特許第5976944号(P5976944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976944
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/06 20060101AFI20160817BHJP
   H01R 24/38 20110101ALI20160817BHJP
   H01R 13/405 20060101ALI20160817BHJP
   F02M 51/06 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   H01R31/06 P
   H01R24/38
   H01R13/405
   F02M51/06 M
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-533510(P2015-533510)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-533252(P2015-533252A)
(43)【公表日】2015年11月19日
(86)【国際出願番号】EP2013068323
(87)【国際公開番号】WO2014048690
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年5月15日
(31)【優先権主張番号】12186060.5
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514160386
【氏名又は名称】デルファイ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ソーヴェトル,リュドヴィク
(72)【発明者】
【氏名】アンテール,リシャール
(72)【発明者】
【氏名】ギニョン,ガエル
(72)【発明者】
【氏名】ルグランド,フィリッペ
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−102124(JP,A)
【文献】 特開2010−242574(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/080786(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/06
H01R 24/38
H01R 13/405
F02M 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(18)を有する噴射器組立体(10)用の電気コネクタ(32)であって、
第1および第2の導電要素(34、36)と、
前記アクチュエータ(18)の第1の接続手段を受容する手段と、
前記第1および第2の導電要素を収容し、前記アクチュエータ(18)が電源に電気的に接続できるように前記電源への第2の接続手段を受容する第1の開口(44)を画定する非導電性のオーバーモールド(38)と
を備え、
前記第1の接続手段が、前記噴射器組立体(10)の一部を形成する第1および第2の接続ピン(20、22)を含み、
前記第1および第2の導電要素(34、36)のそれぞれが、使用時に前記第1および第2の接続ピン(20、22)のそれぞれ1つに接続する接続部(46、48)を端部に有し、
前記第1および第2の接続部が、それぞれが前記第1および第2の接続ピン(20、22)のそれぞれ1つを受容するリング(46、48)の形態をとり、
前記第1および第2の接続部であるリング(46、48)が互いに同心である、
電気コネクタ(32)。
【請求項2】
前記非導電性のオーバーモールド(38)が、前記第1および第2の導電要素の端部(46、48)を越えて延び、前記第1の接続手段を受容する追加の開口を画定する、請求項1に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項3】
前記第1の開口(44)が、前記電源用の標準的な電気コネクタの第1および第2の端子の形態をとる前記第2の接続手段を受容するように配置される、請求項1または2に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項4】
前記非導電性のオーバーモールド(38)が、前記噴射器組立体(10)内での前記電気コネクタ(32)と前記アクチュエータ(18)との位置合わせを可能にする一対の手段(56、58)のうちの一方の手段(56)とともに提供される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項5】
前記導電要素(34、36)のそれぞれの端面が、前記アクチュエータ(18)の接触面(60、62)に当接するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項6】
