(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
==(1)概要==
以下、本発明の一実施形態に係る広告配信システムについて説明する。本実施形態の広告配信システムはWebページに含まれる所定の大きさの表示枠に、大きさの異なる広告を表示するものである。
図1は本実施形態の広告配信システムにおいて提供されるWebページ1の一例を示す図である。Webページ1には表示枠2が設けられている。表示枠2の幅および高さは一定であり、所定の長さを1単位として、一例として横5縦4の大きさであるものとすることができる。また、表示枠2に表示される広告の幅は一定であり、表示枠2の幅と同じであるものとする。表示枠2に表示される広告の高さは不定であるものとする。すなわち、表示枠2には縦方向に複数の高さの異なる広告を表示することが可能となる。
図1の例では、表示枠2の高さは4であるので、高さ4の広告を1つ表示することもできるし、高さ2の広告を1つと高さ1の広告を2つ表示することもできる。高さ1の広告を4つ表示することもできる。
【0013】
==(2)システム構成==
図2は、本発明の一実施形態に係る広告配信システムの全体構成を示す図である。本実施形態の広告配信システムは、Webサーバ20を含んで構成される。ユーザ端末10は通信ネットワーク30を介してWebサーバ20にアクセス可能である。通信ネットワーク30は、例えば公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、VAN(Value Added Network)などである。本実施形態では、通信ネットワーク30では、TCP/IPにより通信が行われるものとする。
【0014】
ユーザ端末10は、ユーザが操作する、例えば携帯電話端末やスマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートコンピュータ、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。ユーザ端末10ではWebブラウザが動作し、ユーザはWebブラウザを利用してHTTP(HyperText Transfer Protocol)によりWebサーバ20にアクセスする。
図1では1台のユーザ端末10のみが表示されているが、ユーザごとに複数台のユーザ端末10が存在する。
【0015】
Webサーバ20は、HTML(HyperText Markup Language)やXML(eXtensible Markup Language)などにより記述されたWebページ、静止画像データ、動画データ、音データなどのコンテンツを提供する、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータである。Webサーバ20は、1台のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータにより実現するようにしてもよい。Webサーバ20は、Webページに広告を埋め込んで提供する。広告は、画像や動画、音声など各種のデータとして提供することができる。以下説明を簡単にするため、Webサーバ20は、HTMLにより記載されたWebページに、画像の広告を埋め込むものとする。
【0016】
==(3)ハードウェア==
図3は、Webサーバ20のハードウェア構成例を示す図である。Webサーバ20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。CPU201は記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信網に接続するための無線通信機などである。入力装置205は、データの入力を受け付ける、例えばキーボードやマウス、トラックボール、タッチパネル、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。Webサーバ20は複数の入力装置205及び出力装置206を備えるようにすることもできる。
【0017】
==(4)ソフトウェア==
図4は、Webサーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。Webサーバ20は、HTTP処理手段211、Webページ作成手段212、広告決定手段213、ログ収集手段214の各処理手段と、Web情報データベース251、広告データベース252、インプレッションログ記憶手段253、クリックログ記憶手段254、パターンデータベース255の各記憶手段とを備える。なお、上記各処理手段は、Webサーバ20が備えるCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現される。
【0018】
==(5)記憶手段の説明==
