(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンカが前記第2位置にある時に、前記第1ブレードが前記一対の第2突部の一方と前記中央部分との間を貫通し、前記第2ブレードが前記一対の第2突部の他方と前記中央部分との間を貫通する、請求項2に記載の器具。
さらに、前記ケージの片側に配置される第1接触面に形成される複数の第1溝部と、前記ケージの反対側の第2接触面に形成される複数の第2溝部とを包含する、請求項7に記載の器具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至8を参照すると、脊柱椎体間器具20の実施形態が示されている。器具20は、ケージ22と、アンカ24などの固定器具とを含む。ケージ22は、例えばロッドおよびスクリュまたはプレートなどの補助固定具とともに単独で使用されるか、アンカ24が含まれることにより独立型設計となる。ケージ22は、チタンまたは例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーを限定的でなく含む様々な生体適合性材料で構成されうる。アンカ24が所定箇所に置かれた状態で、
図21に図示されているように、脊柱椎体間器具20は部分的または完全な円板除去の後で隣接の椎骨の間に載置される。以下でより詳しく記されるように、ケージ22が患者体内の所定箇所にあると、アンカ24が展開されて隣接する上方および下方の椎体26,28(
図21)へケージ22を結合することで、インプラントを所定箇所に固着する。こうして脊柱椎体間器具20は、例えば椎弓根スクリュおよびロッドまたは前方プレートなどの補助固定具と、これに関連する手術時間の増加とが回避されるという利点を提供する。さらに、ケージ22は、骨成長を促進するため自己移植片または代替生体材料に使用されうる任意の開口部30を含みうる。外科医は、脊柱椎体間器具20の挿入を容易にして脊柱椎体間器具20を載置するとともにアンカ24の展開のための手段を提供するのに単数または複数のツールを利用しうる。
【0014】
開口部30を備えるケージ22が図示されているが、これは例示を目的としたものであって、請求項記載の発明がこのように限定されるべきではないことが認識されるべきである。例えば、異なる用途では、ケージ32を例えば実質的に中実とすることが望ましいであろう。本明細書の実施形態では前方挿入アプローチに関する脊柱処置が記されているが、例えば限定的ではないが後方挿入および側方挿入など他の脊柱処置にも請求項記載の発明が使用されうる。
【0015】
本明細書で使用される際に「前方」の語は患者から見て前側を指し、「後方」の語は患者から見て後側を指す。さらに、本明細書で使用される際に、「上方」の語は患者の頭部に近い方を指し、「下方」は患者の足部に近い方を意味する。
【0016】
ケージ22は、椎骨の間に密着する大きさおよび形状を持つ部材である。ケージ22は前方側32から後方側34へテーパ形状になっており、患者の解剖学的構造に適合している。ケージ22は、湾曲した上部接触面36と実質的に平坦な底部接触面38も有しうる。一実施形態では、上部接触面36と底部接触面38とは、隣接する上方および下方の椎骨と嵌合して脊柱椎体間器具20を所定箇所に維持するのを助ける複数の任意の歯部または溝部40を含む。
【0017】
接触面36,38の間の湾曲度、テーパ形状、または角度が患者の解剖学的構造に適合するように変更されうることが認識されるべきである。接触面36,38の間の高さまたは距離も、患者の解剖学的構造に適合するように変更されうる。さらに、接触面36,38は片側が実質的に平坦で他が湾曲しているものとして図示されているが、例えば平行、テーパ形状、凹面または凸面を限定的ではなく含む他の外形が使用されうる。付加的に、引用によりその全体が取り入れられる米国特許第5,782,919号に示されているように、ケージ22が実質的に円筒形であってもよい。
【0018】
一実施形態において、ケージ22は、壁部46によって後方側34に接続される第1部分42および第2部分44を有する概ねU字形の本体である。中央部分48は、第1部分42と第2部分44とを相互接続して開口部30を画定する。中央部分48は前方側32からオフセットして、開口側50を含むエリアを画定する。以下でより詳しく記されるように、展開位置にある時にアンカ24を収容するのに充分な距離だけ中央部分48がオフセットし、開口側50はそのような大きさを持つ。
【0019】
第1部分42と第2部分44の各々は、開口側50に隣接する開口部52,54を含む。開口部52,54は、ケージ22がツール56(
