(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンダ内部に区画される圧力作用室内への流体の吸入及び排出に基づき駆動されるピストンと、前記ピストンが固定され、前記ピストンと共に移動するピストンロッドと、当該ピストンとシリンダカバーとの間にピストンからの衝撃を吸収する緩衝機構を有する流体圧シリンダにおいて、
前記緩衝機構は、一対の緩衝部材を含み、
各緩衝部材は、前記ピストンロッドにより貫通されて取付けられていると共に、前記ピストンロッドの軸方向に沿って移動可能に固定されており、
各緩衝部材は、互いの対向面に凹部が形成されていると共に、弾性変形可能な材料により作成されており、
各緩衝部材は、前記ピストンロッドの径方向における緩衝部材の端部において互いに圧接する環状の第1シール部を有していると共に、その貫通孔には、ピストンロッドと圧接する環状の第2シール部を有している流体圧シリンダ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態の緩衝機構付き流体圧シリンダ(以下、単にシリンダと示す)を説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のシリンダ1を構成するシリンダチューブ2は、円筒状の金属製部材である。このシリンダチューブ2の2つの開口部のうち、
図1の右側の開口部は、シリンダカバーとしての金属製のヘッドカバー3によって閉塞されている。
【0014】
詳しくは、ヘッドカバー3は、シリンダチューブ2の内径に合わせた外径を有する取付部3aを有しており、そのヘッドカバー3の取付部3aが、シリンダチューブ2の内壁面に対して嵌合されることにより、シリンダチューブ2の
図1における右側の開口部が閉塞されている。また、ヘッドカバー3は、第1のポート4を備えている。
【0015】
また、シリンダチューブ2の2つの開口部のうち、
図1の左側の開口部は、シリンダカバーとしての金属製のロッドカバー5によって閉塞されている。詳しくは、ロッドカバー5は、シリンダチューブ2の内径に合わせた外径を有する取付部5aを有しており、そのロッドカバー5の取付部5aが、シリンダチューブ2の内壁面に対して嵌合されることにより、シリンダチューブ2の左側の開口部が閉塞されている。また、ロッドカバー5は、第2のポート6を備えている。本実施形態では、シリンダチューブ2と、ヘッドカバー3と、ロッドカバー5により、シリンダケースを構成している。
【0016】
シリンダチューブ2内に形成された内部空間内には、金属製のピストン7が摺動可能に収容されている。このピストン7は、金属製のピストンロッド8により貫通されており、且つ、ピストンロッド8と共に移動するように固定されている。
【0017】
また、このピストン7によって、前記内部空間が2つの圧力作用室10,11に区画されている。具体的には、ヘッドカバー3側の圧力作用室10は、ヘッドカバー3(の取付部3a)の内端面、シリンダチューブ2の内周面、ピストン7のヘッドカバー3側(
図1の右側)の側面、及びピストンロッド8の外周面によって、区画されている。そして、この圧力作用室10には第1のポート4が連通している。
【0018】
ロッドカバー5側の圧力作用室11は、ロッドカバー5(の取付部5a)の内端面、シリンダチューブ2の内周面、ピストン7のロッドカバー5側(
図1の左側)の側面及びピストンロッド8の外周面によって、区画されている。そして、この圧力作用室11には第2のポート6が連通している。
【0019】
ピストン7に固定されたピストンロッド8の一方の端部(
図1における左側の端部)は、ロッドカバー5の中心部に貫通形成されたロッド挿通孔12を介して、シリンダチューブ2の外部に突出している。そして、ピストンロッド8は、このロッド挿通孔12を介して、その軸方向に沿って移動可能に取付けられている。
【0020】
このロッド挿通孔12には、第2のポート6が連通しており、このロッド挿通孔12を介して、第2のポート6は、圧力作用室11と連通している。そして、第2のポート6が連通している箇所よりも内側(
図1において右側)において、ロッド挿通孔12の内径は、ピストンロッド8の外径よりも僅かに大きく形成されている一方、第2のポート6が連通している箇所よりも外側(
図1において左側)において、ロッド挿通孔12の内径は、ピストンロッド8の外径とほぼ同一に形成されている。また、第2のポート6が連通している箇所よりも外側(
図1において左側)の領域にはパッキン装着凹部が設けられており、その中には環状のロッドパッキン13が装着されている。そして、このロッドパッキン13によって、ピストンロッド8の周面とロッド挿通孔12の内壁面とのシールが図られている。