前記導電要素(34、36)のうちの少なくとも1つが、前記導電要素(34、36)の軸方向の圧縮が可能になるように形成される弾性的に圧縮可能な部分(64)を有する、請求項5に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項7】
前記導電要素(34、36)の前記弾性的に圧縮可能な部分(64)を覆う前記非導電性のオーバーモールド(38)の部分が、可撓性を高めるために残りの前記非導電性のオーバーモールド(38)の部分に対して薄く形成されている、請求項6に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項8】
前記導電要素(34、36)のそれぞれが、電気的な絶縁材料の層で個別に覆われる、請求項6または7に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項9】
中間電気コネクタ(72)をさらに備え、
前記中間電気コネクタ(72)は、使用時に前記アクチュエータ(18)に直接的に接続し、
前記第1および第2の導電要素(34、36)は、前記中間電気コネクタ(72)に接続するように配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項10】
前記第1および第2の導電要素(34、36)のそれぞれが、上部(52)および下部(54)を有して形成され、前記上部(52)は前記下部(54)から実質的に垂直に離れる方向に延びる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気コネクタ(32)。
【請求項11】
噴射器組立体(10)と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気コネクタ(32)とを備え、
前記噴射器組立体(10)を受容する噴射器孔(16)を画定する燃料噴射器(12)。
【請求項12】
前記非導電性のオーバーモールド(38)が、前記噴射器孔(16)内で前記電気コネクタ(32)を保持するために前記噴射器孔(16)内でプレスフィットになるように配置されるブッシュ(40)とともに提供される、請求項11に記載の燃料噴射器(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射器用の電気コネクタに関する。詳細には、限定するものではないが、本発明は、燃料噴射器内のアクチュエータ組立体に電力を供給する電気コネクタに関し、また内燃エンジンで用いられる燃料噴射器のソレノイドアクチュエータ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の燃料噴射器は、噴射器の作動中の弁の開閉の手段としてソレノイドを備えることが普通である。ソレノイドが作動するためには、電力を供給しなければならない。これは、ソレノイドが噴射器内の奥深くに配置されることがあるために、難しいことである。また、電気配線を収めなくてはならない空間に関していえば、噴射器の頂部には一般に、エンジン環境の周辺構成部品によって課される少なからぬ高さ制限がある。電気配線が克服しなければならないさらなる困難は、たえず電気接続を維持するために、エンジンが作動しているときに受ける様々な力と振動に電気配線が耐えられる必要があることである。
【0003】
これらの困難に対する現在の解決策は、噴射器孔の中に延びてソレノイドに接続する一対の細長い金属の導電要素またはブレードを提供することである。エンジンが作動しているときに本質的に伴う振動および他の力を受けるときにも接続を確実に安定して維持するために、ブレードがソレノイドの接続点と接触する端部には溶接が施される。噴射器からブレードを電気的に絶縁するためにブレードを収容するプラスチックオーバーモールドが設けられる。噴射器の頂部では、ブレードおよびプラスチックオーバーモールドが噴射器孔の上端から突出し、ブレードの上端部は露出された状態になっている。ここで、電力を供給するためのコネクタがブレードに接続される。上記の高さ制限を考慮して、この接続はブレードに対して垂直になるように配置される。
【0004】
この解決策における主な問題は、接続しなければならないブレードの専用性のため、接続にあたっては特注のコネクタが必要であり、これは高価である、ということである。
【0005】
この解決策におけるさらなる問題は、接続点で溶接する工程もまた費用がかかる、ということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来技術の短所のいくつかを克服する、または少なくとも軽減することは、本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、アクチュエータを有する噴射器組立体用の電気コネクタが提供される。電気コネクタは、第1および第2の導電要素と、アクチュエータへの第1の接続手段を受容する手段と、第1および第2の導電要素を収容する非導電性のオーバーモールドとを備える。非導電性のオーバーモールドは、アクチュエータが電源に電気的に接続できるように電源に接続する第2の接続手段を受容する開口を画定する。