図9〜11)に結合されるようにするねじ付き部分を有しうる。一実施形態では、開口部52,54は開口側50に隣接する開口エリアと交差する。こうして、例えば頸椎処置などのため、器具20がより小型になることが認識されるべきである。腰椎処置の場合のような他の実施形態では、ケージ22はさらに大きく、開口部52,54は第1部分42および第2部分44によって完全に包囲されうる。
【0020】
中央部分48は、第1表面58と第2表面60とを含む。以下でより詳しく記されるように、第1斜面58と第2斜面60とは傾斜しており、アンカ24のブレード部分を隣接の椎骨へ撓曲させる。一実施形態において、表面58,60は、ケージ22の中心を通る水平面(例えば底部接触面38に平行)に対して75度に配置されている。一実施形態では、表面58,60は水平面の両側で、実質的に相互の鏡像となっている。中央部分48はさらに開口部62を含む。一実施形態では、表面58,60に隣接する開口部のエリアが末端部より大きくなるように、開口部62はテーパ形状となった概ね矩形の開口部である。
【0021】
アンカ24の実施形態が
図3〜4に示されている。アンカ24は、片側から延出する第1ブレード66および第2ブレード68を有する本体64を含む。一実施形態では、本体64は半円筒形の前方側を有する。アンカ24は、例えばステンレス鋼またはチタンなどの金属から製作されうる。本体64は、ケージ22の開口側50の中に収容される大きさである。本体64は、本体64の幅の中央に設けられたねじ付き開口部70を含みうる。以下でより詳しく記されるように、ねじ付き開口部70は、患者に対するアンカ24の挿入または除去のためのツールにアンカ24が結合されるようにする。一実施形態では、本体64は各端部に配置される一対の半円筒スロット72を含む。スロット72は、ツール56からの一つ以上のロッド100(
図10)にアンカ24を越えてケージ22まで延出させるような大きさおよび位置を持つ。
【0022】
ブレード66,68の各々はブレードの長さに沿って概ね湾曲しており、また、ブレード66,68の末端部47が本体64に隣接する端部より狭くなるようにテーパ形状でもある。ブレード66,68は概ね均一な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、ブレード66,68の湾曲度は一定ではなく、ブレード66,68の長さに沿って湾曲度が変化しうる。ブレード66,68の湾曲度は、末端部47が中心線76から離れて湾曲するように構成されている。末端部
47は、椎骨へのブレード66,68の挿入を容易にするエッジ78を含みうる。以下でより詳しく記されるように、エッジ78に隣接する表面80は表面58,60と嵌合して、ブレード66,68がケージ22を越えるまで摺動してこれから離間するようにさせる。一実施形態において、ブレードは本体64とエッジ78との間で各側に配置される半円筒面98を含みうる。半円筒面98はスロット72と同軸に配置されて、アンカ24がツール56に結合された時にロッド100のための間隙を設ける。
【0023】
各ブレード66,68は、本体64に隣接してブレード66,68の厚さにわたって延在する開口部82を含む。開口部82の中に配置されるのは、少なくとも一つのアーム84である。一実施形態において、アンカ24は開口部82の中で本体64から延出する二つのアーム84,86を有する。各アーム84,86は、本体64からの末端部にヘッド部分90を備える略狭体部分88を有する。ヘッド部分90は、ブレード66,68の表面に対して横方向に延在する傾斜面92を含む。傾斜面92に隣接するのは、傾斜面92と本体部分88との間に延在する係止面94である。本明細書でより詳しく記されるように、アーム84,86は、アンカ24をケージ22に結合するためのロック手段を形成する。アンカ24とケージ22とを結合するため、アンカ24が展開または第2位置まで移動された時に、表面92は開口部62の側壁と嵌合し、係止面94はケージ面96(
図6)と嵌合する。
【0024】
アンカ24とケージ22とは、所定位置へ挿入された時に相互に連結して、器具20およびその構成要素を隣接の椎骨に固着するための手段となるように構成されている。
図5〜8に示されているように、アンカ24はケージ22に対して摺動可能である。概して、アンカ24とケージ22とは、アーム84,86が開口部62と整合した同一線上に配設される。アンカ24は、各ブレード66,68のエッジ78および表面80が斜面58,60に隣接した位置にある第1位置(
図5)で始まる。アンカ24が第1位置から移動されると、ブレード66,68の表面80および底面102がそれぞれ表面58,60に沿って展開または第2位置(
図6〜8)まで摺動する。第2位置で、ブレード66,68は接触面36,38を越えるまで延出している。
【0025】
