【実施例】
【0011】
<1>全体構成
本発明の簡易型防護柵Aは、防護面を形成するネット1と、前記ネット1の両側縁の網目に挿通した、一組の支柱2と、地面に設置し、前記支柱の下端を差し込んで該支柱を位置決めする、支柱取付具3と、を少なくとも備えてなる(
図1)。
以下、各部材について説明する。
【0012】
<2>ネット
ネット1は、落石を受撃したり、動物の侵入を遮るための防護面を形成する為の部材である。
ネット1の素材は、落石防護や防獣などの用途に応じて、素材や強度等の諸条件を満たす公知の材料を用いればよい。
【0013】
<3>支柱
支柱2は前記ネット1を支持するための部材である。
【0014】
[支柱の素材]
支柱2の素材は、落石防護や防獣などの用途に応じて、素材や強度等の諸条件を満たす公知の材料を用いればよく、例えば鋼製やFRP製とすることができる。
【0015】
[支柱の下端処理]
支柱2の下端は、後述する支柱取付具3に取付可能な処理を施しておくことを要する。本実施例では、支柱2のうち、少なくとも下端部を中空形成しているが、支柱2全体を筒状の部材とすれば足りる(
図2)。
【0016】
<4>支柱取付具
支柱取付具3は、支柱2を支持するための部材である。
【0017】
[支柱取付具の設置態様]
支柱取付具3は、地面や構造物の壁面などの設置面Bに、クランプ、ボルト、アンカーなどの公知の固定方法で固定する。
【0018】
[支柱取付具と支柱との関係]
支柱取付具3は支柱2と取り付け可能な処理を施すことを要する。本実施例では、支柱2の下端に設けてある中空部分に挿入可能な突出部31を設けてある(
図2)。
前記突出部31は別部材を接合、組み付けるなどして設けても良いし、支柱取付具3を地面に固定するためのアンカーピンの露出部分を突出部31として兼用するようにしてもよい(図示せず)。
【0019】
<5>固定ワイヤ及びワイヤ固定具
固定ワイヤ4及びワイヤ固定具3は、支柱2間に存するネット1を確実に位置決めするための部材である。
【0020】
[固定ワイヤ]
固定ワイヤ4は、ネット1の下縁の網目に挿通し、ネット1の長手方向(横方向)に亘ってネット1の両側縁から露出させておく。
【0021】
[ワイヤ固定具]
ワイヤ固定具5は、地面や構造物の壁面などの設置面Bであって、前記支柱取付具から若干離れた位置で、クランプ、ボルト、アンカーピンなどの公知の固定方法で固定しておく(図示せず)。
また、ワイヤ固定具5は、前記固定ワイヤ4を通すための掛止部51を設けておく(
図3)。
【0022】
[固定ワイヤの位置決め]
ネットの両側縁から露出させておいた固定ワイヤ4を、支柱2を介しつつ掛止部51で折り返し、途上でワイヤークリップ52などで留めておく(
図3)。
以上の構成とすれば、ネット1の両側縁側から固定ワイヤ4を引張って留めておくことで、ネット1を確実に位置決めすることができる。
また、ワイヤ固定具5は、前記支柱取付具3から若干離れた位置に設けてある為、固定ワイヤ4の先端や、ワイヤークリップ52等がネット1に干渉して、ネット1の破損を引き起こすことが無い。
【0023】
なお、図示しないが、本発明は、固定ワイヤ4の一端を支柱2に定着しておき、他端を、前記したワイヤ固定具5で留めるように構成してもよい。
【0024】
<6>支柱押さえ具
支柱押さえ具6は、前記した支柱取付具3とは別に、前記支柱2を補助的に位置決めするための部材である。
【0025】
[支柱押さえ具の設置態様]
支柱押さえ具6は、構造物の壁面などの設置面Bであって、支柱取付具3の略直上の位置に配し(
図4)、クランプ、ボルト、アンカーピンなどの公知の固定方法で固定しておく(図示せず)。
【0026】
[支柱押さえ具と支柱との関係]
支柱押さえ具6には、前記支柱2の外形に対応する挿入穴61を設けておき、前記挿入穴61に支柱2の頭部を差し込んで位置決めする(
図4)。
なお、支柱押さえ具6と支柱取付具3との対向距離は、支柱2の長さよりも短くしておく。こうすれば、まず始めに支柱押さえ具6の挿入穴61に支柱2の頭部を差し込み、支柱取付具3の突出部31を支柱2の下端に挿入するように支柱2を降ろすことで、支柱2を上端近傍及び下端近傍の二点で支持・位置決めすることが可能となる(
図1)。
また、上記構成は、支柱の脱着が容易であり、簡易型防護柵Aの構築・撤去が簡便である。
【0027】
<7>高さ調整ロープ
高さ調整ロープ7は、ネット1の高さを調整するための部材である。
高さ調整ロープ7は、ネット1の上縁の網目に挿通しておき、該高さ調整ロープ7を上下に移動することで、ネット1の高さを調整する。高さ調整ロープ7の両端はそれぞれ支柱に結わえておいてもよいし、高さ調整後に支柱2に定着してもよい。
【0028】
<8>その他
また、本発明は動物の忌避や、人間への注意喚起のために、ネットに反射ロープ8を横架しておいても良い。
【0029】
<9>構築方法
本発明の簡易型防護柵の構築方法について説明する。
簡易型防護柵Aを現場まで運搬するにあたっては、支柱2にネット1を巻き付け、あたかも巻物のような形態(
図5)とし、前記した各種治具とともに運搬する。
現場到着後は、始めに前記した各種治具を設置する。
次に、一方の支柱2を各種治具に取り付けて位置決めし、他方の支柱を引っ張って巻き付けてあるネット1をほどきながら展開し、他方の支柱2を各種治具に取り付けて位置決めする。
最後に、固定ワイヤ4の一端若しくは両端を引っ張りつつ、支柱2及びワイヤ固定具5を介してワイヤークリップ52などで留める。
以上の工程により防護柵を構築する。
【0030】
なお、前記した構築方法の各工程は、本発明に係る簡易型防護柵の構築手順を限定するものではなく、可能な範囲で適宜工程を入れ換えてもよい。