【0008】
本発明は、非導電性のオーバーモールドによって画定される開口が標準的な電気コネクタを受容するように配置され、それによって電気コネクタを電源に接続するための特注のコネクタが必要なくなる、という技術的な利益を提供する。さらに、単一の一体型のオーバーモールドを提供することによって、コネクタに必要な空間を小さくすることができる。このことは、空間が限られるエンジン環境では有利である。
【0009】
上記の電気コネクタは、ソレノイドを含むソレノイドアクチュエータを有する噴射器組立体で用いられる場合に特に有利であるが、圧電アクチュエータを備えた噴射器で圧電アクチュエータを電源に接続するためにも同様に用いることができるであろう。
【0010】
上記の開口は、電源用の標準的な電気コネクタの第1および第2の端子の形態をとる第2の接続手段を受容するように配置されうる。これは、特注のコネクタを提供する必要がないため有益であり、これによって本発明を使用するときのコストは顕著に低減される。
【0011】
上記の接続手段は、アクチュエータ組立体の一部を形成する第1および第2の接続ピンを含んでもよい。上記の導電要素のそれぞれは、その端部、または端部付近に接続部を有し、第1および第2の導電要素は第1および第2の接続ピンに接続するように配置されてもよい。これによって、電気コネクタは、接続ピンとともに配置された標準型のソレノイドへの信頼性のある堅牢な電気接続を形成することができる。
【0012】
上記の接続部は、それぞれがアクチュエータ組立体の接続ピンのそれぞれ1つを受容する接続リングの形態をとってもよい。
【0013】
上記の非導電性のオーバーモールドは、噴射器組立体内での電気コネクタの位置合わせをする手段とともに提供されてもよい。これによって、電気コネクタの取付けが容易になり、正しく位置合わせをせずにコネクタを挿入したことによって導電要素が損傷するのを防ぐことができる。また、接続リングが第1および第2のピンに単に接触するだけでなくそれらに嵌合するので、確実に正しい電気接続がなされる。
【0014】
上記の第1および第2の導電要素は、接続リングが互いに同心になるように配置されてもよい。これによって、電気コネクタを噴射器組立体に対して任意の向きで挿入することができ、いつでも良好な電気接続が実現されることが確実になる。また、これによって、電気コネクタを周囲の構成部品との関係で最も都合の良い位置に配置することが可能になる。例えば、コネクタは、開口が電源を向くように配置することができ、その結果、それらの間の距離は最短になる。これはつまり、これら2つを接続するためにより短いケーブルまたはワイヤを使用できることを意味する。
【0015】
上記の非導電性のオーバーモールドは、第1の接続手段を受容する追加の開口またはキャビティを画定するために、導電要素の接続部を越えて延びるように配置されてもよい。この特徴は、取り付け中および使用時に、導電要素が周囲の構成部品から完全に遮蔽されるという利点を提供する。
【0016】
本発明の別の実施形態では、各導電要素の端面はソレノイドの接触面に当接するように配置される。この配置は、電気コネクタを接続ピンではなく接触面を備える標準型のアクチュエータ組立体に使用できるという利点を提供する。
【0017】
一実施形態において、導電要素のうちの少なくとも1つは、当該導電要素の軸方向の圧縮が可能になるように形成される弾性的に圧縮可能な部分を有してもよい。これによって、電気コネクタは、例えば噴射器組立体内の第1の接続手段の深さが異なる様々な寸法の噴射器ソレノイド組立体に使用することができる。同様に、これによって、噴射器組立体内での第1の接続手段の深さにも影響を及ぼしうる製作公差が許容される。さらに、軸方向の付勢効果が与えられ、これによって噴射器組立体の作動中に電気接続を確実に維持することができる。
【0018】
例えば、上記の導電要素の弾性的に圧縮可能な部分を覆う非導電性のオーバーモールドの外被部は、外被部の残りの部分に対して比較的薄く形成される。これによって外被部の可撓性が増し、非導電性のオーバーモールドは、それらが覆う導電要素と同じように伸縮することができる。
【0019】
一実施形態において、導電要素のそれぞれは電気的な絶縁材料の層で個別に覆われる。これによって、電気的な短絡が形成されないことが確実になる。
【0020】
上記の電気コネクタは、使用時にアクチュエータに直接的に接続する中間電気コネクタを備えてもよい。このとき、第1および第2の導電要素は、中間電気コネクタに接続するように配置される。この特徴によって、電気コネクタは、アクチュエータに配置される第1の接続手段のタイプに対して適切な中間コネクタを選ぶだけで、様々な噴射器組立体に使用することができる。
【0021】
