(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の浮体式液化ガス製造設備を示す模式図である。
図2は、同浮体式液化ガス製造設備におけるGTCC設備を示す模式図である。
図3から
図6は、同GTCC設備の一部を示す模式図である。
図7は、同GTCC設備を示す系統図である。
【0015】
図1に示す本実施形態の浮体式液化ガス製造設備1は、海底から採取したガスを精製して液化することによって液化天然ガスを製造する設備である。
図1に示すように、浮体式液化ガス製造設備1は、海洋上の液化天然ガスの採取現場で用いられる船舶(浮体)Fと、船舶F上に設置されたGTCC設備10と、を備えている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、GTCC設備10は、ガスタービンユニット20と、排熱回収ボイラ30と、排気接続ダクト32と、冷凍圧縮機40と、甲板70と、補機駆動部80と、成分分離システム85と、液化設備90と、燃料ガス供給装置100とを備える。
【0017】
ガスタービンユニット20は、天然ガスを燃料として駆動される。すなわち、ガスタービンユニット20は、圧縮空気と燃料ガスとを混合させた混合ガスを燃焼させて生成した燃焼ガスによりタービン軸を回転駆動させる。
ガスタービンユニット20には、エンクロージャ21内に空気を取り込む吸気ダクト22が設けられている。
エンクロージャ21内には、取り込んだ空気を圧縮し、圧縮空気と燃料ガスとを混合させた混合ガスを燃焼させる不図示の燃焼器、多数のタービンブレードを有した不図示のタービン軸等が設けられている。また、ガスタービンユニット20の エンクロージャ21には、ガスタービンユニット20の監視計器等を空気で冷却するための換気用吸気ダクト23および換気用排気ダクト24が上方に向けて突出して設けられている。
本実施形態では、ガスタービンユニット20は、天然ガスを冷却するプロセスにおける前段のプロセスである予冷却プロセスにおいて利用される冷媒を圧縮する冷凍圧縮機を駆動するためのタービン20aと、天然ガスを冷却するプロセスにおける後段のプロセスである本冷却プロセスにおいて利用される冷媒を圧縮する冷凍圧縮機を駆動するためのタービン20bとを備える。
【0018】
また、本実施形態では、GTCC設備10及び船舶F(
図1参照)において消費される電力を賄うための第2ガスタービンユニット110(
図2参照)がGTCC設備10に設けられている。
図2に示す第2ガスタービンユニット110は、天然ガスを燃料とするユニットであり、ガスタービンユニット20と同様の構成を有し、第2ガスタービンユニット110のタービン軸の回転力は発電機120を駆動する動力として利用される。
なお、第2ガスタービンユニット110を備えず、ガスタービンユニット20のタービン軸の回転力の一部を発電機120の動力に用いる構成であってもよい。
【0019】
図2及び
図3に示す排熱回収ボイラ30は、ガスタービンユニット20からの排ガスの排熱を回収して蒸気を生成する。すなわち、排熱回収ボイラ30は、ガスタービンユニット20からの排ガスの熱によって水を蒸発させて蒸気を生成する蒸発器を有したボイラ本体31と、ガスタービンユニット20から排出される排ガスをボイラ本体31に取り入れるための排気接続ダクト(排気ダクト)32と、ボイラ本体31から排出される排ガスを接続ダクト33aを介して外部に排気する排気筒33と、を備えている。
図3及び
図4に示すように、排熱回収ボイラ30は、さらに、ボイラ本体31に給水するフィードポンプユニット34、ボイラ本体31内で排ガスを燃焼させるための燃料を供給する燃料バルブユニット35、ボイラ本体31で生成された蒸気を液体分(水)と分離する気水分離ドラム(気水分離器)36、等を備えている。
【0020】
また、本実施形態では、
