(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マンドレルツールは前記ダーティセクションで組み立てられ機械加工され、前記部品用の複合材料は前記クリーンセクション内の前記マンドレルツール上にレイアップされ、前記部品用の前記複合材料は隣接する硬化セクションで硬化され、さらに前記硬化部品は前記ダーティセクションで機械加工される、請求項1に記載の方法。
前記ダーティセクションでの作業は前記マンドレルツール及び前記硬化部品のトリミング及び機械加工を含み;さらに前記クリーンセクションでの作業は前記レイアップ及び材料の切断を含む、請求項1に記載の方法。
前記レイアップの形成に先立って、前記強化繊維に対して許容可能なテープ幅を決定するため、材料のレイダウンを管理する一連のルールを工学的定義に適用すること;及び前記レイアップの形成を高速化する許容可能なテープ幅を選択することをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
複合材部品を製造するためのマスターレスのレイアップマンドレルツールを作成する方法を示す、
図1を参照する。マスターレスのツールは、永久鋳型によって形成されていないツールを意味する。
【0009】
ブロック110では、部品設計の寸法に従ってセル型構造体が製造される。セル型構造体は、ツール全体を網羅して部品の大まかな起伏と断面形状を含むビレットを提供する。航空機の部品など、ある種の部品に関しては、ビレットは一定の曲率を有する起伏又は複合的で複雑な起伏となることがある。セル型構造体は前立板から形成されてもよい。材料系、及び前立板の密度及び厚みは、マンドレルツールの所望の耐久性に応じて調整することができる。材料系は、限定しないが、エポキシ及びビスマレイミド(BMI)を含んでもよい。前立板は、ウォータージェット、ルーター、又は他のツールで切断することができる。前立板は接着、機械的締結、またはその両方によってつなぎ合わせることができる。強度を高めるため、角度を付けてもよい。
【0010】
次に、「卵ケース状の」セル型構造体112を示す、
図2Aを参照する。このセル型構造体は開放セル116の配列を定義する前立板114から形成されている。卵ケース状の構造体112は上部と底部が開放されている。
【0011】
ブロック120では、セル型構造体112は膨張性の発泡状材料122で充填されている(
図2参照)。発泡状材料122は、レイアップ及び硬化などの加工条件時の寸法の安定性を維持する。例えば、発泡状材料122は、樹脂注入及び硬化、或いはプリプレグ硬化の温度で、分解又は収縮又は膨張してはならない。発泡状材料122は、このような温度で、分解又は収縮又は膨張してはならない。発泡状材料122は、樹脂注入時の圧力(又はプリプレグ硬化時のオートクレーブ圧力)下で変形してはならない。寸法安定性及び圧縮強度要件は、セル型構造体112上にその後形成される複合材表面板が予測可能な位置で硬化されるように、維持されなければならない。発泡状材料122の寸法安定性が実現されない場合には、表面板に付加的な材料が追加されることがある。これは好ましくない。例えば、表面板が所望の配置にない場合には、表面板の一部の領域は切除不足(未除去の状態)となり、他の領域は切除過剰(材料を過剰に除去した状態)となることがある。
【0012】
発泡状材料122の実施例は、限定しないが、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、炭素発泡体、セラミック、及び軽量気泡コンクリートを含む。発泡状材料122はブロックの形態であってもよく、又は注入及び硬化したものであってもよく、或いはこれらの何らかの組み合わせによって追加されてもよい。発泡状材料122は、発泡状材料の注入による過剰な接着を避けるため、互換性のある材料(例えば、原樹脂又は代替樹脂)で密閉されてもよい。
【0013】
ブロック130では、発泡状材料122及び前立板114は、表面板のレイアップに対して所望の表面を得るために機械加工される。結果として得られる機械加工された表面132の実施例は
図2Cに示されている。
【0014】
ブロック140では、表面板は機械加工された表面132上に形成される。しかしながら、表面板の形成に先立って、前立板114への表面板の接着を支援し、樹脂が発泡状材料122に浸透するのを防ぐため、機械加工された表面132に接着剤層を塗布してもよい。接着剤は原樹脂と互換性があることが好ましく、支持されていても支持されていなくてもよい。
【0015】
表面板は接着剤層の上に強化繊維を含む織布を配置することによって形成される。繊維は乾いた状態であってもよく、又はプリプレグであってもよい。繊維が乾いた状態にあるときには、乾燥繊維にはその後樹脂が注入される。この樹脂は「原」樹脂と呼ばれている。樹脂が注入された繊維又はプリプレグは、バギングされて硬化される。表面板は、接着及び機械締結の組み合わせによって、前立板に結合されてもよい。機械締結はクリップ又はブラケットで実施されてもよい。
【0016】