上記の中間電気コネクタは、ワイヤを使って第1および第2の導電要素に電気的に接続されてもよい。これによって、ワイヤが導電要素と第1の接続手段との長さが異なることによる違いを調節するように配置されるので、本発明を異なる寸法の噴射器組立体とともに使用することができる。
【0022】
ある実施形態において、上記の第1および第2の導電要素のそれぞれには上部および下部が形成されて、上部は下部から実質的に垂直に離れる方向に延びる。これは、開口がアクチュエータ組立体の長手方向軸線に対して実質的に垂直であり、第2の接続手段が上方ではなく側方から電気コネクタに接続することを意味する。これによって、噴射器組立体の全体の高さが低くなり、エンジン環境における空間が限られている点からするとさらに有利である。
【0023】
他の実施形態において、開口はアクチュエータ組立体の長手方向軸線に垂直である必要はなく、アクチュエータ組立体の軸線に対して異なる角度をなしてもよい。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、噴射器アクチュエータ組立体と、本発明の第1の態様に係る電気コネクタとを備える燃料噴射器が提供され、燃料噴射器は、噴射器アクチュエータ組立体をその中に受容する噴射器孔を画定する。
【0025】
一例において、上記の非導電性のオーバーモールドは、噴射器孔内で電気コネクタを保持するために噴射器孔内でプレスフィットになるように配置されるブッシュとともに提供される。この特徴は、噴射器組立体をその一部品とするエンジンが作動しているときに、電気コネクタが確実に定位置を維持することに役立つ。これによって、確実に電気接続が維持され、電気コネクタが定位置から逸脱することによって電気コネクタまたは周囲の構成部品に損傷が生じることがない。
【0026】
別の態様では、燃料噴射器のアクチュエータ組立体に電力を供給する電気コネクタ組立体は、第1および第2の導電要素と、アクチュエータへの第1の接続手段を受容する手段と、第1および第2の導電要素を収容する非導電性のオーバーモールドとを備える。非導電性のオーバーモールドは、アクチュエータが電源に電気接続できるように電気コネクタ組立体の第2の接続手段を受容する開口を画定する。
【0027】
上記の本発明の第1の態様の好ましいおよび/または付加的な特徴が、本発明の他の態様にも、単独で、または適切な組み合わせで組み込まれうることは明らかであろう。
【0028】
次に、本発明をより容易に理解できるようにするために、本発明の好ましい非限定的な実施形態が、添付図面を参照して説明される。これらの図面では、同様の参照符号が同様な機能に対して用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を用いることができるタイプのソレノイドを含む噴射器の一部分の概略図であり、同心のピンの形態をとるコネクタを含むソレノイドを示す。
図2図1のソレノイドに接続するために同心のリングコネクタが配置された、本発明の電気コネクタの第1の実施形態の図である。
図3】短い噴射器孔の中に収容されるソレノイドに接続するために、コネクタの接続ブレードが図2におけるものより短い、図2の実施形態の変形例の図である。
図4】平行な2本の接続ピンを有するソレノイドに接続するために、コネクタの接続ブレードが互いに平行である、本発明の第2の実施形態の図である。
図5】接続ブレードを付勢してソレノイドコネクタと接触させるために、接続ブレードのそれぞれが可撓性部分を有する、本発明の第3の実施形態の図である。
図6図5の電気コネクタが嵌合された燃料噴射器組立体の図である。
図7図6の燃料噴射器組立体の分解図である。
図8】接続ブレードのそれぞれが、図5の可撓性部分の代わりにらせん部分を備える、本発明の第4の実施形態の図である。
図9】接続ブレードが、ソレノイドに接続する中間コネクタと接続している、本発明の第5の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照すると、燃料噴射器(その一部12のみが示されている)用の噴射器ソレノイド組立体10が示されており、燃料噴射器は、噴射器孔16を画定するノズルホルダ本体(NHB:nozzle holder body)14を有し、噴射器のアクチュエータ組立体のソレノイド18は噴射器孔16内に収容される。ソレノイド18は、本発明の電気コネクタ(図1には示されず)に嵌合される。ソレノイド18は長手方向軸線に沿って延び、その形は概ね円筒形であり、第1の接続ピン20および第2の接続ピン22を備える。接続ピン20、22は、ソレノイド18の端部から外に向かって延び、概ね円筒形および円形断面である。第1および第2の接続ピンは、共にソレノイド18への第1の接続手段を形成する。第2の接続ピン22は、第1の接続ピン20の周りに環を形成するように配置され、絶縁材料のリング24がこの2つを分離する。第1の接続ピン20は、ピンへの接続を容易にするために、図1に示すように、第2の接続ピン22よりさらに外に向かって延びていてもよい。組立の際には、ピン20、22の両方への接続が同時に要求されるよりも、第1のピン20を先に接続できた方がよい。この配置は、さらに、電気的な短絡を形成しないように接続ピン20、22を互いに絶縁するのにも役立つ。接続ピン20、22は、電気コネクタの嵌合を容易にするために、それぞれ面取りされる。第1および第2の接続ピン20、22は、それぞれに取り付けられたワイヤ26、28を有し、ワイヤ26、28は接続ピン20、22のそれぞれをソレノイド18のソレノイド巻線30の各端部に接続して電気回路を完成させる。
