(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
別途記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表す数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0012】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内の全ての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)、及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「微小パターン」とは、それぞれが1mm以下の寸法(例えばトレース幅)を有する、点、トレース、塗り潰し図形、又はこれらの組み合わせの配列を指す。好ましい実施形態では、微小パターンは、それぞれのセルが少なくとも0.5ミクロン、典型的には、20ミクロン以下の幅を有する、複数のセルを画定する複数のトレースによって形成されるメッシュである。この微小パターン特徴の寸法は、微小パターンの選択によって変わり得る。いくつかの好ましい実施形態において、微小パターン特徴の寸法(例えば、トレース幅)は10、9、8、7、6、又は5マイクロメートル未満(例えば1〜3マイクロメートル)である。線形及び非線形トレースは、本開示に有用である。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「可視光線透明性」とは、非パターン化基材、又は少なくとも1つの偏光状態の可視光線に対して少なくとも60%の透過率の微小パターン化基材を含む、物品の透過レベルを指し、透過率%は、入射光(所望により偏光)の強度に対して正規化される。局部的に光を60透過率パーセント未満(例えば、0%)に遮蔽する、微細特徴(例えば、最小寸法、例えば0.5〜10マイクロメートル、0.5〜5マイクロメートル、又は1〜5マイクロメートルの幅の、点、正方形、又はトレース)を含む、入射光の少なくとも60%を透過する物品に関して、これは可視光透明の意味の範囲内であるが、このような場合、微細特徴を含み、微細特徴の最小寸法の1000倍の幅である、およそ等軸の面積に関して、平均透過率は60パーセントを超える。「可視光線透明性」に関連する用語「可視」は、用語「光」を修飾するものであり、基材又は微小パターン化物品が透明である光の波長範囲を特定するためのものである。
【0015】
本明細書で使用されるとき、導電体微小パターンの「開放面積分率」(又は開放面積若しくは開放面積の比率)、又は導電体微小パターンの領域は、導電体によって遮蔽されていない微小パターン面積又は領域面積の割合である。開放面積は、1から、導電体微小パターンによって遮蔽される面積率を引いたものに相当し、少数又は百分率として、便利かつ互換的に表現することができる。導電体微小パターンによって遮蔽される面積率は、導電体微小パターンの線の密度と互換的に使用される。本開示に有用である例示的な開放面積分率値は、50%超、75%超、80%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.25〜99.75%、99.8%、99.85%、99.9%、及び更には99.95のものである。いくつかの実施形態では、導電体微小パターンの区域の開放面積(例えば、可視光線透明導電性区域)は、80%〜99.5%であり、他の実施形態では90%〜99.5%であり、他の実施形態では、95%〜99%であり、他の実施形態では、96%〜99.5%であり、他の実施形態では、97%〜98%であり、他の実施形態では、最大99.95%である。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「トレース」は、2つの平面の交点によって、又は平面及び非平面の交点によって得られる幾何学的要素を指す。2つの平面の交点によって得られる幾何学的要素は、線形として(又は線形トレースとして)本明細書に記載される。平面及び非平面の交点によって得られる幾何学的要素は、非線形として(又は非線形トレースとして)本明細書に記載される。線形トレースは、ゼロ曲率を有し、あるいは別の言い方をすれば、それは、無限の曲率半径を有する。非線形トレースは、ゼロでない曲率を有し、あるいは別の言い方をすれば、それは、有限の曲率半径を有する。曲率又は曲率半径は、解析幾何学で既知であるように、トレースに沿った任意の点に対して決定され得る。また、法線は、解析幾何学で既知でもあるように、線形又は非線形トレースに位置する点で構成され得る。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「反射防止」は、材料と材料が露出した周囲媒質との間の境界面でフレネル光反射を低減し、かつ境界面を通じて光透過を高める、表面又はコーティングの挙動を指す。反射防止表面又はコーティングが存在しない場合、フレネル反射は、当該技術分野において既知であるように、材料の屈折率と周囲媒質との間の差によって影響される。
【0018】
微小パターン設計
いくつかの異なる形状又は設計は、本開示に有用である導電体微小パターンに使用され得る。メッシュ微小パターン設計の種類は、(A)反復のセルの形状を有するものと、(B)非反復のセル形状を有するものと、(C)反復配列に位置しない重心を有するセルを有するものと、(D)トレースがトレース配向の一様分布を有するセルを有するものと、を含む。これらの種類は相互に排他的でない。これらの種類のそれぞれの中に、トレースは、線形又は非線形(即ち、いくつかの有限の曲率半径を有する)であり得る。以下に記載されるメッシュ微小パターンは、トレースの幅又はセルの寸法に関して限定されない。いくつかの実施形態では、トレースは、0.1〜20マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では、0.5〜10マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では、0.5〜5マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では、0.5〜4マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では、0.5〜3マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では、0.5〜2マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では、1〜3マイクロメートル、いくつかの実施形態では、0.1〜0.5マイクロメートルの範囲内の幅を有する。いくつかの実施形態では、メッシュ導電体微小パターンの領域の開放面積(例えば、可視光線透明導電性領域)は、80%〜99.5%であり、他の実施形態では、90%〜99.5%であり、他の実施形態では、95%〜99%であり、他の実施形態では、96%〜99.5%であり、他の実施形態では、97%〜98%であり、他の実施形態では、最大99.95%である。
【0019】
(A)反復のセルを有する微小パターン
反復のセル形状の特性は、セルが反復する配列に位置することである。非反復する配列に位置するセルに関して、セルの重心が(セル当たり1つの配列位置のみがある制限下で)配列を画定する位置から離れて短い距離以下に位置することを意味するものである。セルの位置関係のこの記載は、メッシュのトレース又はトレース接合(頂点)ではなく、メッシュセルの開放面積(又は開度)に着目する。セルが反復する配列に位置する場合によっては、セルの重心は、点の配列(即ち、位置)に精密に位置する。配列に関して、単なる位置のみを含む単位セルの別個の並進対称を特徴とする2次元(即ち、微小パターンの平面において)での位置の配列を意味するものである。配列の並進対称は、配列が不変である微小パターンの平面内に最小並進を画定する1つ以上の基底ベクトルにおいて画定される。この文脈において、配列は、例えば、正方形の配列(若しくは正方形の格子)、矩形の配列(若しくは矩形の格子)、又は三角形の配列(若しくは三角形の格子)を含み得る。短い距離に関して、この用語が配列の精密な位置から変位されるべき反復する配列に位置するために本明細書で記載されるセルを備えるメッシュの重心の許容差に関するとき、変位の配向に構成され得る最短の配列基底ベクトルの長さをとることによって、かつその基底ベクトルと関連付けられる単位セル内の配列位置の数によってその長さを分けることによって、得られる値の50%未満の距離であることを意味するものである。セルが反復する配列に位置するいくつかの実施形態では、重心が配列の位置から変位される距離は、変位の配向に構成され得る最短の配列基底ベクトルの長さをとることによって、かつその基底ベクトルと関連付けられる単位セル内の配列位置の数によってその長さを分けることによって、得られる値の25%未満である。これらの種類の微小パターンの実例は、