ブロック150では、発泡状材料122はセル型構造体から取り除かれる。樹脂が注入された繊維に関しては、発泡状材料122は樹脂注入後、硬化に先立って取り除かれることがある。プリプレグに関しては、発泡状材料122は硬化後に取り除かれることがある。幾つかの実施形態では、発泡状材料122はセル型構造体112の背面から削り取られ、掘り出されてもよい。他の実施形態では、発泡状材料122はブロックとしてそのまま取り除かれてもよい。
【0017】
幾つかの実施形態では、発泡状材料122はセル型構造体112から完全に取り除かれてもよい。発泡状材料122は、硬化中の熱要件が満たされることを保証するために(例えば、熱がツールの背面を通って運ばれることを保証するために)、取り除かれることがある。発泡状材料122はツールの背面を熱源から絶縁することができる断熱材であるため、硬化特性要件によって決定される所要時間で必要な温度になるのを妨げる。短い前立板を有するツールに関しては、発泡状材料は熱の影響が小さいため、結果的にその場に残してもよい。
【0018】
発泡状材料122のブロックを無傷のまま取り除いた場合には、ブロックは再利用可能である。ブロックの再利用は将来の費用を削減し、製造速度を高める。無傷のまま取り除くことを可能にするため、セル型構造体の充填に先立って幾つかのステップが実行される。例えば、前立板114の壁はスリップシート(シートはテフロン(登録商標)ナイロン、フッ素エラストマーなどの材料から成る)で裏打ちされてもよく、或いは剥離フィルム、又は発泡状材料122と前立板114との間の接着又は摩擦係数を軽減する他の材料で裏打ちされてもよい。加えて、セル型構造体112の抜き勾配は、発泡状材料122が容易に引き出されるようになっているため、除去作業を促進することができる。
【0019】
ブロック160では、表面板の露出している表面が機械加工され、最終断面がベンチ試験される。最終的な機械加工によって、一般的なマスターツール鋳造では通常得ることが難しい許容誤差が保証される。最終の表面板の厚みは、ツールの耐久性及びツールに付与される応力負荷の関数となっている。0.25インチの最終厚みの最小値で耐久性が保証されるとすると、最初の厚みの値(例えば、1インチ)は、この最終厚みまで機械加工できるように決定される。機械加工はフライス盤で実施されてもよい。研磨によって、モールドライン表面には、所望の空力品質の表面仕上げを与えることができる。
【0020】
機械加工された表面板の表面は、複合材部品の目的の応用に応じて、部品の内側又は外側のモールドライン表面を形成することができる。部品のバギングした側により良好な表面仕上げを作るためにコールシート(caul sheet)が使われていない場合には、複合材部品のツール側は一般的にバギングされた側よりも良好な表面仕上げを有する。
【0021】
ブロック170では、機械加工された表面板の表面は洗浄、密閉、及び剥離剤被覆される。密閉によって小さな孔隙は充填され、剥離剤被覆によって非粘着処理が施され、硬化した製品は固着することなくツールから取り外すことが可能になる。
【0022】
さらに
図2Dを参照すると、機械加工された表面板142を含むレイアップマンドレルツールの例が図解されている。表面板142は、前立板114に共接着されている。前立板114は表面板142への一体補剛をもたらし、高断面ツール用の下部構造体への取り付けを可能にし、(そのまま使用される)低断面ツール用の基礎水準システムを提供する。より大きな表面板142の一体補剛は有用であるが、これは表面板が大きくなるにつれてより「薄く弱く」なるためである。一体補剛はまた、表面板142の剛性を高める。
【0023】
ブロック180では、レイアップマンドレルツールは使用する準備が整っている。幾つかの実施形態では、複合材部品を製造するためにツールだけが使用されることがある。
【0024】
他の実施形態では、マンドレルツールはより大きなマンドレルツールシステムの1セクションとなることがある。マンドレルツールシステムは複数のセクションを一体に組み立てることによって形成される。マンドレルツールシステム全体にわたって完全な真空を確保するため、セクション間に真空密閉プレーンが使用されることがある。1つのセクションを製造現場からレイアップの現場へ出荷する必要がある場合には、過大な積載物を出荷する際の費用及び遅延を回避するため、レイアップの現場でセクションの組み立てを行うことが有利となる。
【0025】
高断面ツール(一般的に高さ約24インチを超える)は、前立板の高さ及び発泡状材料の容積を低減するため下部構造体を使用してもよい。下部構造体は、ツールの剛性を損なうことなく(前立板は表面板の表面に剛性をもたらす)床又は台車の上方のツールを支持することができる。これとは対照的に、低断面ツールは部品製造用の比較的短い前立板と共に「そのまま」使用可能であり、床又は台車からツールを支持するための付加的な構造体を必要としない。
【0026】
マスターレスのツールの耐久性は、表面板の厚みを増すこと、及び前立板の剛性と厚みを増すことによって高めることができる。前立板の剛性は前立板間の間隔を狭めることによって高められる。耐久性はまた、前立板により耐久性の高い材料を選択することによって高められる。例えば、BMIはエポキシよりも耐久性が高い。
