(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976929
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】タワーセグメント、特に、風力タービンのタワーセグメント用の補強ケージ製造装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20160817BHJP
【FI】
F03D13/20
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-518951(P2015-518951)
(86)(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公表番号】特表2015-522115(P2015-522115A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2013061869
(87)【国際公開番号】WO2014005795
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】102012211888.8
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】アルベルス、カルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】エクベルツ、ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】マイアー、インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ソウサ、セルジオ
【審査官】
後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0150663(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/064886(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0129162(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102010028038(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸を中心に回転駆動可能なキャリア構造体(7)と、
平行、又は、X軸に対して相互に円錐形に収束する関係に配向するとともに、前記キャリア構造体(7)の周囲に沿って、分布する複数のバー(27、27’)と、
を備え、
前記バーの各々は、複数のスポーク(19)によって前記キャリア構造体に接続され、かつ、前記キャリア構造体から離れた外側で補強材料を受け止めるように適合された複数の凹部(29)を有し、
それぞれの複数のスポークは、X軸に直角な面(11、13、15)において前記バーの数に応じて配置され、
前記スポークは、モータ手段によりそれらの長さが伸縮自在に調整可能である、
パイロンセグメント用の補強ケージ製造装置(1)。
【請求項2】
すべての各スポークの長さは、1つの面内で同期して調整可能である、
請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記スポークの長さは、無段階に調整可能である、
請求項1又は2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記スポークの運動調整のために、中央駆動部、又は、スポークの各面の中央駆動部を備え、
各スポークのために、前記中央駆動部によって同期駆動可能なトランスミッションが前記中央駆動部に連結される、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記中央駆動部は、1つ以上のギアを備えるシャフトを有し、
前記スポークの前記トランスミッションは、それぞれ、ローラチェーンによってシャフトに連結される、
請求項4記載の装置(1)。
【請求項6】
前記中央駆動部は、液圧駆動部であり、
各スポークは、長さ調整用の前記液圧駆動部による圧力が作用することができる液圧駆動ピストンを有する、
請求項4記載の装置(1)。
【請求項7】
各スポークがそれ自身の駆動部(49)を有するように、モータ長さ調整のための分散駆動システムを備える、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置(1)。
【請求項8】
面内の全てのスポークのためのそれぞれの前記駆動部は、電子制御部によって同期制御される、
請求項7記載の装置(1)。
【請求項9】