図2に示すように、上記の排熱回収ボイラ30と同様に排熱から蒸気を生成する第2排熱回収ボイラ130がGTCC設備10に設けられている。第2排熱回収ボイラ130は、第2ガスタービンユニット110からの排熱を用いて蒸気を生成する装置である。第2排熱回収ボイラ130によって生成された蒸気は、上記の排熱回収ボイラ30によって生成された蒸気と混合されて熱源として利用可能である。
【0021】
また、GTCC設備10には、ガスタービンユニット20やガス圧縮機40等における軸受部等の潤滑を図るため、潤滑油を供給する潤滑油供給ユニット25(
図4参照)が設けられている。
【0022】
このようなGTCC設備10は、ガスタービンユニット20において、吸気ダクト22から大気を吸い込んで圧縮し、その圧縮空気と燃料ガスとを混合させた混合ガスを燃焼させて生成した燃焼ガスによりタービン軸(不図示)を回転駆動させる。
本実施形態では、
図2に示す予
冷却プロセス用のタービン20aは予
冷却プロセス用の混合冷媒を圧縮する圧縮機40aを動作させ、本冷却プロセス用のタービン20bは本冷却プロセス用の混合冷媒を圧縮する圧縮機40bを動作させる。
ガスタービンユニット20からの排気は、排気接続ダクト32を介してボイラ本体31に送り込まれる。ボイラ本体31においては、不図示の蒸発器で排ガスの熱と熱交換することによって、フィードポンプユニット34によって送り込まれた水を加熱して蒸気を発生させる。
ボイラ本体31を経て、温度が低下した排ガスは、排気筒33から大気中へと排出される。
【0023】
ところで、上記GTCC設備10における甲板70は、各機器を以下のようなレイアウトで保持している。
すなわち、甲板70は、不図示の複数の支柱間に、上下方向に複数層(本実施形態においては3層)のベース部材71A,71B,71Cを有する。
ベース部材71Aは、ベース部材71A,71B,71Cのうち最上層となる部材である。ベース部材71Bは、ベース部材71A,71B,71Cのうち中間層となる部材である。ベース部材71Cは、ベース部材71A,71B,71Cのうち最下層となる部材である。
最上層のベース部材71Aには、吸気ダクト22が設置されている。
中間層のベース部材71Bには、ガスタービンユニット20及びガス圧縮機40が設置されている。
最下層のベース部材71Cには、排熱回収ボイラ30が設置されている。
【0024】
また、最下層のベース部材71Cには、ガスタービンユニット20が設置された中間層のベース部材71Bの下方に、潤滑油供給ユニット25、フィードポンプユニット34、燃料バルブユニット35、等の補機類が配置されている。すなわち、ガスタービンユニット20の下方には、ガスタービンユニット20の補機、および、排熱回収ボイラ30の補機の少なくとも一部が配置されている。また、ガス圧縮機40等に接続された配管40p等も、最下層のベース部材71Cと中間層のベース部材71Bとの間に配置されている。
【0025】
ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とは、平面視したときに、ガスタービンユニット20のタービン軸方向S1と、排熱回収ボイラ30における排ガスの流れ方向S2とが、互いに平行になるよう並列配置されている。そして、最下層のベース部材71Cに設置された排熱回収ボイラ30は、ボイラ本体31が、中間層のベース部材71Bよりも上方にまで至る高さを有している。これにより、排熱回収ボイラ30は、少なくとも一部がガスタービンユニット20と高さ方向で同一位置に配されている。換言すれば、排熱回収ボイラ30は、少なくとも一部が、ガスタービンユニット20と、同じ高さの同一平面内に位置するよう設けられている。
【0026】
ここで、ガスタービンユニット20におけるタービン軸方向S1に沿った燃焼ガスの流れ方向と、排熱回収ボイラ30における排ガスの流れ方向S2とは、互いに平行でありながら、互いに反対向きとなるよう設定されている。したがって、ガスタービンユニット20の排ガスを排熱回収ボイラ30に案内する排気接続ダクト32は、