図1、3、4、及び14に示される。
【0020】
次に図面を参照すると、
図1は、複数の線形トレース12によって形成される規則的な六角形の導電体微小パターン10の例示的な形状の平面図を示す。6つのトレース12a〜12fは、開放面積を有するセル14を形成する。図に示すように、それぞれのトレースは、実質的に等しい長さであり、6つの内角のそれぞれは、ほぼ120°である。メッシュセルの重心は、三角形格子(又は配列)に位置する。六角形のセルの反対側の縁部を画定する(平行な)トレースの中心線に対して六角形のセルの1つの縁部を画定するトレースの中心線からの距離は、例えば、200マイクロメートルである。
【0021】
図3は、非線形設計、即ち、複数の開放面積セル34を画定する複数の湾曲したトレース32によって形成される部分的に湾曲した六角形の導電体微小パターン30の例示的な形状の平面図を示す。一方法では、微小パターン設計は、
図1に示される規則的な六角形の微小パターン設計から開始して、ある程度の距離で、例えば、10マイクロメートルでそれぞれのトレースの中点を変位させて、かつトレースを曲げることを可能にして生成され得る。
図3aは、示される6つのトレース32a〜32fを有する拡大されたセル34’を示す。微小パターン30の1つの特性は、トレース32a及び32cに対する接線36a及び36cがそれぞれ、互いにほぼ平行でないことである。
図1のメッシュ微小パターンと同様に、
図3のメッシュセルの重心は、点の三角形の格子(即ち、点の配列)に位置する。
【0022】
図4は、複数のセル44を画定する複数の湾曲したトレース42によって形成される完全に湾曲した六角形の導電体微小パターン40である、別の非線形設計の例示の形状の平面図を示す。一方法では、微小パターン設計は、
図3に示されるトレースの曲率半径を減少させることによって、例えば、それぞれのトレースの中点を更に変異させることによって生成され得る。
図4aは、6つのトレース42a〜42fを有する拡大されたセル44’を示す。微小パターン40の1つの特性は、トレース42a及び42cに対する接線46a及び46cがそれぞれ、互いにほぼ平行であることである。
図1のメッシュ微小パターンと同様に、
図4のメッシュセルの重心は、点の三角形の格子(即ち、点の配列)に位置する。
【0023】
図14は、正方形から開始して、ある程度の距離で正方形のそれぞれの面の中点を変位させて、かつトレースを曲げることを可能にして生成され得る、別の例示的な非線形微小パターン設計240を示す。開放面積セル244を画定する4つのトレース242a〜242dを示す。
図14のメッシュセルの重心は、正方形の格子(即ち、点の配列)に位置する。
【0024】
(B)非反復のセルを有する微小パターン
非反復のセル形状を有するメッシュ微小パターンに関して、セルは、反復する配列(例えば、矩形の配列、正方形の配列、三角形の配列)に位置してよく、あるいは、位置しなくてもよい。このセル形状において、セルは、同一の寸法かつ同一の形状ではない。この種類のセル形状の実例を
図2に示す。
【0025】
図2は、複数のセル24を画定する複数の線形トレース22によって形成される擬似ランダム六角形の導電体微小パターン20の例示的な形状の平面図を示す。一方法では、微小パターン設計は、
図1に示される規則的な六角形のパターン設計から開始することによって、ランダム化方向に、かつ最初の六角形のセルの辺長未満のランダム化距離で頂点を変位させることによって、並びに線形トレースを維持することによって、生成され得る。最初の六角形のセルの辺長未満の距離で(例えば、辺長の半分未満の距離で)頂点を変位させることによって生成されるとき、微小パターン20の1つの特性は、セルの重心が
図1のメッシュのセルの最初の重心位置によって画定される配列の点から短い距離内に位置することである。より具体的には、
図2のメッシュのセルの重心は、
図1の最初のメッシュの重心によって画定される配列位置間の最小離隔距離の50%(即ち、六角形のメッシュセルの重心によって画定される三角形の格子に対して変位の方向に基底ベクトルの長さの50%)に等しい距離内に位置する。この結果は、
図1のそれぞれの最初のメッシュセル開度の重心が頂点を少し移動する手順によって実質的に変位されなかったからである。この場合、セルは、本明細書では配列に位置すると呼ばれる。本明細書で後に開示されるいくつかの実施形態では、重心の位置(頂点の位置だけでなく)はまた、ランダム化されるように特定される。
【0026】
(C)配列にないセルを有する微小パターン
上記で定義したように、セルの重心が配列を画定する位置から短い距離以下で位置するように、メッシュの微小パターンのセルが2つの寸法で配置される場合、メッシュセルは、本明細書では反復する配列に(又は配列に)位置すると見なされる。セルが反復する配列に位置する場合によっては、セルの重心は、点の配列に精密に位置する。反復する配列にない(即ち、反復する配列に位置しない)セルを有する微小パターンの特性は、この用語が本明細書で使用されるとき、(メッシュセル当たり1つの配列位置のみがある更なる制限下で)メッシュの重心の全てが変位の配向に構成され得る最短の配列基底ベクトルの長さをとることによって、かつその基底ベクトルと関連付けられる単位セル内の配列位置の数によって分けることによって得られる値の50%未満の距離内に位置するように、4つ又はそれより少ない位置を含む単位セルを使用して位置の配列が構成され得ないようにメッシュセルの重心(即ち、セル開度の重心)が配置される。このメッシュ微小パターンに関して、セルは概して、同一の寸法かつ形状ではない。ここまで上述した3つの微小パターン(A、B、及びC)のうち、C型の微小パターンは、より高い不規則度を有する。この種類のセル形状の実例を
図5に示す。
【0027】
図5は、複数の開放面積セル54を画定する複数のトレース52によって形成される擬似ランダム湾曲微小パターン50である、更に別の非線形設計の一部分の平面図を示す。この形状は、それぞれが2マイクロメートルの例示的な幅を有する、湾曲した導電性トレースによって画定されるセルを含む。擬似ランダム湾曲設計を有する導電体微小パターンのセルは、例えば、4つ〜8つの縁部からセルを画定する様々な数の縁部又はトレースを有し得る。セルの寸法は、10,000平方マイクロメートルの面積〜70,000平方マイクロメートルの面積まで様々である。参考として、
図1の規則的な六角形の微小パターンの面積は、35,000平方マイクロメートルである。例えば、それぞれのセルの重心によって画定されるように、セルの位置は、規則的に離間配置された配列に位置しない。
【0028】
D.トレース配向の一様分布を有する微小パターン
この種類の微小パターンの特性は、セル形状に関して、又はセルの重心の位置に関して限定されないことである。この種類の微小パターン形状をより良く説明するために、トレース配向の角度分布の概念を使用する。
【0029】
トレース配向の角度分布
