特許第5977084号(P5977084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977084軟質樹脂成形品および自動車シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977084
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】軟質樹脂成形品および自動車シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20160817BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20160817BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   B60N3/10 A
   A47C31/02 A
   A47C7/62 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-122569(P2012-122569)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-244948(P2013-244948A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100141221
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康行
(72)【発明者】
【氏名】石井 厚
(72)【発明者】
【氏名】水野 信一
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−006459(JP,A)
【文献】 実開昭62−024800(JP,U)
【文献】 実開平04−118057(JP,U)
【文献】 米国特許第05275779(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
A47C 7/62
A47C 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地、表皮材などの生地の端末縫い代に接ぎ合わせ可能にする縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備える軟質樹脂成形品。
【請求項2】
軟質樹脂成形小物入れが、開口周りに周囲フランジを突き出してその周囲フランジの縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備え、そして、そのミシン縫い案内線に沿ってその周囲フランジのその縫い代を表皮材の端末縫い代に縫い合わせて接ぎ合わせるところの自動車シートの製造方法。
【請求項3】
軟質樹脂成形カップ・ホルダーが、開口周りに周囲フランジを突き出してその周囲フランジの縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備え、そして、そのミシン縫い案内線に沿ってその周囲フランジのその縫い代をアームレストの表皮材の端末縫い代に縫い合わせて接ぎ合わせるところの自動車シートの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軟質樹脂成形品および自動車シートに関し、詳細には、その軟質樹脂成形品を生地に縫い合わせる際のミシン蛇行を防止可能にする軟質樹脂成形品およびその樹脂成形品を用いる自動車シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車シートでは、軟質樹脂成形品、例えば、軟質樹脂成形小物入れや軟質樹脂成形カップ・ホルダーは、表皮材に縫い合わせられてクッション、バックやアームレストに一体発泡されるのが一般的である。
その軟質樹脂成形品をその表皮材に縫い合わせるミシン作業では、ガイド・ジグにその表皮材を当てて縫い代距離を計っているが、この軟質樹脂成形品は、その表皮材のような伸縮がないので、そのガイド・ジグに当てられずミシン縫い目線に蛇行が生じ、意図しないステッチ・ラインが仕上がる不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012−6459公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、ミシン作業でガイド・ジグを省いて布地、表皮材などの生地に縫い合わせでき、仕上りを良好にして歩留りをよくし、そして、生産性を向上できてコスト低減を図るところの軟質樹脂成形品およびその軟質樹脂成形品を用いる自動車シートの製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の軟質樹脂成形品は、布地、表皮材などの生地の端末縫い代に接ぎ合わせ可能にする縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備える。
【0006】
また、この発明の自動車シートは、軟質樹脂成形小物入れが、開口周りに周囲フランジを突き出してその周囲フランジの縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備え、そして、そのミシン縫い案内線に沿ってその周囲フランジのその縫い代を表皮材の端末縫い代に縫い合わせて接ぎ合わせる。
【0007】
さらには、こん発明の自動車シートは、軟質樹脂成形カップ・ホルダーが、開口周りに周囲フランジを突き出してその周囲フランジの縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備え、そして、そのミシン縫い案内線に沿ってその周囲フランジのその縫い代をアームレストの表皮材の端末縫い代に縫い合わせて接ぎ合わせる。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、ミシン作業でガイド・ジグが省かれて軟質樹脂成形品が、その細いうね状のミシン縫い案内線に沿って布地、表皮材などの生地に縫い合わせられ、ミシン縫い目線、すなわち、ステッチ・ラインの蛇行が防止され、仕上りが良好になって歩留りがよくなり、そして、生産性が向上されてコスト低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の軟質樹脂成形品の具体例をミシン作業状態で示した部分断面図である。
図2】乗用車のリア・シートのシート・クッションに活用されるところのこの発明の自動車シートの製造方法を部分的に示した部分断面図である。
図3】乗用車のフロント・シートのアームレストに活用されるところのこの発明の自動車シートの製造方法を部分的に示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の軟質樹脂成形品は、布地、表皮材などの生地の端末縫い代に接ぎ合わせ可能にする縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備える。
