(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記道路環境認識手段で認識した道路環境が進路変更を許容する環境であれば、自車の加速を抑制するように加速抑制制御を実行する加速抑制手段(40,S310〜S330)
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<運転支援システム>
運転支援システム1は、自動車に搭載され、運転支援制御を実現するシステムである。この運転支援システム1では、運転支援制御として、少なくとも、クルーズコントロールを実現する。
【0019】
なお、ここで言うクルーズコントロールは、自車が走行を予定している道路(以下、「走行予定路」と称す)の道路形状を認識し、その走行予定路を走行する際の自車の車速を、予め設定された速度範囲内に維持するものである。ただし、本実施形態のクルーズコントロールでは、自車の周辺に存在する他車両の中に規定条件を満たす他車両が存在する場合には、その他車両を追従対象車として特定し、追従対象車との車間距離を設定された距離に保持するアダプティブクルーズコントロールを実現する。
【0020】
これらを実現するために、運転支援システム1は、
図1に示すように、周辺検知部3と、自車状態検知部10と、車両制御部20と、運転支援制御装置(以下、「運転支援ECU」と称す)40とを備えている。
【0021】
周辺検知部3は、走行予定路の状況を検出するために必要な情報(以下、「状況推定情報」と称す)を取得する。この周辺検知部3は、レーダセンサ5と、撮像装置7とを備えている。
【0022】
レーダセンサ5は、探査波を送受信した結果に基づいて、探査波を反射した物標の位置を状況推定情報として検出する。本実施形態におけるレーダセンサ5は、レーザ光を探査波として、車両前方へ所定角度の範囲でスキャンして出力すると共に、その反射光を検出するレーザーレーダである。そして、レーダセンサ5は、レーザ光を反射した物体との間をレーザ光が往復するのに要した時間から物体までの距離、及びレーザ光を反射した物体が存在する方位を表す距離・角度計測データを、物標の位置として求める。
【0023】
なお、レーダセンサ5は、レーザ光を探査波として利用するものに限らず、ミリ波帯の電波を探査波として利用するもの(いわゆるミリ波レーダ)や、超音波を探査波として利用するもの(いわゆるソナー)でも良い。
【0024】
また、撮像装置7は、自車の進行方向上の所定角度範囲を撮像するように自車に設置された周知のカメラである。ここで言う所定角度範囲は、少なくとも、走行予定路の道路上やその道路上に設置された標識が含まれる角度範囲である。この撮像装置7は、走行予定路の道路上の状況を撮像し、その撮像した画像を状況推定情報として取得する。
【0025】
自車状態検知部10は、自車の挙動を表す各種情報を取得する。この自車状態検知部10は、ヨーレートセンサ12、車輪速センサ14、舵角センサ16を含む。
ヨーレートセンサ12は、自車の旋回角速度(ヨーレート)γに応じた信号を出力する。
【0026】
車輪速センサ14は、左前輪、右前輪、左後輪、及び右後輪のそれぞれに取り付けられ、各車輪軸の回転に応じて所定角度ごとにエッジが生じるパルス信号、即ち、車輪軸の回転速度に応じたパルス間隔を有するパルス信号を出力する。
【0027】
舵角センサ16は、ハンドルの相対的な操舵角(操舵角の変化量)、あるいはハンドルの絶対的な操舵角(直進時の操舵位置を基準とした実際の操舵角)に応じた信号を出力する。
【0028】
車両制御部20は、車両に搭載された各種車載装置を制御する電子制御制御装置(いわゆるECU)である。この車両制御部20には、エンジンECU22、ブレーキECU24、メータECU26を少なくとも含む。
【0029】
エンジンECU22は、エンジンの始動/停止、燃料噴射量、点火時期等を制御する電子制御装置であって、CPU、ROM、RAM等を備える。具体的には、エンジンECU22は、吸気管に設けられたスロットルを開閉するアクチュエータを、アクセルペダルの踏込量を検出するセンサの検出値に応じて制御する。また、エンジンECU22は、運転支援ECU40からの指示に従い、内燃機関の駆動力を増減させるようにスロットルアクチュエータを制御する。
【0030】