それぞれのトレース設計は、本明細書で更に説明するように、トレース配向の角度分布を特徴とし得る。本明細書に記載される手順によって、かつ1センチメートル×1センチメートルの面積にわたって測定可能であるとき、本明細書の擬似ランダム湾曲設計のトレース配向の角度分布は、実質的に一様である。例えば、いくつかの実施形態では、分布の一様性に関して、その基準配向のプラスマイナス10度内に存在する微小パターン内のトレースセグメントの法線がない、微小パターンの平面内に基準配向が確立され得ない。場合によっては、その基準配向のプラスマイナス5度内に存在する微小パターン内にトレースセグメントの法線がない、微小パターンの平面内に基準配向が確立され得ない。場合によっては、その基準配向のプラスマイナス2度内に存在する微小パターン内にトレースセグメントの法線がない、微小パターンの平面内に基準配向が確立され得ない。更に、分布の一様性に関して、例えば、1センチメートル×1センチメートルの面積にわたって、2つの範囲内のトレースセグメントの法線の集積化密度が2つの集積化密度値のうちのより小さいものの50%超によって異なる、微小パターンの平面内の配向の20°の範囲が2つない。場合によっては、例えば、1センチメートル×1センチメートルの面積にわたって、2つの範囲内のトレースセグメントの法線の集積化密度が2つの集積化密度値のうちのより小さいものの25%超によって異なる、微小パターンの平面内の配向の20°の範囲が2つない。場合によっては、例えば、1センチメートル×1センチメートルの面積にわたって、2つの範囲内のトレースセグメントの法線の集積化密度が2つの集積化密度値のうちのより小さいものの10%超によって異なる、微小パターンの平面内の配向の20°の範囲が2つない。場合によっては、例えば、1センチメートル×1センチメートルの面積にわたって、2つの範囲内のトレースセグメントの法線の集積化密度が2つの集積化密度値のうちのより小さいものの10%超によって異なる、微小パターンの平面内の配向の10°の範囲が2つない。場合によっては、例えば、1センチメートル×1センチメートルの面積にわたって、2つの範囲内のトレースセグメントの法線の集積化密度が2つの集積化密度値のうちのより小さいものの10%超によって異なる、微小パターンの平面内の配向の2つの5°の範囲がない。
【0030】
本開示の微小パターンは、特に情報の表示(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのモニタ、読み出し装置、自動車用ディスプレイ、又は小売ディスプレイ)と組み合わせられるとき、他の微小パターンを観察された多数の潜在的に望ましくない視覚特徴の同時最小化を提供する。これらの潜在的に望ましくない視覚特徴としては、既に説明したように、星形、虹、及び発光が挙げられる。微小パターン設計によって軽減される潜在的に望ましくない特徴としては、ディスプレイの画素パターンのモアレ干渉も挙げられる。微小パターン設計によって軽減される潜在的に望ましくない特徴としては、ディスプレイ(情報をわかりにくくするが、必ずしもモアレパターンにつながらない)の個別画素の見易さの相当な閉鎖(例えば、25%、50%、又は更には75%)も挙げられる。潜在的に望ましくない視覚特徴のうちの1つ以上の軽減を最適化するためにディスプレイに関して、傾けられる(例えば、回転される、又はバイアスされる)微小パターンの本開示の範囲内である。微小パターンの傾斜は、画素化したディスプレイのモアレ干渉を最小化するのに特に有用であり得る。場合によっては、位置の正方形の配列に分布される4つの面を持つセル形状(例えば、完全に湾曲した正方形のセル形状)は、傾斜によってモアレ干渉の最小化に便利である。
【0031】
本開示に有用であるトレースの母集団の配向は、微小パターン内の異なる配向のトレースセグメントの相対濃度、存在、又は存在度を表す分布として数量化され得る。この分布は、線形トレース又は非線形トレースを備える微小パターン内のトレースの母集団の配向を表すために使用され得る。また、それは、反復の形状(例えば、正方形又は六角形の微小パターンの場合のように)を備える微小パターン内の、又は非反復の形状(例えば、線形(
図2のように)若しくは非線形(
図5のように)のトレースを備える擬似ランダム微小パターン設計の場合のように)を備える微小パターン内のトレースの母集団の配向を表すために使用され得る。この記述子は、トレースの法線の配向の関数として微小パターンの単位面積当たりの集積化微小パターントレース長である。言い換えれば、この記述子は、導電体微小パターンを形成するトレースセグメントの配向の周波数分布(又はトレースセグメントの法線の配向の分布)として表され得る。「集積化」とは、特定の配向を有する画定された面積内のトレースに対するトレース幅全体の総和を意味するものである。
【0032】
非線形トレースを有する導電体微小パターン内の配向に対する上述した周波数特性を収集するために、以下の手順が使用され得る。この手順は、例えば、11インチ(27.9cm)×17インチ(43.2cm)の紙に微小パターン設計の拡大された印刷のための一連の手動線引き及び測定工程を含む。特性化手順は、(a)紙に微小パターンの拡大されたレンダリングを印刷する工程と、(b)微小パターンのトレースをほぼ等しい経路長の少なくとも200セグメントに分割する工程と、(c)それぞれのセグメントの法線を手動で線引きする工程と、(d)0°方向を確立することによって基準の配向構造を確立する工程と、(e)(例えば、分度器を使用して)0°方向に対してあらゆる法線の配向を測定する工程とを含む。トレース、ひいてはトレースの法線は、以下の理由で角度範囲の180°を使用して特定され得る。垂直真っ直ぐに向かうトレースは、上向き又は下向きに配向されるように任意に表され得る。トレース又は上向きに配向されるその法線は、トレース又は下向きに配向されるその法線と異ならない。したがって、下向きに配向されるトレースと多少なりとも異なる(即ち、上向きトレースが下向きトレースと異なることを示唆する意味がない)、上向きに配向されるトレースを生成することができない。したがって、可能なトレースセグメント配向の全範囲は、角度範囲の180°のみを必要とする。
【0033】
図6は、トレース配向の法線の角度がトレースセグメントP
1で測定される場合、
図4の実施形態の1つの完全なセルの線図を示す。簡潔さのために、200セグメントのうちの1つのみを示す。図に示すようにトレースセグメントP
1の法線Nを描く。トレースセグメントP
1及び法線Nの両方を交差して接線Tを描く。破線矢印で示すように基準ゼロ度線を描く。角度シータ(θ)が次に測定され、基準線と法線との間の角度を決定することができる。この測定は次に、6つのトレースのそれぞれに沿ってP
1と類似するセグメントに対して複数回繰り返される。任意だが十分に多数のセグメント(この場合、統計的に重要な測定のための200セグメント)がセルに対して描かれ得る。ほぼ等しい数のセグメントが6つのトレースのそれぞれに対して描かれる。
【0034】
トレースセグメントの法線の配向のこのように測定された分布は、配向測定のヒストグラムを示すことによって表され得る。トレースセグメントの法線の配向の分布がトレースセグメントそれ自体の配向の分布に対して直接相関をもたらすことが注目されるべきである。本明細書の微小パターンに関して、この手順は、微小パターンのうちの少なくとも1つの完全なセルを構成するトレースのために行われる。2次元微小パターンを生成するために2つの方向に複製される単一のセル形状及び寸法を有する微小パターンに関して、単一セルを構成するトレースの特性化は、より大きな面積にわたって(例えば10、100、又は更には1000セルを占める面積にわたって)2次元微小パターンのトレース配向の分布を決定するのに適切である。例えば、直径200マイクロメートルである単一の規則的な六角形のセルを構成するトレースの特性化は、1ミリメートル×1ミリメートル、1センチメートル×1センチメートル、又は更には1メートル×1メートルであるこのようなセルの規則的な六角形の微小パターンのトレース配向の分布を決定するのに適切である。複数のセル形状又は寸法を有する微小パターンに関して、有用な精度(例えば、1ミリメートル×1ミリメートル、1センチメートル×1センチメートル、又は更には1メートル×1メートルの実際の導電体微小パターンの面積にわたってトレース配向の実際の分布と比較したとき、トレース配向のこのように測定された分布が少なくとも0.8、少なくとも0.9、少なくとも0.95、又は更には少なくとも0.99のR
2相関係数を示す場合)を有する微小パターン全体のトレース配向の分布を決定するために十分な数のセルが特徴付けられるべきである。
【0035】