図3に示すように、ガスタービンユニット20の排出口に接続された一端32aと、排熱回収ボイラ30の取入口30bに接続された他端32bとの間が、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とで排ガスの流れの向きを変える向き変え部32cとされている。
【0027】
ところで、
図5に示すように、排熱回収ボイラ30のボイラ本体31は、複数のボイラユニット31pと、後述する気水分離ドラム36と、によって構成されたドラム循環式ボイラである。各ボイラユニット31pは、排気接続ダクト32から送り込まれた排ガスと熱交換することによって水を加熱して蒸気を生成する蒸発器(不図示)をそれぞれ備えている。
本実施形態において、ボイラ本体31は、6本のボイラユニット31pが、各ボイラユニットの向きを揃えた状態で高さ方向に3段積み上げられ、排ガスの流れ方向S2に直交する幅方向に2列、配置されることで構成されている。
【0028】
これにともない、前記の排気接続ダクト32は、一端32aから他端32bに向けて、その流路幅と流路高さが漸次増大するよう形成されている。そして、排気接続ダクト32内には、各ボイラユニット31pになるべく均等に排ガスを送りこめるよう、排気接続ダクト32内を流路幅方向に2分割、流路高さ方向に3分割するガイドベーン32gが設けられているのが好ましい。これにより、各ボイラユニット31pには、ガスタービンユニット20(
図3参照)からそれぞれに排ガスが均等に導入されるようになっている。
【0029】
複数のボイラユニット31pの集合体からなるボイラ本体31の上部には、ボイラユニット31pと同数の気水分離ドラム36が設置されている。
そして、各ボイラユニット31pには、それぞれ一つの気水分離ドラム36が接続されている。各気水分離ドラム36は、ボイラユニット31pにおいて発生した蒸気と水との混合体を気水分離ドラム36で蒸気と水とに分離させ、蒸気は後述する蒸気タービン部81(
図2参照)に送給し、水は循環させて再度ボイラユニット31pに供給する。各ボイラユニット31pは、それぞれに気水分離ドラム36を有して、独立した循環サイクルを構成している。
なお、各ボイラユニット31pにおいては、気水分離ドラム36までの距離が互いに異なるため、気水分離ドラム36からボイラユニット31pへの水の循環量を一定にするため、不図示の循環ポンプが備えられている。一方、
図6では気水分離ドラム36までの距離が互いに同じため、自然循環型ボイラとでき、循環ポンプを不要とできる。
【0030】
排熱回収ボイラ30の各ボイラユニット31pにおいては、発生する蒸気圧を、例えば40Bar程度の低圧とするのが好ましい。発生する蒸気圧が高いほど、ボイラユニット31pを構成する材料の肉厚を大きくする必要があり、重量増につながる。そこで、蒸気圧を低圧とすることで、ボイラユニット31pを構成する材料の肉厚を小さくし、軽量化を図るようにしている。
【0031】
また、本GTCC設備10においては、排熱回収ボイラ30の各ボイラユニット31pに助燃装置(不図示)を備えてもよい。燃料バルブユニット35により各ボイラユニット31p内の助燃装置に燃料を供給して排ガスを燃焼させることで、蒸気発生量を増やすことが可能となる。また、この燃料バルブユニット35からの燃料供給量を調整することによって、蒸気発生量を調整することもできる。
【0032】
上述したようにして、排熱回収ボイラ30の少なくとも一部がガスタービンユニット20と高さ方向で同一位置に配され、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とは並列配置されている。これにより、GTCC設備10の設置床面積が小さく抑えられ、且つ、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とを積層する場合と比較して、その高さが低く抑えられる。これにより、本実施形態におけるGTCC設備10は低重心化が図られている。