弾性範囲および塑性範囲を含む応力−ひずみ曲線を有する例えばチタンなどの材料からアンカ24が製作される時には、ブレード66,68のこの撓曲移動がブレード66,68を塑性変形させることが認識されるべきである。本明細書で使用される際に、弾性変形は、材料への応力が材料の弾性限度を超えず、そのため物品が反復的に変形されて物品が原形に復帰することを意味する。しかし、いったん弾性限度を超えると、材料は塑性変形し、物品は原形に復帰しない。一実施形態において、ブレード66,68は、アンカ24が第1位置から第2位置へ移動される際に塑性変形するように構成されている。ブレード66,68を塑性変形させることにより、例えば鋸歯などのロック構成がアンカ24を隣接の椎骨に固着させる必要性を回避するという利点が得られる。
【0026】
ブレード66,68の撓曲に加えて、アンカ24が第1位置から第2位置へ移動する際に、ヘッド部分90は表面58,60と接触しないので比較的無変形のままである。むしろ、ヘッド部分90は開口部62へ進入する。アンカが第2位置へ移動し続けると、傾斜面92が開口部62の側壁104と接触する。継続した移動は、係止面94がケージ面96を越えるまでアーム84,86を実質的に平面上で撓曲させる。この点で、アーム84,86の弾性はアームを元通りになるように撓曲させて、係止面94をケージ面96と嵌合させる(
図7)。表面94,96が嵌合した時に、アンカ24がケージ22に固着されて、通常の動作条件ではアンカが第1位置の方へ移動しないことが認識されるべきである。
【0027】
ブレード66,68はブレードの全長にわたって湾曲度を有するように示されているが、これは例示を目的とし、請求項記載の発明がこのように限定されるべきではないことが認識されるべきである。他の実施形態では、ブレード66,68は直線状(中心線76に平行など)であって、湾曲した末端部を有しうる。この実施形態において、中央部分48は、一対の表面58,60ではなく、ブレードと嵌合する単一の表面である。
【0028】
アーム84,86に関してロック手段が説明されたが、アンカをケージに結合するための他の手段も使用されうることがさらに認識されるべきである。一実施形態では、ねじ付き締結具が開口部70へ挿入されて中央部分48のねじ付き開口部62に嵌合しうる。
【0029】
さて
図9〜11を参照すると、脊柱椎体間器具20とともに使用するための外科ツール56の実施形態が示されている。ツール56は、アンカ24を収容する大きさを持つ開口部110を有するハウジング104を含む。ハウジング104は、ロッド100を収容する大きさを持つ開口部を反対の端部に含む。ロッド100は、器具20のスロット72および開口部52により形成される開口部に嵌着する大きさを持つ。ロッド100は、開口部52およびスロット72の中でロッド100をケージ22と結合させるねじ付き端部を有しうる。ハウジング104はまた、プッシャロッド106のための開口部を含む。プッシャロッド106は、アンカ24のねじ付き開口部70と結合する大きさのねじ付き端部を有しうる。ハウジング104は、ケージ22の前方側32を収容する切欠きエリア108も有しうる。ロッド100およびプッシャロッド106は、ハウジング104に対して摺動するように結合される。
【0030】
第1位置にある時に、アンカ24は少なくとも部分的に開口部110の中にある。外科医が器具20を収容できるような適切な準備を患者に施すと、ツール56が使用されて椎骨の間の所望の部位にケージ22に位置決めする。ケージ22が位置決めされると、プッシャロッド106が操作されてアンカ24を開口部110から線状に摺動させ第2位置へ展開させる。一実施形態において、プッシャロッド106は、アンカ24が第2位置にある時にハウジング104に対する確実停止部として作用できる段部112を有しうる。アンカ24が移動されると、ブレード66,68が撓曲して、係止面94が嵌合し、アンカ24をケージ22に、器具20を隣接の椎骨26,28に結合する(
図21)。
【0031】
アンカ24がケージ22に固着された状態で、外科医は次に、プッシャロッド106をねじ付き開口部70から分離しうる。その後、ロッド100がケージ22から分離されて、器具20を所定箇所に置いた状態でツール56が患者から取り外される。ある状況において、外科医が器具20を取り外すか位置変更したいと考えることがある。この状況で、外科医は、ロッド100をケージに、プッシャロッド106をアンカ24に結合することにより、ツール56を器具20に再装着しうる。ツール56と器具20とが結合された状態で、外科医は、アーム84,86が撓曲して係止面94をケージ面96から解離させるのに充分な力で、プッシャロッド106を患者の脊柱から外すように操作(引き抜くなど)する。ゆえに器具20の挿入は可逆的であって、患者体内にある器具20からの材料の切除または機械加工に頼る必要がない。
【0032】