Web情報データベース251は、Webページを作成するための情報(以下、Web情報という。)を記憶する。Web情報は、例えば、HTMLで記述されたファイルや、CGI(Common Gateway Interface)などの仕組みにより実行されるプログラムを格納したプログラムファイル、画像ファイルなどである。Web情報データベース251は、例えば、Webサーバ20で動作するオペレーティングシステムが提供するファイルシステムのディレクトリやフォルダにより実現することができる。なお、Web情報データベース251は、一般的なWebサーバにおいてコンテンツを管理する手法により各種のコンテンツを管理することを想定する。
【0019】
広告データベース252は広告に関する情報(以下、広告情報という。)を記憶する。
図5は、広告データベース252に記憶される広告情報の構成例を示す図である。広告情報には、広告の識別情報である広告ID、広告のランディングページを示すURL(Uniform Resource Locator)、広告のタイトルおよび説明、広告の大きさ(サイズ)、入札額、広告のクリック率(CTR;Click Through Rate)などが含まれる。
【0020】
本実施形態では、広告のタイトルおよび説明の1行目の文字列がタイトルであるものとし、2行目以後が説明(Description)であるものとする。広告の説明には、たとえば<IMG>タグなどにより画像等のデータを埋め込むことも可能である。
【0021】
広告がクリックされると、広告IDを含むリクエストがWebサーバ20に送信され、後述するログ収集手段214によりクリックされたことを示すログ(クリックログ)が収集され、HTTP処理手段211により広告IDに対応する広告情報のURLにリダイレクトされる(例えば、当該URLをリダイレクト先として指定した応答が送信される。)。これにより、広告に応じたユーザの行動(クリック)を検知することができる。
【0022】
広告のサイズは、広告の入稿時に広告主から指定される、広告の大きさである。本実施形態では、上述したように広告の幅は一定であるので、広告のサイズは、広告の高さであるものとする。
【0023】
入札額は、広告がクリックされた場合に広告主から支払われる単価であり、広告の入稿時に広告主から指定される。
【0024】
クリック率(CTR)は、過去に広告がクリックされた数を、過去に広告が表示された回数(インプレッション数と呼ばれる。)で割った値である。インプレッション数とクリック数は、後述するインプレッションログ記憶手段253およびクリックログ記憶手段254に登録されたインプレッションログおおよびクリックログの数をカウントすることにより求められる。
【0025】
なお、本実施形態では、広告情報に含まれる実クリック率をそのまま予測クリック率として用いるものとするが、実クリック率以外の要因を考慮して、実クリック率に基づいて予測クリック率を算出するようにしてもよい。
【0026】
インプレッションログ記憶手段253は、広告が表示されたこと(インプレッションと呼ばれる。)に関するログ(以下、インプレッションログという。)を記憶する。
図6は、インプレッションログ記憶手段253に記憶されるインプレッションログの構成例を示す図である。インプレッションログには、ユーザ端末10に広告が表示された日時(すなわち、Webページ1がユーザ端末10に配信された日時)、Webページ1を示すURL、表示された広告を示す広告IDが含まれる。
【0027】
なお、インプレッションログは、表示枠2に表示された広告の数だけ登録される。たとえば、表示枠2に高さ1の4つの広告が表示されたWebページ1が1度閲覧されると、4つのインプレッションログが登録されることになる。
【0028】
クリックログ記憶手段254は、Webページ1に表示された広告がクリックされたことに関するログ(以下、クリックログという。)を記憶する。
図7は、クリックログ記憶手段254に記憶されるクリックログの構成例を示す図である。クリックログには、クリックされた広告を示す広告ID、広告が表示されたWebページ1のURL、およびクリックされた日時(クリック日時)が含まれる。
【0029】
パターンデータベース255は、表示枠2に配置する広告のパターンを決定するための情報(以下、パターン情報という。)を記憶する。本実施形態では、パターン情報は、表示枠2に配置可能な広告のパターンのうち、禁止されているものを示す情報であるものとするが、たとえば、表示枠2に配置可能な広告のパターンを示す情報としてもよい。
【0030】
図8は、パターンデータベース255に登録されるパターン情報の構成例を示す図である。パターン情報には、Webページ1を示すURLごとに、禁止された広告の配置パターンが含まれる。上述したように本実施形態では表示枠2の幅と広告の幅とは同じであるものとしているので、表示枠2の中には上下に1つまたは複数の広告が表示されることになる。ここで、パターン情報に含まれるパターンは、表示枠2の上から順に広告の大きさを並べたものである。たとえば、
