(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記凹部近傍の上記金属板に上下方向に複数の位置調整用孔を設けると共に、上記止め金具に貫通孔を設け、上記貫通孔と上記何れかの位置調整用孔とを位置合わせした状態でピンを上記貫通孔及び上記位置調整用孔に挿通することで、上記止め金具を所定高さ位置に固定し得るように構成したものである請求項1記載の金属杆の曲げ加工具。
上記第2の凹部における上記一対の支持軸の近傍であって、これらの支持軸に載置される上記金属杆に対応するように上記第2の凹部の両側の上記金属板に一対の固定用螺子孔を貫設し、上記金属板の表面側からこれらの固定用螺子孔に螺子を螺合して当該螺子の先端部を上記金属杆に当接させることで、上記金属杆を仮止めし得るように構成したものであることを特徴とする請求項5記載の金属杆の曲げ加工具。
上記2枚の金属板は表面板と裏面板により構成され、上記表面板と上記裏面板には両板を連通する複数の孔が設けられ上記各孔にビスを挿通することにより当該ビスにより上記表面板と上記裏面板を螺合固定するものであり、
上記表面板と上記裏面板との間に上記各孔に対応してリング状のスペーサを設け、上記各スペーサには雌螺子が形成されており、
上記各ビスは上記表面板の上記孔から上記スペーサに螺子込まれ、上記裏面板の上記孔に螺合固定されているものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の金属杆の曲げ加工具。
上記支持軸は、上記スペーサと、上記表面板の上記孔より上記スペーサに螺子込まれ、かつ上記スペーサを貫通して上記裏面板の上記孔に螺合した上記ビスとにより構成されているものである請求項7記載の金属杆の曲げ加工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1の器具は、雨樋支持金具1の支持腕4を器具の浅い溝に若干挿入した状態で、加工したい部分を支持腕4の上からハンマーで叩く構成であるから、支持腕4を叩いた時、その衝撃で支持腕4が上下に振動し、その結果、上記支持腕4が上記溝から溝外に容易に外れてしまい、正確な曲げ加工を行い難いという課題があった。
【0008】
また、曲げ加工の程度は操作者の叩く力等に依存するので、多数の雨樋支持金具を一定の角度に曲げるような場合は、熟練を要し、従って、操作者の熟練度によらず、一定の角度に曲げ加工が可能な加工具の開発が望まれている。
【0009】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、雨樋支持金具等を安定して確実に曲げ加工を行うことができる金属杆の曲げ加工具を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、操作者の熟練度によらず、金属杆を簡単に曲げ加工することができる金属杆の曲げ加工具を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は金属杆の叩打にも絶えうる強固な構成の金属杆の曲げ加工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、2枚の金属板を近接配置しその周囲に溝を形成して両金属板を固定し、上記両金属板の上辺から当該両金属板の中央部方向に向けて凹部を形成し、当該凹部の両側であって上記凹部の底部より上側位置に、上記両金属板に直交して上記溝を貫通する一対の支持軸を設け、上記溝から上記両金属板間に挿入した金属杆を上記一対の支持軸上に載置した状態で、上記凹部内の上記金属杆の上側から当該金属杆を叩打することにより上記金属杆を凹状に湾曲加工するものであり、上記凹部における上記両金属板間に止め金具を配置し、当該止め金具の上端部には上記叩打時に上記金属杆の下面が当接することで当該金属杆の曲げを制限する嵌合溝を設け、上記金属板間において上記止め金具を上記凹部内において上下方向に昇降可能とし、上記凹部における上記嵌合溝の高さを複数段階に設定し得るように構成したものであることを特徴とする金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0013】
