【実施例】
【0042】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例だけに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
まず、
図1に示すアルコール系固形燃料の燃焼容器10を準備した。アルコール系固形燃料の燃焼容器10を構成する容器部11の寸法は、内径が80mm、高さが30.5mmであり、蓋部12には、直径が35mmの開口12aが形成されている。そして、容器部11の内部に、直径74mm、高さが27mmのアルコール系固形燃料14を収容した。支持台部13は、第一実施形態で説明した形状で、支持台部13の上面の直径は88.5mmであり、3箇所の支持部130は、支持台部13の上面13aの中心点Pから10mmの位置に3回対称に形成されている。支持部130近傍における容器部11の底部と支持台部13の上面との距離は、3mmであった。なお、アルコール系固形燃料の燃焼容器10を構成する容器部11、蓋部12及び支持台部は、SUS304製であった。
実施例1で使用したアルコール系固形燃料の燃焼容器10の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示す。なお、面積比(%)は、支持台部の上面の面積に対する支持台部の上面と相似形の領域の面積の比を示す。
【0044】
このアルコール系固形燃料の燃焼容器10の温度測定に関し、
図1(a)に示しているように、支持台部13の側面の高さの1/2の点を支持台部13の温度測定点(D)とし、この温度測定点(D)に熱電対を接触させ、温度を測定することとした。
【0045】
次に、アルコール系固形燃料の燃焼容器10の容器部11にアルコール系固形燃料14を収容し、蓋部12を用いて容器部11に蓋をし、容器部11の内部に載置されたアルコール系固形燃料14にライターで点火し、アルコール系固形燃料を30分間燃焼させ、支持台部13の側面の温度測定点(D)の温度を30分間、継続的に測定し、支持台部13の側面の最高温度を記録した。その結果を表1に示す。
【0046】
なお、
図1に示したアルコール系固形燃料の燃焼容器10は、アルコール系固形燃料の燃焼が終了した直後であっても持ち運び可能か(可搬性)、嵩張らないか(収納性)についても評価を行い、その結果を表1に示した。
「可搬性」の評価に関し、アルコール系固形燃料の燃焼が終了した直後であっても、持ち運び可能なものを○、持ち運びが難しいものを×とした。
また、「収納性」の評価に関し、チェーフィング20の燃料容器載置部25に簡単に載置することができ、チェーフィング20の保温中に誤ってアルコール系固形燃料の燃焼容器10に接触し易く、アルコール系固形燃料の燃焼容器10を燃料容器載置部25から落下させるおそれのないものを○、チェーフィング20の保温中に誤ってアルコール系固形燃料の燃焼容器10に接触し易く、アルコール系固形燃料の燃焼容器10を燃料容器載置部25から落下させるおそれのあるものを×とした。
【0047】
(実施例2)
アルコール系固形燃料の燃焼容器として、
図3に示したアルコール系固形燃料の燃焼容器30を使用したほかは、実施例1と同様にして、支持台部側面の最高温度を記録した。実施例2で使用したアルコール系固形燃料の燃焼容器30の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示す。また、支持台部側面の最高温度、「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
なお、アルコール系固形燃料の燃焼容器10は、支持部の個数、位置が異なる他は、実施例1で使用した容器部と同じ形状、材質である。
【0048】
(実施例3)
アルコール系固形燃料の燃焼容器として、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離を変えたほかは、実施例2と同様に構成されたアルコール系固形燃料の燃焼容器を使用し、実施例2と同様にして、支持台部側面の最高温度を記録した。実施例3で使用したアルコール系固形燃料の燃焼容器の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示す。また、支持台部側面の最高温度、「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
【0049】
(比較例1)
比較例1に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器として、
図4に示すアルコール系固形燃料の燃焼容器40を使用した。
このアルコール系固形燃料の燃焼容器40は、実施例1で使用したものと同様の容器部11及び蓋部12のみからなり、支持台部が存在しない。
この場合、支持台部の側面の温度を測定できないので、支持台部の側面の温度ではなく、容器部12の側面の最高温度を測定した。
【0050】
この比較例1では、支持部は存在せず、従って、支持部の中心点からの位置、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)は、記載することができない。
「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
【0051】
(比較例2)
比較例2に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器50は、
図5に示すように、
図1で使用した容器部11、蓋部12が使用されており、支持台部53も上面が平坦である点を除いて実施例1と同様のものが使用されているが、支持台部53のほぼ上面全体が容器部11の底面と接合されている点が
図1に示した実施例1に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器10と異なる。
比較例2に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器50の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示す。ただし、表1に示したように、このアルコール系固形燃料の燃焼容器50では、支持部は存在しないので、支持部の中心点からの位置は記載せず、容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)は0である。