また、このようなGTCC設備10を装備した船舶Fは、GTCC設備10の低重心化により、その安定性が高まる。
【0033】
また、本実施形態において、排熱回収ボイラ30のボイラ本体31は、複数個のボイラユニット31pが上下方向および幅方向に並列して設けられている。このようにボイラ本体31が複数に分割されている場合、ボイラ本体31を分割しない場合に比較して、
排ガスの処理容量Vは、スケール比Scとの間で、
V ∝ (Sc)
2との関係が成り立ち、ボイラユニット31pの重量W1は、
W1 ∝ (Sc)
3との関係が成り立つ。
したがって、ボイラ本体31を分割しない場合に比較したボイラ本体31の重量比W2は、
W2=(ボイラユニット31pの数N)×(ボイラユニット31pの重量W1)
=(ボイラユニット31pの数N)×(処理容量V)
3/2となる。
上記に示した例では、ボイラ本体31を6分割したので、ボイラ本体31を分割しない場合と比較すると、ボイラユニット31pの処理容量Vは、
V=1/6である。したがって、ボイラ本体31を分割しない場合のボイラ本体31の重量と比較したボイラ本体31の重量比W2は、
W2=6×(1/6)
3/2=0.41となり、ボイラ本体31を分割しない場合に比較して、ボイラ本体31の重量が半分以下となる。
【0034】
また、排熱回収ボイラ30の設置床面積A1の、ボイラ本体31を分割しない場合の設置床面積A2に対する比A1/A2は、
A1/A2 = (Sc)
2×(ボイラユニット31pの列数L)
= (処理容量V)×(ボイラユニット31pの列数L)となる。
したがって、上記に示した例では、処理容量V=1/6、ボイラユニット31pの列数L=2であるので、排熱回収ボイラ30の設置床面積A1の、ボイラ本体31を分割しない場合の設置床面積A2に対する比A1/A2は、
A1/A2 = 1/6×2=0.33となる。すなわち、ボイラ本体31を分割しない場合に比較して、排熱回収ボイラ30の設置床面積が半分以下となる。
【0035】
水上設備の場合、従来では、重量の問題があるので軽量とできる貫流型ボイラを適用するが、ドラムを持たないため、必ず過熱蒸気とする必要があり、高精度のボイラ自動制御が必要で性能も悪い。一方、本実施形態では、ドラム循環式排熱回収ボイラ30において、複数個のボイラユニット31pを上下方向および幅方向に並列に設けることでボイラ本体31を構成することによって、ボイラを横置き(ボイラ内の排ガスの流れ方向が水平面に平行な流れ)としてもドラム循環式排熱回収ボイラ30の設置床面積を小さくしつつ、軽量化を図ることが可能となる。
【0036】
また、一つのボイラユニットで排熱回収ボイラを構成し、蒸発器や気水分離器も一つのみ備えた場合、蒸発器や気水分離器が大型のものとなる。これに対し、複数個のボイラユニット31pのそれぞれに蒸発器(不図示)、気水分離ドラム36を備えることで、蒸発器や気水分離ドラム36が小型となり、その設置スペースの自由度が高まり、排熱回収ボイラ30の小型化にも寄与できる。
【0037】
また、GTCC設備10においては、ガスタービンユニット20の下方に、潤滑油供給ユニット25、フィードポンプユニット34、燃料バルブユニット35等、補機類の少なくとも一部が配置されている。
これにより、GTCC設備10におけるスペースの有効利用を図り、設置床面積を抑えつつ、低重心化を図ることが可能となるという上記効果を一層顕著なものとすることができる。
【0038】
また、ガスタービンユニット20の下方に、潤滑油供給ユニット25、フィードポンプユニット34、燃料バルブユニット35等、補機類の少なくとも一部が配置されることによって、排熱回収ボイラ30は、その上方に他の機器類が配置されていない構成とされている。これにより、排熱回収ボイラ30に接続された各種の配管の交換等のメンテナンスを行う際に、他の機器類を取り外す必要がなく、メンテナンス性が向上する。
【0039】