図8の例で、「2 2」のパターンは、表示枠2に高さ2の広告を2つ並べることが禁止されていることを示す。また、「1 1 2」のパターンは、表示枠2の上から順に高さ1の広告を2つ配置し、最下段に高さ2の広告を配置するパターンが禁止されていることを示す。
【0031】
==(6)処理手段の説明==
HTTP処理手段211は、HTTPの処理を行う。なお、HTTP処理手段211によるHTTPの処理は一般的なWebサーバの処理を想定している。
【0032】
HTTP処理手段211は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストを受信する。リクエストにはユーザ端末10のユーザを特定するユーザIDが含まれているものとする。リクエストに広告IDの指定された所定のURL(以下、リダイレクトURLという。)が指定されていた場合、HTTP処理手段211は、広告IDに対応する広告情報を広告データベース252から読み出し、読み出した広告情報に含まれているURLをリダイレクト先として指定した応答をユーザ端末10に応答する。これにより、ユーザ端末10はランディングページにリダイレクトされることになる。また、HTTP処理手段211は、ログ収集手段214を呼び出してクリックログの登録と、クリック率の更新とを行わせる。
【0033】
一方、リクエストにリダイレクトURL以外の、Webページを示すURLが指定された場合には、HTTP処理手段211は、Webページ作成手段212を呼び出してWebページを作成させる。また、HTTP処理手段211は、ログ収集手段214を呼び出してインプレッションログの登録と、クリック率の更新とを行わせる。Webページ作成手段212が作成したWebページをユーザ端末10に応答する。
【0034】
Webページ作成手段212は、Webページ1を作成する。Webページ作成手段212は、Web情報データベース251に記憶されているWeb情報を読み出して、読み出したWeb情報に基づいてWebページ1を作成する。Webページ作成手段212は、一般的なWebサーバによる処理を用いてWebページ1を作成することができる。
Webページ作成手段212はまた、広告決定手段213を呼び出して広告を決定させ、広告決定手段213が決定した広告をWebページ1の表示枠2に埋め込む。Webページ作成手段212は、たとえば<DIV>タグなどのブロック要素に所定値の幅を設定するとともに、広告情報のサイズを高さとして設定し、このブロック要素の内容として広告情報のタイトルと説明とを設定することにより、広告を表示枠2に埋め込むことができる。この際Webページ作成手段212は、タイトルに、広告IDを引数に設定したリダイレクトURLをへのリンクを設定する。
【0035】
広告決定手段213は、Webページ1の表示枠2に表示する広告を決定する。広告決定手段213は、広告の高さ(サイズ)の合計が表示枠2の高さ(
図1の例では4)を超えないように広告を選択する。また、広告決定手段213は、クリック率が大きくなるように広告を決定する。
【0036】
本実施形態では、広告決定手段213は、Webページ1に含まれているコンテンツに応じて、一般的ないわゆるコンテンツマッチの手法により表示する広告の候補を選択し、選択した候補の中からクリック率の大きい順に、表示枠2に表示できるか否かを判定していき、表示枠2に表示する広告を決定する。広告決定手段213が決定した広告がWebページ作成手段212によってWebページ1の表示枠2の中に組み入れられる。なお、広告決定手段213は、表示枠2に表示可能な候補の組み合わせを全て求め、各組み合わせについて、クリック率の合計が最大となるものを選択するようにしてもよい。
【0037】
ログ収集手段214は、インプレッションログ及びクリックログを登録する。
リクエストにリダイレクトURLが指定されていた場合、ログ収集手段214は、リダイレクトURLに指定されている広告IDおよび、リクエストに含まれるリファラ(クリックされた広告が表示されていたWebページを示すURL)、ならびに現在の日時を設定したクリックログを作成してクリックログ記憶手段254に登録する。また、ログ収集手段214は、当該広告IDに対応する広告情報のクリック率を更新する。すなわち、ログ収集手段214は、広告IDに対応するクリックログの数とインプレッションログの数を、クリックログ記憶手段254およびインプレッションログ記憶手段253からそれぞれカウントし、クリックログの数をインプレッションログの数で割ったクリック率を算出し、これを広告IDに対応する広告情報のクリック率に設定するように広告データベース252を更新する。なお、ログ収集手段214は、クリックログを登録する際にクリック率を算出して広告情報を更新するものとするが、広告決定手段213が広告を決定する際に、インプレッションログ記憶手段253およびクリックログ記憶手段254を参照して予測クリック率を算出するようにしてもよい。