【0021】
また、ピストン7に固定されたピストンロッド8の他方の端部(
図1における右側の端部)は、ヘッドカバー3の中心部に形成されたロッド収容凹部14に収容されるようになっている。そして、ピストンロッド8は、このロッド収容凹部14において、その軸方向に沿って移動可能に取付けられている。また、ロッド収容凹部14には、第1のポート4が連通している。
【0022】
また、シリンダチューブ2の内周面に対して摺接するピストン7の周面にも、シール部材としてのピストンパッキン15及びマグネット16が装着されている。これにより、ピストン7の外周面とシリンダチューブ2の内周面との間のシールが図られている。
【0023】
そして、ヘッドカバー3とピストン7の間に形成された圧力作用室10には、ヘッドカバー3とピストン7の間における衝撃を緩衝する緩衝機構20が設けられている。同様に、ロッドカバー5とピストン7との間に形成された圧力作用室11には、ロッドカバー5とピストン7との間における衝撃を緩衝する緩衝機構21が設けられている。そして、圧力作用室10に設けられた緩衝機構20は、一対の緩衝部材としてのゴムクッション22,23を有しており、圧力作用室11に設けられた緩衝機構21は、一対の緩衝部材としてのゴムクッション24,25を有している。
【0024】
次に、本実施形態において使用されるゴムクッション22〜25の形状等について説明する。なお、
図1に示されるように、前記4つのゴムクッション22〜25は同一の形状である。
【0025】
ゴムクッション22〜25は中心に貫通孔22a〜25aを有する環状の部材である。また、このゴムクッション22〜25は、クッションとしての好適な弾性を備えている。ゴムクッション22〜25の貫通孔22a〜25aには、その内周面から中心方向に向かって突出する環状の貫通孔側シール部(第2シール部)22b〜25bが形成されている。
【0026】
そして、
図2に示すように、貫通孔側シール部22b〜25bは、貫通されたピストンロッド8の外周面に密接するように形成されている。つまり、
図2に示すように、貫通孔側シール部22b〜25bの内径は、ピストンロッド8の外径とほぼ同一または、若干小さくなるように形成されている。このため、ゴムクッション22〜25の貫通孔にピストンロッド8が挿通されたとき、ピストンロッド8と貫通孔との間は、貫通孔側シール部22b〜25bによりシールされるようになっている。
【0027】
また、
図1に示すように、弾性変形前の状態において、ゴムクッション22〜25は、径方向端部に近づくに従って軸方向の厚さが薄くなるように形成されている。なお、対となるゴムクッション22〜25に対向して配置される対向面は、軸方向(貫通孔22a〜25a)と直交するように形成されている。つまり、弾性変形前の状態において、対となるゴムクッション22〜25に対向して配置される対向面と反対面は、中心(貫通孔22a〜25a)に向かって略テーパー状となっている。すなわち、ゴムクッション22〜25は、略円すい形状となっている。
【0028】
また、弾性変形前の状態において、対となるゴムクッション22〜25に対向して配置される対向面には、流体溜まりを形成するための凹部22c〜25cが軸方向に沿って形成されている。この凹部22c〜25cは、弾性変形前の状態において、凹部22c〜25cの中心(貫通孔22a〜25a)に向かって深さが徐々に大きく(深く)なるように形成されている。なお、
図1では、凹部22c及び凹部23cの図示を図面の都合上、省略している。
【0029】
また、
図1及び
図3(a)に示すように、貫通孔22a〜25aから径方向外側に向かって予め決められた範囲内において、幅方向における肉厚が厚くなっている肉厚部22d〜25dが形成されている。なお、軸方向における肉厚部22d〜25dの厚さとは、前記対向面とは反対面から凹部22c〜25cの底までの距離のことである。そして、肉厚部22d〜25dの厚さは、ほぼ同じとなっている。そして、貫通孔22a〜25aから径方向外側に向かって予め決められた範囲外から径方向端部において、幅方向の肉厚が肉厚部22d〜25dよりも薄くなっている先端部22e〜25eが形成されている。なお、軸方向において、先端部22e〜25eの厚さは、ほぼ同じとなっている。なお、軸方向における先端部22e〜25eの厚さとは、前記対向面とは反対面から凹部22c〜25cの底までの距離のことである。また、
図3においては、ロッドカバー5側とヘッドカバー3側とにおける緩衝機構20,21は、同様の構成であるため、ヘッドカバー3側とにおける緩衝機構20の図示を省略する。
【0030】
