねじれに対して固い相互接続体が内部構造体全体に回転を伝えることで、第一及び第二アーム上の全ての洗浄部材が同時に調節されることを意味する。同時に、外部構造体は、ベアリングを介するこのような回転の際に内部構造体を同じ構成に保つ、即ち、角度が付いている内側プロファイルを回転させるにもかかわらず、装置は、下方の表面から同じ距離が保たれる(例えば下方のベルトからの高さの変位が回避される)。これは、屈曲可能であり且つ外側プロファイル内部における回転動作の際に内部構造体の屈曲を可能にする相互接続体に起因して可能となる。これによって、非常に効率的で迅速且つ容易に、略V型の装置上にある洗浄部材の角度を調節する方法が達成され、時間及び経費が節約される。
【0020】
本発明の更に別の態様によれば、上記装置は、上記装置の位置の軸調節を可能にするように配置された固定構造体に接続される。これによって、洗浄作業の開始前に、洗浄表面を横切るように装置を容易且つ適切に配置することができる。
【0021】
本発明の更に別の態様によれば、上記固定構造体は、外側シリンダー及び内側シリンダーを備え、上記内側シリンダーは、上記外側シリンダーの軸及び回転方向に移動可能に配置され、上記固定構造体はロック部材を更に備え、上記内側シリンダーは、結合手段を備え、上記ロック部材及び上記結合手段は、軸及び回転方向に対する上記内側シリンダーの変位を制限するために、互いに協同するように配置され、上記装置は、上記内側シリンダーに接続される。ロック部材は、固定構造体の位置をロック可能に配置される。これによって、結合手段とロック部材との協同によってセットされる制限内で、軸及び回転方向に関する洗浄装置の位置もロックされる。これによって、洗浄部材は、洗浄目的の対象の一部に影響を及ぼせるように、下方の表面に対して調節可能になる。
【0022】
本発明の更に別の態様によれば、上記ロック部材は、摩擦ネジを備え、上記結合手段は、縦方向及び横方向に長さを有する溝を備え、上記摩擦ネジ及び上記溝は、協同して、上記内側シリンダーを調節し、上記洗浄装置が軸及び回転方向にそれぞれ移動できるように配置される。摩擦ネジは、セキュリティ機能を提供する。この機能は、装置と洗浄対象とが衝突して、かかる衝突力が摩擦ネジの力を超えると、摩擦ネジが装置をロック位置から開放し、洗浄対象から離れる方向に装置が変位できるようになり、略水平配置から保護位置である略垂直配置へと装置が移動する機能である。好ましくは、ロック部材は、装置が洗浄対象上にはね返ることを防止するように、かかる保護位置に装置を固定するだろう。かかる特徴は、洗浄される材料との予想外の衝突の結果として生じる損傷から装置を保護するだろう。
【0023】
本発明の更に別の態様によれば、上記装置は、スチール素材でできており、好ましくはステンレススチール素材、好ましくは耐酸性ステンレススチールでできている。これは、この装置が、酸洗浄後のスチール素材由来の酸性残留分の除去にも適用可能であることを意味する。
【0024】
移動しているシートの上下に洗浄装置を配置させて圧縮媒体をその両面に吹き付けるか噴霧することによって、例えばシート材料の上面及び底面の両方を洗浄することが可能になる。
【0025】
また、本発明は、表面を洗浄する方法に関する。上記方法は、本発明による洗浄装置を提供するステップと、上記洗浄部材の各々が上記洗浄表面から同じ距離に配置されるように洗浄表面から離れて洗浄装置を配置するステップと、上記アームの少なくとも1つを回転させることによって、前記洗浄表面に対する洗浄部材の位置を調節するステップと、前記洗浄部材を通じて洗浄媒体を上記洗浄表面へ放出するステップと、を有する。この装置のデザインでは、一つのアームだけを回転させることによって全ての洗浄部材(例えばノズル)の位置を調整することが可能であり、これによって迅速且つ容易な調節が可能になる。即ち、洗浄される近傍表面に対する入射角を最適化することができる。洗浄方法に関する好ましい一態様において、洗浄表面は、洗浄作業の際に、洗浄装置に対して移動するように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、添付の図面と関連させて、更なる詳細を以下に記載する。