【0027】
複合材部品は大きさが変わることがある。複合材部品は少なくとも約1フィート×1フィートの表面積を有することがある。
【0028】
図3を参照すると、マンドレルツールを製造し、またそのマンドレルツールを使用して複合材部品を製造するための単一の製造セル310が図解されている。同一の現場でマンドレルツールを構築し、それを使用することによって、費用、時間、及び出荷の物流管理(大型商用航空機ではこれらはすべて相当な量となる)が低減される。製造された複合材部品のみが出荷される。
【0029】
製造セル310はダーティセクション320及びクリーンセクション330を含む。ダーティセクション320での作業は、限定しないが、マンドレルツール及び硬化した複合材部品の組み立てと機械加工(例えば、トリミング、フライス加工及び穿孔)を含む。作業が、未硬化の複合材料を処理するためのクリーンルーム要件を損なう塵芥を発生させる可能性がある場合には、作業はダーティなものとみなされる。機械加工などの「ダーティ」な作業に対しては、ダーティセクション320は塵芥及び破片を最小限に抑えるための真空システム322を含んでもよい。真空システム322は塵芥除去に98%以上の高い有効性を有することができる。
【0030】
クリーンセクション330での作業は、マンドレルツール上での複合材レイアップを含むことがある。幾つかの実施形態では、繊維は静止したレイアップマンドレルツール上に堆積されてもよい。他の実施形態では、繊維はツールが回転されている間に、レイアップマンドレルツール上に堆積されてもよい。複合材レイアップは表面板レイアップ及び部品レイアップを含むことがある。
【0031】
クリーンセクション130での作業は、コールプレートの設置、バギング、及び材料の切断をさらに含むことがある。例えば、樹脂注入又は事前含浸のための織布は、超音波ナイフ或いはプライカッター又は手工具などの他の装置で切断可能である。樹脂注入はまた、クリーンセクション330で実施されてもよい。
【0032】
作業がクリーンルーム要件を損なうことがなく、汚染の懸念によりクリーンルームで実施されることを必要としない場合には、作業はクリーンなものとみなされる。クリーンセクション330は、仕様の範囲内の環境条件を維持するため、空気ろ過及び空調システムを含むことがある。一般的に、複合材施設は、温度、湿度、及び監視される粒子状物質数に関してクラス400,000のクリーンルームを必要とする。機器及び工作機械はダーティセクション320からクリーンセクション330に移されたとき、これらの要件を満たさなければならない。クリーンセクション330が仕様に影響するのであれば、空気から塵芥を取り除くため、システム332の空気循環フィルタに対して待ち時間が必要となることがある。
【0033】
製造セル310は、このようなクリーン作業とダーティ作業をすべて実施するため、ダーティセクション320とクリーンセクション330との間で移動可能な、共通のエンドエフェクタ位置決めシステム340を含む。エンドエフェクタ位置決めシステム340は、作業を実施するため複数の交換可能なエンドエフェクタを使用することができる。エンドエフェクタは、ダーティセクション320とクリーンセクション330に配置されるエンドエフェクタステーション350に配置されてもよい。ダーティセクション320とクリーンセクション330の双方でエンドエフェクタを交換するには、手動、自動、又は半自動のチェンジャーを使用することができる。
【0034】
エンドエフェクタは、機械加工(例えば、フライス加工、穿孔)のためのツール、ツール前立板用のウォータージェットカッター、トリミング用ツール、テープ又はスリットテープのトウのレイダウンのための積層ヘッド、塗装用の塗料噴霧ヘッド、プリプレグ又は乾燥材料を切断するための超音波カッター、部品又はツール表面板の超音波検査のための(必要なシューを備えた)NDIヘッド、複合材部品エレメントを形成するためのストリンガーロール成形機、ツール又は部品材料用の材料供給機、2部品ポリイソシアヌレートシステムなどの工具発泡体用途の発泡材料供給機、ツール前立板内に事前に硬化した発泡体工具ブロックを配置するためのハンドリングエンドエフェクタ、ツール表面板又は複合材部品の幾何形状及び寸法の検査のための検査プローブを含んでもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ位置決めシステム340は、複数の運動軸(例えば、最大7本までの軸)を有するガントリ342など、単一の位置決め機械を含んでもよい。他の実施形態では、位置決めシステム340は、クリーン作業及びダーティ作業を実施するため、1台又は複数台のロボットを含んでもよい。1台のロボットは交換可能なエンドエフェクタを含んでもよい。複数台のロボットは専用のエンドエフェクタの組み合わせを使用することができる。
【0036】