【0031】
次に、図2および3を参照すると、内部電気コネクタ32の第1の実施形態は、図1のソレノイド18に接続するように配置され、第1および第2の接続ブレード34、36の形態をとる第1および第2の導電要素、ならびに第1および第2の接続ブレード34、36を包むまたは収容するようにオーバーモールドされたプラスチックハウジング38を含む。プラスチックハウジング38の本体は概ね円筒形であり、噴射器孔16内にぴったりと嵌合するように孔16に対して相補的な形状で形成される。
【0032】
プラスチックハウジング38には、スチールブッシュ40が設けられてもよい。スチールブッシュ40はプラスチックハウジング38に埋め込まれ、ブッシュ40がNHB14の噴射器孔16内でプレスフィットになることで内部電気コネクタ32が噴射器12内に保持されることを可能にする。プラスチックハウジング38は、プラスチックハウジング38の本体から離れる方向に延びる突出部42をさらに備える。突出部42は、第1および第2の端子を有する標準的な電気コネクタ(図示せず)の形態をとる第2の接続手段を受容する開口44を画定する。標準的な電気コネクタは、電源(これもまた図示せず)からの電力を内部電気コネクタ32経由でソレノイド18に供給する。
【0033】
第1および第2の接続ブレード34、36は、ソレノイド18の接続ピン20、22のそれぞれに接続し、一端に接続リング46、48を有する。本実施形態では、接続リング46、48は互いに同心になるように配置され、ソレノイド18の接続ピン20、22の配置に対応している。第1の接続ブレード34は、それを囲む第2の接続ピン22よりも小さい第1の接続ピン20に接続するので、第2の接続ブレード36よりも小さな接続リング46を有する。接続リング46、48は、接続ピン20、22の直径よりも小さい内径で形成されることによって、接続ピン20、22のそれぞれと確実に接続して配置される。接続リング46、48のそれぞれには、接続ピン20、22に嵌合するために拡がることを可能にするスリット50が設けられる。接続ピン20、22のそれぞれの頂部の面取りは、接続リング46、48が接続ピン20、22の面取り部に沿ってさらに押し下げられたときにそれらが徐々に拡がるようにすることで、この工程を容易にする。接続リング46、48にスリット50が設けられていなければ、リングが面取り部を越えて動くときに、対応するピンの直径が増大するのに適応して拡がることができない。リングにおけるスリット50は、リングが対応するピンに対して押されたときにリングが弾性的に拡がることを許容し、それゆえ良好な接続を確実にする。
【0034】
最終的な位置として、接続リング46、48は、接続ピン20、22の長さ方向についてはどこに位置してもよい。このことは製作公差を許容し、また、エンジンが作動しているときの振動のために接続ブレード34、36が接続ピン20、22に対していくらか移動した場合にも、接続リング46、48が接触を中断することなくピンを滑って上下することが可能であるために、電気接続がたえず維持されることを意味する。
【0035】
接続ブレード34、36のそれぞれには折曲部が形成されて接続ブレード34、36を上部52および下部54に分け、上部52は下部54から垂直に離れる方向に延びる。ブレード34、36の下部54は、接続リング46、48を有し、噴射器孔16の中に延びる。ブレード34、36の下部54の長さは、電気コネクタ32が嵌合する噴射器孔16の深さによって決定される。ブレード34、36の上部52は、プラスチックハウジング38の開口44の中へと突出している。このようにして、ブレード34、36のそれぞれの上部52はピンとして作用し、プラスチックハウジング38の突出部42と合わせて標準的な雄型電気コネクタの形態をとり、そこに標準的な雌型電気コネクタを接続することができる。
【0036】
この配置の利点は、接続ブレード34、36が同心に配置されていることにより、燃料噴射器12に対して任意の向きで電気コネクタ32を噴射器孔16の中へ挿入することができる、ということである。このことは、エンジン環境内で、必要なケーブルの長さを最短にするために電気コネクタ32を電源の方に向けることに関して有利でありうる。噴射器12の周辺領域では空間が限られているので、これは望ましいことである。
【0037】
