(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976919
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】浸漬ノズルの予熱装置
(51)【国際特許分類】
B22D 11/10 20060101AFI20160817BHJP
F23D 14/24 20060101ALI20160817BHJP
F23D 14/22 20060101ALI20160817BHJP
B22D 41/60 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
B22D11/10 320A
F23D14/24 C
F23D14/22 J
B22D41/60
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-503100(P2015-503100)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2015-518426(P2015-518426A)
(43)【公表日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】KR2012011741
(87)【国際公開番号】WO2013147402
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0032590
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0156457
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510307299
【氏名又は名称】ヒュンダイ スチール カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】キム、イン、ス
(72)【発明者】
【氏名】オー、チャン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー、キョン、ウク
【審査官】
藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−262455(JP,A)
【文献】
実開昭63−116728(JP,U)
【文献】
特開2002−257344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/10
B22D 41/60
B22D 41/50
F23D 14/20−14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料及び空気を混合して火炎を発生させる火炎発生部と、
発生された前記火炎を外部へ案内するノズルチップと、を含み、
前記ノズルチップは、
前記火炎を外部へ噴射する噴射口と、
発生された前記火炎を前記噴射口へ案内し、下面が前記噴射口方向に沿って垂直上方向に傾くように形成されるガイド部と、
を含み、
前記噴射口の上下方向の幅は、前記ガイド部の端部の上下方向の幅と一致し、前記噴射口の左右方向の幅は、前記ガイド部の端部の左右方向の幅と一致するよう形成されていることを特徴とする浸漬ノズルの予熱装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、四角柱状に形成され、前記噴射口は、スリット状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の浸漬ノズルの予熱装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、上面が前記噴射口方向に沿って水平に形成されることを特徴とする請求項2に記載の浸漬ノズルの予熱装置。
【請求項4】
前記ノズルチップは、
前記燃料及び前記空気の混合を補助する旋回器をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の浸漬ノズルの予熱装置。
【請求項5】
前記旋回器は、
複数の旋回羽根を含むことを特徴とする請求項4に記載の浸漬ノズルの予熱装置。
【請求項6】
前記旋回器は、
複数形成されることを特徴とする請求項5に記載の浸漬ノズルの予熱装置。
【請求項7】
前記火炎発生部は、
前記燃料を供給する燃料ノズルと、
前記燃料ノズルの外郭に沿って形成され、前記燃料の燃焼のために空気を供給する複数の空気ノズルと、
内部に前記燃料ノズル及び前記空気ノズルを収容し、混合される前記燃料及び前記空気を前記ノズルチップへ案内する案内管と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の浸漬ノズルの予熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸漬ノズルの予熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造工程にて使用されるタンディッシュは、製鋼工程を経た溶鋼を貯蔵した後、浸漬ノズルを介して連鋳モールドに供給する役割を果たす。このとき、溶鋼を供給する浸漬ノズルが充分に予熱されていないと、浸漬ノズルを介してタンディッシュから連鋳モールドに移送中に溶鋼の流動が円滑に行われないため、操業不良及び素材の品質不良のような製品の不良が発生することがある。
【0003】
このため、浸漬ノズルを充分に予熱できる予熱装置が必要である。ここで、浸漬ノズルを予熱するための装置は、高温の火炎が直接接触することによる耐火物脱落及びクラックが発生しないことが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安定的な火炎の発生及び制御が可能な浸漬ノズルの予熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例によれば、燃料及び空気を混合して火炎を発生させる火炎発生部と、発生された上記火炎を外部へ案内するノズルチップと、を含み、上記ノズルチップは、上記火炎を外部へ噴射する噴射口と、発生された上記火炎を上記噴射口へ案内し、下面が上記噴射口方向に沿って垂直上方向に傾くように形成されるガイド部と、を含むことを特徴とする浸漬ノズルの予熱装置が提供される。