そして、ゴムクッション22〜25の径方向の端部(外周)には、外周側シール部(第1シール部)22f〜25fが形成されている。つまり、ゴムクッション22〜25は、径方向端部において、後述するプレート26,27と密接可能に構成されている。なお、図面の都合上、外周側シール部22f、23fの図示は、省略する。
【0031】
前記ゴムクッション22〜25は、例えば従来公知の金型成形法(特に圧縮成形法やインジェクション成形法など)によって製造されることができる。
そして、このように形成されたゴムクッション22〜25は、対となるゴムクッション22〜25と互いの凹部22c〜25cが対向するように配置される。つまり、緩衝機構20においては、ゴムクッション22は、ゴムクッション23と互いの凹部22c,23cが対向するように配置される。同様に、緩衝機構21においては、ゴムクッション24は、ゴムクッション25と互いの凹部24c,25cが対向するように配置される。
【0032】
また、緩衝機構20,21には、それぞれ金属製のプレート26,27が備えられている。このプレート26,27とは、円盤状に形成されており、中心にピストンロッド8が挿通される挿通孔が形成されている。そして、プレート26,27は、対となるゴムクッション22〜25の間に配置されるようになっている。このプレート26,27は、ピストンロッド8に貫通されており、ピストンロッド8に対して軸方向に移動可能に固定されている。また、プレート26,27の外径の大きさは、ゴムクッション22〜25の外径の大きさよりも大きく形成されている。このため、ゴムクッション22〜25の径方向端部に設けられた外周側シール部22f〜25fは、プレート26,27と確実に密接可能となっている。
【0033】
次に、
図3に従って、このように構成されたシリンダ1の動作及び緩衝機構20,21の作用について説明する。これ以降、ロッドカバー5側の圧力作用室11内にある一対のゴムクッション24,25のみについて言及することにする。即ち、ロッドカバー5側とヘッドカバー3側とにおける緩衝機構20,21の作用に基本的な差異はないからである。よって、ヘッドカバー3側についてはその詳細な説明を省略する。
【0034】
ヘッドカバー3側のストロークエンドにピストン7があるとき、ロッドカバー5側の圧力作用室11内にある一対のゴムクッション24,25は、圧接していない。すなわち、当接することなく互いに離間している場合もある。この状態で第1のポート4にエアを供給すると、ヘッドカバー3側の圧力作用室10内にはエアが導入され、圧力作用室10内の圧力が上昇する。すると、ピストン7及びピストンロッド8がロッドカバー5側(即ち
図1の左側)の方向にストロークを開始するとともに、ロッドカバー5側の圧力作用室11内のエアが第2のポート6を介して外部に排出される。
【0035】
図3(a)に示すように、ピストン7がある程度ロッドカバー5に接近すると、ロッドカバー5側の圧力作用室11内に一対設けられているゴムクッション24,25の径方向端部(外周)がプレート27と当接する。このとき、一対のゴムクッション24,25の径方向端部には、環状の外周側シール部24f,25fが設けられているため、当接箇所において、シールポイントが形成される。これにより、一対のゴムクッション24,25の凹部24c,25cにより流体(エア)が閉じこめられる。そして、ゴムクッション24,25の凹部24c,25cと、ピストンロッド8により、圧力作用室11が区画され、流体溜まりG1が形成される。
【0036】
なお、プレート27とピストンロッド8との間(すなわち、プレート27の貫通孔とピストンロッド8の間)は、シールされていないため、ゴムクッション24の凹部24cのエアは、プレート27とピストンロッド8との間を通過して、ゴムクッション25の凹部25cに移動することができるようになっている。同様に、ゴムクッション25の凹部25cのエアは、プレート27とピストンロッド8との間を通過して、ゴムクッション24の凹部24cに移動することができるようになっている。その一方、ゴムクッション24,25の貫通孔24a,25aと、ピストンロッド8の間には、貫通孔側シール部24b、25bによりシールされているため、ゴムクッション24,25の凹部24c,25cに溜まったエアが、貫通孔24a,25aを介して外部に流出しないようになっている。
【0037】
そして、ピストン7がロッドカバー5側のストロークエンドに近づくと、両ゴムクッション24,25には弾性変形が生じる。具体的にいうと、ゴムクッション24,25はプレート27側に撓むように弾性変形する。このとき、ゴムクッション24,25の径方向端部は、径方向に向かって移動する(広がる)。
【0038】