図1図1は、本発明の好適な実施形態による洗浄装置の斜視図を示す。
図2図2aは、洗浄装置の外側プロファイルの斜視図を示す。図2bは、洗浄装置の内側プロファイルの斜視図を示す。
図3図3aは、図2aの外側プロファイルと図2bの内側プロファイルを接続するためのベアリングの斜視図を示す。図3bは、外側プロファイル上に取り付けるための減衰部材の斜視図を示す。図3cは、図2bの内側プロファイルの2つのセクションを相互に接続するための結合リンク部材の斜視図を示す。
図4図4は、外側及び内側プロファイルを保持構造体に接続するための調節接続体の斜視図を示す。
図5図5aは、図4の調節接続体の第一形態を示す。図5bは、図4の調節接続体の第二形態を示す。
図6図6aは、洗浄装置のための固定構造体の斜視図を示す。図6bは、図6aの固定構造体の断面斜視図を示す。図6cは、図6aの固定構造体の分解図を示す。
図7図7aは、保持構造体上に搭載され、A方向に移動しているコンベヤーベルトより上に設置された洗浄装置の斜視図を示す。図7bは、A方向に移動している、より細いコンベヤーベルトと共に、搭載された図7aの洗浄装置斜視図を示す。
図8図8は、保護位置にある、搭載された図7a-7bの洗浄装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
図1は、本発明による洗浄装置1の好適な実施形態を示すものである。この洗浄装置は、細長いV型の外側プロファイル2(外側プロファイル2の第一末端21及び第二末端21'が互いに角度αをとる)と、V型の基部を形成する中心部22とを有する。この好ましい実施形態において、角度αは約120度であるが、種々の角度が本発明の種々の応用に適しており、他の形状(例えば半円又はU-形状)は単なる小さな変更形態として本発明にも適している点に留意する必要がある。外側プロファイル2に沿って及びその周辺に、複数の減衰部材5が搭載される。上記減衰部材5は、好ましくは、少なくとも部分的に弾性材料(例えば、衝突吸収に適したゴム)を有する。
【0028】
複数の洗浄部材8は、本願明細書ではノズル形状であり、外側プロファイル2内部に設置された内側プロファイル3に沿って搭載され、一般的には上記の通り同じV形状をとる。減衰部材5は、内側プロファイル3又は洗浄部材8が損傷するリスクなく、洗浄装置1に対する衝突の吸収を通じて内側プロファイル3を保護するために設置されるが、同時に、減衰部材5は、洗浄部材8が任意の物質を遮断するリスクなく、洗浄部材8がそれらの周囲と自由に相互作用できるように設置される。この好ましい実施形態において、洗浄部材8は、ガス媒体を放出するように配置されたノズル8を備える。
【0029】
洗浄装置1の第一及び第二末端21、21'は、その周辺で洗浄装置1を固定するのに役立つ固定構造体6に搭載される。固定構造体6は、例えば、洗浄作業を制御するためのより大きなフレームか、とりわけ洗浄チャンバーの壁に取り付けることができる。
【0030】
図2aにおいて、外側プロファイル2を示すものである。これは、第一及び第二の細長い開口部23、23'を有し、それぞれ、V-型の各脚部に沿って中心部22から各第一及び第二末端21、21'の方向に延在している。中心部22は、中央開口部24としての形状をとる開口部も備える。これらの開口部23、23'、24の位置は、内側プロファイル3の形状に適応している。その結果、内側プロファイル3は、外側プロファイル2によって完全に囲まれることができる一方で、同時に、洗浄部材8は、外側プロファイル2の周囲と接触することができ、そこにおいて自由動くことができる。外側プロファイル2は、中空であり、末端開口部は、中心部22と第一及び第二末端21、21'に提供される点に留意する必要がある。