【0006】
上記ガイド部は、四角柱状に形成され、上記噴射口は、スリット状に形成され得る。
【0007】
また、上記ガイド部は、上面が上記噴射口方向に沿って水平に形成され得る。
【0008】
上記噴射口の上下方向の幅は、上記ガイド部の端部の上下方向の幅と一致することができる。
【0009】
上記ノズルチップは、上記燃料及び上記空気の混合を補助する旋回器をさらに含むことができる。
【0010】
上記旋回器は、複数の旋回羽根を含むことができる。
【0011】
上記旋回器は、複数形成することができる。
【0012】
上記火炎発生部は、上記燃料を供給する燃料ノズルと、上記燃料ノズルの外郭に沿って形成され、上記燃料の燃焼のために空気を供給する複数の空気ノズルと、内部に上記燃料ノズル及び上記空気ノズルを収容し、混合される上記燃料及び上記空気を上記ノズルチップへ案内する案内管と、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置におけるノズルチップの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置の正面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置における火炎発生部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係わる公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0015】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるに過ぎず、上記構成要素がそれらの用語により限定されるものではない。それらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。
【0016】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであり、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0017】
以下、本発明に係る浸漬ノズルの予熱装置の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置の断面図であり、
図2は、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置におけるノズルチップの斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置の正面図であり、
図4は、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置における火炎発生部の正面図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置は、火炎の噴射方向を制御することにより、浸漬ノズルを安定的に予熱するものであって、火炎発生部100と、ノズルチップ200と、を含み、ノズルチップ200は、噴射口210と、ガイド部220とを含むことができる。
【0020】
図4に示すように、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置における火炎発生部100は、火炎を発生させるための燃料を供給する燃料ノズル110と、燃料の燃焼のための空気を供給する空気ノズル120と、を含むことができる。
【0021】
燃料ノズル110は、ノズルチップ200に向けて燃料を噴射するノズルであり、空気ノズル120は、燃料ノズルの外郭に形成され、燃料の燃焼のための空気をノズルチップ200に向けて噴射するノズルである。
【0022】
本発明に係る火炎発生部100は、燃料ノズル110と空気ノズル120とが分離されており、燃料と空気の混合は、それぞれのノズルを介して噴射された後に漸次行われるので、火炎の安定性を高めることができる。
【0023】
また、内部に燃料ノズル110及び空気ノズル120を収容する案内管130を備える。
【0024】
案内管130は、空気ノズル120の外郭に沿って形成されて、燃料及び空気をノズルチップ200の内部へ案内し、漸次的に燃料及び空気の混合を誘導する。
【0025】
本発明の一実施例によれば、
図4に示すように、空気ノズル120は、燃料ノズル110の外郭に沿って複数形成することができる。
【0026】
すなわち、中央に燃料ノズル110が位置し、燃料ノズル110を中心にして円周方向に6〜8個の空気ノズル120を備えることができ、空気ノズル120の個数は、必要により加減できる。
【0027】
図4には、中央に燃料ノズル110が備えられており、燃料ノズル110の外周に沿って6個の空気ノズル120が備えられているが、これに本発明の権利範囲が限定されるものではない。
【0028】
図1及び
図2に示されたように、本発明の一実施例に係るノズルチップ200は、火炎発生部100の一端に結合され、火炎発生部100から発生された火炎を外部へ案内するものである。
【0029】
すなわち、発生された火炎を外部へ案内して浸漬ノズルの内部を予熱することができる。
【0030】
連続鋳造工程で使用されるタンディッシュは、製鋼工程を経た溶鋼を貯蔵した後、浸漬ノズルを介して連鋳モールドに供給する役割を果たす。このとき、溶鋼を供給する浸漬ノズルが充分に予熱されていない場合は、浸漬ノズルを介してタンディッシュから連鋳モールドへの移送中に溶鋼の流動が円滑に行われないため、操業不良や素材の品質不良のような製品の不良が発生することがある。