上記凹部は第1の凹部(16)により構成することができる。上記一対の支持軸は例えばビス(15a,15c)及び雌螺子(14’)が形成され上記ビスが螺子込まれたスペーサ(14a,14c)により構成することができる。凹部の底部は例えば第1の凹部(16)の左右傾斜部(16a,16b)の中央対向部(16’)の部分をいう。金属杆は例えば雨樋支持金具(1)の支持腕(4)である。このように構成すると、当該加工具を一方の手で把持し、上記金属杆を上記支持軸上に載置して上記凹部内の上記金属杆を上部から他方の手に持ったハンマー等で叩くことにより、当該金属杆をその下面が止め金具の嵌合溝に当たるまで凹状に湾曲加工することができる。このとき、上記金属杆の湾曲の程度は、上記嵌合溝の位置によって決まるので、上記止め金具を上記凹部内において昇降させて上記嵌合溝の位置を複数段階に設定することにより、上記金属杆の湾曲の程度を調整することができ、操作者の熟練度等によらず、一定形状の湾曲部を有する金属杆を容易に加工形成することができる。
【0014】
第2に、上記凹部近傍の上記金属板に上下方向に複数の位置調整用孔を設けると共に、上記止め金具に貫通孔を設け、上記貫通孔と上記何れかの位置調整用孔とを位置合わせした状態でピンを上記貫通孔及び上記位置調整用孔に挿通することで、上記止め金具を所定高さ位置に固定し得るように構成したものである上記第1記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0015】
上記ピンは位置調整ピン(22)により構成することができる。このように構成すると、上記止め金具の位置調整を容易に行うことができるので、現場の状況に応じて、所定の形状(湾曲深さ)の湾曲部を、操作者の熟練度によらず、容易に多数形成することができる。
【0016】
第3に、上記一対の支持軸の近傍であって、上記支持軸上に載置される上記金属杆に対応するように上記金属板に一対の固定用螺子孔を貫設し、上記金属板の表面側から上記各固定用螺子孔に螺子を螺合して当該螺子の先端部を上記金属杆に当接させることで、上記金属杆を仮止めし得るように構成したものであることを特徴とする上記第1又は2記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0017】
上記固定用螺子孔は固定用螺子孔(22a,22b)により構成することができる。上記螺子は例えば蝶螺子(23a,23b)により構成することができる。このように構成すると、上記金属杆を一対の支持軸に載置した状態で、上記螺子を固定用螺子孔に螺合して当該螺子で金属杆を仮止めすることができる。従って、ハンマー等で金属杆を叩いたとき、当該金属杆の暴れを防止することができ、金属杆に確実に湾曲方向の力を作用させて正確に湾曲加工することができる。
【0018】
第4に、上記金属板の内側に上記止め金具の上下方向の昇降動作をガイドするガイドブロックを固設したものである上記第1〜3の何れかに記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0019】
このように構成すると、止め金具を円滑に昇降させることができる。
【0020】
第5に、上記金属板の上記凹部が形成された上辺に隣接する辺から上記金属板の中央部方向に向けて第2の凹部を形成し、当該第2の凹部の両側であって上記第2の凹部の底より上記金属板の上記辺側の位置に、上記両金属板に直交して上記溝を貫通する一対の支持軸を設け、上記第2の凹部を上方に位置させた状態で、上記溝から上記両金属板間に挿入した金属杆を上記一対の支持軸上に載置し、かかる状態で上記第2の凹部内の上記金属杆の上側から当該金属杆を叩打することにより上記金属杆を凹状に湾曲加工し得るように構成したものである上記第1〜4の何れかに記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0021】
上記一対の支持軸は例えばビス(15d,15e)及び雌螺子(14’)が形成され上記ビスが螺子込まれたスペーサ(14d,14e)により構成することができる。上記凹部の底とは上記第12の凹部の共通垂直辺(17c)をいう。第2の凹部を使用することにより、金属杆に上記凹部(16)にて一旦湾曲部を形成し、さらにその先端部を第2の凹部により逆方向に湾曲させる等の操作を容易に行うことができる。
【0022】
第6に、上記第2の凹部における上記一対の支持軸の近傍であって、これらの支持軸に載置される上記金属杆に対応するように上記第2の凹部の両側の上記金属板に一対の固定用螺子孔を貫設し、上記金属板の表面側からこれらの固定用螺子孔に螺子を螺合して当該螺子の先端部を上記金属杆に当接させることで、上記金属杆を仮止めし得るように構成したものであることを特徴とする上記第5記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0023】