他の種類のエンドエフェクタ位置決めシステムは、リニアデカルト軸プラットフォーム、回転軸プラットフォーム、及び並行運動学を利用するスチュワートプラットフォームの組み合わせを含むことができる。具体的な実施例は、ガントリ、ロボット、レール移動式ロボット、回転風車式プラットフォーム、及びスチュワートプラットフォーム(例えば、ヘキサポッド)を含む。これらの実施例の各々では、エンドエフェクタ位置決めシステム340は、性能要件(例えば、角度、速度、加速度、剛性度、移動範囲、有用性、着脱が容易な結合)を満たしつつ、選択されたエンドエフェクタの機能を実行するためにある位置まで又はある経路に沿って、そのエンドエフェクタを運ぶように構成されている。
【0037】
エンドエフェクタ位置決めシステム340は、ダーティセクション320とクリーンセクション330との間で移動可能である。幾つかの実施形態では、エンドエフェクタ位置決めシステム340は機械のレールシステム360によって移動されてもよい。他の実施形態では、エンドエフェクタ位置決めシステム340は空気ベアリング又は車輪によって移動され、さらに局所的に位置決めされてもよい。
【0038】
マンドレルツール支持体370は、レイアップ中にマンドレルツールを支えるために提供される。幾つかの実施形態では、マンドレルツール支持体は、ダーティセクション320とクリーンセクション330との間で移動可能なテーブル370を含んでもよい。テーブル370はガントリ342の機械脚部の間に配置可能であってもよい。
【0039】
エンドエフェクタ位置決めシステム340は、洗浄のための滑らかな表面をもたらす金属薄板又は他の材料で被覆されてもよい。エンドエフェクタ位置決めシステム340はまた、保護被覆としてポリウレタン系プラスチックを利用してもよい。このようなプラスチックは、ダーティセクション320からクリーンセクション330へエンドエフェクタ位置決めシステム340を移動する前に、洗浄のため容易に取り除くことができる。これはクリーンルーム要件を維持するのに大いに役立つ。
【0040】
幾つかの実施形態では、ファストドア、ストリップドア又はフリーザードアなどの障壁380は、ダーティセクション320とクリーンセクション330とを分離する。これらのドアは条件の異なる領域間の環境制御を維持するように設計されている。クリーンセクション330は、塵芥及びその他の汚染物質を締め出すため、陽圧にされてもよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、障壁380は気密室を含むことがあり、この気密室は固定式または移動式であってもよい。気密室は、連続した2つの気密ドアを有する部屋を含んでもよい。ドアは同時には開かない。一般的に、気密室は、室内の圧力変化及び容器からの空気の損失を最小限に抑えつつ、圧力室とその周囲との間で人及び物の通過を可能にする。エンドエフェクタ位置決めシステムはクリーンセクション330から汚染物質を締め出すようにセクション320と330との間で移動できるように、蛇腹設計を有する気密室は、エンドエフェクタ位置決めシステム340を覆う携帯型の密閉室を含んでもよい。
【0042】
クリーンセクション330からダーティセクション320への移動に関しては、クリーンセクションのドアが開けられ、エンドエフェクタ位置決めシステム340(既に洗浄済み)が気密室に移動され、クリーンセクションのドアが閉じられ、ダーティセクションのドアが開けられ、さらにエンドエフェクタ位置決めシステム340がダーティセクション320に移動される。次にダーティセクションのドアが閉じられる。
【0043】
ダーティセクション320からクリーンセクション330への移動に関しては、ダーティセクションのドアが開けられ、エンドエフェクタ位置決めシステム340(既に汚染されている)が気密室に移動され、ダーティセクションのドアが閉じられる(クリーンセクションのドアは既に閉じられている)。エンドエフェクタ位置決めシステム340は洗浄されている(例えば、保護被覆は剥ぎ取られ、システム340は拭き取られている)。気密室内部の環境が清潔であることが検証された後、クリーンセクションのドアが開けられ、エンドエフェクタ位置決めシステム340はクリーンセクション330内へ移動される。
【0044】
製造セル310は、表面板及び複合材部品を硬化するための隣接した硬化セクション390を含むことがある。幾つかの実施形態では、硬化セクション390は、プリプレグを加熱及び加圧下で硬化するためのオートクレーブ392を含んでもよい。他の実施形態では、硬化セクション390は加熱下での樹脂注入織布又はオートクレーブ外での処理用に設計されたプリプレグ材料の硬化用のオーブン394を含んでもよい。
【0045】
硬化セクション390は、好ましくはクリーンセクション330に隣接している。近接していることにより物流の取扱いが簡素化される。ツール又は部品は、底面に加熱に適したキャスター又は車輪を有するマンドレルツール、又はオートクレーブ硬化に耐えるように設計された台車に載せられて、オートクレーブとの間を往復してもよい。
【0046】