ブレーキECU24は、自車の制動を制御する電子制御装置であって、CPU,ROM,RAM等を備える。具体的には、ブレーキECU24は、ブレーキ液圧回路に設けられた増圧制御弁および減圧制御弁を開閉するアクチュエータを、ブレーキペダルの踏込量を検出するセンサの検出値に応じて制御する。また、ブレーキECU24は、運転支援ECU40からの指示に従い、自車の制動力を増減させるようにブレーキアクチュエータを制御する。
【0031】
メータECU26は、運転支援ECU40を含む車両各部からの指示に従って、車両に設けられたメータディスプレイの表示制御を行う電子制御装置であって、CPU,ROM,RAMなどを備える。具体的には、メータECU26は、メータディスプレイに、車速やエンジンの回転数、運転支援ECU40が実行する制御の実行状態や運転支援の内容を表示する。
【0032】
<運転支援ECU>
運転支援ECU40は、運転支援制御を実行する電子制御装置である。この運転支援ECU40は、ROM41と、RAM42と、CPU43とを少なくとも有した周知のコンピュータを中心に構成されている。
【0033】
このうち、ROM41は、電源が切断されても記憶内容を保持する必要がある処理プログラムやデータを格納する。RAM42は、処理プログラムやデータを一時的に格納する。CPU43は、ROM41やRAM42に記憶された処理プログラムに従って各種処理を実行する。
【0034】
さらに、運転支援ECU40は、周辺検知部3や自車状態検知部10からの信号を検出してデジタル値に変換する検出回路,A/D変換回路からの入力を受け付ける入出力インターフェース(I/O)、車両制御部20との通信を行う通信回路を備えている。これらのハードウェア構成は、電子制御装置において一般的なものであるので詳細な説明は省略する。
【0035】
なお、ROM41には、周辺検知部3や自車状態検知部10からの信号に従って、走行予定路における道路形状を認識し、自車の運転を支援する運転支援制御を実行する運転支援処理を、運転支援ECU40が実行するための処理プログラムが格納されている。
【0036】
すなわち、運転支援ECU40は、運転支援処理を実行することで、特許請求の範囲に記載された車両制御装置として機能する。
<運転支援処理>
次に、運転支援ECU40が実行する運転支援処理について説明する。
【0037】
この運転支援処理は、予め規定された時間間隔(例えば100ms)ごとに起動される。
そして、運転支援処理が起動されると、
図2に示すように、まず、周辺検知部3で検知した状況推定情報を読み込む(S110)。本実施形態のS110では、状況推定情報として、レーダセンサ5で検出した距離・角度計測データを読み込む。
【0038】
続いて、S110で読み込んだ距離・角度計測データを、これらのデータによって表現される極座標系から直交座標系に変換し、その変換後のデータに基づき、自車の前方に存在する物標を認識する物標認識処理を実行する(S120)。この物標認識処理では、距離・角度計測データをクラスタリングし、クラスタごとに物標の中心位置座標、物標の大きさ、自車に対する相対速度などを求める。さらに、物標認識処理では、物標の大きさや相対速度に基づいて、認識した物標それぞれの種類(例えば、路側物(ガードレール)であるか先行車両であるかなど)を判別する。
【0039】
さらに、周辺検知部3で検知した状況推定情報、または自車状態検知部10で検知した自車の挙動に基づいて、走行予定路における道路環境を認識する(S130)。このS130では、少なくとも、走行予定路における道路形状(曲率半径R)、及び走行予定路の車線の種別を、道路環境として認識する。
【0040】
本実施形態における道路形状の推定は、周知の手法によりなされれば良い。具体的には、道路形状の推定手法として、S120にて認識した路側物(例えば、ガードレール)の配置状況から、走行予定路の平面線形(曲率半径R)を推定し、その推定した曲率半径Rを道路形状として推定する手法が考えられる。なお、道路形状の推定手法は、上記の手法に限るものではなく、撮像装置7で撮像した画像に基づく手法や、自車状態検知部10の検知結果に基づく手法であっても良い。
【0041】
例えば、前者の手法であれば、撮像装置7で撮像した画像に基づく周知の手法により、区画線(例えば、白線)を認識し、その認識した区画線に従って走行予定路の平面線形(曲率半径R)を推定し、その推定した曲率半径Rを道路形状として推定する手法を用いれば良い。また、後者の手法であれば、ヨーレートセンサ12にて検出されたヨーレートγと、車輪速センサ14での検出結果に基づいて算出された自車速Vに基づき、自車速Vをヨーレートで除すことで求めた曲率半径Rを、道路形状とすれば良い。
