【実施例】
【0027】
以下に本発明の毛髪処理剤の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
<サンプルの毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーによる2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、1回パーマネントウェーブ処理後、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5重量%)に一晩浸漬後、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした(一般的な女性の損傷毛髪の典型として想定した)。
【0029】
<評価方法1 酸化処理(シスチン結合の再結合処理)前での使用>
上記のサンプル毛髪に対して、パーマネントウェーブ処理を行った。具体的には、以下の(a1)工程〜(j1)工程をこの順番に行った。
【0030】
(a1)毛束を水で濡らす、
(b1)毛髪をロッドに巻く、
(c1)パーマネントウェーブ処理用第1剤塗布(還元処理)、
(d1)容器に入れて密閉し、20分間、室温で放置、
(e1)中間水洗、
(f1)中間処理(毛髪処理剤による毛髪酸化環境調整処理)、
(g1)パーマネントウェーブ処理用第2剤塗布(酸化処理)、
(h1)5分間、室温で放置((g1)工程→(h1)工程を2回繰り返す)、
(i1)ロッドアウト(ロッドの除去)、
(j1)水洗。
【0031】
上記(f1)中間処理としては表1及び表2に示した毛髪処理剤(各pH調整成分を表1及び表2に記載の配合濃度となるように精製水に溶解させて調製)を用いて、毛髪に塗布し室温で5分間放置して行った。また、参照例として中間処理に毛髪処理剤を用いない場合(処理なし)も実施した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
また、パーマネントウェーブ処理に用いたパーマネントウェーブ処理用第1剤(還元処理剤)、および第2剤(酸化処理剤)の配合成分および配合濃度を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
<毛髪処理剤の効果確認>
上記(a1)〜(j1)の工程を行った毛髪に対して(f1)で使用する毛髪処理剤がパーマネントウェーブ処理の仕上がりに及ぼす効果について以下の項目について官能評価を行った。
【0037】
具体的には(1)カールの強さ、(2)カールのウェット・ドライ差のなさ、(3)カールの弾力、(4)カールの持続性、(5)やわらかさ、(6)指通り、及び、(7)ツヤの7項目について評価した。
それぞれの項目について評価基準を以下に記す。
【0038】
(1)カールの強さ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗直後の毛髪が濡れている時のカール形状の強さを比較し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:ウェーブ効率が非常に高く、非常にしっかりとカール形成されている、
○:ウェーブ効率が高く、しっかりとカール形成されている、
△:ウェーブ効率が低く、ゆるやかにカール形成されている、
×:ウェーブ効率が非常に低く、非常にゆるやかにカール形成されている。
【0039】
(2)カールのウェット・ドライ差のなさ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗直後の毛髪が濡れている時のカール形状(処理直後のウェット時)と、パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた後のカール形状(処理直後のドライ時)を比較し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:ウェットとドライの差がほとんどない、
○:ウェットとドライの差がややある、
△:ウェットとドライの差がある、
×:ウェットとドライの差がかなりある。
【0040】
(3)カールの弾力
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の跳ね返り感を評価し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:跳ね返りが非常に強く、非常に弾力がある、
○:跳ね返りが強く、弾力がある、
△:跳ね返りがやや弱く、弾力がやや少ない、
×:跳ね返りがほとんどなく、ほとんど弾力がない。
【0041】
(4)カールの持続性
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛髪を60℃の温水に20分間浸漬した。この処理によってパーマネントウェーブ処理から2週間程度経過したのと同程度の状態を引き起こすものとし(時間経過処理)、以下この状態を「時間経過後」とした。
【0042】
パーマネントウェーブ処理の最終水洗直後の毛髪が濡れている時のカール形状(処理直後のウェット時)と、時間経過処理後の濡れている時のカール形状(時間経過後のウェット時)を比較してカールの持続性を評価し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差がほとんどなく、持続性が非常に高い、
○:パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差がややあるが、持続性が高い、
△:パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差があり、持続性が低い、
×:パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差がかなりあり、持続性が非常に低い。
【0043】
(5)やわらかさ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の手触りのやわらかさを評価し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:非常にやわらかい、
○:やわらかい、
△:硬さがややある、
×:硬さがある。
【0044】
(6)指通り
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の指通りを評価し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:すべりが非常によい、
○:すべりがよい、
△:すべりがやや悪い、
×:すべりが悪い。
【0045】
(7)ツヤ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした後にツヤの有無を評価し、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4段階で評価した。これらの内、「◎」は特に優れているとの評価、「○」は十分な効果との評価であり、「△」及び「×」は不十分とする評価である。
◎:ツヤが非常にある、
○:ツヤがある、
△:ツヤがややない、
×:ツヤがない。
評価方法1についての効果確認の結果を表1及び表2に併せて記載した。
【0046】
表1及び表2より、本発明に係る毛髪処理剤による中間処理(毛髪酸化環境調整処理)によって、毛髪変形処理の効果が十分に得られ、かつ、良好な仕上がり感が得られること、その中でも、セスキ炭酸ナトリウム、アルギニン、炭酸水素ナトリウム、及び、炭酸ナトリウムを単独で用いた系、及び、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを混合して用いた系で特に優れた効果が得られることが理解される。
【0047】
<評価方法2 酸化処理と同時での使用(酸化成分との併用)>
次に、酸化処理(シスチン結合の再結合処理)と同時に本発明の毛髪処理剤による処理(毛髪酸化環境調整処理)を実施する場合の各効果についても評価を行った。具体的には、酸化成分を配合した毛髪処理剤を調製し、それらについて各効果の評価を行った。
【0048】
パーマネントウェーブ処理は、以下の(a2)〜(i2)工程をこの順番に行った。
(a2)毛束を水で濡らす、
(b2)毛髪をロッドに巻く、
(c2)パーマネントウェーブ処理用第1剤塗布(還元処理)、
(d2)容器に入れて密閉し、20分間、室温で放置、
(e2)中間水洗、
(f2)毛髪処理剤(酸化成分配合)塗布(毛髪酸化環境調整処理+酸化処理)、
(g2)5分間、室温で放置((f2)工程→(g2)工程を2回繰り返す)、
(h2)ロッドアウト(ロッドの除去)、
(i2)水洗。
【0049】
上記(c2)でのパーマネントウェーブ処理用第1剤は表3に示された物を用い、(f2)で用いた毛髪処理剤(酸化成分配合)は表4及び表5に配合成分および配合濃度を示す(酸化成分としては臭素酸ナトリウムを用いた)。なお、毛髪処理剤(酸化成分配合)は、(g1)のパーマネントウェーブ処理用第2剤と同様の方法によって毛髪に塗布した。
(i2)の水洗後の毛髪について、上記<毛髪処理剤の効果確認>と同様に評価を行い、結果を表4及び表5に併せて記載した。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
表4及び表5より、本発明に係る毛髪処理剤はパーマネントウェーブ処理用第2剤の酸化成分が配合された場合であっても(すなわち還元処理後の酸化処理(シスチン結合の再結合処理)と同時に使用した場合であっても)、毛髪変形処理の効果が十分に得られ、かつ、良好な仕上がり感が得られることが理解される。