図2に示すように、補機駆動部80は、排熱回収ボイラ30で生成された蒸気が持つ熱エネルギーを利用してGTCC設備10の補機類の駆動力を生成する。すなわち、補機駆動部80は、排熱回収ボイラ30が生成した蒸気によって駆動される蒸気タービン部81と、蒸気タービン部81によって駆動される補助圧縮機82とを有する。また、本実施形態における補機駆動部80は、第2排熱回収ボイラ
130が生成した蒸気も利用可能である。
【0040】
本実施形態では、蒸気タービン部81は、後述する第1補助圧縮機82aを駆動する第1蒸気タービン81aと、後述する第2補助圧縮機82bを駆動する第2蒸気タービン81bと、後述する第3補助圧縮機82cを駆動する第3蒸気タービン81cと、後述する第4補助圧縮機82dを駆動する第4蒸気タービン81dと、を備える。
【0041】
補助圧縮機82は、原料天然ガスを圧縮して後述する酸性ガス除去装置86に供給するための第1補助圧縮機82aと、重質分(コンデンセート)を含むガスであるコンデンセートガスから重質分を分離するためにコンデンセートガスを圧縮する第2補助圧縮機82bと、後述する冷凍機90へ原料天然ガスを送るための第3補助圧縮機82cと、燃料ガス供給装置100の一部であってエンドフラッシュガス及びボイルオフガスを圧縮する第4補助圧縮機82dとを有している。
【0042】
図2及び
図7に示す成分分離システム85は、排熱回収ボイラ30と第2排熱回収ボイラ130との少なくともいずれかにおいて生成された蒸気が持つ熱エネルギーを利用して天然ガスを精製するシステムである。成分分離システム85は蒸気タービン部81で利用された後の蒸気を熱源としている。
具体的には、成分分離システム85は、海底から採取した原料天然ガスに含まれる酸性ガスを除去する酸性ガス除去装置86と、天然ガスの採取時に天然ガスに添加した不凍液を回収して再生する不凍液再生装置87と、天然ガスを分留する分留装置88と、を少なくとも有している。
【0043】
酸性ガス除去装置86と不凍液再生装置87と分留装置88とは、排熱回収ボイラ30および第2排熱回収ボイラ130が生成した蒸気を熱源として利用しているので、各装置に熱源を供給する他のボイラ等を必須としない。
酸性ガス除去装置86が原料天然ガスから除去する酸性ガスは、たとえば硫化水素や二酸化炭素等である。
不凍液再生装置87により原料天然ガスから回収されて再生される不凍液は、たとえばモノエチレングリコール等である。
分留装置88は、原料天然ガスを、たとえばエタン,プロパン,ブタン,コンデンセートに分離する。
【0044】
図2に示す液化設備90は、ガスタービンユニット20を用いて圧縮された冷媒を用いて天然ガスを冷却する装置である。
液化設備90において天然ガスの大部分は液化されるが、液化されずに気体状に残ったエンドフラッシュガスは、燃料ガス供給装置100へと供給される。
液化設備90によって液化された天然ガスは、不図示の貯蔵設備に供給される。
【0045】
図2に示す燃料ガス供給装置100は、 液化設備90における天然ガスの液化のプロセス後に気体として残存するエンドフラッシュガスや、液化天然ガスの貯蔵設備において液化天然ガスが気化して生じるボイルオフガス等を圧縮してガスタービンユニット20及び第2ガスタービンユニット110へ燃料として供給する。
また、本実施形態では、燃料ガス供給装置100は、エンドフラッシュガスやボイルオフガスが不足している場合には、液化天然ガスを気化させてガスタービンユニット20及び第2ガスタービンユニット110へ燃料として供給してもよい。
【0046】
なお、本発明に必須ではないが、燃料ガス供給装置100は、成分分離システム85において可燃性ガスが不純物として分離される場合にこの可燃性ガスがガスタービンユニット20及び第2ガスタービンユニット110において燃料として利用可能であれば、ガスタービンユニット20及び第2ガスタービンユニット110へ燃料として供給してもよい。
【0047】
次に、本実施形態の浮体式液化ガス製造設備1を利用した天然ガスの液化のプロセスについて、浮体式液化ガス製造設備1におけるエネルギーの利用を中心に詳述する。