【0031】
本発明による浸漬ノズルの予熱装置を用いて、浸漬ノズルを使用者が希望する温度に予熱することにより、上述した問題点を解決することができる。
【0032】
図2に示すように、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置におけるノズルチップ200は、火炎を外部へ噴射する噴射口210と、発生された火炎を噴射口210へ誘導するガイド部220と、を含む。
【0033】
ガイド部220は、噴射口210から噴射される火炎の方向を制御するものであって、火炎を噴射しようとする方向に向けて傾斜を形成することができる。
【0034】
本実施例により提供されるノズルチップ200は、浸漬ノズルの予熱装置に使用するためのものであって、ノズルチップ200に対して垂直上方向に配置される浸漬ノズルを予熱するために提供される。
【0035】
浸漬ノズルを効果的に予熱するために、ノズルチップ200を介して噴射される火炎も垂直上方向に噴射する必要がある。
【0036】
すなわち、ガイド部220は、発生された火炎を噴射口210へ案内し、ガイド部220の下面が火炎発生部の端部から噴射口210に向く方向に沿って垂直上方向に傾くように形成され得る。
【0037】
図2及び
図3に示すように、本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置におけるガイド部220は、四角柱状に形成され得る。このとき、四角柱は、火炎発生部100側の断面積が噴射口210側の断面積よりも大きく形成されることができる。
【0038】
すなわち、火炎発生部100側から噴射口210側に行くほど断面積が小さくなる四角柱状であることができる。
【0039】
火炎発生部100で発生して供給される火炎を広い空間から狭い空間へ案内して火炎を集めることにより、相対的に火炎を遠く噴射することができるようになる。
【0040】
このとき、ガイド部220は、上面が噴射口210の方向に沿って水平に形成され、下面が噴射口210の方向に沿って垂直上方向に傾くように形成されることができる。
【0041】
ガイド部220の上面が水平に形成され、下面が垂直上方向に傾くように形成されることにより、噴射される火炎の方向を垂直上方向に調整することができる。
【0042】
これにより、ノズルチップ200の噴射口210を介して噴射される火炎が、浸漬ノズルの内部で垂直上方向に噴射されて浸漬ノズルを効率的に予熱することができるようになる。
【0043】
本発明の一実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置における噴射口210は、
図2に示されたように、一方向が他の方向より相対的に細くて長いスリット状に形成され得る。
【0044】
図2において噴射口210は、左右側面の方が細くて長い形状に形成されているが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、必要によって上下側面の方が細くて長い形状に形成されることも可能である。
【0045】
このとき、噴射口210をカバーする外壁も噴射口210の形状と一致するように細くて長い形状に形成することができる。
【0046】
図2に示されたように、噴射口210がスリット状に形成され、噴射口210の上下方向の幅がガイド部220の端部の上下方向の幅と一致するように形成されることができる。
【0047】
また、噴射口210の左右方向の幅もガイド部220の端部の左右方向の幅と一致するように形成することができる。
【0048】
噴射口210の上下方向の幅及び左右方向の幅とガイド部220の端部の上下方向の幅及び左右方向の幅とが一致するように形成することにより、ガイド部220により案内された火炎がそのまま噴射口210から外部へ円滑に噴射されることができるようになる。
【0049】
これにより、火炎を噴射口210から外部へ円滑に噴射できるようになり、浸漬ノズルの予熱の効率性を向上させることができる。
【0050】
本実施例に係る浸漬ノズルの予熱装置は、旋回器230をさらに含むことができる。
【0051】
旋回器230は、燃料及び空気の混合を補助して火炎がより円滑に発生されるようにする保炎器の役割を果たす。
【0052】
このとき、本実施例により提供される旋回器230は、複数の旋回羽根231をさらに含むことができる。
【0053】
旋回羽根231は、燃料及び空気の混合が円滑に行われるように回転するものであって、複数形成することができる。
【0054】
本実施例により提供される旋回羽根231は、6個である。しかし、これに限定されず、本発明と類似の効果が得られる範囲内では加減でき、これも本発明の実施範囲に含まれ得る。
【0055】
このとき、本実施例により提供される旋回器230は、複数形成することができ、一例として、ノズルチップ200に形成されるガイド部220の長手方向に沿ってガイド部220の内部に2つの旋回器230を配置することができる。
【0056】
点火部(図示せず)は、火炎発生部100に提供される燃料を点火させて、火炎を発生させるものである。
【0057】
燃料を点火させるために、点火部は、電気装置を用いてスパークを起こすことができる。しかし、これに限定されず、燃料を点火させることができる装置であれば、本発明の実施範囲に含まれ得る。
【0058】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などをすることにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の実施例によれば、浸漬ノズルの予熱装置を用いて火炎の噴射方向を制御することにより安定的に火炎を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 火炎発生部
110 燃料ノズル
120 空気ノズル
130 案内管
200 ノズルチップ
210 噴射口
220 ガイド部
230 旋回器
231 旋回羽根