【0038】
リクエストにリダイレクトURL以外のURLが指定されていた場合、ログ収集手段214は、広告決定手段213が決定した広告のそれぞれについて、現在日時、リクエストに指定されたURL、および広告を示す広告IDを含むインプレッションログを作成してインプレッションログ記憶手段253に登録する。
【0039】
==(7)リクエスト処理==
図9は、Webサーバ20により行われるリクエスト処理の流れを示す図である。
HTTP処理手段211は、ユーザ端末10からHTTPのリクエストを受信すると(S501)、リクエストにリダイレクトURLが指定されているか否かにより、広告がクリックされたか否かを判定する(S502)。
【0040】
広告がクリックされたと判定した場合(S502:YES)、ログ収集手段214は、リダイレクトURLに設定されている広告IDに対応する広告情報を広告データベース252から読み出し、リクエストに設定されている広告ID、当該広告IDが示す広告が表示されていたWebページを示すURL、および現在日時を含むクリックログを作成してクリックログ記憶手段254に登録する(S503)。なお、広告が表示されていたWebページを示すURLは、たとえばリクエストに設定されているリファラを読み出すことにより取得することができる。また、たとえば、Webサーバ20がユーザ端末10ごとにセッションを確立し、セッション情報として前回表示したWebページ1のURLを記録しておき、セッション情報として記録されたURLを広告が表示されていたURLとして取得するようにしてもよいし、リダイレクトURLに、広告が表示されていたWebページのURLをエンコードして設定するようにしてもよい。
【0041】
ログ収集手段214は、クリックログ記憶手段254から、リダイレクトURLに設定されている広告IDに対応するクリックログの数をカウントし(S504)、インプレッションログ記憶手段253から、当該広告IDに対応するインプレッションログの数をカウントし(S505)、クリック数をインプレッション数で割ってクリック率を算出する(S506)。ログ収集手段214は、広告データベース252において当該広告IDに対応する広告情報のクリック率を、上記算出したクリック率に更新する(S507)。
【0042】
HTTP処理手段211は、広告情報のURLにリダイレクトするようにHTTPのレスポンスをユーザ端末10に送信する(S508)。
一方、広告がクリックされていないと判断した場合には(S502:NO)、Webページ作成手段212は、リクエストに設定されているURL(以下、ページURLという。)に応じて各種のコンテンツを表示するためのHTMLファイルなどの画面情報を作成する(S509)。なお、ステップS510における画面情報の作成処理は、一般的なWebサーバによる処理を採用することができる。
【0043】
広告決定手段213は、後述する
図10の処理により、表示枠2に表示する広告を決定し、決定した広告に係る広告情報のリスト(以下、広告リストとする)を作成する(S510)。Webページ作成手段212は、広告リストに含まれる広告情報の先頭から順に表示枠2の上から表示されるように、広告情報に含まれる広告IDを引数に設定したリダイレクトURLを作成し(S511)、広告情報からタイトルおよび説明を抽出して、タイトルにリダイレクトURLへのリンクを設定したタグ(例えば、「<a href="http://www.foobar.com/ad?id=xxxx">タイトル</a>」という形式とすることができる。)と説明とを画面情報に挿入する(S512)。
【0044】
HTTP処理手段211は、作成された画面情報をリクエストへの応答としてユーザ端末10に送信する(S513)。ログ収集手段214は、各広告情報について、現在日時およびページURLならびに、広告IDを含むインプレッションログを作成してインプレッションログ記憶手段253に登録する(S514)。
【0045】
==(8)広告決定処理==
図10は、表示枠2に表示する広告を決定する処理の流れを示す図である。
広告決定手段213は、Webページ作成手段212が作成した画面情報に含まれるコンテンツに応じて広告情報を所定数(m個)抽出する(S521)。なお、コンテンツに応じた広告情報の選択処理には、一般的なコンテンツマッチ広告や検索連動広告の手法を用いることができる。
【0046】
広告決定手段213は、ページURLに対応するパターン情報をパターンデータベース255から読み出し(S522)、表示枠2の高さをH(
図1の例では「4」)とし(S523)、選択した広告の空のパターンを作成し(S524)、表示枠2に表示するための広告情報を格納するための空の広告リストを作成し(S525)、一次候補から外した広告情報を格納するための空の待機リストを作成する(S526)。
【0047】