【0048】
本実施形態では、
図1に示す浮体式液化ガス製造設備1は、この浮体式液化ガス製造設備1自体が海底から採取するガス(原料天然ガス)をエネルギー源として、駆動力、熱、及び電力を賄っている。なお、原料天然ガスの採取初期において十分な原料天然ガスが得られていないときには、本実施形態の浮体式液化ガス製造設備1は必要に応じて外部から天然ガスの供給を受けて運用されてもよい。
【0049】
すなわち、浮体式液化ガス製造設備1は、
図7に示すように、天然ガスを消費してガスタービンユニット20,110が駆動され、ガスタービンユニット20,110がそれぞれ発生させる駆動力によってガス圧縮機40と発電機120とをそれぞれ駆動し、ガスタービンユニット20,110からの排熱によって補機駆動部80並びに成分分離システム85を運用する。
【0050】
具体的には、本実施形態における排熱回収ボイラ30で生成した蒸気は、例えば、成分分離システム85において、天然ガスに含まれる酸性ガス成分を除去するための機器や、海底からガス(原料天然ガス)を採取する際に原料天然ガスに添加される不凍液を原料天然ガスの採取後に回収して再生するための機器の熱源、及び原料天然ガスからエタン,プロパン,ブタン等の他の炭化水素化合物を分留する機器の熱源として、さらに、補機類に属するフィードガスコンプレッサ(第1
補助圧縮機82a)、スタビライザーオーバーヘッドコンプレッサ(第2
補助圧縮機82b)、ナチュラルガスブースターコンプレッサ(第3
補助圧縮機82c)、エンドフラッシュガスコンプレッサ(第4
補助圧縮機82d)等を駆動する蒸気タービン部81の駆動エネルギーとして、利用される。
【0051】
このように、本実施形態の浮体式液化ガス製造設備1は、ガスタービンユニット20,110を駆動するために必要な燃料として、海底から採取したガスの一部を利用し、さらにガスタービンユニット20,110の駆動時に生じる排熱を、天然ガスの精製及び液化のプロセスに使用する動力源及び熱源としているので、未利用で廃棄されるエネルギーが従来に比して少なく、効率がよい。さらに、本実施形態では、ガスタービンユニット20,110の排熱が成分分離システム85用の熱源であるので、成分分離システム85の熱源確保の為に他のボイラを設ける必要がない。このため、本実施形態の浮体式液化ガス製造設備1は、設備の規模が小型である。
【0052】
また、排熱回収ボイラ30,130からの蒸気によって駆動される蒸気タービン部81が本実施形態の浮体式液化ガス製造設備1に設けられており、蒸気タービン部81によって
補助圧縮機82が動作するので、海底からガスを採取して天然ガスとして精製して液化するまでのプロセスにおけるガスの圧縮を、ガスタービンユニット20,110の排熱をエネルギー源として行うことができる。このため、
補助圧縮機82を電動機で駆動する従来のシステムに比して、電動機の電力を賄う余分な発電機を設備内に設ける必要がない分、設備の規模を小型化でき、必要な燃料も低減できる。
【0053】
また、海底から採取したガスの一部を燃料として駆動される第2ガスタービンユニット110によって浮体式液化ガス製造設備1の電力を賄うことができるので、天然ガス以外の燃料を要する発電機を設備内に設ける場合と比較して、燃料貯蔵施設が不要な分、設備の規模をさらに小型化することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、上記各実施形態では、主冷凍圧縮機及び発電機をガスタービン駆動、
補助圧縮機を蒸気タービン駆動としているが、これに限らず、主冷凍圧縮機
をガスタービン駆動とし、その他を蒸気タービン駆動としても良い。
たとえば、上記各実施形態では、GTCC設備10が船舶F上に設けられている例が示されているが、船舶Fに限らず、フロート構造物等、浮体(フロート)を備えた水上設備であれば、いかなるものにGTCC設備10が設けられていてもよい。