(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5976959
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ロゴスキーコイルを利用した原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/34 20060101AFI20160817BHJP
G21D 3/04 20060101ALI20160817BHJP
G01R 29/18 20060101ALI20160817BHJP
G01R 31/06 20060101ALI20160817BHJP
H02H 3/00 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
H02H3/34 A
G21D3/04 Z
G01R29/18 Q
G01R31/06
H02H3/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-555946(P2015-555946)
(86)(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公表番号】特表2016-508706(P2016-508706A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】KR2014008150
(87)【国際公開番号】WO2015050323
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2015年7月29日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0118067
(32)【優先日】2013年10月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502043352
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】ハ、チェ、ウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ド、ファン
【審査官】
緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−187435(JP,A)
【文献】
特開平08−331750(JP,A)
【文献】
特開平05−003621(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0217919(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0081008(KR,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1086455(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/34
G01R 29/18
G01R 31/06
G21D 3/04
H02H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所に使われる待機変圧器の1次側Y結線の中性線に設置されるロゴスキーコイル(Rogowski Coil);
前記待機変圧器の2次側遮断器がオープン(Open)された状態で、前記ロゴスキーコイルに誘導された電流が既設定された基準値以上に既設定された基準時間以上維持される場合、前記1次側に欠相が発生したと判断して警報信号を生成する欠相検出部;及び、
前記欠相検出部が提供する警報信号によって警報を管理者に表示する主制御部;
を含むことを特徴とする原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置。
【請求項2】
前記欠相検出部は、
前記ロゴスキーコイルに誘導される電流の強度を測定し、前記電流の強度が前記基準値以上の場合、接点−Aをクローズし、前記電流の強度が前記基準値未満の場合、前記接点−Aをオープン(Open)する電流検出器;
前記待機変圧器の2次側遮断器がオープンされた状態の場合、接点−Bをクローズし、前記待機変圧器の2次側遮断器がクローズされた状態の場合、前記接点−Bをオープンする断線検出器;
前記接点−Aと接点−Bがクローズされた状態で動作を開始して前記基準時間に到達すると、接点−Cをクローズするタイマ;及び、
前記接点−Cがクローズされた場合に前記警報信号に対応して接点−Dがクローズされるように制御する警報信号生成器;を含み、
前記主制御部は、前記接点−Dがクローズされた場合に前記警報を表示することを特徴とする請求項1に記載の原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置。
【請求項3】
前記タイマは、前記欠相検出部の動作電源DC(+)とDC(−)との間に前記接点−A及び接点−Bと直列に連結され、前記警報信号生成器は、前記欠相検出部の動作電源DC(+)とDC(−)との間に前記接点−Cと直列に連結されることを特徴とする請求項2に記載の原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置。
【請求項4】
前記主制御部は、前記主制御部の動作電源DC(+)とDC(−)との間に前記接点−Dと直列に連結されたアラームランプを含むことを特徴とする請求項2に記載の原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロゴスキーコイル(Rogowski Coil)を利用した原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における変圧器の連結線路の欠相(Open Phase)検出システムに対する発明は、まだよく知られていない。