【0011】
この発明の自動車シートの製造方法は、軟質樹脂成形小物入れが、開口周りに周囲フランジを突き出してその周囲フランジの縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備え、そして、そのミシン縫い案内線に沿ってその周囲フランジのその縫い代を表皮材の端末縫い代に縫い合わせて接ぎ合わせる。
【0012】
また、この発明の自動車シートの製造方法は、軟質樹脂成形カップ・ホルダーが、開口周りに周囲フランジを突き出してその周囲フランジの縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備え、そして、そのミシン縫い案内線に沿ってその周囲フランジのその縫い代をアームレストの表皮材の端末縫い代に縫い合わせて接ぎ合わせる。
【実施例1】
【0013】
以下、特定されて図示された具体例に基づいて、この発明の軟質樹脂成形品を説明するに、図1は、布地、表皮材などである生地20が所定の箇所に方形開口部21を切り抜き、その開口部21においてその生地20の端末縫い代22に縫い付けられて活用されるところのこの発明の軟質樹脂成形品の具体例10を部分的に示し、そして、この軟質樹脂成形品10は軟質樹脂で箱形に成形され、方形開口11の周りで外周に縫合せフランジ12を突き出してミシン23でその縫合せフランジ12の縫い代13をその生地20のその開口部21の端末縫い代22に縫い合わせて接ぎ合わせ、そして、活用できるようにされる
【0014】
さらに具体的に説明するに、この軟質樹脂成形品10は、縫製可能な軟質樹脂、エラストマーなどの軟質樹脂から成形され、その縫合せフランジ12のその縫い代13の裏面14に細いうね状のミシン縫い案内線15を備える。
このミシン縫い案内線15は、細いうね状に設定され。その場合、細いうねは幅0.5mmで高さ0.5mm程度に設定される。
【0015】
したがって、この軟質樹脂成形品10は、ミシン針24をそのミシン縫い案内線15に沿って移動させながらその縫合せフランジ12のその縫い代13をその生地20のその端末縫い代22に縫い合わせて接ぎ合わせされる。このミシン作業では、ガイド・ジグが省かれてその軟質樹脂成形品10が、その細いうね状のミシン縫い案内線15に沿ってその生地20に縫い合わせられ、ミシン縫い目線、すなわち、ステッチ・ラインの蛇行が防止され、仕上りが良好になって歩留りがよくなり、そして、生産性が向上されてコスト低減が図られる。
【実施例2】
【0016】
図2は、乗用車のリア・シートに活用されるところのこの発明の自動車シートの製造方法の具体例30を部分的に示し、そして、このリア・シート30では、シート・クッション31が予め表皮材34に軟質樹脂成形小物入れ36を縫い合わせて表皮33に仕上げられ、その表皮33をシート・クッション・フレーム(図示せず)に被せて型にセットし、そして、その表皮33の内部に発泡性樹脂原液を注入し、一体発泡させて成形される。
【0017】
その軟質樹脂成形小物入れ36は、縫製可能な軟質樹脂、エラストマーなどの軟質樹脂から成形され、開口周りに周囲フランジ38を突き出してその周囲フランジ38の縫い代39の裏面40に細いうね状のミシン縫い案内線15を備え、そして、ミシン作業でミシン針24をそのミシン縫い案内線に沿って移動させて周囲フランジ38のその縫い代39をその表皮33の端末縫い代35に縫い合わせて接ぎ合わせられる。
【0018】
したがって、このリア・シート30では、ミシン作業でガイド・ジグが省かれ、ミシン縫い目線、すなわち、ステッチ・ラインの蛇行が防止され、仕上りが良好になって歩留りがよくなり、そして、生産性が向上されてコスト低減が図られる。
【実施例3】
【0019】
図3は、乗用車のフロント・シートに活用されるところのこの発明の自動車シートの製造方法の具体例50を部分的に示し、そして、このフロント・シート50では、アームレスト51が、予め表皮材54に軟質樹脂成形カップ・ホルダー56を縫い合わせて表皮53に仕上げられ、その表皮53をアームレスト・フレーム(図示せず)に被せて型にセットし、そして、その表皮53の内部に発泡性樹脂原液を注入し、一体発泡させて成形される。
【0020】
その軟質樹脂成形カップ・ホルダー56は、縫製可能な軟質樹脂、エラストマーなどの軟質樹脂から成形され、開口周りに周囲フランジ58を突き出してその周囲フランジ58の縫い代59の裏面60に細いうね状のミシン縫い案内線15を備え、そして、ミシン作業でミシン針24をそのミシン縫い案内線に沿って移動させて周囲フランジ58のその縫い代59をその表皮53の端末縫い代55に縫い合わせて接ぎ合わせられる。
【0021】
したがって、このフロント・シート50では、ミシン作業でガイド・ジグが省かれ、ミシン縫い目線、すなわち、ステッチ・ラインの蛇行が防止され、仕上りが良好になって歩留りがよくなり、そして、生産性が向上されてコスト低減が図られる。
【0022】
先に図面を参照して説明されたところのこの発明の特定された具体例から明らかであるように、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、この発明の内容は、その発明の性質(nature)および本質(substance)に由来し、そして、それらを内在させると客観的に認められる別の態様に容易に具体化される。勿論、この発明の内容は、その発明の課題に相応し(be commensurate with)、そして、その発明の成立に必須である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
上述から理解されるように、この発明の軟質樹脂成形品は、布地、表皮材などの生地の端末縫い代に接ぎ合わせ可能にする縫い代の裏面に細いうね状のミシン縫い案内線を備えるので、この発明の軟質樹脂成形品では、ミシン作業でガイド・ジグが省かれてその細いうね状のミシン縫い案内線に沿って布地、表皮材などの生地に縫い合わせられ、ミシン縫い目線、すなわち、ステッチ・ラインの蛇行が防止され、仕上りが良好になって歩留りがよくなり、そして、生産性が向上されてコスト低減が図られ、その結果、自動車シートの製造方法にとって非常に有用で実用的である。
【符号の説明】
【0024】
10 軟質樹脂成形品
11 方形開口
12 縫合せフランジ
13 縫い代
14 裏面
15 細いうね状のミシン縫い案内線
20 生地
21 開口部/方形開口部
22 端末縫い代
23 ミシン
24 ミシン針
30 自動車シート/リア/シート
31 シート・クッション
32 パッド
33 表皮
34 表皮材
35 端末縫い代
36 軟質樹脂成形小物入れ
37 開口
38 周囲フランジ
39 縫い代
40 裏面
50 自動車シート/フロント・シート
51 アームレスト
52 パッド
53 表皮
54 表皮材
55 端末縫い代
56 軟質樹脂成形カップ・ホルダー
57 開口
58 周囲フランジ
59 縫い代
60 裏面
図2
図3
図1