【0042】
さらに言えば、道路形状(曲率半径R)を推定する手法は、上記の手法に限るものではなく、上記の手法を組み合わせた手法でも良い。この場合、各手法で推定した曲率半径の相加平均や加重平均を道路形状としても良い。
【0043】
本実施形態における走行予定路における車線の種別には、少なくとも、車線の種類と、走行予定路の車線数とを含むものである。ここで言う車線の種類には、例えば、
図3(A)に示す合流車線から走行予定車線への進路変更が許容される合流路や、
図3(B)に示す複数の走行車線を備えた道路であって車線間における進路変更が許容された道路を含む。さらに、車線の種類には、
図3(C)に示す複数の走行車線を備えた道路であって車線間における進路変更が禁止されている道路を含む。
【0044】
本実施形態における車線の種類の判定は、例えば、撮像装置7で撮像した画像に基づく周知の手法により認識した区画線(例えば、白線)に基づいて実施すれば良い。そして、車線の種類において、走行予定路において進路変更が許容されているか禁止されているかの判定は、認識した区画線が破線であれば、走行予定路における進路変更が許容されているものと認識すれば良い。一方、認識した区画線が実線である場合には、走行予定路における進路変更が禁止されているものと認識すれば良い。
【0045】
なお、車線の種類の判定手法は、これに限るものではない。例えば、撮像装置7で撮像した画像に基づくテンプレートマッチングなどにより道路標識の内容を認識し、その認識した道路標識の内容が進路変更(追い越し)禁止であれば、走行予定路における進路変更が禁止されているものと認識しても良い。
【0046】
続いて、S130にて認識した走行予定路の道路環境において、進路変更が許容されているか否かを判定する(S140)。このS140での判定の結果、走行予定路の道路環境において進路変更が許容されていれば(S140:YES)、自車の周辺に存在する他車両について、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を変更する(S150)。
【0047】
なお、本実施形態における規定条件とは、自車の周辺に存在する他車両の中から、追従対象車を特定するための条件である。この規定条件として、自車両の周辺に存在する他車両の中で、自車が走行している車線(以下、「走行予定車線」と称す)における自車の進行方向上を走行し、かつ、自車からの距離が最短であることが考えられる。
【0048】
ただし、本実施形態における規定条件では、走行予定車線に隣接する車線(例えば、合流車線や隣接車線)を走行する他車両が存在する場合、当該他車両が走行予定車線における自車の進行方向上を走行する可能性の高さ(即ち、確率、以下、走行尤度と称す)が規定閾値以上となると、当該他車両を追従対象車として選択する。
【0049】
ここで言う走行尤度は、自車の位置と、S130で認識した道路環境と、他車両の位置との相対的な関係に基づいて導出すれば良い。具体的には、他車両のうち、走行予定車線に隣接する隣接車線を走行している隣接車の走行尤度は、当該隣接車の車幅方向に沿った移動方向が走行予定車線に近づく方向であり、車幅方向の移動距離や車幅方向の移動速度が大きい場合に、高い値となるように算出すれば良い。他車両のうち、合流車線を走行している合流車の走行尤度は、当該合流車の車幅方向に沿った移動方向が走行予定車線に近づく方向であり、車幅方向の移動距離や車幅方向に沿った移動速度が大きい場合に、高い値となるように算出すれば良い。
【0050】
そして、本実施形態のS150では、規定条件の変更として、自車の前方を走行する他車両(例えば、隣接車や合流車)を追従対象車として選択しやすくなるように、規定閾値の引き下げを実施しても良い。ここで言う規定閾値の引き下げは、予め設定された設定値分低減しても良い。
【0051】
その後、詳しくは後述するS170へと移行する。
一方、S140での判定の結果、走行予定路の道路環境において進路変更が禁止されていれば(S140:NO)、自車の周辺に存在する他車両について、追従対象車として選択し難くなるように規定条件を変更する(S160)。
【0052】
そして、本実施形態のS160では、規定条件の変更として、自車の前方を走行する他車両(例えば、隣接車や合流車)を追従対象車として選択し難くなるように、規定閾値の引き上げを実施しても良い。ここで言う規定閾値の引き上げは、予め設定された設定値分増加しても良い。