この実施形態は単一の外科ツール56を図示しているが、他の実施形態では、挿入、展開、後退、および/または除去のために多数の外科ツールが使用されうることが認識されるべきである。さらに、回転ノブ、電動モータ、ばね付勢機構、その他を限定的でなく含む何らかの適当な機構によりロッド100およびプッシャロッド106が操作されうることが認識されるべきである。
【0033】
さて
図12〜20を参照すると、脊柱椎体間器具20の別の実施形態が二部ケージ114を有するものとして示されている。ケージ114は、後方部材116と前方部材118とを含む。後方部材116は、チタン、または例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーを限定的でなく含む様々な生体適合性材料で構成されうる。後方部材116は、前方部材118との境界面から後方側120へ概ねテーパ形状でありうる。後方部材116はまた、湾曲した上部接触面122と実質的に平坦な底部接触面124とを有し得る。表面122,124は、隣接する上方および下方の椎骨と嵌合して脊柱椎体間器具20を所定箇所に維持するのを補助する複数の任意の歯部または溝部127を含みうる。
【0034】
接触面122,124の間の湾曲度、テーパ形状、または角度は患者の解剖学的構造に適合するように変更されうることが認識されるべきである。接触面122,124の間の高さまたは距離も、患者の解剖学的構造に適合するように変更されうる。さらに、接触面122,124は片側が実質的に平坦で他の側が湾曲しているものとして図示されているが、例えば平行、テーパ形状、凹面または凸面を限定的ではなく含む他の外形が使用されうる。付加的に、後方部材は実質的に半円筒形状でありうる。
【0035】
後方部材116は、後方側120に沿ったエッジ部分126と、前方部材118と結合されるように延出する一対のアーム128とを有する概ねU字形の本体を形成する。後方部材116および前方部材118が協働して開口部130を画定する。一実施形態では、後方部材116は開口部130を備えない中実部材である。例示的実施形態において、後方部材116は、前方部材118の突部134を収容する大きさを持つスロット132を含む。前方部材118は、プレス嵌め、接着剤、または機械的締結具など適当な手段によって後方部材116に結合されうる。上記のように、自己移植片または他の生体適合性材料が開口部130に充填されて椎骨の癒合を促進しうる。
【0036】
前方部材118は、中央部分136と一対の前方アーム138とを備える概ねH字形の本体を有しうる。例示的実施形態では、限定的ではないがチタンなどの生体適合性金属材料から前方部材118が製作される。上記のように、一実施形態において、前方部材118は、アーム128のスロット132と嵌合して後方部材116と前方部材118とを結合する一対の後方突部134を有しうる。例えばプレス嵌め、接合、機械的締結、およびインサート成形を限定的でなく含む多様な手段を使用して、前方部材118と後方部材116とが相互に結合されうることが認識されるべきである。
【0037】
前方アーム138の各々は、開口側144に隣接する開口部140,142を含む。開口部140,142は、ケージ114がツール156に結合されるようにするねじ付き部分を含みうる。開口部140,142に隣接して、前方部材118は、中央部分136と平行に延在する一対の突部146,148をアーム138の端部に有する。以下でより詳しく記されるように、突部146,148は、アンカの展開後にアンカを所定箇所に固定するのを補助する。
【0038】
中央部分136は、平面状表面151により分離される第1表面147と第2表面149とを含む。以下でより詳しく記されるように、表面147,149は、アンカのブレードが表面147,149と接触する際にブレードが隣接の椎骨へ撓曲するように湾曲している。一実施形態では、表面147,149は、水平面の両側にある相互の鏡像である。別の実施形態では、表面147,149は角度を成して配置される平面状表面である。
【0039】
一実施形態において、後方部材116は開口部130の四つの側を画定し、前方部材118は開口部130に隣接する後方部材116の側に結合されている。別の実施形態において、開口部130は、円形、長円形、楕円形、あるいは後方部材116、前方部材118、または両方の組み合わせにより画定される連続湾曲面を有する他の形状である。
【0040】
例示的なアンカ150が
