【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点を部分的に除去することである。この目的を達成するために、本発明は、航空機の空気抜き取りシステムであって、
航空機で気流を抜き取るのに適した少なくとも1つの空気抜き取り弁と、
第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度情報を判定し、かつ送信するように構成された第1の温度情報モジュールと、
第2の獲得チャネルを介して、第2の抜き取られた気流の温度情報を判定し、かつ送信するように構成された第2の温度情報モジュールと、
データ処理モジュールに結合された少なくとも1つの管理モジュールであって、
一方では、第1の獲得チャネルを介して、対応する空気抜き取り弁制御を可能にする第1の抜き取られた気流の温度情報、および/または他方では、第2の獲得チャネルを介して、所定の抜き取られた気流の温度しきい値の超過をモニタすることを可能にする第2の抜き取られた気流の温度情報を受信し、
第1の温度情報および第2の温度情報を送信する
ように構成された少なくとも1つの管理モジュールと、
管理モジュールに結合された少なくとも1つのデータ処理モジュールであって、
第1の処理チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度情報を受信し、対応する空気抜き取り弁制御を可能にし、
第2の処理チャネルを介して、所定の抜き取られた気流の温度しきい値の超過をモニタすることを可能にする、第2の抜き取られた気流の温度情報を受信し、前記しきい値が超えられた場合に、少なくとも1つの空気抜き取り弁の閉鎖を可能にする
ように構成された少なくとも1つのデータ処理モジュールと
を備えるシステムに関する。
【0008】
「航空機で気流を抜き取る」という用語は、本明細書では、たとえば航空機の送風機またはエンジンで循環している流れから空気を抜き取る行為を意味すると理解されるべきである。
【0009】
「獲得チャネル」は、情報モジュールにより送信される情報の伝送を可能にするのに適した通信チャネルを意味すると理解されるべきである。
【0010】
「処理チャネル」は、処理モジュールへの情報の伝送を可能にするのに適した通信チャネルを意味すると理解されるべきであり、処理チャネルは、獲得チャネルと同一とすることができる、すなわち獲得チャネルと統合されることができる。
【0011】
「温度情報」は、温度の計測値、または温度しきい値の超過の状態を意味すると理解されるべきである。
【0012】
「判定する」という用語は、温度を計測すること、または抜き取られた気流の温度により所定の温度しきい値の超過の状態を確立することを意味すると理解されるべきである。
【0013】
「温度しきい値の超過の状態」は、「しきい値を超過した」または「しきい値を超過しない」というタイプの2値またはブール代数の結果を意味すると理解されるべきである。状態が2値である、またはたとえば離散値の形を取ることができる。
【0014】
しきい値が所与の瞬間に設定されることができるが、その後、たとえば低下したモードでモジュールが動作することが可能になるように、修正されることができることが留意されよう。
【0015】
したがって、データ処理モジュールにより管理モジュールから受信された温度情報は、たとえば、温度計測値に、または所定の温度しきい値の超過の状態に対応する値を備えることができる。
【0016】
したがって、このようなシステムにより、2つの異なる獲得チャネルを介して得られた2つの温度情報項目に基づき、抜き取る空気の温度を制御することと、所定の抜き取る空気の温度しきい値の超過をモニタすることの両方が可能になる。換言すれば、第1の情報モジュールにより、制御機能を実行させるために、第1の温度情報を獲得することが可能になり、一方、第2の情報モジュールにより、モニタリング機能を実行させるために、第2の温度情報を獲得することが可能になる。したがって、制御とモニタリングの間に共通モードはもはやまったく存在しない。さらに、制御およびモニタリングは、正確な温度情報に基づき、たとえば計測値、または所定の温度しきい値の超過の所与の状態に基づき実行される。
【0017】
有利には、システムは、高圧空気抜き取り弁と、中圧空気抜き取り弁と、送風機の空気抜き取り弁と、予冷器とを備え、高圧空気抜き取り弁で抜き取られた気流が、予冷器入口で混合流を得るために、中圧空気抜き取り弁で抜き取られた気流と混合され、予冷器は、送風機の空気抜き取り弁で抜き取られた空気の流れとの熱交換により、前記混合流を再冷却するのに適している。
【0018】
好ましくは、第1の温度情報モジュールは、第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、かつ送信するように構成され、第2の温度情報モジュールは、第2の獲得チャネルを介して、第2の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、送信するように、または第2の獲得チャネルを介して、抜き取られた気流の温度により所定の温度しきい値の超過の状態を判定し、かつ送信するように構成される。
【0019】
本発明の一特徴によれば、管理モジュールは、
受信された、抜き取られた気流の温度の計測値を数値に変換するように、および/または受信された、抜き取られた気流の温度に関する情報を所定のしきい値と比較するように構成された解析モジュールと、
数値、および/または比較の結果を送信するように構成された送信モジュールと