各スポークは、伸縮スピンドル駆動部(51)、磁気リニア駆動部、又は歯付ラック駆動部を有する、
請求項7又は8記載の装置(1)。
【請求項10】
前記電子制御部は、スポークの各面が前記スポークの外端で所定の円の径を定義するように、中央駆動部、又は、スポークの各面の駆動部、又は、前記分散駆動システムの各々を作動するように適合される、
請求項8又は9記載の装置(1)。
【請求項11】
前記バーは、それぞれ、同じバーに接続された複数のスポークにおける1つのスポーク以外のすべてのスポークを当該バーから切り離すことによって、キャリア構造体に対して平行な配向から傾斜した配向への折り畳みが可能である、
請求項1記載の装置(1)。
【請求項12】
前記バーは、それぞれの連結部材(31’、31”)によって前記スポークに固定され、
前記連結部材は、X軸の方向において、前記バーを旋回するために、かつ、同時に前記バーが配列されて形成される外周を縮小するために、適合される、
請求項1記載の装置(1)。
【請求項13】
複数の前記スポークの各面のための2つ以上の連結部材は、回動動作を実行するためのモータ手段によって駆動可能である、
請求項12記載の装置(1)。
【請求項14】
各バーのための少なくとも一つの連結部材は、係止体(33)によって係止可能であり、
前記係止体は、係止位置又は解放位置に選択的に移動可能である、
請求項12又は13記載の装置(1)。
【請求項15】
前記係止体は、前記連結部材(31’)の周りに円弧状に係止位置に延び、かつ、スポーク(19’)とバー(27)との間の隙間を閉鎖するように適合される、
請求項14記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロンセグメント用の補強ケージ製造装置に関する。特に、風力発電設備のパイロンセグメント用の補強ケージ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、風力発電設備に使用されているように、パイロンは、しばしば、コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートの壁を有する。特に、最も風の影響を受けるパイロンを含む力学的に含みのあるパイロンの場合には、補強構造、いわゆる補強ケージが、安定性を向上させるために、パイロン壁の内部に別途設けられる。その場合、パイロンの構造はセグメント単位で作られ、すなわちパイロンは一方が他方の上に配置される複数の略環状のパイロンセグメントから構成される。
【0003】
そのようなパイロンセグメントの製造において、まず、補強ケージが製造され、その後、その目的のために設けられた型内にて補強ケージの周りにコンクリートを充填して、コンクリートを硬化する。
【0004】
パイロンセグメント用の補強ケージを製造するための公知の装置では、複数のバー、いわゆる櫛ないし熊手(Rechen)を保持するキャリア構造が提供される。それらのバーは、それぞれ、鋼線を受容するための受容手段を有し、鋼線は、リング要素を形成するためにキャリア構造の周りに渡される。バーによって安定化されたそれらのリング要素は、それとともに直交関係に延在し、かつ、予め円弧状に成形された鋼要素に結ばれ、それによって格子状の補強ケージを製造する。補強ワイヤはいずれかの静止キャリア構造の周囲で回転運動して渡され、又は/及び、好ましくは、それらは固定給電装置に配置されるとともに、回転駆動可能であるキャリア構造によって受容手段から引き出され、かつ、同一の周囲にリング状に、キャリア構造の回転運動の結果として適用される。全体の時間を通して、リング状の鋼線の形状は、キャリア構造とバーとの間に延在する複数のスポークによってキャリア構造及びバーによって安定化される。装置から補強ケージを除去するために、公知のシステムにおけるスポークは、それぞれ除去されなければならず、または、安定化バーは、鋼線から個別に手作業で掛け外さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2010 028 038 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのように動作する装置は、一般的に満足のいく品質の補強ケージを提供するが、その場合、特に、装置から補強ケージを解放するために、高い度合いの手作業が必要とされるという事実は、欠点とみなされる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、短時間で同じ又はより高品質の補強ケージの製造を可能にするパイロンセグメント用補強ケージを製造するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の始めの部分に記載された種類の装置について、本発明の基本的な目的は、請求項1の特徴で達成される。