【0053】
その後、S170へと移行する。
そのS170では、自車が走行している道路における周辺の状況(以下、周辺状況と称す)を認識し、その認識結果に従って規定条件を補正する。
【0054】
本実施形態における周辺状況とは、走行予定路の状況や他車の走行状況であり、例えば、追従履歴や、走行環境、周辺車挙動を含む。
ここで言う追従履歴とは、自車の周辺に存在する他車両それぞれについて、追従対象車として選択したか否かを表す履歴であり、他車両ごとに設定される。また、ここで言う走行環境には、少なくとも、S130にて認識した車線の種別を含む。
【0055】
そして、ここで言う周辺車挙動とは、走行予定車線を走行している他車両(即ち、先行車)の挙動、隣接車線を走行している他車両(即ち、隣接車)の挙動、及び合流車線を走行している他車両(即ち、合流車)の挙動を含むものである。
【0056】
本実施形態においては、例えば、撮像装置7で撮像した画像に基づいて他車両を認識し、その認識した他車両が推移した結果を、先行車や隣接車、合流車の挙動として認識する。なお、ここで言う他車両が推移した結果には、少なくとも、車幅方向に沿った移動の方向、移動距離、移動速度、即ち、走行尤度を含む。
【0057】
本実施形態のS170では、例えば、追従対象車として選択したことがある他車両それぞれについて、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正する。
さらに、本実施形態のS170では、自車両の周辺に存在する他車両(隣接車を含む)の挙動が進路変更を実施しようとしていることを表している場合、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正する。
【0058】
ところで、本実施形態のS170においては、
図4(A)に示すように、走行予定車線の道路形状が「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を許容するものである場合、隣接車を追従対象車として選択し難くなるように規定条件を補正する。
【0059】
また、本実施形態のS170においては、
図4(B)に示すように、走行予定車線の道路形状が「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を禁止するものである場合、先行車を追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正する。
【0060】
そして、規定条件の補正内容の具体例として、追従対象車として選択されている他車両が、追従対象車として選択され易くなるように、
図5(A),
図5(B),
図5(C)に示すように、規定閾値を引き下げることが考えられる。また、追従対象車として選択されている他車両が追従対象車として選択され難くなるように、
図5(A),
図5(B),
図5(C)に示すように、規定閾値を引き上げることが考えられる。
【0061】
続いて、運転支援処理では、規定条件を満たす他車両を追従対象車として選択し(S180)、運転支援制御として、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を実行する(S190)。なお、規定条件を満たす他車両(即ち、追従対象車)が存在しない場合、S190では、クルーズコントロールを運転支援制御として実行しても良い。
【0062】
本実施形態のS190では、例えば、S180にて選択した追従対象車との車間距離を、設定された距離に保持するように、エンジンECU22やブレーキECU24に制御指令を出力する。その制御指令を受け付けたエンジンECU22やブレーキECU24は、スロットルアクチュエータやブレーキアクチュエータを制御する。
【0063】
さらに、本実施形態のS190では、メータECU26に対して、ACCに関する各種表示情報や、所定の条件に適合した場合に警報を発生させるための指令を出力する。その指令を受け付けたメータECU26は、各種表示情報や警報を、表示パネルなどに発生させる。
【0064】
その後、本運転支援処理を終了し、次の起動タイミングまで待機する。
つまり、本実施形態の運転支援処理では、周辺検知部3で検知した状況推定情報、または自車状態検知部10で検知した自車の挙動に基づいて、走行予定路における道路環境を認識する。続いて、走行予定路の道路環境において進路変更が許容されているか否かを判定する。そして、判定の結果、走行予定路の道路環境において進路変更が許容されていれば、自車の周辺に存在する他車両について、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を変更する。