を備える。
【0020】
詳細には、管理モジュールは、受信されたアナログ温度計測値を、たとえば、プロセッサにより、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)により使用されることができるデジタル値に変換するのに適していることができる。
【0021】
有利には、航空機は、コンピュータおよび管理モジュールを備え、データ処理モジュールは、前記コンピュータにより実装される。コンピュータは、公知のように、データを処理し、かつコンピュータプログラムを実装するように構成された情報処理手段を備える。コンピュータは、たとえば、航空機の1つまたは複数のエンジンの動作に関する情報を管理するために使用される、航空機のエンジンコンピュータとすることができる。航空機エンジンコンピュータを使用することにより、航空機の空気抜き取りシステムの管理専用の追加コンピュータを使用することを避け、したがって、集中化された手法で、航空機の空気抜き取りシステムの、およびエンジンの制御を行うことが可能になる。
【0022】
本発明の一特徴によれば、第1の温度情報モジュールは、第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、かつ送信するように構成され、第2の温度情報モジュールは、第2の獲得チャネルを介して、第2の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、かつ送信するように構成され、管理モジュールは、第1の温度情報モジュールから第1の獲得チャネルを介して前記第1の計測値を、および第2の温度情報モジュールから第2の獲得チャネルを介して前記第2の計測値を受信するのに適し、管理モジュールは処理モジュールに結合され、第1および第2の処理チャネルは同一である。
【0023】
したがって、第1の情報モジュールにより、制御機能を実行させるために、第1の温度計測値を獲得することが可能になり、一方、第2の情報モジュールにより、モニタリング機能を実行させるために、第2の温度計測値を獲得することが可能になり、2つの計測値は、この場合、単一管理モジュールにより、単一チャネルにより相互に連結された単一処理モジュールに送信される。したがって、2つの温度情報項目は、管理モジュールまで分離される。
【0024】
本発明の一特徴によれば、システムはまた、第3および第4の同一処理チャネルにより第2のデータ処理モジュールに結合され、かつ一方では第1の温度情報モジュールに、他方では第2の温度情報モジュールに結合された第2の管理モジュールを備え、第2の管理モジュールは、第1の温度情報モジュールから第3の獲得チャネルを介して第1の計測値を、および第2の温度情報モジュールから第4の獲得チャネルを介して第2の計測値を受信するのに適している。
【0025】
このような構成により、たとえば、コンピュータのたとえば第1の物理チャネル上で、異なる温度情報モジュールから(それぞれ、第1の温度情報モジュールから、および第2の温度情報モジュールから)温度計測値をそれぞれ報告する第1のチャネルと第2のチャネルを結びつける、および第2の物理チャネル上で、異なる温度情報モジュールから(それぞれ、第1の温度情報モジュールから、および第2の温度情報モジュールから)温度計測値をそれぞれ報告する第1のチャネルと第2のチャネルを結びつけることが可能になる。2つの物理チャネルを使用することにより、管理モジュールの一方が正しく動作しない場合に、他方が一方の機能を保証することができるように、管理モジュールの管理機能を分割することが可能になる。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、第1の温度情報モジュールは、第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、かつ送信するように構成され、第2の温度情報モジュールは、第2の獲得チャネルを介して、抜き取られた気流の温度により所定の温度しきい値の超過の状態を判定し、かつ送信するように構成され、管理モジュールは、第1の獲得チャネルを介して温度計測値を、第2の獲得チャネルを介して超過状態を受信するように構成され、第1および第2の処理チャネルは同一である。
【0027】
したがって、第1の情報モジュールにより、制御機能を実行させるために、温度計測値を獲得することが可能になり、一方、第2の情報モジュールにより、モニタリング機能を実行させるために、所定の温度しきい値の超過の状態を獲得することが可能になり、2つの情報項目は、この場合、単一管理モジュールにより、単一チャネルにより相互に連結された単一処理モジュールに送信される。したがって、2つの温度情報項目は、管理モジュールまで分離される。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、第1の温度情報モジュールは、第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、かつ送信するように構成され、第2の情報モジュールは、第2の獲得チャネルを介して、抜き取られた気流の温度により所定の温度しきい値の超過の状態を判定し、かつ送信するように構成され、管理モジュールは、第1の獲得チャネルを介して温度計測値を受信するように構成され、データ処理モジュールは、第2の獲得チャネルを介して超過状態を受信するように構成され、第2の獲得チャネルおよび第2の処理チャネルは同一である。
【0029】