一視点に係るパイロンセグメント用の、特に、風力発電設備のパイロンセグメント用の補強ケージ製造装置は、X軸を中心に回転駆動可能なキャリア構造体と、平行、又は、X軸に対して相互に円錐形に収束する関係に配向するとともに、前記キャリア構造体の周囲に沿って、好ましくは均一に、分布する複数のバーと、を備え、前記バーの各々は、複数のスポークによって前記キャリア構造体に接続され、かつ、前記キャリア構造体から離れた外側で補強材料を受け止めるように適合された複数の凹部を有し、それぞれの複数のスポークは、X軸に直角な面において前記バーの数に応じて配置され、前記スポークは、モータ手段によりそれらの長さが伸縮自在に調整可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に、本発明は、パイロンセグメント用の、特に、風力発電設備のパイロンセグメント用の補強ケージを製造するための装置で、その目的を達成する。パイロンセグメントは、X軸を中心に回転駆動可能なキャリア構造体と、X軸に平行な関係で配向されるとともに、前記キャリア構造体の周りに好ましくは均一に周囲に沿って分布する複数のバーと、を備え、前記バーの各々は、複数のスポークによって前記キャリア構造体に接続されるとともに、前記キャリア構造からその外側で、補強材を受容するように適合された複数の凹部を有し、複数のスポークのそれぞれは、X軸に対して直角な平面内の前記バーの数に応じて配置され、前記スポークは、モータ手段によってその長さが伸縮自在に調整可能である。その点において、本発明は、補強ケージの製造を行った後に、すべてのスポークの電動駆動がそれらを手作業の介入なしに引っ込めることを可能にすることを可能にし、すなわち、前記電動駆動は、前記補強ケージが前記装置から上向きに取り外すことができるような仕方で、前記スポークによって定義された径を小さくすることが可能になると言うことである。この解決策は、同時に、さらなる重要な利点が得られる。すなわち、スポークによって定義された径は、補強ケージの除去のために小さくすることのみならず、むしろ、補強ケージの製造前の既にある時点でのスポーク長さの電動調整は、補強ケージを製造するために、異なる径を予め決定するために使用することができる。言い換えると、一つの同じ装置で、異なるパイロンサイズと異なるパイロン高さのパイロンセグメント用補強ケージを製造することが、モータ駆動によって可能である。風力発電設備のパイロンは、基礎からポッドの方向に一般的に先細りの構成で収束する。その場合、パイロンセグメントのいずれかが互いにステップ状に固定されるか、又は、好ましくは、円錐形に構成される。既存のパイロンセグメントの上に配置されるさらなるパイロンセグメントの各々は、このように徐々にケージ径が小さくなる補強ケージを必要とする。代わりに、それぞれの径に対応する装置を作り変えしたり、又は、各パイロンセグメントの個々のパイロンセグメント径又は補強ケージ径のための装置を準備することの代わりに、本発明は、一つの同じ装置で、補強ケージ用の複数の異なる径を予め決定することができる。8個のパイロンセグメントから成る風力発電設備のパイロンの場合、当該技術分野において公知の装置を使用する場合、8個の異なる補強ケージを製造するためには、合計8個の異なる作業ステーションが必要である。本発明によれば、この例では、2個まで補強ケージ製造装置の数を減らすことができる。また、補強ケージの製造時の時間効率の向上に加えて、製造技術の面で膨大な節約の可能性をも提供する。
【0010】
本発明の有利な展開によれば、すべてのそれぞれのスポークの長さは1つの平面で同期調整可能である。すなわち、2つの利点を達成する。一方では、一平面内でのすべてのそれぞれのスポークの同期調整は、その平面内のスポークがそれらの外側の端部(複数)で円形の周囲を確保することを確実にする。他方では、これは、キャリア構造体上のすべてのスポークが、1つで同じ長さに固定されないことを意味するが、むしろ各平面内のスポークは同じ長さであり、同時に、隣り合う平面内のスポークは、異なる長さにすることができ、順番に対応する平面内のすべてのスポークのそれぞれの同期調節が可能である。それによっても、特に風力発電設備のパイロンに関して好ましい円錐補強ケージを製造することができる。
【0011】