上記固定用螺子孔は固定用螺子孔(22c,22d)により構成することができる。上記螺子は例えば蝶螺子(23c,23d)により構成することができる。このように構成すると、第2の凹部においても上記金属杆を一対の支持軸に載置した状態で、上記螺子を固定用螺子孔に螺合して当該螺子で金属杆を仮止めすることができる。従って、ハンマー等で金属杆を叩いたとき、当該金属杆の暴れを防止することができ、金属杆に確実に湾曲方向の力を作用させて正確に湾曲加工することができる。
【0024】
第7に、上記2枚の金属板は表面板と裏面板により構成され、上記表面板と上記裏面板には両板を連通する複数の孔が設けられ上記各孔にビスを挿通することにより当該ビスにより上記表面板と上記裏面板を螺合固定するものであり、上記表面板と上記裏面板との間に上記各孔に対応してリング状のスペーサを設け、上記各スペーサには雌螺子が形成されており、上記各ビスは上記表面板の上記孔から上記スペーサに螺子込まれ上記裏面板の上記孔に螺合固定されているものであることを特徴とする上記第1〜6の何れかに記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0025】
上記表面板の孔は例えばザグリ孔(貫通孔)(13a〜13f)により構成することができる。上記裏面板の孔は例えば雌螺子の切られた螺子孔(13a’〜13f’)により構成することができる。上記スペーサはスペーサ(14a〜14f)により構成することができる。このように構成すると、上記ビス(15a〜15f)は上記表面板の孔を介して上記スペーサに螺合すると共に裏面板の孔に螺合しているため、表面板と裏面板を強固に固定し得る。
【0026】
第8に、上記支持軸は、上記スペーサと、上記表面板の上記孔より上記スペーサに螺子込まれ、かつ上記スペーサを貫通して上記裏面板の上記孔に螺合した上記ビスとにより構成されているものである上記第7記載の金属杆の曲げ加工具により構成される。
【0027】
このように構成すると、スペーサに螺子込まれたビスにより支持軸が構成されているので、支持軸としてのスペーサを固定でき、金属杆の叩打にも絶えうる強固な支持軸を構成することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、止め金具の位置により金属杆の湾曲の程度を簡単に調整することができ、操作者の熟練度等によらず、現場の状況に適合した湾曲部を有する金属杆を安定して確実かつ容易に形成することができるものである。
【0029】
また、ハンマー等で金属杆を叩いたとき、当該金属杆の暴れを防止することができ、金属杆に確実に湾曲方向の力を正確に作用させて金属杆を湾曲加工することができる。
【0030】
また、第2の凹部を使用することにより、金属杆に一旦湾曲部を形成し、その後さらにその先端部を逆方向に湾曲させる等の操作を容易に行うことができる。
【0031】
また、ビスをスペーサに螺合させることにより、表面板と裏面板を強固に固定し得る。
【0032】
また、スペーサに螺子込まれたビス等により支持軸を構成したので、金属杆の叩打にも絶えうる強固な支持軸を構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明における金属杆の曲げ加工装置について詳細に説明する。
【0035】
尚、本発明において曲げ加工する金属杆としては、
図10に示すような雨樋支持金具1の支持腕4とする。この支持腕4は幅N1約11mm、厚みN2が約2mm(
図9(c)参照)の帯状の金属杆であり、
図10に示すように、当該金属杆を幅方向に平行(矢印A方向)に湾曲加工するものである。
【0036】
図1〜
図3に示すように、本発明に係る金属杆の曲げ加工具10は、金属板から構成された同一形状の表面板11と裏面板12とからなり(両板の厚みは例えば3mm)、これら表面板11と裏面板12とを表裏面の形状を合わせて宛がい、リング状のスペーサ14a〜14fによって一定の離間幅Tを以って、複数のビス15a〜15fで両板を固定することにより構成される。また、上記離間幅Tによって構成される間隔を溝T’という。よって、当該加工具10はその全周に亘り上記溝T’が形成されている。
【0037】
尚、
図1において、表面板11側を前方、裏面板12側の後方、前方から後方を向いた状態の上下左右を上下方向、左右方向と定義する。
【0038】
図1、
図2に示すように、表面板11と裏面板12の全体形状は同一であり、上辺に曲げ加工用の第1の凹部(凹部)16が上部(上辺)から下方(金属板の中央部方向)に向けて各々凹設されており、左辺に曲げ加工用の第2の凹部17が左側から右側方向に向けて各々凹設されている。
【0039】
また、上記表面板11と裏面板12の右辺下方は、斜め方向に切れ込むカット部25が形成されており、当該加工具10の軽量化が図られている。