図15〜17に示されている。アンカ150は本体152を含む。第1ブレード154と第2ブレード156とが本体152の両側から延出している。アンカ150は、例えばステンレス鋼またはチタンなどの金属から製作されうる。本体152は、本体152の幅の中央に設けられるねじ付き開口部158を含みうる。ねじ付き開口部は、例えばプッシャロッド106などのツールと解除可能に結合するように構成されうる。本体152は、端部分160,162により開口側144に嵌着する大きさを持ち、突部146,148の間にそれぞれ嵌着するような高さを有する。端部160,162は、ツール56のロッド100をアンカ150よりも延出させてケージ114と嵌合させるような大きさである半円面164を含む。
【0041】
一実施形態において、本体152はブレード154,156の間に配置される開口部158と反対側に配置される表面153を含みうる。表面153は、平面状表面151と接触して、ケージ114へのアンカ150のさらなる挿入を防止する停止面となるように配設されている。
【0042】
例示的実施形態では、ブレード154,156は相互の鏡像である。各ブレード154,156は、略平面状表面166とリブ部分168とを含む。平面状表面166は、ブレード154,156が本体152に向かってエッジ172に達するまで延出する際には末端部170の幅が広くなるような外形(
図16)を有する。エッジ172では、ブレード154,156は内向きに段を形成して幅が減少してから、本体152に達するまで表面174に沿って外向きにテーパ形状となる。以下でより詳しく記されるように、エッジ172に形成される段部は、ブレード154の突部146の間の距離よりも短く、またブレード156の突部148の間の距離より短くなるようにブレード154,156の幅を減少させる。言い換えると、表面174に隣接するブレード154,156の部分は、本体152が開口側144(
図20参照)に実質的に位置決めされるまではそれぞれの突部146,148の間を通過しないのである。これは、外科医が充分な挿入の前にブレード154,156を容易に後退させられるという利点を提供する。表面174のテーパ形状の角度を変化させることにより、ブレード154,156のための固定点(つまりツールがないとブレードがケージから後退しない点)が変更されうる。さらに、エッジ172により形成される表面は、椎骨へ挿入された時に後退に対する抵抗力を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態では、ブレード154,156は歯部分またはエッジ172を含まない直線状であることが認識されるべきである。さらに他の実施形態において、ブレード154,156は、末端部170から本体152までの長さに沿ってテーパ形状である。さらに他の実施形態では、ブレードは鋸歯エッジを含みうる。
【0044】
アンカ150が展開位置にある時にリブ168が突部146,148の間に配置されるように、リブ168は突部146,148の間に嵌着する大きさを持つ。リブ168の厚さおよび幅は、所望の量の剛性および抵抗力を提供するように変更されうる。リブ168の反対において、ブレード154,156は末端部170に隣接してテーパ形状となる略平面状表面を有する。テーパ形状表面175は、ブレードの初期撓曲を補助するとともに隣接の椎骨を貫通するという利点を提供する。
【0045】
本明細書の実施形態はブレード154,156の長さに沿って延在するリブ168を有するアンカ150を記載しているが、他の実施形態ではブレード154,156はリブを有さず平面状か湾曲した表面を有することが認識されるべきである。さらに他の実施形態では、明確なリブの代わりに、ブレード154,156がブレードのエッジから中央部分まで厚さが増加してもよい。
【0046】
アンカ150は、ケージ114(
図18)の開口端部144へ挿入されるように構成される。ブレード154,156は、表面147,149と接触するまで突部146,148よりも延出する。ブレード154,156の間の距離は、各ブレード154,156の末端部170を表面147,149と接触させて平面状表面151とは接触させないようにするのに充分であることが認識されるべきである。ブレード154,156が表面147,149と接触すると、アンカ150のさらなる移動は、ブレード154,156が撓曲して中央部分136を越えて隣接の椎骨まで摺動する結果を生じる。
【0047】
例示的実施形態において、アンカ150は、弾性範囲および塑性範囲を含む規定の応力−ひずみ曲線を有する例えばチタンなどの材料から製作される。上記のように、弾性限度を超えると、材料は塑性変形して原形に復帰しない。アンカ150が中央部分136の上を移動されると、ブレード154,156が変形、屈曲、または撓曲する。例示的実施形態では、本体152が開口側44に接近して進入する際に、この撓曲が続いてブレード154,156の塑性変形を引き起こす。ブレード154,156の塑性変形は、アンカ150を保持して逆方向の移動を防止するという利点を提供する。
【0048】