スポークの長さは、無段階に調整可能であることが好ましい。この点に関して、数ミリメートルのステップ、例えば、1ステップ当たり3〜4mmでのスポークの長さのステップ的な調整は、無段階であるとみなされるが、このことはパイロンセグメント用補強ケージの大きな径を考慮しても、自明である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、装置は、各スポークのモータ調整のために適合され、かつ、駆動部によって同期駆動可能なトランスミッション(伝達装置;Getriebe)が各スポークのために連結される中央駆動部、又は、スポークの各面用の中央駆動部を有する。この好ましい実施形態の第1の代替形態によれば、適当な力伝達部材によって装置のすべてのスポークの同期駆動を確保するための単一の駆動部が提供される。本発明によれば、中央駆動部の各駆動動作は、同じ長手方向の量だけのスポークの長さの変化を生ずる。その機械的に強制された同期は、各面のスポークがそれぞれの面に関連する基本的な長さに設定されている限り、円筒状補強ケージと円錐テーパ状補強ケージとの両方を製造するために使用することができる。異なる基本的な長さは、それぞれの平面に対して異なる径を定義するので、テーパの角度を定義する。全ての面のスポークが中央駆動部によって変更される場合、同じ操作量(ストローク;Auslenkungsbetrag)だけ、全ての面が一様に変化したように直径の変化を与えるが、それは、テーパ角の変化を与えない。
【0013】
この好ましい実施形態の第2の代替形態によれば、スポークの各面は、それ自身の駆動部によって別々にモータ駆動可能である。そのようにして、それぞれの面のスポークは、他の面と比較して独立して互いに同期して調整することができる。それにより、異なるテーパ角を有する補強ケージを製造することができる。
【0014】
好ましい実施形態のさらなる発展では、駆動部は1つ以上のギヤ(歯車)を有するシャフトを有し、スポークのトランスミッション(伝達装置;Getriebe)はそれぞれローラチェーンによって前記シャフトと連結されるものを提供する。好ましい代替形態において、駆動部は液圧(油圧)駆動であり、各スポークは長さ調整用の液圧(油圧)駆動による圧力が作用することができる液圧(油圧)駆動ピストンを有する。
【0015】
本発明のさらに好ましい一発展形態では、装置は、好ましくは、各スポークがそれ自体の駆動部を有するように電動式の長さ調整用の分散型駆動システムを有する。好ましくは、一面内の全てのスポーク又は全てのスポークのためのそれぞれの駆動部は、電子制御部によって同期制御される。個々の駆動部の多数に起因し関与する装置の費用の増加は、すべてのスポークを作動させるための中央駆動システム、及び伝送システムの必要性がないという事実によって補償される。各駆動部へのコマンドの通信は、同時にすべての駆動部に同じ制御コマンドを通信するための単純な技術的に公知手段で可能であるように、複雑化及び費用を低レベルで、電子制御コマンドによって同期して実施することができる。
【0016】
好ましくは、この実施形態によれば、各スポークは伸縮スピンドル駆動、磁気式リニア駆動又は歯付きラック駆動を有する。すべてのこれらの駆動システムは、電子作動可能な制御モータによって有利に操作させることができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態では、電子制御部は、スポークの各面がスポークの外端で所定の直円の径を規定するように、中央駆動部又はスポークの各面の駆動部又は各分散駆動部を作動するように適合されている。
【0018】
本発明に係る装置のさらなる好ましい発展形態では、バー(複数)は、各スポークのうち下がったすべてのスポークの機械的係合脱離(連結解除)によって、キャリア構造に対して平行であるそれらの位置、又は、それらの相互に円錐状に収束する位置から元の位置に対して傾斜している(角度をとった)別の位置へ旋回可能である。
【0019】
さらに好ましくは、バー(複数)は、それぞれ連結部材によってスポークに固定され、連結部材は、外周を縮小すると同時に、X軸方向においてバーを旋回(角度変更)するように適合される。さらに好ましい実施形態において、複数のスポークの各面、好ましくは全ての連結部材は、旋回動作を実施するためのモータ手段によって駆動可能である。
【0020】
さらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの結合部材での各バー毎に、ロックボディによってブロック可能であり、ロックボディは、好ましくは旋回動作によって、選択的にロック位置又は解除位置に移動可能である。
【0021】
特に好ましくは、ロックボディは、連結部材の周囲で円弧状にロック位置に延び、かつ、スポークとバーとの間の隙間を閉じるように適合され、ロックボディの形状は、間隙の形状に対応するように適合される。
【0022】
一例として、以下の好ましい実施形態を用いて、添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る装置の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、さらなる実施形態に係る装置の詳細の斜視図を示す。
【
図5】
図5は、本発明のさらなる実施形態に係る装置の一部の側面図及び断面図を示す。