【0040】
上記第1の凹部16はその左右傾斜部16a,16bは比較的緩やかな下り傾斜角度θ1度を有し、その傾斜部16a,16bの中央対向部(底部)16’には、垂直下方に所定長さに亘り切り込み形成された中央垂直溝部16cがさらに連続して切り込み形成されている。
【0041】
上記金属板の上記第1の凹部16が形成された上辺に隣接(直交)する辺から上記金属板の中央部方向に向けて第2の凹部17が形成されている。この第2の凹部17の上下傾斜部17a,17bは、上記第1の凹部16の左右傾斜部16a,16bの傾斜角度θ1よりは、当該表裏面板11,12の中央部方向(右方向)に対して深い傾斜角度θ2度(>θ1度)で切り込み形成されており、その最下部は共通垂直辺(底)17cにより連結されている。
【0042】
この第2の凹部17は、その上傾斜部17b側の板部である左側上板部11a,12aに比較して、下傾斜部17a側の板部である左側下板部11b,12bが若干左方向に突出形成されており、左下突出部分11b’,12b’が形成されている。
【0043】
尚、上記第1の凹部16の傾斜部16bに連続する右側の上板部を右側上板部11c,12cという。
【0044】
上記表面板11と裏面板12には、表面板11の板面上に6箇所の貫通孔13a〜13fが形成され、裏面板12の同一位置に雌螺子が設けられた6箇所の螺子孔13a’〜13f’が貫通形成され、これら当該孔13a〜13f、13a’〜13f’同士を対向し、上記スペーサ14a〜14fを介して表面板11の表面11’側から貫通孔13a〜13fを介してビス(皿ネジ)15a〜15f(
図9(b)参照)を、各々上記裏面板12の各螺子孔13a’〜13f’に螺子込むことにより、上記スペーサ14a〜14fによる離間幅Tを以って上記表面板11と裏面板12を固定することができる。
【0045】
上記表面板11側の上記貫通孔13a〜13fは雌螺子をきって螺子孔としても良いが、上記ビス15a〜15fを皿ネジにより構成した場合は、貫通孔13a〜13を雌螺子のきっていない皿ネジの頭に対応する円錐状のザグリ孔13a〜13f(円錐面13’)とし(
図2、
図3、
図9(b)参照)、これらザグリ孔13a〜13fに上記ビス15a〜15fを挿通し、これらビス15a〜15fを上記各スペーサ14a〜14fに螺子込み、各スペーサ14a〜14fを貫通した上記ビス15a〜15fの先端を上記裏面板12の螺子孔13a’〜13f’に螺合することにより、上記表面板11と裏面板12を固定しても良い(
図9(b)参照)。
【0046】
上記各スペーサ14a〜14fは、リング状(円柱状)であり、内面には上記ビス15a〜15fが螺子込み可能な雌螺子14’が形成されている(
図2、
図9(b)参照)。従って、上記表面板11と裏面板12は上記各ビス15a〜15fにて固定されるが、各ビス15a〜15fは上記スペーサ14a〜14fに螺合しているので、上記表面板11と裏面板12を強固に固定することができる。
【0047】
即ち、上記表面板11と上記裏面板12との間に上記貫通孔13a〜13f、螺子孔13a’〜13f’の各位置に対応してリング状のスペーサ14a〜14fが設けられ、上記各スペーサには雌螺子14’が形成されており、上記各ビス15a〜15fは上記表面板11の貫通孔13a〜13fから上記スペーサ14a〜14fに螺子込まれ、かつ上記裏面板12の螺子孔13a’〜13f’に螺合されている。このようにビス15a〜15fをスペーサ14a〜14fに螺合させることにより、表面板11と裏面板12を強固に固定することができる。
【0048】
上記貫通孔13a,13c、上記螺子孔13a’,13c’は各々上記第1の凹部16の傾斜部16b,16aの傾斜面の略中央位置に対応する板面に各々設けられており、当該貫通孔13a,13c(螺子孔13a’,13c’)に位置するスペーサ14a,14cが、上記第1の凹部16に対して同一基準線L1上に位置するように設けられている。即ち、当該第1の凹部16の両側であって上記凹部16の底部16’より上側位置に、上記両金属板11,12に直交して上記溝T’を貫通する一対の支持軸(ビス15a,15c、スペーサ14a,14c)が設けられている。よって、上記支持軸は、上記スペーサ14a,14cと、上記貫通孔13a,13cから挿通され、上記スペーサ14a,14cに螺子込まれ、上記スペーサ14a,14cを貫通して上記螺子孔13a’,13c’に螺子込まれたビス15a,15cとにより構成されている。
【0049】
従って、当該貫通孔13a,13c(螺子孔13a’,13c’)に位置するスペーサ14a,14c上に後述の雨樋支持金具1の支持腕(金属杆)4の2点を支持した状態で(