硬化された部品の非破壊検査は、クリーンセクション330で実施されてもよい。非破壊検査は、塵芥が非破壊検査に影響しないのであれば、ダーティセクションで実施されてもよい。
【0047】
製造セル310は比較的小さな設置面積となることがある。長さ45フィート、幅20フィート、高さ12フィートの複合材部品を製造するための製造セルの例を考えてみる。このようなセルは、約5,000平方フィートの床面積と約25フィートの天井高を有することがある。製造セル310の床は平らで、エンドエフェクタ位置決めシステム340の重量及び負荷に対して十分な基礎を有することができる。比較的小さな設置面積にすることにより、中央の大きな施設に単一の大きなセルを建設するのではなく、様々な位置に複数の製造セルを建設することが可能になる。
【0048】
製造セル310の利点は、航空機製造業者の主要製品施設から離れて位置に配置できることにある。例えば、製造セルは空港または航空機の修理が行われる他の場所に近接して配置されてもよい。近接して配置することにより、物流費用(例えば、梱包、輸送)が大幅に削減され、フロー時間が短縮される。これにより航空機のダウンタイムがさらに低減される。
【0049】
製造セル310はまた、レールシステム360に沿ってエンドエフェクタ位置決めシステム340を移動し、且つエンドエフェクタ位置決めシステム340にクリーン作業とダーティ作業を実施するように命令するための、共通の制御装置344を含むことができる。制御装置344には、プログラミング及びシミュレーションツールからプログラムが与えられることがある。このプログラミング及びシミュレーションツールは、製造セル310内で使用されるエンドエフェクタ全種に必要な指示を与えるように設計されてもよい。
【0050】
ここで
図4を参照すると、レイアップマンドレルツール及び複合材部品の両方を製造するために製造セル310を使用する方法が示されている。ブロック400では、制御装置344はツール及び部品を製造するための指示を受信する。この指示は、エンドエフェクタ位置決めシステム340がエンドエフェクタを選択し、所望の機能を実施するため選択したエンドエフェクタを使用する命令を提供する。エンドエフェクタの穿孔に関しては、指示はドリルの位置と角度、送り速度、回転速度、及び穿孔サイクル指示を含むことがある。ツールのフライス加工又は部品のエッジトリミングに関しては、エンドエフェクタのフライス加工指示は、カッターの経路、角度位置、回転速度、及び送り速度を含むことがある。繊維配置エンドエフェクタに関しては、指示はヘッドの経路、角度位置、及び種々のトウに対する切断と追加のコマンドを含むことがある。指示は、製造セル310に対して設計されるプログラミング及びシミュレーションモジュールによって作成されてもよい。プログラミング及びシミュレーションモジュールは、複合材部品及びツールに関連する工学的定義から指示を導き出す。工学的定義は、孔、トリミング場所、及びプライの境界など、表面の幾何形状及び特性を特定することができる。プログラミング及びシミュレーションモジュールは、工学的定義からこれらの要件を取得し、これを製造セル310で処理可能な指示に変換する。制御装置344は次に以下を実施するための指示を実行する。
【0051】
ブロック410では、マンドレルツールのセル型構造体は、ダーティセクションで組み立てられ、発泡体が充填され、機械加工される。レイアップマンドレルツールは複合材前立板と共に組み立てられ、前立板はウォータージェットツール又はルーターツールで切断することができる。幾つかの実施形態では、前立板を組み立てて可動式テーブルに工程してもよく、これにより可動式テーブルはマンドレルツールの一部となる。
【0052】
その結果得られるセル型構造体は、調製された混合液、プレキャスト材料のブロック、又はこれらの組み合わせを使用して、組み立てられて発泡状材料で充填される。組み立てに続いて、エンドエフェクタ位置決めシステム340は、エンドエフェクタステーション350からフライス加工エンドエフェクタを選択し、フライス加工エンドエフェクタを装着し、発泡状材料及び前立板を機械加工する。次にエンドエフェクタ位置決めシステム340は、プローブヘッドを選択して装着し、位置の照合又は幾何形状を認証するための検査にプローブヘッドを使用する。
【0053】
ブロック420では、表面板用の強化繊維は、クリーンセクションで機械加工されたセル型構造体上にレイアップされる。幾つかの実施形態では、織布は織布調製用エンドエフェクタによって調製されてもよく、調製された繊維は超音波切断ナイフエンドエフェクタによって切断されてもよい。織布は、自動繊維配置(AFP)又は自動テープ積層(ATL)を実施するエンドエフェクタによって堆積されてもよい。他の実施形態では、レイアップはドレーピング及びハンドレイアップなどによって手作業で実施されてもよい。調製された織布は超音波切断ナイフエンドエフェクタによって切断されてもよい。
【0054】