【
図5】
図6は、本発明のさらなる実施形態に係る装置の一部の側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明のさらなる実施形態に係る装置の一部の断面図を示す。
【
図7】
図7は、異なる操作条件のさらなる実施形態における本発明に係る装置の詳細図を示す。
【
図8】
図8は、異なる操作条件のさらなる実施形態における本発明に係る装置の詳細図を示す。
【
図9】
図9は、さらなる実施形態における本発明に係る装置の詳細な斜視図を示す。
【実施例】
【0024】
図1は、パイロンセグメント用の補強ケージ製造装置の基本構造を示す。装置1は、定置の基板3を有し、回転駆動可能プラットフォーム5が配置される。回転駆動可能プラットフォーム5は、定置の基板3上に(軸受け)支持されることが好ましい。プラットフォーム5から直角に延びているのは、キャリア構造体7である。全部で3つの面11、13、15をもってそれぞれ複数のスポーク19がキャリア構造体7上に配置されている。スポーク19は、キャリア構造体から外向きに延在する。図示された実施形態では、図面を明瞭にするため、1つだけが参照符号で示されたスポーク19は、星形構成に配向される。スポークの長手方向の調整が、スポークの周りに延びる概念的な境界の変化する周囲になる限り他の配向も可能であることに留意されたい。最上面11におけるスポークは、補強することを目的として、横支柱17によって互いに接続される。第1面11から間隔をおいて配置された第2面13におけるスポークは、補強することを目的として、横支柱9により互いに接続され、第2面13から間隔をおいて配置された第3面15におけるスポークは、補強することを目的として、横支柱21により互いに接続される。
【0025】
図2は、装置1において互いに重なり合う異なる面11、13、15の配置を再度示す。この点に関して、面という概念は、スポークの厳密に幾何学的に水平配向を示すものではなく、建築構造内又は支持フレーム上で異なるプラットフォームの同様の配置を意味するものである。なお、
図1及び
図2に示す実施形態では、フレーム梁(Streben)は、実際には、キャリア構造体7の回転軸Xに対して実質的に直角に配向されている。
【0026】
第1面11におけるスポークは、それらの半径方向最外(最外周)のポイントによって、半径R1を定義する。第2面13のスポークは、同様に、半径R2を定義し、第3面15のスポークは、同様に、半径R3を定義する。
図2は、さらに、ハウジング23が定置の基板3の下方に設けられていることを示す。ハウジング23内には、キャリア構造体7のための駆動部、並びに、中央駆動部、又は、複数の分散駆動部(図示せず)を制御するための電子制御部が配置されていることが好ましい。
【0027】
図3は、
図2の装置からの破断図(部分切り出し図)を示す。図示は、第1面11に配置されたスポーク19’、及び、第2面13に配置されたスポーク19”に制限される。
【0028】
補強ワイヤを受容するためのバーは、
図1及び
図2におけるキャリア構造体及びスポークの配置をより明確に示すために除去されるとともに、
図3は、バー27が取り付けられた位置を例示する。示された位置では、バー27は、垂直軸Xに対して角度αで配向されている。これを本発明に係る装置のすべてのバーに適用した場合、これはバーが互いに向かって円錐状に収束することを意味する。角度αは、スポーク19’の本体19aの異なる長さ、及び、それとは異なるスポーク19”の本体部19cの長さによって予め決定することができる。スポーク19’、19”の伸縮要素19b、19dが完全に後退した場合、角度は、X軸の方向、及び、本体19a、19cの異なる長さにおいて互いに相対するスポーク19’、19”の間隔から定義される。代わりに、角度は、矢印25”の方向でのスポーク19”の伸縮要素19dとは異なる量によって矢印25’の方向に変位されるスポーク19’の伸縮要素19bによって調整可能である。
【0029】
また、
図3からわかるように、バー27は、補強ワイヤをガイドするための複数の受止手段29を有する。バー27は、スポーク19’、19”の伸縮要素19b、19dに対してそれぞれの面11、13で連結部材31’、31”によって回動自在に接続される。装置が互いに異なる矢印25’、25”の方向にスポーク19’、19”の長手方向の調整を行うように設計されている場合、連結部材31’、31”を受容するため、好ましくはスロットガイドが、角度αで生じる変化を考慮するために、バー27に設けられる。
【0030】
図4は、面11を例として考慮されたスポーク19’の例に則して、本発明に係る装置1のさらなる態様を示す。スポーク19’ の径方向外側端部で、連結部材31’は、スポーク19’の外側に延在する。連結部材31’は、バー27の部分28に揺動自在に連結される。スポーク19’とバー27との間に間隙が形成される。間隙の幅は、係止体33の幅(半径方向)と実質的に対応する。係止体33は、