図4参照)、当該支持腕4の上部からハンマー等で下方(矢印P方向)に向けて当該支持腕4を叩くことで、当該支持腕4を下向きに曲げ加工し得るように構成されている。
【0050】
上記貫通孔13d,13e(螺子孔13d’,13e’)は各々上記第2の凹部17の傾斜部17a,17bの傾斜面に対応する板面に各々設けられており、当該貫通孔13d,13eに位置するスペーサ14d,14eが、上記第2の凹部17に対して同一基準線L2上に位置するように設けられている(
図1参照)。即ち、当該第2の凹部17の両側であって上記凹部17の底17cより左側位置、即ち金属板の外縁方向(上記第2の凹部17が設けられた辺側)(
図8においては上側位置)に、上記両金属板11,12に直交して上記溝T’を貫通する一対の支持軸(ビス15d,15e、スペーサ14d,14e)が設けられている。即ち、上記支持軸は、上記スペーサ14d,14eと、上記貫通孔13d,13eから挿通され、上記スペーサ14d,14eに螺子込まれ、上記スペーサ14d,14eを貫通して上記螺子孔13d’,13e’に螺子込まれたビス15d,15eとにより構成されている。このように、上記支持軸は、上記スペーサ14d,14eと、上記貫通孔13d,13eから挿通され、上記スペーサ14d,14eに螺子込まれ、上記スペーサ14d,14eを貫通して上記螺子孔13d’,13e’に螺子込まれたビス15d,15eとにより構成されている。
【0051】
従って、当該貫通孔13d,13eに位置するスペーサ14d,14e上に後述の雨樋支持金具1の支持腕4の2点を支持した状態で(
図8参照)、当該支持腕4の上部からハンマー等で下方(矢印P’方向)に向けて当該支持腕4を叩くことで当該支持腕4を曲げ加工し得るように構成されている。
【0052】
上記貫通孔13fはその位置に設けられるスペーサ14fと上記貫通孔13eに設けられるスペーサ14eとによって支持腕4の挿入通路Rを構成するものであり、上記第2の凹部17によって上記支持腕4を曲げ加工する場合(
図8参照)、上記支持腕4の先端部4’を上記スペーサ14e,14fの間の挿入通路R内を通過させ、曲げ加工時の上記支持腕4の先端部4’の動き(暴れ)を防止するものである。
【0053】
18は、支持腕4の湾曲の度合いを調整するための止め金具であり、上記表面板11と裏面板12の間の上記中央垂直溝部16c内に昇降可能に挿通されるものである。この止め金具18は、上記第1の凹部16の上記中央垂直溝部16cに沿って昇降し得る棒状の本体部18aと、当該本体部18aの下端に設けた水平ガイド部18bから構成されており、全体として逆T字形状をなしている。上記本体部18aは、上記中央垂直溝部16cから上下方向に昇降可能に設けられており、その先端には、上記表面板11と裏面板12によって構成される上記溝T’に平行な嵌合溝18cが凹設されている。
【0054】
一方、上記表面板11の裏面11”における上記中央垂直溝部16cの下端部左右にはガイドブロック19,19が上記止め金具18の上記本体部18aの左右幅より若干広い幅を以って固定されており、かつ、上記裏面11”における上記水平ガイド部18bの右側に対応する部分には、上下方向に長いガイドブロック20が固定されている。よって、上記止め金具18は、上記本体部18aが上記ガイドブロック19,19の間に沿って昇降し得ると共に、当該昇降時は上記水平ガイド部18bの右側面が上記ガイドブロック20の左側面に沿って摺動するため、当該止め金具18は、上記表面板11と裏面板12との間において、上記中央垂直部16cに沿って上下方向に円滑に昇降し得るように構成されている。
【0055】
勿論、当該止め金具18の厚さは表面板11と裏面板12を嵌合固定した場合の溝T’の幅Tより狭く形成されており、表裏面板11,12の嵌合固定状態において、上下方向に昇降可能に設けられている。
【0056】
上記表面板11と裏面板12における上記中央垂直溝部16cの下方には、上下方向に3箇所の位置調整用孔21a〜21cが各々貫通形成されている。これらの位置調整用孔21a〜21cは上記表裏面板11,12を
図1のように嵌合固定した場合、各々対応する位置に位置するように貫設されている。
【0057】
一方、上記止め金具18の本体の下方位置には1箇所の貫通孔18dが形成されている。これにより、上記第1の凹部16における上記止め金具18の嵌合溝18cの位置を3段階に調整可能に構成されている。即ち、
図1に示すように、上記貫通孔18dの位置を最も上の位置調整用孔21aに合わせて、位置調整ピン22を上記表面板11の位置調整用孔21aから上記止め金具18の上記貫通孔18dに挿入し、上記裏面板12の対応する位置調整用孔21aに挿通することで、上記止め金具18を最も高い位置に固定することができる(