ブロック430では、複合材料は硬化セクション390で硬化される。樹脂注入レイアップはオーブン内で硬化されるか、プリプレグレイアップはオートクレーブ内で硬化されるか、或いはオートクレーブ外のシステムはオーブン内で硬化される。樹脂注入は、エポキシ材料に関しては約350°Fで、BMI材料に関してはさらに高温での後硬化を含むことがある。特により高い前立板を有するツールに関しては、後硬化に先立って、発泡状材料はマンドレルツールから取り除かれることがある。
【0055】
ブロック440では、表面板の露出している表面が機械加工され、最終断面がベンチ試験される。必要となる何らかの手作業による仕上げもダーティセクションで実施される。塵芥の収集に関しては適切な電気掃除機が利用される。ツールの密閉も自動エンドエフェクタ(ローラーの噴霧)又は手動プロセスを用いて実施されてもよい。終了したレイアップマンドレルツールは洗浄され、部品レイアップのためクリーンセクションに移送される。
【0056】
ブロック450では複合材部品用の複合材料は、クリーンセクションで表面板上にレイアップされる。部品レイアップは、エンドエフェクタ位置決めシステム340(例えば、AFP又ATLを実施するエンドエフェクタ)によって自動的に実施されてもよく、或いは部品レイアップは手作業で実施されてもよい。
【0057】
コールプレートは(仕上がり要件に応じて)部品レイアップ上に配置されてもよい。部品レイアップは次にバギングされ、硬化セクションに移動される。
【0058】
ブロック460では、部品用の複合材料は硬化セクション390で硬化される。ブロック470では、硬化された部品はダーティセクション320へ転送され、トリミング及び穿孔が実施される。
【0059】
ブロック480では、トリミングと穿孔に続いて、仕上げられた複合材部品がレイアップツールから取り外される。比較的大きな部品は吊り上げ治具によって取り外される。仕上げられた部品は、超音波検査を可能にするため、NDI治具上に配置される。エンドエフェクタ位置決めシステム340は、部品の幾何形状に適応しうるNDIエンドエフェクタ(シュー)を選択することによって、NDIを実施する。
【0060】
ブロック490では、NDIに続いて、複合材部品はダーティセクションに移動され、そこで塗装される(他の実施形態では、塗装は別の施設で実施されてもよい)。エンドエフェクタ位置決めシステム340は塗装用エンドエフェクタを使用してもよい。ダーティセクション320での塗装を促進するため、何らかの付加的な換気(ポータブルダクトなど)が提供される。
【0061】
レイアップマンドレルツール及びエンドエフェクタ位置決めシステム340は、ダーティセクション320からクリーンセクション330への移動に先立って洗浄される。発泡体又はカーボン繊維が切断される場合には、塵芥を最小限に抑えるため、可能であれば浮遊微粒子を最小限に保つため何らかの冷却材と共に、高性能の真空集塵システム322が配備されてもよい。
【0062】
複合材部品を締結するための添接重ね板(splice doubler)及び他のエレメントを製造するために、従来の複合材及び金属(例えば、チタン)の製造技術が使用されることがある。幾つかの実施形態では、チタン締結具のみ、又は複合材エレメントのみ、又はチタン締結具と複合材締結エレメントの組み合わせが使用されてもよい。チタンからなるエレメントは、加熱成形及び機械加工などの従来のチタン製造プロセスによって製造されてもよい。複合材締結具エレメントは、ハンドレイアップ、バギング、硬化、トリミング、及び非破壊超音波検査などの従来の複合材プリプレグ製造技術によって製造されてもよい。一方向性材料に関しては、ハンドレイアップの代わりに自動繊維配置が使用されてもよい。幾つかの実施形態では、複合材重ね板、充填材、接合材は、複合材部品と同一の又は類似のプロセスに従って、同一の製造現場を使用して組み立て可能である。
【0063】
幾つかの実施形態では、分離されたクリーンセクションを使用しない。その代り、すべての作業は単一の部屋で実施される。例えば、単一の部屋は、クリーンルームの仕様を維持するのに十分な集塵システムを含んでもよい。他の実施形態は、クリーンルームを清潔に保つために機械上及びツール領域に配置される、一時的な/使い捨ての被覆を使用してもよい。例えば、被覆はポリエチレンフィルムを含む。機械及びツールの拭き取りは作業の間に実施されてもよい。クリーンルーム内で同一の機械でレイアップを実施することは可能で、材料切断用の超音波切削ヘッドを使用する。
【0064】
幾つかの実施形態では、レイアップマンドレルツールはある現場で組み立てられ、別の現場で使用されてもよい。しかしながら、追加のステップには、組み立て現場へのマンドレルツールの出荷、ツールの開梱、及び組み立て現場でのツールの据え付けが含まれることがある。同一現場でマンドレルツールを製造し使用することにより、物流費用が大幅に削減され、フロー時間が短縮される。
【0065】
部品及び表面板のレイアップ中に、織布はマンドレルツールの表面(前立板/発泡体の機械加工された表面又は表面板のモールドライン表面)上に堆積される。幾つかの実施形態では、マンドレルツール支持体はレイアップ中に静止していてもよい。
【0066】