【0065】
一方、判定の結果、走行予定路の道路環境において進路変更が禁止されていれば、自車の周辺に存在する他車両について、追従対象車として選択し難くなるように規定条件を変更する。
【0066】
さらに、周辺状況を認識し、その認識結果に従って規定条件を補正する。
その後、運転支援処理では、規定条件を満たす他車両を追従対象車として選択し、運転支援制御としてアダプティブクルーズコントロール(ACC)を実行する。
[実施形態の効果]
具体的には、走行予定路の道路環境(車線の種類)が、
図3(A)に示すような合流路であれば、本実施形態の運転支援処理では、走行予定路における進路変更が許容されているものと認識する。このため、走行予定路の道路環境(車線の種類)が合流路である場合には、本実施形態の運転支援処理においては、合流車線から走行予定車線へと流入しようとする合流車を追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を変更できる。
【0067】
また、走行予定路の道路環境(車線の種類)が、
図3(B)に示すような複数の走行車線を備えた道路であって車線間における進路変更が許容された道路であれば、本実施形態の運転支援処理においては、隣接車線から走行予定車線へと進路変更しようとする隣接車を追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を変更できる。
【0068】
一方、走行予定路の道路環境(車線の種類)が、
図3(C)に示すような複数の走行車線を備えた道路であって車線間における進路変更が禁止されている道路であれば、本実施形態の運転支援処理においては、隣接車線を走行している隣接車を追従対象車として選択し難くなるように規定条件を変更できる。
【0069】
すなわち、運転支援ECU40によれば、進路変更が許容された道路環境である場合には、自車の周辺に存在し、自車の前方を走行する他車両について、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を変更することができる。また、運転支援ECU40によれば、進路変更が禁止された道路環境である場合には、自車の周辺に存在し、自車の前方を走行する他車両について、追従対象車として選択し難くなるように規定条件を変更することができる。
【0070】
この結果、運転支援ECU40によれば、進路変更が許容された道路環境である場合に、自車の進行方向上へと割り込む(合流する)可能性のある隣接車が存在する場合、その割り込み(合流)を実施した隣接車を早期に追従対象車として選択できる。また、運転支援ECU40によれば、進路変更が禁止された道路環境である場合に、走行予定車線の方向に隣接車がふらついたとしても、当該隣接車を追従対象車として誤選択することを低減できる。
【0071】
以上のことから、運転支援ECU40によれば、追従対象車の選択精度を向上させることができる。よって、運転支援ECU40によれば、運転者にとって違和感の少ない適切な運転支援を実現できる。
【0072】
また、本実施形態の運転支援処理では、周辺状況に従って規定条件を補正している。
特に、本実施形態の運転支援処理では、追従履歴や、走行環境、周辺車挙動に従って規定条件を補正しているため、追従履歴や、走行環境、周辺車挙動に応じた適切な規定条件を規定できる。
【0073】
具体的には、走行予定車線の道路形状が、
図4(A)に示すように、「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を許容するものである場合、本実施形態の運転支援処理では、隣接車を追従対象車として選択し難くなるように規定条件を補正している。このため、運転支援処理によれば、走行予定車線の方向に隣接車がふらついたとしても、当該隣接車を追従対象車として誤選択することを低減できる。
【0074】
一方、走行予定車線の道路形状が、
図4(B)に示すように、「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を禁止するものである場合、本実施形態の運転支援処理では先行車を追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正している。このため、運転支援処理によれば、走行予定車線を走行している先行車を追従対象車として継続して選択し続けやすくなり、曲路であっても、運転者にとって違和感の少ない適切な運転支援を実現できる。