図4、
図9(a)参照)。同様にして、上記止め金具18の貫通孔18dを2段目、3段目の位置調整用孔21b,21cに合わせて上記ピン22で固定することにより、上記止め金具18の位置を中段、下段の3段階に調整することができる(
図6(a)(b)参照)。
【0058】
これにより、上記雨樋支持金具1の支持腕4の曲げ加工の程度を3段階に調整することができる。即ち、上記止め具18を上記上段の位置に固定して上記スペーサ14c,14a間に上記雨樋支持金具の支持腕4を支持した場合は(
図4、
図9(a)参照)、上記支持腕4の下面4”と上記止め金具18の上記嵌合溝18cの底部18c’までの距離が最も狭い(距離t1)となるので(
図4参照)、上記支持腕4の上端部における上記嵌合溝18cに対応する位置を叩くことにより、最も浅い湾曲部(最も曲率半径の大きい湾曲部)C1を形成することができる(
図5参照)。
【0059】
次に、上記止め具18を上記中段の位置に固定して上記スペーサ14c,14a間に上記雨樋支持金具1の支持腕4を支持した場合は(
図6(a)参照)、上記支持腕4の下面4”と上記止め金具18の上記嵌合溝18cの底部18c’までの距離が中間距離(距離t2)となるので、上記支持腕4の上端部における上記嵌合溝18cに対応する位置を叩くことにより、中間の深さの湾曲部(中間の曲率半径の湾曲部)C2を形成することができる。
【0060】
次に、上記止め具18を上記下段の位置に固定して上記スペーサ14c,14a間に上記雨樋支持金具の支持腕4を支持した場合は(
図6(a)参照)、上記支持腕4の下面4”と上記止め金具18の上記嵌合溝18cの底部18c’までの距離が最も長い距離(距離t3)となるので、上記支持腕4の上端部における上記嵌合溝18cに対応する位置を叩くことにより、最も深い湾曲部(最も曲率半径の小さい湾曲部)C3を形成することができる。このように、上記止め金具18の位置によって、支持腕4の下面4”から上記底部18c’までの距離を3段階に設定し得るため、上記止め金具18を何れかの位置に固定すれば、誰が叩いても略同様の湾曲部を形成することができる。
【0061】
表面板11と裏面板12における上記スペーサ14a,14cに上記支持腕4を載置したとき、上記第1の凹部16の左右における上記支持腕4に対向する位置に固定用螺子孔22a,22bが各々貫設されている(
図3参照)。この螺子孔22a,22bには、上記支持腕4を上記スペーサ14a,14c上に載置した状態において、上記表面板11の表面11’側から上記螺子孔22a,22b内に蝶螺子23a,23bを螺子込むことにより、蝶螺子23a,23bの先端部23a’,23b’で上記支持腕4の表面を仮止めし(
図9(c)参照)、これにより支持腕4を叩いたときの支持腕4の暴れを抑制して、安定して曲げ加工を可能とするものである。
【0062】
上記第2の凹部17にて上記支持腕14を曲げ加工する場合は、
図7,8に示すように、表面板11と裏面板12間における上記スペーサ14d,14eに上記支持腕4を載置すると共に、上記支持腕4の先端部4’を上記挿入通路R内に挿入し、その後、上記第2の凹部17の中央における上記支持腕4をその上部から叩くことにより行う。このとき、上記第2の凹部17の左右における上記支持腕4に対向する位置に固定用螺子孔22c,22d(
図3参照)が貫設されている。この螺子孔22c,22dには、上記支持腕4を上記スペーサ14d,14e上に載置したとき、上記表面板11の表面11’側から上記螺子孔22c,22d内に蝶螺子23c,23dを螺子込むことにより(
図8参照)、蝶螺子23c,23dの先端部23c’,23d’で上記支持腕4の表面を仮止めし(
図9(c)参照)、これにより叩いたときの支持腕4の暴れを抑制して、安定して曲げ加工を可能とするものである。
【0063】
尚、上記位置調整ピン22は、チェン24及び取り付けリング24’によって上記表面板11の固定孔26に接続されている。
【0064】
本発明の金属杆の曲げ加工具は上述のように構成されているので、次のその機能について説明する。
【0065】
雨樋支持金具1の支持腕4を
図10に示すように、直線状態から湾曲部Cを形成する動作を説明する。
【0066】
まず、最も浅い湾曲部C1を形成する場合を説明する。この場合、
図4に示すように、止め金具18の貫通孔18dを最上段の位置調整用孔21aに合わせ、位置調整ピン22を上記位置調整用孔21a、貫通孔18d及び位置調整用孔21aに挿通して当該止め金具18を最上段に固定する。
【0067】
その後、蝶螺子23a,23bを緩め、