これらの末端開口部を通じて内側プロファイル3を、下記で更に述べるように、挿入して搭載することができ、そして、加圧媒体(例えばガス又は流体)用の接続部を、洗浄部材8に上記媒体を供給するために内側プロファイル3に挿入することができる。上記3つの各入口(即ち、第一及び第二末端21、21'と、中心部22における上記開口部)と大気との接続を分断することにより、放出される加圧媒体の強さを種々の洗浄部材8、9間で変化させることができる。例えば、遠位のノズル8よりも高い圧力の圧縮媒体を中央ノズル9を通じて導入することが可能であり、その逆も可能である。
【0031】
図2bは、外側プロファイル2内部に設置される内側プロファイル3を示すものであり、上記内側プロファイル3は、第一アーム31及び第二アーム31'を備え、それぞれは結合リンク部材30、30'によって中間体32と接続する。したがって、第一及び第二アーム31、31'は、本実施形態において、結合リンク部材30、30'を通じて相互に接続する2つのセクションを形成するが、他の実施形態において、他の形状(例えば半円又はU-形状)を形成するように相互に連結してより多くの数のセクションを有することがより適切であってもよい。
【0032】
複数の開口部33は、第一及び第二アーム31、31'に沿って設置される。本実施形態において、複数の開口部33は、ネジ山セクションを備え、ノズル8は、洗浄部材8が形成される位置に確実にネジ止めすることができる。中間部32は、中心ノズル9を同様に搭載できる中心開口部34を備える。
【0033】
ベアリング4を第一及び第二アーム31、31'の各末端及び中間部32の各末端に設置し、内側プロファイル3が外側プロファイル2内部に搭載されると、これらのベアリングによって内側プロファイル3が回転することができる一方で、外側プロファイル2は静止した状態が保たれる。結合リンク部材30、30'は、ねじり動作でなく曲げを許容するように配置される。その結果、第一アーム31と中間部32の間に形成される角度は結合リンク部材30を曲げることによって変化させられることができるが、第一アーム31が回転すると同様に中間部32も回転するだろう。これは、アーム31、31'のうちの1つが回転すると、回転しているセクションと結合している他の全てのセクションが同じように回転するように、第一及び第二アーム31、31'同士のトーションが硬いことを意味する。第二アーム3は、同様に配置される。
【0034】
中間部32から離れて配置される第一及び第二アーム31、31'の末端において、調節ニップル35は、第一及び第二アーム31、31'の回転調節を可能にするために搭載される。
【0035】
図3aは、外側プロファイル2内部ではなく内側プロファイル3周辺に搭載されるベアリング4の1つを示す。図3bは、外側プロファイル2周辺に搭載でき、洗浄装置1に対する衝突を吸収するのに役立つ減衰部材5の1つを示す。減衰部材5は、好ましくは、外側プロファイル2の外周の周りを挟むように搭載してもよい。その結果、外側プロファイル2をへこませることなく、それらがぴったりとフィットする。本実施形態において、減衰部材5は、衝撃吸収物質(同様の弾性材料のゴム)のコーティング部分を有するが、代わりに、減衰部材5は、柔らかい金属材料、複合材料等を含むことができる。
【0036】
図3cに、結合リンク部材30又は30'を示している。第一又は第二アーム31、31'及び中間部32としっかりと固定するのに適した固定部を有する2つの末端を備え、上記2つの末端間における屈曲可能なセクションは、相互接続リンク部材30、30'を曲げて2つの末端間での所望の角度を形成することができる。
【0037】