この場合、流体溜まりG1内のエアが次第に圧縮され、ピストン7をストロークの反対方向へ戻そうとする抗力が生じる。また、ゴムクッション24,25自身には弾性変形が生じる結果、同様にピストン7をストロークの反対方向へ戻そうとする弾性復帰力も生じる。そして、この抗力及び弾性復帰力によってピストン7の慣性エネルギーが吸収され、衝撃の緩衝が図られる。
【0039】
ピストン7がさらにロッドカバー5側のストロークエンドに近づくと、ゴムクッション24,25の径方向端部が、径方向に向かって更に移動し(広がり)、径方向端部から徐々に凹部24c,25cの底がプレート27に当接していく。これに伴い、流体溜まりG1内のエアもさらに圧縮される。これにより、ピストン7をストロークの反対方向へ戻そうとする抗力が大きくなり、衝撃が大きい場合であっても効果的に吸収することができる。
【0040】
図3(b)は、ピストン7が完全にストロークエンドに到達した状態を示す。このとき、ゴムクッション24,25の凹部24c,25cの底は、プレート27にほぼ当接することとなる。つまり、デッドスペース(隙間)がなくなり、流体溜まりG1の容積を限りなく「0」に近づけることができる。そして、理論的には、流体溜まりG1内のエアは外部に移動することができないため、抗力が無限大に近づく。従って、衝撃が大きい場合であっても効果的に吸収することができる。そして、この状態でピストン7が停止する。
【0041】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)ゴムクッション22〜25の径方向端部においてシールする環状の外周側シール部22f〜25fを有していると共に、その貫通孔22a〜25aには、ピストンロッド8との間をシールする環状の貫通孔側シール部22b〜25bを有している。このため、ゴムクッション22〜25が軸方向(ストローク方向)に沿って押圧された場合、ゴムクッション22〜25の端部と貫通孔22a〜25aの接触部分がシールされ、互いの凹部22c〜25c(ゴムクッション22〜25の内面)とピストンロッド8により流体溜まりG1が形成される。この状態で更に弾性変形することにより、流体溜まりG1内の流体(エア)が圧縮されるので、圧縮による抗力を得ることができる。従って、緩衝機構20,21により、衝撃が吸収されることとなり、衝撃音を抑えることができる。また、1つのゴムクッション22〜25の凹部22c〜25cをシールするよりも2倍の容積の流体溜まりG1を確保できるため、ゴムクッション22〜25が1つの場合よりも抗力を大きくすることができる。さらに、貫通孔22a〜25aとの間を貫通孔側シール部22b〜25bによりシールしているため、貫通孔22a〜25aの間から、エアが漏れることが無い。それと共にデッドスペース(隙間)がなくなり、流体溜まりG1の容積を限りなく「0」に近づけることができる。すなわち、抗力を限りなく大きくすることができる。また、緩衝機構20,21のみで流体溜まりG1を形成することができるため、シリンダ1側に特別な機構(例えば、緩衝機構20,21を取付けるための構成)を設ける必要がない。
【0042】
(2)外周側シール部22f〜25fは、プレート26,27に圧接可能となっている。このため、ゴムクッション22〜25を押しつけた際、対となるゴムクッション22〜25における径方向の長さが調整されていなくても、容易にシールすることができる。また、金属製のプレート26,27に、弾性変形するゴムクッション22〜25を押しつけることとなるため、ゴムクッション22〜25同士を押しつける場合と比較して、径方向端部において、外周側シール部22f〜25fをプレートにしっかり押しつけ、確実にシールすることができる。つまり、端部において、弾性変形してシールポイントが合わないことを少なくすることができ、より効果的にシールすることができる。このため、流体溜まりG1内の圧縮率を効率的に向上することができ、それに伴い抗力を大きくすることができる。
【0043】
(3)緩衝機構20,21は、ゴムクッション22〜25を一対設けている。このため、1つの圧力作用室10,11内にゴムクッションを1つのみ設けた構成の2倍のクッションストロークを確保することができる。従って、同じゴムクッション22〜25を用いて衝撃緩衝能を大幅に向上させることができる。
【0044】
(4)貫通孔22a〜25aにおいて内側(中心側)に突出する環状の貫通孔側シール部22b〜25bを設けた。このように、貫通孔側シール部22b〜25bで圧接させたことにより、貫通孔22a〜25aの内径をピストンロッド8の外径に合わせる場合と比較して、圧接させる際の圧力が強くなるため、より効果的にシールを行うことができる。
【0045】