【0075】
以上のことから、運転支援処理によれば、周辺状況に応じて適切な規定条件を規定でき、追従対象車の選択精度をより向上させることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態の運転支援処理におけるS170では、追従対象車として選択したことがある他車両それぞれについて、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正していたが、S170における規定条件の補正内容は、これに限るものではない。すなわち、運転支援処理のS170において、追従対象車として選択したことがある他車両それぞれについて、追従対象車として選択し難くなるように規定条件を補正しても良い。
【0077】
さらに、上記実施形態のS170では、自車両の周辺に存在する他車両(隣接車を含む)の挙動が進路変更を実施しようとしていることを表している場合、追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正していたが、S170における規定条件の補正内容は、これに限るものではない。すなわち、運転支援処理のS170において、自車両の周辺に存在する他車両(隣接車を含む)の挙動が進路変更を実施しようとしていることを表している場合、追従対象車として選択し難くなるように規定条件を補正しても良い。
【0078】
そして、上記実施形態のS170においては、走行予定車線の道路形状が「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を許容するものである場合、隣接車を追従対象車として選択し難くなるように規定条件を補正していたが、S170における規定条件の補正内容は、これに限るものではない。すなわち、運転支援処理のS170において、走行予定車線の道路形状が「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を許容するものである場合、隣接車を追従対象車として選択し易くように規定条件を補正しても良い。
【0079】
また、上記実施形態のS170においては、走行予定車線の道路形状が「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を禁止するものである場合、先行車を追従対象車として選択しやすくなるように規定条件を補正していたが、S170における規定条件の補正内容は、これに限るものではない。すなわち、運転支援処理のS170において、走行予定車線の道路形状が「曲路」であり、かつ、当該走行予定路が進路変更を禁止するものである場合、先行車を追従対象車として選択し難くなるように規定条件を補正しても良い。
【0080】
ところで、上記実施形態の運転支援処理におけるS190では、運転支援制御として、アダプティブクルーズコントロールを実行していたが、本発明における運転支援制御は、これに限るものではない。
【0081】
本発明における運転支援制御として、例えば、
図6に示す処理を実行しても良い。
この場合の運転支援制御では、
図6に示すように、まず、運転支援処理のS130にて認識した走行予定路の道路環境において、進路変更が認容されているか否かを判定する(S310)。このS310での判定の結果、走行予定路の道路環境において進路変更が禁止されていれば(S310:NO)、先のS190にて説明したアダプティブクルーズコントロールを実行した後、本運転支援制御を終了する。
【0082】
一方、S310での判定の結果、走行予定路の道路環境において進路変更が許容されていれば(S310:YES)、S170で認識した隣接車の挙動が、隣接車線と走行予定車線との複数の車線に跨っていることを表しているか否かを判定する(S320)。このS320での判定の結果、隣接車が複数の車線に跨っていなければ(S320:NO)、先のS190にて説明したアダプティブクルーズコントロールを実行した後、本運転支援制御を終了する。
【0083】
なお、S320での判定の結果、隣接車が複数の車線に跨っていれば(S320:YES)、自車の加速が抑制されるように加速抑制制御を実行する(S330)。この加速抑制制御とは、例えば、アダプティブクルーズコントロールにおける加速の抑制や禁止を含む。