上記のように、アンカ150およびケージ114は、突部146,148および本体152に隣接する表面166によって所定位置へ挿入された時に連結されるように構成されている。本体152に隣接する表面166のエリアは突部146,148の間の空間よりも広いので、表面166は突部146,148と中央部分136との間の空間へ撓曲する。その結果、アンカ150が挿入されて表面166が突部146,148のエッジを越えるまで移動されると、アンカ150がケージ114と連結される。この位置で、ブレードの塑性変形の抵抗力を克服できるツールの補助がなければ、アンカ150は逆方向に並進つまり横移動を行うことがない。アンカ150とケージ114とが連結構成を形成する点は、ブレード154,156の形状を調節して表面174が突部146,148の間の空間よりも広い点を移動させることによって変更されうることが認識されるべきである。
【0049】
図12〜20に図示された脊柱椎体間器具20は、
図9〜11に示されているような外科ツール56などのツールを使用して挿入されうることが認識されるべきである。ロッド100は、開口部140,142と表面164とに嵌着する大きさである。プッシャロッド106は開口部158と結合する。ケージ114とアンカ150とは、挿入中にアンカ150がハウジング104に少なくとも部分的に配置されてケージ114がハウジング104の端部と嵌合するように、ハウジング104と協働する大きさを持つ。
【0050】
ブレード154,156はブレードの全長にわたって湾曲度を有するように示されているが、これは例示を目的とするものであって請求項記載の発明がそのように限定されるべきではないことが認識されるべきである。他の実施形態では、ブレード154,156は湾曲した末端部を含む直線状でありうる。この実施形態において、中央部分136は、一対の表面147,149ではなく、ブレードと嵌合する単一の表面を有しうる。
【0051】
突部146,148と中央部分136との間に配設されるブレード154,156についてロック手段が説明されるが、アンカをケージに結合する他の手段も使用されうることがさらに認識されるべきである。一実施形態では、ねじ付き締結具が開口部158へ挿入されて中央部分136のねじ付き開口部(不図示)と嵌合する。
【0052】
さて
図22および23を参照すると、前方部材118に結合される後方部材116を有するケージ114の別の実施形態が示されている。この実施形態において、前方部材118は、表面147,149の反対側に延在するスロット180を含む。スロット180は、ケージ114の下方側に下方停止面(不図示)を含む。一実施形態において、スロット180は、S字面を画定する湾曲面182,184をスロットの各端部に含む。
【0053】
後方部材116は、後方側120と反対の壁部186を含む。壁部186は、後方側120およびアーム128と協働して開口部130を画定する。壁部186の端部188は湾曲しており、スロット180の表面182,184と実質的に適合する。ケージ114を組み立てるには、壁部186がスロット180と整合されて、壁部の底部がスロット180の底部の停止面と嵌合するまでスロット180へ摺動される。一実施形態では、壁部186とスロット180との間にわずかな締り嵌めが見られ、後方部材116はプレス嵌めにより前方部材118に結合される。
【0054】
脊柱椎体間器具20は、独立型インプラントの剛性固定具を含むという利点を提供する。脊柱椎体間器具20は、横曲、捻じり、および伸張など、脊柱で一般的に見られる動きに抵抗するという付加的な利点を提供する。この脊柱椎体間器具20により付与される剛性は、隣接する上方および下方の椎体を一緒に固定して、脊柱分節に癒合を発生させることができる。脊柱椎体間器具20は、アンカが両方向に移動されて展開、除去、位置変更を可能にするという付加的な利点を提供する。脊柱椎体間器具20はまた、インプラントを挿入、展開、および除去するのに単一の外科ツールが使用されうるという利点も提供する。脊柱椎体間器具20は、前方、側方、または後方の方向から使用されうるというさらなる利点を提供する。脊柱椎体間器具20は、頸椎または腰椎処置に使用されうるという利点を提供する。
【0055】
限定数の実施形態についてのみ発明が詳しく説明されたが、開示されたこのような実施形態に発明が限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、これまで記載されていないが発明の趣旨および範囲にふさわしい何らかの数の変形例、変更例、代替例、または同等構成を取り入れるように発明が改変されうる。付加的に、発明の様々な実施形態が説明されたが、発明の態様は記載された実施形態のいくつかのみを含みうることは言うまでもない。したがって、発明は上記の説明により限定されるものとは見なされず、添付の請求項の範囲のみによって限定される。