図4に示すように、上記支持腕4を加工具10の上辺から溝T’内に挿入し、スペーサ14a,14c上に水平に載置する。そして、上記蝶螺子23a,23bを締めてその先端23a’,23b’を上記支持腕4の表面に当接させて当該支持腕4を当該位置に仮止め固定する(
図9(c)参照)。
【0068】
かかる状態から、一方の手で当該加工具10の下辺部を把持した状態で、他方の手に持ったハンマーで、上記支持腕4の上記止め金具18に対応する上面中央部4aを下方に向けて叩けば良い。
【0069】
すると、上記支持腕4は、左右のスペーサ14a,14cの2点を支持された状態で、上記上面中央部4aが下方に湾曲するが、上記支持腕4の中央部下面4”が距離t1下方に移動した時点で上記止め金具18の嵌合溝18cの底部18c’に当接するため、当該中央部下面4”の湾曲が規制される。
【0070】
よって、上記動作によって上記支持腕4に最も緩やかな湾曲部C1を形成することができる(
図5参照)。上記中央部下面4”の移動距離t1は、誰が叩いても同一距離t1となるため、操作者の熟練度等によらず、略同一(例えば同一曲率半径)の湾曲部C1を有する雨樋支持金具1を簡単に多数形成することができる。
【0071】
次に、中程度に湾曲した湾曲部C2を形成する場合を説明する。この場合、
図6(a)に示すように、止め金具18の貫通孔18dを中段の位置調整用孔21bに合わせ、位置調整ピン22を上記位置調整用孔21b、貫通孔18d及び位置調整用孔21bに挿通して当該止め金具18を中段に固定する(
図6(b)参照)。
【0072】
その後、蝶螺子23a,23bを緩め、
図4に示すように、上記支持腕4を加工具10の上辺から溝T’内に挿入し、スペーサ14a,14c上に水平に載置する。そして、上記蝶螺子23a,23bを締めてその先端23a’,23b’を上記支持腕4の表面に当接させて当該支持腕4を当該位置に仮止め固定する(
図9(c)参照)。
【0073】
かかる状態から、一方の手で当該加工具10の下辺部を把持した状態で、他方の手に持ったハンマーで、上記支持腕4の上記止め金具18に対応する上面中央部4aを下方に向けて叩けば良い。
【0074】
すると、
図6(a)に示すように、上記支持腕4は、左右のスペーサ14a,14cの2点を支持された状態で、上記上面中央部4aが下方に湾曲するが、上記支持腕4の中央部下面4”が距離t2下方に移動した時点で上記止め金具18の嵌合溝18cの底部18c’に当接するため、当該中央部下面4”のそれ以上の湾曲が規制される。
【0075】
よって、上記動作によって上記支持腕4に中程度に湾曲した湾曲部C2を形成することができる。上記中央部下面4”の移動距離t2は誰が叩いても同一距離t2となるため、操作者の熟練度等によらず、略同一(例えば同一曲率半径)の湾曲部C2を有する雨樋支持金具1を簡単に多数形成することができる。
【0076】
次に、最も大きく湾曲した湾曲部C3を形成する場合を説明する。この場合、止め金具18の貫通孔18dを下段の位置調整用孔21cに合わせ、位置調整ピン22を上記位置調整用孔21c、貫通孔18d及び位置調整用孔21cに挿通して当該止め金具18を下段に固定する(
図6(b)参照)。
【0077】
その後、蝶螺子23a,23bを緩め、
図4に示すように、上記支持腕4を加工具10の上辺から溝T’内に挿入し、スペーサ14a,14c上に水平に載置する。そして、上記蝶螺子23a,23bを締めてその先端23a’,23b’を上記支持腕4の表面に当接させて当該支持腕4を当該位置に仮止め固定する(
図9(c)参照)。
【0078】
かかる状態から、一方の手で当該加工具10の下辺部を把持した状態で、他方の手に持ったハンマーで、上記支持腕4の上記止め金具18に対応する上面中央部4aを下方に向けて叩けば良い。
【0079】
すると、
図6(b)に示すように、上記支持腕4は、左右のスペーサ14a,14cの2点を支持された状態で、上記上面中央部4aが下方に湾曲するが、上記支持腕4の中央部下面4”が距離t3下方に移動した時点で上記止め金具18の嵌合溝18cの底部18c’に当接するため、当該中央部下面4”のそれ以上の湾曲が規制される。
【0080】
よって、上記動作により支持腕4に最も深くに湾曲した湾曲部C3を形成することができる(
図6(a)参照)。上記中央部下面4”の移動距離t3は誰が叩いても同一距離t3となるため、操作者の熟練度等によらず、略同一(例えば同一曲率半径)の湾曲部C3を有する雨樋支持金具1を簡単に多数形成することができる。
【0081】