したがって、第1の情報モジュールにより、制御機能を実行させるために、温度計測値を獲得することが可能になり、一方、第2の情報モジュールにより、モニタリング機能を実行させるために所定の温度しきい値の超過の状態を獲得することが可能になる。この場合、計測値だけが単一管理モジュールに送信され、状態は、第2の情報モジュールにより単一データ処理モジュールに直接送信される。したがって、2つの温度情報項目は、データ処理モジュールまで分離される。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、第1の温度情報モジュールは、第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度計測値を計測し、かつ送信するように構成され、第2の温度情報モジュールは、第2の獲得チャネルを介して、抜き取られた気流の温度により所定の温度しきい値の超過の状態を判定し、かつ送信するように構成され、管理モジュールは、第1の獲得チャネルを介して温度計測値を、および第2の獲得チャネルを介して超過状態を受信するように構成され、第2の獲得チャネルおよび第2の処理チャネルは異なる。
【0031】
したがって、第1の情報モジュールにより、制御機能を実行させるために、温度情報を獲得することが可能になり、一方、第2の情報モジュールにより、モニタリング機能を実行させるために、所定の温度しきい値の超過の状態を獲得することが可能になる。この場合、2つの温度情報項目は単一管理モジュールに送信されるが、計測値は、第1の処理チャネルを介して単一処理モジュールに送信され、状態は、第2の処理チャネルを介して単一データ処理モジュールに送信され、これにより、2つの温度情報項目がデータ処理モジュールまで分離されることが可能になる。
【0032】
本発明の他の特徴によれば、システムは、第1の処理チャネルを介して第1の温度情報を受信するように構成された第1のデータ処理モジュールと、第2の処理チャネルを介して第2の温度情報を受信するように構成された第2のデータ処理モジュールとを備える。
【0033】
したがって、抜き取る空気の温度の制御、および所定の抜き取る空気の温度しきい値の超過のモニタリングは、2つのデータ処理モジュールの間で、すなわち、たとえば航空機の2つのコンピュータ間で分離されることができ、これにより、コンピュータの一方の故障が、制御またはモニタリングの機能の一方の喪失を招くだけであるということを考慮すると、航空機の安全性を高めることが可能になる。
【0034】
本発明の他の特徴によれば、第2のデータ処理モジュールは、第2の温度情報を第1のデータ処理モジュールに送信するように構成される。この状態は、直接、またはたとえば通信モジュールを介して送信されることができる。
【0035】
本発明の他の特徴によれば、システムはまた、第3の処理チャネルを介して第1の温度情報を受信するように構成された第3のデータ処理モジュールを備える。
【0036】
これにより、処理モジュールの1つを分割することにより、第1の温度情報の獲得を安全にすることが可能になる。
【0037】
本発明はまた、航空機内の空気抜き取りシステムを管理する方法であって、前記航空機は航空機の空気抜き取りシステムを備え、前記システムは、
航空機で気流を抜き取るのに適した少なくとも1つの空気抜き取り弁と、
第1の獲得チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度情報を判定し、かつ送信するように構成された第1の温度情報モジュールと、
第2の獲得チャネルを介して、第2の抜き取られた気流の温度情報を判定し、かつ送信するように構成された第2の温度情報モジュールと、
データ処理モジュールに結合された少なくとも1つの管理モジュールであって、
一方では、第1の獲得チャネルを介して、対応する空気抜き取り弁制御を可能にする第1の抜き取られた気流の温度情報、および/または他方では、第2の獲得チャネルを介して、所定の抜き取られた気流の温度しきい値の超過をモニタすることが可能になる第2の抜き取られた気流の温度情報を受信し、
第1の温度情報および第2の温度情報を送信する
ように構成された少なくとも1つの管理モジュールと、
管理モジュールに結合された少なくとも1つのデータ処理モジュールであって、
第1の処理チャネルを介して、第1の抜き取られた気流の温度情報を受信し、対応する空気抜き取り弁制御を可能にし、
第2の処理チャネルを介して、所定の抜き取られた気流の温度しきい値の超過をモニタすることが可能になる、第2の抜き取られた気流の温度情報を受信し、前記しきい値が超えられた場合に、少なくとも1つの空気抜き取り弁の閉鎖を可能にする
ように構成された少なくとも1つのデータ処理モジュールと
を備え、
方法は、
弁で少なくとも部分的に空気の流れを抜き取るステップと、
管理モジュール上で、第1の温度情報モジュールから、前記抜き取られた気流の第1の温度情報を受信するステップと、
管理モジュールまたはデータ処理モジュール上で、第2の温度情報モジュールから、前記抜き取られた気流の第2の温度情報を受信するステップと、
データ処理モジュール上で、第1の温度情報および/または第2の温度情報を受信するステップと、
データ処理モジュール上で、第1の温度情報および/または第2の温度情報に応じて1つまたは複数の空気抜き取り弁の開放または閉鎖を制御するステップと
を備える方法に関する。
【0038】
本発明の特徴および利点が、対応する添付図面(同一参照番号が類似する対象と関係がある)を参照して、限定しない例として示される、本発明の一実施形態の以下の説明を読むとよりはっきりと明らかになるであろう。