【0003】
最近、米国バイロン(Byron)原子力発電所内で正常運転中に待機変圧器の1次側送電線路を支持している‘C’状碍子の破損により欠相が発生することで、最終的に原子炉まで停止し、発電所内の電源上の不平衡のため、約8分間の過渡現象が発生したことが2回あった。米国原子力規制委員会(NRC:Nuclear Regulatory Commission)で調べた結果、他の発電所でも類似の現象を経験したという報告があった。
【0004】
米国NRCでは、稼動原電、建設中の原電だけでなく、デザイン確定(Design Certification)ステップの発電所モデルに対しても待機変圧器と連結された電力線の欠相を検出することができるシステムを構築することを要求しており、韓国原子力安全技術院(KINS:Korea Institute of Nuclear Safety)でも今後米国のように対策を構築することを要求する可能性が高い。
【0005】
現在使用中である原子力発電所内の変圧器保護継電システムは、低電圧継電器、過電流継電器、比率差動継電器などが設置されて運営中であるが、待機変圧器が連結された線路で欠相が発生する場合に検出することができない。
【0006】
特に、待機変圧器の場合、2次側は、正常運転中に断線(Open)されて変圧器の1次側線路で欠相が発生した時、検出が不可能である。さらに、このようなオフサイト電力設備(Off−site Electrical System)の故障が安全等級発電所内の電力設備に波及されて電力機器破損や原子炉停止などの問題を起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ロゴスキーコイル(Rogowski Coil)を利用して原子力発電所のオフサイト電力設備に属する待機変圧器の連結線路上の欠相を検出することができる検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明による原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置は、ロゴスキーコイル、欠相検出部及び主制御部を含む。
【0009】
ロゴスキーコイルは、原子力発電所に使われる待機変圧器の1次側Y結線の中性線に設置される。
【0010】
欠相検出部は、前記待機変圧器の2次側遮断器がオープン(Open)された状態で、前記ロゴスキーコイルに誘導された電流が既設定された基準値以上に既設定された基準時間以上維持される場合に前記1次側に欠相が発生したと判断して警報信号を生成し、主制御部は、前記欠相検出部が提供する警報信号によって警報を管理者に表示する。
【0011】
本実施例において、前記欠相検出部は、電流検出器、断線検出器、タイマ及び警報信号生成器を含む。
【0012】
ここで、電流検出器は、前記ロゴスキーコイルに誘導される電流の強度を測定し、前記電流の強度が前記基準値以上の場合、接点−Aをクローズし、前記電流の強度が前記基準値未満の場合、前記接点−Aをオープン(Open)する。
【0013】
断線検出器は、前記待機変圧器の2次側遮断器がオープンされた状態の場合、接点−Bをクローズし、前記待機変圧器の2次側遮断器がクローズされた状態の場合、前記接点−Bをオープンする。
【0014】
タイマは、前記接点−Aと接点−Bがクローズされた状態で動作を開始して前記基準時間に到達すると、接点−Cをクローズし、警報信号生成器は、前記接点−Cがクローズされた場合に前記警報信号に対応して接点−Dがクローズされるように制御する。
【0015】
この時、前記主制御部は、前記接点−Dがクローズされた場合に前記警報を表示する。
【0016】
本発明の他の実施例によると、前記タイマは、前記欠相検出部の動作電源DC(+)とDC(−)との間に前記接点−A及び接点−Bと直列に連結され、前記警報信号生成器は、前記欠相検出部の動作電源DC(+)とDC(−)との間に前記接点−Cと直列に連結される。
【0017】
さらに、前記主制御部は、前記主制御部の動作電源DC(+)とDC(−)との間に前記接点−Dと直列に連結されたアラームランプを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検出装置は、原子力発電所における待機変圧器のY結線側の中性線に設置されている地絡過電流継電器とは別途にロゴスキーコイル(Rogowski Coil)を利用した電流測定装置を設置することができる。
【0019】
本発明の検出装置は、待機変圧器の2次側遮断器が断線(Open)されている中、電流測定装置にロゴスキーコイルに流れる電流を測定するようにし、ロゴスキーコイルに設定値以上の電流が一定時間以上持続する場合、警報を生成することによって、管理者に適切な措置を行うようにすることができる。
【0020】
併せて、待機変圧器の2次側遮断器がクローズされて(Close)いる場合には待機変圧器が動作中であるため、本発明の検出システムは、電流測定装置による電流測定を中止して設備に影響を与えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の原子力発電所向け待機変圧器の連結線路の欠相検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0023】
図1を参照すると、本発明の待機変圧器の連結線路の欠相検出装置100は、原子力発電所ロゴスキーコイル(Rogowski Coil)110、欠相検出部130及び主制御部150を含む。
【0024】
まず、ロゴスキーコイル110は、待機変圧器10のY結線の中性線11に設置される。ロゴスキーコイル110は、鉄心がない空心からなっているため、過度な地絡電流が流れてもロゴスキーコイル110が熱輻輳などで破損されるおそれがない。