広告決定手段213は、Hが0でなく(S527:NO)、候補リストに広告情報が含まれている場合には(S528:YES)、候補リストからクリック率の最も高い広告情報を取り出す(S529)。なお、取り出した広告情報は候補リストから削除される。
【0048】
広告決定手段213は、広告情報の高さがH以下であれば(S530:YES)、広告決定手段213は、パターンPと広告情報の高さとを並べたパターンをP1とする(S531)。パターン情報にP1と一致するパターンが含まれている場合(S532:YES)には、広告決定手段213は、広告情報と待機リストに追加して(S533)、ステップS527からの処理を繰り返す。
【0049】
パターン情報にP1と一致するパターンが含まれていなければ(S532:NO)、広告決定手段213は、Hから広告情報の高さを減算し(S534)、Pに広告情報の高さを追加し(S535)、広告リストに当該広告情報を追加して(S536)、待機リストから広告情報と全て取り出して候補リストに追加する(S537)。なお、候補リストからは広告情報が全て削除される。広告決定手段213は、ステップS527からの処理を繰り返す。
【0050】
以上のようにして、表示枠2に表示される広告が決定され、表示枠2の上から配置する順番に広告リストに広告情報が登録される。
【0051】
==(9)効果例==
本実施形態の広告配信システムによれば、コンテンツに応じた広告の中から、表示枠2の高さを超えないように広告枠2に表示する広告を決定することができる。したがって、様々な大きさの広告を広告枠2に混在させるようにすることができる。
【0052】
また、本実施形態の広告配信システムによれば、クリック率の高い順に広告を選択していくことができるので、表示枠2におけるクリック率を向上することができる。また、全通りの組み合わせを比較する処理を行うことなく、クリック率が高い広告を選択することができる。したがって、効率的に広告枠2における広告のクリック率を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態の広告配信システムでは、禁止されたパターンで広告が並ばないようにすることができる。すなわち、デザイン上の要望などに応じて、異なる大きさの広告を配置するパターンのうち禁止するものとパターン情報として登録しておくことにより、レイアウトの制限を容易に行うことができる。
【0054】
==(10)変形例1:形状==
本実施形態では、広告は矩形であるものとしたが、これに限らず、任意の形状とすることができる。たとえば、コの字型、くの字型、L字型など、任意の形状とすることができる。この場合も、広告決定手段213は、たとえば、CTRの高い広告を表示枠2の上から順に配置していき、表示枠2から配置した広告の形状を除外した残りの部分に配置可能な広告を選択するようにする。これにより、デザイン上のニーズとして様々な形状の広告が求められた場合であっても対応することができる。
【0055】
==(11)変形例2:相関==
同時に表示する広告のクリック率の相関を考慮して、表示枠2に表示される広告全体のクリック率が最大となるように広告を選択するようにしてもよい。この場合、広告決定手段213は、たとえば、ユーザ総数をUとし、広告aをクリックしたことのあるユーザの数をu
aとし、広告aについてのクリック率をp
aとし、広告bをクリックしたことのあるユーザの数をu
bとし、広告bについてのクリック率をp
bとして、相関率q
abを、次の式(E1)〜(E4)により算出し、クリック率の合計から広告の各ペアの相関率qの合計を減じた値が最も大きくなるように広告を決定する。これにより、表示枠2全体として広告がクリックされる可能性を高めることができる。
【0056】
なお、式(E4)は、q
abがクリック率p
a、p
bを超えないように調整するための計算処理である。また、広告aをクリックしたことのあるユーザの数をu
aは、たとえば、クリックログにユーザIDを含めるようにしておき、クリックログ記憶手段254における広告aに対応する重複ないユーザIDの数をカウントすることにより求めることができる。
【0057】
また、上記の様に相関率を考慮する場合、広告決定手段213は、たとえば、
図10の広告の決定処理のステップS529において、候補リストに含まれている各広告情報について、当該広告情報に係る広告と、広告リストに含まれている広告情報に係る広告のそれぞれとの相関率を算出し、当該広告情報のクリック率から相関率の合計を減じたものを修正CTRとして算出し、修正CTRの最も高い広告情報を候補リストから取り出すようにするようにしてもよい。
【0058】
==(12)変形例3:バイアス==
同じ表示枠2内であっても、同じ広告であっても、たとえば上の方に配置された広告のクリック率が高かったり、真ん中に配置された広告のクリック率が高かったりということがある。このような場合、たとえば同一の広告を表示枠2内の様々な位置に配置してクリック率の変化を測定することにより、表示枠2内の位置に応じたクリックされやすさの度合い(バイアスと呼ばれる。)を測定することができる。広告決定手段213は、このバイアスを考慮して広告を決定するようにしてもよい。