また、支持台部側面の最高温度、「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
【0052】
(比較例3)
比較例3に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器60は、
図6に示すように、
図1で使用した容器部11、蓋部12が使用されているが、支持台部63に形成された3箇所の支持部630が支持台部63の側面に近いところに位置している点が
図1に示した実施例1に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器10と異なる。なお、3箇所の支持部630は、支持台部63の上面の中心点の周囲に回転対称に存在しており、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)は、3mmである。
【0053】
このアルコール系固形燃料の燃焼容器60の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示す。
また、支持台部側面の最高温度、「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
【0054】
(比較例4)
比較例4に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器は、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)が比較例3に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器60と異なる他は、比較例3と同様に構成されている。なお、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)は、1mmである。
【0055】
このアルコール系固形燃料の燃焼容器の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示す。
また、支持台部側面の最高温度、「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
【0056】
(比較例5)
図7に示すように、手で持つための取手71が支持台部53の側面に取り付けられている他は、比較例2に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器50と同様に構成されたアルコール系固形燃料の燃焼容器70を使用した。
このアルコール系固形燃料の燃焼容器70の支持部の数、支持部の中心点からの位置、面積比(%)、支持部近傍における容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)を表1に示すが、このアルコール系固形燃料の燃焼容器70も比較例2と同様に、支持部は存在しないので、支持部の中心点からの位置は記載できず、容器部の底面と支持台部の上面との距離(距離)は0である。また、比較例5では、支持台部側面の最高温度の代わりに、取手の温度を測定した。
また、取手の最高温度、「可搬性」についての評価結果、及び「収納性」についての評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜3に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器では、支持台部側面の最高温度は、55℃以下である。従って、実施例1〜3に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器では、アルコール系固形燃料の燃焼が終了した直後であっても持ち運び可能であり、チェーフィングの燃料容器載置部25から他の場所に簡単にアルコール系固形燃料の燃焼容器を移動させることができる。そのため、チェーフィングの後片付け等が楽になることが判明した。
【0059】
一方、比較例1〜4に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器では、支持台部側面の最高温度は、55℃をはるかに超えているため、アルコール系固形燃料の燃焼が終了した直後に、アルコール系固形燃料の燃焼容器を移動させるが難しく、チェーフィングの保温が終了した後、直ぐに片付け等を行うことが難しいことがわかった。
【0060】
比較例5に係るアルコール系固形燃料の燃焼容器は、持ち運ぶための取手71が取り付けられているため、アルコール系固形燃料の燃焼が終了した直後でも、簡単に持ち運びはできるが、嵩張るために収納性に問題があり、例えば、だれかが燃料容器載置部25に載置されたアルコール系固形燃料の燃焼容器70の取手71に接触し、アルコール系固形燃料の燃焼容器70が転倒する等の危険性がある。
【0061】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、
図1に示すように、蓋部として、外縁に垂下部が形成されたものを使用したが、蓋部の形状は、上記形状に限られず、容器部上部の内側にはめ込むことができるように構成された垂下部を有するものであってもよい。また、蓋部は、容器部に被せた際にずれなければよく、その幅が容器部の直径よりも大きく、容器部上部に溝が形成されたものでもよい。
さらに蓋部の開口の形状は、円形に限られず、楕円等であってもよい。
【0062】
容器部は、収納するアルコール系固形燃料が移動しないように、底部のアルコール系固形燃料を載置する部分の周囲にアルコール系固形燃料固定用の凸部が設けられたものであってもよい。
【0063】
さらに、上記実施形態では、アルコール系固形燃料の燃焼容器は、本体容器と蓋部により構成されているが、アルコール系固形燃料の燃焼容器は、蓋部と容器部とが一体化し、上部に所定直径の開口が形成されたものであってもよい。
その場合には、アルコール系固形燃料を収納するための、開閉可能な扉が本体容器の側面に設けられている必要がある。
【0064】
保温の対象となるチェーフィングの種類は、特に限定されるものではなく、湯煎式のものであってもよく、直接、プレートを加熱する形式のものであってもよい。