(5)肉厚部22d〜25dを設け、肉厚部22d〜25dを押圧することにより、ゴムクッション22〜25の反対面全体を押圧する場合と比較して、大きな力で流体溜まりG1を効率的に圧縮することができる。このため、より大きな抗力を得ることができる。
【0046】
(6)ゴムクッション22〜25を押圧したとき、凹部22c〜25cの底がプレート26,27に当接可能に構成されている。このため、デッドスペース(隙間)がなくなり、流体溜まりG1の容積を限りなく「0」に近づけ、抗力を限りなく大きくすることができる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を説明する。尚、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0048】
図4に示すように、本実施形態の圧力作用室10には、ヘッドカバー3とピストン7の間における衝撃を緩衝する緩衝機構として、ゴムクッション23が設けられている。同様に、圧力作用室11には、ロッドカバー5とピストン7との間における衝撃を緩衝する緩衝機構として、ゴムクッション24が設けられている。その一方、第1実施形態とは異なり、プレート26,27及びゴムクッション23,24と対となるゴムクッション22,25は、省略されている(設けられていない)。
【0049】
図4に示すように、本実施形態の圧力作用室10のゴムクッション23は、ゴムクッション23の凹部23cがヘッドカバー3と対向するように配置されている。一方、圧力作用室11のゴムクッション24は、ゴムクッション24の凹部24cがロッドカバー5と対向するように配置されている。
【0050】
次に、
図5に従って、このように構成されたシリンダ1の動作及び緩衝機構の作用について説明する。これ以降、ロッドカバー5側の圧力作用室11内にある一対のゴムクッション24のみについて言及することにする。即ち、ロッドカバー5側とヘッドカバー3側とにおける緩衝機構の作用に基本的な差異はないからである。よって、ヘッドカバー3側についてはその詳細な説明を省略する。
【0051】
ヘッドカバー3側のストロークエンドにピストン7があるとき、ロッドカバー5側の圧力作用室11内にある一対のゴムクッション24は、ロッドカバー5に当接することなく離間している。この状態で第1のポート4にエアを供給すると、ヘッドカバー3側の圧力作用室10内にはエアが導入され、圧力作用室10内の圧力が上昇する。すると、ピストン7及びピストンロッド8がロッドカバー5側(即ち、
図4の左側)の方向にストロークを開始するとともに、ロッドカバー5側の圧力作用室11内のエアが第2のポート6を介して外部に排出される。
【0052】
図5(a)に示すように、ピストン7がある程度ロッドカバー5に接近すると、ロッドカバー5側の圧力作用室11内に設けられているゴムクッション24の径方向端部(外周)がロッドカバー5と当接する。このとき、ゴムクッション24の径方向端部には、環状の外周側シール部24fが設けられているため、当接箇所において、シールポイントが形成される。
【0053】
また、凹部24cが形成されている面とは反対面(すなわち、ロッドカバー5と対向する対向面とは反対面、
図4において左側の面)において、肉厚部24dは、ピストン7と当接する。このとき、肉厚部24dには、環状のシールポイントが形成される。本実施形態では、肉厚部24dの当接部が第3シール部となっている。
【0054】
圧力作用室11が第2のポート6と連通する空間と、それ以外の流体溜まりG2が形成される空間に区画される。すなわち、流体溜まりG2は、ゴムクッション24の反対面と、ピストン7のロッドカバー5と対向する面(
図4において左側の面)と、シリンダチューブ2の内周面と、ロッドカバー5により形成される。
【0055】
なお、外周側シール部24fにより、ロッドカバー5とゴムクッション24との間は、シールされるため、流体溜まりG2から、ロッドカバー5とゴムクッション24との間を介して、エアが移動することはない。また、肉厚部22dにより、ピストン7とゴムクッション24の間は、シールされるため、流体溜まりG2から、ピストン7とゴムクッション24の間を介して、エアが移動することはない。従って、流体溜まりG2から外部にエアが移動することはない。
【0056】
そして、ピストン7がロッドカバー5側ストロークエンドに近づくと、ゴムクッション24には弾性変形が生じる。具体的にいうと、ゴムクッション24はロッドカバー5側に撓むように弾性変形する。このとき、ゴムクッション24の径方向端部は、径方向に向かって移動する(広がる)。
【0057】