他の実施形態では、マンドレルツール支持体はレイアップ中に回転されていてもよい。これらの他の実施形態では、マンドレルツール支持体は回転式マンドレルツール支持体を含んでもよい。支持体はマンドレルツールの回転に使用され、一方、強化繊維はマンドレルツールのレイアップ表面上に堆積される。
【0067】
複合材部品の設計に関しては、工学的定義は複合材レイアップ中に使用されるテープの幅を規定する。当該の工学的定義は元の部品のレイアップ中に使用されるテープの幅を規定してもよい。しかしながら、幅の広いテープを使用することにより、製造速度はレイアップ中に高めることができる。幅の広いテープを使用することにより、経路内での同じ数のトウに対してレイダウンが速くなるため、レイアップのフロー時間は短縮可能である。幅の広いテープでも製造の選択肢として手作業によるレイアップは可能である。幅の広いテープは、例えば、AFP機械が修理のため稼動していない場合でも、一定の起伏を有する小さな部品又は平坦な部品、或いは相当に大きな部品を迅速に製造する解決策を提供する。
【0068】
ここで
図5を参照すると、幅の広いテープが使用しうるかどうかを判断する方法が示されている。ブロック510では、複合材部品の工学的定義がアクセスされる。材料及び表面の幾何形状を規定することに加えて、工学的定義はまた複合材部品に対するプロセス仕様を定義してもよい。これらのプロセス仕様は、レイアップ指示、処理指示、硬化指示、プロセッサの能力認定、及び検査指示を含んでもよい。プロセス仕様はまた、レイダウン時に許容しうる偏差(例えば、重なり、間隙、及びロゼット(rosette)からの角度偏差)及びレイアップ内の許容しうる不具合(例えば、しわ及び縮み)を記述することができる。
【0069】
ブロック520では、材料のレイダウンを管理する一連のルールが、レイダウンに先立って工学的定義に適用される。このルールは、所定の幅の材料が仕様の配向及び位置にレイダウンされている場合に生ずる偏差及び不具合を特定する。幅の異なる材料の積層物は、異なる機械性能を有する。種類の異なる積層物はまた、種々の機械性能を有する。
【0070】
これらのルールは、テープの各層に対してテープの経路を決定するアルゴリズムを含む(テープの経路は、機械加工作業時のツール(例えば、繊維配置ヘッド)の移動を決定する一連の座標位置を含む)。アルゴリズムは、異なるテープ幅の各々に対して最小ステアリング半径を決定する経路生成アルゴリズムを含む。アルゴリズムは、限定されるものではないが、ロゼット(の配向)を指定するロゼットアルゴリズム、及び自然な経路(テープの両端の間で同一の距離が連続的に維持される場合には、自然な繊維張力を生む経路として特徴付けられる)をさらに含む。
【0071】
ルールは、部品のロゼット及び起伏に基づいて、しわ又は縮みなどの不具合なしで所定の幅の材料を所望の配向及び位置にレイダウンしうるかどうかを示している。以下の実施例を考えてみる。幅の広いテープ又はスリットテープは一般的に、幅の狭いテープよりも小さな最小ステアリング半径を有する(最小ステアリング半径とは、しわ又は縮みが許容しうるレベルで材料を旋回させることができる最小の半径である)。ルールは、幅の広いテープが最小ステアリング半径に違反するかどうかを決定することができる。
【0072】
ルールはプロセス仕様及び経験的な材料性能から導かれる。例えば、最小ステアリング半径は、平面上で試験を行い、許容範囲内にあるしわ又は縮みを探すことによって、様々な種類(材料系、織り方、樹脂含有量、など)及び幅の複合材料に対して得ることができる。使用される機械の種類及びその機械のプロセスパラメータ(例えば、張力、圧縮力)は、結果に影響を及ぼすことがある。積層物の機械特性性能は、張力及び圧縮力試験などの試験から得られるデータの別の実施例である。最初に、経験的なデータは試験材料の切り取り試験片から得てもよい。追加データは、時間をかけて、試験サブコンポーネント又は完成された組み立て品から得てもよい。
【0073】
ルール適用の結果は、複合材部品の製造に使用されるテープのリスト(種類及び幅による)である。幾つかの例では、リストはプライ又は部品の一部ごとに許容しうるテープを示している。第1の実施例として、起伏のある又は複雑な起伏のある胴体部分を考えてみる。この部品に関しては、リストは、90度の繊維配向に対して最大6インチの幅のテープを許容するが、他の繊維配向(例えば、0度及び45度)に対しては、わずか0.5インチの幅しか許容されない。
【0074】
第2の実施例として、リストは、1つの小さなゾーンを除くと、部品のすべての領域及びすべての繊維配向に対して、1/2インチ幅の材料を許容する。このリストにより、当該の小さなゾーンに対してはさらに幅の狭い(1/4インチ)材料が許容される。
【0075】
図5の方法により、部品が実際に製造される前に複合材部品の生産可能性(又は製造可能性)を試験することができる。複合材部品の設計時にテープ幅を増すことを検討することにより、経験的な試験を最小限に抑え、その結果、部品生産を高速化することができる。試行錯誤は避けられる。部品の再設計、再製造、及び再検証を何度も繰り返すことは回避される。検証用の切り取り試験片を物理的に構成し、試験プロセスの繰り返しに従う必要はなく、相当な時間と費用が節約される。この時間の短縮は、カスタマイズされる複合材部品の設計及び製造に関しては、特に貴重である。