トレースセグメントの法線の配向(角度θで表される)が測定される時点で、それらは、2つのミクロンのビンに入れられ、それによって0〜180度の90のビンを生成することができる。それぞれのビンは、ビンの2度の角度範囲内に配向を生成した測定の数を表す整数を含む。このビニング手順は、配向の別個の分布をもたらす。最後に、周波数値の標準偏差(2度のビン当たりの測定された周波数の標準偏差)が計算され得る。トレースセグメントの法線のいくつかの分布、ひいては一様と考慮されるように本明細書に記載されるトレース配向の分布に関して、このように計算された標準偏差は、4未満である。本明細書では一様とされるトレース配向のいくつかの分布に関して、このように計算された標準偏差は、3未満である。本明細書では一様とされるトレース配向のいくつかの分布に関して、このように計算された標準偏差は、2未満である。本明細書では一様であるトレース配向のいくつかの分布に関して、このように計算された標準偏差は、1未満である。
【0036】
図7は、規則的な六角形である、
図1の微小パターンの複数のトレースセグメントに対する角度θのヒストグラムを示す。3つの明白な頂点は、それぞれの角度が他の頂点から離れて約60度である、3つの角度で生じる。3つの頂点が約60°離れている限り、40°、100°、及び160°等の他の角度で生じ得る点において、ヒストグラムのx軸に示される角度の絶対値が任意であることが注目されるべきである。
図1を参照すると、法線に対する配向角度が、トレース12aが12dと、12bが12eと、及び12cが12fと同一であるため、この3つの頂点の結果となる。この微小パターンに関して、2度のビン当たりの測定された周波数の標準偏差は、高度な非一様の直接表示である、11.6として測定された。
【0037】
図8、9、及び10はそれぞれ、
図2の擬似ランダム六角形の微小パターン、
図3の部分的に湾曲した微小パターン、及び
図4の完全に湾曲した微小パターンに対する角度θのヒストグラムを示す。これらのヒストグラムのそれぞれは、
図10のヒストグラムが4つの微小パターンのうちの最も一様な分布を有して、
図1の微小パターンのヒストグラムと比較すると角度θのより広い分布を有する。更に、これらのヒストグラムの標準偏差は、1.6(
図8)、2.6(
図9)、及び1.0(
図10)である。
【0038】
更に非線形トレースを有する導電体微小パターン内のトレースセグメント配向の分布について、一様分布を有し、更に分布に表されないいくつかの配向又は小範囲の配向を有することが本明細書に記載される微小パターンの範囲内である。即ち、所定の面積の微小パターン内の可能な配向の全180°にわたってトレース又はトレースセグメント配向の完全に一様な分布を有する微小パターンは、単一トレース(又はトレースセグメント)の除去によって、又は例えば、5°を超える範囲の角度、若しくは例えば、2°を超える範囲の角度などの狭い範囲の角度内の全てのトレースの除去によって、「一様分布」を有することが本明細書に記載される微小パターンの範囲から除去されない。
【0039】
部分トレースセグメント配向の周波数を測定(約200測定値)及びビニングする(2°のビン)ための上述した手順を参照して、擬似ランダム湾曲微小パターン(
図5)は、5未満、3未満、2未満、1、又は更には1未満の2°のビン当たりの測定された周波数の標準偏差を有し得る。
【0040】
トレースセグメント配向の分布の一様性に加えて、本開示の導電体微小パターンの形状は、トレースの曲率半径に関して記載され得る。場合によっては、微小パターンを含むトレースの曲率半径は、1センチメートル未満である。場合によっては、メッシュパターンを含むトレースのほぼ全ての曲率半径は、1センチメートル未満である。場合によっては、微小パターンを含むトレースの曲率半径は、1ミリメートル未満である。場合によっては、微小パターンを含むトレースのほぼ全ての曲率半径は、1ミリメートル未満である。場合によっては、メッシュパターンを含むトレースの曲率半径は、50ミクロン〜1ミリメートルである。場合によっては、微小パターンを含むトレースのほぼ全ての曲率半径は、50ミクロン〜1ミリメートルである。場合によっては、微小パターンを含むトレースの曲率半径は、75ミクロン〜750ミクロンである。場合によっては、微小パターンを含むトレースのほぼ全ての曲率半径は、75ミクロン〜750ミクロンである。場合によっては、メッシュパターンを含むトレースの曲率半径は、100ミクロン〜500ミクロンである。場合によっては、微小パターンを含むトレースのほぼ全ての曲率半径は、100ミクロン〜500ミクロンである。場合によっては、微小パターンを含むトレースの曲率半径は、150ミクロン〜400ミクロンである。場合によっては、微小パターンを含むトレースのほぼ全ての曲率半径は、150ミクロン〜400ミクロンである。
【0041】
3層材料を含む導電体
3層(即ち、多層)材料導電体は、「金属−誘電体−金属」の順にコーティングされる3つの真空蒸着した薄いフィルムで構成される。2つの金属層は、それらの光学特性の点で異なる。第1の金属層は、高反射かつ高吸収性があるために、光学的に不透明で、非常に低い(例えば、本質的にゼロパーセント)光透過を可能にするように十分に厚い。第2の層は、誘電体層であり、可視波長で透明である。第3の層は、半透明金属層である。この3層は、2つの配向又は配列(即ち、第1の金属が最初に蒸着され、又は第2の金属が最初に蒸着されて)のいずれかで基材の表面に蒸着され得る。金属及び透明材料の厚さ及び選択に関して適切に設計される場合、薄いフィルムスタックは、減少した反射を示すために半透明の金属層を有する面から観察される。最上位の半透明金属層及び最下位の不透明金属層から反射される光の相互作用は、スペクトル反射又は観察された色を決定する。非常に低い又は暗い反射率をもたらすために、これらの2つの反射の位相差は、可視波長の範囲にわたって、それが等しく、また、反射率が達成可能な限り低いように管理されるべきである。これは、それぞれの層に対して適切な材料及び層厚さを選択することによってなされる。不透明な金属層は概して、銀又はアルミニウムであるが、低吸収性を有する別の高反射金属であってよい。誘電体層は、アクリレート材料で構成されるポリマー層であるが、二酸化ケイ素等の明白に透明な無機材料であってもよく、半透明金属層は概して、クロムであるが、単一性に近い光学定数(n、k)率を有する(チタン等の)別の金属であってもよい。2つの金属層に関して、電気的に接続されることが所望の場合、それらは、透明層にわたって伝導経路を有しなければならない。これは、透明層内の欠陥位置で層均一性を局部的に妨げる層不規則及び障害の結果を生じ得る。
【0042】
この3層材料は、例えば、フィルムに又は別個の基材をコーティングする搬送ラインでのロール対ロールコーティング等の順次的かつ連続的な様々な方法で適切な蒸着発生源を含むコーティングチャンバで調製され得る。別の手法は、別個の基材(又は複数の基材)がチャンバに定置され、コーティングされ、次いで除去され、次のバッチと置換される、バッチコーティング概念を用いる。全3層は、1つのチャンバ内のバッチに順次コーティングされてよく、あるいはそれぞれのバッチは、チャンバでコーティングされ、次いで次の層の次のチャンバに移動される、1つの層を有してよい。いずれかの手法において、真空コーティングプロセスは、必要とした非常に薄いかつ非常に精密な厚さレベルで特定の材料をコーティングするのに最適である。金属及び無機誘電体のコーティングに関して、物理気相蒸着が最も好まれ、電子ビーム蒸着又はスパッタリングが最も広く利用されている。誘電体(透明)層が有機的である場合、有機気相蒸着、プラズマ重合、又は液体コーティング等の方法が使用され得る。
【0043】
不透明体、高反射層に好適な金属としては、銀、パラジウム、白金、アルミニウム、銅、モリブデン、ニッケル、スズ、タングステン、合金、及びこれらの組み合わせが挙げられる。半反射金属層に好適な金属としては、チタン、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、金、モリブデン、白金、ロジウム、銀、タングステン、コバルト、鉄、ゲルマニウム、ハフニウム、パラジウム、レニウム、バナジウム、シリコン、セレン、タンタル、イットリウム、ジルコニウム、並びにこれらの組み合わせ及び合金が挙げられる。透明な材料に好適な材料としては、アクリルポリマー、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2、HfO