図4は、調節接続体7によって洗浄装置1の内側及び外側プロファイル3、2が搭載された固定構造体6を示す。調節ニップル35は、調節接続体7を通って突出し、外側プロファイル2に対する内側プロファイル3の回転操作が可能であることがここで明らかになる。調節接続体7は、調節板70を更に備え、調節板70の一端は、固定構造体6に接続し、他端は、洗浄装置1の内側及び外側プロファイル3、2に接続する。
【0038】
図5a及び図5bは、調節接続体7を固定構造体6及び外側プロファイル2にそれぞれ固定するための調節板70、70'及び調節開口部71、72を備える調節接続体7の第一及び第二形態を示す。外側プロファイル2と接続するために配置された調節開口部72には、グレーディング73が備わっている。グレーディング73は、所望の結果を達成するために、調節ニップル35によってどのくらい内側プロファイル3を回転させるかを決定する際の助けとなる。図5a及び5bに示される調節接続体7の第一及び第二形態間の主な相違は、調節板70、70'の形状であり、本発明による洗浄装置1の用途に適するように、種々の長さを採用することができ、調節開口部71、72間の角度をより小さい角度かより大きい角度となるに形成してもよい。
【0039】
図6a、6b及び6cは、外側及び内側プロファイル2、3を備える洗浄装置1を他の構築物(例えば壁又はフレーム)に固定するのに役立つ固定構造体6を示す。固定構造体6は、外側シリンダー60と、上記他の構築物に固定するための固定板65とを備える。内側シリンダー61は、上記外側シリンダー60内部に設置され、上記外側シリンダー60に対して軸方向と回転方向にスライドさせることができる。外側シリンダー60は、ロック部材63のための開口部64を備え、この実施形態において、シリンダー60、61との相対運動を防止できるように内側シリンダー61に摩擦力を発揮することができる摩擦ネジ63を備える。内側シリンダー61は、以下で更に述べる通り、内側シリンダー61を調節するための適切な横方向及び縦方向の長さを有し、洗浄装置1を保護位置に移動させることができる溝62を更に備える。
【0040】
内側シリンダー61は、調節接続体7の調節開口部71が搭載可能なフランジ67が端部に存在する。上記搭載は、ネジ又は他の任意の適切な接続手段を用いて成し遂げることができ、フレーム又は壁に対する固定構造体6の搭載についても同様である。
【0041】
図7aにおいて、洗浄装置1は、搭載された状態として見ることができ、本願明細書においてはコンベヤーベルト12の形である洗浄表面の近くに配置されている。装置1は、固定構造体6及び調節接続体7によって側壁に取り付けられている。図7aにおいて、洗浄装置1は、水平に吊るされて、洗浄される材料又は構造物を輸送する下方のコンベヤーベルト12よりも上にある。当業者であれば、洗浄装置1は、洗浄表面の配置に応じて水平(horisontally)と別の方向に配置することができると理解する。例えば、洗浄表面が車両である場合、洗浄装置1は、図7aのような固定式の代わりに、車体にわたって移動可能だろう。
【0042】
図7aにおいて、洗浄表面は、上記コンベヤーベルト12のA方向に輸送されるスチール素材である。したがって、吊るされると、加圧空気等の洗浄媒体は、洗浄部材8を通じて排出することができ、スチール素材の表面と相互作用することができる。そして、この相互作用によって、上記表面を洗浄することができる。他の好ましい実施形態として、洗浄表面は、パルプ及び紙の生産工程における一連のウェブである。更に別の実施形態では、洗浄表面は、コンベヤーベルト12上で輸送される複数の対象である。これらの対象の存在のために、洗浄装置1は、洗浄装置1と対象とが衝突する危険性が増すため、スチール素材又は一連のウェブでの実施形態よりもコンベヤーベルト12からの距離を大きくとって搭載する必要があるだろう。更に他の実施形態において、洗浄表面は、パルプ及び紙の生産工程において使用される回転トランスファーロールの表面である。ここで、洗浄装置1は、トランスファーロールに対するその配置が直上ではなく、むしろロールの中央から水平距離にあるか、更には上記ロール下の垂直距離にあるように搭載する必要性があってもよい。