図3は、本発明の第1の実施形態の変形例を示す。ここでは、接続ブレード34、36の下部は、図2に示した接続ブレード34、36の下部よりも短い。この電気コネクタ32の実施形態は、第1および第2の接続ピン20、22が噴射器孔16の中でそれほど深いところにはない噴射器ソレノイド組立体10に嵌合するように配置される。これは、ソレノイド18が図3に示すような長いモジュールとして形成されるため、または、噴射器孔16がそれほど深くないためである。この変形例は、その他の点では図2の実施形態と同一である。
【0038】
図4に、本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態は、互いに同心になるのではなく互いに隣り合って配置される2つの接続ピン20、22を有するソレノイド18に嵌合するように配置される。それゆえ、接続ブレード34、36の下部54は、互いに平行に延びる。ブレード34、36のそれぞれは、ソレノイド組立体10の接続ピン20、22のそれぞれ1つと接続するための同じような大きさの接続リング46、48を有する。図3および図4におけるブレード34、36の長さは、接続される接続ピン20、22、およびコネクタ部品を受容するのに利用できる空間に応じて決定される。
【0039】
前述の実施形態と同様に、接続リング46、48は、接続ピン20、22に確実に取付けるために、わずかに小さめの寸法を有し、さらにスリット50が設けられてもよい。
【0040】
接続ブレード34、36が同心に配置される上記の実施形態とは対照的に、図4の電気コネクタ32は、位置合わせに対して敏感な場合がある。すなわち、電気コネクタ32が正しい向きで噴射器孔16に挿入されなければ、接続ブレード34、36は正しく接続ピン20、22に揃わず、それゆえ良好な接続は形成されない。さらに、位置合わせを正しくしないで電気コネクタ32を噴射器孔16の中へ押し込むことによって、接続ブレード34、36や接続ピン20、22を損傷させる可能性がある。このため、本実施形態では、電気コネクタ32のプラスチックハウジング38にポケット56が設けられ、それがソレノイド18に設けられるキー58を受容するように配置される。キー58は、接続ピン20、22より長い。これは、電気コネクタ32が噴射器孔16の中へ押し込まれるとき、電気コネクタ32が接続ピン20、22に接触する前にキー58に接触することを意味する。それゆえ、キー58をポケット56に揃えて電気コネクタ32を正しく位置合わせするまで、接続ブレード34、36が接続ピン20、22に接続するように電気コネクタ32を噴射器孔16の中へさらに押し込むことは阻止される。一旦正しく位置合わせされれば、電気コネクタ32は噴射器孔16の中へさらに押し込まれ、接続ブレード34、36を接続ピン20、22に接続することができる。
【0041】
本実施形態について、接続ブレード34、36の上部52は、前述の実施形態と同様に、プラスチックハウジング38の突出部42によって画定される開口44と共に標準的な雄型電気コネクタの形態をとり、標準の雌型電気コネクタを受容する。また、他の実施形態と同様に、プラスチックハウジング38にはNHB14に連結するためのスチールブッシュ40が設けられてもよい。
【0042】
図2図3、および図4に示した上記の実施形態について、ソレノイド18の接続ピン20、22を受容するキャビティまたは凹部を形成するために、プラスチックハウジング38は接続リング46、48を越えて延びていてもよい。
【0043】
図5図6、および図7は、本発明のさらなる実施形態を示す。本実施形態は、第1および第2の接続ピン20、22に代わって、第1の接触面60および第2の接触面62が設けられたソレノイド18に接続するように配置される。第1および第2の接触面60、62は、それらの間に絶縁材料のリング24を設けることによって分離される。接触面60、62は、並べて配置されてもよいし、図5に示すように同心状に配置されてもよい。図2および3の実施形態と同様に、同心状の配置は、電気コネクタ32を噴射器孔16の中に任意の向きで挿入することができることを意味するので、好ましい。
【0044】
この実施形態では、接続ブレード34、36には接続リング46、48が設けられていない。その代わりに、第1および第2の接続ブレード34、36は、ソレノイド18の対応する接触面60、62に当接して接続するように配置される。エンジンが作動しているときにも接続ブレード34、36が接触面60、62との接触を維持することを確実にするために、接続ブレード34、36のそれぞれは、対応する接触面60、62に向かって軸方向に付勢される。これは、ブレード34、36の可撓性かつ弾性圧縮可能な部分64によって実現される。部分64は、接続ブレード34、36の下部54を軸方向に圧縮することを可能にし、接続ブレード34、36を接触面60、62に対して押し付けることによって軸方向の力が加えられたときに付勢力を生み出すように形成される。接続ブレード34、36は、同じ大きさで反対方向の反力を接触面60、62に及ぼす。これは、接続ブレード34、36が圧縮状態であり続けるかぎり、接続ブレード34、36と接触面60、62との間の接触が維持されることを意味する。
【0045】