【0025】
従来の場合のように、中性線11には地絡過電流継電器向け変流器(図示せず)が並行設置されることができ、その変流器を利用して地絡過電流を検出する地絡過電流継電器が共に設置されることもできる。
【0026】
欠相検出部130は、待機変圧器10の2次側遮断器が断線(Open)されている中、ロゴスキーコイル110に誘導される電流の強度が既設定された基準値以上に既設定された基準時間維持されるかどうかを判断することによって、待機変圧器10の1次側の欠相発生可否を判断する。
図1の具体的な例では、欠相検出部130がこのような動作のために電流検出器131、断線検出器133、タイマ(Timer)135及び警報信号生成器137を含む。
【0027】
電流検出器131は、ロゴスキーコイル110に誘導される電流の強度を測定し、該当電流が既設定された基準値以上かどうかを判断する。例えば、その判断結果によって、電流検出器131は、検出された電流の強度が既設定された基準値以上の場合、内部の接点−A(131a)がクローズされ、検出された電流の強度が既設定された基準値未満の場合、内部の接点−A(131a)がオープンされるように制御する。接点−A(131a)を含んで本発明にはいくつかの接点が説明されており、このような接点の実質的な具現は、多様な方式により行われることができる。例えば、リレイ(Relay)などが接点として活用されることができる。
【0028】
断線検出器133は、待機変圧器10の2次側遮断器(例えば、4.16kV遮断器)がオープン(Open)された状態であるかどうかを判断する。待機変圧器10の2次側遮断器が断線された状態の場合、断線検出器133は、内部の接点−B(133a)を連結する。待機変圧器の2次側遮断器がクローズされた(Close)状態の場合、接点−B(133a)がオープン(Open)される。
【0029】
タイマ135は、接点−A(131a)及び接点−B(133a)と共に、欠相検出部130の動作電源DC(+)とDC(−)との間に直列に連結されているため、接点−A(131a)と接点−B(133a)が両方ともクローズされると、動作を開始し、接点−A(131a)と接点−B(133a)のうちいずれか一つがオープンされると、動作をリセットする。
【0030】
タイマ135は、動作開始後、既設定された基準時間に到達すると(即ち、接点−A(131a)と接点−B(133a)が両方ともクローズされた状態が基準時間維持されると)、接点−C(135a)をクローズすることによって、その結果を警報信号生成器137に伝達する。ここで、タイマ135が提供する結果は、(1)待機変圧器の2次側遮断器が断線(Open)された状態(接点−B連結)で、(2)ロゴスキーコイルに基準値以上の電流(接点−A連結)が(3)基準時間以上流れている場合であって、即ち、待機変圧器10の1次側に欠相が発生したことを示す‘欠相情報’である。
【0031】
このように、欠相検出部130は、ロゴスキーコイル110に既設定された基準値以上の電流が既設定された基準時間以上流れるかを判断し、それに該当すると、待機変圧器10の1次側に欠相が発生したと判断し、タイマ135は、接点−C(135a)がクローズされるように制御することによって‘欠相情報’を警報信号生成器137に伝達する。
【0032】
もし、待機変圧器の2次側遮断器がクローズされた(Close)状態になり、またはロゴスキーコイル110に誘導される電流が基準値未満になる場合、接点−A(131a)または接点−B(133a)のうち一つがオープン(Open)されるため、タイマ135は、動作を止めてリセットされる。したがって、タイマ135が警報信号生成器137に欠相情報を提供しない。
【0033】
警報信号生成器137は、タイマ135から欠相情報の提供を受けると、警報信号を生成して主制御部150に伝達する。
【0034】
図1の具体的な例として、警報信号生成器137は、接点−C(135a)と共に、欠相検出部130の動作電源DC(+)とDC(−)との間に直列に連結されているため、接点−C(135a)がクローズされると、動作し、接点−C(135a)がオープンされると、動作を止める。警報信号生成器137は、接点−C(135a)がクローズされる瞬間、動作を開始して接点−D(137a)をクローズすることによって主制御部150に警報信号を伝達する。
【0035】
主制御部150は、ロゴスキーコイル110近くの欠相検出部130から離れて管理者領域(MCR:Main Control Room)に備えられ、欠相検出部130とはケーブルにより連結されることができる。
【0036】
主制御部150は、警報信号生成器137から提供された警報信号によって、アラームランプ、スピーカ、その他の各種ディスプレイ装置を利用して管理者に警報(欠相発生)を表示する。
【0037】
図1の例において、主制御部150のアラームランプ151は、接点−D(137a)と共に、主制御部150の動作電源DC(+)とDC(−)との間に直列に連結されているため、接点−D(137a)がクローズされると、点灯し、接点−D(137a)がオープンされると、消灯される。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施例に対して図示して説明したが、本発明は、前述した特定の実施例に限定されるものではなく、請求範囲で請求する本発明の要旨を外れることなく、当該発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は、本発明の技術的思想や見通しから個別的に理解されてはならない。
【0039】
本発明は、ロゴスキーコイル(Rogowski Coil)を利用した原子力発電所における待機変圧器の連結線路の欠相検出装置に適用可能である。