【0043】
しかしながら、対象又はトランスファーロールの表面、コンベヤーベルト12上の一連のウェブ又はスチール素材を洗浄することに関する本願明細書に記載の工程は、上述の任意の実施形態による本発明の特定の応用、又は、実際に請求項によって特定される本発明に適した他の任意の応用とは関係なく類似している点に留意する必要がある。僅かな調節、例えば、ノズル8、9を通じて排出される洗浄液又は洗浄ガス及びそれを放出する力を選択することは、当然要求可能である。例えば、一連のウェブの洗浄には、ステンレススチール素材の洗浄よりも小さい力が必要とされるだろうし、洗浄作業を実行するのに最も適した洗浄剤は異なるだろう。
【0044】
表面を洗浄する際には、多くの要因が洗浄作業の効率に関与する。かかる要因の一つは、洗浄部材8を通じて噴霧される媒体の圧力であり、他にはスチール素材に対する媒体の入射角がある。V型か同じように屈曲している洗浄装置1は、より効率的な洗浄作業を可能にし、スチール素材の表面に存在する物質をスチール素材のサイド方向に押し出すことができるため、表面から全体的に取り除くことができる。
【0045】
内側プロファイル3が回転可能であるため、洗浄部材8は、洗浄装置1を取り除くことなく、その横向の姿勢から洗浄表面に対する入射角を変化させるように調節することができる。これは、本発明の非常に有利な点である。その理由は、洗浄装置1の作業を最適化することができ、入射角を容易に調節するとができ、洗浄対象及び除くべき物質又は粒子に応じた最も可能性がある洗浄結果をユーザーが成し遂げることができるためである。除去が困難な場合、表面に対してより高い圧力を加える入射角を最も適切なものにしてもよい。その一方で、より容易に除去可能な物質又は粒子は、おそらく、垂直線に対してより大きな角度にてノズル8を向けることによってエネルギー効率がより良い方法で除去される。
【0046】
図7bは、幅がより狭いコンベヤーベルト12を横切るように吊るされて搭載された洗浄装置1を示す。本願において、洗浄装置1の位置は、最適化された洗浄を達成するように調節することができ、洗浄部材8のいくつかは、コンベヤーベルト12より上に直接位置する洗浄装置8が洗浄作業を集中できるように非活動状態にあってもよい。
【0047】
移動している材料又は対象を洗浄する領域における一般的な問題点は、材料又は対象をその移動時に揺らさなければならない場合、又は、それが洗浄装置1の直近まで延在する不均一な領域である場合における洗浄装置1との衝突リスクである。かかる衝突において、洗浄部材8に洗浄作業を非常に損なうような位置移動が生じるか、洗浄装置1自体がその作業を妨害されるか、そうでなければ損なわれるような損傷が生じるだろう。この目的のために、減衰部材5は、上記の通り提供されるが、追加の防護措置として、固定構造体6は、洗浄装置1が図8に示す垂直位置に到達するように回転させることができる。この回転は、衝突が内側シリンダー61に対する摩擦ネジの摩擦力よりも大きい力を引き起こすと、洗浄装置1に作用する。この衝突が、摩擦ネジ63による内側シリンダー61の放出を引き起こすだろう。このように、摩擦ネジ63が内側シリンダー61の溝62の末端に衝突するまで、内側シリンダー61は外側シリンダー60に対して回転することができる。溝62は、摩擦ネジ63が達している溝62の末端において、摩擦ネジ63が内側シリンダー61をロックしている位置から90度移動することが可能なように構成されており、これにより内側シリンダー61の更なる回転が防止される。この位置において、洗浄装置1は、垂直方向に対して約90度回転しており、コンベヤーベルト12上で輸送されている材料又は対象と更に衝突する危険性が非常に低い保護位置に到達している。洗浄装置1のこの移動のおかげで、洗浄装置1は、修理を必要とせず、より長い期間使用することができ、その操作性を高品位に維持することができる。内側シリンダー61に対する摩擦ネジ63による摩擦が最大衝突力と一致する構成の場合、洗浄装置1は損傷のリスクを冒すことなく支持することができ、その結果、損傷の危険性が生じる前に摩擦ネジ63が洗浄装置1を保護位置1に放出するため有利である。しかしながら、より小さい衝突だけが予想される場合、洗浄装置1を作業位置に保つことも有利である。理由は、これらのより小さい衝突は、減衰部材5によって吸収することができ、洗浄装置1自体に損傷を引き起こす危険性がないためである。