【0076】
幾つかの事例では、複数の製造セルは複合材部品の製造に利用可能である。これらの施設は、限定しないが、実施されるレイアップの種類(ハンドレイアップ対自動レイアップ)、利用可能な機械の種類、利用可能なエンドエフェクタの種類、及び堆積可能な最も幅の広いテープなど、種々の機能を有する。
【0077】
ここで
図6を参照すると、テープ幅を増すだけでなく、複合材部品を製造するための製造セルを探すための、ルールに基づく生産性解析を実施する方法が図解されている。ブロック610では、解析は、部品の起伏の大きさを理解するため、複合材部品の工学的定義に基づいて実施される。大きさと起伏を理解することによって、テープ幅の選択を狭めることができる。典型的な自動繊維配置材料に関しては、1/8インチ、1/4インチ、及び1/2インチの典型的な幅の材料が使用されることがある。ハンドレイアップ及び自動テープレイアップに関しては、3インチ、6インチ、及び12インチのより幅の広いテープが使用されてもよい。ハンドレイアップに関しては、典型的に36インチ、48インチ、及び最大60インチの幅広テープが使用されることがある。
【0078】
これらのテープ幅候補の一部は、このステップで除外されることがある。例えば、複雑な起伏のある部品は、ハンドレイアップの候補にはきわめてなりにくい(その可能性は事前の生産可能性の知識に基づくであろう)。幅の狭い(1/8インチ、1/4インチ、1/2インチ)テープによる自動レイアップのみが検討される。他方、比較的均一な表面を有する部品は、6インチ幅テープによるハンドレイアップの候補となりうる。初期解析により、レイアップの種類(例えば、ハンドレイアップ対自動レイアップ)、候補テープ幅(例えば、1/2インチテープ対1/4インチテープ)、候補自動化機械(例えば、1/4インチテープをレイダウンする能力を有していない機械は、その後の検討から除外されることがある)、及び候補セル(例えば、1/4インチテープをレイダウンする能力を有していないセルは、その後の検討から除外されることがある)を狭めることによって、全体の解析時間を短縮する。
【0079】
ブロック620では、最も幅の広いテープと複合材部品の製造に最適なセルを特定するため、一連のツールが工学的定義に適用される。ルールは、(1)レイダウン機械の構成及びテープ幅と;(2)複合材積層物のバランス及び対称性、(3)構造性能、(4)複合材部品の重量、及び(5)複合材部品の製造速度(例えば、材料切れ期限、機械能力、機械が利用可能な時間帯、労働時間/費用、顧客ニーズのデータ、などの範囲内)、との間の最適なバランスを実現するこれらのセルを特定する。バランスされる他の要因は、限定しないが、自動レイダウン、及び工学的な変更作業を含みうる。工学的な変更作業は、種々のテープ幅を組み込むための、既存の生産構成からの修正を意味する。このバランスは、生産に時間を使う代わりに設計変更に時間を使うことを含む。
【0080】
例えば、部品表面の適合性により、コースサイズには限界があるため、レイダウン機械の構成が規定されているテープ幅でレイアップを実施できるかどうかはルールによって判断してもよい。32個の1/2インチ幅のトウ又は材料のスリットテープを有する機械、及び16個の1/2インチ幅のトウを有する他の機械の実施例を検討する。32個の1/2インチ幅のトウを有する機械のための圧縮ローラーは16インチで、一方、16個の1/2インチ幅のトウを有する機械のための圧縮ローラーは8インチである。同一幅のトウの場合、速度が一定であると仮定すると、同時に使用可能なトウの数量が大きくなるほど、レイダウン時間は速くなる。幾つかの場合では、部品の起伏に応じて、全体的に利用可能なトウの数は限られることがある。例えば、複雑な起伏を有する部品全体にわたって32個のトウを有する機械は、ローラーの適合性により効果的に使用しうる18個又は19個のトウを上限とすることがあり、したがって、1/2インチ幅のトウ(32個)を有する機械は、所定の部品構成に対して不必要な生産能力を提供することがある。より幅の広いテープは、とりわけ全般的に複雑な起伏の場合には、適合性に関してさらに多くの課題を有することがある。共通のレイダウン速度を仮定すると、トウが増えるほど、材料はより速くレイダウンすることが可能になり、部品はより速く製造することが可能になる。
【0081】
ここで
図7を参照すると、プロセッサ720及びメモリ730を含むコンピュータ710が図解されている。メモリ730は、
図6の方法をコンピュータ710に実行させるための命令740を含む。
【0082】
本明細書に記載の迅速製造は、特定の種類の複合材部品に限定されない。複合材部品の実施例は、限定しないが、主翼パネル、貨物室ドアパネル、自動車のフード及びパネル、トラックのフード及びパネル、複合材タンク用パネル、及び複合材ドームを含む。これらの部品の幾つかは複雑な起伏の表面を有することがある。