特許第5977039号(P5977039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977039
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】銃弾の回収方法
(51)【国際特許分類】
   F41J 13/00 20090101AFI20160817BHJP
【FI】
   F41J13/00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-30250(P2012-30250)
(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-167389(P2013-167389A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】501493691
【氏名又は名称】アンドールシステムサポート株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501272317
【氏名又は名称】株式会社 型善
(73)【特許権者】
【識別番号】000242530
【氏名又は名称】北菱電興株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】大村 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信治
(72)【発明者】
【氏名】近藤 駆米雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 学
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03398007(US,A)
【文献】 登録実用新案第3135964(JP,U)
【文献】 特開2010−125057(JP,A)
【文献】 特開2005−249305(JP,A)
【文献】 特開2007−162955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 11/00 − 13/02
F41J 1/00 − 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーにプロセスオイルを配合して平板状に成形する停弾材をバックストップに重ねて垂直に装着して射撃し、銃弾を捕捉して内部に蓄積する停弾材を銃弾より細かいメッシュの網かごに収納して加熱溶解することにより銃弾を分離回収することを特徴とする銃弾の回収方法。
【請求項2】
銃弾を分離回収後、加熱溶解した停弾材を再ペレット化し、停弾材に成形して再使用することを特徴とする請求項1記載の銃弾の回収方法。
【請求項3】
銃弾を分離回収後、加熱溶解した停弾材を成形型により停弾材に成形して再使用することを特徴とする請求項1記載の銃弾の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、拳銃やライフル銃などの銃器の実弾射撃訓練に際し、標的の後方に配置して銃弾を停弾させるバックストップ用の停弾材に適用することができる銃弾の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
拳銃やライフル銃などの銃器の実弾射撃訓練場では、標的の後方にバックストップを配置し、射撃された銃弾を安全に停弾させる必要がある。
【0003】
従来のバックストップは、たとえば銃弾の飛来方向に向けて開口するケーシング内に、ゴム材または合成樹脂材の板材からなる停弾材を十分な枚数だけ重ねてほぼ垂直に保持し、停弾材に入射する銃弾を捕捉して停弾させる形式が知られている(特許文献1)。なお、停弾材は、銃弾が集中する箇所を部分的に交換可能とすることにより、ランニングコストを小さく抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3135964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、バックストップ内の停弾材に入射する銃弾は、停弾材に捕捉されて内部に蓄積されるが、蓄積された銃弾を停弾材から分離して回収することが必ずしも容易でないという問題があった。銃弾は、ゴム材または合成樹脂材の停弾材を機械的に切開して回収しなければならないからである。なお、銃弾は、鉛が使用されているから、環境保全上の要請からしても、使用済みの停弾材からできるだけ完全に分離回収する必要がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、停弾材を加熱溶解することによって、蓄積された銃弾を確実に分離回収することができる銃弾の回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、熱可塑性エラストマーにプロセスオイルを配合して平板状に成形する停弾材をバックストップに重ねて垂直に装着して射撃し、銃弾を捕捉して内部に蓄積する停弾材を銃弾より細かいメッシュの網かごに収納して加熱溶解することにより銃弾を分離回収することをその要旨とする。
【0008】
なお、銃弾を分離回収後、加熱溶解した停弾材を、再ペレット化し、または成形型により、停弾材に成形して再使用することができる。
【発明の効果】
【0009】
かかる発明の構成によるときは、停弾材は、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルとの混合物であり、エラストマーの種類、オイルの種類、両者の配合比率により、硬さ、溶融粘度、溶融温度、密度、復元性、伸びなどの停弾材としての所要物性を適切に設定することができる。なお、停弾材としての停弾性能は、一般に、硬さが硬く、溶融粘度、溶融温度が高く、密度、復元性、伸びが大きい程良好になるが、銃弾の分離回収時の取扱い性は逆の傾向となる。ただし、停弾材は、ショアA硬度(JIS K7215のデュロメータ硬さHDAをいう、以下同じ)20〜60程度に設定することが好ましく、停弾材の中でも、銃弾を貫通させて減速させることを主目的とする減速材については、ショアA硬度60〜90程度に設定することもある。なお、エラストマー/オイルの配合比率(重量比)は、停弾材の場合70/30〜20/80程度、減速材の場合90/10〜65/35程度が一般的である。
【0010】