上記何れの場合も、上記支持腕4は蝶螺子23a,23bにて仮止め固定されているため、その上記上面中央部4aをハンマーで叩いても、支持腕4が暴れることはなく、安定して湾曲加工することができる。即ち、ハンマーで支持腕4の上面中央部4aを叩いたとき、上記上面中央部4aを挟む左右の2箇所(蝶螺子23a,23bの先端部23a’,23b’の位置)にて仮止めされた状態なので、ハンマーで叩いたとき支持腕4がその衝撃で振動、揺動等することがなく、従って矢印P方向(下方)の叩打力が上記支持腕4の叩打点(上記上面中央部4a)に対して矢印P方向(下向)に正確に作用し、結果として、支持腕4を適切に湾曲させることができる。
【0082】
尚、上記ハンマーで上記支持腕4を叩いたとき、支持腕4は最終的には上記蝶螺子23a,23bの先端部23a’,23b’から離間する場合もあるが、上記支持腕4は上記叩打時には上記蝶螺子23a,23bによって仮固定されている状態であるため、上述のような安定した折り曲げ加工が可能となる。
【0083】
次に、
図11に示すように、一端形成した湾曲部C1の先端部を更に逆方向に湾曲させ、他の湾曲部(返しの湾曲部)C4を形成する動作を説明する。
【0084】
この場合は、
図7、
図8に示すように、上記加工具10の左辺を上向きとして加工を行う。従って、当該操作については、
図7、
図8の第2の凹部17側を上方とし、当該上方を基準として上下左右を定義して説明する。
【0085】
図8に示すように、蝶螺子23c,23dを緩め、上記支持腕4を加工具10の上辺から溝T’内に挿入し、スペーサ14d,14e上に載置すると共に、その先端部4’を上記挿入通路R内に挿入する。従って、先端部4’はスペーサ14e,14fの間に位置している。そして、上記蝶螺子23c,23dを締めてその先端23c’,23d’を上記支持腕4の表面に当接させて当該支持腕4を当該位置に仮止め固定する(
図9(c)参照)。
【0086】
かかる状態から、一方の手で当該加工具10の下辺部を把持した状態で、他方の手に持ったハンマーで、上記支持腕4の上面中央部4aを下方(矢印P’方向)に向けて叩けば良い。
【0087】
すると、上記支持腕4は、左右のスペーサ14d,14eの2点を支持された状態で、上記上面中央部4aが下方に湾曲するので、いわゆる返しの環曲部C4を形成することができる。
【0088】
この場合も、上記支持腕4は蝶螺子23c,23dにて固定されているため、その上記上面中央部4aをハンマーで叩いても、支持腕4が暴れることはなく、安定して湾曲加工することができる。即ち、ハンマーで支持腕4の上面中央部4aを叩いたとき、上記上面中央部4aを挟む左右の2箇所(蝶螺子23c,23dの先端部23c’,23d’の位置)にて仮止めされた状態なので、ハンマーで叩いたとき支持腕4がその衝撃で振動、揺動等することがなく、従って矢印P’方向(下方)の叩打力が上記支持腕4の叩打点(上記上面中央部4a)に対して矢印P’方向(下向)に正確に作用し、結果として、支持腕4を適切に湾曲させることができる。
【0089】
尚、上記ハンマーで上記支持腕4を叩いたとき、支持腕4は最終的には上記蝶螺子23c,23dの先端部23c’,23d’から離間する場合もあるが、上記支持腕4は上記叩打時には上記蝶螺子23c,23dによって仮に固定されている状態であるため、上述のような安定した折り曲げ加工が可能となる。
【0090】
以上のように、本発明によれば、止め金具18の位置により支持腕4の湾曲の程度を簡単に調整することができ、操作者の熟練度等によらず、例えば現場の状況に適合した曲率半径の湾曲部を有する雨樋支持金具1を容易に形成することができるものである。
【0091】
また、ハンマー等で支持腕4を叩いたとき、当該支持腕4の暴れを防止することができ、支持腕4に確実に湾曲方向の力を作用させて正確に湾曲加工を行うことができる。
【0092】
また、第2の凹部を使用することにより、支持腕4に一旦湾曲部C1を形成し、さらにその先端部を逆方向に湾曲させる等の操作を容易に行うことができる。
【0093】
また、ビスをスペーサに螺合させることにより、表面板11と裏面板12を強固に固定し得る。
【0094】
また、スペーサに螺子込まれたビス等により支持軸を構成し、さらにスペーサにビスが螺子込まれており、スペーサの前後端に表裏面板11,12が密着し(
図9(b)参照)、溝T’内において、ビスとスペーサと上記表裏面板11,12が一体化しているので、金属杆の叩打に絶えうる強固な支持軸を構成することができる。
【0095】
また、スペーサの外周が滑らかな円筒面を形成しており、六角ナット等のナットとは異なり、外周に凹凸が存在しないので、一対の支持軸にて金属杆の2点を安定して保持し得る。
【0096】
尚、
図1、
図2中、27a,27bは予備の螺子孔である。