【0084】
その後、本運転支援制御を終了する。
このような運転支援制御によれば、道路環境が進路変更を許容する環境である場合に、加速抑制制御を実行できる。この結果、車両制御装置によれば、自車の運行について安全性を向上させることができる。
【0085】
すなわち、隣接車線から走行予定車線への進路変更が許容された道路環境である場合には、その隣接車線を走行している他車両が走行予定車線へと進路変更する可能性がある。そして、例えば、追従制御において自車が加速している際に、その自車の前方に隣接車が走行予定車線に進路変更した場合、自車の安全な運行の妨げとなる。
【0086】
このため、上記運転支援制御のように、道路環境が進路変更を許容する環境である場合に、加速抑制制御を実行することで、自車の運行について安全性を向上させることができる。
【0087】
なお、自車両の周辺に存在する他車両が車線境界線を跨いでいる場合には、隣接車線を走行している他車両が走行予定車線へと進路変更する可能性が高いため、上記運転支援制御においては、加速抑制制御を実行している。
【0088】
このような運転支援制御によれば、他車両が走行予定車線へと進路変更する可能性が高い場合に加速抑制制御を実行でき、自車の運行について安全性をより向上させることができる。
【0089】
なお、本発明における運転支援制御は、上記の処理内容に限るものではない。例えば、運転支援制御において、走行予定路の道路環境において進路変更が許容され(S310:YES)、かつ、隣接車が複数の車線に跨っている場合(S320:YES)に、自車の加速を助長しても良い(S330)。
【0090】
この他、運転支援制御におけるS330では、加減速のタイミングを早めても良いし、遅延させても良い。また、運転支援制御におけるS330では、ACCに関する各種表示情報や、所定の条件に適合した場合の警報の出力タイミングを早めても良いし、遅延させても良い。
【0091】
さらに、運転支援制御では、周辺状況に従って制御内容を変更しても良い。ここで言う制御内容の変更とは、加速抑制制御の他に、加減速のタイミングの変更や、ACCに関する各種表示情報の出力タイミングの変更、所定の条件に適合した場合の警報の出力タイミング変更などである。
【0092】
なお、上記実施形態の運転支援処理では、規定閾値を変更することで、規定条件を変更(補正)していたが、規定条件を変更する方法は、これに限るものではない。すなわち、本発明においては、走行尤度を変更(補正)することで、規定条件を変更しても良いし、その他の手法によって、規定条件を変更(補正)しても良い。
【0093】
すなわち、道路環境が進路変更を禁止する環境である場合に、自車の周辺に存在する車両について、追従対象車として選択し難くなるように規定条件を変更して規定するのであれば、どのような手法で規定条件を変更しても良い。
【0094】
ところで、上記実施形態の運転支援システムでは、運転支援として、クルーズコントロールやアダプティブクルーズコントロールを実現していたが、運転支援の内容は、これに限るものではない。例えば、車線逸脱防止支援システムを実現しても良い。
【0095】
ここで言う車線逸脱防止支援システムは、自車が走行している車線(走行予定車線)の道路形状を認識し、その走行予定車線の走行を維持するように支援するものである。
また、本実施形態における自車状態検知部10は、ヨーレートセンサ12と、車輪速センサ14と、舵角センサ16とを備えていたが、本発明における自車状態検知部10は、これに限るものではない。例えば、自車状態検知部10は、舵角センサ16が省略されていても良いし、ヨーレートセンサ12が省略されていても良い。すなわち、本発明の自車状態検知部10は、自車の旋回角を検知するセンサと、車速を検知するセンサとを備えていれば、どのようなものでも良い。
【0096】
さらに言えば、本発明においては、自車状態検知部10そのものが省略されていても良い。
なお、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も本発明の実施形態である。また、上記実施形態と変形例とを適宜組み合わせて構成される態様も本発明の実施形態である。また、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される発明の本質を逸脱しない限度において考え得るあらゆる態様も本発明の実施形態である。