図4の解放位置に示されている。連結部材31’の回動を防止し、このようにキャリア構造体(図示せず)に対してバーの間隔を固定するために、係止体33は、図示された解放位置から係止位置に移動させることができる。好ましい実施形態では、矢印35の方向への回動によって行われる。係止体は、回動により、スポーク19’及びバー27と接触するように移動される。ロックは、必要に応じて提供される。回動動作は、例えば、ケーブル線の配置のように(ステップ)制御モータ又は機械的偏向(操作)手段によって必要に応じて実現される。係止位置では、キャリア構造体7(
図2参照)の回転軸Xに対する受止手段29の径方向の間隔は固定され、装置1の操作時に一定に保たれ、これにより補強ケージの均一な生産性を確保する。
【0031】
図5及び
図6は、凹部(複数)を有するバー27’の変形例を示す。基礎として、バー27’は、複数の凹部29を有する各側腹が延在するように4つの細長い辺から、細長い四隅のある本体を有する。この場合、第1側腹部37は、側腹高さd1を有する。側腹高さd1と異なり、第2側腹部39は、側腹高さd1と異なる側腹高さd2を有する。第3側腹部41は、側腹高さd3を有し、同時に、第4側腹部43は、側腹高さd4を有する。側腹高さd1、d2、d3、d4は、互いにそれぞれ異なっている。バー27’は、そのような仕方で、キャリア構造体7の回転軸Xから離れた4つの側腹部37、39、41、43の面の1つが補強ワイヤのみと係合するように、装置のスポークに連結することができる。側腹高さが異なるため、受容される補強ワイヤ用の異なる外径又は円形外周は、4つの異なる角度位置に位置決めすることができるバー27’によって予め決定することができる。バー27’は、その目的のために明示的に実施されるスポークの長手方向の調整をモータ駆動するための駆動部の一部の制御の介入なしに、狭い範囲の補強ケージ径の迅速な調整を可能にする。
【0032】
図7は、例としてスポーク19’に関して、本発明の好ましい実施形態のさらなる詳細を示す。伸縮要素19bは、所定の長さで、スポーク19’の本体部19aから伸ばすことができる。連結部材31’は、伸縮要素19bの外側に延在しており、部分28でバー27に連結されている。その場合、受止手段29は、X軸(図示せず)からの半径方向の間隔R1を画成する。
図7に示された状態では、装置1は、補強ワイヤを受容することができる、又は、受容する、又は、既に受容された位置に配置される。補強ワイヤの安定性が保証されなければならない条件は、R1で一定であることである。補強ケージを製造した後、つまり円形の補強ワイヤが追加補強要素に接続された後、装置1は、
図8に示すような状態に変換される。
図8の状態では、連結部材31’は、上向きに回動する。同じ動作は、装置の他の面での他の連結部材(図示せず)によっても行われる。その結果、バー27は、両方を上方に(
図2のX軸の方向の
図8の配向に対して)移動され、同時にX軸に向かう方向の内側に変位される。現在、受止手段29がX軸に関して引き受ける径方向の間隔は、R1よりも小さいR1’である。連結部材の回動動作によって、補強ワイヤは、受止手段29から解放され、製造された補強ケージは、装置1から上方に取り外すことができる。回動可能な連結部材を有するスポークのデザイン構成は、その目的のために、制御コマンドにより、モータ手段により調整されるスポークの長さを変更することなく、補強ケージを装置1から素早く解放するとができる理由で特に有利である。連結部材は、スポークの長さは不変のままで、純粋な機械的作動により、
図7に示す位置から
図8に示す位置に回動することができる。
【0033】
最後に、
図9は、本発明の様々な駆動概念の1つを含む本発明のさらなる実施形態を示す。
図9は、装置1の上面11の斜め上から見た斜視図を示している。スポーク19’の伸縮要素19bは、本体部19a内の直進動作で変位可能である。分散駆動部49は、各スポークの直進動作を行うために配置されている。
図9に示す例では、分散駆動部49は、キャリッジ(スライド部材)53が長手方向の溝によってガイドされる直進動作を実行する作動によって、伸縮スピンドル駆動部51の形態である。伸縮要素19bは、キャリッジ53に連結され、伸縮スピンドル駆動部51の作動の結果として、モータ手段によって外側又は内側に動作する。支持支柱45、47は、横方向の支持のため、かつ、支承力(Lagerkraften)を担持するために複数のスポークの左右に配置される。
【0034】
(付記)