2、Sc
2O
3、La
2O
3、ThO
2、Y
2O
3、CeO
2、MgO、Ta
2O
5、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、半反射金属は、クロム又はチタンを含み、不透明体かつ反射金属は、銀又はアルミニウムを含み、透明材料は、アクリルポリマー、SiO
2、又はTiO
2を含む。
【0044】
半反射金属の厚さは、1〜50ナノメートル、場合によっては、2〜20ナノメートルであってよい。透明材料の厚さは、20〜100ナノメートル、場合によっては、40〜80ナノメートルであってよい。不透明な高反射金属の厚さは、50ナノメートル〜10マイクロメートル、場合によっては、75ナノメートル〜1マイクロメートル、更に他の場合、100ナノメートル〜250ナノメートルであってよい。
【0045】
導電体微小パターンを製造する方法
開示した設計を有する導電体微小パターンは、任意の好適な方法を使用して調製され得る。導電体微小パターンを調製するための方法の例としては、減法又は加法が挙げられる。例示的な減法としては、基材(例えば、可視光線透明基材)に配設される金属コーティング上のパターン化マスクの配置、続いて(金属がマスクによって覆われない金属コーティングの領域から除去され、金属がマスクによって覆われる金属コーティングの領域にとどまる)選択的エッチングが挙げられる。好適なマスクとしては、(当該技術分野において既知であるようにフォトリソグラフィーによってパターン化された)フォトレジスト、印刷したポリマー、又は(例えば、マイクロコンタクトプリンティングを使用して印刷される)印刷した自己組織化単分子層が挙げられる。他の例示的な減法としては、基材(例えば、可視光線透明基材)上のパターン化リフトオフマスクの初期配置、金属導電体(例えば、薄いフィルム金属)を有するマスク化及び非マスク化領域のブランケットコーティング、並びにリフトオフマスク及びその上に配設される任意の金属の洗浄が挙げられる。例示的な加法プロセスとしては、所望の微小パターン形状の形態での基材(例えば、可視光線透明基材)上の無電解蒸着触媒の印刷、続いてパターン化された無電解金属蒸着(例えば銅又はニッケル)が挙げられる。
【0046】
導電体微小パターンを生成するための好ましい方法としては、マイクロコンタクトプリンティングが挙げられる。導電体パターンの反射率を減少させる(カーボンブラック充填材料とコーティングすること又は硫化物等の吸収する反応生成物を形成するために金属を部分的に反応させること)ための他の手段と比較すると、本明細書で記載される手段は、マイクロコンタクトプリンティング及びエッチングに基づくパターニング手法との組み合わせに特に適合していると認められ、したがって特定の微小パターン設計パラメータ(例えば、0.5〜10マイクロメートル、0.5〜5マイクロメートル、又は1〜3マイクロメートルのトレース幅)及び導電体厚さ(例えば、0.001〜2マイクロメートル、0.05〜1マイクロメートル、0.075〜0.5マイクロメートル、又は0.1〜0.25マイクロメートルの厚さを有する第1の金属層又は第2の金属層)が製造されることを可能にした。ミクロン規模特徴上のカーボンブラック充填材料の配置は、非実用的である。吸収性反応生成物に対する厚さサブミクロンの金属(例えば、0.075〜0.5マイクロメートル、又は0.1〜0.25マイクロメートル)の部分的化学変換は、この層の電気伝導度を実質的に減少もさせずに反射率を実質的に減少させるのに有効ではない。
【0047】
空気にさらすと反射を防止するナノ構造化表面を備える基材(例えば、可視光線透明性)の場合、空気にさらすとナノ構造化し、かつ反射を防止する表面を含む基材が提供され、金属導電体が表面上に(例えば、スパッタリングによって又は蒸着によって)蒸着され、エラストマースタンプを使用して自己組織化単分子層(SAM)が一定のパターンで印刷され、最後に、金属は、SAMを有さない蒸着した金属領域からエッチングされ、かつSAMを含む蒸着した金属領域からエッチングされない。
【0048】
3層材料導電体の場合、主表面を有する基材(例えば、可視光線透明性)が提供され、半反射金属が基材表面(場合によっては、1〜20ナノメートルの厚さを有するチタン)上に蒸着され、透明材料が半反射金属(場合によっては、50〜100ナノメートルを有するSiO
2)上に蒸着され、不透明反射金属が透明材料(場合によっては、Ti金属導電体が最初に5オングストローム〜5ナノメートルの厚さを有する接着促進層、続いて50ナノメートル〜250ナノメートルの厚さを有する銀として蒸着される)上に蒸着され、エラストマースタンプを使用して自己組織化単分子層(SAM)が一定のパターンで印刷され、最後に、銀がSAMを有さない蒸着した金属領域からエッチングされ、かつSAMを含む蒸着した金属領域からエッチングされず、エッチングの第2の段階において、不透明な反射金属の下で後続の層の材料がSAMを有しない蒸着した金属領域からエッチングされ、かつSAMを含む蒸着した金属領域からエッチングされない。
【0049】
導電体微小パターンを使用して物品を製造する方法
基材の表面上に配設される導電体微小パターンは、いくつかの異なる物品を製造するのに有用である。透明な導電性パターンを備えるコンポーネンツとしては、タッチディスプレイのための触覚センサパネルが挙げられる。例えば、相互キャパシタンスモード検出を利用し、かつマルチタッチ解像能力を含み得る、電子機器との組み合わせに好適であるいくつかの触覚センサなどのタッチディスプレイのためのいくつかの触覚センサパネルは、重ねられる2つ以上の導電体パターンを含む。重ねられる2つ以上の導電体パターンは、それぞれの基材が本開示による導電体微小パターンの1つの主表面上に配設した、透明な接着剤と共に2つの基材を積層することによって生成され得る。このような積層した物品は、基材が透明であるとき、かつ導電体微小パターンが高い開放面積分率を有するとき、可視光線透明性であり得る。積層した構成体を形成するための好適な基材の例としては、上述した高分子フィルム基材が挙げられる。
【0050】
積層した構成体を形成するための好適な接着材料の例は、少なくとも約90%又は更にはそれより高い光透過率、及び約5%未満又は更にはそれより低いヘイズ値を呈する光学的に透明な接着剤である。光透過及びヘイズは、(BYK Gardner,Columbia,MDからの)Model 9970 BYK Gardner TCS Plus Spectrophotometerを使用して(DuPont Company,Wilmington,DEからの)25マイクロメートルのMelinex(登録商標)ポリエステルフィルム454と75×50ミリメートルの単純な顕微鏡スライド(Dow Corning,Midland,MIからのガラススライド)との間にそれを配設することによって測定され得る。好適な光学的に透明な接着剤は、帯電防止特性を有してよく、金属系導電体と適合し、光学的感圧接着剤に関するPCT国際公開第WO 2008/128073号、延伸剥離式光学的に透明な感圧接着剤に関する米国特許出願公開第US 2009−030084 A1号、光学的透過接着剤を有する帯電防止光学的構成体に関する同第US 2010−0028564 A1号、光学的に透明な延伸剥離接着テープに関するPCT国際公開第WO 2009/114683号、腐食検知層と適合する接着剤に関する同第WO 2010/019528号、及び延伸剥離接着テープに関する同第WO 2010/078346号に記載されるものを含む例示的な光学的接着剤に記載される接着剤を延伸させることによってガラス基材から剥離させることができてよい。一実施形態では、光学的に透明な接着剤は、約5μm以下の厚さを有する。
【0051】