【0048】
洗浄装置の操作は、以下において図を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
洗浄装置1を取り付けると、内側プロファイル3は、内側プロファイル3が外側プロファイル2に対して自由に回転することができる一方で後者の固定を維持するのに役立つベアリング4によって外側プロファイル2に設置される。屈曲可能にする一方で同時に第二アーム31'に対する第一アーム31の回転を阻害する結合リンク部材30、30'のおかげで、内側プロファイル3は回転可能であるのと同時に外側プロファイル2の形状に適しており、その結果、この実施形態のV形状が保存される。減衰部材5を取り付けて、外側及び内側プロファイル2、3を調節接続体7によって固定構造体6に搭載した後、且つ、洗浄部材8をノズル及び中央ノズル33、34のための開口部に搭載した後に、洗浄装置の使用の準備が整う。
【0050】
調節ニップル35を回転させることによって、ノズルとコンベヤーベルト12との間の角度は、洗浄作業性を最適化するように調節することができる。これは、本実施形態においては、手動で調節ニップル35を回して、グレーディング73をチェックし、どの角度を選択したかを決定することによって達成されるが、ある実施形態においては、操作者又は予めプログラムされたソフトウェア製品によって提供される指示に従って洗浄装置の作業を制御及び適応させるのに役立つ制御手段によって自動的に実行させることもできる。当然、コンベヤーベルト12に合わせて、複数の洗浄装置を提供することができる。その結果、複数の洗浄作業を、輸送されている材料と同じ対象又は領域に順次実行することができる。その場合、複数の洗浄装置の調節ニップル35は、同一の洗浄作業を可能にする同じ位置か、洗浄効果が異なる位置に調節することができる。
【0051】
洗浄用媒体は、供給チューブ(図示せず)を内側プロファイル3の末端及び/又は内側プロファイルの中間部32に接続することによって洗浄装置1に供給される。この目的のために、外側プロファイル2は、プロファイル2のいずれかの末端に開口部23、23'を備え、また、内側プロファイル3の中間部32に対応する中央開口部24を備える。これらの開口部の一部又は全部を通じて、媒体は、洗浄用ガス又は液体の形態で好ましくは供給することができる。この好ましい実施形態においては、圧縮空気が使用され、コンベヤーベルト12上の材料を洗浄するためのノズル8、9を通じて噴霧されるが、他の媒体(例えば酸素、洗浄液又は水)を洗浄装置1の応用によっては使用することもできる。洗浄装置1は、作業中に直面するであろう材料及び物質由来の影響に対して抵抗力がある材料を用いて製造してもよく、これによって腐食及び類似の有害な処理が回避される。スチール素材を洗浄する場合、例えば、洗浄装置1に耐酸性スチール素材を使用することが有利である。一連のウェブを洗浄する場合、洗浄液として水を使用することはより有利であってもよい。洗浄装置1は、ステンレススチール又は他の適切な材料から作ることができる。
【0052】
媒体を供給する供給チューブのためには使用されない開口部又は複数の開口部は、漏出を防止し、内側プロファイル3内部での所望の圧力を維持するために好ましくは封止されている。必要に応じて、上記開口部は、同じ内側プロファイル3中の種々の媒体を供給するように用いることができる。この場合、媒体の混合を防止するために内側プロファイル3の部品を封止することは当然有利である。例えば、1つの媒体は、中央ノズル9を通じて噴霧することができ、その他はノズル8を通じて噴霧することができる。媒体又は複数の媒体を洗浄部材8、9から吹き付ける圧力は、当然、応用に応じて変更してもよい。