一視点に係るパイロンセグメント用の(特に、風力発電設備のパイロンセグメント)用の補強ケージ製造装置は、キャリア構造体と、複数のバーと、を備える。キャリア構造体は、X軸を中心に回転駆動可能である。複数のバーは、平行、又は、X軸に対して相互に円錐形に収束する関係に配向する。複数のバーは、前記キャリア構造体の周囲に沿って、好ましくは均一に、分布する。前記バーの各々は、複数のスポークによって前記キャリア構造体に接続される。前記バーの各々は、前記キャリア構造体から離れた外側で補強材料を受け止めるように適合された複数の凹部を有する。それぞれの複数のスポークは、X軸に直角な面において前記バーの数に応じて配置される。前記スポークは、モータ手段によりそれらの長さが伸縮自在に調整可能である。
【0035】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、すべての各スポークの長さは、1つの面内で同期して調整可能である。
【0036】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記スポークの長さは、無段階に調整可能である。
【0037】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記スポークの運動調整のために、中央駆動部、又は、スポークの各面の中央駆動部を備える。各スポークのために、前記中央駆動部によって同期駆動可能なトランスミッションが前記中央駆動部に連結される。
【0038】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記中央駆動部は、1つ以上のギアを備えるシャフトを有する。前記スポーク(複数)の前記のトランスミッション(複数)は、それぞれ、ローラチェーンによってシャフトに連結される。
【0039】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記中央駆動部は、液圧駆動部である。各スポークは、長さ調整用の前記液圧駆動部による圧力が作用することができる液圧駆動ピストンを有する。
【0040】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、各スポークがそれ自身の駆動部を有するように、モータ長さ調整のための分散駆動システムを備える。
【0041】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、面内の全てのスポークのためのそれぞれの前記中央駆動部は、電子制御部によって同期制御される。
【0042】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、各スポークは、伸縮スピンドル駆動部、磁気リニア駆動部、又は歯付ラック駆動部を有する。
【0043】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記電子制御部は、スポークの各面が前記スポークの前記外端で所定の円の径を定義するように、中央駆動部、又は、スポークの各面の駆動部、又は、前記分散駆動システムの各々を作動するように適合される。
【0044】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記バー(複数)は、それぞれ1つのスポーク以外のすべてのスポークを切り離すことによって、キャリア構造体に対して平行な配向から傾斜した配向への折り畳みが可能である。
【0045】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記バー(複数)は、それぞれの連結部材によって前記スポーク(複数)に固定される。前記連結部材は、X軸の方向において、前記バーを旋回(角度変更)するために、かつ、同時に前記バーが配列されて形成される外周を縮小するために、適合される。
【0046】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、複数の前記スポークの各面のための2つ以上、好ましくは全ての連結部材は、回動動作を実行するためのモータ手段によって駆動可能である。
【0047】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、各バーのための少なくとも一つの連結部材は、係止体によって係止可能である。前記係止体は、好ましくは回動動作によって、係止位置又は解放位置に選択的に移動可能である。
【0048】
前記パイロンセグメント用補強ケージ製造装置において、前記係止体は、前記連結部材の周りに円弧状に係止位置に延び、かつ、スポークとバーとの間の間隙を閉鎖するように適合される。
【0049】
なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0050】
なお、本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。