熱可塑性エラストマーは、スチレン系(SBC)の熱可塑性エラストマーを主成分とし、オレフィン系(TPO)、塩化ビニル系(TPVC)、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)などの他の熱可塑性エラストマーを添加してもよく、これらのいずれか1種類のみを使用してもよい。また、プロセスオイルは、ナフテン系が好適であるが、パラフィン系、芳香族系などであってもよい。スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)としては、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEP(ポチスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SBS(スチレンとブタジエンとのブロック共重合体)、SIS(スチレンとイソプレンとのブロック共重合体)などが使用可能である。なお、停弾材は、透明または半透明に仕上げることができ、目視により内部の銃弾を外部から容易に視認して確認することができる。
【0011】
停弾材は、バックストップに装着して射撃し、銃弾を捕捉して内部に蓄積したものを加熱溶解することにより、内部に包含されている銃弾を簡単に分離回収することができる。加熱溶解後の停弾材は、低粘度の液体であって、たとえば網かごを通して流下させることにより、すべての銃弾を網かご上にふるい分けることができるからである。
【0012】
加熱溶解した停弾材は、銃弾を分離回収後、再ペレット化し、必要に応じて適量の新材を混合補充した上、再び停弾材に成形して再使用することができる。ただし、加熱溶解した停弾材は、再ペレット化することなく、成形型により直接停弾材に再成形することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】全体工程フローチャート
図2】停弾材の使用状態模式図
図3】動作説明図(1)
図4】動作説明図(2)
図5】動作説明図(3)
図6】実施例を示す説明図表
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0015】
停弾材における銃弾の分離回収方法は、たとえば図1のフローチャートに従って実施する。
【0016】
停弾材W、W…は、平板状に成形され、標的Mの後方に配置するバックストップ10内に装着されている(図2)。なお、図2において、図示しない射手は、図面の左側から標的Mに向けて射撃し、図2の矢印方向に飛来する銃弾は、標的Mを貫通してバックストップ10内の停弾材W、W…に入射し、捕捉されて停弾する。
【0017】
バックストップ10は、射手に対向する側の一面が開放されているケーシング11に対し、十分な枚数の停弾材W、W…を重ねて垂直に保持している。各停弾材Wは、たとえばケーシング11の上部の保持ロッド12に掛けて吊下されている。なお、停弾材W、W…は、互いに密着させて吊下してもよく、互いに隙間を設けて配置してもよい。また、停弾材W、W…は、同一の物性に形成してもよく、ケーシング11の前面側(図2の左側)の1枚または数枚の硬さを大きくし、銃弾を貫通させる際に大きな減速効果が得られる減速材に形成することにより、全体の所要枚数を少なくすることができる。
【0018】
停弾材Wは、熱可塑性エラストマーにプロセスオイルを所定の配合比に混合し(図1)、熱溶解してペレット化し(同図のステップ(1)、以下、単に(1)のように記す)、たとえば厚さ20〜50mm程度の平板状に射出成形して作る(2)。なお、停弾材Wの全体形状は、長方形、正方形、円形、多角形などの任意の形状でよく、大きさについても、格別の制限がないものとする。
【0019】
つづいて、十分な枚数の停弾材W、W…をバックストップ10に装着し((3)、図2)、射手により射撃すると(4)、バックストップ10内の停弾材W、W…に入射する銃弾B、B…が停弾材W、W…内に捕捉されて蓄積される(図3)。なお、図3において、停弾材Wは、図2の複数枚の停弾材W、W…のうち、銃弾B、B…を包含している部位を一体の停弾材Wにまとめて模式的に拡大図示している。停弾材W内の銃弾B、B…は、個々の重量のばらつき、飛来速度のばらつきなどにより、銃弾B、B…が入射する側の停弾材Wの表面からの入射距離Xがランダムにばらついている。
【0020】
そこで、銃弾B、B…を含む停弾材Wをバックストップ10から取り外し(5)、そのまま加熱装置30に搬入する(図4(A))。ただし、加熱装置30は、停弾材Wを網かごCに収納して保持する蓋31a付きの上室31と、上室31の下方に連通する下室32とを備え、上室31、下室32には、図示しないヒータなどの加熱源が装備されている。なお、網かごCは、銃弾B、B…より細かいメッシュの金網であり、下室32の下部には、栓33a付きの排出口33が付設されている。
【0021】
次いで、栓33aにより排出口33を閉じて加熱装置30を作動させ、網かごC内の停弾材Wを溶融温度以上に加熱して溶解させると(6)、停弾材Wは、液状のエラストマーWa として網かごCを通して下室32に流下し(図4(B))、網かごCの底部には銃弾B、B…が分離して堆積する。そこで、排出口33を開いてエラストマーWa を外部に排出するとともに(図4(C)の矢印方向)、蓋31aを開放して網かごCを搬出し、銃弾B、B…を回収すればよい。ただし、図3図4(A)〜(C)において、銃弾B、B…は、停弾材W、W…に打ち込まれて停弾することにより、図示に拘らず外形が不規則に変形するのが普通である。
【0022】
加熱装置30の外部に排出された液状のエラストマーWa は、その後、適切に処理して再ペレット化し(7)、新材を混合して、または新材を混合することなく、停弾材Wに成形して(2)、再使用することができる。ただし、液状のエラストマーWa は、そのまま成形型Dに流し込んで固化させ(図5(A))、所定の形状の停弾材Wに成形することも可能である(同図(B))。
【0023】
減速材を含む停弾材Wの実施例を図6にまとめて示す。なお、図6の実施例1〜4は、熱可塑性エラストマーとして(株)クラレ製スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン」シリーズ(商品名)を使用し、プロセスオイルとして日本サン石油(株)製ナフテン系プロセスオイル「SUNTHENE」シリーズ(商品名)を使用した。実施例1〜4は、加熱溶解して射撃後の銃弾B、B…を分離した後、再ペレット化し、20%の新材を混合して同一の射出成形条件で再成形したところ、新材と同物性となり、問題なく再使用可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、自衛官や警官などの射撃訓練用に限らず、射撃競技や狩猟などの射撃練習用の用途としても好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
W…停弾材
B…銃弾
10…バックストップ

特許出願人 アンドールシステムサポート株式会社
株式会社 型善
北菱電興株式会社
図1
図2
図3
図4
図5
図6