【0053】
そして、洗浄装置1は、水平方向に吊るされた洗浄装置1の下を通過する材料又は標的を洗浄するために使われる。必要に応じて、洗浄装置1は、固定構造体60の内側シリンダー61を操作して洗浄装置全体を片側に押すことによって横方向に調節することができる。この調節は、操縦者による手動又は特定用途に適していることに応じて制御システムによる自動化によってなされることもできる。
【0054】
ある実施形態において、洗浄装置1は、洗浄される材料の下に吊るし、上方に噴霧するように配置することができる一方で、他の応用は、種々の位置に吊るされた複数の洗浄装置の組合せを必要としてもよい。
【0055】
洗浄装置1の作業中における損傷リスクは、洗浄装置1の下を通過して、洗浄装置1と衝突し傷つける材料又は対象に起因して生じる。より小さな衝突だけが洗浄装置1に生じた場合、その力は減衰部材5か、更には洗浄部材8、9及び内側プロファイル3を保護する外側のプロファイル2自体によって吸収され得る。損傷は、洗浄作業を非常に損なう結果となる。しかしながら、より大きな衝突は、減衰部材5が容易に処理できる力よりも大きい力に関するものであるため、上述の保護位置をとる。これは、洗浄装置1に対するそのような大きい衝突を通じて、摩擦ネジ63が外側シリンダー60からの内側シリンダー61の開放を引き起こすことによって達成される。そして、内側シリンダー61は、摩擦ネジ63が溝62の末端に到達して更なる動作が防止されるまで自由に回転することができる。衝突によって、洗浄部材1は上方へ押される。更なる移動がもはや不可能になると、摩擦ネジ63は、外側シリンダー60に対する位置に内側シリンダー61を再び固定し、洗浄装置は図1に示す保護位置をとり、内側及び外側プロファイル3、2は垂直方向に配置される。この位置においては、コンベヤーベルト12に沿って輸送されている材料又は対象由来の衝突に起因する損傷リスクは非常に小さい。その理由は、コンベヤーベルト12と洗浄装置1との間の距離が著しく増すためである。洗浄装置1を水平方向に吊るす位置へ移動させるために、内側及び外側プロファイル3、2は、手動で操作するか制御システムによって制御するか、適切と考えられる方で操作または制御することができる。しかしながら、提供される機構は、摩擦ネジ63を通じた外側シリンダー60に対する内側シリンダー61の回転を使用し、電力供給又は制御システムの操作を必要とすることなく動作させることが有利である。その理由は、これは電源故障の状態又は他の緊急の状況下でさえも機構の操作が可能だからである。
【0056】
本発明は、上述の好ましい実施形態に制限されると思うべきではなく、添付の特許請求の範囲内で変更させることは可能である。例えば、洗浄部材は、ノズルというよりはむしろ切れ込み又は開口部であってもよく、又は、ノズルは、別々に搭載して提供することができる。例えば、材料又は標的の輸送について開示されたコンベヤーベルトは、エンドレスベルトにおけるスチールを輸送する工程か、抄紙機における紙又は繊維ウェブに置き換えることができる。使用目的によっては、洗浄装置は、洗浄される材料、標的又はウェブに沿って動くことができる一方で後者は静止したままにすることが有利かもしれない。
【0057】
従って、当業者は、本発明による洗浄装置がある種の産業分野には限定されないが、多様な洗浄作業に用いてもよく、洗浄対象が一連のウェブ、コンベヤー又はベルトに関わらず、又は洗浄対象が製紙業に用いられる回転トランスファーロールである場合であっても、多様な材料が洗浄されることを理解している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8