基材上に配設される導電体微小パターンを有する基材、あるいは2つ以上の基材上に配設される導電体微小パターンを有する2つ以上の基材を含む積層体は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電気泳動ディスプレイ(EP)、又はエレクトロウェッティングディスプレイなどディスプレイに更にラミネートされ得る。このような基材又は積層体は、参照した接着剤材料を使用してディスプレイにラミネートされ得る。基材上に配設される導電体微小パターンを有する基材、あるいは2つ以上の基材上に配設される導電体微小パターンを有する2つ以上の基材を含む積層体は、例えば、厚い(例えば、1ミリメートル)ポリマーシート又はガラスシート等の剛性の支持体などの別の材料に更にラミネートされ得る。剛性の支持体の例としては、携帯電話又はスマートフォン等の移動可能なハンドヘルド型装置のレンズが挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように導電体微小パターン例えば、可撓性又は剛性であり得る平坦な基材のそれぞれの主表面上などの基材の複数の面に配設される。配向に名目上平行であり、かつ微小パターンに垂直な方向に離間配置される2つの導電体微小パターンを必要とする用途に関して、例えばポリマーフィルムのそれぞれの面上などの同一の平坦な基材のそれぞれの面に配設されることが2つの微小パターンにとって有利であり得る。
【0053】
図11は、エッチングされ、パターン化された3層(即ち、多層)導電体を含む面である基材の第1の面上の複数の第1の不連続領域704間を交互にする複数の第1の連続領域702を概略的に(正確な縮尺ではない)有する例示的な第1のパターン化基材700を示す。3層の導電体は、基材に近接してその半透明金属層、続いてその透明な誘電体層、続いてその高反射の光学的に不透明な金属層と配向され得る。第1のパターン化基材は、実際は、11の第1の連続領域702を有する。第1の連続領域702は、約2.2ミリメートルの幅、約4.95ミリメートルのピッチ、及び約95ミリメートルの長さを有する。基材は、実質的に裸のPETフィルムであった、対向する第2の面を有する。第1の領域702のそれぞれは、それぞれの第1の連続領域702に電気的に接触するために1つの端部で配設される対応する幅40ミクロンの導電性トレース706を有する。第1のパターン化基材のメッシュ設計は、上述したように(
図11a及び11bに示した六角形のメッシュ設計と対照的に)、メッシュを構成する導電性トレースの湾曲を含む、擬似ランダムの形状かつ寸法であり得る。
【0054】
透明なセンサ要素及び第2のパターン化基材の形成
例示的な第2のパターン化基材は、パターン化3層(即ち、多層)導電体を有する第2のフィルムを製造するために第2の可視光線基材を使用して第1のパターン化基材として製造され得る。3層の導電体は、基材に近接してその半透明金属層、続いてその透明な誘電体層、続いてその高反射の光学的に不透明な金属層と配向され得る。第2のスタンプは、第2の不連続メッシュパターン領域の間に介在される第2の連続メッシュパターン領域を有して製造され得る。
【0055】
図12は、エッチングされ、パターン化された銀金属配線技術を含む面である第2の基材の第1の面上の複数の第2の不連続領域724間を交互にする複数の第2の連続領域722を概略的に(正確な縮尺ではない)有する第2のパターン化基材720を示す。第2のパターン化基材は、実際は、19の第1の連続領域722を有する。第2の連続領域722は、約4.48ミリメートルの幅、約4.93ミリメートルのピッチ、及び約55ミリメートルの長さを有する。第2の連続領域722のそれぞれは、それぞれの第2の連続領域722に電気的に接触するために1つの端部で配設される対応する幅40ミクロンの導電性トレース726を有する。第1のパターン化基材のメッシュ設計は、上述したように(
図12a及び12bに示した六角形のメッシュ設計と対照的に)、メッシュを構成する導電性トレースの湾曲を含む、擬似ランダムの形状かつ寸法であり得る。
【0056】
投影型静電容量タッチスクリーンセンサ要素の形成
2層投影型静電容量タッチスクリーン透明センサ要素を製造するために、上記で作製された第1及び第2のパターン化された基材が、以下のように使用され得る。第1及び第2のパターン化された基材が、ミネソタ州セントポールの3M CompanyからのOptically Clear Laminating Adhesive 8271を使用して互いに接着されて、多層構成体を生成した。手持ち式ローラーを使用して、接着剤を含まない第1及び第2の導電性トレース領域706及び726の領域を有する2つのパターン化基材をラミネートした。第1の基材の第1の面がフロートガラスに近接するように、Optically Clear Laminating Adhesive 8146−3を使用して、多層構成体を厚さ0.7mmのフロートガラスにラミネートした。接着剤を含まない第1及び第2の導電性トレース領域706及び726により、第1及び第2のパターン化基材700及び720への電気的接続をなすことができた。
【0057】
図13は、第1及び第2のパターン化基材が重ねられた(第1及び第2のパターン化基材を積層することから生じるように)多層タッチスクリーンセンサ要素740の平面図を概略的に(正確な縮尺ではない)示す。領域730は、第1及び第2の連続領域の重なりを表す。領域732は、第1の連続領域と第2の不連続領域との重なりを表す。領域734は、第2の連続領域と第1の不連続領域との重なりを表す。また、領域736は、第1と第2の不連続領域間の重なり部分表す。これらの重複領域が複数存在したが、例証を容易とするために、それぞれ1つの領域のみが図に示されている。
【0058】
触覚検出システムの追加コンポーネンツ
透明なセンサ要素の相互キャパシタンス測定を行うために使用され得る集積回路は、USB変換器及びマイクロコントローラTMA350(Cypress Semiconductor,San Jose,Californiaから市販)に対するI2Cを含む、修正参照Rev
*Dを有するCY3290−TMA300 TrueTouch(商標)Dev Kitである。TMA350は、当該技術分野において既知であるように、透明なセンサ要素のために構成され得る。この構成は、設計に応じてタッチスクリーンからタッチスクリーンにまで変わり得る。この場合、システムは、19の異なるバーを駆動し、11の異なるバーを測定することができる。TMA350の構成は、変換するチャネル数の選択と、正確に又は迅速に測定をする方法と、ノイズ及びタッチしきい値と、適用されるべき任意のデジタルフィルタリングと、CY3290−TMA300に特定の様々な他の設定とが含まれ得る。上記からの測定が実行中であったが、マイクロコントローラはまた、I2CをTMA350からコンピュータインターフェースのUSBに変換するTrueTouch(商標)Bridgeを介してモニタを有するコンピュータにデータを送信していた。このUSBインターフェースは、Cypress TrueTouch(商標)ソフトウェアがTMA350からデータをレンダリングし、かつどのようにこの値が接触と非接触との間で変わっていたかを見ることを可能にする。
【0059】
触覚検出システムの試験結果
透明センサ要素を触覚センサ駆動デバイスに接続することができる。指の接触がガラス表面になされるとき、コンピュータのモニタは、モニタの対応する位置において色変化(黒から緑)の形態で触覚検出領域内に生じる接触の位置をレンダリングすることができ、タッチスクリーンシステムの結果をシミュレートするために隣接するディスプレイ内の位置を表示した。2つ、3つ、及び4つの指の接触がガラス表面に同時になされるとき、コンピュータのモニタは、モニタの対応する位置において色変化(黒から緑)の形態で触覚検出領域内に生じる接触の位置をレンダリングすることができ、タッチスクリーンシミュレーションディスプレイ内の位置を表示した。
【0060】
応用例