【0059】
表示枠2を単位長さごとに分割した1つ(
図1の例では表示枠2は4つに分割されている。)を表示位置として、表示位置ごとにバイアスを記憶するバイアス記憶部(たとえば、
図1の例において、上から順に、1番目の表示位置に対応付けて「1.0」、2番目の表示位置に対応付けて「0.8」、3番目の表示位置に対応付けて「0.7」、4番目の表示位置に対応付けて「0.6」を記憶させておくことができる。)を設けるものとする。この場合、広告決定手段213は、
図10の処理ではなく、表示枠2に配置可能な順番での広告情報の全ての組み合わせを求め、組み合わせに含まれる広告の高さのパターンがパターン情報に含まれているものは除外したうえで、各組み合わせについて、表示位置に対応するバイアスを広告情報のクリック率に乗じて合計し、この合計値が最も高い組み合わせを広告リストとして決定することができる。なお、高さが1よりも大きい広告については、当該広告が占める表示位置のバイアスの平均値をクリック率に乗じるようにしてもよい。
【0060】
以上のように、表示枠2内の表示位置に起因するクリックのされやすさを考慮して配信する広告を決定することにより、表示枠2全体として最もクリック率が高くなるようにすることができる。
【0061】
==(13)変形例4:動画==
広告は動画とし、あるいは文字列と動画や音声とを組み合わせたものとしてもよい。この場合、動画や音声の長さ(再生時間)を考慮するようにすることができる。ここで、表示枠2には動画の最大再生時間を設定しておく。動画の最大再生時間は、たとえば、Webページ1におけるユーザの滞在時間の平均値などとすることができる。また、広告情報には、動画や音声の再生時間を含めるようにしておく。広告決定手段213は、
図10の処理において、表示枠2に設定されている再生時間を超えない広告情報のみを候補リストから取り出すようにする。これにより、表示枠2に設定された再生時間に合わせた再生時間の動画を表示するようにすることができる。
【0062】
また、この場合において、広告決定手段213は、表示枠2に設定された最大再生時間と広告情報の再生時間との差に収まる再生時間の広告情報をさらに選択して、動画や音声の再生終了後に次の広告に切り替えることができるように、一連の複数の広告を1つの広告として決定し、広告リストに含めるようにしてもよい。Webページ作成手段212は、広告リストに含まれている広告が一連の複数の広告から構成されている場合には、たとえば、JavaScript(登録商標)などのプログラム言語をWebページ1に組み入れておき、表示枠2において動画や音声の再生が終了したタイミングで次の広告を再生するようにすることもできる。
【0063】
==(14)その他変形例==
本実施形態では、表示枠2に表示する広告は幅が一定であり、高さのみが異なるものとしたが、これに限らず、幅も異なるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、クリック率が高くなるように広告を決定するものとしたが、これに限らず、クリック率に入札額を乗じたeCPM(effective Cost Per Mill)が高くなるように広告を決定するようにしてもよい。たとえば、
図10のS529において、eCPMが最も高い広告情報を取り出すようにすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、広告決定手段213は、
図10の処理において、クリック率の高いものから順に1つずつ広告を決定していくものとしたが、これに限らず、候補リストに含まれている広告から、広告枠2に配置可能な大きさの広告の組み合わせ(順番を考慮する。)を全て求め、組み合わせに含まれる広告の大きさの順番のパターンがパターン情報に含まれているものを除外したうえで、各組み合わせについて、含まれる広告のクリック率の合計値を算出し、クリック率の合計値が最も大きいものを広告リストとするようにしてもよい。これにより、クリック率が最大となるように表示枠2に表示する広告を決定することができる。
【0066】
また、本実施形態では、Webサーバ20が広告を配信するものとしたが、Webサーバ20とは別に広告配信サーバを設け、広告配信サーバから広告を配信するようにしてもよい。この場合、Webサーバ20のWebページ作成手段212は、Webページ1において広告配信サーバへのリンクのみを設定した広告枠2のタグを含めるようにし、これに応じてユーザ端末10から広告配信サーバにリクエストが送信され、広告配信サーバが広告(リダイレクトURLへのリンクを設定したタイトルと説明)を送信するようにすることができる。
【0067】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。