この場合、流体溜まりG2内のエアが次第に圧縮され、ピストン7をストロークの反対方向へ戻そうとする抗力が生じる。また、ゴムクッション24自身には弾性変形が生じる結果、同様にピストン7をストロークの反対方向へ戻そうとする弾性復帰力も生じる。そして、この抗力及び弾性復帰力によってピストン7の慣性エネルギーが吸収され、衝撃の緩衝が図られる。
【0058】
ピストン7がさらにロッドカバー5側ストロークエンドに近づくと、ゴムクッション24の径方向端部が、径方向に向かって更に移動し(広がり)、径方向端部から徐々に凹部24cの底がロッドカバー5に当接していく。これに伴い、流体溜まりG2内のエアもさらに圧縮される。これにより、ピストン7をストロークの反対方向へ戻そうとする抗力が大きくなり、衝撃が大きい場合であっても効果的に吸収することができる。
【0059】
図5(b)は、ピストン7が完全にストロークエンドに到達した状態を示す。このとき、ゴムクッション24の凹部24cの底は、ロッドカバー5にほぼ当接することとなる。
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
【0060】
(7)ゴムクッション23,24の反対面に環状の第3シール部として肉厚部23d、24dを備えている。このため、ゴムクッション22〜25を1つだけでも、ピストン7とロッドカバー5とシリンダチューブ2との間で流体溜まりG2を形成し、抗力を得ることができる。つまり、流用することができる。
【0061】
本発明は、第1実施形態又は第2実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての各実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。また、各実施形態をそれぞれ組み合わせてもよい。また、以下の変形例と各実施形態を互いに組み合わせても良い。
【0062】
・上記第1実施形態では、プレート26,27を無くしても良い。この場合、対となるゴムクッション22〜25の径方向端部を互いに当接させることにより、環状のシールポイントを形成し、凹部22c〜25cにより形成された流体溜まりG1からエアが流出しないようにすればよい。
【0063】
・上記実施形態において、ゴムクッション22〜25は、ゴム以外の合成樹脂を使用することによって、弾性を有する環状の緩衝部材を設けることとしても良い。
・上記実施形態において、2つの圧力作用室10,11の両方について緩衝機構20,21をそれぞれ設けたが、必要に応じて何れか一方のみに緩衝機構を設けても良い。
【0064】
・上記実施形態において、肉厚部22d〜25dを設けたが、設けなくても良い。例えば、厚さを均一にしても良い。
・上記実施形態において、シリンダチューブ2の形状は、円筒状でなくてもよく、筒状であれば、任意に変更しても良い。
【0065】
・上記第1実施形態において、緩衝機構20,21は、それぞれ1対のゴムクッション22〜25を備えていたが、いずれか一方の緩衝機構20,21を、1つのゴムクッション22〜25からなる緩衝機構としてもよい。
【0066】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記緩衝機構は、前記ピストンと、シリンダカバーにより押圧可能な位置に配置される請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【0067】
(ロ)前記緩衝機構は、前記ピストンと、シリンダカバーにより押圧可能な位置に配置されると共に、押圧された際、各緩衝部材は、ピストンロッドの径方向に各緩衝部材の径方向端部が広がるように弾性変形する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【0068】
(ハ)前記緩衝部材は、弾性変形した際、その対向面において凹部が径方向に広がり、平面となる請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
(ニ)前記緩衝部材は、弾性変形した際、その対向面において凹部が径方向に広がり、互いの界面において平面となり、接触可能に構成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【0069】
(ホ)前記緩衝部材は、弾性変形した際、互いの対向面において凹部の底部が互いに接触可能に構成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【0070】
(ヘ)前記緩衝部材の径方向の中心から端部までの長さは、その第1シール部がプレートに密接した際、プレートの径方向端部までの長さよりも長く形成されている請求項2に記載の流体圧シリンダ。