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される物品は、可視光線透明基材の上又はその中に配設されるセル形状の開放微小パターンを画定する非線形トレースを含む導電体微小パターンを備える。いくつかのこのような実施形態では、導電体微小パターンは、EMI遮蔽の少なくとも一部分を形成する。いくつかのこのような実施形態では、導電体微小パターンは、アンテナの少なくとも一部分を形成する。いくつかのこのような実施形態では、導電体微小パターンは、触覚センサ(例えば、タッチスクリーンセンサ)の少なくとも一部分を形成する。いくつかのこのような実施形態では、導電体微小パターンは、例えば、電気泳動の対電極などのディスプレイ電極の少なくとも一部分を形成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される物品は、可視光線透明基材の上又はその中に配設されるセル形状の第1の開放微小パターンを画定する非線形トレースを含む第1の導電体微小パターンと、第1の導電体微小パターンから電気的に絶縁されるセル形状の第2の開放微小パターンを画定する非線形トレースを含む第2の導電体微小パターンと、を含む。第2の導電体微小パターンは、第1の導電体微小パターンと同じ基材上に配設されてよく、又は別の基材上に配設されてよい。第2の導電体微小パターンは、第1の導電体微小パターンを重ねる。
【0062】
いくつかの実施形態では、両方の導電体微小パターンは、例えば、タッチスクリーンセンサなどの触覚センサの少なくとも一部分を形成する。
【0063】
いくつかの実施形態では、両方の導電体微小パターンは、電気泳動ディスプレイの少なくとも一部分を形成する。
【0064】
あるいは、別の実施形態では、導電体微小パターンの一方は、例えば、タッチスクリーンセンサなどの触覚センサの少なくとも一部分を形成し、他方の導電体微小パターンは、無線通信のアンテナとして機能してよい。
【0065】
更に別の実施形態では、導電体微小パターンの一方は、例えば、タッチスクリーンセンサなどの触覚センサの少なくとも一部分を形成し、他方の導電体微小パターンは、電磁干渉(EMI)遮蔽として機能してよい。
【0066】
更に別の実施形態では、導電体微小パターンの一方は、無線通信のアンテナの少なくとも一部分を形成し、他方の導電体微小パターンは、電磁干渉(EMI)遮蔽として機能してよい。
【実施例】
【0067】
基材
2つの異なる基材をこの実施例セクションで使用した。
【0068】
第1の基材は、E.I.du Pont de Nemours,Wilmington,DEから製品番号ST504として市販のものを使用し、約125マイクロメートルの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(「PET」)の可視光線透明基材であった。
【0069】
第2の基材は、WO 2010/07871 A1の開示により調製される構造化トリアセテートフィルム(「構造化TAC」)であった。出発基材は、(Island Pyrochemical Industries Corp.,New York,NYから市販の)75マイクロメートルの厚さを有するセルローストリアセテートであった。したがって、基材の第1の表面上のナノ構造を収容するためにこのTACフィルムを変性した。ナノ構造化表面は、0.1〜0.2%の反射率を示した。ナノ構造化表面は、0.2〜0.4%の透過ヘイズを示した。ナノ構造化表面は、高さ100〜250ナノメートルであったナノ特徴を含んだ。ナノ特徴の高さ幅比(異方性)は、1を超えた。
【0070】
伝導体
PET基材又は構造化TAC基材上に、以下の導電性コーティングを蒸着した。
【0071】
(1)既知の真空スパッタリング法を使用して両方が蒸着される、基材上に直接配設される厚さ5オングストロームのチタン、続いて厚さ100ナノメートルの銀の多層構成体である「スパッタ銀」フィルム、
(2)既知の電子ビーム蒸着法を使用して両方が蒸着される、基材上に直接配設される厚さ5オングストロームのチタン、続いて厚さ100ナノメートルの銀の多層構成体である「蒸着銀」、又は
(3)既知の電子ビーム蒸着法を使用して全ての層が蒸着される、基材上に直接配設される厚さ15.5ナノメートルの第1のチタン層、続いて厚さ70ナノメートルの二酸化ケイ素層、続いて厚さ2.2ナノメートルの第2のチタン層、続いて90ナノメートルの銀の多層構成体である「蒸着多層」。
【0072】
導電性コーティングの蒸着後、基材は、導電性コーティング及び反対側、即ち、導電性コーティングを有しない側を含むコーティングされた側を有する。
【0073】
本明細書の実施例のそれぞれの形状に使用される導電性コーティングをその表面上のオクタデシルチオール自己組織化単分子層マスクを印刷すること、続いて米国特許出願公開第US 2009/0218310号に記載されるように湿式化学エッチングすることによってパターン化した。蒸着多層導電体のプロセスの湿式化学エッチング工程において、微小パターンがとどまる予定であった領域内を除き、導電体の全ての層(即ち、第1のチタン層、二酸化ケイ素、第2のチタン層、及び銀層)をエッチングし、トレースを形成した。
【0074】
基材の特性化
BYK Gardner色誘導球を使用して基材(PET又は構造化TACに関わらず)の両主表面(コーティングされた側及び裸の側)を測定するために平均反射率(%R)を使用した。
【0075】
気泡を捕捉することを最小限にするためにローラーを使用してYamato Black Vinyl Tape #200−38(Yamato International Corporation,Woodhaven,MIから市販)を測定表面の反対側に適用することによってそれぞれのフィルムのうちの1つの試料を調製した。表面の全%反射(正反射及び乱反射)を測定するために、BYK Gardiner Color−Guide Sphereの開口に対して試料のテープをしていない側を定置した。400〜700nmの波長範囲に対する10°入射角での%反射を測定した。反射率が裸の側(即ち、導電体コーティングされた側の反対側)から測定されるとき、測定された反射率は、基材フィルムと空気との間の界面からの反射を含むことを注目されたい。下記の表1に導電体を有する基材の%Rを示す。
【0076】
【表1】
【0077】
比較例C1
この実施例は、規則的な六角形の導電体微小パターンを使用してPET基材
及びスパッタAg導電体を使用することによってなされた。トレース幅は、約2マイクロメートルであった。六角形のセルの直径(面から平行な面まで)は、約200マイクロメートルであった。開放面積分率は、約98%であった。
【0078】
比較例C2
この実施例は、規則的な六角形の導電体微小パターンを使用してPET基材
及びスパッタAg導電体を使用することによってなされた。トレース幅は、約2マイクロメートルであった。開放面積分率は、約98%であった。
【0079】
(実施例3〜6)
これらの実施例は、規則的な六角形の微小パターン(実施例3)、擬似ランダム六角形の微小パターン(実施例4)、部分的に湾曲した六角形の微小パターン(実施例5)、及び完全に湾曲した六角形の微小パターン(実施例6)を有する構造化TAC基材及びスパッタ銀導電体を使用することによってなされた。いかなる場合でも、トレース幅は、約2マイクロメートルであり、開放面積分率は、約98%であった。
【0080】
(実施例7)
この実施例は、PET基材及び蒸着多層導電体を使用してなされ得る。パターン設計は、約200マイクロメートルのセル直径及び約2マイクロメートルのトレース幅を有する規則的な六角形のメッシュである。開放面積分率は、約98%である。3層材料導電体の銀層のパターニングに続いて、マイクロコンタクトプリンティング、続いて湿式化学エッチング(上述のように)によって、蒸着多層導電体の後続の層は、緩衝酸化物エッチ溶液の10:1の溶液(385mL、10の割合の40体積%のNH
4F溶液に対する1の割合の49体積%のHF溶液)を有する湿式化学エッチングによってエッチングされ得る。多層フィルムは、エッチ浴内に、パターン化された側を下に向けた溶液の表面上に、プラスチックパン内に定置され得る。フィルムは、62秒後にエッチ浴から除去され、脱イオン水流で速やかに洗い流され、空気銃で乾燥されるべきである。
【0081】
(実施例8〜10)
これらの実施例は、擬似ランダム六角形の微小パターン(実施例8)、部分的に湾曲した六角形の微小パターン(実施例9)、及び完全に湾曲した六角形の微小パターン(実施例10)を有するPET基材及び蒸着多層導電体を使用することによってなされた。実施例8〜10の場合、トレース幅は、約2マイクロメートルであり、開放面積分率は、約98%であった。3層材料導電体の銀層のパターニングに続いて、マイクロコンタクトプリンティング、続いて湿式化学エッチング(上述のように)によって、蒸着多層導電体の後続の層は、酸化物エッチ溶液を緩衝された10:1の溶液(385mL、容量10パーツ40% NH