このブレード34、36の部分の可撓性は、図5に示すように、一連の対になる折曲部を有するブレード34、36を形成することによって実現されうる。一実施形態において、接続ブレード34、36の下部54は、それらがソレノイド18の接触面60、62に届くために必要な長さよりもわずかに長い。その結果、電気コネクタ32がソレノイド18と接続するために噴射器孔16の中に嵌合されると、接続ブレード34、36は接触面60、62によって押されることで圧縮される。この状態では、エンジンが起動しているとき、エンジンからの振動のためにソレノイド18が電気コネクタ32から瞬間的に離れるように動こうとしても、接続ブレード34、36は当初の圧縮されていない長さへ延びようとし、それゆえソレノイド18の接触面60、62との接触が維持される。接続ブレード34、36の可撓性はまた、組立体における製作公差を許容する。
【0046】
プラスチックハウジング38は、接続ブレード34、36の弾性的に圧縮可能な部分64を覆う部分ではより薄くなっていてもよく、また、プラスチックハウジング38も可撓性になるように接続ブレード34、36と同じ形状になっていてもよい。
【0047】
図6および図7に示すように、補助的なオーバーモールドの形態をとる中間ハウジング66が設けられてもよい。これによって、接続ブレード34、36の端部が保護されて正しい位置に保持されるが、接続ブレード34、36の弾性的に圧縮可能な部分64は必要に応じて自由に圧縮できる状態に保たれる。
【0048】
この実施形態についても、前述の実施形態と同様に、接続ブレード34、36の上部52は、プラスチックハウジング38の突出部42によって画定される開口44と共に標準的な雄型電気コネクタの形態をとり、標準的な雌型電気コネクタを受容する。また、他の実施形態と同様に、プラスチックハウジング38にはNHB14に連結するためのスチールブッシュ40が設けられてもよい。
【0049】
図8は、図5の実施形態の変形例を示す。この実施形態では、接続ブレード34、36の弾性的に圧縮可能な部分64は、バネの形態をとるようにらせんコイルとして形成される。これによって、前述の実施形態と同様に、接続ブレード34、36の端部を軸方向に付勢してソレノイド18の接触面60、62に接触させるという効果が得られる。
【0050】
本実施形態では、接続ブレード34、36が互いに対して緊密に巻かれることがあるので、他の実施形態と同様に接続ブレード34、36をプラスチックオーバーモールドに収容することが困難な場合がある。そこで、接続ブレード34、36のそれぞれには、ブレード34、36を互いに電気的に絶縁し、それらが互いに直接接触して電気短絡が生じることを防ぐために、個別のプラスチック外被が設けられる。プラスチック外被は可撓性を維持するために薄く形成され手もよい。
【0051】
本実施形態において、接続ブレード34、36は、断面が円形であってもよく、四角形であってもよい。
【0052】
本実施形態についても、前述の実施形態と同様に、接続ブレード34、36の上部52は、プラスチックハウジング38の突出部42によって画定される開口44と共に標準的な雄型電気コネクタの形態をとり、標準的な雌型電気コネクタを受容する。また、他の実施形態と同様に、プラスチックハウジング38にはNHB14に連結するためのスチールブッシュ40が設けられてもよい。
【0053】
図9に示す別の実施形態において、電気コネクタ32は、接続ブレード34、36に加えて、第1の絶縁線68および第2の絶縁線70、ならびに中間コネクタ72を備える。この実施形態における接続ブレード34、36は短く、ブレード34、36の下部54は、プラスチックハウジング38が嵌合されたときに噴射器孔16の中に深く延びることはなく、それゆえソレノイド18に直接的には接続しない。その代わりに、接続ブレード34、36のそれぞれに1本のワイヤ68、70が取り付けられ、ワイヤ68、70は中間コネクタ72に接続される。中間コネクタ72は、ソレノイド18において提供される接続のタイプ、すなわち接続ピン20、22または接触面60、62に従って、本発明の他の実施形態として前述した方法のうちいずれか1つの方法でソレノイド18に接続する。一対のワイヤ68、70は、ガイド74の周りに巻き付けられ、軸方向にいくらかの可撓性を許容する。この可撓性は製作公差を補償し、またこの可撓性によってエンジンが作動しているときの振動が許容される。また、この可撓性によって、電気コネクタを異なる高さの噴射器に使用することも可能になる。上記のワイヤは、両端で溶接または圧着によって取り付けられる。プラスチックハウジング38と中間コネクタ72の両方には、ワイヤの溶接または圧着のための窓を設けることができる。
【0054】
添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、本発明を、本明細書で説明した形態に対する多くの代替の形態に修正することができうることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9