4F溶液〜1パーツ49% HF溶液)を有する湿式化学エッチングによってエッチングされ得る。多層フィルムは、エッチ浴内に、パターン化された側を下に向けた溶液の表面上に、プラスチックパン内に定置され得る。フィルムは、62秒後にエッチ浴から除去され、脱イオン水流で速やかに洗い流され、空気銃で乾燥されるべきである。
【0082】
(実施例11)
この実施例は、擬似ランダム湾曲微小パターンを有する構造化TAC基材及びスパッタ銀導電体を使用してなされ得る。
【0083】
(実施例12)
この実施例は、擬似ランダム湾曲微小パターンを有するPET基材及び蒸着多層導電体を使用してなされ得る。
【0084】
【表2】
【0085】
物品の特性化
1つ以上の導電体微小パターンを有する積層した物品を太陽光照明の下でそれらの微小パターンの誘目性について評価した。この評価は、倍率なし(肉眼)の目視検査を含んでいた。デジタルカメラ(iPhone 3GS、Apple Computer Corp,Cupertino,CA)を使用してこの試料を更に撮像した。目又はカメラに達する光の強度を観察又は記録するためのより好適なレベルまで減少させるために、適用される半反射エネルギー管理フィルムを有するガラス単位窓を絶縁した典型的な商用建築的二重窓を通過することによってそれぞれの試料上の太陽光照明を最初に減衰させた。いくつかの視覚効果は、様々な微小パターンの誘目性の一因となった。第1のこのような視覚効果類別は、明るい(非拡散)太陽光で照らされると、多先端の星形の形状の明るい反射パターンの形態をとる「星形」と本明細書に記載される。規則的な六角形のメッシュは、6つの先端の星形を生じさせ得る。規則的な正方形のメッシュは、4つの先端の星形を生じさせ得る。第2の視覚効果類別は、明るい(非拡散)太陽光で照らされると、帯域に沿って色のスペクトルを示す帯域の反射の形態をとる「虹」と本明細書に記載される。第3の視覚効果類別は、明るい(非拡散)太陽光で照らされると、直接正反射の点を取り囲む拡散したピンク及び緑ハローの形態をとる「着色ハロー」と本明細書に記載される。第4の視覚効果類別は、明るい(非拡散)太陽光で照らされると、微小パターンにわたる光の明るい点の形態をとる「発光」と本明細書に記載される。
【0086】
【表3】
【0087】
星形、虹、発光、及び着色ハローの点数に関して表3のデータを
【0088】
【数1】
【0089】
及び許容できない外観点数
【0090】
【数2】
【0091】
で表される、許容外観点数において報告する。点数を判定する際、許容点数は、視覚アーチファクト(星形、虹、ハロー、又は発光であるかに関わらず)の完全欠損を示唆しなかったが、これが存在する場合、アーチファクトのレベルは、利用者に許容であり得るレベル(少なくとも
【0092】
【数3】
【0093】
で採点される実施例より許容できるもの)である。実施例3〜6に関して、C1及びC2と比較すると、微小パターン(即ち、基材フィルム(ナノ構造表面)側又は基材フィルムの反対側から)に対していずれかの方向からの評価に関して、外観の改良(微小パターンのより少ない顕著な特徴)を達成した。この改良(誘目性の低減)は、基材フィルム側からの評価(観察)に対してより大きかった。
【0094】
積層した導電体微小パターン実施例の電気的かつ透過した光学測定の結果を表4に報告する。それぞれの基材種類に行われる測定からTAC及びPETに割り当てられる項目を得て、上述(ベースラインデータ)のようにガラスにラミネートした。Haze−Gard Plus(BYK−Gardner,Columbia,MD)を使用して光透過率(%T)、清澄性(%C)、及び透過ヘイズ(%H)を測定した。
【0095】
【表4】
【0096】
積層した導電体微小パターン実施例の反射率測定の結果を表5に報告する。それぞれの基材種類に行われる測定からTAC及びPETに割り当てられる項目を得て、上述(ベースラインデータ)のようにガラスにラミネートした。表5に示すように、微小パターンの基材側から観察し、測定すると前者であるとき、標準の基材フィルム(PET)上に配設される同一の微小パターンと比較すると、微小パターンは、(空気にさらすと反射を防止する)ナノ構造化基材表面上に配設されるときより少ない反射率の一因となる。
【0097】
【表5】
本出願では、以下の態様が提供される。
1. 物品であって、対向する第1及びの第2の表面を有する基材と、複数のセルを画定する複数のトレースを備え、前記基材の前記第1の表面上に配設される導電体微小パターンと、を備え、前記導電体微小パターンが、80%を超える開放面積分率及びトレース配向の一様分布を有し、前記トレースのそれぞれが、0.5〜10マイクロメートルのトレース幅を有し、前記導電体微小パターンが、半反射金属、透明層、及び反射層を順に備える3層材料である、物品。
2. 前記半反射金属が、チタン、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、金、モリブデン、白金、ロジウム、銀、タングステン、コバルト、鉄、ゲルマニウム、ハフニウム、パラジウム、レニウム、バナジウム、シリコン、セレン、タンタル、イットリウム、ジルコニウム、並びにこれらの組み合わせ及び合金からなる群から選択される、態様1に記載の物品。
3. 前記透明材料が、アクリルポリマー、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、HfO2、Sc2O3、La2O3、ThO2、Y2O3、CeO2、MgO、Ta2O5、及びこれらの組み合わせからからなる群から選択される、態様1に記載の物品。
4. 前記反射層が、金、銀、パラジウム、白金、アルミニウム、銅、モリブデン、ニッケル、スズ、タングステン、合金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1に記載の物品。
5. 前記導電体微小パターントレースのそれぞれが、1センチメートル未満の曲率半径を有する、態様1に記載の物品。
6. 前記微小パターンのトレース配向の前記一様分布が、3未満の2度のビン当たりの測定された周波数の標準偏差を有する、態様1に記載の物品。
7. 前記導電体微小パターンが、非反復のセル形状を有する、態様1に記載の物品。
8. 前記導電体微小パターンが、反復する位置配列に位置しないセルを有する、態様1に記載の物品。
9. トレースが、法線入射で、かつ前記基材の前記第1の表面に向かって配向される方向に20%未満の正反射率を有する、態様1に記載の物品。
10. 前記トレースが、法線入射で、かつ前記基材の前記第1の表面に向かって配向される方向に10%未満の正反射率を有する、態様1に記載の物品。
11. 前記トレースが、法線入射で、かつ前記基材の前記第1の表面に向かって配向される方向に50%未満の正反射率を有する、態様1に記載の物品。
12. 前記トレースが、法線入射で、かつ前記基材の前記第1の表面から離れて配向される方向に20%未満の正反射率を有する、態様1に記載の物品。
13. 前記トレースが、法線入射で、かつ前記基材の前記第1の表面から離れて配向される方向に10%未満の正反射率を有する、態様1に記載の物品。
14. 前記トレースが、法線入射で、かつ前記基材の前記第1の表面から離れて配向される方向に50%未満の正反射率を有する、態様1に記載の物品。
15. 導電体微小パターンを製造する方法であって、対向する第1及びの第2の表面を有する基材を提供する工程と、半反射材料、透明材料、及び不透明反射金属を含む導体層を順に前記基材の前記第1の表面上に堆積させる工程と、エラストマースタンプを使用して前記導電層上に自己組織化単分子層の微小パターンを印刷する工程であって、複数のトレースによって形成される前記自己組織化単分子層の微小パターンが複数の開放面積セルを画定し、前記導電体微小パターンが80%を超える開放面積分率及びトレース配向の一様分布を有し、前記トレースのそれぞれが0.5〜10マイクロメートルの幅を有する工程と、前記自己組織化単分子層の微小パターンによって覆われない前記導電体をエッチングする工程と、を含む、方法。